TOBA さん プロフィール

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TOBAさん: TOBA-BLOG
ハンドル名TOBA さん
ブログタイトルTOBA-BLOG
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/toba2000
サイト紹介文オリジナルな世界で、文章書いてます。たまに、創作イラストもvv
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供87回 / 365日(平均1.7回/週) - 参加 2014/02/21 09:24

TOBA さんのブログ記事

  • 「水辺ノ夢」200
  • 早く。早く安全なところに逃げて。俺を待っていなくていいから。――迎えには、行けないんだよ。辺りはまだ、明るい。今なら、まだ・・・。圭は走り続ける。振り返らない。やがて、西一族の村へと入る。そのまま、家へとたどり着く。「とう!!」扉を開けると、すぐに真都葉が走り寄ってくる。「みて! ごはんしたの!」テーブルには、3人分の料理が並べられている。圭と真都葉と、・・・杏子の分。圭の様子に、真都葉は首を傾げ [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」199
  • 「こっちだ」圭は杏子の手を引く。道を選んでいるのか村人とは出会わない。「明るい時間に見ると、こうなのね」出歩くなと言われている杏子がやっと外に出られる。それが、こんなタイミングとは。「行こう」二人は山に入る。西一族が狩りで立ち入る事が多いため、狩り場に行くまでの道のりは人工の獣道が出来ている。分かれ道にさしかかる度圭は枝を折り、印を付ける。帰るときに困らないように、と。少し開けた場所に出る。そこか [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」198
  • その日。杏子は起きる。支度をする。自身の身支度をし、朝食を作る。真都葉のお昼ごはんも。その匂いで、真都葉が目を覚ます。「とう! あさだよ〜」真都葉はいつも通り、元気だ。自分で飛び起き、そのまま、母親のいる台所へと行く。「かあ、あさだよ〜」「おはよう、真都葉。ほら、卵焼きね」「あさだよ〜だまぉやきよ〜」「卵焼き、ね」杏子は笑う。真都葉は自分で着替えようと、奮闘している。杏子は食卓を準備する。料理を並 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」197
  • テーブルを挟んで3人。いつものように夕食を取る。僅かな肉に、野菜のスープ。真都葉は好物の豆ご飯を食べている。まだ危なっかしく、零すこともあるがスプーンを握り、一人で食べている。「上手になったでしょう」杏子が圭に言う。「そうだな」以前、どちらかが早く食べ終え真都葉に食べさせていた事が懐かしく思える。「まつば、じょうず?」真都葉が首を傾げる。そうよ、と杏子が笑い圭が頭を撫でる。「ごはん、おいしいね、  [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」196
  • 杏子は、真都葉の好きな食事を作る。真都葉を起こし、黒髪をなで髪をとかす。服を着せ、顔を洗い、食事を食べさせ一緒に本を読み、色紙を作り、真都葉がひとりで遊びだすと真都葉の服を縫う。真都葉が歌うと杏子も一緒に歌う。この小さな家で変わらない毎日。いつまでもいつまでも。真都葉は外を覗く。「かあ!」杏子も窓の外を見る。「いいてんきね!」「そうね」「おはなさんもわらってるね」「ええ」「むしさんもいるのかなー」 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」195
  • 「杏子はこういうのは 嫌いかもしれないけれど」圭は杏子の手を取り、刀の持ち方を教える。「持ち方は、こう」「こ、う?」「違う、利き手をこちらに 逆の手でそれを支えて」「難しい、のね」「しっかり握って。 手を離してしまわないように」もう、どうにかならないのか。そう思いながらも圭は事の段取りを整えている。着実に。「使い方を覚えておいて、 ……必要になる時が来るから」その言葉に杏子は圭を見る。「……」そし [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」194
  • 「真都葉」杏子は、真都葉を呼ぶ。真都葉は、おもちゃを持ったまま、杏子のもとへとやってくる。「かあ」「さあ、おもちゃはどこに片付けるか、わかるかしら?」「まつばしってるよー」真都葉は、おもちゃを箱へとしまう。「よく出来たわね」母親に褒められ、真都葉は笑顔になる。「では、次」「つぎなあにー」「真都葉のコップはどこでしょう」「わかるよー」真都葉は台所へと駆けていく。「かあ、こっち!」真都葉は台所の、上の [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」193
  • 誰かが外を歩いている。ふと、聞こえた足音に圭は顔を上げる。作業小屋には圭が一人。同じく小屋を使う村人は圭とは時間をずらしているはずだ。そうでなければ、今日の作業はここまでだな、と圭は様子を見る。小屋の扉が開く。「やはり、ここに居たのか圭。 探していたんだ」「………悟」そうかもしれない、ここ最近、圭は悟に会わないようにと過ごしてきた。「あれから、暫く経つが どうするつもりだ?」思っていた通りの問いか [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」192
  • 「お帰りなさい」戻って来た圭と真都葉を、杏子が迎える。「かあー!」真都葉はニコニコとして、圭から身を乗り出す。杏子は、真都葉を抱きかかえる。「病院はどうだった?」「せんせーにいろがみあげたのー」「そう」「せんせーよろこんでたのー」「よかったわね」杏子が笑う。「先生は、痛い痛いはしたの?」「してないよー」「あら、診察はしてないのかしら」「してないのかしら」真都葉は杏子の言葉を繰り返し、下へと降りる。 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」191
  • 「高子の所まで話が来ているのか」村人に疑心が広まっている。あれは脅し文句では無かった。もう、悟達を説得したら解決する話では無くなっているのかも知れない、と圭はため息をつく。「圭」高子が言う。「もしかして、 逃げることを考えている?」圭は否定もせずに高子を見つめる。「……考えているのね」「1つの手段だと思っている」現状では、圭にはなんのつても無いが。「おそらくあなた達は監視されているわ。 村の警備が [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」190
  • 「真都葉行くよ」また、数日経って。圭は、出かける準備をする。怪我の経過を見せに、真都葉を病院に連れて行くのだ。「真都葉、何か持っていくの?」「いろがみー!」真都葉は、手にいろいろと持っている。持っていくつもりなのだ。「まあ、そんなに」「せんせいにみせるのー」杏子は、真都葉にカバンを持たせる。「ほら、これに入れて。ね?」「うん!」圭は外を見る。日は落ちようとしている。辺りには誰もいない。「さあ、真都 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」189
  • 「圭!!」杏子の声に、圭は辺りを見回す。僅かな灯りに照らされているのは見慣れた寝室。「……え?」杏子が心配そうに覗き込んでくる。「うなされていたわ」は、と圭は短く息を吐き、首を振る。「うなされていた?俺が?」気が付けば全身に冷や汗をかいていて辺りが寒く感じる。「ええ、 悪い夢でも見た?」「何でもない。 真都葉は?」「大丈夫、寝ているわ」「そうか」圭は、寝ている真都葉を見つめる。自分のせいで起こして [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」188
  • 一羽の鳥がいる。・・・あれ?圭は首を傾げる。あの鳥は・・・。圭はその鳥に近付く。周りには何もない。木も草も、地面も、空も。不思議なほどに灰色の世界。けれども、圭は構わず進む。「・・・・・・!!」圭はその鳥を見て、息をのむ。「お前、まさか」真都葉が友だちと呼んでいた鳥。圭が殺した・・・鳥。鳥はただ、圭を見つめる。圭は恐る恐る近付き、鳥を見る。どこも怪我はしていない。「・・・よかった」安心感。これで、 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」187
  • 「あまり勝手な事をするな」村の中心部、広場の近くにある村長の家。その一室に村長、補佐役、そして悟が居る。「しばらく様子を見るつもりだったのだが」村長は詳しくは言わないがその場にいる皆が何の事を言っているのか分かっている。杏子の事。東一族に通じているかもしれない鳥。圭と杏子の間に生まれた子どもの事。「もうそんな時期は過ぎたと 俺は思っている」悟は答える。「もし、あの鳥が東一族に通じていたら、 これ以 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」186
  • 「杏子、雨よ!」云いながら扉を開け、沢子は洗濯物を取り込む。「沢子、ありがとう!」杏子と沢子は、洗濯物を中へとしまう。それが終わるころ、雨は本格的に降り出す。「助かったわ」「いいえ。ちょうど来たところだったから」「沢子、このタオルを使ってちょうだい。お茶を淹れるわね」「ありがとう」杏子が台所へ行く。代わりに真都葉がやってくる。「さわこ!」「真都葉、こんにちは」「ちは!」「あら?」沢子はかがんで、真 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」185
  • 「真都葉、お父さんが出かけるわよ」あれから一晩が過ぎる。杏子が声を掛けるが真都葉は顔を上げない。「……」それどころか、奥の部屋に駆け込んでいく。「真都葉」「いいよ、杏子。 いってきます」圭は、そのまま家を出る。いつもは一緒に食べている朝食も今日は椅子に座ることすら嫌がっていた。「完全に嫌われたな」あの鳥が東一族に通じていた訳では無い。圭も分かっている。偶然に居着いた、人に慣れた鳥だった。こんな暮ら [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」184
  • 日は傾いている。「わああぁああああ」「真都葉」杏子は真都葉を抱きしめる。「とりさんがぁ!!」杏子は、すでに閉じられた窓を見る。真都葉は、杏子の腕の中で泣き叫ぶ。圭は何も云わず、外へと出る。「とりさん! とりさん!」「真都葉・・・」杏子はそれ以上、何も云えない。そのまま、日は沈み夜が更ける。泣き疲れた真都葉を寝かせ、杏子は居間へと戻る。圭は、暖炉の前に腰かけている。「圭・・・」杏子は、その背中に声を [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」183
  • 仕事の帰り道。圭は夕暮れ時の道を一人歩く。あれから数日経つ。次に悟に会えば何を言われるのか、と避けるように行動しているが特に何かの催促はない。このまま、事が落ち着く様に祈る事しか出来ない。気もそぞろになるので仕事もはかどらない日が続いている。「……」1つため息をつく。もう自宅も近い、いつものように過ごさねば。ふと目を向けると真都葉が窓から顔を出している。「真都……」声を掛けようとして圭はそれを止め [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」182
  • 「かあ!」「真都葉!」家の中に入ってきた真都葉を、杏子は抱きしめる。「真都葉、大丈夫?」「これねー」真都葉は、腕を見せる。「いたかったの」「そう。痛かったの」「いたくないの」杏子は頷く。「まつばへいき!」杏子は微笑む。「よかったわ」圭は病院から持ち帰ってきた荷物をおろす。ふたりの様子を見守る。「いいにおい」「お腹が空いたのね」「かあ、ごはん?」「真都葉の好きなものがあるわよ」「まめ?」「そうよ」う [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」181
  • 「……圭?」杏子が振り返らないように圭は強く杏子を抱きしめる。不安な表情をしているであろう自分の顔を見られる訳にはいかない。「なにか、あったの?」「いや」杏子はまだ知らない。真都葉の怪我の本当の原因。悟の言葉。伝えるべきか圭は悩む。それでも、真都葉が帰ってくる事を喜ぶ杏子を落ち込ませるような事はしたくない。少なくとも今だけは。「本当に何でもないんだ」圭は離れて笑顔を見せる。「それじゃあ、 病院に戻 [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」180
  • 「悟・・・」「伝えることは伝えたぞ」「・・・・・・」つまりは、警告。東一族の杏子を棄てろ、と。圭は首を振る。歩き出す。悟は何も云わない。圭は悟の横を通り過ぎる。そのまま、歩く。振り返らない。圭の頭の中を、悟の言葉が繰り返される。村人の疑心。もしかしたらこれから、同じようなことが起きるかもしれない。誰かまた、別の人によって杏子や真都葉に、危害が及ぶかもしれない。このまま自分と杏子、真都葉の3人で静か [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」179
  • 悟の側に、猟犬の姿は見えない。が、圭は一瞬身構える。「昨日は驚かしてしまって 悪かったな」そうして、悟は荷物を差し出す。圭が畑に置いてきた物。届けてくれたらしい。「あ、あぁ」向かっていこうとしていた圭は混乱する。あの時とは態度がまるで違う。今まであまり接点がないにしろ悟は狩りに行かない圭を責めた事がない。それぞれに役割がある、と言って聞かせる方だった。だから、今回の件は驚いたし、圭にも油断があった [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」178
  • 高子が、真都葉の腕を見る。「ほら、真都葉」「これ、いたいんだよぅ」「ケガをしたら、痛いのは当たり前」高子は傷の消毒をする。「とう」真都葉は、圭にしがみつく。高子は真都葉の腕をとり、手早く処置をする。「はい、終わり」真都葉は、再度まかれた包帯を見る。「真都葉」真都葉は圭を見る。「ほら。痛いの治してもらうんだよ。なんて云うの」云われて、真都葉は高子を見る。「ありがとう」「どういたしまして」「まつば、お [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」177
  • 「……」日が傾きかけた頃、真都葉が目を覚ます。「おはよう真都葉」圭は声をかける。真都葉はいつもと違う天井を不思議そうに見回す。「とう?」視線を泳がせていた真都葉は自分の腕に巻かれた包帯に目を止める。「いたいよう」「真都葉っ!!」「わああああ、いたいよ」急に泣き出した真都葉を圭は抱き上げる。もう薬が切れたのだろうか、と慌てて高子を呼ぶ。「高子!!」「高子先生は他の患者さんを診てますよ」泣き声を聞きつ [続きを読む]
  • 「水辺ノ夢」176
  • 圭は案内された部屋へと入る。中で、真都葉がひとり、眠っている。「真都葉・・・」圭は真都葉に手を伸ばそうとする。が、やめる。そっと、ベットの横に坐る。真都葉は眠り続ける。「入るわよ」ノックと同時に、高子が入ってくる。「来たのね」「高子」圭は立ち上がり、頭を下げる。「ありがとう」「いいえ」高子が云う。「今は薬が効いて眠っているけど、しばらく痛がると思う」「そうか・・・」「今後、手の動きに問題はないと思 [続きを読む]