Sra.Preciosa さん プロフィール

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Sra.Preciosaさん: 有閑マダムと本の日々
ハンドル名Sra.Preciosa さん
ブログタイトル有閑マダムと本の日々
ブログURLhttp://blogs.yahoo.co.jp/remi002403
サイト紹介文ジャンルを問わず読んだ本の書評をどんどんアップします!
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供90回 / 365日(平均1.7回/週) - 参加 2014/06/10 14:09

Sra.Preciosa さんのブログ記事

  • 天使のゲーム
  • 著者 カルロス・ルイス・サフォン (木村 裕美 訳)出版社 集英社 『風の影』で本国スペインのみならず世界中の読者をうならせた著者の最新作は、『風の影』以前を描いたシリーズものということもあり随分話題になったようだ。「忘れられた本の墓場」というミステリアスなキーワードと、バルセロナの街を縦横無尽にかけめぐる展開は著者の名前にちなんだサフォンマニアという言葉 [続きを読む]
  • 戦後短篇小説再発見⑤ 生と死の光景
  • 著者  講談社文芸文庫編出版社 講談社  戦後に書かれた短篇小説のアンソロジーシリーズのなかの一巻。本書は「生と死」がテーマである。 正宗白鳥の「今年の秋」は、10人兄弟のなかで一番気心のしれた弟の死にまつわる回想である。故郷で長年教鞭をとってきた弟のもとには、死の床にある今も教え子たちが足繁く通ってくる。その姿を見て、語り手である兄は、受勲などの名誉とひきかえに瑣末な事柄に煩わされることが予測 [続きを読む]
  • ミスターオレンジ
  • 著者  トゥルース・マティ (野坂 悦子 訳)出版社 朔北社  1943年、ニューヨーク。志願兵としてヨーロッパ戦線に赴いた長兄に代わり、家業の八百屋の配達を手伝うことになったライナス少年は一風変わった客に出会う。木箱いっぱいのオレンジを注文する、こなれない英語を話すその男は、ライナスの兄とは反対に、戦争から逃れるためにヨーロッパからアメリカにやってきたという。戦時下の重苦しい空気が漂うなか、ライナ [続きを読む]
  • マル暴総監
  • 著者  今野 敏出版社 実業之日本社  暴力団を担当する組織犯罪対策係、こわもての多い通称マル暴でありながら、およそマル暴らしくない刑事、甘糟が活躍するシリーズの第2弾である。前作『マル暴甘糟』ですっかりお馴染みになった甘糟の上司、郡原やヤクザのアキラなども登場して、殺伐とした刑事事件のストーリーが甘糟の放つ飄々とした雰囲気に包まれる。 ヤクザよりも凄味のある怖い上司、郡原の命令で、甘糟はチン [続きを読む]
  • 戦後短篇小説再発見① 青春の光と影
  • 著者  講談社文芸文庫編出版社 講談社  戦後に書かれた短篇小説のなかから「青春」をテーマにした作品を収めたアンソロジーである。いずれ劣らぬ名作家たちの珠玉の短篇が収められている。 冒頭を飾る『眉山』は数多い太宰治作品のなかでも忘れがたい印象を残す短篇。いきつけの飲み屋の若い女中をさんざんからかってきた大人たちが、彼女と会えなくなって初めて気づかされる寂寥感がいつまでも心に残る。 特に印象的だ [続きを読む]
  • 十二人の死にたい子どもたち
  • 著者  冲方 丁出版社 文藝春秋  著者の代表作である『天地明察』は江戸時代に大和歴を確立した希代の天文学者、安井算哲の生涯を描いた歴史もので、吉川英治文学新人賞、本屋大賞などを受賞し、映画化もされた。本書はうってかわって自殺志望の少年少女たちをめぐるミステリーである。漫画の原作やゲームの脚本などの分野でも活躍している著者のマルチタレントぶりを期待しながら読んだ。 もとは産婦人科や小児科のある [続きを読む]
  • 岸辺の旅
  • 著 者  湯本 香樹実出版社  文藝春秋  三年前に失踪した夫がある日ふいに帰ってくる。好物だった白玉を食べ、伸びたひげを剃って妻と旅に出る。夫は失踪したのではなく、水底で蟹に喰われてしまったのだと言う。どうやって家に戻ってきたのかわからないが、戻ってきた道のりを一緒にたどってみよう。 いわば死者の魂が成仏するための道連れの旅をする妻だが、旅の途中で様々な人と出会い、彼女自身の人生や夫と過ごし [続きを読む]
  • バラカ
  • 著者  桐野 夏生出版社 集英社  未曽有の大震災によって原発から放射能が漏れ、東京以北が麻痺してしまった日本。着の身着のままで避難した人々が残したペットを救うボランティアで放射能危険地域に入った豊田は、犬の群れのなかに幼い女の子を発見する。だが少女が口にするのは「ばらか」という謎の言葉だけだった。 原発事故後の日本を舞台にひとりの少女がたどる数奇な運命。そこに、日本に出稼ぎにきた日系ブラジル [続きを読む]
  • なんでわざわざ中年体育
  • 著者  角田 光代出版社 文藝春秋 タイトルがユーモラスな本書は、中年にさしかかった著者がフルマラソンはじめ、ヨガやボルダリングなどのスポーツに次々と挑戦する体験記である。ボクシングジムに通い、その知識を生かして『空の拳』『拳の先』というボクシング小説を著した著者である。どんなスポーツについてもさぞかし意欲満々なのだろうと読み始めた。ところが、そこにあるのは意外にも運動に対して非常に消極的な著 [続きを読む]
  • ジニのパズル
  • 著者  崔 実 (チエシル)出版社 講談社 北朝鮮が発射したミサイル、テポドンが日本列島を通過した後に海に落ちたというニュースが流れた翌日、朝鮮学校に通うジニは警察を名乗る男たちに囲まれる。そこで受けた罵倒と屈辱から彼女は不登校になり、教室に掲げられた金日成と金正日の肖像画について考え続ける。中学から朝鮮学校に通い始めたジニは、日本国内にありながら朝鮮語で話すことが義務づけられた学校にも、当たり前のよう [続きを読む]
  • 世界一ありふれた答え
  • 著者  谷川 直子出版社 河出書房新社  新進気鋭の政治家の妻として夫を支えてきたまゆこは、夫の浮気が原因で離婚後ウツ病になる。症状が良くならないままカウンセラーのもとに通う日々。冷たい冬の雨の降る日、傘を忘れたまゆこはカフェに入る。自分が泣いていることも気づかないまゆこに、隣に座った男が声をかけてくる。雨宮トキオと名乗る男もまたウツ病でカウンセリングを受けていた。 ジストニアという神経症の病 [続きを読む]
  • デトロイト美術館の奇跡
  • 著者  原田 マハ出版社 新潮社  デトロイト美術館(通称DIA)は、湖をはさんでカナダと国境を接するこの街が誇る美術館である。つましい暮らしのなかで妻とDIAを訪れる時間をこよなく愛していたフレッドは、妻亡きあともその習慣を大切にしてきた。ある日、美術館の帰りにいつも立ち寄るカフェで新聞を開いた彼の目はひとつの記事に釘付けになる。それは、デトロイト市が財政破綻して、その補填にDIAのコレクションを売却 [続きを読む]
  • 半席
  • 著者  青山 文平出版社 新潮社  あらゆる役人の振る舞いを監察する目付筋。片岡直人は、その耳目となって働く徒目付である。そんな直人に、徒目付組頭の内藤雅之は公の仕事とは別の、裏の仕事を振ってくる。それは、罪を罰する表面的な裁きではない、出来事が起きた原因を探る仕事であった。なぜこんな事件が起きたのか、なぜ人はこうした暴挙に出るのか。雅之に依頼されて様々な事件に当たるうちに、直人は人間の真理を [続きを読む]
  • ニッチを探して
  • 著者 島田 雅彦出版社 新潮社 フラワー銀行副支店長の藤原道長が、何の連絡もなく帰宅しなかった翌日、妻子は道長に銀行の金の着服嫌疑がかけられていることを知る。一方道長は、ある明確な意図をもって自ら失踪者になろうとしていた。50を過ぎた中年男の、都会のニッチを求めてさまよう生活が始まる。隅田川の岸辺で路上生活者としてのノウハウを学んだり、司直の手がのびてこないよう郊外に [続きを読む]
  • 悠木まどかは神かもしれない
  • 著者  竹内 雄紀出版社 新潮社 普段は持ち込み原稿を受け付けない新潮文庫編集部が一発OKを出したとの宣伝文句の効いた作品。タイトルのオタクっぽさが示しているように、主人公は超難関私立校を狙うエリート小学生たちで、オタクではないがかなりマニアックな会話をかわす。小説の舞台は進学塾。あとがきで角田光代も指摘するように、この少年少女たちは頭はよいが、塾以外の生活で友達は多くない [続きを読む]
  • 料理通異聞
  • 著者  松井 今朝子出版社 幻冬舎  今や世界中で人気の日本料理。そのレシピや献立に関する書物は枚挙にいとまがない。だが、時代を遡る江戸時代、日本国内ではすでに数多くの料理書が出版されていた。そしてそのほとんどが素人の手によるものであった。「料理の肝となる塩梅は口に出して、あるいは書いて伝えられるものではない」、そんな本職の料理人たちの気概が、プロの手になる料理書の出版を阻んでいたのだった。そ [続きを読む]
  • 纏足物語
  • 著者  岡本 隆三出版社 福武文庫  1963年に出版されたこの本は恐らく纏足についての百科事典に匹敵する。中国文学、歴史などの研究者である著者がその知識を惜しげもなく提供して、纏足の始まった社会的背景、儒教や朱子学との関係まで解き明かしてくれる。 1980年頃までは横浜中華街でもよたよたとアヒルのように歩く「纏足歩き」をする老婆が見られたというから、中国史では纏足は決して遠い過去のことではない。幼少 [続きを読む]
  • 纏足の発見 −ある英国女性と清末の中国
  • 著者  東田 雅博出版社 大修館書店  かつて中国女性にとっては当たり前の慣習であった纏足をやめるよう働きかけ、ついにそれを実現させた功労者はひとりの英国女性であった。偉大な功績の割にこの女性の存在がイギリスのみならず一般にもあまり知られていないのはなぜかという点に着目して、当時のイギリス女性と中国の女性の社会的地位を比較検討してみせた論文である。 著者が西洋史学、特にヴィクトリア朝に詳しいこ [続きを読む]
  • 赤い刻印
  • 著者  長岡 弘樹出版社 双葉社  全4篇からなる短編集である。祖母を見舞う娘を利用して、刑事の母が未解決事件の犯人を見つけ出す表題作をはじめ、小5の息子の自殺の原因究明に躍起となる父親の煩悶を描く「サンクスレター」など比較的軽いタッチの作品が並ぶ。警察学校を舞台にした同じ著者による『教場』シリーズでは、ミステリーの醍醐味ともいえる犯人捜しよりむしろ主人公たちの心理描写の巧みさが印象的であった。 [続きを読む]
  • アンマーとぼくら
  • 著者  有川 浩出版社 講談社  その作品の多くが映画化、ドラマ化されている名ストーリーテラー、有川浩の放つ本書は、沖縄を舞台にした奇跡の物語である。 母を亡くして一年で再婚した父。小5のリョウは母のことが忘れられず、新たに母親となった晴子さんを受け入れることができない。だが、晴子さんはそんなリョウを温かく見守り、やがてリョウも彼女に心を許していく。 「一日目」「二日目」「三日目」と各章に分け [続きを読む]
  • 冬の光
  • 著者  篠田 節子出版社 文藝春秋  東日本大震災後すぐにボランティアで援助活動をした後、四国巡礼の旅に出た父は生きて東京に帰ることはなかった。帰りのフェリーから海に落ち、遺体となって家族のもとに届けられたのだ。だが、妻の美枝子をはじめ、長女の敦子も次女の碧も、その死を悲しむことはなかった。約二十年もの家庭生活で、母を裏切り続けてきた父親の最期に思いを馳せるよりも、突然の死がもたらした茶飯事の [続きを読む]
  • 隅田川暮色
  • 著者  芝木 好子出版社 文藝春秋  東京、浅草の雷門は、昼夜を問わず観光客が訪れては記念撮影する観光のメッカである。そこから目と鼻の先を流れる隅田川では定期船がゆったりと行き来する。そんな見慣れた風景からは、かつてその界隈が大空襲に遭い、隅田川周辺まで火に焼きつくされたとは想像もできない。 昭和35年の夏。隅田川にかかる吾妻橋を冴子は渡る。亡き父の良き友だった元吉が営む紺屋を訪ね、幼馴染みの俊 [続きを読む]
  • ツリーハウス
  • 著 者  角田 光代出版社  文藝春秋  近代的ビルの建ち並ぶ新宿の繁華街から目と鼻の先にあるのに、そこだけ時間の流れが止まったかのような一角にある翡翠飯店。定休日に店のオーナー兼家長の藤代泰造が老衰で亡くなる。彼の死をきっかけに藤代家の歴史がゆっくりと巻き戻されていく。 大義もなく、ただ漠然とした期待のようなものを抱いて旧満州に渡った祖父と祖母。戦争とは関係なく、市井の人間として生きていた彼 [続きを読む]
  • アフター・ザ・レッド −連合赤軍兵士たちの40年―
  • 著者  朝山 実出版社 角川書店  1969年の東大安田講堂攻防戦以降、日本の学生運動はゆるやかに終息にむかう派と、暴力に訴える過激派に分かれていく。時には銀行を襲い、交番を襲い、銃を盗み・・とエスカレートしていく学生たちに、それでも当時の社会は寛容な目を向けていた。だが、山岳にアジトをかまえていた連合赤軍があさま山荘で人質をとり立て籠った「あさま山荘事件」、その後アジトから見つかった12名の死体が [続きを読む]
  • 誰もいないホテルで
  • 著者  ペーター・シュタム (松永 美穂 訳)出版社 新潮社  執筆に没頭するために「ぼく」が訪れた湯治場のホテルは、風呂もトイレも使えず、食事は貯蔵室にある冷たい缶詰だけ。たった一人の従業員アナは、思わせぶりな態度を取るかと思えば、手のひらをかえしたようにつれなくなる。「ぼく」は仕事に専念するどころか、アナが気になって仕方がない。だが、ある日、見知らぬ男たちがホテルにやって来て、「ぼく」の不思 [続きを読む]