シャボン玉の詩 さん プロフィール

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シャボン玉の詩さん: シャボン玉の詩
ハンドル名シャボン玉の詩 さん
ブログタイトルシャボン玉の詩
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/getanooto
サイト紹介文残り少ない道のりになりましたが、 気持ちをこめて! ありのままを!
自由文大きな病気を三つ抱えてておりますが、自伝小説や詩を書いたり、ネット囲碁、ゴルフなどたまにやったりして日々を過ごしております。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供84回 / 365日(平均1.6回/週) - 参加 2014/09/27 14:37

シャボン玉の詩 さんのブログ記事

  • 青い飛沫(12)
  • 年が空けて早々、浦島康子は一週間の入院の後、春樹のもとへと旅立った。治には何となくそんな予感がしていた。直前康子は治にしみじみと語っていた。「私にもしもの事があっても泣かないで。弟二人がいるじゃない、3人で力を合わせて幸せを掴んでほしいの。そしてね、あなた達が自分たちの孫と大喜びで遊んでいる姿が目に浮かびます。健康第一ですよ、どんと構えて男らしく普段の休養を忘れないように。お父さんのような、あんな [続きを読む]
  • 青い飛沫(11)
  • やがて瞬く間に師走を迎える。治も正義も順調に単位が取れそうで卒業のメドはついた。正義は大阪の某化学メーカーへの就職が内定している。治の方はまだ決まっていないが、私立の女子高からの話があったりで、近々の治の決断次第ということになるだろう。邦夫は2年生になる。巣立ちはもうすぐだ。たまに取れる休暇のある日、康子は墓参りを決めた。暫く春樹に会っていないのである。報告しなければならないことが沢山あって、なに [続きを読む]
  • 青い飛沫(10)
  • 正義は治に焼酎を継ぎ足しながら、「兄さん、いつもすまんことです。頑張って何とかいいところへ就職しますよ」「僕はね、以前は都会に出たい出たいと思っていたけれど、今一寸気が変わってきている。この田舎でのんびり先生でもやりたいなと思うようになっている。教育学部に移るかもしれん。兄さん達、どう思う?」「彼女の影響だろう?顔に書いてあるぞ、ほれ赤くなってきた」「勿、それもあるさ、でも、都会でバタバタするより [続きを読む]
  • 青い飛沫(9)
  • 治が働き始めたその時点で漸く普通の生活に戻れるのが待ち遠しい。あまり身体の丈夫でない康子にとって魚屋さんでの立ち仕事は辛い。今少しの辛抱だと言い聞かせているのであるが、相当苦しい局面が続いている。治の頑張りがなかったらどうなっていただろうと思うと康子は目頭が熱くする。正義や邦夫の将来の事、代々続いて来た浦島家の今後、必要な生活費、手持ちの残高等細々したことにおいても康子は治に頼る。正義や邦夫には一 [続きを読む]
  • 青い飛沫(8)
  • 治は責任感の強い子である。これは父親譲りのあの頑固さに通じるものと康子は思っている。頼ってばかりではいけないと思いつつ、つい頼ってしまう。彼はいつも慎重で冷静に行動する。最早立派な社会人である。彼の将来のことをつい忘れ、ああでもないこうでもないと相談してしまう。やはり長男だからだ。正義と邦夫がリビングに入って来た。正義は大学3年生、邦夫は1年生になっている。3人とも地元の、高知の大学生である。わが [続きを読む]
  • 青い飛沫(7)
  • ――そういえば正義も邦夫もそんなことを言っていたな。 実際そうかもしれん。将来性を考えればやはり都会であろう。 僕は長男だからそうもいかないが、彼等には存分にやってもらいたいものだ。――学校の先生か…今一つパッとしないな。都会は夢あるものな。 然しなあ…苦労をしている母の夢を壊すわけにはいかんものな。――あれっ、一寸待てよ、僕が6年で卒業ということになれば、正義と同時に卒業だ。 いかん、いかん、こ [続きを読む]
  • 青い飛沫(6)
  • 深夜喫茶エリーゼに寄ろうと思った。軽く飲みながらクラシック音楽を聴いていると疲れが取れるのである。このような時はなるべく軽いものがよいのであるが、ここの深夜喫茶はクラシック専門で、希望の曲を所定の用紙に書き込み、リクエストする仕組みになっている。だからリクエストしてもなかなか順番が回ってこない場合が多い。いきおい他人がリクエストした曲を聴くことになるが、何が飛び出してくるか楽しみでもある。とに角こ [続きを読む]
  • 青い飛沫(5)
  • この時から治は稼ぐ術を編み出した。暫く学校は放りっぱなしと決めた。幸いなことに治は人にものを教えることが好きなタイプであった。学校に籍を置いたままあわよくば教職の単位を取って就職し、将来長男として浦島家を守っていければこれ以上のことはないと思っている。母もそれを期待して懸命に頑張っている。一方次男、三男は「僕はこんな田舎はいやだからね、絶対都会で暮らす」と言ってはいるが、とりあえずそれどころではな [続きを読む]
  • 青い飛沫(4)
  • 1965年、治が大学へ入って2年目の時父が50歳の若さで急死したのである。市役所に勤めていた父は真面目一方の人柄でお酒を飲みすぎることもなく煙草もやらず真に几帳面な生活を送っていたのであるが、我が家に帰り畑仕事を終えて帰宅した途端、心臓麻痺で意識を失った。すぐに病院に運ばれたが殆ど即死であった。あまりの急なことで家族のだれもが呆然とし、ただもうおたおたするばかりであった。母は気丈に采配を振っていた [続きを読む]
  • 青い飛沫(3)
  • この日、治は一寸パチンコをやってあっという間に500円負け、外に出た。長居は無用である。勝てば儲けもの、負ければ仕方なし、さっぱりしたものだ。行きつけのうどん屋に入って遅めの昼食をとる。一杯20円のうどんを3杯食べてすぐ近くにある中央公園のベンチに腰を下ろした。これから5時までの時間をどのように過ごすかを考える。このような時間つぶしの日は結構ある。市立図書館まで歩いて30分ほどかかるが、とぼとぼと [続きを読む]
  • 青い飛沫(2)
  • やはり何となく気持が悪い。一寸音楽でも聞いたらすっきりするかもしれないと思うのであるが、それすら面倒でとてもそんな気力はない。目を閉じているうちに次第に眠気に包まれてきた。今日は何も考えない日にしよう、とに角一眠りして心臓も脳みそも正常に戻そう。それが先決だ、何事もそれからだ。そう腹を決めると何となく楽になる。気になることはあるが、苦にしなくなった。そうこうしているうちに脳の中はまるで春霞がかかっ [続きを読む]
  • 青い飛沫(1)
  • 「一寸買い物に行ってきます。携帯は枕元よ、一時間ぐらいで帰ってきますから」そう言いながら公江は窓を片っ端から閉め始める。病人を置いての外出だから用心しているのだ。黒ずんだ灰色の空がずっしりと垂れ下がっているのが目に入った。今にも振り出しそうだ。「買い物か……気を付けてな」口開いてそう言ったつもりであったが声にはならず、「う、うーん」の唸り声である。微睡の中で意識はまだ混とんとしている。見事な二日酔 [続きを読む]
  • 親父
  • 親父って、あれでなかなか頑丈だね、そうは思わないかい。思う、思う、一見弱そうに見えるけれどどうしてどうして、結構いけてるぜ。あれだけの病気を抱えて存外暢気じゃん、あれが親父の強みだろうかね。暢気というより何だろう、意志が強いんだよ、きっと。意志の強さは、これは只者ではないね。50年以上煙草40本吸い続けてさ、最盛期には80本とか言ってたけれど、それを15年前にスパッと止めたというからさ、あれはちと [続きを読む]
  • 反抗期のたわごと(5)
  • 散歩に出ようとする気持のある時は体調が良い時だ。おいらはね、この時を非常に楽しみにしている。外に出て美味しい空気を吸うことは体調転換になり得る。また、景色を眺めながら歩いていると要らぬことを忘れさせてくれる。さらに、慢性腎不全、肺気腫や心臓のリハビリには欠かせない運動療法でもある。その散歩ができるかできないかの瀬戸際に来た。思いもよらないことであった。今は30分が限度である。20分位歩くと左足の付 [続きを読む]
  • 反抗期のたわごと(4)
  • 本当にいろいろ出てくるものだね、呆れたよ。又また病気が一つ増えた。これで11個目である。病院にさえ行かなきゃこうはならなかったのにと思うが、痛けりゃ仕方ないだろ、将来車椅子生活になるとすればしょうがないだろ。一か月前から左足がおかしくなっていた。30分歩くとかなり左足の付け根からふくらはぎにかけて痛むのである。すぐに治るだろうと簡単に考えていた。だってそれはそうだろう、もう10年もの間殆ど毎日30 [続きを読む]
  • 反抗期のたわごと(3)
  • 人生には大雑把に2回の反抗期があるらしい。最初の反抗期は15歳前後のもので、殆どの少年が経験する。何事においても興味津々で自立に向かって様々な冒険を企て、親に心配をかける。親という偉大な存在に対する目線が変わって来るのがその特徴だ。その意味に於いては、これは人格形成必須の条件であるといっても過言ではあるまい。当然のことながら反抗期は難しい面を抱える。身体は自立に向かって加速的に成長するが、精神状態 [続きを読む]
  • 反抗期のたわごと(2)
  • この辺りで一度人生を休養してみたくなったよ。あっちの関節、こっちの関節、あっちの筋肉、こっちの筋肉、肛門括約筋までもが悲鳴を上げ始めたものね。これは今までになかった症状だ。参ったね、こうまで束になって攻められると打つ手に窮する。一つ一つ順に攻撃されればそれなりに対応できるのだが……このまま放って置いたら近々必ずや破綻するに違いないと思っている。一か月ばかり人生を休養したいところだが、いや、一週間で [続きを読む]
  • 反抗期のたわごと(1)
  • 彼は18歳、大学1年生である。挨拶もしっかり出来、親孝行で、近所では評判の良い普通の学生である。しかし実際には大きく変化の兆しを見せ始めている。気付かぬのは親のみである、というよりは気付かれないように見事に振る舞っていた。「弁当持ちましたか。帰りは何時ごろになりますか」いつも出がけに親はそう言う。「大丈夫だよ。一寸遅くなるかもね」と答え、彼は家を飛び出す。いちいちうるせえな、帰りの時刻なんてほっと [続きを読む]
  • 老人と犬(最終) (彰ノ介日記)
  • その日、友人のおじさんが立ち寄り、墓の前に立ち、モーモに手を合わせる。早速案内し、久しぶりにお茶をすすりながら話題はやはりモーモである。「モーモはきっとお星さまになるでしょうね」とおじさんは言う。「そうですね」と答えながら、爺さんは窓から遠くの方を見る。「土に戻り、地球という故郷に帰っていくのですね。安住の地を求めて……地球の寿命が尽きようとも爆発した破片は永遠に宇宙を旅します。モーモは生き続けま [続きを読む]
  • 老人と犬(26) (彰ノ介日記)
  • 爺さんはおよそのことを知っていた。退院の手続きをしているとき、看護師さんが涙いっぱい目に浮かべて爺さんに深々と挨拶をして立ち去ろうとしたものだからおかしいなと思い、引き留めてて事情を聴いたのであった。爺さんは小走りにくすの木の方へと向かう。其処には花束が山と置かれ、十数人の人達がモーモの死を悼んでいた。 モーモにふさわしい光景であった。爺さんはモーモの傍に転がり込むように倒れ込んだ。爺さんはしっか [続きを読む]
  • 老人と犬(25) (彰ノ介日記)
  • おじさんはモーモの体を掴み。大声で「モーモ、モーモ」と揺り動かす。モーモは動かない。声も立てない。口を半開きにして目を閉じ、最早遠くを彷徨っている。「何故なんだ、これから爺さんに会うのだぞ。息があるのなら五分でよい。戻って来ておくれ」おじさんはなりふり構わず号泣する。モーモの最期のときを思うと胸張り裂けんばかりである。恐らく死ぬ前の一瞬、爺さんの元気な姿が浮かんだはずだ。それが悔しい。一方爺さんの [続きを読む]
  • 老人と犬(24) (彰ノ介日記)
  • モーモとの出会いは、この腐り果てた心の奥深くに一筋の光が貫いたのです。不思議な衝撃、私には初めて味わう安らぎ、感謝、感動の世界でした。私は生涯かけてモーモを守って行こうと思い始めたのです。気障っぽい言い方で失礼かと思いますが、「モーモの為に命を投げ出す」と決めたのです。これこそがせめてもの妻と娘に対する「供養」と思ったのです。いやあ……面白くもない話で……でもこのことはやっぱり誰かに伝えておきたい [続きを読む]
  • 老人と犬(23) (彰ノ介日記)
  • 彼も風邪をこじらせて一週間程寝込んでいたと言う。「ところで、モーモは凄い犬ですね。こんなにも爺さんのことを思い詰めて、よく続くものだと感心します。それだけの事ではありません。マナーガ素晴らしい。あの楠木から一歩たりとも中に入って来ません。これは爺さんの指導によるものだと思っていましたが、やはりそうでしたか。モーモは誰からも愛されていますよ。これはモーモ自身が人を愛しているからでしょう。皆さんは賢く [続きを読む]
  • 老人と犬(22))彰ノ介日記)
  • 楽しいボール遊びの広っぱ。一緒に美味しいアイスクリームを食べた所。広場のあらゆるところに爺さんを感じるのである。モーモはそれらの一つ一つの匂いを刻み、病院へと向かう。あの、「伏せ」の格好は変わらない。じっと病院の玄関の方を向いている。雨が降ろうが、風が吹こうが、雷が鳴ろうが、これは最早モーモの日課になった。五日を過ぎた頃には近所の人達や看護師さん達の間で一寸した話題になっている。詳しいことは分らな [続きを読む]
  • 老人と犬(21)(彰ノ介日記)
  • 急性肺炎という診断であった。しかし高齢者でもあり、肺気腫や心臓病を患っていることから二週間程度の入院加療を見ておいた方がよい、と先生は言う。重篤な病でなくて先ずは良かった、と友人のおじさんは胸をなで下ろす。ふーっと一息入れて窓から外を眺めた。その時である。大きな楠木の下でうずくまっている犬の姿が目に入った。「あれはモーモじゃないか、まさか、でもやっぱりモーモだ」おじさんは思いもよらない光景に仰天し [続きを読む]