熊野まゆ さん プロフィール

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熊野まゆさん: くまの恋愛官能小説
ハンドル名熊野まゆ さん
ブログタイトルくまの恋愛官能小説
ブログURLhttp://kumano-novel.sblo.jp/
サイト紹介文糖度高めの恋愛官能小説ブログ
自由文つたない作品ばかりですがよろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供185回 / 365日(平均3.5回/週) - 参加 2014/04/10 11:18

熊野まゆ さんのブログ記事

  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章08
  •  街の大通りは公爵邸からすぐのところだ。ラティーシャはマティアスの隣を歩きながらビクビクとまわりをうかがっていた。 街行く人々に注目されているのは自意識過剰なわけではないと思う。 しかしいつもと違って、みな遠巻きだ。ふだんならば街へ使いに出るとすぐに「ご飯をおごるよ」だとか「いい店を知っているんだ」と声を掛けられるのだが、公爵が隣にいるおかげなのか、そうして話しかけられることはない。 初めはドキド [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章07
  • 「あの、着替えはけっこうです。私はすぐにおいとまいたしますので」 ラティーシャが女性の使用人に向かってそう言うと、「まあ、それは困りました……。私はご主人さまからラティーシャさまのお召し替えを言いつかっておりますので」 女性は困ったような笑みを浮かべるのだ。ラティーシャはしぶしぶドレスへと着替える。 神殿へ休暇を申請されてしまったラティーシャは戸惑うばかりだった。(なにをして過ごそう?) ラティー [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章06
  •  大声を出してしまったことの恥ずかしさが抜けきらない状態でいきなりそんなことを言われれば頭の中が沸騰する。公爵は美貌の面を少しも崩さず大真面目なのだ。(なぜ……? 会ったばかりなのに) ラティーシャは混乱して、無意識に首を横に振った。「わ……私は、巫女になりたいのです。巫女になることが、私の救いなんです。ですから……結婚はしません、だれとも」 愛なんて気まぐれだ。父のように、公爵だってすぐに飽きて [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章05
  •  ――暑い。 ああ、そうだ。シーツにくるまっているからだ。早く目覚めなければ。神殿の朝は早い――。 パチリと目を開けるとそこは見知らぬ天井だった。 暑くて寝苦しかったはずなのに、いまは開放感がある。 隣にだれかの気配を感じて、ゆっくりと横を向く。「おはよう」 爽やかな笑みは絶世だ。うまくできすぎた絵画のように造作の美しいシュバルツ公爵の顔がそこにある。(私……あのまま眠ってしまったんだわ) いま何 [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章04
  • 「……公爵さまは、ご兄弟はいらっしゃるのですか?」「いない。だからずっと妹が欲しかったんだ」 碧い瞳がチラリとこちらを見やる。ラティーシャはなぜかどきりとしてしまった。「こ、公爵さまは酔っておいでですから、あれですけど……よく知りもしない人間を邸に招き入れて介抱させるのは、いささか危険かと存じます」 妹が欲しかったから、という理由で邸に引き込まれたのはわかったが、それにしてもあまりに短絡的だ。ラテ [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章03
  • 「さあ、俺の部屋はこっちだ」「やっ、お待ちください。公爵さまはとてもお元気そうに見受けられます。私の介助なんて必要ないですよね」「元気そうに振舞っているだけで本当はいまにも倒れそうなんだ。さあ、早くこちらへ」 肩を抱かれそうになり、ラティーシャはザザッと後ずさった。「……そんなに、俺に触れられるのか嫌か?」「公爵さまに、というか……男性に触れられるのが、少し」 本当は『少し』どころではない。異性に [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章02
  •  ラティーシャはしばし逡巡したあと、「お家はどこですか。お送りいたします」 そう提言すると、男性はすぐ近くを指さした。彼が示した先にあるのは神殿にも負けず劣らずの広大な建物。(ここ、は……シュバルツ公爵邸だわ) かの公爵は神殿に多大な寄付金をもたらしてくれる。シュバルツ公爵には会ったことはないが、もしやこの男が――? ラティーシャはおそるおそる尋ねる。「……もしかして、マティアス・エルフォード、シ [続きを読む]
  • 秘されし、その甘やかな救済 第一章01
  •  見上げたヴォールト天井は背丈の何倍先にあるか知れない。遠くに見えるその穹窿には萌黄色の蔓薔薇とともに天の使いたちが描かれている。それは、見る者に神の存在を濃く印象づける――。 ノマーク神国の中枢、ユマノマク神殿の一角で、巫女見習いのラティーシャ・カトラーは巡礼者に護符を授けていた。「あなたに神のご加護があらんことを」 彼女がほほえむと、巡礼者は「ほぅっ」と感嘆した。その美しさにはだれもが息をのむ [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章07【完】
  •  彼はエリスの下半身でもたついていた衣服をすべて拭い去った。生まれたままの姿になったエリスに素早く視線を走らせたあとでジェラルドは彼女の脚を押し広げ、その中央に顔を寄せた。「すっかりふくらんで赤くなっているな」「は、んっ……!」 割れ目の奥に潜んでいた秘玉が熱い吐息になぶられてよけいに充血する。甘やかすつもりなら早くその肉粒に触れてくれればよいものを、ジェラルドはしげしげと観察するばかりで手も舌も [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章06
  • (また……ののしられるわ。たったこれだけの愛撫で、って) 控えめに乳首を舌でつつかれ、尻を撫でまわされている。ただそれだけだというのに、内奥から湧き出した蜜がすぐそこまできているのがわかる。エリスの両腕はがくがくと震えていた。 ふと愛撫がやんだ。ジェラルドはエリスの体を抱え上げるようにしてベッドへ横たえる。 エリスは上半身を淫らにさらしたままベッドに片肘をついて体を支えた。それをジェラルドが官能的 [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章05
  •  ジェラルドはガラにもなく薄くほほえみ、エリスの背に腕をまわした。編み上げの紐をするするとほどいていく。「せ、先生……っ! お水を飲んで酔いを覚ましたほうがいいです」 甘い言葉ばかりささやきかけてくるジェラルドにエリスは戸惑いを隠せない。こんな状態で肌を重ねてしまったらきっと――。 想像するだけで羞恥の炎が内側で燃え上がった。しかしエリスの意に反して、ジェラルドはドレスを乱していく手を一向に止めな [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章04
  • 「もうっ、しっかりしてください!」「んー……」 夜会がお開きになるころにはジェラルドはすっかり酩酊していた。 大きな体を何とか支えて彼を寝室へ促す。ジェラルドの足取りはおぼつかない。 なかば放り投げる勢いでベッドに寝かせる。(お水を飲ませたほうがいいわね) エリスは「うーん」とうなっているジェラルドにくるりと背を向けて歩き出す――はずだった。不意に手首をつかまれ、危うく転ぶところだった。「ちょっ、 [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章03
  •  すると急にダンスホールがざわついた。何事だろう、とエリスは皆が見ているのと同じほうを向く。(あ……!) 衆目を集めていたのはローゼンラウス侯爵夫妻だった。遅れてやってきた彼らに皆が注目している。 それもそのはず、正装した二人が並んでいるとそれだけで場が華やいだ。ジェラルドの兄フィース・アッカーソン、ローゼンラウス侯爵は地味な色合いのタキシードだったが、元の造作がよいためにその秀麗さをまったく押し [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章02
  •  光陰矢の如し、披露目の夜会はすぐにやってきた。 いままでレッスンをしてきたのは閑散としたダンスホール。それを見慣れていたせいか、人であふれかえっているいまはとてつもなく息が詰まる。「……あまり気負うな。べつに上手く振る舞えなくてもいい。俺は外聞は気にしない。そもそも俺自身、愛想がよくないからな」 ダンスホールに入るなり固まってしまったエリスをジェラルドがフォローした。「確かに先生は無愛想ですけど [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 終章01
  • 「もう一度お願いします」 伯爵邸内のダンスホールで、エリスは講師に向かって言った。彼女の鼻息は荒い。「で、ですが……。そろそろご休憩なさっては?」 ダンスレッスンの講師が苦笑する。本来なら彼がエリスにダンスを手ほどきするのは来週からのはずだっただが、エリスのたっての希望で前倒しになったのである。(上手になって、ぎゃふんと言わせてやるんだから!) ぎゃふんと言わせたい相手はジェラルドではなく彼の年老 [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第六章05
  •  声を真似ているとも思えない。あまりに自然な声音だ。「あなた、は……?」 いったい誰なの。なぜ、こんなにもそっくりなの。 向かい合うとまるで鏡を見ているようだった。背の高さまで同じなのだ。 自分ではない自分の目から涙がこぼれる。なぜ泣いているのだろう。 瞬きをして、改めて彼女を見ると――そこに自分の姿はなかった。 だが、よく知っている人だった。「リリアナ……?」 涙を流していてもその美しさは損なわ [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第六章04
  •  ガシャンッと小気味よい音がした。いや、ふだんならばガラスが割れる音は歓迎すべきものではない。こんな状況だからこそだ。「割れた……!」 ガラスにはこぶし大ほどの穴ができた。 初めからこうしていれば痛い思いをせずに済んだのに。(まあ、とにかく……これで部屋の中に入れる) 割り破いた穴から中へ手を差し入れてドアノブの鍵をひねり開ける。 泥棒にでもなった気分だ。ここが二階でなければガラス扉を割り破ること [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第六章03
  • 「あ、れ……っ?」 ガラス扉を開けようとノブをまわすものの、動かない。 内側から鍵が掛かっている。それもそうだ。いくら空き部屋だからといってバルコニーへ続く扉の鍵まで開けっ放しのはずかない。なにかの拍子に扉が開いてしまったら雨風が侵入して大変なことになる。 エリスはがくりとうなだれた。強風が肌と髪を撫でる。少し寒い。 自分とそっくりなあの女性は――やはりコレットなのだろうか。 もともと髪の色が似て [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第六章02
  • 「気持ちは嬉しいが、きみがエリスでない以上、極めて迷惑な好意だ」 ジェラルドは片手にメスを持ったまま女を壁際に追い詰める。「きみは、俺が先日解雇した使用人だろう。脅迫文と毒では飽き足らなかったのか。まだエリスに手を出すつもりならこの場で解剖するぞ」 ジェラルドが嗤う。「内臓はさぞ高く売れるだろうな」 それは医者とは似つかわしくない――さながら悪魔の笑みだった。「いったいどうなってるの!?」 声に出し [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第六章01
  •  ――中天にかかる満月が美しく空に映える夜。 伯爵邸に隣接する図書館に人影があった。女は何気なくそこを訪れただけだった。図書館の入り口は施錠されていたが、彼女がそこに立つとカチャリと音を立ててひとりでに鍵が開いた。 いぶかしみながらも女は中へ足を踏み入れる。入ってすぐのカウンターに羽の生えた熊の銅像があった。その瞳は萌黄色に妖しく光っている。『きみは僕の愛しいひとに名も姿もよく似てる。だから願いを [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第五章06
  •  シワが寄った眉間にキスを落として、目もとにも同じように口づける。エリスは目を細めてくすぐったそうにしている。可愛い。 彼女の唇には寄らず首すじに舌を這わせ、柔らかな肌を舐め下ろしていく。「ふ……」 エリスの、声にならない吐息が耳をかすめるとよけいに性欲が増す。このままいっきに押し倒していいようにしたいのを何とか抑えて、そっと彼女の体をベッドへ撫で付けて仰向けにした。 エリスはうっとりとした様子で [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第五章05
  •  エリスを脅迫し毒を盛った使用人は解雇状を突きつけられるなりすぐに荷物をまとめて屋敷を去ったとニーナに聞いた。突然の解雇にもかかわらず何の反発もなかったのはやはり思い至ること――後ろめたさがあったからだろう。「……なにをしている」 診察のためにエリスが寝泊まりしているゲストルームを訪ねると、当の彼女はベッドではなく窓際にいた。その手には雑巾らしきものが握られていて、窓ガラスを拭いているようだった。 [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第五章04
  • 『私を信用してください。過労で倒れちゃいますよ』 二年前、エリスに言われたこの一言は絶大だった。 彼女は何気なく言ったに違いない。何の意図も裏もなく、ただ純粋にそう思ったから出てきた言葉なのだろう。しかしそれゆえに心を揺さぶられた。他人など別個体のもので、信用ならないしどうでもいい存在なのだと決めつけて凍っていた心をエリスが溶かしてくれた。 それ以来、急速に彼女に惹かれた。エリスの面立ちは美しく実 [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第五章03
  • (早急に外鍵を増やさねば) いまの状態ではエリスがそうしようと思えば中から鍵を開けることができる。それではいけない。 いままでめまぐるしく働いていた彼女だ。部屋から出ることもできないとなればさぞ退屈するだろう。 しかしいまは、エリスを自由に出歩かせるわけにはいかない。体調のこともあるが、なによりも危険だからだ。 「きみだけが毒を盛られたのだ」とハッキリ告げてしまうほうがよかっただろうか。いや、それ [続きを読む]
  • 伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 第五章02
  •  吐き気とめまい。脈拍と体温の低下。唇のチアノーゼ。そして意識の混濁。 なぜもっと早く気がつかなかったのだろう。 エリスは子を宿しているのではない。いや、その可能性は捨てきれないが、とにかくいまエリスの身に起こり彼女を苛んでいるのは別の事象だ。 エリスは毒に侵されている。植物性の――主にきのこに多く由来するもので、すぐに死に至るような猛毒ではないが、処置が遅れれば神経系に後遺症を残すこともある。  [続きを読む]