natukonatsu さん プロフィール

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natukonatsuさん: 一人同人誌計画
ハンドル名natukonatsu さん
ブログタイトル一人同人誌計画
ブログURLhttp://natsukonatsu2.seesaa.net/
サイト紹介文趣味で小説を書いています。ひとりきりの同人誌。男同士、女同士、男女の恋愛。基本大人向けです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供0回 / 365日(平均0.0回/週) - 参加 2014/09/03 10:57

natukonatsu さんのブログ記事

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  • 切子のグラス
  •  魚子と書いて、ななこ、というのが私の名前だ。 職人だった祖父がつけた、名。 私は手にした小さな紙片を見つめた。角が傷んで小さな皺を、目に見えないくらい小さな皺を蓄えている。私はそれを、右手の親指ですすすと、もう一度伸ばすように擦った。その紙片は、名刺大の大きさで、── というか名刺で ── 東京とは名ばかりの鬱蒼とした山を彷彿とさせる住所と、工房主の名を一文字とった工房の名前「刻」、そして、工房の [続きを読む]
  • 花の形のピアス
  • 久しぶりの恋をした、と友人が言う。小さな花の形のピアスが柔らかな光の中で光った。電話口で、久々に会いたいと言った彼女の口調は穏やかで、そして少し切羽詰っていた。そういうところも昔のままだと思った。小さな喫茶店で、彼女は声をひそめる。密やかな恋を語る。でもそれは、案外優しい恋で、幸せならよかった、と私は笑った。「幸せなんかじゃないわよ」と、彼女は言う。幸せそうな笑顔で。満たされた笑顔で。「とにかくよ [続きを読む]
  • チーク
  •  つまり、上気した肌の、その色、ということだ。それだから私は、彼女の白い肌にすっと赤みのさすところを想像した。彼女の形の良い唇が、花の蕾が解けるように緩む様子や、白い首につく赤い痕を、まるで目の前でそれを見ているかのように想像することができた。私の想像力が極めて高いから、というのではけしてない。彼女の立ち居振る舞いは、けして艶っぽいという訳ではないのだけれど、そういうことを想像しようとしてたやすく [続きを読む]
  • 花の記憶
  • この時期になるとふと思い出すことがある。花の思い出だ。垣根に落ちていたのだろうか。何の花だったのか。一重の愛らしい花だったように記憶している。ふと隣から居なくなった人は、振り向くと少し早歩きをして私に並び、何も言わずにその花をくれた。「ありがとう」と、言った私の声はどこか素っ頓狂だった。花をずっと手にして歩いた。どこまでも、どこまでも続いて行くその道が、ずっと地の果てまで続いているような錯覚に陥っ [続きを読む]
  • かに
  • 「蟹がね、好きなのよね」と、彼女は言う。細いが張りのある髪は少し赤みがかっている。瞳も黒くはない。たとえ夜でも、雨の鬱々と降る日でも、いつでも昼間の窓辺にいるように、太陽を映したような明るい茶色の瞳をしている。肩までの髪が彼女の動きとともに揺れる。振れる、という表現が似合うほど揺れる。それから彼女は、本当に太陽を映したような笑顔で大きく微笑んで、一呼吸して「蟹といっても色々あるのだけど。蟹とかって [続きを読む]
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