十文字 兄人 さん プロフィール

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十文字 兄人さん: 十文字掌編小説ぶろぐ
ハンドル名十文字 兄人 さん
ブログタイトル十文字掌編小説ぶろぐ
ブログURLhttp://kairotto.blog.fc2.com/
サイト紹介文掌編小説を書いてます。ジャンルに囚われない物語を。不定期の更新です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供42回 / 365日(平均0.8回/週) - 参加 2014/08/25 18:29

十文字 兄人 さんのブログ記事

  • 『白馬の王様』
  •  とある小さな国の王様は、毎日自慢の白い愛馬に乗って散歩をするのが日課でした。 最初は気分転換のつもりで始めた散歩だったのですが、いつしか国中の民のご機嫌伺いとなり、王様にとっては国の内情を肌で感じることができる良い機会でもありました。 そんなある日、いくら援助をしても、貧しいままでいる村があるという噂を耳にして、王様は国の外れにあるその村を訪れました。そこで、道端に座り込む一人の村人に声をかけま [続きを読む]
  • 「くらむ」
  • 「……ねえ、三組の山田君が、水島さんと一緒に帰ってたってるところ、見ちゃったんだけど」「ああ、なんか最近、付き合い始めたみたいだね」「え、あんた知ってたの?」「まあ、風の噂で聞いただけだけど……」「そう……。しかもその二人、自転車で二人乗りしてたんだよ。山田君がこいでる自転車の荷台に水島さんが乗って」「掴まってた?」「え?」「いや、だから、ちゃんと掴まってたのかって聞いてるんだよ。水島さんが山田の [続きを読む]
  • 『靄々傘』
  • 「ありがとうございましたー」 最悪だ。 濁った水溜まりを飛び越えようとするも、失敗して靴がびしょびしょになった気分だ。 これはコンビニでちょっと気になった雑誌を立ち読みしていた罰、なのか。 コンビニの出入り口付近にある傘立て。そこに刺さっている傘は現在3本。1本は、ちょっと高そうな黒光りした傘。他の2本は、このコンビニでも売っていそうなビニール傘だ。しかし、その3本とも自分が持ってきた傘ではなかった。 [続きを読む]
  • 『明けましての彼』
  • 「おはよう」 新年早々、私に目覚めの笑顔を見せてくれた彼。 私にとって彼は、心を明るく照らすお日様のよう。 何がいいかって、このくしゃっとなる笑顔だ。寝坊助の私をいつも笑顔で起こしてくれる。「はい、コーヒー。そうだ、今日はご飯にする? それともトースト?」 毎日朝食を準備してくれて、片付けや部屋の掃除、ありとあらゆる家事を全てこなしてくれる彼。私にはもったいないくらいだ。「いつもの神社、やっぱり混 [続きを読む]
  • 『ペンディング探偵の代役』
  •  今日も龍穂探偵事務所に、一人の依頼人が訪れた。 依頼人の名は、秋吉充(あきよしみつる)57歳。地元で板金加工業の工場を経営している社長さんだ。雪だるまのような体型に、屈託のない笑顔。社長というよりは、工場長のような雰囲気を出している。「すみません、もう少々お待ちください」 秋吉に三杯目のお茶を差しだし、私はすぐに時計を見た。午後七時を回った。この龍穂探偵事務所に龍穂さんはいない。私が朝いつも通り出 [続きを読む]
  • 『活動報告』
  • ご無沙汰しております。十文字兄人です。師走らしい忙しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、まず最初に謝罪をさせてください。約一ヶ月ほどの間、ぶろぐ更新できずに申し訳ございませんでした。何を隠そう、私個人的な事情もあいまって、なかなか創作活動ができずにおりました。(現在進行形)言い訳をすれば事足りないのですが、ここでそれを述べても致し方ありません。今月も半月を切り、更新できるか否かという状 [続きを読む]
  • レビュー『愚者のエンドロール』
  •  今回紹介するのは、米澤穂信著『愚者のエンドロール』です。高校1年目の夏休みの終盤、古典部の面々は、2年F組の生徒が文化祭の出展に向けて自主制作したというミステリー映画の試写会へと招かれる。しかしその映画は、脚本家の体調不良で話が進まなくなってしまったことで、事件の結末が描かれないまま尻切れトンボで終っていた。古典部は2年F組の入須冬実から、映画の犯人役を探し当てる「探偵役」を依頼される。映画の結末が [続きを読む]
  • レビュー 『向日葵の咲かない夏』
  •  さて、今月に入りまして当ブログ「十文字掌編小説ぶろぐ」は丸3年が経ちました。 毎年それを記念して様々な記事を書いてきましたが、3年経った今回は私がオススメする小説を紹介したいと思います。紹介ですので、あらすじに私なりのレビューを書かせていただきます。 以前にも似たような記事は書きましたが、今回は物語の内容にも触れネタバレ無しで、ぜひ皆さんに読んでいただきたい小説をご紹介します。あくまでも未読の方に [続きを読む]
  • 『十字路のカエル』
  •  雨上がりの午後。誇り高き旅人が林道を歩いていると、途中で看板の立つ十字路にさしかかりました。 その看板には『右 沼地、左 行き止まり、直進 宿舎』と書かれていました。旅人はその案内に従いそのまま真っ直ぐ進もうとすると、ふと誰かに呼び止められました。「お主、何者だ」 驚いて旅人は辺りを見回します。しかし辺りには誰もいません。「こっちだ。どこを見ている」 再び声が聞こえたので、声のした方向を見ると、 [続きを読む]
  • 『告白のお礼に』
  •  先日は、こんな私に告白をしてくれてありがとう。好きな人に告白するって、相当結城がいるもんね。だからあなたが私に告白してくれたこと、本当に嬉しかった。 でもね、私にとっては寝耳に水。まさかあなたに告白してもらえるなんて思ってもみなかったの。だからあの時は、すぐに返事ができなかった。嬉しさよりも驚きが多くて、頭の中が真っ白だった。悪いとは思ったのよ。でも一度、自分の中で整理してから答えを出そうって。 [続きを読む]
  • 『三太郎』
  •  さて、今回は日本昔話にある『〜太郎』のオマージュです。 とある村に三人の兄弟が住んでいました。その三兄弟に両親はおらず、三人が手分けして仕事や家事をこなしていた。しかし三人には、とても厄介なことがあったのです。 それは、三人の名前が「太郎」と同じ名前だったのです。 次男の太郎は他の二人のことを「お兄さん」と「弟」と呼びます。一番下、末っ子の太郎は「お兄ちゃん」と「二番目のお兄ちゃん」と、二人とも [続きを読む]
  • 『臨場感と疲労感』
  •  このゲームは落とせない。 ロスタイムは3分。ボールは我がチームの手中に収めている。「よし! こっちによこせ!」 蹴り上げたボールは、反対サイドへと宙を舞う。コート上のほぼ全員の視線がひとつになっている中、一人だけ全く違う方向へと視線を向ける者がいた。 彼はひとりゴール前へと走る。一歩送れて相手チームの選手がそれに気づく。しかし彼はすでにトップスピード。走力のポテンシャルはそれほど変わりないが、彼 [続きを読む]
  • 『夢を食べる彼』
  •  彼の言葉は具現化する。 そんな彼との初めての出会いは、学校の教室。隣の席だった彼が私に声をかけてきたのが最初だった。私たちは互いに一目惚れ。出会ってから付き合うまでの時間は、ほとんどなかったように覚えている。 彼は夢を語る癖があった。私との会話はほとんどが彼の夢の話。「俺は将来、社長になってお金をたくさん稼ぐ」とか、「子供は野球チームが作れるくらい欲しい」とか、「年寄りになっても奥さんとキスして [続きを読む]
  • 『お金をくわえた犬』
  •  とある旧市街のバザールで、手作りのアクセサリーを販売していた一人の婦人がいました。閑古鳥が鳴く婦人のお店はとても質素で、置いてあるアクセサリーも、どこかその本来の輝きを失っているようでした。 そんなある日、その婦人のお店に一匹の老いた犬がやってきました。見ると犬の口には煤汚れた袋がくわえられています。婦人は恐る恐るその袋の中を確認すると、現金が入っていました。「あらまあ、これはどうしたの?」 婦 [続きを読む]
  • 『硝子の中の女神様』
  •  たとえば、彼女が神様だったとしよう。 彼女は僕にひとつだけ願いを叶えてくれると言った。 僕はもちろん、彼女と幸せになりたいと願った。 でも、彼女はその願いを叶えてはくれなかった。 理由は、神様は誰のものでもないからだって。 それなら、僕が神様だったとしよう。 僕は自分が叶えたい願いを、自分で叶えようとした。 しかし彼女には、僕の願いが届かなかった。 理由は、彼女は神様の存在を信じていなかったから [続きを読む]
  • 『まとめ記事⑦』
  •  2016年4月から8月までのまとめ記事です。 今回で7回目。もう少しでブログ開設よりまる3年が経ちます。更新は頻繁ではございませんが、こうして続けてこられてなによりですね。 3周年の時には、また何かしらの個人的な記事を書こうかと考えております。どうぞよろしくお願いします。◆オマージュ『雨雲と満月』……朧気な月はまた美しく見える。http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-131.html◆フェーブル『ウワバミロボッ [続きを読む]
  • 『むくいる』
  • 「先輩、実はわたし、好きな人ができちゃったんです」「へえ、そうなんだ。あれ、もしかしてその人物は先輩でしたってオチ?」「何言ってるんですか。勘違いも甚だしいですよ」「辛辣だなあ。良いじゃないか少しぐらい期待しても」「ダメです。先輩には素敵な奥さんがいるじゃないですか」「そうだった。ごめんごめん」「そうですよ。それで、誰だと思います?」「えー誰だろう? もしかして、おれの親友の慎一とか?」「ぶー、違 [続きを読む]
  • 『140字小説“Ⅲ”』
  •  今回も過去にTwitterにて、投稿しました140字小説こと親指小説を載せていきます。 掌編小説を書くことがメインの当ブログですが、この親指小説はその短さゆえ叙情詩的な表現になりがちな面があります。日本には短歌や俳句といった文章表現が古来から存在していますので、それらとは一線を引いて区別していきたいとは個人的に思っています。 詩を書くなら詩として、小説なら小説をというこだわりははっきりと持っていきたい。た [続きを読む]
  • 『雨雲と満月』
  •  今回はイソップ寓話『北風と太陽』のオマージュです。 太陽が沈んだとある夜空に、それはそれは大きな雨雲がやってきました。 雨雲は今まさにその身体に溜めた雨水を降らせようとしています。そこに上から見ていた満月が声をかけました。「ちょっといいですか、雨雲さん」「なんだ満月。俺は忙しいんだ」「貴方は雨を降らし、人間を濡らすけれど、それは良いことなのですか?」「良いこと? そりゃ俺の雨がなけりゃ、人は生き [続きを読む]
  • 『のっぺらぼうず』
  •  私が受け持つクラスには、ひとつだけ空いている席があった。 初めは単なる余りの席。前任の教師が片付けるのを怠っただけだと軽く考えていた。しかしある児童行動によって、私の脳裏にハエが集るような厭な胸騒ぎがしたのだ。 休み時間。元気よく教室を走り回っていた児童を注意しようとした時だ。その内のひとりの児童が、あの空いている席にぶつかり勢いよく椅子を倒してしまったのだ。 すると、その児童は急に青ざめた表情 [続きを読む]
  • 『ペンディング探偵の定め』
  •  ワンルームの部屋。ローテーブルに二人がけのソファー。三段のカラーボックスが二つ。中には雑誌や漫画、小説に誰かの啓発本などが乱雑に収納されている。 キッチンにはフライパンや包丁などの調理器具、また基本的な調味料もそろっていた。冷蔵庫の中身を拝見すると、それなりの自炊はするようにうかがえる。それから洗面所やお風呂場、隅々まで調べたが違和感を覚えることはなかった。 探偵である龍穂さんは、改めてこの部屋 [続きを読む]
  • 『暗がりから牛を引き出すには』
  •  時刻は丑三つ時。牛飼いの青年は困り果てていました。 それは先程小屋で飼っていた黒牛の一頭が、突然暴れ逃げ出してしまったのです。実はその日の昼間に、その黒牛は闘牛大会に出場して負けてしまっていました。おそらくそれが原因です。 その逃げ出す音に気づいた青年は、急いで黒牛を追いかけました。 すると黒牛は小さな洞穴に入っていきました。中は真っ暗で月明かりも届きません。興奮している黒牛はとても危険です。な [続きを読む]
  • 『世界とアルカナ』
  •  その日、町はお祭り騒ぎになっていた。 王国で王位継承の式典が開催されていたからだ。女王様が高齢を理由に王位を退き、成人を迎えた王子ことソフィア王子が次期王となる。 王位継承の祭典は国中で盛り上がり、すべての国民が注目する。それだけ王族は国民に崇められていた。仕事や学校は休みとなり、多くの人がお城前の広場まで足を運ぶ。新たな王の言葉をその耳で直接聞くために。 アルカナは、その祭典の特別招待客として [続きを読む]
  • 『審判とアルカナ』
  •  人は死んだら生まれ変わるんだって、いつか読んだ本に書いてあった。ただそれがどの本だったかまでは、忘れてしまった。 この家はこんなに広かっただろうか。改めて見ると、不思議とそう感じる。産まれてからずっとこの家に住んでいたのに。 荷物はあらかた片付いている。たくさんあった本も、施設に寄付する形で落ち着いている。思い出の詰まった家を手放すのは心苦しいが、近くに置いておきたい物だけは残してあった。ブリキ [続きを読む]