天竺堂 さん プロフィール

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天竺堂さん: 天竺堂の本棚
ハンドル名天竺堂 さん
ブログタイトル天竺堂の本棚
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/book_tenjikudo/
サイト紹介文読書は娯楽の最高峰。楽しい読書体験をつづります♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供56回 / 365日(平均1.1回/週) - 参加 2014/01/30 14:48

天竺堂 さんのブログ記事

  • プリズン・ブック・クラブ
  • カナダの刑務所で行なわれてる囚人たちの読書会に、女性ジャーナリストがボランティアとして加わった、1年間の記録。いくつか読みどころがあって面白い。まず、囚人向けとして選ばれた本に、囚人たちの多様なコメントが付いた、ユニークなブックガイドとして読める。また、著者は強盗に襲われた経験があり、囚人たちと接するうちにトラウマを克服していく、犯罪被害者の体験記としても読める。あと、読書を通して囚人たちが内省を [続きを読む]
  • ウルヴァリン:オールドマン・ローガン
  • ウルヴァリンが主役のアメコミ。なんだけど、通常のマーベルコミックとは異なる世界が舞台。スーパーヒーローたちが敗れ去り、文明が崩壊しかかってるアメリカ。ヒーローだった過去を封印し、年老いた農夫としてひっそり暮らしてるウルヴァリン(ローガン)。そこにかつての仲間が現れ、危険な仕事を持ちかけてきて…という、まるで西部劇みたいな物語。大物ヴィランに分割支配されてるアメリカという“現在”の状況も興趣をそそる [続きを読む]
  • ヴォイド・シェイパ
  • 森博嗣の時代劇(!?)。伝説的剣豪に山奥で育てられた青年ゼンが、旅をしながら剣士として成長していく物語…らしい。著者独特の淡白な文体に加え、人名がカタカナ表記だったり、時代や地域を特定してないことから、“外国人が書いた和風ファンタジーの邦訳”みたいな趣。それでも、さまざまな人々に出会い、剣を交える中、ゼンが「強さとは?」「生とは?」「死とは?」「剣の道とは?」などと迷い悩み、答を見出そうともがく姿に [続きを読む]
  • 仕事の手帳
  • 最相葉月のエッセイ集。ノンフィクションライターとして、取材対象への姿勢や、インタビューという行為の奥深さ、著作を発表する者としての反省や矜持などが、謙虚と言うかストイックにつづられてる。ラジオで務めたインタビュー番組の書き起こしや、全国紙掲載の書評なども収録。言葉を扱う仕事について多面的に捉えてあり、面白く読ませます。水道橋博士を高く評価してるところに深く共感したり。文筆業を志望する人には有益かも [続きを読む]
  • 18歳から考える 国家と「私」の行方 〈東巻・西巻〉
  • 松岡正剛による歴史の本。2巻14講の講義スタイル。話し言葉で書かれてるので、比較的読みやすい。半面、詰め込まれてる知識が膨大で、何とも目まぐるしい。イギリスで流行したコーヒーハウスから雑誌や政党や保険会社や広告が生まれたとか、ナポレオンの登場によってヨーロッパ各国が“列強”として覇権を争うようになったとか、ダーウィンの進化論のせいで「社会だってより良くなるはず」と信じられるようになったとか、資本主義 [続きを読む]
  • 航空宇宙軍史・完全版 (三〜五)
  • 谷甲州による大河SFシリーズの総集編。残る3冊を一気読み。太陽系内を舞台にした、工学系やミリタリー系の緻密な描写が光る、堅実で渋い未来戦史…みたいな前半2冊の印象が、大きくくつがえされてしまう。収録作品の中では、航空宇宙軍とテロ組織のスリリングな謀略合戦『エリヌス−戒厳令』が“前半らしさ”を強く感じさせて面白かったんだけど、このシリーズ全体の舞台は、実は太陽系よりもずっと広大。航空宇宙軍は初期の外 [続きを読む]
  • 騎士団長殺し 第1・2部
  • ツラい過去とかイヤな経験とか、そんなモノゴトを「無かったことにしたい」「忘れよう」と無理矢理ココロの奥に押し込めても、やがてジクジクと表面に染み出し、日常生活に悪影響を及ぼしたりするんだろうな。自分のココロの奥底まで降りていって、押し込めてるモノゴトに向き合い、乗り越えるなり打ち壊すなり笑い飛ばすなり、現状から一歩前に進むためのきっかけを感得するなり、そんな機会が誰にでも一度くらいは訪れるのかもな [続きを読む]
  • モンテーニュ エセー抄
  • 16世紀フランスの思想家による随想録。全3巻より11編を抜粋。「エッセイ」の元祖に当たるらしい。個人の身辺雑記が出版され、広く読まれるなんてことは、本書以前にはなかったそうな。書斎にこもる読書人でありながら、法官や市長も務めた著者。さまざまな人生経験や、それらを通しての思索、古典からの引用、さらには“結石の理不尽な痛みについて自らを納得させるためにはどのように考えるべきか”なんて下世話っぽい記述などな [続きを読む]
  • アラベスク(1〜4巻)
  • 山岸凉子のバレエマンガ。初期の出世作とのこと。才能を秘めた主人公がいて、シゴキまくる鬼コーチがいる、“スポ根”の王道的な物語(スポーツじゃないけど)。ただ、『ガラスの仮面』『巨人の星』『エースをねらえ!』などと異なるのは、主人公に特定のライバルがいないこと。その分、バレエという舞踊芸術の醍醐味とか、ソビエト連邦を舞台にしてる珍しさなどが、スパイスのように利いてます。全体が2部構成で、前半は比較的シ [続きを読む]
  • 「ない仕事」の作り方
  • みうらじゅんによるビジネス書(?)。誰にも認知されてないユニークな“価値”を見出し、キャッチーな形を与えて社会に普及させ、さらには“流行”へと仕立て上げる、具体的なノウハウが書いてある。ポイントは、見出した対象を「好きだ」と強く思い込むこと、そして信念を持って地道に粘り強く伝えていくこと。ページをめくるたび、ウケ狙いのギャグとしか思えない、何ともトホホな文言が散見される。しかし、著者が“仕事”とし [続きを読む]
  • 日本世間噺大系
  • 伊丹十三のエッセイ集。自分の内面や身辺についての妙に細かい観察とか、実話とも法螺ともつかないインタビュー(風)や座談会(風)、ペーソスあふれる掌編小説(風)などなど。内容も表現も多種多彩。深い教養をうかがわせつつ、下世話な庶民感覚にも通じてる、絶妙なバランスで読ませます。こんな文章、こんなネタ、こんなノリの雑文って、今では決して珍しくはないんだけど、“伊丹以前”には存在しなかったらしい。フォロワー [続きを読む]
  • イモータル・アイアンフィスト
  • 過去の作品を、現代的な価値観と現実的な設定でもって描き直す“リブート”という試み…その中でも良作と思われるシリーズ。アジアの秘境・崑崙で修行し、無敵の拳を身に着けたカンフーヒーローという骨子部分はそのままに、「アイアンフィスト」というヒーローは古来より存在する襲名制の“役職”であったり、崑崙が異次元にある7つの都市のひとつであるという、物語の世界観をグンと深める設定が付加されてます。それを表現する [続きを読む]
  • ヴィンランド・サガ(1〜18)
  • 11世紀の北欧を舞台にした歴史マンガ。偉大な戦士だった亡父の復讐に燃え、ヴァイキングとして修羅場に臨む少年トルフィンの成長を描く。凝った時代考証と、それを表現できる画力、そして壮大なスケール感が魅力です。レッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」が似合う、血と鉄のにおいがムンムンする冒険活劇。…なんて思って読んでたら、やがて主人公の内面が大きく変化し、平和や自由を希求する善人に。暴力に狂ってた過去を悔や [続きを読む]
  • 「ポスト真実」時代のネットニュースの読み方
  • 日経新聞の元記者が、ネット社会におけるニュースの読み解き方などを述べてる本。個人も組織も共通のプラットフォームで情報発信できるようになり、新聞やテレビなど旧来のマスメディアが、SNSや動画サイトやブログと同レベルで混在してる現在。各種ニュースをまとめて見られるネットのメディアは、多くが広告収入で運営されてるため、 を稼ぐべく“玉石混交”になりがち。それでも、情報の出処が公文書や新聞記事、学術 [続きを読む]
  • 子どもたちに語るヨーロッパ史
  • フランスの歴史家による、子供(中高生?)向けの本。前半は、ヨーロッパの歴史を、さまざまな“小ネタ”を織り交ぜながら解説。後半は、「中世」と呼ばれる時期について、Q&Aの対話形式で述べてる。ヨーロッパという地域は、ギリシアが文化の土台となり、古代ローマが版図の大枠を定め、そこにキリスト教とラテン語が広まってできたそうな。そんな環境から近代科学や自由思想が育まれた。一方で、十字軍遠征やアフリカ支配、ホ [続きを読む]
  • 三鬼
  • 怪談話のオムニバス「三島屋変調百物語」シリーズの4巻目。残酷な物語には切なさが、トボケた物語には哀愁が、中編4話それぞれに異なる趣があって読ませます。特に4話目「おくらさま」は、主人公の心境に変化が生じたり、主要なキャラクターに入れ替わりがあるなど、シリーズ全体の転機になりそう。次巻以降の展開が気になってしまい、著者の技巧にヤラれた感がw三鬼 三島屋変調百物語四之続posted with ヨメレバ宮部 みゆき [続きを読む]
  • ゴールデンカムイ(1〜9)
  • 明治末期の北海道を舞台にしたオタカラ争奪戦。物語自体はなかなかに陰惨で血なまぐさいんだけど、カラッと乾いていて、どこかトボケたような雰囲気が漂ってるところがユニーク。そのせいか、アイヌのグルメネタをはじめ、西部劇やサイコホラー、果ては「8時だョ!全員集合」まで、いろんな要素がテンコ盛りなのに、作品内で違和感なく溶け合ってる。大娯楽巨編なマンガです♪ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)poste [続きを読む]
  • すべての見えない光
  • どこか遠くから電波に乗って飛来する声や音楽を、雑音の中からすくい取るラジオ。ツマミをいじってると、ノイズが突然、耳慣れない異国語の歌に変わってビックリしたりして。このIT社会では古くさいのかも知れないけど、独特な感動を呼び起こす機械でもあると思う。そんなラジオでもって、ドラマチックな物語が展開するのが本書。第二次世界大戦が迫るヨーロッパに生きる、ドイツの孤児の少年と、フランスの盲目の少女。接点など [続きを読む]
  • プレイバック
  • こちらを見下そうとする尊大なクライアントを、鋭い皮肉でやり込めたい。拳銃を突き付けられたら、「あくびが出そうだ」と余裕カマしたい。大金の小切手をチラつかせられても、無関心に振る舞いたい。損得抜きで弱者の危機を救い、深く感謝されたい。リッチな美女から、「抱きしめて」なんて言われたい。…こんな願望を、フィリップ・マーロウは高いレベルでかなえやがるのです♪プレイバックposted with ヨメレバレイモンド チャ [続きを読む]
  • スペース金融道
  • SF版『ナニワ金融道』みたいな、宮内悠介の異色作。遠未来の植民惑星「二番街」を舞台に、「バクテリアだろうとエイリアンだろうと、返済さえしてくれるなら融資をする」という方針の惑星間企業「新生金融」の社員コンビが、「宇宙だろうと深海だろうと、核融合炉内だろうと零下190度の惑星だろうと取り立てる」というガッツでもって奔走する。物語の骨子からして面白そうなのに、実際の物語はさらにナナメ上。ガッツリとしたS [続きを読む]
  • 書楼弔堂 炎昼
  • 京極夏彦のオムニバス短編シリーズ第2弾。本が好きな人が、本が好きな人へ向けて書いてるような物語。本とは何なのか? 本を読むことで何が得られるのか? …そんなモロモロが、物語に織り込まれてる模様。舞台は明治時代だし、登場人物たちが直面してる問題も“明治的”なんだけど、ジェンダーだったりポピュラリティだったりオカルトだったり、何かと現代に通じてる。人間や社会の本質はなかなか変わらないものなんだろうし、 [続きを読む]
  • ヤマンタカ
  • 夢枕獏による、中里介山『大菩薩峠』のリブート作。薬売り時代の土方歳三が、「音無しの構え」を使う魔剣士・机龍之介との戦いを通し、剣客として成長していく物語。龍之介が虚無的な性格に育ち、恐るべき剣技を会得した、その背景に新設定が付与されており、それなりに説得力があって興味深い。真剣での立ち会いシーンは、読み手の痛覚に訴えるような、著者独特の生々しい迫力にあふれていて読ませます。殴り合いだけでなく、チャ [続きを読む]
  • 蜜蜂と遠雷
  • 恩田陸の音楽小説(?)。新人ピアニストの登竜門として知られる国際コンクールが舞台。異なる立場、異なる思惑、異なる才能を持ったコンテスタント男女4人、それぞれの挑戦を描く。ピアノが奏でる楽曲を文章で伝えようと、いろんな表現技法が駆使されていて、すっごく面白い。あの手この手の多様さは、夢枕獏の格闘シーンあたりに通じるかも。クラシック音楽業界の裏事情にも触れられてるけど、政治的・感情的ドロドロみたいな要 [続きを読む]
  • 夜行
  • 森見登美彦のオムニバス的な綺譚集。10年ぶりに集まった5人の男女が、奇妙な体験を語り合う。エピソードは多様だけど、失踪した女友達や、夭逝した銅版画家による連作「夜行」など、共通の背景がある。現実離れした怪異について、意味も理由も明示されなかったり。謎が謎を呼ぶ展開なのに、えらく唐突な幕切れが訪れたり。胸騒ぎを誘う不穏な気配が、物語全体を覆ってる。読後には、未消化なもどかしさというか、不条理感みたいな [続きを読む]
  • スローターハウス5
  • カート・ヴォネガットの自伝的SF小説(?)。時間の流れから解き放たれた主人公が、みずからの数奇にして陳腐な人生(戦場で猛爆撃に遭ったり、大富豪になったり、異星人に拉致されたり)を、冷めた目で俯瞰する。「そういうものだ」との言葉が全体に散りばめられ、諸行無常の諦念にあふれてる。シニカルでユーモラスで淡々としていてバカバカしい、なのにドップリひたってしまう。これまで何度も読み返してきたし、これから何度 [続きを読む]