夏音 さん プロフィール

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夏音さん: 風のアダージョ
ハンドル名夏音 さん
ブログタイトル風のアダージョ
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/poem-kanon
サイト紹介文樹木を渡る風笛が聞こえる
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供43回 / 365日(平均0.8回/週) - 参加 2014/09/26 14:56

夏音 さんのブログ記事

  • 名前のない日常
  • 重なり連なる越後の山々が夜の色へと濃く淡く大地へ溶ける夕まづめ稜線を越えてきた薄墨色の風はリヴィングのカーテンを揺らし夕餉の匂いを揺らし点在する家々のたしかな営みを運んでいるわたしは幸せの匂いを嗅ぐ視界にあるあなたの笑顔(C)Kanon [続きを読む]
  • 初秋の里2
  • いちめんの芒が原その真先を風が撫でていく童子のうぶ毛を慈しむように慈愛深くわたしは謳う乳色に染まるはじまりの秋をあしたへのいのちを希望をちからを(C)Kanon [続きを読む]
  • 晩夏の熱
  • 言葉なんて無意味だったあの夏水平線を泳ぐ羊の雲を追いながらわたしは物語を編んでいた素足に纏わりつく砂さらわれそうな波寄せる波濤が見つめるわたしを誘っていた言葉なんて無意味だった夏の過ぎし情熱がめくるめく(C)Kanon [続きを読む]
  • 夢追い人
  • ドリームその濃密なかほり去りゆく夢甘酸っぱく巡りくる夢美しくそんな独りごちを風が掬って空へと散らす仕舞えないままの夕暮れ時見果てぬ夢がわたしを縛る(C)Kanon [続きを読む]
  • 幻のアダージョ
  • キャンドルの朧な灯りに揺れる繋ぐことのない思い出たち音なき色なき熱なきただ甘酸っぱいもの優しい時間の中へ去っていった眼差し一つ置いた追憶の夜***”キャンドルの灯りを挟んで向き合って君を見つめていたい ただそれだけでいいんだよ”と、言ったあなた そんな甘いセリフを言う人じゃなかったのにわたしは軽く笑いとばしてそれで終わりにしてしまった幸福の中にいたことをわたしは分ろうとしなかったあなたがいなくなっ [続きを読む]
  • 大地への刻印
  • 尖がっていたあの日のkokoroザラついていたあの時の想い突き刺さった何気ない言葉の刃そんな沈殿した記憶たちをいつか大地へと還したい残るのは愛だけだと迷いながら揺れながら日々を歩くそしていつか大地を抱いて泣いてみたい(C)Kanon [続きを読む]
  • 罠(最終章)
  •  女将は、麻耶が上京してから女将に宛てた手紙と、十数冊にもなる大学ノートを持ってきていた。二人の遺品になるだろうからあなたが持っていた方がいいと言って渡された。大学ノートは佳代子の日記だった。 結城は読む勇気がなかった。混乱した。そんな結城を見ながら女将は、麻耶はあなたの子供だと告げた。その事実を、佳代子は麻耶には告げてはいない、とも言った。でもあの子は利口で勘のいい娘だから、あなたが父親だとわか [続きを読む]
  • 罠(五)
  •  選挙戦も終盤に達していた。結城は疲れが溜まり、眠れない夜が続く。その原因の大半が麻耶にあることは自覚していた。 幼少時、父親を亡くしたという麻耶の話は嘘だった。麻耶は”非嫡出子”であった。”麻耶は知っているはずだ、封筒の内容を知っている。そして、結城が父親ではないかと疑っている。きっとそうなのだ、きっとそうに違いない。だがしかし、本当に自分の子なのだろうか?年齢からして辻褄は合う。しかし…たった [続きを読む]
  • 罠 (四)
  •  あの年は、いつになく猛暑だった。結城賢治は大学生活最後の夏を、例年長野県の菅平高原で行われる、ラグビー部の夏合宿に参加していた。 斜面を掛け登ったり、傾斜を利用したモール練習をしたり、菅平でしかできない練習に明け暮れていた。  そんな厳しい練習の中、結城は体調を崩し、一日だけ練習を休んだ日があった。 午後になり、気分も快復したので外出の支度をしていた。いつも世話をしてくれる仲居が、結城の様子を見に [続きを読む]
  • 罠(三)
  •  公示日が近づき選挙へのムードが高まっていくにつれ、事務所は殺気立っていく。結果次第で、秘書もスタッフも職を失う可能性があるので、必死になる。結城自身も選挙区内で行われる後援会へ出席したり、国政報告会の開催や様々な要望や陳情も聞かなければならず、時間に追われながらスケジュールをこなしていた。しかし、頭の中にはいつも麻耶の存在があった。 麻耶は、よく気が利く少女だった。事務所の掃除やお茶くみを自発的 [続きを読む]
  • 罠 (二)
  •  事務所に戻ると、娘は、儚げに座っていた。結城を見ると立ち上がり、ピョコンとお辞儀をした。それが結城には可愛く思え、それまでの苛立っていた気持ちが和らいでいくのを感じた。「ずいぶん待たせてしまったね。私に用があるんだって?何かな?」 娘は、14〜5歳だろうか、白いブラウスに紺のプリーツスカートを穿いている。髪の毛を三つ編みにしたその顔には、あどけなさが残っていた。 娘は、高木麻耶と名乗った後、”結 [続きを読む]
  • 罠 (一)
  •  その娘がやって来たのは、選挙公示の2ヵ月前であった。選挙というと、投票日の1週間くらい前から街宣車で立候補者の名前を連呼し、うるさいイメージがある。公職選挙法では、選挙活動が許されるのは公示日から投票日前日までとされ、事前活動は禁止されている。しかし、実際には、公示数ヶ月前からすでに激しい選挙活動が始まっているのだ。選挙事務所の手配・掲示用ポスター・日程調整・届け出書類の作成などが一斉に行われ、 [続きを読む]
  • 幸福のレシピを捨てる時(下)
  • 【最終章】 悠太との約束の日が来た。遥はもう一時間以上も自室にいる。気持ちが揺れていた。会いに行けば、その後の自分の心は流されるまま決まってしまいそうだった。  遥には、忘れることができない思い出がある。19歳の時に愛し合った、三つ年上の怜。 音楽と文学に造詣が深く、キラキラと輝いていた恋人。とりわけブラームスがお気に入りで、曲を聴きながら文学論を展開し、個性的な自説を楽しそうに話してくれた。ふたりは [続きを読む]
  • 幸福のレシピを捨てる時(中)
  • 【四】 遥は、父親の広告会社に籍を置いている。映像部に所属して、シノプシスライター兼雑用全般が仕事である。シノプシスライターという正式職業があるわけではなく、遥が勝手につけた肩書きだ。英文で送られてくる映画のプロットを翻訳して、短いあらすじにまとめるのだ。DVDのパッケージのウラに、ストーリーが簡単に書いてあるあれだ。たまに入ってくる仕事なのだが、社長の亮介は、頼み込まれると断りきれない人の良さがあ [続きを読む]
  • 幸福のレシピを捨てる時(上)
  • 【一】 「遥ちゃん、鶏肉が嫌いって言ってたから、入れてないわよ。」 小野寺悠太はその言葉に読んでいた雑誌から目を上げ、ハルカと呼ばれた娘の方を見た。コの字のカウンター席とテーブル席が3つの店内には、シャンソンが流れモネのレプリカが数点飾ってある。若いころパリに住んでいたという”カフェ サントノレ”のママは、本場仕込みのフランス家庭料理と菓子を得意としていて、かなり美味かった。悠太は日曜日の夕方は、た [続きを読む]
  • 「ムーン・リバー」
  •  深夜、ムクッと起き上がり木造アパートの外階段をバタバタと駆け下り、階下の雀荘のドアをバタンと開けた。客たちが一斉に振り向く。 「あんたら、いつまでジャラジャラやっとんねん!うるそうて寝られへんやんか!山岸のおっさん!部屋の契約時、あんた何て言うたかまさか忘れてへんやろな。12時閉店やから心配ない言うたやんか!そやのに今何時やと思うてんねん!1時半やで!いい加減にせいや!」 客は、パジャマの上に薄い [続きを読む]
  • 指定席の女
  •  二人が沈黙してから、どれほどの時間が過ぎただろう。リサとユーイチは別れの時を共有していた。初めから結論は出ていた。二人には、祝福された未来など来ないこと。ただ突っ走り、愛した二年間だった。後悔はないと、リサは心で反芻する。  ”結婚ってね、二人で歴史を創っていくことなのよ。燃え上がっただけの炎だけでは続かないのよ。”平凡な主婦として平和に生きてきた母の言葉が、頭をよぎる。目の前のユーイチは、すで [続きを読む]
  • 涙色の愛
  • 人生って何が起こるか予測不能天災や事故や事件や病気や突然に愛する人を失う悲しみ一度っきりの人生なんだものみんなみんな幸せになりたいのに大切な人愛する人を奪わないでそんなことを思っていると涙が出る心が空気の中へ浮いて行ってしまうようで涙が止まらない残っているのは溢れるばかりの愛愛というどうしようもないこの心わたしに不幸があったというわけではありません(C)Kanon [続きを読む]
  • ザ・青い星の伝説
  •  今日は私の家に代々語り継がれてきた、ある女性のお話をしたいと思います。 私のルーツともいうべき物語です。  あるポカポカとした小春日和の夕方、孤児院の門のところに赤ん坊が捨てられていました。 院長が見つけて警察に届け、当時の新聞やマスコミなどで報道されたのですが、とうとう親は見つからずその子は孤児院で引き取られることになりました。 実はその捨てられていた赤ちゃんが私のルーツともいうべき人なのです。 [続きを読む]
  • 通勤電車の怪 ケーススタディ イトウマユミの場合
  •  私が可南子と知り合ったのは、ほんの偶然でした。 毎朝の通勤電車、その日は土曜日ということもあって、行楽に出かける家族連れも乗りあわせていました。 弾んだ親子の会話を聞きながら、なにげなく車内を見渡していた時、ふと、網棚のバッグに目が留まったのです。  それはオレンジ色のブリーフケースでした。 女性用のそれは、なぜか私を奇妙な気持ちにさせたのです。 乗客が入れ替わっても残されたままのそのバッグ。気にな [続きを読む]
  • ある男の半生
  •  藤崎純一郎は、まもなく53歳になる。 地方の大学を卒業後、地元の銀行に勤務して、30年余り経つ。地道に働き続けてきた平凡な男である。  そんな純一郎に2年前、夢でお告げがあった。 『おまえの命は、あと2年である!』突然のことであった。それ以来ずっとおびえて生きてきた。そして、その2年が今夜なのだ。 自分は健康だ、今日も仕事を終え、自宅でくつろいでいる。今夜これから何かが起こるなど想像もできなかった。 [続きを読む]
  • D 君の栞
  • 6月の空はシルバーグレーのやさしさそのてっぺん切り取ってキミに贈ろうキミとの絆の栞だよめげないで頑張ってるキミへ応援を結んで贈ろうD君へ贈ろう幸せの栞だよ(C)Kanon [続きを読む]
  • サキ
  •  喉に刃物をつきつけられても、サキは不思議と怖くはなかった。土壇場になるとヘンに腹が据わってしまう癖は子供の頃からであった。 「早く白状しねえか!亭主をどこに隠した!」三白眼の男はすごんでみせた。 「さっきから言ってるでしょ!私が知りたいくらいなんですよ!」サキは同じことを繰り返して言った。夫の惣吉が三日三晩も家を空けたことなど今までなかった。少し遊び人だが、どこか憎めない惣吉をサキは嫌いではなか [続きを読む]