砂凪 さん プロフィール

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砂凪さん: ゜*.。aquarium。.*゜
ハンドル名砂凪 さん
ブログタイトル゜*.。aquarium。.*゜
ブログURLhttp://suisuitokotoko2nd.blog.fc2.com/
サイト紹介文新連載?初・一般小説。ほしいものは、忘れ去る勇気と惨死を乗り越える力。
自由文『ありえない設定』⇒『影遺失者』と『保護監視官』、『廃園設計士』や『対町対話士』(coming soon!)など。…ですが、現在は日常ものを書いております。ご足労いただけるとうれしいです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供162回 / 365日(平均3.1回/週) - 参加 2014/08/13 19:28

砂凪 さんのブログ記事

  • 世界の果ての暖炉で #10
  • 茅野さんとの日々はあわあわと続く。抱えきれないほどの僕の戸惑いや困惑や、恐怖とはさっぱりと無縁に。この町を滅多に白く染めない雪が舞ったのは、驚いたことに12月に入ってすぐのことだった。閉じ込められた、と思う僕はどうなのだろう。自分でもそう思う。足跡を残さずして、この部屋を出ていく術を絶たれた気がした。職場から帰宅して、ぼんやりと窓の外を眺めていた。白く染まっていく街路を隠すように、僕の不安や怯えも [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #9
  • 「うた?」ソファから寝室に場所を変更して、もういちど抱き合ったあと。茅野さんが僕のむき出しのままの肩を撫ぜながら、疑問形で僕を呼んだ。なに、と目で訊ねる。眠たそうなまなざしが、半分眠りに没している声が、ぼうっと僕を捕捉する。「きょうは、どうしたんだ?」「……え?」いや、と茅野さんは口ごもったあと、なんかすごかったから、という。「どうもしないです。気持ちよかっただけで、すごく」心がぐらついていると身 [続きを読む]
  • ☆か、書いてる時間がない〜〜〜((((;゚Д゚))))
  • こんばんは。プレミアーンヌなフライデー、みなさまいかがお過ごしでしょうか。わたしはぜんぜんきらきら感のない、オールウェイズなフライデーでした。これまでのわたしの人生、こんなにも忙しかったことがあろうか……!(反語法で読んでください)……ゴールデンウイークにむりやり休みをもぎ取ったところ、前後1か月のシフトがジョブ地獄になりました。リアルが壮絶に多忙なため、創作に割いてる時間がないです、もうそれはそ [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #8
  • ソファの上で膝を抱えた僕は、台所にむかい、水を流している背中に呼びかける。「茅野さん」背中は振りかえり、穏やかにわらった。どうしてだか、茅野さんには僕がただ呼びたくて呼ぶときと、用事や話があって声をかけるときの区別がつくらしい。今回は、前者。「茅野さん」繰りかえすと足音がやってきて、手のひらに頬を包まれた。口づけられ、深くなるキスに応じる。腕を伸ばし、背中に手をまわすと、まだ水で濡れている手は頬か [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #7
  • ひとりきりの部屋で、ぼんやりと思索を持て余す。脈絡のない物思いはあっちに跳ね、こっちにぶつかり、坂道を転がるどんぐりみたいだ。ときどき、ことばにならない言葉のかけらが胸に落ちてくる。想いを、簡単にことばにするのなら。「すきなのだから」はいつのまにか「嫌いにさせないで」になっている。あのころ、きっともう壊れていたコップ。触れば、きっと指が傷つくのだろう。それでもいつかは。きっと拾い集めて帳尻合わせな [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #6
  • 翠ちゃんがパン屋のスタンプカードと引き換えに、チョココルネとあんぱん、食パンを半斤、抱えて帰っていく。後ろ姿から伸びる長い影に手を振りながら、不意に衝撃が頭を揺らす。翠ちゃんもたった半年ですっかり大きくなった。もう、僕を『パン屋さんのお兄ちゃん』ではなく『うたさん』と呼ぶ。最初に呼ばれたときにはかなり驚いた。びっくりしたでしょ、といいたげな、得意げな笑顔がもう一度僕の名を呼んだ。あんなにたくさんの [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #5
  • 光は、どこで失われてしまったのだろう。茅野さんが纏っていた光。特別なひとの持つ、大好きで、大切で、守り抜きたい光。みえない。もう、僕には見出すことができないのだろうか。茅野さんがただわらっているだけで、心は跳びまわりたくなった。過去形でしか語れない僕を、どこかでかすかに、僕は軽蔑している。「雨多は、また料理がうまくなったな」ふっと、現実に引き戻された。僕の『現実』。茅野さんと晩ごはんを食べている。 [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #4
  • 「雨多さん、もうほんとうに大丈夫なんですか?」沙紀ちゃんの心配そうな声が、バックヤードの更衣室で制服に着替えた僕の背中を引き留めた。わらってみせる。沙紀ちゃんには、『うそをつくとき笑います』と、言われてしまっているのだけれども。「だいじょうぶ。あれから、もうなんにも」ことばはそこで迷子になる。なんにも、なんだろう。問題は、なんだったのだろう。どこにあったのだろう。そしてそれは。ぼんやりと、思考がだ [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #3
  • 「……かやのさん」返事はないとわかっている呼びかけが、部屋にうわんと響いて消えた。時計をちらりと見遣り、パン屋の仕事にむかう支度をはじめる。いないひとの名前を呼んでしまったことと、呼ばずにはいられなかった自分と、その両方に打ちのめされながら。玄関で靴ひもを結ぶ。ここからどこかに行くことはできるはずなのに、どうしてここからはどこへも道が伸びていないのだろう。世界につながるはずの道は、あの夜の土砂崩れ [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #2
  • 茅野さんは、退院してきてから一度も僕に痛みを与えはしない。それでも。それなのに。安心していいのだ、と頭ではちゃんと納得しているのに。いつ、あの日々が蘇るのかといつもどこかで……心のごくごく片隅でずっと……震えている。怯えている。この、おそるおそる薄氷のうえを歩くような日々に。あの、最後の暴力の夜がさっと蘇って、虚脱感と恐怖のぬかるんだ沼に足をとられることもある。向かい合ってわらいながら食事をとって [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #1
  • あの夜。マンションの外階段から転げ落ちて、腕の骨を折った僕が職場のパン屋に復帰したのは、季節も巡り、まもなく冬になろうとしているころだった。休暇をもらっている間、茅野さんと暮らすマンションの部屋から紅葉した公園を眺めながら、パン屋のバックヤードで僕を睨んだ沙紀ちゃんのことばが何度も耳によみがえった。―……『なににもなりませんよ』しっている。わかっている。張り裂けそうなほどに。今回の痛みで思い知った [続きを読む]
  • ☆:あしたから新連載です(??>?<?)
  • こんにちは、砂凪です!きょうの砂凪エリアはさむいです。さくらが散ったあとにこの気温はないだろー…というレベル。体調管理をシステマチックにがんばりたいと思います。たぶん、お仕事でむずかしくなるとは、思うのですがΣ( ̄ロ ̄lll)働くのはすきですが、まいにちは働きたくないでござる。本題。ようやっと、このお知らせができます〜……(涙)待っていてくださったかたには随分とながらく待っていただけてうれしいです!新 [続きを読む]
  • 【SS】:恩寵《後編》
  • その日の晩の炊き出しは、ごわごわした米飯と薄い肉のスープだった。いままでなら、スープからきれいに肉だけを除いて食べていた。食べ残しはとなりのテントに暮らす家族の子にあげていた。ベジタリアン、菜食主義。懐かしいことばを守りつづけるほうが、苦痛だった。コミュニティの亡霊に縛りつづけられることが。生まれて初めて口にした食べ物は、ひどい臭いがした。それでも噛み砕いて飲み込んだ。吐きそうになりながら、食器を [続きを読む]
  • 【SS】:恩寵《前編》
  • ―…コミュニティが、消えた。ぼくの、すべてだった場所。UNHCR事務所の受話器を置き、ありがとうございました、と頭を下げてドアを閉めた。これから、どうすればいいのだろう。なにを信じ、どう生きればいいのだろう。冬の空。よく晴れている。あの軍事的反政府組織のクーデターが成功裏に終わって、日本はふたつに分断されてしまった。クーデターの中央組織が置かれた、ぼくらみたいなマイノリティコミュニティにとっては危険な [続きを読む]
  • episode 5:『おとうさんの絵』
  • ダイニングテーブルを斜めに横切っていく光線があまりに白いので、孝弘は「これでなんか漂白したら、つめたいくらい白くなりそう」と考えていた。手の甲に、裏返して手のひらに当たるひかりはもう初夏の陽気だが、部屋が快適気温に保たれているため暑気はあまり感じられない。「めいじー」脱衣所に消えたまま姿のみえない同居人を呼ぶと、恋人はなんだよもう…といいながらも意識をこちらにむけた。「なんだよ、って……。さっきか [続きを読む]
  • 【SS】:化学元素な僕らに
  • 【化学元素な僕らに】どうして、心だけが。いまだ悲しく君を呼ぶのだろう。こんな、こんなにも、割り切れないことばかり。***臆病な世界で、僕はときに?をつく。傷や痛みや心を覆い隠すために、ちいさく?をつき、ちいさく傷ついて。元素記号でぜんぶ表せる僕らだっていうのに、どうしてごまかすことや繕うことを知るのだろう。「……って思わない?」中和滴定の実験、中性混合液をつくったペアから解散。そんな授業だった。目 [続きを読む]
  • 【SS】:夏を弔う
  • 【夏を弔う】白い夏。あの白い夏は。冷凍庫のなかで、いまも凍ったままで。***17歳の夏の想い出といえば、海に花火にお囃子、といったところが妥当だろう。潮風、煙のにおい、笛のメロディ。しかし、阿積にとっての17歳、いまから3年前の夏の記憶、想い出とも呼べない《記憶》は慟哭だったり白い部屋だったり、煙突から立ち上る白煙だったり、する。そして、禍々しい色の、川の淵。あの夏の日から、緑色に濁った水の色が心 [続きを読む]
  • 【SS】:はないかだ
  • 【はないかだ】彼は、西にある、遠い国の名前を口にした。僕がぼんやりと川面を流れる、桜色を数えていたときだった。「俺、いかなくちゃ」覆せない決定事項、だった。翻せない決断。だって、さいきん、彼の心のなかでは風が西から吹いている。とても、強い風。舞い上がる糸の切れた凧をもはやどうすることもできないのだ、と僕はだまってうなずく。羅針盤のない舟、コンパスのない樹海。彼とつづけている恋には『さまよう』という [続きを読む]
  • 【SS】:Your home, my home
  • 「さよなら」「じゃあな」「またね」という『さようなら』にまつわることばが有里(あり)はきらいだ。きらいというより、もはや生理的に受けつけない。遺伝子のどこかに、何かバグがあるのかもしれない。幼稚園のころ「せんせいさようなら、みなさんさようなら」という『お別れのあいさつ』のもつ仄暗さに心底おののいた。だんだん幼稚園にいくのがいやになって、午後のおひるねのあとのお絵かきになるとこの世の終焉のようにぐず [続きを読む]
  • 【SS】:きみの舟
  • 【きみの舟】灰色の空から憂鬱そのものを切り取って降らせるように、雨粒が落ちてくる。梅雨明けちかくの激しい雨。このまま雨がやまなければ、と奏良(そら)はぼんやり考える。校舎だけが残った世界で、僕たちは延々と学びつづけるのだろうか。もう、使いどころのない数式を、古く綴られた文章を。雨音に誘われるように連想はつづく。美術は、音楽は。割れたチャイムの音に、奏良の意識は引き戻される。……海の底から釣り上げら [続きを読む]
  • 【SS】:メロディー
  • 大講義室は半分、眠りの海に沈んでいる。教壇の上の老教授は意に介す様子もなく、淡々としゃべりつづけている。『Calm』という題のインスタレーションをつくってみたい。このままこの部屋をガラスに閉じ込めて。そんなことをぼんやりと考えつつノートをとっていると、空間を支配していた深い沈黙がいたくのんきな旋律に破られた。電子音を追い、なんだっけと思い、それが『HAPPY BIRTHDAY』だと気づくまでに数秒。あまりに場にそぐ [続きを読む]
  • episode 4:『So wonderful are our days』
  • 【So wonderful are our days】浅い春の土曜日の朝。というか、昼近く。ようよう起きてきた明治が真顔で言ったことばに、孝弘は心底おののいた。「俺、まはるちゃんの入学式にいっちゃだめかな……」話はした、ような気がする。きのうの夜、存分な交わりのあと。ただ、若干名がタガを外し気味だったので、記憶は定かでない。……タガが外れているのは゛『まはるちゃん』にまつわるエトセトラ″においてもおなじらしい。「常識的に [続きを読む]
  • 読者さまにおねがいです〜(*- -)(*_ _)
  • こんにちは!当ブログ管理人室からお届けします、砂凪です。もうほんとに途絶えがちな更新ですみません。どうお詫びしていいものやら…。ご心配をおかけしていたらすみません、が、心配してくださりありがとうございます。雨が降ろうが槍が降ろうが体調がわるかろうが、書く!……っていう意気込みがわたしにはないのね〜と痛感しました。コンスタントに書きつづけていらっしゃるみなさまには地面にめり込む勢いで頭が上がりません [続きを読む]
  • 【SS】:架空の星をあつめる
  • 【架空の星をあつめる】画面を暗くして眠っていた朔弥(さくや)のパソコンが、りんっとちいさな音を立てて目覚めた、その音で琉生(るい)も目を覚ました。パソコンの所有者は傍らでこんこんと眠りつづけている。いま、何時だろう。カーテン越しのごくうすい光。ナイトテーブルでゆうべのふたりの姿を沈黙とともにみていた時計を見遣る。06:35。ぜろ、ろく、さん、ご。この時間まで眠っていても、ばたばたしなくていい土曜日 [続きを読む]
  • 【SS】:春に降る
  • 【春に降る】「―……なんだって、ハルル、きいてる?」外は淡く灰色と桜色にけぶっている。眠たげな風景からゆっくり春唄(はるた)が音声に目をやると、声の主…海月(くらげ)…はたいそう気分を害した表情でこちらを見下ろしていた。「なにを?……ごめん」不機嫌な顔はいつも長続きしない。眇められた眼はすぐに笑いをかたちづくる。「え?うわー…いまハルル、ごめんって言った?言ったよな?ううん気にしないで、でもなんで [続きを読む]