八朔みかん さん プロフィール

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八朔みかんさん: Nikki Drop
ハンドル名八朔みかん さん
ブログタイトルNikki Drop
ブログURLhttp://nikkidrops.blog.fc2.com/
サイト紹介文オリジナルBL小説ブログ。医師×看護師 / 調理師×専門学校生 / 薬剤師×薬剤師 ※別サイトあり〼
自由文『非常階段の恋人』再開しました
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供49回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2014/04/14 08:47

八朔みかん さんのブログ記事

  • 非常階段の恋人 36
  •  その日の夜、ベッドに横になった礼音はクリーム色の天井を眺めながら呟いた。「抱きしめるってことは…… 俺に気があるってことなのかな?」 いやいや、あり得ない…… と否定すると、その理由をあげつらっていった。 まず、あれは自分を励ます行為で愛情表現とは違うだろう。以前花井にされたのと同じで、あの世代は こういった場合ハグするものなのかもしれない。 そして、自分に好意を持つ理由が皆目見当がつかない。あ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 35
  • 「彼は、ええっと…… 同性愛者だったの?」「いいえ」「じゃあ、昔からの知り合い?」「ぜんぜん」「それなのに よく思い切ったことをしたな、成り行きとはいえ」「俺、無謀なんです。こう見えて」「ある意味、男らしいというか……」「施設長さんだったらしませんよね、こんなバカなこと」 苦笑いする施設長を尻目に、礼音は質問を投げかけてみた。彼がゲイであるという確信はなかったけれど、これまで抱えていた疑問や悩みに [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 34
  •  花井に振られ、倫太郎と恋人関係を解消してから、礼音は今まで味わったことのない空虚感を覚えるようになった。学校にいる時やバイト中、友人たちと遊ぶときは気分が紛れたが、誰もいない部屋に帰って来ると それに孤独感が加わり、寝る時も明かりを灯し、テレビもつけっぱなしになった。――― 花井に告白したのも、倫太郎との関係を見直したのも自分の意思でやったことなのに 【後悔】と言う二文字が脳裏によぎる度に頭を振 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 33
  •  父親の葬儀後、倫太郎はしばらく実家にいた。その間、礼音の携帯に葬儀参列のお礼の電話があり、気遣いの言葉と喪主をやり遂げたことへの感嘆の弁を述べると『長男として当たり前のことをしただけ。でも、法要や相続、役所や保険の手続きとか分からないことばかりで頭を抱えている。しばらくは実家と学校を行き来しそうだ』 と言い、受話口の向こうで苦笑いをしていた。 また連絡する――― そう言い残して電話が切れた後、ぷ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 32
  •  倫太郎からの電話に礼音の鼓動は早鐘のように打ち始め、もたつく指先でタップした。「倫ちゃん、大丈夫なの?」 唇から出たのは、幼馴染をいたわる言葉。バスの車内にもかかわらず声が大きくなったが、興奮を抑えることが出来ない。「丁度、倫ちゃんにメールしてたところだったんだ。おじさん、大変なことになったね」『知っていたのか?』「母さんから電話があって。俺、なんて言ったらいいのか……」 諦めていた倫太郎からの [続きを読む]
  • 近況報告
  • おひさしぶりです、八朔みかんです。変な広告が出始めたのでここいらで近況報告を……ツイッターでも書いたんですが、一ケ月前に転職してから怒涛の日々を送っています。体も頭も四苦八苦していて小説を書く余裕がないので、話の続きはもう少しあとになりそうです。今しばらくお待ちくださいませ。 [続きを読む]
  • 今夜はスウィート&ビター 最終話
  •  風呂から上がると原が入れ違いに部屋を出て行き、残された岸田は置きっぱなしの段ボールの前に跪いた。箱の大きさの割に軽かったのが意外で、貼り付けられた伝票を見ると品名が【食料品】になっている。 同棲して約半年。その間 原の母親から荷物が送られてきたのは これで2度目。中身は肌着や靴下などの衣類、お歳暮でもらったようなカニ缶やハムや菓子類で、息子を想う母親の気持ちを目の当たりにした岸田は虚しい気分に陥っ [続きを読む]
  • 今夜はスウィート&ビター 4
  • 「これ、なに?」と怒ったように問われて固まる岸田。頭の中では最悪な状況を覆す妙案を考えたが、ここは素直に謝るしかないと観念すると声を震わせながら言った。「今日貰ったチョコレートの残りです。原さんに見せづらくて隠しました」「どうしてそんなことをしたの?」「それは……」「俺より数が多いと思って遠慮した?」「……」「そういうことをされた方が傷つくんだけど」「すみません」「君の方がモテるのは重々承知してい [続きを読む]
  • 今夜はスウィート&ビター 3
  •  在宅訪問を終えた岸田は帰宅を急いだ。予定ではもっと早く帰れたのに……と、イラつきながらバスから下車すると、両手に抱えたチョコレートを揺らしながら小走りにアパートへ向かう。 もしかしたら先に帰っているかも…… そう危惧しながら部屋に入れば中は真っ暗で、胸を撫で下ろした岸田は着替えるために納戸へ行き 重いコードを脱いだ。が、その時だ。ドア越しに玄関が開く音がして「ただいま〜」と声がしたのである。 岸 [続きを読む]
  • 今夜はスウィート&ビター 2
  •  巷はバレンタインデームード一色だが、患者はいつも通り病院を受診し、院外処方箋をもって薬局を訪れる。しかも、今日は朝から患者が途切れないため、岸田は昼休憩をずらして仕事に没頭した。 今日は投薬業務だったので、調剤から回って来た薬を監査したあと患者に服薬指導をして手渡す。患者の中には慢性疾患を抱えた人もいて顔なじみなのだが、そのうちの一人が大きな紙袋をカウンターに置いてこう言った。「今日はバレンタイ [続きを読む]
  • 今夜はスウィート&ビター 1
  •  デパートの特設会場の前に立った岸田怜は、ごくりと唾を飲み込んだ。バレンタインデーを数日後に控えてチョコレートを買い求めに来たのだが、女性たちの波に我が身を投じることに躊躇したのである。 今時、男性が自分の為、もしくは家族や知人にチョコレートを買い求めるのは珍しいことではなくなったが、やはり女性の聖域に足を踏み入れるのは至難の業。スーパーで板チョコを買ってブラウニーやフォンダンショコラを作ることも [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 31
  •  本当なら飛び上がるほど嬉しい話なのに――― と、礼音が やるせない気持ちになっていたら、花井の表情がだんだん険しくなってきた。「行きたくないなら別にいいけど」「そんなこと言ってません!」「ほんとかいな?」「ほんとですって。えっと…… 何か準備しておくものとかありますか? 例えば釣り竿とか餌とか」 「何もない。身一つで構わない」 返って来た返事がぶっきらぼうだったので、心を見透かされて焦った礼音は [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 30
  •  その後、花井は猛烈なスピードで翌日の仕込みを始めた。普段から手際よく仕事をこなしているが、今は早回しの様な動きで食材を揃え、カットし、昼食のメイン料理も調理する。 彼が失敗を取り戻している間、礼音たちも手助けをした。久賀は切込みの手伝いを、礼音は昼食の準備を一手に引き受けて厨房内を飛び回る。そして、レストランオープンの10分前に全てが完了すると、花井の顔に安堵の色が広がった。「なんとか終わった… [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 29
  • 「本当に申し訳ありません」と頭を下げたその脳裏に ある人物の面影が浮かんできた。この人には絶対知られたくない――― そう思った礼音は必死に訴えた。「このこと、施設長には黙っていてくれますか?」 これまでの言動や態度から施設長が花井に心を寄せているのを知っていた礼音は、彼の耳に入って気まずくなるのを恐れたのだが、何も知らない花井は それを快諾したあと礼音の肩を叩いて「明日またね」と言い残し車へ戻ってい [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 28
  •  礼音の告白を受けた花井は呆然と立ち尽くし、瞬きすらしなかった。何度か口を開け閉めさせたものの言葉を発するには至らず、しまいには溜息をついて唇を閉じた。 勢いで思いの丈をぶつけたものの、事の重大さに気づいた礼音は深く後悔した。――― 俺ってバカだ、受け入れられるはずなんてないのに 告白を撤回したくても後の祭りで、ならば冗談にすり替えてしまおうと無理やり笑顔を作ろうとした矢先、花井が真剣な面持ちで [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 27
  •  部屋に行くことを断った花井は礼音を とある場所へ連れて行った。そこは施設の非常階段。「あんまり大きな声では しゃべれないけど」そう言いながら煙草を取り出し、そのうちの一本を礼音に差し出す。「吸う?」 一瞬きょとんとなる礼音だったが、苦笑いしながら丁重に断った。「遠慮しなくていいのに」「そういうわけじゃないんです」 相変わらず、花井は自分が喫煙すると勘違いしたままだが、訂正するつもりは今はない。そう [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 26
  •  一歩、二歩と近づく花井の顔は無表情だが全身から放たれる威圧感が半端なく、礼音と倫太郎は硬直した。しかし、礼音は身を挺して倫太郎の前に立ちはだかると こう叫んだ。「すみません!こいつ、頭に血がのぼると見境がなくなるんです。本人も反省してるんで勘弁してやってください!」 だが、花井の視線は後ろの倫太郎を捉えたままで、礼音はさらに言い募った。「こんな行動に出たのは俺のせいなんです。どうか俺に免じて許し [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 25
  •  返って来た言葉に苦渋の色が滲んでいるのを感じた礼音は、すぐさま頭を下げた。「すみません、立ち入ったことを聞いて」「まあ、色々あったってことさ」 至極プライベートな部分に干渉して反省した礼音は 以後口数が少なくなったが、頭の中では離婚の憶測がぐるぐる回っていた。性格の不一致、浮気、DV、金銭問題――― 人生経験の浅い自分には このくらいしか思いつかないが、浮気できるほど器用じゃないし、ぶっきらぼうだけ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 24
  • 「幼馴染と付き合うなら、それなりの覚悟が必要っていうのは施設長さんと同意見なんだ。俺、何にも考えず心の赴くままに行動していました」「まあ、人それぞれだからね。とにかく、自分の気持ちに正直になるよりほかないよ。恋愛って なるようにしかならないから。そうだろう、施設長?」 すると、二人の話を黙って聞いていた施設長が「そうだな」と頷いた。「中原君が一番幸せになる方法を選べばいい。その時は良心の呵責に苛ま [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 23
  •   それからしばらく経ったのち、花井が二人の前に現れた。白のコットンシャツにジーンズというラフなスタイルの彼は、厨房では見せない屈託のない笑みを浮かべながらこう言った。「悪い、邪魔しに来た」「とんでもない。チーフが来るのを待っていたんですよ」 すると、花井は「差し入れ」と言ってビニール袋を2つ差し出した。「戦利品。明日が食べ頃だから」『戦利品? 食べ頃?』と礼音は首を捻ったが、施設長は慣れた様子で [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 22
  •   倫太郎との関係をどうするのか一人で決めかねた礼音は、誰かに相談したいと思うようになった。そんな中、一人の人物の顔が脳裏をよぎる。『困ったことがあったら相談に乗るから いつでも連絡してね』 彼なら親身になって聞いてくれるかも――― そう思った礼音は、悩みに悩んだ末に施設長にLINEを送った。「仕事以外の事なんですが……」と前置きすると、時間を置かずして返事が返って来た。『どんな話なの?』「今、付き合 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 21
  •   一ケ月前と言ったら、倫太郎と喧嘩別れした頃。もし、倫太郎の身辺に別の女の存在がなければ原因は自分で、動揺した礼音はこう言って誤魔化した。「俺ら、女の話ってしないから」『林君が女の子と一緒にいるところ、見たことない?』「最近会ってないから わからない」 すると、申し訳なさそうな声が受話口から聞こえてた。『本当に悪いんだけど、それとなく聞いてもらえないかな? 好きな人がいるかどうか』「俺が!?」『 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 20
  • ――― あいつがそんなことを言ってたなんて…… 池田から話を聞いた礼音は思わず倫太郎の方を見たが、トイレにでも行ったのか姿が見えない。「その話、いつ頃してた?」「えっと、二カ月くらい前かな」 それだと喧嘩する前なので今の心境を推し量ることはできないが、倫太郎に対するしこりが幾分溶けたような気がした。 その後、話題は礼音のバイトのことに移って、池田から根掘り葉掘り聞かれた。「厨房のバイトってどんな感 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 19
  •   あの飲み会のあと、礼音はいっそう花井のことを想うようになった。施設長との訳ありな会話が何度も頭をリフレインしては想像を膨らませたり、妄想に耽ったり。そして、今日も学校帰りのエレベーターの中で悶々としていたら、途中ドアが開いて なんと倫太郎が乗り込んで来た。しかも、例の女の子と一緒で、この時ばかりは礼音の頭から花井の存在が消えた。実は、倫太郎の顔を見るのは、喧嘩別れして以来。本来なら倫太郎とコン [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 18
  •   しかし、施設長は話しを止めず、酒で赤らんだ顔を花井に向けると「なあ 一眞(かずま)」と呼びかけた。「俺の本音を聞いてくれないか?」「何だよ、改まって」「ずっと思っていたんだけど、厨房を辞めるって話…… あれ考え直してほしい」「『どうしようか迷っている』と言っただけなのに」「確かに、お前があそこに留まる理由はなくなった。なくなったけれど、今では なくてはならない存在で退職されたら困るんだ」「そう言 [続きを読む]