十文字 兄人 さん プロフィール

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十文字 兄人さん: 十文字掌編小説ぶろぐ
ハンドル名十文字 兄人 さん
ブログタイトル十文字掌編小説ぶろぐ
ブログURLhttp://kairotto.blog.fc2.com/
サイト紹介文掌編小説を書いてます。ジャンルに囚われない物語を。不定期の更新です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供34回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2014/08/25 18:29

十文字 兄人 さんのブログ記事

  • 『落ちていく彼』
  •   2階「それで、どうするの?」「ファミレスで良いんじゃない。俺、好きだし」 結局、ファミレスか。という私の表情を、彼は全く見ていない。それもいつも通りだったので、私は諦めていた。 彼が私のことを見てくれなくなったのは、いつ頃からだったのだろうと考えてはみたが、全く思い出せなかった。  3階「近所のとこ?」「うん。美味しいからね。あそこは」 彼は楽な人生を歩んでいる。好きな時に好きなことをする。嫌な [続きを読む]
  • 『兄弟』
  •  ※※※ 強くて格好いい、僕のお兄ちゃん。 僕ら兄弟は、生まれた時からずっと一緒に過ごしている。 兄ちゃんは物知りで何でも知ってるから、僕にとっては先生でもあるんだ。だからといって、喧嘩をしないわけじゃない。 僕がわがままなことを言うと、ちゃんと叱ってくれる。その時は、いつも僕はふてくされるのだけれど、僕もすぐに反省して謝る。最近は少なくなったけどね。 そんな頼れるお兄ちゃんにとっても苦手なことが [続きを読む]
  • 『おかしな家』
  •  これは、初めて友達の家に遊びに行った時の話である。 彼女の名前は『あめ』と言い、みんなから『あめちゃん』という愛称で呼ばれていた。だから、私も彼女のことは『アメちゃん』と呼んでいたのだが、今後は軽々しく、その愛称では呼べないだろう。 あめの家は、住宅街から少し離れた場所にあり、家の周りは高い木々で囲まれ、まるでわざと見つからないように隠して建てたかのようだった。「夢の国みたいでしょ」とあめは微笑 [続きを読む]
  • 『仰向けのカメ』
  •  釣りをしようと青年が浜辺に向かった時の話です。 ふと海岸沿いに目をやると、小ぶりな岩が不自然な場所に転がっているのを青年は見つけました。 その岩に近づくと、どうやらそれは岩ではなく、一匹のカメでした。しかもそのカメは、仰向けになっていたのです。 もしかしてと、恐る恐る青年が近づくとカメが言葉を発しました。「余計なお世話だよ」 岩がしゃべったような低い声でした。「すみません」 思わず謝った青年は、 [続きを読む]
  • 『カワナイウラナイ師』
  • 「あなたは数ヶ月後、素敵な男性と巡り会うでしょう。大丈夫、安心して。ほら、この水晶を持っていれば、あなたを救ってくれるわ」「なるほど……。確かにあなたの波動から影を感じるわ。この影……金銭面で何かお困りではないですかね」「このカード。月は太陽と正反対の存在でありながら、恍惚と光を放つ。それはつまり、あなたは彼の存在がなければ、光り輝くことができないの。彼の手、離しちゃダメよ」 水晶からの覗くその瞳 [続きを読む]
  • 『夢に夢見る』
  •  今日の真崎は、少し陽気に見えた。「なあ、知ってるか」「いや、知らん」「ちょっと待てって、まだ何も話してないだろ」「お前が『知ってるか』って言って始める話は、大抵きな臭い話だからな」 苦笑いを浮かべる真崎を尻目に、俺は書きかけの課題レポートに取りかかる。「まあ、いいから聞いてくれ」 慣れた様子で俺の隣の席に座った真崎は、声を細め俺だけに聞こえるように語り出した。「○○駅の近くに自動販売機が置いてあ [続きを読む]
  • 『白馬の王様』
  •  とある小さな国の王様は、毎日自慢の白い愛馬に乗って散歩をするのが日課でした。 最初は気分転換のつもりで始めた散歩だったのですが、いつしか国中の民のご機嫌伺いとなり、王様にとっては国の内情を肌で感じることができる良い機会でもありました。 そんなある日、いくら援助をしても、貧しいままでいる村があるという噂を耳にして、王様は国の外れにあるその村を訪れました。そこで、道端に座り込む一人の村人に声をかけま [続きを読む]
  • 「くらむ」
  • 「……ねえ、三組の山田君が、水島さんと一緒に帰ってたってるところ、見ちゃったんだけど」「ああ、なんか最近、付き合い始めたみたいだね」「え、あんた知ってたの?」「まあ、風の噂で聞いただけだけど……」「そう……。しかもその二人、自転車で二人乗りしてたんだよ。山田君がこいでる自転車の荷台に水島さんが乗って」「掴まってた?」「え?」「いや、だから、ちゃんと掴まってたのかって聞いてるんだよ。水島さんが山田の [続きを読む]
  • 『靄々傘』
  • 「ありがとうございましたー」 最悪だ。 濁った水溜まりを飛び越えようとするも、失敗して靴がびしょびしょになった気分だ。 これはコンビニでちょっと気になった雑誌を立ち読みしていた罰、なのか。 コンビニの出入り口付近にある傘立て。そこに刺さっている傘は現在3本。1本は、ちょっと高そうな黒光りした傘。他の2本は、このコンビニでも売っていそうなビニール傘だ。しかし、その3本とも自分が持ってきた傘ではなかった。 [続きを読む]
  • 『明けましての彼』
  • 「おはよう」 新年早々、私に目覚めの笑顔を見せてくれた彼。 私にとって彼は、心を明るく照らすお日様のよう。 何がいいかって、このくしゃっとなる笑顔だ。寝坊助の私をいつも笑顔で起こしてくれる。「はい、コーヒー。そうだ、今日はご飯にする? それともトースト?」 毎日朝食を準備してくれて、片付けや部屋の掃除、ありとあらゆる家事を全てこなしてくれる彼。私にはもったいないくらいだ。「いつもの神社、やっぱり混 [続きを読む]
  • 『ペンディング探偵の代役』
  •  今日も龍穂探偵事務所に、一人の依頼人が訪れた。 依頼人の名は、秋吉充(あきよしみつる)57歳。地元で板金加工業の工場を経営している社長さんだ。雪だるまのような体型に、屈託のない笑顔。社長というよりは、工場長のような雰囲気を出している。「すみません、もう少々お待ちください」 秋吉に三杯目のお茶を差しだし、私はすぐに時計を見た。午後七時を回った。この龍穂探偵事務所に龍穂さんはいない。私が朝いつも通り出 [続きを読む]
  • 『活動報告』
  • ご無沙汰しております。十文字兄人です。師走らしい忙しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、まず最初に謝罪をさせてください。約一ヶ月ほどの間、ぶろぐ更新できずに申し訳ございませんでした。何を隠そう、私個人的な事情もあいまって、なかなか創作活動ができずにおりました。(現在進行形)言い訳をすれば事足りないのですが、ここでそれを述べても致し方ありません。今月も半月を切り、更新できるか否かという状 [続きを読む]
  • レビュー『愚者のエンドロール』
  •  今回紹介するのは、米澤穂信著『愚者のエンドロール』です。高校1年目の夏休みの終盤、古典部の面々は、2年F組の生徒が文化祭の出展に向けて自主制作したというミステリー映画の試写会へと招かれる。しかしその映画は、脚本家の体調不良で話が進まなくなってしまったことで、事件の結末が描かれないまま尻切れトンボで終っていた。古典部は2年F組の入須冬実から、映画の犯人役を探し当てる「探偵役」を依頼される。映画の結末が [続きを読む]
  • レビュー 『向日葵の咲かない夏』
  •  さて、今月に入りまして当ブログ「十文字掌編小説ぶろぐ」は丸3年が経ちました。 毎年それを記念して様々な記事を書いてきましたが、3年経った今回は私がオススメする小説を紹介したいと思います。紹介ですので、あらすじに私なりのレビューを書かせていただきます。 以前にも似たような記事は書きましたが、今回は物語の内容にも触れネタバレ無しで、ぜひ皆さんに読んでいただきたい小説をご紹介します。あくまでも未読の方に [続きを読む]
  • 『十字路のカエル』
  •  雨上がりの午後。誇り高き旅人が林道を歩いていると、途中で看板の立つ十字路にさしかかりました。 その看板には『右 沼地、左 行き止まり、直進 宿舎』と書かれていました。旅人はその案内に従いそのまま真っ直ぐ進もうとすると、ふと誰かに呼び止められました。「お主、何者だ」 驚いて旅人は辺りを見回します。しかし辺りには誰もいません。「こっちだ。どこを見ている」 再び声が聞こえたので、声のした方向を見ると、 [続きを読む]
  • 『告白のお礼に』
  •  先日は、こんな私に告白をしてくれてありがとう。好きな人に告白するって、相当結城がいるもんね。だからあなたが私に告白してくれたこと、本当に嬉しかった。 でもね、私にとっては寝耳に水。まさかあなたに告白してもらえるなんて思ってもみなかったの。だからあの時は、すぐに返事ができなかった。嬉しさよりも驚きが多くて、頭の中が真っ白だった。悪いとは思ったのよ。でも一度、自分の中で整理してから答えを出そうって。 [続きを読む]
  • 『三太郎』
  •  さて、今回は日本昔話にある『〜太郎』のオマージュです。 とある村に三人の兄弟が住んでいました。その三兄弟に両親はおらず、三人が手分けして仕事や家事をこなしていた。しかし三人には、とても厄介なことがあったのです。 それは、三人の名前が「太郎」と同じ名前だったのです。 次男の太郎は他の二人のことを「お兄さん」と「弟」と呼びます。一番下、末っ子の太郎は「お兄ちゃん」と「二番目のお兄ちゃん」と、二人とも [続きを読む]
  • 『臨場感と疲労感』
  •  このゲームは落とせない。 ロスタイムは3分。ボールは我がチームの手中に収めている。「よし! こっちによこせ!」 蹴り上げたボールは、反対サイドへと宙を舞う。コート上のほぼ全員の視線がひとつになっている中、一人だけ全く違う方向へと視線を向ける者がいた。 彼はひとりゴール前へと走る。一歩送れて相手チームの選手がそれに気づく。しかし彼はすでにトップスピード。走力のポテンシャルはそれほど変わりないが、彼 [続きを読む]
  • 『夢を食べる彼』
  •  彼の言葉は具現化する。 そんな彼との初めての出会いは、学校の教室。隣の席だった彼が私に声をかけてきたのが最初だった。私たちは互いに一目惚れ。出会ってから付き合うまでの時間は、ほとんどなかったように覚えている。 彼は夢を語る癖があった。私との会話はほとんどが彼の夢の話。「俺は将来、社長になってお金をたくさん稼ぐ」とか、「子供は野球チームが作れるくらい欲しい」とか、「年寄りになっても奥さんとキスして [続きを読む]
  • 『お金をくわえた犬』
  •  とある旧市街のバザールで、手作りのアクセサリーを販売していた一人の婦人がいました。閑古鳥が鳴く婦人のお店はとても質素で、置いてあるアクセサリーも、どこかその本来の輝きを失っているようでした。 そんなある日、その婦人のお店に一匹の老いた犬がやってきました。見ると犬の口には煤汚れた袋がくわえられています。婦人は恐る恐るその袋の中を確認すると、現金が入っていました。「あらまあ、これはどうしたの?」 婦 [続きを読む]
  • 『硝子の中の女神様』
  •  たとえば、彼女が神様だったとしよう。 彼女は僕にひとつだけ願いを叶えてくれると言った。 僕はもちろん、彼女と幸せになりたいと願った。 でも、彼女はその願いを叶えてはくれなかった。 理由は、神様は誰のものでもないからだって。 それなら、僕が神様だったとしよう。 僕は自分が叶えたい願いを、自分で叶えようとした。 しかし彼女には、僕の願いが届かなかった。 理由は、彼女は神様の存在を信じていなかったから [続きを読む]
  • 『まとめ記事⑦』
  •  2016年4月から8月までのまとめ記事です。 今回で7回目。もう少しでブログ開設よりまる3年が経ちます。更新は頻繁ではございませんが、こうして続けてこられてなによりですね。 3周年の時には、また何かしらの個人的な記事を書こうかと考えております。どうぞよろしくお願いします。◆オマージュ『雨雲と満月』……朧気な月はまた美しく見える。http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-131.html◆フェーブル『ウワバミロボッ [続きを読む]
  • 『むくいる』
  • 「先輩、実はわたし、好きな人ができちゃったんです」「へえ、そうなんだ。あれ、もしかしてその人物は先輩でしたってオチ?」「何言ってるんですか。勘違いも甚だしいですよ」「辛辣だなあ。良いじゃないか少しぐらい期待しても」「ダメです。先輩には素敵な奥さんがいるじゃないですか」「そうだった。ごめんごめん」「そうですよ。それで、誰だと思います?」「えー誰だろう? もしかして、おれの親友の慎一とか?」「ぶー、違 [続きを読む]
  • 『140字小説“Ⅲ”』
  •  今回も過去にTwitterにて、投稿しました140字小説こと親指小説を載せていきます。 掌編小説を書くことがメインの当ブログですが、この親指小説はその短さゆえ叙情詩的な表現になりがちな面があります。日本には短歌や俳句といった文章表現が古来から存在していますので、それらとは一線を引いて区別していきたいとは個人的に思っています。 詩を書くなら詩として、小説なら小説をというこだわりははっきりと持っていきたい。た [続きを読む]