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D・エリザベスの中学生胸キュン物語 https://plaza.rakuten.co.jp/delizabeth

チビでノロマ、泣き虫…そんなDがサッカー部1年生GKに告白された?!嬉し恥ずかし青春恋愛友情物語

私、D・エリザベス、中1女子。 勉強も部活も出来て、 背が高くて優しくて… そんなトクちゃんがなんで私を? 『恋の三角関係』『中学生のキス?』 『中間テストを中止しろ』 『ミス四つ葉』毎日の学校生活はハチャメチャ

D・エリザベス
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2014/05/08

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  • 彼氏はサンタクロース 84 不思議な冬休み

    渋い煎茶色の着物の おばあさん、 近づいてみると 私より背が低く 小柄だった。 「オハルばーさん、 Dちゃんを 連れてきましたよ」 オハルばーさん? アオイ先輩のお父さんは おばあさんを見て

  • 彼氏はサンタクロース 83 不思議な冬休み

    時代劇の武家屋敷に 出て来るような木戸が 開くと和服姿の小さな おばあさんが出てきた。 「あぁ…やっぱり 待ち構えてたな…」 アオイ先輩のお父さんの 苦笑い…嫌な予感しか しないんですけど! 渋

  • 彼氏はサンタクロース 82 不思議な冬休み

    アオイ邸に あっという間に到着。 海からの帰り道、 田んぼが広がる だるまや文具からの 長い坂道。 たくさんの車が 走り抜ける いつもの国道。 いつも渡っている 思い出がたくさんある 歩道橋。

  • 彼氏はサンタクロース 81 不思議な冬休み

    車内に入ると 異様に暖かく 感じられた。 冷たい海の風に 鍛えられて 私の頬は 氷のように冷たく 板氷のように 固くなっている。 アオイ先輩のお父さんは 運転席の方へ回り込む。 途中、 海から吹

  • 彼氏はサンタクロース 80 不思議な冬休み

    「ちょっと 外の空気吸う?」 「あ… はい…」 車のドアを開けようと ドアノブに手をかけ 乗り出すと 「あ、待って」 素早くアオイ先輩のお父さんが 先に外に出る。 冷たくて 凶暴な冬の海風

  • 彼氏はサンタクロース 79 不思議な冬休み

    ヒトは いくつになっても 恋愛する もんなんだ。 女の子も… 男の子も… 結婚してても… 結婚した後でも… おばあさんでも… おじいさんでも… ヒトによるのかしら? でも… もし… 私のお母さんが? 私

  • 彼氏はサンタクロース 78 不思議な冬休み

    「アオイ先輩、 それ聞いてなんて?」 灰色の冬の荒波の中に 何人かのサーファーが 等間隔に挑んでいるのが 車窓から見える。 アオイ先輩のお父さんは それを横目に眺めながら 真っ直ぐな海岸線にそっ

  • 彼氏はサンタクロース 77 不思議な冬休み

    「ソウタがね… 女の子の話するの めずらしくてね…」 冬の荒々しい波が 海岸に打ち寄せるのを 横目にアオイ先輩のお父さんが ポツリと話し出す。 「Dちゃんの話を するんだ… 夏休み明け頃かな…

  • 彼氏はサンタクロース 76 不思議な冬休み

    「私が『応援する』って どういう意味です?」 私は アオイ先輩のお父さんが 握るハンドルを 見つめたまま話す。 何だかその先を聞くのが 怖いけれど…。 「うん… 僕とサキコさんの仲を 応援して

  • 彼氏はサンタクロース 75 不思議な冬休み

    「今度は Dちゃんの話 聞きたい!」 アオイ先輩のお父さんの声が弾む。 「は?」 「食事会の時に まるでユズルくんとDちゃんの 『婚約発表会見』みたいに なっちゃってたよね? あれ、

  • 彼氏はサンタクロース 74 不思議な冬休み

    「あのぉ… トクちゃんと 会ったのは… 少年サッカーのコーチ だった…とか?」 アオイ先輩のお父さんの 勢いに飲み込まれそう… もう少し雰囲気を変えたい。 「あ…あぁ… そうそう! レストラ

  • 彼氏はサンタクロース 73 不思議な冬休み

    車内の暖房の効きが悪くて助かる。 少しばかり寒いくらいが 緊張で火照った身体に ちょうどいい。 「僕はね、 『アオイ造園』の社長だった じいさんに反抗して 若い時… 家を飛び出したんだ」

  • 彼氏はサンタクロース 72 不思議な冬休み

    交差点の赤信号… グヅングヅンという エンジン音と振動だけが 車内に響いている。 「Dちゃんを うちのゴタゴタに 巻き込んでしまって 申し訳ないと 思ってる…」 アオイ先輩のお父さんの声が

  • 彼氏はサンタクロース 71 不思議な冬休み

    「この車、 古くて乗り心地 悪いでしょ? ごめんね」 ゔうっ!! 方向指示器が 古めかしい音と 感じてたのがバレたか? 「そっ!そんな事… ないです…」 慌てて返事して 余計に怪しい私。

  • 彼氏はサンタクロース 70 不思議な冬休み

    アオイ先輩のお父さんの コロンとした黄色い車は 少しだけくすぶったような エンジン音を上げて 出発した。 「ごめんねぇ… 遅くなっちゃって… この辺の住宅街って どこの曲がり角も 同じに見えて

  • 彼氏はサンタクロース 69 不思議な冬休み

    「Ⅾ、まだ、 迎え来ないの?」 玄関先から母親が出てきた。 私と母親は 多分、そこから アオイ先輩のお父さんが やってくるであろう 道の角を見つめる。 「うん…」 「やっぱり お母さんが

  • 彼氏はサンタクロース 68 もうすぐ冬休み

    ブルゾンのお守り。 それは… お食事会の夜、 タクシーで家まで 送ってもらった時に さかのぼる。 「ありがとうございました」 タクシーの後部ドアが開くと ドア側のトクちゃんが 一度、外に出る

  • 彼氏はサンタクロース 67 不思議な冬休み

    とうとう冬休みが始まった。 私は身支度を整えて 玄関先に立っている。 な、な、なんと! アオイ先輩のお父さんが 私を迎えに来てくれる事に なっている。 おかしくね? 昨晩、おじいさんから 電話

  • 彼氏はサンタクロース 66 もうすぐ冬休み

    「俺、お袋の顔、 当たり前だけどさ、 憶えてねぇんだよね…」 アオイ先輩は もう一度 タクシーの窓の外を見やる。 吐息で窓ガラスが曇った。 そっか… そうだよね…。 トクちゃんも お父さんの顔

  • 彼氏はサンタクロース 65 もうすぐ冬休み

    私たちを乗せたタクシーは いつもの通学路に やってくる。 いつも通る国道なのに 違う道に見えてしまう。 「あの… アオイ先輩のお父さんって お仕事何してるんです?」 雰囲気を変えるのだ!

  • 彼氏はサンタクロース 64 もうすぐ冬休み

    「ほんっと! 勝手だよな… 俺らの親って…」 アオイ先輩が ポツリともらすと 吐息だか?ため息だか?が タクシーの窓ガラスを 曇らせる。 曇ったガラスの向こうに 街路樹のクリスマスイルミネーショ

  • 彼氏はサンタクロース 63 もうすぐ冬休み

    帰りのタクシーの中。 後部座席に アオイ先輩、 真ん中に私、 乗り込んだドア側に トクちゃん。 アオイ先輩は 外に出る時に 紺色の羽織を羽織って ますます、 その格好が 様になっている。 …が、

  • 彼氏はサンタクロース 62 もうすぐ冬休み

    「あ…」 トクちゃんのお母さんは 私と目が合うと微笑む。 まるで薔薇のつぼみが パアッと開くように 輝いて見える。 目元や鼻筋が トクちゃんと そっくり…。 私が カメラのシャッターを 切られる瞬

  • 彼氏はサンタクロース 61 もうすぐ冬休み

    お食事会が終わった。 お造りの後に続いた 焼き物、揚げ物、 美味しくいただいた。 でも、緊張して あまり記憶にない。 残念…。 食事の最後に出てきた イチゴがとっても甘くて 少しだけ気持ちが和んだ

  • 彼氏はサンタクロース 60 もうすぐ冬休み

    私とトクちゃん 一緒の家になるの?? あ…それから アオイ先輩もか…。 「お前… 俺と一緒の家っての 忘れてたろ?」 アオイ先輩が やぶにらみに にらんでくる。 ドキッ!! 「はあ… すっ

  • 彼氏はサンタクロース 59 もうすぐ冬休み

    ビックリして 口に運ぼうとした お刺身のマグロを 落っことしそうになる。 それは隣にいる トクちゃんも 同じらしかった。 「は? 親父、いきなり 何言ってんの? トクちゃんたちと 俺ら、一

  • 彼氏はサンタクロース 58 もうすぐ冬休み

    ふわりと 香水の香りが 広がる。 デパート一階の香りだ。 トクちゃんのお母さんから 香り立つ香水の香りだ。 「あのっ…」 トクちゃんのお母さんが 何か話し始めようとした。 「サキコさんっ、

  • 彼氏はサンタクロース 57 もうすぐ冬休み

    気持ちがあふれてくると 涙も一緒になる。 歪んだ視界に 横からハンカチが 差し出される。 トクちゃんが 泣きそうになる 私に気づいてくれたようだ。 「ごめん…」 本当は 涙と一緒に出てきた 鼻

  • 彼氏はサンタクロース 56 もうすぐ冬休み

    私とトクちゃんの 瞳にはお互いの顔が 映っている。 そこから 上座のおじいさん、 その向かいの アオイ先輩のお父さん、 トクちゃんのお母さん、 アオイ先輩の方へ 視線を移す。 「私、 トクちゃん

  • 彼氏はサンタクロース 55 もうすぐ冬休み

    「部活の時に 見惚れちゃってたのは 本当です…」 えっ?? トクちゃん、 そんな昔の話… って言っても 1学期の初めの話だけど… 始めちゃうの? 「初めは 全校朝礼や 学年集会の時に 6組に

  • 彼氏はサンタクロース 54 もうすぐ冬休み

    私がムキになるのに アオイ先輩が ケラケラ笑う。 「初めに ちょっかい出したのは トクちゃんの方だよ」 アオイ先輩… ナイスフォロー! え? ちょっかい? 出した? 何か、聞こえが 悪うござ

  • 彼氏はサンタクロース 53 もうすぐ冬休み

    迷い箸は行儀が悪い! 母親から そう言われていたのを 思い出す。 鴨肉の旨みを 噛みしめながら 次に何を食べようかな? と雪山を模した 白いお皿の上を 眺めていると ふと斜め正面からの 視線に気づ

  • 彼氏はサンタクロース 52 もうすぐ冬休み

    「とりあえず 食事を楽しもう」 おじいさんが 運ばれてきた お料理を前に 手を合わせる。 「今日は お茶事の懐石料理とは 少し趣向を変えておるから 作法は気にせず、 気楽に食べなさい」

  • 彼氏はサンタクロース 51 もうすぐ冬休み

    トクダ親子に 見惚れていて 時間が止まっていたのは 私だけだった。 気が付くと おじいさんを始め、 アオイ先輩のお父さんも アオイ先輩も トクちゃんのお母さんも トクちゃんも 私の顔をジッと見ている

  • 彼氏はサンタクロース 50 もうすぐ冬休み

    ビリビリッ! 身体に電気が 走ったかと思った。 『トクダ サキコ』さん。 トクちゃんの『ママ』。 真っ赤なワンピースに 大きな真珠のイヤリング。 髪の毛は ロングのソバージュパーマ。 輝く笑顔のルージュは ワ

  • 彼氏はサンタクロース 49 もうすぐ冬休み

    「さあ、Ⅾさん。 緊張しておられるようだが 紹介を始めるぞ」 おじいさんの声で 私はハッとする。 そうだ! 恥ずかしがってる 場合じゃない。 「Ⅾさんは もうとっくに 知っとるじゃろが 改めて紹介する

  • 彼氏はサンタクロース 48 もうすぐ冬休み

    アオイ先輩のお父さんは アオイ先輩に 自分の席を 目で合図して 確認を取る。 「サキコさん、 どうぞ。 どうやら、 僕らが一番最後に なってしまったらしい」 サキコさん?? 心臓が制服の

  • 彼氏はサンタクロース 47 もうすぐ冬休み

    正座した背筋が ピンと伸びる。 トクちゃんの横顔を見ると トクちゃんの表情も キリっとしている。 「遅くなりました」 男の人の声。 これはきっと アオイ先輩の お父さんの声だ。 背後の 金色の

  • 彼氏はサンタクロース 46 もうすぐ冬休み

    「申し訳ないね… うちのゴタゴタに 巻き込んでしまって」 一息ついた おじいさんが しょんぼりとした声を 出すので 私は首を横に振る。 「そんな事っ… ないです…」 首を振った反動で あごの

  • 彼氏はサンタクロース 45 もうすぐ冬休み

    「こっ、こんばんわ」 私の声は 緊張と驚きで 上ずった。 「おう、 来たな… あれ?Ⅾ、お前、 あご、どしたの?」 和服姿のアオイ先輩?!が ニヤリとする。 「こっ、これは 部活の時に ヘッドスライデ

  • 彼氏はサンタクロース 44 もうすぐ冬休み

    金色のふすまの奥から 聴こえるおじいさんの声。 グッと緊張の汗が噴き出す。 「失礼します」 トクちゃんが 先に踏み込む。 それに私も続く。 あぁぁ、 緊張で心臓が破裂しそう。 部屋の中は

  • 彼氏はサンタクロース 43 もうすぐ冬休み

    建物の中に 軒先がある? その部屋は 離れになっていて 特別な部屋なのだと すぐわかった。 仲居さんは 渡り橋の先の 飛び石を なれた足取りで進んで 私とトクちゃんを 案内する。 「お連れの方が

  • 彼氏はサンタクロース 42 もうすぐ冬休み

    きっと この感動は 忘れない。 時代劇映画の セットにでも 迷い込んだよう… いやいや、 映画のセットじゃないわ。 タイムスリップで 明治時代に やってきたみたい。 和服姿の仲居さんの後に つ

  • 彼氏はサンタクロース 41 もうすぐ冬休み

    「いらっしゃいませ。 お待ちしておりました。 どうぞ、お上がりください」 仲居さんは 三つ指を立てて お辞儀した。 「失礼します」 緊張気味の 私とトクちゃんは 靴を脱いで 上がりかまちへ

  • 彼氏はサンタクロース 40 もうすぐ冬休み

    冬の夕暮れの風が 足元を吹き抜けると タイツを履いてない 膝っこぞうが キリキリと痛い。 その冷たさのせいか? 一歩踏み出せず 立ち止まったままで 料亭「今之浦」の 看板を見つめるだけ しかできない

  • 彼氏はサンタクロース 39 もうすぐ冬休み

    陽気なタクシーの おじさんのおかげか? はたまた、 トクちゃんの話術? のおかげか? 緊張している暇もなく あっという間に 料亭まで到着した。 トクちゃんは ポケットから 乗車料金を 支払うと 丁寧

  • 彼氏はサンタクロース 38 もうすぐ冬休み

    玄関先で見送りを してくれる母親に 手を振ると タクシーは 進みだす。 「今どきの子は タクシーでデートなんざ、 おませだねぇ! その子 お前さんのカノジョ?」 タクシーのおじさんは ルー

  • 彼氏はサンタクロース 37 もうすぐ冬休み

    母親は まだ私に 「汁椀を持つ時は…」 「ナプキンの使い方は…」 とブツブツ言っていたけれど 私の気分は食事のマナー どころじゃなく、 トクちゃんのお母さんは どんな人なんだろう? アオイ先輩のお父さん

  • 彼氏はサンタクロース 36 もうすぐ冬休み

    玄関まで 忙しなく 駆け込むと 母親とトクちゃんが 話していた。 「あ、 Ⅾちゃん…」 「トクちゃん、 お待たせっ!」 「Ⅾ、ハンカチ持った?」 母親が 差し出すハンカチを 受け取る。 私

  • 彼氏はサンタクロース 35 もうすぐ冬休み

    家に帰ると 私のあごの傷に 母親が悲鳴を上げる。 前は目に ボールを当てて お岩さんみたいに 目の上が腫れたけれど 今度はあご?!って 叱られる。 「そんな顔で…」 呆れたようだけれど、 気持ち

  • 彼氏はサンタクロース 34 もうすぐ冬休み

    不覚…。 やっぱり 張り切り過ぎたら ドジをする。 「…」 校門の角で 出くわしたトクちゃんは 絶句。 「まったく ドン臭いな。 大事な食事会の日に 顔にケガすんだぜ」 カホがケラケラ笑

  • 彼氏はサンタクロース 32 もうすぐ冬休み

    「ナイスファイトッ!!」 ソフトボール部員の 声がグラウンドに響く。 「残念!Ⅾ、アウト!」 キャッチャー、サリの 声もグラウンドに響く。 やっぱり こうなるんだよね…私。 一塁ベースに 懸命

  • 彼氏はサンタクロース 32 もうすぐ冬休み

    守備で 失敗したので 攻撃では 挽回したいっ! なんて 張り切ったのが 良くなかった。 紅白戦形式で 左バッターボックスに 立った私は マウンドのカホが ウインドミルで 腕を回転させる タイミング

  • 彼氏はサンタクロース 31 もうすぐ冬休み

    土曜日の午後の 部活動は 平日と比べて長い。 4時間もある。 女子ソフトボール部 顧問のシオカワ先生の 指導も平日よりさらに 厳しくなるわけで…。 ノックしてくる打球が 右へ左へ襲い掛かってくる。

  • 彼氏はサンタクロース 30 もうすぐ冬休み

    お食事会の日が やってきてしまった…。 授業も部活も ソワソワ… 上の空。 「Ⅾ、Ⅾ…おい、 当てられてっぞ」 英語の授業中に 日本語訳を 当てられてたようで 隣に座る男子に 腕をつつかれて ハッ

  • 彼氏はサンタクロース 29 もうすぐ冬休み

    「土曜日の 食事会な… トクちゃんが タクシーで迎えに 行くから家で待っとけ」 アオイ先輩は それだけ言って 教室に戻っていった。 もう気持ちが テストから 食事会に シフトチェンジ して

  • 彼氏はサンタクロース 28 もうすぐ冬休み

    昼休みの中庭。 でも… 最近はさすがに 冷たい木枯らしが タイツを 履いてない 素足には 刺さるようで 痛い。 「寒みぃ…」 基本的に カホは薄着だ。 「なんで 学校指定の カーディガンを

  • 彼氏はサンタクロース 27 もうすぐ冬休み

    「僕は 素直に なれなくて…」 トクちゃんが 机の隅にある マグカップを 手に取る。 母親が 淹れてくれた ミルクココア とっくに 冷めているだろう。 「何か あったの?」 私は トクち

  • 彼氏はサンタクロース 26 もうすぐ冬休み

    期末テスト って大変!! 範囲も広い。 「Ⅾちゃん、 僕の予想、 ここ、この問題、 絶対、出るよ」 トクちゃんと うちの客間で 勉強してる。 四畳半の 和室なんだけど 一応、床の間と 違

  • 彼氏はサンタクロース 25 もうすぐ冬休み

    国道に続く まっすぐな 長い長い 下り坂。 テスト期間中で 部活はなく 一斉下校の中。 私とトクちゃん、 カホとスズキで 歩いている。 タカギくんと シライさんは アオイ先輩を 連行して?? 一

  • 彼氏はサンタクロース 24 もうすぐ冬休み

    一年生に 責められる 三年生の図? 自分の立場を わすれて 妙な 組み合わせに 笑えてくる。 「内申点は 気にして おられない ようですが アオイ先輩だって テストは 受けるんでしょ?

  • 彼氏はサンタクロース 23 もうすぐ冬休み

    「このチャンス、 きちんと 勉強したいと 思いますっ!」 思わず 声に力が入った。 私の気合いが アオイ先輩に 届いたか? 「何だか 面白くなって きやがったなっ」 アオイ先輩の わ

  • 彼氏はサンタクロース 22 もうすぐ冬休み

    「悪かったな…」 昼休み、 中庭の大きな ツツジの木の前、 アオイ先輩が ポツリと言う。 「いつから 知ってたんです?」 私は責める口調になった。 「いやぁ… じいさんが やたらにDの事 朝めしはパンか

  • 彼氏はサンタクロース 21 もうすぐ冬休み

    「お姉ぇちゃーん! トクちゃん、 待ってるよぉ!」 次の朝、 父親に言われて 新聞を玄関先に 取りに行った 弟がトクちゃんと 会ったらしい。 「ちょっと! そんな大声 出さなくても いい

  • 彼氏はサンタクロース 20 もうすぐ冬休み

    お酒が 入って 上機嫌の父は アオイさん家族との お食事会に 私が招待されている事を 言うと二つ返事で 「行ってこい」と言った。 気楽だな…。 トクちゃん親子も 一緒なんだけれど そこまで 説明す

  • 彼氏はサンタクロース 19 もうすぐ冬休み

    父親が 晩酌を 始め出したので 部屋を出る。 台所で 酒の肴を 準備している 母親に愚痴を 言ってみる事にする。 「お母さん、 私がアオイさん家に 行く話聞いてるでしょ?」 「はいはい、

  • 彼氏はサンタクロース 18 もうすぐ冬休み

    わっ?わっ? 私が?! アオイさん家で 茶道の修行?! 「ええぇっ?! なんで お父さん? アオイさんの おじいさんと 知り合いなのっ?!」 私は ソファから 立ち上がる。 部活帰りの

  • 彼氏はサンタクロース 17 もうすぐ冬休み

    リビングのソファ、 いつもの指定席に 父親が ドカッと座る。 恐る恐る その向かいに 座る。 「今日は 帰ってくるの 早いんだね」 「ああ、 ちょっと 急ぎで お前の返事 聞かなあか

  • 彼氏はサンタクロース 16 もうすぐ冬休み

    トクちゃんは 最後まで 申し訳なさそうにして 帰っていった。 私だって ご要望に 応えたいけれど、 トクちゃんと アオイ先輩の 家族の中に 割って入るのは いかがなものか? と悩む。 それに 食事

  • 彼氏はサンタクロース 15 もうすぐ冬休み

    「お父さん、 最初から 僕ん家には いないんだ。 僕、 お父さん、 知らないんだ」 いきなり トクちゃんが 秘密を明かすから どう反応していいのか? 「え…そ、そうなの」 「ごめんっ

  • 彼氏はサンタクロース 14 もうすぐ冬休み

    歩道橋を降りた後の 私とトクちゃんの 足取りはゆっくりだ。 トクちゃんの 複雑な思いを 思うと、 どう声を かければいいやら…。 家の近くの コンビニまで やってきた時、 トクちゃんが 口を開く。

  • 彼氏はサンタクロース 13 もうすぐ冬休み

    すっかり 日が暮れ、 辺りが薄暗く、 ラベンダー色だった空が 濃くなってきた。 「もう遅いから 解散しよう!」 タカギくんが 解散宣言する。 「なんで お前が 仕切ってんだよ?」 カホが

  • 彼氏はサンタクロース 12 もうすぐ冬休み

    「アオイさんが 今度の食事会 Ⅾちゃんも呼べって… おじいさんに 気に入られてるし、 お母さんにも Ⅾちゃんの話、 よくしてるから 緩和剤になるって」 トクちゃんは ショボショボに し

  • 彼氏はサンタクロース 11 もうすぐ冬休み

    国道をまたぐ 歩道橋の上に 吹きつける風は 容赦なく、 私たち部活帰りの 疲れた体に 追い打ちをかける。 でも、 トクちゃんの 突拍子のない申し出で その疲れが吹っ飛んだ。 「食事会って トクち

  • 彼氏はサンタクロース 10 もうすぐ冬休み

    「おい、おい、 お前ら、 どうしたよ?!」 スズキとカホに 追い付いた。 私の異様な 張り手攻撃と それに押し出される トクちゃんを見て 二人とも目が点。 「新しい トレーニング法 です

  • 彼氏はサンタクロース 9 もうすぐ冬休み

    拝むような目で 見つめられると おっかなくて 固まってしまう。 「Dちゃんっ!」 おいおい、 声が大きいよ、 トクちゃん。 「なっ、何っ?!」 「土曜日の夜 僕につきあって 欲しいんだっ!

  • 彼氏はサンタクロース 8 もうすぐ冬休み

    「へへへ… 僕もDちゃんに 相談があって…」 トクちゃんの これまた 怪しい笑み…。 私たちの後から どんどん 下校する 生徒が 追い抜いていく。 私たちの 歩く速度は かたつむりくらい 遅い

  • 彼氏はサンタクロース 7 もうすぐ冬休み

    「聞いてる? Dちゃん?」 自己保身で いっぱいの頭の中に トクちゃんの声が コンコンと ノックするように 入ってくる。 「あ… ごめん… 考え事してて 聞いてなかった」 私は真っ直ぐ 国

  • 彼氏はサンタクロース もうすぐ冬休み 6

    部活帰り。 正門から 国道に伸びる 真っ直ぐな 下り坂。 引退した 三年生はいない。 二年生と 一年生だけの下校。 慣れてきたとはいえ、 やっぱり、 二年生の先輩には 気を遣う。 生意気な一年

  • 彼氏はサンタクロース もうすぐ冬休み 5

    「おい、Ⅾ、 お前、朝は パン派か?めし派か?」 「あ、それから、 足袋…じゃねえ… 足の大きさは?」 アオイ先輩は 唐突に聞いてくる。 「は?」 気が動転するのと あまりに唐突なので

  • 彼氏はサンタクロース 4 もうすぐ冬休み

    ジャイアントキリング、 八百長試合、 違法賭博、 サイトー兄弟と その一味の 非行行為… もう犯罪だよね、 その一件は 地元新聞に チョコっと載った。 少年A、少年B、 というぐらいで 学校名や住所なんて 表ざた

  • 彼氏はサンタクロース もうすぐ冬休み 3

    私、 Ⅾ・エリザベスは ちょっと前に 2年生の先輩に ほぼ無理やり 連れて行かれて 使われてない 古い工場で 男の人たちに 乱暴されそうに なった…。 それから 立ち直った はずなのに 時々、 記憶の

  • 彼氏はサンタクロース もうすぐ冬休み 2

    「おねえちゃん、 トクちゃん、 来てるよぉ」 弟が玄関先で 叫ぶのに 急いで 歯磨きコップの水を 口にかきこむ。 しっかり 口をゆすいだら、 洗面所から 駆け足で 飛び出す。 カバンをつかみ

  • 彼氏はサンタクロース もうすぐ冬休み 1

    フラッシュバック… 錆びて、 シンナー臭くて、 薄暗くて、 古びたタイヤや 使わなくなった工具が 雑多に さらされたままの 工場跡。 逆光で見えない 男の人たちの影。 下卑た笑い声。 覆いかぶ

  • 彼氏はゴールキーパー 315 お終い

    杉やヒノキ、 アオイ邸の玄関先、 森林浴をしているように 深呼吸してしまう。 「お世話に なりました」 トクちゃんが ぺこりと 頭を下げる。 いつでもそう… トクちゃんの 礼儀正しさには 関心

  • 彼氏はゴールキーパー 314 トトカルチョの真相

    「安心しろ、D。 サイトー兄弟は この街に戻ってくる 事はねえ… ヤミ賭博、婦女暴行、 他にも余罪は いくらでもある。 二度と この街には 戻ってこれねえ」 アオイ先輩は 優しい目

  • 彼氏はゴールキーパー 313 トトカルチョの真相

    私とアオイ先輩の やり取りを 皆が見ている。 トクちゃんの 誤解も解きたい。 「本当に 何もなかったんで… 謝らないでくだっ」 私は正座から 立ち上がろうと 足首に力を 入れたけれど 力が入

  • 彼氏はゴールキーパー 312 トトカルチョの真相

    このじじ・孫は ただ者じゃない! 本当に 時代劇に出て来る 悪を成敗し、 弱きを助ける 快刀乱麻、 正義の味方だ。 「だから…よ」 あ然としている 私にアオイ先輩は いきなり 頭を下げる。 「

  • 彼氏はゴールキーパー 311 トトカルチョの真相

    アオイ先輩は あぐらをかいた 膝を組み直す。 そして、 ギラギラ光る眼を 真っ直ぐにした。 「俺は じいさんの 言うような 良いもんじゃねえ。 ただ、 許せねえんだ。 真面目にやってる

  • 彼氏はゴールキーパー 310 トトカルチョの真相

    「街の不届き者共が サッカーを食い物に 悪事を働いとると」 何だか 時代劇みたいな 言い回しだけれど その通りなのだ。 アオイ先輩が 小さくうなずいた。 「そう… 話は戻るけどよ、 夏休み明けの

  • 彼氏はゴールキーパー 309 トトカルチョの真相

    おじいさんの お茶室に 皆、移動した。 私は 目が覚めた時より 意識もハッキリして 立ち上がれるように なっていた。 私がまだ ショック状態で 男に人に 触られたくないと 思ったのか? トクちゃんは 黙っていた。

  • 彼氏はゴールキーパー 308 トトカルチョの真相

    「私、 本当に 何にもなかったし」 もう一度、 念を押すように 私の口から 言葉が飛び出す。 トクちゃんは 倒れたふすまから むくりと起き上がって 私のそばまで やってくる。 「わかったよ…

  • 彼氏はゴールキーパー 307 トトカルチョの真相

    「ドッターン!!」 屋敷中に大きな音が響いた。 「あわわ…」 私は倒れた トクちゃんとふすまの 向こうにすっかり 開けた景色、 きれいな日本庭園を見て、 事の恐ろしさに 震えた。 「Dちゃん、

  • 彼氏はゴールキーパー 306 トトカルチョの真相

    「待ってっ!」 運動神経ゼロ なはずの私。 反射神経とは? 心と身体とは 反比例に 動けるものなのだ。 「すがる」 「足にすがる」 というのは こういう光景を 言うのだ。 私はとっさに ト

  • 彼氏はゴールキーパー 305 トトカルチョの真相

    トクちゃんに 少し触られただけで ビックリしちゃう 私の体。 沈黙。 私、 サイトウさんたちに 襲われそうになったから それで男の人に 体が拒否反応?! うそ~っ!! 何とか 肘をついて 起き

  • 彼氏はゴールキーパー 304 トトカルチョの真相

    まぶたを開けたら 天井が見えた。 杉の木目が見える天井。 私の部屋じゃない。 あれ…? おばあちゃん家? 違う…旅館? そっか…まだ夢の中か。 家族で温泉旅館に来てる夢? 「目が覚めた?」 ん? この声? 杉の

  • 彼氏はゴールキーパー 303 トトカルチョの真相

    「サイトウさん、 すごく怖かった。 腕を…ここ…ギュッとつかまれて 連行されて、裏山から抜け道通って 学校の下の街に連れて行かれて」 私はサイトウさんに つかまれた二の腕を さすった。 つかま

  • 彼氏はゴールキーパー 302 トトカルチョの真相

    「ゲスな遊びぃ?」 スズキはカホと顔を合わせる。 カホはピンと顔つきが変わった。 「あいつら、 もう使ってない 工場の小屋に オンナさらってきて 遊んでたんだ…」 一同しんとなる。

  • 彼氏はゴールキーパー 301 トトカルチョの真相

    「スパイは ナンコーのサイトーの そばにいたんですか? それとも、四つ葉中に?」 トクちゃんが アオイ先輩をじっと見つめる。 「ああ… 両方、二人いた。 俺は試合のたびに スパイから情

  • 彼氏はゴールキーパー 300 トトカルチョの真相

    「トトカルチョを始めた頃は まだ、八百長試合は してなかった。 ただ、上がり…儲けが 少ない日は上納金が 間に合わない… そこで八百長試合を 企てたんだ。 弟がいる四つ葉中は 市内でも

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