大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」 さん プロフィール

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大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」さん: 大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」
ハンドル名大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」 さん
ブログタイトル大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/goo1120_1948
サイト紹介文さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です。多くのジャンルをさ
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更新頻度(1年)情報提供331回 / 365日(平均6.3回/週) - 参加 2014/09/26 07:55

大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」 さんのブログ記事

  • 『この国の空』
  • 1945年夏の杉並の女家族の話。著しく気勢の上がらない映画で、普通戦時中の日本というと、戦争への動員等が描かれ、一億総動員のシーンで盛り上げるが、一切ない。それは、荒井晴彦の意図だろうが、それも私は一面的にも思える。というのも、左翼的立場だった関川秀雄監督の1953年の映画『ひろしま』でも、戦時中の総動員ぶりを挙国一致の民衆の姿として描いていたからである。父はすでになく、19歳の主人公の二階堂ふみは、母・工 [続きを読む]
  • 役作りの有無が劇の出来を決めた 劇団俳小アイルランド近代劇
  • 日暮里のDー倉庫という場所で、劇団俳小のアイルランド近代劇の公演が行われた。アイルランドの近代劇は、大正から昭和初期に日本で非常に人気のあったジャンルで、新劇はもとより新歌舞伎などでも多く上演された。戯曲集も出ていたが、戦後は人気が落ちたためかなくて、今回の劇の翻訳も大正時代の松村みね子のものである。『谷のかげ』は、J・M・シングのもので、田舎の谷に住んでいる夫婦(勝山了介と吉田恭子)の家に、ある雨 [続きを読む]
  • 「晩節を汚す」そのもの 石原慎太郎の証言
  • 昨日行われた、石原慎太郎元東京都知事の証言は、まさに「晩節を汚す」そのものだった。            まず、「脳梗塞で平仮名も忘れ、記憶も不十分だ」と言ったが、本当かねと思う。同じ脳梗塞を患った者として病院で多くの患者を見て来たが、言語障害が残るのは、右麻痺であり、これは女性に多く、男性のほとんどは左マヒで、言語障害は普通起こらず、記憶障害も少ない。私もそうだが、普通の男性は左麻痺であり、長 [続きを読む]
  • 『億万長者』
  • 1954年、新東宝で公開された市川崑作品だが、製作は青年俳優座、つまり劇団青俳である。相当に奇妙で誇張された内容になっていて、まず久我美子が、数寄屋橋で「平和のために原爆を持ちましょう」と演説している。久我は、狂人であることが途中でわかる。主人公は税務署員の木村功で、貧しくて葬儀屋の二階に下宿しているところから物語は始まる。税務署内部の不条理さが描かれるが、ここは脚本の中心だった安倍公房のセンスが感じ [続きを読む]
  • 『宇宙大怪獣ギララ』
  • 1960年代後半になぜか松竹が作った怪獣映画で、監督は次の不思議映画の『昆虫大戦争』も作った二本松嘉端である。富士山の麓に国際研究所があり、そこに濃縮ウランが運ばれて来て、そのエネルギーでロケットが宇宙に発射される。搭乗員は、和崎俊也、園井啓介、柳沢真一の他、外人女性がいてペギー・ニール。火星を目指していたらしいが、途中でUFOから物を発射される妨害があり、予定を変えて月の基地に着陸する。容易にできて [続きを読む]
  • 『酔っぱらい天国』
  • 1962年の渋谷実監督作品、主演は笠智衆で、小津安二郎映画でとはまったく違う姿を見せて非常に面白い。1950年代から、渋谷は大変に評価が高く、常に問題作の発表を求められていたので、当時こうした軽い喜劇の評価は高くなかったが、今見ると大変に笑える。笠智衆は、ある会社の経理課長だが、ソロバン信者で、専務の滝沢修がコンピュータ化を推進し、そこにいた女性職員は全員配転されて、課長と係長の二人にされてしまう。笠は [続きを読む]
  • 『人生劇場』
  • 10本以上が作られているという『人生劇場』の最初の内田吐夢監督版。1936年の日活多摩川作品のサイレント版だが、全11巻の内4巻分のみ。さらに状態はかなりひどいが、マツダ映画社が努力して収集された結果なので、それに感謝するしかない。主演は小杉勇で、瓢吉と父親の瓢太郎の両方を演じている。吉良常は、山本礼三郎である。私は、早稲田の連中が宴会になると、この『人生劇場』を歌うのが非常に嫌で、いつも「なぜこんなダ [続きを読む]
  • 『かあちゃん』
  • 前から気になっていたが、見て唖然としたひどい映画である。市川崑の映画では最低だろう。やはり彼は『細雪』が頂点で、その後は惰性だったのだろうか。美術、撮影、照明等は素晴らしいが、中身が信じられないほどにひどい。2001年という、小泉構造改革で浮かれていた時に、こんな貧乏話をやっても、リアリティがあるわけもない。天明の頃、江戸の貧しい人間が住む長屋に、若者(原田龍二)が泥棒に入るが、おかみさん(岸恵子) [続きを読む]
  • 『海峡を越えた野球少年』
  • 朝鮮戦争後の1956年から1997年まで、韓国では全国学生野球大会が行われ、大人気になった。中には在日同胞チームもあり、プレーのレベルの高さは、韓国民を驚かせた。1956年チームには張本勲もいたという。後のことだが、広島の金城、中日の中村、阪神の桧山なども出たことがあるそうだ。一番驚いたのは、この韓国大会に大会に対抗して、1980年代には北朝鮮でも同じ試みがあり、それに出た在日選手もいたというのだ。このドキュメ [続きを読む]
  • 『冬の嵐』
  • 1987年の映画で、昔、テレビの深夜放送で見て非常に面白いと思ったが、その後見る機会がなかったが、CSで放送されたので、録画して見たが、やはり非常に面白い。                      冒頭でコインロッカーからカバンを出した女性が、車に戻ると後ろの席にいた男に首を絞められ、指を切られる。そこから全く関係なく、ニューヨークの売れない女優のメアリー・ステインバージェンが女優のオーディションに [続きを読む]
  • 鈴木清順死去、93歳
  • 6年前に私は鈴木清順について次のように書いた。2011/6/28 監督の鈴木清順88歳が、結婚していたことが新聞、テレビ等で大きく報道された。別にどうということもない話だが、おかしいのは、映画『チゴイネルワイゼン』や『歌う狸御殿』の、と書かれていることだ。多分、書いた連中は、そのくらいしか見ていないのだろう。だが、私たちにとって、鈴木清順と言えば、まず『けんかえれじい』であり、『東京流れ者』、そして『野獣の [続きを読む]
  • 『ラ・ラ・ランド』
  • 横浜美術館で篠山紀信展を見たのち、横浜ブルグ13に行くと、『ラ・ラ・ランド』が初日で上映されている。昔、J・P・サルトルの脚本で『賭けはなされた』という映画があった。別々の理由で死んだ男女が死後知り合って愛しあう。二人は生き方を変えてみるが、やはり元の死に行きつくという映画であり、私はテレビで見ただけだが、なかなか面白い作品だった。マキノ正博と片岡千恵蔵、沢島忠と中村錦之助の映画にも、同様のものがあ [続きを読む]
  • 『大根と人参』
  • 小津安二郎記念映画と称されていて、小津が野田高梧と脚本を構想していた物を、渋谷実が監督を受け継いで1965年に作った作品。渋谷実は、映画『モンローのような女』の失敗で、「もうだめだ」とされていて、これもひどいとされてきたが、改めて見てみると結構面白い。主演は、もちろん笠智衆だが、小津映画の温厚で、異常なほどに真面目な中年男の殻を途中で完璧に破り、破天荒に騒ぐところは、大笑いである。筋は、中学の同級生 [続きを読む]
  • 『上海の女』
  • 1952年の山口淑子主演の映画で、監督は稲垣浩。稲垣について、東宝の藤本真澄は、「東宝の監督の4番打者だ」と言ったというが、この作品は凡打だろう。問題は脚本にあり、棚田五郎のシナリオにセンスがなく、また1945年夏の中国での勢力関係についての説明が不足している。久しぶりに上海の上司佐々木孝丸のところに戻った特務工作員三国連太郎は、重慶側の組織の解明の任務を与えられる。キャバレー・パラマウントの歌手山口淑 [続きを読む]
  • 『化石』
  • 小林正樹はあまりにまじめで息抜きがないので苦手で、これはどうかなと思っていたが、意外にも面白かった。一代で建設会社を作った社長の佐分利信が、欧州旅行に行く。随行は井川比佐志だけでパリを中心に観光をする。前半は、やや観光映画風だが、これはテレビで放映した後、再編集して劇場公開するという形式をとったためだろう。カメラの岡崎宏三の本では渡仏したスタッフは9人で、他は現地の人間だったそうだ。16ミリで撮り、 [続きを読む]
  • ブログ移転のお知らせ
  • このたび事情があり、ブログを移転しました。以前は、別にホームページを作っていたのですが、この間やっていて日々の記事は結局ブログが中心となったので、そこを中心にホームページを作ることにしました。まだ、全部の記事が移動できていませんが、順次移動させていく予定ですので、よろしくお願いいたします。あたらしいサイトはhttp://sasurai.biz/になります。 [続きを読む]
  • 不正受給はあるのか 生活保護問題
  • 小田原市の生活保護担当が不適切な文言のジャンパーを着ていて問題となっている。だが、反対に生活保護についてよく言われるのが、所謂「不正受給」であろう。虚偽の申請で多額の保護費を受給し、高級車を乗り回しているというのが、あたかも真実のように語られる。だが、本当だろうか。私は、横浜市のある区にいたとき、2年間保護費の支出の担当課長を務めたことがある。その時は、平塚市で生活保護担当の職員が保護受給者とのト [続きを読む]
  • 『若き日のあやまち』
  • 1952年の新東宝映画、脚本は植草圭之介と菊島隆三、監督は野村浩将で、主演は言うまでもなく左幸子、映画デビュー作。昔、キネカ大森で開かれた彼女の特集のとき左幸子は、これと日活の『踏み外した春』は、まさに自分の人生を象徴しているような題名だと言っていたが。女子高生の左は、父親は医者の十朱幸雄で、裕福な家である。彼女は大学生松本朝夫らとスキーに行ったとき、彼とキスしたという噂をわざと校内で流行らせる、ませ [続きを読む]
  • 石原裕次郎の最大の被害者だったが
  • 松方弘樹が死んだ、74歳とはあまりに若いが、ガンの一種であるリンパ腫では仕方がないところだろう。「この男も、石原裕次郎の被害者だったな」と思ったのは深作欣二監督の映画『恐喝こそ我が人生』を見たときだった。よく見れば、彼はすごい二枚目で(実際には大変な色気もあるそうだが)、そのままロマンのヒーローを演じればよいのに、わざわざ汚れ役の不良を演じている。これは、1950年代に石原裕次郎がデビューし、日本映画の [続きを読む]
  • 隠れた傑作 『昼下がりの暴力』
  • 監督の野口博志は結構いい監督で、赤木圭一郎の「拳銃無頼帖」シリーズなど当たりはずれの少なく、昔から好きだったが、これは傑作だった。新宿の暴力団のボス菅井一郎は、最近の落ち目から麻薬の取引をすることになり、部下の水島道太郎にやらせる。菅井の女は筑波久子で、当時(1959年)は日活のトップ女優だったが、いかにも腰軽なギャングの情婦にぴったりで、実は水島とできている。                     [続きを読む]
  • 『アラビアの女王』
  • 20世紀の始まり、イギリスに生まれ、富豪の娘として社交界にデビューするが、相手が見つからないベルは、叔父が赴任していたペルシャ(イラン)のテヘランの大使館に行き、そこの美しさに魅了される。また、アラブの人が誇り高く自由に生きているのにも感動する。イギリスは、当時から今日に至るまで強い階級社会であり、多くの人はその階級の中でしか生きられないようだ。そこから、中東の文物、地理、民族の研究、考古学に進み、 [続きを読む]
  • 『花の幡随院』
  • 歌舞伎の幡随院長兵衛を主人公とした時代劇大作で、長兵衛は先代松本幸四郎、妻が山田五十鈴、白井権八が津川雅彦、吉原三浦屋の太夫小紫が嵯峨三智子、そして故郷の因幡で強引に愛人にされたのが中村珠緒で、彼女だけが大映。監督は、当時松竹京都の時代劇の筆頭監督だった大曾根辰保、脚本は鈴木兵吾などで、1959年の芸術祭参加作品。江戸で愚連隊のように暴れている旗本白柄組の頭領水野十郎左衛門が森美樹というのが少々弱い。 [続きを読む]
  • 『ロッシュフォールの恋人たち』
  • 古今東西に映画は多数あるが、これほど幸福な気持ちにさせる作品はないと思う。               いうまでもなく1967年のフランス映画で、監督はジャック・ドミー、主演はカトリーヌ・ドヌーブとフランソワ・ドルレアックの世界で一番美しい姉妹と言われた女優が、映画の中でも姉妹を演じている。ドヌーブは、子供にバレーを、ドルレアックはピアノを教えているが、田舎町のロッシュフォールには飽き飽きしていてパ [続きを読む]