砂凪 さん プロフィール

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砂凪さん: ゜*.。aquarium。.*゜
ハンドル名砂凪 さん
ブログタイトル゜*.。aquarium。.*゜
ブログURLhttp://suisuitokotoko2nd.blog.fc2.com/
サイト紹介文ゆるゆると短編だったり掌編だったりを載せております〜。
自由文『ありえない設定』⇒『影遺失者』と『保護監視官』、『廃園設計士』や『対町対話士』(coming soon!)など。…ですが、現在は日常ものを書いております。ご足労いただけるとうれしいです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供84回 / 365日(平均1.6回/週) - 参加 2014/08/13 19:28

砂凪 さんのブログ記事

  • 【SS】:MUSEUM
  • 県立博物館で開催されている古生代展のチケットを、同僚からもらった。ことを、実秋が思いだしたのは約束も予定もない日曜日の昼下がりだった。時間だけはたっぷりある。考えたくないことばかりが去来する脳をもてあましていたので、アパート最寄りのバス停まで歩いた。強い日差しがくっきりと地面に影を落とす。ゆらゆら陽炎のなかにあるそれは、まるで『死』そのもののようだ。生きることと死ぬこと。表裏一体の裏側に、予兆も理 [続きを読む]
  • sixty seconds, three times
  • 30代の一年目の半分がおわっちゃったことにちょっとショックを受ける七夕。かといって、10代20代のころに戻してあげる!といわれたなら、わたしは「ぎゃーっ!」と叫んであらゆる語彙を駆使して固辞し、全速力で逃げ出す。いやだ。絶対にいやだ。生きるのがへたで、無様でみっともなくて、惨めで情けなくて、そんな自分がいやでいやで。あの時代をもういちど乗り切れるか、といわれると決して素直にはうなずけない。ていうか [続きを読む]
  • 【SS】:フェイクワールド
  • 【フェイクワールド】逃げることは、自分の居場所をひとつ潰すことだ。そして、居場所はあっけなく潰れる。透明な緩衝材のように。はじめからなかったかのように。よく、しっている。痛いほど、わかっている。じゃあ、と紀也(きせ)は思う。最初からその『居場所』を壊れてもいいようなくだらないものにしておけばいいのだ。それこそ、ビニールでできたぺらぺらな緩衝材のように。それが、開き直りにすぎないことも、ちゃんとわか [続きを読む]
  • 【SS】:きらきらぼし
  • 【きらきらぼし】きん、と音がする。きんきん、と繰り返し。一定のリズムをもったそれは、澄(すみ)の記憶のなかであたたかい。かばんの中でメロディが鳴った。さっとこちらに視線が集中する。けっこうな乗車率の私鉄車内、気まずい思いをしつつ、澄はスマホを取り出し、マナーモードに設定してからメッセージを確認する。『仮免とれたー!宴を開いてくれ!』文字越しに伝わってくるはしゃぎように澄は微笑んだ。返信する。『じゃ [続きを読む]
  • 光の庭
  • 君もいつか死んでしまうことからどうやったら僕をまもれるのかな誓えることなんてなにもないからやさしい時間のおわりふたりの日々のさいご僕は君になにをいおう泣かずにいられるかな君は庭で光に手を伸ばす空のちかくにいかないでねぇ たったそれだけで君がいつか消えていくことからどうやって僕をまもればいいだろう約束なんてなにもないから未開封の君を僕がひとりで生きる時間のぶんだけ残して逝ってねまいにち君の名残につつ [続きを読む]
  • ☆:『暖炉』おわりました〜。
  • こんにちは、砂凪です。みなさん、お元気にされていますか?気候変動にも負けず、突然の雷雨にも負けず、萌えを求めて(中略)そういうひとにわたしたちはなりたい……んですよね!『暖炉』おわりました。もうね、2年くらい煩悶しつづける雨多を描きたかったのですが。たぶんわたしにしか需要のない作品になってしまい(笑)二年ぶんくらいざっくり削除しました。ええ、文字数にして5000くらい?deleteキーを押すのって、あん [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で 《最終話》
  • まだ、大丈夫だろうか。灯りは熾火を残しているだろうか。あたたかな暖炉に新たに薪をくべたなら、光は放たれるのだろうか。だいじょうぶ、と。僕は自分に噛んで含めるように、いう。苦いコーヒーを飲んだ後の酸味だけがあの部屋にあるのだとしても。わらうことはできる。また、新しくコーヒーを淹れなおして。「雨多」抱きすくめられた。ここが、居場所だ。たとえ、僕はここだと大声で叫べなくとも。過去がどんなに纏わりついても [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #15
  • 漂流しあうひとりとひとりが、絆や想いさえ結べないのであっても。このひとの傍にいたのは誰なんだ?……このひとの傍に、光をみつけることをやめてしまったのは。あるいは、あたたかな椅子をさがすことをやめてしまったのは。茅野さんだって、ひとりだった。筏にしがみついたそのもう片方の手を、僕にむかって差し出している。それを絆ではないとどうして、だれが、言い切れるのだろう。……僕は、なんと傲慢だったのだろう。「隣 [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #14
  • 「……ひとりはこわいですよ」どうにか返したせりふはあまりに残酷で、ぐらっと足元が揺れた、そんな気がした。茅野さんがしぼりだすような声でいった。怯えているように、慄いているように。「……まだ、俺はお前の傍にいてもいいのか?あんなにつらい思いをさせて、なにひとつ償えなくて、それでも、まだ」やっと、足が動く。街灯の間の距離が長い、ひとつぶんほどしかなかったのに、のったりとした液状のなかを走るようだった。 [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #13
  • 薄氷の下にあったものは、まぎれもない『ひとり』だった。落下地点があまりに意外で、僕は唖然とする。ただ、ぽかんと現状を眺めているうちに、それしかできないうちに、あの夜に茅野さんの部屋を抜け出すすべを僕から奪った雪がきれいに溶けた。街灯ひとつ灯った、ひとけのない薄暗いなかを、ふたりで並んで歩いていた。近所のレストランで食事をした後だった。あのころにはありえなかった、外食。……まだ、僕は『あのころ』とし [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #12
  • かすかに、口許から笑いが漏れた。茅野さんが名を呼ぶ声に、そっと視線を向けた。「雨多、どうした?」「大丈夫です。ただ、ちょっと寝惚けていて」そう、寝惚けた僕は、夢を見ていた。この暮らしの、すくなくともその先のどこかに、温かいものがあるはずだと。茅野さんがベッドから降りて歩みよってくる。ゆったりと抱きしめられて、頭のなかでその体温を心で感じるぬくもりに挿げ替えようとするけれど、できそうになかった。覚醒 [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #11
  • かーんっ、と。思考停止を求めていた脳裡で、みじかく小気味よい音がした。チタンのなべ底を玉じゃくしで思い切り叩いたような。実際の痛みを伴った衝撃だった。きっと、そのくらいの衝撃がなければ、あるいはその覚醒が僕にもたらされることはなかっただろう。気付いたとき、僕は部屋の壁に背中をつけて、短く呼吸していた。ベッドではこちらをむいた茅野さんが、驚いた顔をしている。あたらしい事実に、目が醒めた。世界を新しく [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #10
  • 茅野さんとの日々はあわあわと続く。抱えきれないほどの僕の戸惑いや困惑や、恐怖とはさっぱりと無縁に。この町を滅多に白く染めない雪が舞ったのは、驚いたことに12月に入ってすぐのことだった。閉じ込められた、と思う僕はどうなのだろう。自分でもそう思う。足跡を残さずして、この部屋を出ていく術を絶たれた気がした。職場から帰宅して、ぼんやりと窓の外を眺めていた。白く染まっていく街路を隠すように、僕の不安や怯えも [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #9
  • 「うた?」ソファから寝室に場所を変更して、もういちど抱き合ったあと。茅野さんが僕のむき出しのままの肩を撫ぜながら、疑問形で僕を呼んだ。なに、と目で訊ねる。眠たそうなまなざしが、半分眠りに没している声が、ぼうっと僕を捕捉する。「きょうは、どうしたんだ?」「……え?」いや、と茅野さんは口ごもったあと、なんかすごかったから、という。「どうもしないです。気持ちよかっただけで、すごく」心がぐらついていると身 [続きを読む]
  • ☆か、書いてる時間がない〜〜〜((((;゚Д゚))))
  • こんばんは。プレミアーンヌなフライデー、みなさまいかがお過ごしでしょうか。わたしはぜんぜんきらきら感のない、オールウェイズなフライデーでした。これまでのわたしの人生、こんなにも忙しかったことがあろうか……!(反語法で読んでください)……ゴールデンウイークにむりやり休みをもぎ取ったところ、前後1か月のシフトがジョブ地獄になりました。リアルが壮絶に多忙なため、創作に割いてる時間がないです、もうそれはそ [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #8
  • ソファの上で膝を抱えた僕は、台所にむかい、水を流している背中に呼びかける。「茅野さん」背中は振りかえり、穏やかにわらった。どうしてだか、茅野さんには僕がただ呼びたくて呼ぶときと、用事や話があって声をかけるときの区別がつくらしい。今回は、前者。「茅野さん」繰りかえすと足音がやってきて、手のひらに頬を包まれた。口づけられ、深くなるキスに応じる。腕を伸ばし、背中に手をまわすと、まだ水で濡れている手は頬か [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #7
  • ひとりきりの部屋で、ぼんやりと思索を持て余す。脈絡のない物思いはあっちに跳ね、こっちにぶつかり、坂道を転がるどんぐりみたいだ。ときどき、ことばにならない言葉のかけらが胸に落ちてくる。想いを、簡単にことばにするのなら。「すきなのだから」はいつのまにか「嫌いにさせないで」になっている。あのころ、きっともう壊れていたコップ。触れば、きっと指が傷つくのだろう。それでもいつかは。きっと拾い集めて帳尻合わせな [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #6
  • 翠ちゃんがパン屋のスタンプカードと引き換えに、チョココルネとあんぱん、食パンを半斤、抱えて帰っていく。後ろ姿から伸びる長い影に手を振りながら、不意に衝撃が頭を揺らす。翠ちゃんもたった半年ですっかり大きくなった。もう、僕を『パン屋さんのお兄ちゃん』ではなく『うたさん』と呼ぶ。最初に呼ばれたときにはかなり驚いた。びっくりしたでしょ、といいたげな、得意げな笑顔がもう一度僕の名を呼んだ。あんなにたくさんの [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #5
  • 光は、どこで失われてしまったのだろう。茅野さんが纏っていた光。特別なひとの持つ、大好きで、大切で、守り抜きたい光。みえない。もう、僕には見出すことができないのだろうか。茅野さんがただわらっているだけで、心は跳びまわりたくなった。過去形でしか語れない僕を、どこかでかすかに、僕は軽蔑している。「雨多は、また料理がうまくなったな」ふっと、現実に引き戻された。僕の『現実』。茅野さんと晩ごはんを食べている。 [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #4
  • 「雨多さん、もうほんとうに大丈夫なんですか?」沙紀ちゃんの心配そうな声が、バックヤードの更衣室で制服に着替えた僕の背中を引き留めた。わらってみせる。沙紀ちゃんには、『うそをつくとき笑います』と、言われてしまっているのだけれども。「だいじょうぶ。あれから、もうなんにも」ことばはそこで迷子になる。なんにも、なんだろう。問題は、なんだったのだろう。どこにあったのだろう。そしてそれは。ぼんやりと、思考がだ [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #3
  • 「……かやのさん」返事はないとわかっている呼びかけが、部屋にうわんと響いて消えた。時計をちらりと見遣り、パン屋の仕事にむかう支度をはじめる。いないひとの名前を呼んでしまったことと、呼ばずにはいられなかった自分と、その両方に打ちのめされながら。玄関で靴ひもを結ぶ。ここからどこかに行くことはできるはずなのに、どうしてここからはどこへも道が伸びていないのだろう。世界につながるはずの道は、あの夜の土砂崩れ [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #2
  • 茅野さんは、退院してきてから一度も僕に痛みを与えはしない。それでも。それなのに。安心していいのだ、と頭ではちゃんと納得しているのに。いつ、あの日々が蘇るのかといつもどこかで……心のごくごく片隅でずっと……震えている。怯えている。この、おそるおそる薄氷のうえを歩くような日々に。あの、最後の暴力の夜がさっと蘇って、虚脱感と恐怖のぬかるんだ沼に足をとられることもある。向かい合ってわらいながら食事をとって [続きを読む]
  • 世界の果ての暖炉で #1
  • あの夜。マンションの外階段から転げ落ちて、腕の骨を折った僕が職場のパン屋に復帰したのは、季節も巡り、まもなく冬になろうとしているころだった。休暇をもらっている間、茅野さんと暮らすマンションの部屋から紅葉した公園を眺めながら、パン屋のバックヤードで僕を睨んだ沙紀ちゃんのことばが何度も耳によみがえった。―……『なににもなりませんよ』しっている。わかっている。張り裂けそうなほどに。今回の痛みで思い知った [続きを読む]
  • ☆:あしたから新連載です(??>?<?)
  • こんにちは、砂凪です!きょうの砂凪エリアはさむいです。さくらが散ったあとにこの気温はないだろー…というレベル。体調管理をシステマチックにがんばりたいと思います。たぶん、お仕事でむずかしくなるとは、思うのですがΣ( ̄ロ ̄lll)働くのはすきですが、まいにちは働きたくないでござる。本題。ようやっと、このお知らせができます〜……(涙)待っていてくださったかたには随分とながらく待っていただけてうれしいです!新 [続きを読む]
  • 【SS】:恩寵《後編》
  • その日の晩の炊き出しは、ごわごわした米飯と薄い肉のスープだった。いままでなら、スープからきれいに肉だけを除いて食べていた。食べ残しはとなりのテントに暮らす家族の子にあげていた。ベジタリアン、菜食主義。懐かしいことばを守りつづけるほうが、苦痛だった。コミュニティの亡霊に縛りつづけられることが。生まれて初めて口にした食べ物は、ひどい臭いがした。それでも噛み砕いて飲み込んだ。吐きそうになりながら、食器を [続きを読む]