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処遊楽 https://blog.goo.ne.jp/zhaiteng_1946

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。 力一杯生きよう。 衆生

処遊楽
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2014/09/30

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  • 箱根 ハイランドホテル

    齢40歳頃からだったろうか。年に一度の割りあいで金曜日に職場を抜け出しては箱根の温泉に浸かりに行ったものだった。行く先は箱根仙石原のハイランドホテル。新宿のハルク前から始発の小田急の直通バス。17時半発。ホテルには19時半からの最終夕食に間に合わせるという算段。箱根湯本方面から一号線を走ると、仙石原高原への入り口に位置した傾斜地に建つ低層の建物。白亜の壁と赤い屋根が碧空に映える文字通りのカジュアルホテル。いつかは利用したいとの思いを遂げてから約10年は箱根の定宿として通ったろうか。当時,《オールドワイン》という名のレストラン・バーが食事処。そこでのお好みチーズとデザートの各種プチケーキが食べ放題が最高の贅沢。ストレス雲散霧消・勤労意欲再生の原動力であった。※上記画像は《オールドワイン》ではない。ある時期に...箱根ハイランドホテル

  • ボランティア初体験

    恥ずかしながら、これまでボランティアなるものをしたことが無かった。この《ボランティア》という呼称も活動も、我が青春時代には聞いたことも見たことも無かった。似たようなものが《手助け》《助け合い》であったか。歳末に街角で楽器を奏でては協力を呼びかけるキリスト教系の社会活動を目にしていた程度だった。それが阪神淡路以降、各地の災害救援活動に身を挺する若者の姿が目に見えて増加し、今では行政や国を救援に引っ張り出す大きな民衆勢力となってるのだから恐れ入る。正直なところ、身体が動いていた時代は時間も経済的余裕が無く今はその逆。あの「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」と宣うたスーパー・ボランティア小畠春夫氏の一世風靡からこのかた自然災害が報じられるたびにイジケては肩身の狭い思いをして来た。ところが縁あって、生涯で...ボランティア初体験

  • 厄除け詩集

    ハナニアラシノタトヘモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ幾つの齢の頃か、恐らく高校生時代からか妙に気に入った一節だった。小気味よくリズミカル、明るい諦観と力強さ。意表を突くカタカナ表記のなせる技か。後年井伏鱒二の作と知るに及んで氏の漢詩の造詣の深さと力量の並々ならぬものを感じたのだった。もとは中国の唐の詩人于武陵の詩「勧酒」であり、井伏はそれを抄訳しカタカナで表している。于武陵の詩とその書き下し文は下記になる。=原詩==書き下し文=「勧酒」「酒をすすむ」勧君金屈巵君に勧む金屈巵満酌不須辞満酌辞するを須いず花発多風雨花発けば風雨多し人生足別離人生別離足る≪註≫金屈巵:黄金の金盃,満酌:なみなみと酒を注ぐこと,不須辞:辞去する必要なし,足:多い次が井伏鱒二の訳コノサカヅクヲ受ケテクレドウゾナミナミツガシテオクレハ...厄除け詩集

  • 大宇宙・七つの不思議

    実に面白い本、楽しい本である。読者が読み進むにつれて湧いてくる疑問を予め予期していたようにその道標や解説、解答が提示されてくる。その先はどうなっている?ああそういうことかと得心を得る。宇宙という未知の世界が、何が判って何が判らないのか、それは何故なのか、際限があるのか無いのか。普段思いを致したことのない大空・宇宙の建付けが、分かり易い語彙と流れるような文章、加えて適切なグラフや図解で理解を促してくれる。書名のサブタイトルが《宇宙誕生の謎から地球外生命体の発見まで》とある通り、現在の宇宙研究の中で、飛躍的に進歩している分野は「宇宙の始まり」と「宇宙における生命」の研究だそうで、それを七つの章に分けた宇宙門外漢あるいは初心者への全解説書というのがこの著作の特徴といえようか。ここで掲げている七つの不思議は以下の...大宇宙・七つの不思議

  • マルクスの場合

    不思議な内容の本というのが率直な感想。尤も、すべての本は、著者の勝手な想像力の詰め物であるからして、いわゆる本である。でも変わった本である。数年前、著者と親交のある友人から「傑作だから読んでみたら」と頂戴したのがこの著者との初めての出会い。『神南備山のほほとぎす--私の新古今和歌集』なる本。和歌に門外漢の身では敢え無くアウト。親切にも此の度もその友人からの賜わりもの。この書名に一瞬デジャブに包まれた。何しろタイトルにマルクスですから。おさおさ警戒に怠りなかったが、やがてこれが愛犬の名前であることを知るや力みが取れた。その叙述部分が面白い。以下の通りだ。”マルクス・アウレリウス、通称マル。私がこの名前を提案したのには、ちょいとしたわけがあった。というのは、大学時代の友人江島正啓の家で飼われていた犬がディオニ...マルクスの場合

  • 亀井野にも雪

    2月5日月曜日、気象庁の降雪の予報通り午後にはか細い雨交じりが夕方には思いぼた雪となり、翌朝には一面の雪景色となった。都心は3センチ、箱根は8センチ、私の住む藤沢は2センチほどか。感心なことに普段手足の小田急線は運休無し。多少の遅れはあっても、それも普段通り。後で気が付いたこと。車のシート被いを忘れていた。幸い翌朝午前中には溶けて、お陰で雪払いはせずに済んだ。が他方、脇の歩行路の雪は除雪無し。集合住宅の住人に労働力無し。悲しき現実。亀井野にも雪

  • PERFECT DAYS

    我が国の映画界で最も主役をこなしそれも大作が多いことから広く知られ、実力ナンバー・ワンの男性俳優の役所広司がやっとカンヌで主演男優賞に輝いた。遅いくらいだろう。しかしブログ主がこの『PERFECTDAYS』を観たかったのはそこではない。ヴェンダースが今の東京をどう切り取るか。人・街・交通・文化・社会などだ。どの役者をどう使うかも興味を引いた。結果は、「満足した」と答えよう。ヴィム・ヴェンダーㇲは好きな映画作家のひとり。これまでも『ベルリン・天使の歌』『パリ、テキサス』など少なからず観て来た。とりわけ気に入っているのは『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』。まだ世界が知らないキューバ、それも底抜けに明るい彩の街と庶民と車、どこか懐かしく陽気な音楽。これをドキュメントで描いたものだ。1999年に世界が受けた衝撃...PERFECTDAYS

  • 珈琲自家焙煎

    珈琲の樹の北限は、日本では沖縄。その地でブログ主の樹を育てて貰っている。名義だけだが。過去の記録'17MyCoffee実際にお目にかかったことは無い。4年前に沖縄行の計画を立てたのだが、思いがけないコロナの影響で実現せず今に至っている。今年は台風の影響を受け、その後の成長が悪く、収穫には長い日数をかけざるを得なかったとのこと。送って戴いた豆(実)はこぶし大の量。さてこの生の豆をどうするか。送り状には「近くの珈琲店などの業者が焙煎してくれます」と。この夏、連れ合いの不在で2週間ほど自炊生活を余儀なくされ、さまざまに食のすべに挑戦した。ネットで簡単レシピを訪ね、ユーチューブの料理番組のメモ取りなどだ。その乗りで、自分で焙煎することにした。先ず煎るためのツールをネットで探す。いろいろあるもので3万円以上もする家...珈琲自家焙煎

  • ミチクサ先生

    著者伊集院静出版社講談社頁上巻301下巻291先々月読んだ沢木耕太郎、そしてこの伊集院静。かつて貪り読んだ作家たち、ある時から憑き物が落ちた如くに、離れ、忘れ、別の読書世界を長らくほっつき歩き、気が付けば懐かしき昔に戻ってきている自分がいる。このお二方とはほぼ同世代、時代を経て、老いた自分の変わりよう或いは変わらないサマの確認をしたかったのかしら。今更漱石論?と思われる向きもありそうだ。が私には刺激的で面白かった。勉強になった。文学や芸術は、出来も不出来も作品がすべてである。志と思想と構成力、技術、訴求力などだろうか。ところが本書は、『吾輩は猫である』『こころ』などの作品論ではない。作品以外、つまるところ漱石の人間性・ひととなり、文学仲間との往来、教え子や弟子との日常、家父長金之助=漱石とその家族の生活な...ミチクサ先生

  • 枯葉 Autumn Leaves

    今年2023年はケニー・ドリュー・トリオ(静止画像)今年の『枯葉』プラスの一曲は、ジャズでアーマッド・ジャマル。2017年パリでのライブ。カッコイイ。粋。ラテン風に仕上げていい乗り。あの歴史的な(と言われている)マイルスのとは真逆のプレイ。これでなくちゃあ!アーマッド・ジャマル2022.10.09数年前に、この季節になったら、このコーナーに新たな『枯葉』を一曲加えようと思ったことを思い出した。前回はクラプトンをアップした。今年はJazzにしました。スコット・ハミルトン・トリオ若い頃から、ベテランのような円熟の音でビックリしたものだが今や67歳。バラード演奏は追随を許さないが、ブロウの迫力も彼の持ち味の一つ。ノスタルジー溢れた歌心は嬉しく貴重である。21.11.06△△△△△△△△△△△△△△△△△この季節...枯葉AutumnLeaves

  • 喜寿となる

    かつての同僚から喜寿のお祝いとしてワインを頂戴した。狙いすまして"その日"に宅配便で寄せられたのだった。ラベルには祝われる人、つまり当方の氏名が横文字で綴られていたのにビックリ。『77歳記念2023.10.6これからも健康で幸せな毎日を!』と祝文。商品に付加価値をつけて営業の一端だろうが、このサービスを見出して買い求めた元同僚の厚情と熱意と行動に改めて御礼申し上げる次第である。この新潟ワインのお客様への粋な計らいのもう一つは、大昔、誕生日に発行された新聞の写し。今回の場合は昭和21年10月6日付『読売新聞』。暫し面白く読んだ。当方が生まれた日とは如何なる日であったのか。敗戦から1年2カ月を経ている。1面の見出し。『放送の國家管理罷業繼續すれば發動の用意あり政府重大決意を表明』(4段)『新聞ゼネスト總崩れ朝...喜寿となる

  • 春に散る

    著者沢木耕太郎出版朝日文庫新聞広告で書名に目が触れた時、”はて?”と一瞬昔を振り返った。が思い出せない。著者名に視点が移って、”なるほど!”と納得。そういえば、つい最近、新作の同名の映画広告で何度となく見た。佐藤浩市/横浜流星が主役を張っていた。沢木耕太郎は同世代。氏の『テロルの決算』からの熱心ではない追っかけ。進行中の週一の新聞連載『暦のしずく』も茂本ヒデキチの画とともに楽しんでいる。アマゾンで文庫版を求めて読み始めた。小説の展開の処々にデジャブが起きる。何と奇妙な感覚。奥付で出版日を確認。手元の読書記録にも記載は無し。読んではいない。しかし依然と既読感がやって来る。どうしたものか?と暫し困惑したのだった。最後は新聞連載中に読んでいたことに思い当たった。それしかないという結論に至った。今、全編読み終わり...春に散る

  • パリタクシー

    原題「UnebelleCourse」2022年フランス/91分コンパクトでありながら人生の重さと心の通い合いとサプライズの結末で見事な感動を与えてくれた珠玉の作品である。その立役者は、この日、余儀なく介護施設に入る94歳の婦人を演じるリーヌ・ルノーとその相方のタクシー運転手を演じるダニー・ブーン。二人の一日限りの道中記にハラハラドキドキ。さらに言えば、この作品の好感度を上げたのはパリの風景・街並みの美しさか。というのは正確ではない。そこに監督の意図は無いだろう。普段のパリの日常の切り取り方が上手いというべきか。若い夫婦と子供が暮らしている狭く暗いアパート、お針子をした劇場、小用で車を止めた路地とトイレを借りたレストラン、ナチスの残虐を印したビルの壁などのいわばさりげない日常生活シーンによってパリの陽の部分...パリタクシー

  • 芦川いづみ

    久し振りで同い齢のシャーロット・ランブリングを観たくて新宿武蔵野館へ。そこで芦川いづみのデビュー70周年を記念するフィルム・フェスティバルがあることを知ったのだった。懐かしさと嬉しさと恋しさ。東京神田の神保町シアターで3月11日~4月1日。上映されるのは昭和30年から39年までの20作品。この時代はブログ主の洟垂れ小僧から学ランのズボンの折り目をきにするニキビ面の高校生時代に重なる。思いつめて胸を高めらせて一途に彼女の一挙一動を見つめたのだった。"芦川いづみ"は結婚を機に銀幕から去り、姿も気配も消し去ってしまった。体力的にも経済的にも全作品を観ることは出来ない。で、彼女の見栄えと女優としての節と美しさをポイントに、監督とわき役陣を抑えて次の作品を観ることにした。『乳母車』56年。田坂具隆監督、石坂洋二郎原...芦川いづみ

  • 世界は日の出を待っている 2023

    ♪世界は日の出を待っている♪パオロ・アルゲリッチステファニー・トゥリックデュオ世界は日の出を待っている2023

  • 大名倒産

    著者浅田次郎出版徳間文庫(上下巻)2023年の本の〆は浅田次郎。著者の時代物の作品には、江戸時代或いは明治維新後も含め、武家社会の空洞化つまり制度の形骸化や本音と建て前の乖離、市井の混乱などを焦点にした作品が多い。著者が”繁文縟礼”と四語熟語で表現しているのがそれだ。この作品もその系列に連なる。タイトルが表している通り面白いところに視点を当てたものである。徳川260年の天下太平の世で積み上がった借金が25万両。これをいかに処理するか。お殿様は家の格と権威で棒引きに出来るのか。そのドタバタを巡って何と七福神までが登場するのはご愛敬。著者自身が面白がって書いているのが伝わって来る。その熱に引っ張られて一気に読んだ。映画化が進んでいるようだ。そのシナリオは群像劇の三谷幸喜こそ相応しい。主人公の殿様のキャスティン...大名倒産

  • 箱根翡翠 ⅱ

    今年の温泉の〆。ここは2月にも利用している。接客のベタベタ感が無いのと宿泊客が大人であること足場がよいことが多用の理由。隣が同系列の箱根甲子園。両施設ともコロナ割引には与しない。今回のディナーは懐石を選んだので、その紹介を中心にアップしてみたい。ホテル内のレストラン『一游』メニュー内容『師走姫』お献立箸染鮟肝豆腐鱒子雪輪大根生姜美味出汁蟹磯辺巻寄長芋茗荷胡瓜枸杞黄真酢椀吉野仕立て蕪すり流し柚子真薯滑子菜種玉人参山葵造里本日のお造りあしらい一色飲み物は生ビールの後に《本日の日本酒飲み比べセット》[壱]直虎番外品純米大吟醸生原酒(長野県)芳醇辛口17度[弐]純米二兎山田錦六十五(愛知県)やや辛口16度[参]久礼辛口純米(高知県)どっしり辛口15.5度ブログ主の最も口に合ったのは[参]。ナチュラルで香りがほのか...箱根翡翠ⅱ

  • 迫害と人生

    総合雑誌『潮』の長期連載が単行本として順次出版され、それをテーマを絞って抜粋し文庫化したもの。内容も形態も読者の興味と利便性の重視が感じられ好感である。一気に読んだ。創価学会の現代史とも言うべき小説『人間革命』は、続編『新・人間革命』と併せ新聞連載は半世紀超にわたり7978回を数えた。この大河民衆小説の展開を縦軸にして、そこに登場した大小さまざまの事実を拾い上げ、いわゆるスピン・オフのヒューマン・ドキュメントとして人間群像に彩を添えた『潮』誌の《民衆こそ王者》シリーズ。畢竟、その抜粋がこの本である。原作『民衆こそ王者』の舞台が広大なだけに、それを追っての事実の確認と文章化は至難極まりないことは想像に難くない。一体何人で取材しどのくらいの費用をかけているのだろうか。要らぬ思いが一瞬よぎる。ここで紹介されてい...迫害と人生

  • 富士山河口湖ピアノフェスティバル2022

    《Mt.FujiKawaguchikoPIANOFESTIVAL》日本の近海で大型に発達した台風15号の列島縦断の只中にライブに出かけた。何しろチケットの購入は6月。天候の予測などつくわけがない。当日出かける直前まで開催の有無の問い合わせをするありさま。時節柄、墓参をしてから足を延ばしての二泊三日のドライブ旅行を組んだのだった。ライブ自体は9月22日から25日まで。会場の河口湖ステラシアター及び周辺の屋内外の施設で催され有料も無料もある4日間のイベント。そのうちチケットを買ったのは23日(土)15時からの4ステージ。開演10分前にスタッフお揃いのTシャツで手を引かれて辻井氏がステージに登場。その挨拶の中で、このフェスティヴァルが氏のリードで開催の運びになったらしいことを知ったのだった。当然アーティストへの...富士山河口湖ピアノフェスティバル2022

  • 並走50年

    いわゆる《金婚式》を迎えた。いや、迎えることが出来たというべきか。タイトルを《伴走》とも考えた。が、かつて師から結婚について「見つめ合うとか手を携えてとか励まし合ってというのもいい。最も望ましいのはそれぞれが自分の使命に向かって並んで歩むことだ」と伺った。《伴走》には支えが含まれよう。《並走》は自力。で、ここではカッコよく《並走》とした。周恩来夫婦がお互いを戦友と呼び合ったことが視野に有るかも知れない。並走の相方は勿論家内。この”家内”という呼称、長らくひと様の前で普通に口にしてきたのだが、近頃は使い勝手が悪い。”妻”と言うにはこそばゆい。”パートナー”ではビジネスのよう。”細君”は他人の妻。”女房”は昭和の匂い。で、最近は”かみさん”が多い。”連れ合い”も悪くないがまだ慣れない。二人の記念のイベントはやはり温...並走50年

  • 発気揚々

    著者最上重夫出版PHPエディターズグループ非売品現役の建設会社社長が自ら綴った半生記。書名の『発気揚々』は、相撲の取り組みで行司が発する掛け声「ハッケヨイ!」が由来だという。文字通り著者は、本業=(株)湘南営繕協会代表取締役=のかたわら、というより本業に勝るとも劣らない情熱でボランティアや地域貢献の活動に取り組んできた。大相撲藤沢場所=勧進元=の30年をはじめ献血キャンペーン=神奈川県日赤紺綬有功会会長=16年、商店街連合会=湘南台商店連合会会長=13年などである。いずれも長い歴史の中での紆余曲折や失地回復、はたまた狂喜乱舞等々のヤマ・タニを当の本人がサラっと述懐する、これが実に味がある。実は、著者との邂逅は約50年前の学生時代に遡る。ともに学び世を憂い夢を同じくしたが、卒業後はそれぞれの道を歩んだ。馬齢を重ね...発気揚々

  • 箱根 翡翠

    仙石原では、同系列の甲子園を利用することが多いが、今回は久しぶりにちょっとグレードの高い翡翠。施設は隣同士。利用客はともにオーナー会員とホテル利用の二種になるが、甲子園の方がホテル利用の人達が多いように感じる。静謐を選んでこちらにした。13年前、初めて利用した時に驚いたのはボーズの再生装置。傍に用意されていたのはたしか宇宙の環境CD。今回はジャズのコンピレーション・アルバムだった。当時のもう一つのビックリは、居室の野天風呂。前回ほどの豪華さには及ばなかったが、今回も利用させて貰った。食事は18時半からロビー階のレストラン”一游”で懐石料理。利き酒の飲み比べは三酒。『壱』は獺祭の純米大吟醸。華やか感あり。『弐』は黒龍の大吟醸。コクに重量感あり。『四』は一游の本生無濾過。フルーティ。翌日の朝食は、洋食で卵はオムレツ...箱根翡翠

  • 77年の興亡

    著者赤松正雄出版社出雲出版定価2200円264頁大いに勉強になった。近年、身の周りのニュースやメディアの報道ぶり、はたまた政治家や財界人などの言説などについて、違和感を持つことが多くなった。NSNの長足の進歩と自己主張の自由な発信、メディア世界の構造変化、総合雑誌の衰退、分断と格差の増大、政治の劣化等々、その要因を探せばきりが無かろう。この本は、明治から令和までの時代の流れを昭和20年の敗戦を区切りとして、前半の77年と後半の77年とに分け、前半を《西洋対日本》後半を《保守対革新》、座標軸を変えて前半を《軍事力優先》後半を《経済力優先》と図式化する。これが本のタイトル『77年の興亡』となり、前後半合わせての154年の時代の中身すなわち質の変化をとらえて、サブタイトル”価値観の対立を追って”としているようだ。こう...77年の興亡

  • 世界は日の出を待っている

    Theworldiswaitingforthesunrise1918年にカナダ人ピアニストのアーネスト・セイツが作曲、大戦後の51年に明るい楽想が受けてミリオンセラーになった。100以上のヴァージョンがあり、ビートルズも私家版を録音しているという。ここでは最もヒットしたポールとメリー・フォード盤をチョイスしました。Dearone,theworldiswaitingforthesunrise.EveryroseiscoveredwithdewAndwhiletheworldiswaitingforthesunriseAndmyheartiscallingyou.ねぇキミ、世界は日の出を待っているんだ。咲き誇るバラはみずみずしい朝露をまぶしている。世界は日の出を待っており、ボクの心はキミを呼んでいる。Dearone...世界は日の出を待っている

  • うに清

    今年最後の温泉一泊で強羅に行く。途中、ランチは遠回りをして真鶴の『うに清』を計画。日曜日なので道路も店も混雑を織り込み、早めに西湘バイパスに乗る。お陰で予約の1時間前に到着。店の前の岩海岸で流木やら石やらを愛でて30分。上手い具合に客のキャンセルが出、早めに席に着くことが出来、しかも座敷が椅子席になった。当方ロートルの4人、大助かりとなる。店の外では客が茶を飲みながら石油ストーブに当たって番を待っているのだが、店の中は1,2階とも、どの卓もアルコール類も出てたりの大ご馳走。何しろ海鮮、しかも相当上等なのが豪勢な船盛で供されるのだから話も弾むというもの。ここのメニュー(食べ方)は、店のお姉さんに聞きながら決めるといい。セット物も自在に単品で奨めてくれるし、リーズナブルな選び方も教えて貰える。テキパキ、ハッキリが心...うに清

  • 明治大学マンドリンOB倶楽部

    コロナ規制明けの前日、川口市の総合文化センター・リリアで公演された「明治大学マンドリンOB倶楽部」の定期演奏会に行ってきた。3年ぶりの演奏会とか。川口駅頭を降りたつと異様な人出、それも高齢者ばかり。この爺さん婆さんの群れは何だろうと訝る。選挙の支援者の集まりか、はたまた講習会の類か。人流はみな私が目指している”リリア”に吸い込まれていくではないか。なんと全部がマンドリン演奏会の観客だった。驚いた。椅子席は2000、満席に近い。隣席密着の観客席。このコンサートの企画段階ではコロナは無かったのだろうか、有っても無視したのか、さらには鎮静を見込んでいたのか。いずれにしても見事な集客振りに感心したのだった。今日、マンドリンは殆ど聴かない。昭和歌謡でさえ身の周りから消えてしまっている。自分の歌える歌が無い。しかしここには...明治大学マンドリンOB倶楽部

  • 納棺夫日記

    著者青木新門出版文春文庫増補改訂版'09.3.20第24刷227頁人に薦められた本は、原則読むことにしてる。新鮮で意外性に溢れ学ぶこと多し。この本もそうした一冊である。映画「おくりびと」の原作で主役の本木雅弘が感動したと紹介され、映画も本も感銘した御仁から薦められたという次第。映画は私も観ている。果たして原作との差異がいかなるものか。自身の納棺士としての日常を本にすることを勧めたのが作家の吉村昭氏だ、と冒頭で述懐している通り、著者の文才と博識にまず敬意を表したい。第一章はこの異色の職業に就いた経緯やそこに至る自身の半生記。心の葛藤や家族との交錯なども。第二章は、仕事として関わった様々な死を中心に遺族や関係の人々の姿を著者の想いも交え紹介。第三章は、この本の最も肝と思える部分。著者の死生観、仏教論、宇宙物理学、科...納棺夫日記

  • 井上成美

    著者阿川弘之出版新潮文庫(平成4年7月25日発売602頁)周到で精緻な伝記。艦隊の司令長官なのに負け続け、戦時に敵性の英語を教え、最後まで不戦論を貫き、戦後は極貧の中、私塾で子供たちに教えた異色の海軍大将井上成美。海兵出身の著者だからこそ書き得た大戦只中の日本の政治と陸海軍、そして庶民。ポツダム宣言受諾前後の緊張が誌面から伝わってくる。陸軍に感づかれずに進めた敗戦処理。その一角を担った井上成美。参った。この人がいて今の日本があったのだ。貧困なキャラクター、アンチヒーロー的経歴。これほど取材対象としてモチベーションの上がらぬ人物は居なかろう。それを著者はブレイク・スルーして、この作品で1989年に日本文学大賞を受賞したのだった。インタビューした人136人、引用した文献96件。著者がこの作品の中で触れている普通の読...井上成美

  • 箱根小涌園 三河屋旅館

    箱根に行った時、いつもその前を車で前を通り過ぎるだけ。創業140年の老舗に一度は身を置いてみたいと思ってきたが、この機会に強行した。同じ神奈川なら違反にもならないし、ペナルティもなかろうと言うわけです。施設の歴史や概要はホームページをご覧戴こう。老舗ほど若い客に人気があるようで、この日もワゴン車の幼児連れファミリーが多い印象。ガイドのパンフで正面玄関までの階段が長いことは承知していたが、脇にスロープはあるだろうと見込んでいたのが見事に外れてしまった。これには参りました。エントランスの木の床はピカピカに磨かれて老舗の貫禄十分。ここで履物はスリッパに履き替える。宿泊手続きは、眺望宜しきゆったりのロビー。ここの窓にはまるガラスは景色を歪んで見せる。つまり創業当時とはいかないまでも、古い技術で作られていたことがわかる。...箱根小涌園三河屋旅館

  • カーくんと森のなかまたち

    絵夢ら丘実果(むらおかみか)文吉沢誠(よしざわまこと)発行所ワイズアウル07年9月初版第1刷1,500円+税ホシガラスのカーくんは、森の仲間たちと比べて自分が一番ダメな生き物だと元気がない。スマートに飛べない、からだの色が奇麗ではない、声もガーガー、川の魚や虫が獲れない。ぼくなんかいてもいなくてもいいみたい、と。心の想いを話したら眠ってしまい、夢の中で枯れた森の夢を見たのだった。森の仲間たちから、カーくんが食べた木の実が大地に落ちてやがて芽を出して、そして森になる。カーくんのお陰だと教えて貰って、「みんながいてよかった。ぼくもいてよかった。ぼくもぼくでよかった」森にまた、新しい一日がはじまりました。《作者のコメント》夢ら丘実果人に生きる希望がなくなるのは、自分が必要とされていないと感じる時ではないでしょうか?(...カーくんと森のなかまたち

  • 『フィールド新聞』

    私の友人が運営する一般社団法人から活動の近況を伝える機関紙が届いた。『フィールド新聞』である。法人名はその名の通りフィールド。心身のハンデなどのために通常の会社で働けない人たちに働く場や機会を提供し、働くために必要な知識・能力の向上や訓練のための支援事業を展開してる社団法人だ。現在は利用者が40人。そのうち、半数は事業所の外で行う清掃活動などの仕事に従事、あとの半数は事業所の中で製品の清掃や点検、縫製関連作業、資料の封入作業等にあたっているという。この人たちを支え手伝う職員が11名という陣容になっている。コロナ禍のため、会議や運動会、ボーリング大会忘年会などが中止となる。一方、在宅就労の開拓やヤフーオークション、メルカリへの積極出品などで目覚ましい成果を上げているという。利用者(=心身不自由者)のバロメーターと...『フィールド新聞』

  • 流人道中記

    著者浅田次郎出版社中央公論新社初版2020年3月10日上巻371頁下巻294頁ロード・ムービーならぬロード・ノヴェル。江戸から蝦夷地へ流される旗本三千石の姦通罪人青山玄蕃とその押送人に選ばれた十九歳の見習与力・石川乙次郎の奥州街道の道記中である。旅の北上につれて、二人が行きかう人々とのやり取りを通して、当時の市井の生活や貧富、喜怒哀楽が伝わってくる。宿の女将、豪商の丁稚見習い、大泥棒、敵討ち、人情代官などだ。旗本三千石と見習い与力、二人の像も次第に明らかにされてゆく。武士とは何か、武士道か、日本精神とはなにか、近年著者が問い続けるテーマに一直線であることに気付く。本の最後、つまり物語の最後で玄蕃は、問わず語りに言う。「俺はのう、乙次郎。われら武士はその存在自体が理不尽であり、罪ですらあろうと思うたのだ」以下18...流人道中記

  • 宿命と真実の炎

    著者貫井徳郎出版幻冬舎文庫656頁この著者の本は初めてになる。文庫の650頁は結構なヴォリュームで持ち歩きも覚悟が要る。香山二三郎は、「松本清張が没したのが1992年、著者はその翌年に作家デビュー。清張が本格ミステリーにアンチを唱えることで社会派的手法を確立させたのに対し、貫井はデビュー作からして社会派ミステリー的な器に本格謎解き趣向を鮮やかに盛って見せたのである」と解説する。いわゆる警察小説。シーンの転換が多いがスムーズに読み進められるのはプロットが丹念に練られているからか。警視庁捜査一課九係の面々に味があるのがいい。物語を引っ張るのは所轄(野方署)の女性刑事と九係のベテラン刑事。方や背が低くがっちりした体格で凹凸の乏しい地味な32歳、方や相棒を理那ちゃん呼ばわりして喜ぶ中年刑事。二人の関係が捜査の進展につれ...宿命と真実の炎

  • さっちゃんのまほうのて

    共同制作たばたせいいち先天性四肢障害児父母の会のべあきこしざわようこ偕成社1200円1985年10月1刷柳田邦男『人生の1冊の絵本』に触発されて、この先の人生、絵本も読むことに決めた。その第1号。通販でリーズナブルを条件に探し、偶々入手したのだが、実は大変な重さ・使命・ドラマを擁した絵本だった。そのことは、上記著作の冒頭7頁にわたって、ある医師一家の30年の歩みとして柳田氏が触れている。一度見たら忘れられない独特のタッチの絵。それにふさわしい訴え。いや逆か。訴えの重さに相応しくこのタッチの絵が選ばれたのか。こうした世間や人たちが我々の傍に入る。そのことを絵本で知ったことに衝撃を受けたのだった。さっちゃんのまほうのて

  • 認知症機能検査

    先日、自動車免許更新の一環として、高齢者認知症機能検査を受けた。第1問は、検査当日の年月日と時間を記入するもの。第3問は、時計の文字盤を自ら書き、試験官が発表した時刻を、その文字盤にと大小の針を自分で書き込むというもの。まあ、この2問はまあいい。問題は第2問。出題として提示された16枚の絵を覚え込み、数分の数字選定の作業のあと、提示された絵が何の絵だったかを、思い出せるだけ記すというもの。(大砲・オルガン・耳・ラジオ)これを、順不同でも構わず列挙する。一つでも多く書ければその分点数が上がる。この2問が最も配点が多い。結局、合否はこの第2問で決することになる。結果、76点以上は問題なし、75~49点記憶力・判断要注意➡講習時間増、48点以下記憶力・判断低下➡医師診断、に振り分けられる。第2問の絵は、4パターンが用...認知症機能検査

  • 五郎治殿御始末

    著者浅田次郎出版中公文庫300頁著者が2000年から02年にかけて発表した武士物の短編6作の作品集である。時代は江戸から明治、細かく言うと明治のご一新の前後5年間の、世の中のでんぐり返りの大騒ぎと右往左往する武士の姿を描いている。時に哀切時に滑稽、浅田節全開である。何気ない日常の細部にフォーカスをあてて、その時代の空気と気分を表す。たとえば改暦もそのひとつ。それにより読者は一気に引き込まれる。歴史学者の磯田道央は次のように解説する。「幕末はそれほど遠い時代ではない。せいぜい、私たちの曽祖父が玄祖父の頃の話である。にもかかわらず、はるか昔のように感じられるのは、この時代が千年続いた"武士の世"の末端で、明治以降になってはじめて"いま"になるという感覚を、我々が持っているに違いない」「浅田次郎が描こうとしたのは、ま...五郎治殿御始末

  • 人生の1冊の絵本

    著者柳田邦男出版岩波新書338頁素晴らしい本に出会った。新聞の一隅の広告だったと思う。行幸と言うほかない。近年、新聞やテレビで著者の姿を見ることは無く、加齢によるフェイド・アウトは致し方ないと、一抹の寂しさを感じてはいたが、どっこい、凄い仕事をされていた。この本によって取り組まれている今の仕事を知るにつけ、敬意と感動と夢に包まれることになった。著者が「絵本を読もう!」との呼びかけを始めて20年になる。現在も継続中の看護専門紙『看護管理』の2014年4月号から2019年9月号までの連載から53編を一部加筆し、絵本新時代論として再構成したものである。柳田邦男氏著者は”あとがき”に書く。「絵本は幼い子供のために絵で言葉を補っている本だと思い込んでいるいる人が多い。だが違う。大人が自らの人生経験や心に抱えている問題を重...人生の1冊の絵本

  • 紙鑑定士の事件ファイル

    著者歌田年出版社宝島社315頁2019年第18回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。紙の業界で普通に働く一市民が、彼が持つ紙の蘊蓄から事件に首を突っ込みはじめ、捜査当局をリードする活躍を描いた異色の探偵小説。登場人物のキャラクターの造形がユニーク。タイトルの故からでしょう、この本自体が相当入れ込んだ作り方をされている。表紙の見返しにこの本に使用している用紙の説明書きがある。本の構成とその名称が描かれており、読者には目が鱗。これが実にいい。1頁から320頁に至る本文には4種類の用紙が使われている。"アルトクリームマックス四六版52.5kg"、"メヌエットライトC四六版55kg、・・・という具合の紹介があり、「風合いをお楽しみください」とある。その区別など、さすっても透かしても素人には区別はつかない。相当の本好き...紙鑑定士の事件ファイル

  • 或る世界地図

    先日、仙台に住む畏友から世界地図帖を戴いた。実は、"畏友"と呼ぶにはそれこそ文字通りの畏れ多い人生の大先達である。40年来行き来を重ね折々にご教導を戴いて来た。東日本大震災では、被災3県を中心に東北中を救援に駆け回り、希望と勇気と励ましをされた人格と行動の人である。戴いた便りに同封された氏の添え書きには、「福島県の90歳の婦人から戴いたもので、その婦人が尊敬してやまない人生の師(池田大作創価学会名誉会長)の世界平和の行脚が今年で70年。記念にその足跡を辿ったその方の自作の地図です。戴きました」とあった。手に取れば、DAISOの『WORLDATLAS世界地図』。地図には、池田氏が訪れた国名と年月がそれぞれの国に貼ってある。54か国を数える。1か国1行なので、おそらく複数回の訪問の場合は第1回目をカウントしてるのだ...或る世界地図

  • プラネタリウム

    『タウンニュース』の隅の告知案内で知り、コロナ禍の引きこもりの気分転換の積りで行く気になった。プラネタリウムは、小学生の頃に初めて経験し、23~24歳の時のデートが2回目。で今回が3回目。《のんびりアロマ》のキャッチに惹かれ、香りに包まれての星空の下の12時間(実時間は50分)。解説無しというのがいい。上の画像は、江の島の展望台から片瀬、鵠沼海岸方面を望む。場内は、児童が多いと思いきや、若い男女のペア、母娘の二人連れと夫婦物。事前に電話で予約、入場料は@500円。入場時に本日のスペシャル・プレゼントの紙石鹸を戴く。懐かしい!本日のアロマ【玉響】(たまゆら)。松・ライム・バチュリのブレンド。場内にも馥郁を微感。上映中の音楽は、あれはきっとビル・エバンス・トリオのバラード。ベースが効いている。この演出の最後の曲の予...プラネタリウム

  • ウォーキング・ロードの草花 ’21夏 ⅱ

    今日から、ウォーキングの開始時間を2時間早めて7時にした。お陰で、農道脇でコイン買いの野菜が豊富。トマトとキュウリとトウモロコシを買う。〆て750円。【宿根カスミソウ】原産:地中海沿岸、中央アジア、シベリヤ。切り花や花壇用に栽培・生産される。日長が長いほど開花が促進される長日植物で、日本では熊本県で生産量が多い。《撮影:庭草》花言葉:"切なる願い"別名:"オータムセージ"、"チェリーセージ"原産地:アメリカ・テキサス、メキシコ。《撮影:庭草》【和名:薄紅葵】花はハーブティとして利用されており、お湯を注ぐと透きとおった青いお茶になる。レモンを浮かべるとピンク色に変色するので、大変人気がある。民間薬として、咳や胃炎に効果があるとされている。《撮影:庭木》花言葉:"穏やか","柔和な心”ウォーキング・ロードの草花’21夏ⅱ

  • 或るご挨拶状

    これは、故人から生前お世話になった方々に届いた逝去の挨拶状です。普通よくある葬儀の挨拶状とは異なります。亡くなった本人からのという点において。本状を受け取った一人一人は、この差出人が既に亡くなったことを、これによって初めて知ったのです。読んで呆然、事態が飲め込めません。暫くの後やっと理解に至ります。家族(遺族)の理解のもとに、生前の元気な時に自らが文章を練り、送り先を考え、タイミングを計って投函したに違いありません。残念ながら先に逝った親兄弟、恩師、友人などとの彼の国での再会を期待し、現世に残す親類縁者への思いを認める。故人の人柄と遺族との麗しい関係が一目瞭然。何と素晴らしいことだろうかと感嘆しました。近年、古い伝統や格式に則った豪華な葬儀は敬遠され、友人葬・家族葬或いは直葬という形が好まれています。この挨拶状...或るご挨拶状

  • ウォーキング・ロードの草花 '21夏ⅰ

    撮ったのは5月下旬、気が付いたら既に6月。でタイトルは夏にした。【千寿菊】開花期が長いが、万寿菊=クジャクソウより短いことから名づけられた。メキシコ原産の一年草。《撮影:あぜ道》【月見草】メキシコ原産。二年草または多年草。《撮影:生垣》太宰治著『富嶽百景』にあらわれる月見草は、実際はマツヨイグサであったとされる。花言葉は、”ほのかな恋”“移り気”【美女桜】別名:マーベナ。アメリカ原産。《撮影:あぜ道》花言葉は、”家族の和合”【学名:サルビア・ウルギノーサ】メキシコ原産。耐寒性多年草。《撮影:庭草》ウォーキング・ロードの草花'21夏ⅰ

  • 帰郷

    著者浅田次郎出版集英社文庫252頁先の大戦の兵隊の戦中戦後の生き様を描いた短編6作の作品集。巻末の《解説》を、かつて3年間、「コレクション、戦争☓文学」(全20巻+別巻、集英社、2011~2013年)の編集委員として著者とともに作業をした歴史学者の成田龍一氏が書いている。実によく作者と作品を理解され、個々の作品の概説とそこに投影される作者の心象について触れられている。これから読まれる方は、こちらを先ず、が宜しかろう。氏は戦争文学の作家としての著者の位置を、斎藤美奈子の腑分けに従って「戦後第一世代」としている。つまり、”父母”が戦争経験者の世代である。ちなみに”祖父母”が戦争経験者を「戦後第二世代」と呼ぶ。この前段階、戦争小説は、その書き手は戦争の経験者が、自らの経験を語るのが王道であった。解説は書く。「浅田さん...帰郷

  • いのちの停車場

    緊急事態が延長される前に観た。劇場内の観客は熟年夫婦が20組位だったろうか。吉永小百合は、私的にはサユリスト世代に属するが、彼女には優等生過ぎていまひとつ距離を置いて来た。が、テーマと配役陣、それにコロナ禍という特異状況もあり、観ることにしたのだった。結果、今どきは数少ない大人の映画として落ち着いて観ることが出来た。85点の及第点。やはり、脇役に芸達者が揃う映画はいい。いや、吉永小百合が良くないという謂いでは勿論ない。初めての医者役だからか、ぎこちない印象ではあった。もともと不器用な俳優さんなのかも知れない。であれば、ここまで来たのは努力の賜物となる。舞台が金沢というのが気に入った。というよりは、好きな街金沢が舞台だから観る気になったのかも知れない。観た日の夜、この古都に住む友人に電話をした。この映画を薦めたら...いのちの停車場

  • ウォーキング・ロードの草花 '21春

    ウォーキングを始めて、別の言い方ではコロナによるリーモート・ワークになってということになるが、1年2ケ月。最初は毎日だったが、今では週に2回、農道を歩いている。※参考1、2、3歩数にして5~7千歩。野菜を買ったり写真を撮ったりの道草を食って1時間位。今年は、出会う路傍の草花をコレクション。時には通りすがりのお宅の庭の一輪もパチリ。家に帰ったら画像を調べて名前を覚える。結構楽しい。【昼咲月見草】北米原産、帰化植物、多年草、農道脇。北米原産、帰化植物、多年草、あぜ道。和名【下野】は最初に下野国(現在の栃木県)で発見されたことによる。日本、朝鮮半島、中国西北部に生息。庭木。南アフリカ原産。ガザニアとは、キク科ガザニア属の総称。原種は15種ほどある。半耐寒性の多年草で暖地では宿根草になるが日本では一年草として扱われてい...ウォーキング・ロードの草花'21春

  • 地層捜査

    著者佐々木譲出版文春文庫解説川本三郎349頁2010年の新宿荒木町が舞台の警察物。二人の刑事と元刑事が15年前の未解決事件を追う物語。佐々木譲を初めて読んだのは、『エトロフ発緊急電』。32年も前になる。三代にわたる警察家族のシリーズも読んだかな。私の勤め先は、40年間がJR駅でいえば信濃町、その後の10年が四ツ谷と市ヶ谷。ともに荒木町の至近である。のみならず、まさにここの料理屋や酒場に出入りをして対外的な仕事にあたって来た。金融筋、メディア、学者、役人など。その半生を知る友人が、この本を教えて呉れたのだった。町の区画や形状、坂の上り下り、軒下を抜けて歩く狭い路地、往時の名残を感じる店や民家の佇まい、谷底の静謐など、懐かしい情景と臭いが立ち上がって来た。コロナ禍の充実したひとときであった。薦めてくれた友人に感謝で...地層捜査

  • 畑のキッチン

    コロナ禍でリモワーク体制になって1年余となった。通勤が無くなった分歩かなくてはと、午前中の約1時間をウォーキングに充てている。週に3~4日か。その日の気分によってコースを選ぶ。その中の一つ、農道を行くコース(名付けて「乗馬クラブ・コース」)にひと月前頃から路端にキッチン・カーが出、覗けばピザ屋さんのよう。藤沢はブランド・トマトの産地。畑地のビニールハウスでは日々成長するトマトが見られ、次第に赤みを帯びてきている。時期がくれば、それら芳醇なトマトが脇の一角で路地販売され、毎早朝買い求める人が並ぶ景色が現出する。どうやら、ピザもそのトマト農園の身内がやっていつようだ。新鮮で芳味満載のトマトが売りで、採りたての野菜もトッピングされる。値段は900~1100円。焼ける時間待つこと10分。一つ買い求め、ウォーキングをUタ...畑のキッチン

  • イーグル・ホーク

    《EAGLEHAWKCABERNETSAUVINGON》生産国オーストラリア地方南オーストラリア生産者ウルフ・ブラス(仏)ヴィンテージ2018年タイプ赤ミディアム・ボディ葡萄種カルベネソーヴィニヨン飲み口渋味中久しぶりの"ワイン"のアップになる。5月3日、人生の大事な記念日。年月とともにそのあり様は変わる、変わらざるを得ない。人類未曾有のコロナ禍、ともに大事無く暮らせていることにささやか乍ら祝盃を上げる。リーズナブルのワインに飲む前から赤面しつつ。深紅色、フルーティーな香りと味。飲み口は柔らかでありながら、渋味も残る。食卓は、チーズ・豆類、海苔、焼鱈、辣韭、筍と蕗の煮付。あさ、ウォーキングの途次に花屋の前を通りかかり、鉢植えの紫陽花を衝動買いした。「伊予獅子てまり」というそうだ。慎ましい佇まいが気にいった。これ...イーグル・ホーク

  • 盤上の向日葵

    著者柚月裕子出版中公文庫頁上巻342頁下巻322頁作品のために作家は取材をする。その際には厚い壁や高いハードル或いは差別・偏見などがあるだろう。性差もその一つ。警察物は男の世界、それを女性作家が取材する苦労は並大抵ではなかろうと思う。加えて今回は将棋という特殊な世界、より狭小な棋士に纏わる物語である。事件の捜査について「鑑取り(かんどり)」、「地取り」「品(なし)割り」などの専門用語、将棋界の構造や棋士の生態、奨励会のシステム、盤上の駒の動かし方、ゲームの展開の予知、エトセトラ。これらを素人にも理解を進めつつ、推理小説としての興趣を高め、読者に満足感をもたらす技量は、さすがにこれまで数多くの文学賞を与えられてきた著者の面目躍如である。読み進み、途中でホシのめぼしは容易につく。だからと言って面白さは減らない。どう...盤上の向日葵

  • 任侠浴場

    著者今野敏出版中公文庫377頁任侠シリーズの4作目を読む。著者は相変わらず快調に飛ばしている。それが気持ちいい。昔気質の親分が率いる吹けば飛ぶような組の構成員の面々と現代世相とのギャップが、このシリーズの魅力。時にあんぐり口を開け、時に抱腹絶倒、時にハラハラ、時にイライラとこの組の日常に没入するひとときは、実に精神衛生上宜しいのではないかと思っている。ここに登場する人物たちの言説は、警句に満ちている。再建依頼を持ち込んだ銭湯側の小松崎。「利益を追求するために、情けもへったくれもなく、余計なものを斬り捨てて行く。それがビジネスだと、いつの間にか思い込まされてしまっているような気がします。でもそれはおそらくアメリカのビジネスを真似しただけのことでしょう。日本の商いというのは、もっと血の通ったものだったはずです」ノス...任侠浴場

  • 一億円のさようなら

    著者白石一文出版徳間文庫674頁著者の作品を読むのは初めてである。なので、まず巻末の解説を読んだ。WOWOWのプロデューサー岡野真紀子がその冒頭に書いていた。「なぜドラマの制作者たちは白石一文の小説に魅了され、自らの手で映像化したいと切に願うのか」と。「そういえば、NHKが宣伝していた番組の原作だった」かと期待のうちに読み始めたのだった。読み進むうちに描いていたイメージとは異なっていった。リズムあるテンポでシークエンスがハッキリしてリアルな会話表現などの今風の他作家の作品群とは異なっていた。心理解説というのか行動解説というのか、読者の納得や合点への過程をきちんと踏んでいるからだろうと私は理解した。回りくどいというかモタモタの印象はそのためではないかと。それにしても、読んでいて茫漠たる不安というか先の見えない不気...一億円のさようなら

  • 伊豆マリオットホテル修善寺

    戴いた優待券を使っての初投宿。コロナ禍の緊急事態宣言が解除されて正々堂々の遠出。とはいっても車で2時間強の距離。蟄居のストレスを一挙に発散することと相成りました。隣というべきか同系の施設というべきかがラフォーレ修善寺。ともに建つ環境は自然そのもの。国道414号を南下して大平を右折し3キロ先を右折してからの桜が素晴らしい。思いがけない盛大な春の饗応。見物客のいない桜を独り占め。きっと毎年、花見目的の常連さんも多いことだろうが、この日は解除直後のため客はさほど多くなかったのかしら。ホテルのスタッフは、見た印象はアジア系が多そう。マスク越しなので容貌よりも会話で初めて判るといった按配。なので、応対の身のこなしややり取りの細かなニュアンスは邦人のようにはいかない。あの”おもてなし”の温かさを今更ながら納得。優待扱いの待...伊豆マリオットホテル修善寺

  • Dr.ムクウェゲ

    渋谷のユーロライブで(リアル)『ムクウェゲ「女性にとって最悪の場所」で闘う医師』を観た。2018年のノーベル平和賞の受賞で広く世界が知ることとなったコンゴ民主共和国の産婦人科医であり社会運動家。同国東部のブカブに自ら病院を設立して22年にわたり性暴力の被害である女性や少女などを心身ともに救済をしてきた。その数5万5千人に上る。これらの性暴力が引き起こされる原因は、コンゴで発掘される鉱物(特に金、スズ、タングステン、タンタルなどのレア・メタル)をめぐる武装勢力や軍、隣国の兵士などの略奪や暴力的覇権争いによる恐怖統治やコミュニティの破壊にあるとDr.は告発を続けている。それにより自身が命を狙われてもいる。先進国や国連をはじめとする国際機関に訴えても、改革は遅々として進まない。それらの国がレア・メタルのステーク・ホル...Dr.ムクウェゲ

  • JR上野駅公園口

    著者柳美里出版河出文庫初版2021年2月181頁文庫181頁という軽小な形態とは裏腹に、随分と中身の重厚な本である。フィクションを読んでいるのを忘れるほどのノンフィクション的構成と展開。東北農村からの出稼ぎ生活に絡む現代天皇家の家史。しかしそれが声高には語られているわけではない。JR上野駅公園口

  • 読書と人生

    著者寺田寅彦出版角川ソフィア文庫碩学とは、これほど深く物ごとを考えるものか。専門の物理学を離れて、というより斯界と異なる場だからこそ、専門の理詰めの志向方法を駆使しての自由な発想・発展ができるのだろうか。時代と社会を考察し、実に鮮やかに病巣を摘出する。そして治療の方途について自らの考えを述べる。しかし語り口は極めて柔らかい。その硬軟が特徴か。残念なり。今頃読んでる自分が残念なり。我が高校生の時代、岡潔は読んでいたのに。以下は、往時、評判になった随想の抜粋である。ジャーナリズムのあり方についての考察。あれから100年。益々狂風の募るメディアの昨今。思うところ多し。「発明発見、その他科学者の業績に関する記事の特権は、たった一日経過しただけで、新聞記事としての価値を喪失するという事実がある。この事実もまたジャーナリズ...読書と人生

  • ハーベスト箱根甲子園

    今年になって初めての投宿。チェックインの際に、次回の優待券を渡されるので、生来の貧乏根性、無駄にするのは勿体ないと律儀に行くことになる。気が付いたら昨年は2か月に1度足を運んだことになる。コロナ禍のリモワーク中、勤務先には内緒。訪れたのは2月の最終金曜日。ロビーには雛飾り。春の香りに包まれた。食事はホテル内のレストラン”Dining四季彩”でビュッフェスタイル。お客は普段の三分の一程度か。《前菜》は唐墨の飯蒸し、穴子の八幡巻、芹と海月の胡麻酢浸し。《椀替り》は、箱根湧水に地酒・箱根街道の酒粕仕立て。《造り》は、鮪羽汰剣先烏賊肝醤油土佐醤油地酒の”箱根街道”は熱燗で頼んだが実に美味。聞けば常温でも美味しく人気があるとのこと。これはいいことを聞いた。《焼肴》鰤の味噌漬け聖護院大根の柚子味噌掛け《留肴》黒豚の塩蒸しに...ハーベスト箱根甲子園

  • 秘録 公安調査庁 アンダーカバー

    著者麻生幾出版幻冬舎文庫頁数499頁友人からこの本を薦められ著名を聞いた時は、一瞬、官公庁の出す年次報告書いわゆる白書の類と思ったのだった。「”アンダーカバー”とサブタイトルを付けるとは、近頃の役所はやるもんだわい」とも。アマゾンで検索したところで小説であることを知る。この著者なら面白さ・迫力は請け合いだろうと俄然読む気になる。これまで公安調査庁に抱いてきたイメージは、戦時中の特高。左翼の政党や団体・学生運動組織に対して人脈とカネと情報を巧みにしての監視・取り締まりをする隠密の国家機関。スパイ、盗聴、尾行、酒、煙草、裏切りが日常の世界。ところがこの小説の主人公は独身女性。男の世界に女を置いた。これが面白かった最大の要素かな。冒頭は、中国系の男とどちらも尾行を撒きながら会うシーン。アウディS5、溜池交差点、アイボ...秘録公安調査庁アンダーカバー

  • 小田原城址公園

    近場で梅見は、鎌倉か小田原か。結局、緊急事態宣言下でも小町通りの雑踏が目に浮かび、鎌倉を避けて小田原にした。城址に果たして梅はあったっけ?桜だったかしら?と確信はない。域内に入ってすぐ、白梅、紅梅、蝋梅とに出っくわす。まずは好感。気の早い桜も。これは河津桜かしら。爛漫の桜の枝にはメジロが6~7羽。蜜を吸うのに夢中。弱い日差しが少し傾き、花影に隠れて写真が上手く撮れない。1羽写っているのが分かりますかな。駅に隣接して昨年12月に「ミナカ小田原」が開業。ホテルの天成園も入る商業施設。入口に立つモニュメントは二宮金次郎夫妻の銅像。夫妻ですよ。これにはびっくり。つい最近、映画『二宮金次郎』が製作・上映され、その記念とか。小田原行の定番は”守谷”のアンパンと”うおがし”の鯵鮨。久しぶり!旨かったねえ!熱燗二合。上手かった...小田原城址公園

  • 作家の想像力

    朝日新聞に連載中の小説『また会う日まで』(池澤夏樹作影山徹画)2月10日付けの内容に感銘を受けたので、残しておきたい。作家の想像力とはいかなるものか、どれほど読む者の感情をうごかすものか。一読して、暖かと優しさと幸せと力に満たされたことか。主人公は、東京大学で天文学を学ぶ大日本帝国海軍中尉。夫婦に生まれた子、赤子に初めて対面した時の描写である。こんなに小さくて、こんなに赤くて、こんなに大声で泣くものなのか。いや、大声で泣くから赤くなるのだ。乳を飲んで満足して眠っている時はむしろこの子は色白である。その心を想像してみる。暗くて暖かなところでうつらうつらしていたら、もうそこを出なさいと言われた。押し出され、引き出されて、明るい涼しいところに出た。息をしなければならない。不安で、怖くて、大声で泣いた。泣くといい気持ち...作家の想像力

  • 戦豆の猿まわし

    前号(中山晋平記念館)の続き・・・まだチラホラの段階の梅花を矯めつ眇めつしながらなだらかな梅園を歩く。ベンチを拭く桃色の法被姿の女の子。そく見るとリードの先に猿が一尾。きれいに拭き終わった後を猿が歩き回っては、女の子が「ダメダメッ!」とか「降りなさい!」とかやってる場所に出っくわす。幟が立って、地面にはシートが敷かれている。聞けば、「猿回しです。お時間があればやりますけど」と。それから15分間、笑い転げました。”戦豆の猿まわし”という人猿一体の大道芸人屋さん。いま風にはイベント屋とでも言おうか。このチームの名は”春らんまん”。春ちゃんとらんま君という姉弟の珍しい組み合わせのよう。はじめ子猿かと思っていたが、成猿かもしれない。コンビを組んで3年目と口上にあった。「らんまはまだ学習中です」と春姉さんが語っていたとお...戦豆の猿まわし

  • 中山晋平記念館

    コロナ禍による自宅蟄居の禁を破って、近間に出かける。箱根・熱海・伊豆。熱海の梅園は、残念ながら若干の時期尚早。人出の少ないことが幸いし、今回初めて園内の中山晋平記念館を訪れることが出来た。これが思いの外の収穫だった。入場無料。靴を脱いで上がり、居室内を自由に鑑賞出来たのだった。日本を代表する作曲家中山晋平。歌謡曲から校歌・社歌にいたるまでその守備範囲は広く、作った曲は1770を数えるという。両親が口ずさんでいた『カチューシャの歌』や『ゴンドラの歌』も彼の手になるものだった。我々世代では、北原白秋、野口雨情、西城八十などと抒情歌の世界にイメージは連なる。元は、同市の西山町にあった別荘としての旧宅を移築したもの。ガラス戸を多用した明るい木造建築。佇まいは昭和そのもの。素朴で温かくてそれでいて開放的。戦後の世代もノス...中山晋平記念館

  • 日没

    著者桐野夏生出版社岩波書店恐ろしい内容の作品である。普段の生活が絡めとられてゆく。「何故だ!」。その理由が明らかにされぬまま、やがて「お前は悪だ!」と聞かされる。「改めろ!」と迫られる。抗うが敵の圧倒的な力の前に心身がボロボロになる。助かるために妥協するか自己を貫いて死の道を選ぶか。理不尽に拘束された一人の作家が、国家権力によって次第に朽ち果てていく数か月の過程が、克明に刻まれていく。その描写は身の毛がよだつ。息苦しくなってくる。頁の先が怖ろしくて何度読むのをやめようと思ったことか。それは、私自身が同じ状況下に置かれた時、きっと、いとも簡単に転向してしまうであろう自分であることを知っているから。それが辛いし悲しい。とてもこのマッツ夢井のようには戦えないからだ。著者は、朝日新聞への『不寛容の時代』と題した寄稿文の...日没

  • 鉄道員

    イタリアのネオ・リアリズムの系譜に位置する傑作。ベテラン鉄道機関士の一家の生活を、幼い末っ子の男児の目で見た家族の物語。初老の夫婦、働く意欲のない長男、結婚生活が上手く行かない娘、まだ年端のいかない二男。この映画の名作たる所以は、この子役エドアルド・ネヴォラによるところが大きい。映画の目線が普通の庶民にあてられていることが好感度のゆえか。父親の仕事場や同僚たち。共に繰り出す酒場そして歌。娘の亭主の町場の薬屋。新しい勤め先の洗濯場。長男のひと山上げよう気質とヤクザとの絡み。喜怒哀楽の姿が愛おしい。この映画を最初に観たのは、学生の時だったろうか。足繁く通った名画座の類だったと思う。洋画の女優というもののイメージの原型が、この映画のシルヴァ・コシナと『第三の男』のアリダ・ヴァリである。イングリッド・バーグマンでもグレ...鉄道員

  • フラッシュダンス

    青春の躍動がスクリーン一杯に広がる青春映画。この作品でデビューしたジェニファー・ビールスの初々しい弾ける若さに圧倒される。ピッツバーグの鉄工場で働く18歳の溶接工。アフロ・ヘアー、ブルゾンにジーンズ、クロスバイクで街角を走り抜ける姿の美しいこと。住むのは廃屋の倉庫で相棒は愛犬グラント。貧しいけれど夢に向かってまっしぐら。実にカッコイイのだ。ダンスシーンは勿論のことスクリーンにはリズム感溢れる音楽が流れ続ける。観ながら身体が気付かないうちに乗っている。快感ですらある。圧巻はラスト。クラシック・バレエのオーディション・シーン。このためのジェニファーの起用であったのだ。青春映画の名作として残って欲しい作品である。そのためには若い人たちにどんどん観て貰いたい。追記:映画は、お金を払って、暗い映画館の広いスクリーンで一人...フラッシュダンス

  • 風のかたみ

    武家社会に生きる女たちの哀切極まりない生きざま。名誉と主従に生きる男たちを支えつつも、運命に抗って生きる女たち。その凄まじいまでの覚悟が行間から伝わってくる。きぬの凛とした姿は、さもありなんと往時を思わずにはおれない。これが日本の国だったのだと矜持が湧く。初の青色に沈んだ艶やかさは、物語の展開とともに違った側面を見せて来る。よくぞここまで心の襞を、それも女性の心の懊悩まで描き切れるものだと感心するしかない。この女性群像、やがて紅涙を絞る動画になるかも知れない。で、遊びで配役を考えてみた。以下の通り。・女医師伊都子:二階堂ふみ・上意討ちにあった佐野了禅の妻きぬ:戸田恵子・佐野家の長男の妻芳江:指原梨乃・二男の妻初:川口春奈・目付方椎野吉左エ門:福士誠治《著者:葉室麟、出版:朝日文庫、288頁》風のかたみ

  • 大いなる西部

    正統派西部劇。西部劇らしい西部劇。広く荒々しく乾いた風景、時代は開拓初期。牛に与える水源をめぐっての二つの牧場一家の争い、その抗争をさせじと土地の権利を守る女先生、東部から結婚のために来た元船長の正義の奮闘、最後は大アメリカらしい大団円。グレゴリー・ペックは、正義や自由や愛情を真っすぐ体現できる、いわば昔のアメリカの代表俳優といえるか。「アラバマ物語」「ローマの休日」では、知的な紳士の姿は大いにファン層を広げたことだろう。新しい発見があった。牧童頭をチャールトン・ヘストンが演じていた。彼の雄姿は、『エル・シド』『ベン・ハー』『猿の惑星』で何度も観てきた。恥ずかしい限りだが、それ以外の彼を知らなかった。「ヘーエッ!出てたんだ!」と物珍しさが先に立った。大スペクタクルのヒーローしか観てこなかった。それがどうでしょ、...大いなる西部

  • ディア・ハンター

    コロナ禍で在宅時間が多くなったこともあり、TVにハード・ディスクを外付けして、見損なった映画を録画・鑑賞することにした。働き盛りの30~50歳の時代を中心に昔の作品が多い。あの感動を再びとリピート鑑賞も少なくない。ベトナム戦争に赴く若者たちが育ち働く町は、ペンシルベニア州ピッツバーグの郊外のクレアトン。映画の冒頭は、彼らが働く製鉄所の溶鉱炉のシーン。トランプ大統領を生んだ原動力となったラスト・ベルト。その最盛期が背景になっていた。40数年後の今、アメリカの変わりようを思わずにはいられない。スタンリー役のジョン・カザールは撮影前に癌が判明、映画会社が降板を言い渡したが、マイケル・チミノ監督やロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープなどがバック・アップして最後まで出演を果たしたが、映画の完成を見ずに亡くなった。彼が...ディア・ハンター

  • ポーラ美術館

    『コネクションズー海を越える憧れ、日本とフランスの150年』と題された美術展に出かけた。終息が見えないコロナ禍だが、その恩恵を受けてGoTo利用の我が家の第2弾。併せて、今年最後の温泉に浸かって来ようというちょっと贅沢な一泊二日。ホテルも美術館も予想外の人出の多さで、自分たちのことは棚に上げて、感染への嘆き節。展覧会は、同館所蔵の80点を軸に計130が展示、どれも超有名な作品群。相当力が入っていたし、観る側にそれが伝わってくる気がしたのは私だけかしら。一番の驚きは、写真撮影がOKなこと。場内はスマホのシャッター音が絶えない。ルーブルは、今はどうなのか、かつては自由だった。此彼のあり様の違いに大いに関心したものだった。ただ、裸婦の数枚には禁止のイラストが脇に貼られていた。これは、ビジネスへの利用を意図する輩への牽...ポーラ美術館

  • 句集

    長年の友人から句集を戴いた。詠み始めたのは定年後から。七年間の作句のうち編まれているのは百十一句。大学も社会人の仕事も工学部系だった筈。著者「あとがき」によれば、退職後、大学の通教で経営学を3年、大学院で社会経営科学を6年間学んだという。その傍らで句作を学びこの偉業。見事という他ない。妻、母親、学友、旅行、自然など身近を対象にして心のままに詠む、その在りようが素直に伝わってくる。どれも温かい。私の周りには、退職後の俳人が十人とは下らなく居る。国際友好をきっかけに中国人と詠み合う先輩、写真俳句で日々高得点の同期、ツイッターに句と背景をアップするベテラン・ジャーナリスト、自らのボランティアを詠む元会社社長、ひたすら川柳で楽しく生きる元無頼漢、エトセトラ。皆さんお人柄が大変宜しい。で、私も「ボケ防止にでもやってみよう...句集

  • たてしな藍

    コロナ禍がもたらしたGoToトラベル。折角の機会だ利用しようと友達夫婦と一泊の温泉旅行に出かける。実は、購読している日刊紙が週一で行っている《読者プレゼント》で高級旅館の優待券が当たったので、それとの組み合わせ。車で2時間の距離。途中、山梨県の昇仙峡で紅葉を愛でての楽々ドライブ。昇仙峡では渓流に沿って車行、後部座席から晴天下の秋を堪能できた。腰痛・脚痛持ちの身には、数キロを歩かずに済んだのは行幸だった。道に迷ったお陰ではあった。長野に向かうヴィーナスラインに乗る道路で干し柿の路端販売。ご当地の名物という。今から一か月自宅で干せば、お正月には最上の食べごろと誘われて二つ買う。創業して40年になるという。近年リフォームはしたが、建物や環境・佇まいは変わらないという。しかしながら、年配者にはなかなかに辛い。エレベータ...たてしな藍

  • パヴァロッティ~太陽のテノール

    コロナでお預けになっていたが、規制緩和の初日にやっと観ることが出来た。テラスモール湘南の"109シネマ"のシアター8。キャパは100名程度。入りは40名程度か。殆どが中高年のカップル。オスカー監督のロン・ハワードによる115分のドキュメント。20世紀最高峰のテノール歌手の生涯を過不足なく伝える。歌われる楽曲は20曲。どれも斯界の"この一曲"と愛される有名な歌曲ばかり。インタビューには、ドミンゴやカレーラスをはじめに指揮者のズービン・メータ、プロモーター、マネージャー、批評家、家族、&フレンズで競演したU2ボノなど23名が登場する。中でも特に印象に残るシーンは四つ。1968年のメトロポリタン歌劇場(ニューヨーク)デビュー。1990年カラカラ浴場での三大テノールの初共演。91年15万観客の雨中のハイドパーク公演。こ...パヴァロッティ~太陽のテノール

  • 少年と犬

    著者馳星周出版社文藝春秋308頁1760円直木賞2020年上半期受賞作”多聞”と名付けられた雑種犬とそれに縁する人間との関わり或いは暮らしを描いた短編六つの連作集。"多聞"の仕草や想いは人間の側の語り口によって読者に伝わってくる。人の心をフィルターにして犬の賢さと愛情が表現されている。犬と暮らしている読者にはそれらの一つ一つのディーテイルがすべて肯定できることだろう。嬉しい本である。ただ、"多聞"に関わる人達が皆ネガティブな人生なのが引っかかるが、大きなお世話か。まあ、哀切調の方が、読み物としては印象に残るのかな。ウィキペディアによると、日本には動物文学というジャンルがあるそうで、57の作品が分類されている。誰もがよく知る『イソップ寓話』をはじめ、『フランダースの犬』『シートン動物気』『野生の呼び声』『昆虫記』...少年と犬

  • Jazz time ( ジャズ・タイム )

    ジャズCD10枚セットのワン・ボックス。収録156曲。サブタイトルは《永遠のジャズ・ベスト・コレクション》往々にして、この種のコンピレーション企画は、これまでオリジナルの音源で構成されていることは殆どなかったと言っていい。近年ではそうでもないのかな。案内チラシや広告で、そうは期待できないだろうと思いつつ、選曲が及第点だったので買ってみたのだが、結果的に当たった。大儲けをした感。詳細を読んだら、制作がワーナー・ミュージック・ジャパン。やはり違うわいと納得。ちなみに販売はユー・キャン。最近は、ユーチューブやアマゾンで聴くことが多くなっており、いちいちにCDを入れ替えて、サイドメンを確認して、リリースの年月日を頭に入れてと、遠い昔の青春時代に繰り返していた聴き方をしている。実に楽しい。登場するプレイヤーはルイ・アーム...Jazztime(ジャズ・タイム)

  • ジェニーのギフト・ショップ

    コロナ禍で久しく外出を控えていたが、所用で高円寺に出向く。ニュースが報じていたJR新宿駅のコンコースの東西自由通路の開通現場を、お上りさん宜しく歩いてみる。なかなかいい。時間の都合で高円寺駅前をブラブラ。その時覗いて入ったのがこのショップ。駅から細い路地を数分。小さな飲食店などが並ぶ角地に建つ白壁の明るい店。そこだけまるでパリ仕様。子供たちが喜びそうなグッズが行儀よく並んでいる。置物、壁掛け、ドライフラワー、リース、エトセトラ。ステーショナリーもある。ゲーム類もあったかな。一つひとつ手に取ってみる。巣ごもり中の暗鬱な気分がほぐれてくる。当方自慢じゃないが、ハンズでは一日居ても、あれもこれもとキリがない。楽しいから飽きない。疲れない。同じ思いがするハッピーなひととき。聞けば、カエルの人気が一番と。売りの目玉でもあ...ジェニーのギフト・ショップ

  • ミッドナイト・イン・パリ

    冒頭、パリの街のカットが次から次へと現われる。バックの音楽はシドニー・ベシェーのソプラノ・サックス・ソロ。もうたまらない。ミッドナイト・イン・パリ

  • Live to day

    年来の友人とLINEが繋がった。まず無理だろう、でも痕跡が残れば連絡が来るかもと、LINE電話をしてみた。何と出た。びっくりと、懐かしさと、元気をお互いに喜ぶ。近況など語るうち、初めての本を出したという。同世代、言っちゃあ何だが「エッ!!この齢で?」思わず言葉を飲み込む。数日後、送られてきたのが、この本。というか、雑誌というか、むしろムックと呼ぶにふさわしいか。7年前にとある美術館を訪れたのを機に、直感アート教室に入門。師匠の熱心な奨めで、このほど上梓できたとの由。出版日の5月3日といえば、コロナ禍の真っただ中。世界が100年に一度の厄災の時に、天真爛漫な初出版とは羨ましい。『Livetoday』、邦訳すれば『今日まで生きて』となろうか。十重二十重の意味が汲める上梓ではありました。おめでとうございます。Livetoday

  • 思いやりだネ 人生は

    コロンビアの4月新譜の演歌CDを頂戴した。タイトルは『思いやりだネ人生は』。歌:藤堂輝明作詞:二木葉子作曲:新倉武この時期にリリースとは、しかも演歌。と一瞬思ったのだが・・・。今更営業計画を変えられない、ピンチをチャンスにの意図があったことだろう。が曲を聴いて、時を得た作品であると素直に思えたのだから芸術は不思議だ。曲想は、北島三郎或いは村田英雄の世界に通じる。それもその筈、歌手の藤堂は日本民謡界の四天王の一人である。演歌ならぬ援歌である。作曲の新倉武は日本芸能協会の代表理事でもあり、日本を代表する舞踊集団《若竹》の主宰もしている。コロナ禍無かりせば、恒例のアジアの国々との交流の只中であったろう。この厄災は、世界を変えた。コロナ後をどう生きてゆくか。その転換が出来るか、すべての世界・分野で必死な模索が続いている...思いやりだネ人生は

  • 明月院

    間もなく梅雨が明けよう。その前に梅雨の記録をアップしておかなくては・・・。訪れたのは紫陽花で人気の明月院(北鎌倉)紫陽花は300種と言われている。多彩に色とりどりの植栽をイメージしていたが、ここには観たところ種類は少ないようだった。仏典に出て来る沙羅双樹が咲いていた。なかなか観れるのは難しいとかで、大いに気をよくした。大振りな樹にも拘わらず、白い清楚な花。なんとなく、”さもあらん”と思う。観て歩いたのは一時間ほどだったが、途中から雨。コロナで参観者は少ない。最高のシチュエーション。太宰を真似て一句。『紫陽花には雨がよく似合う』失笑もの。江ノ電鎌倉駅へ出るバス停への道すがら、建長寺参道前の三日月堂花仙に寄る。どら焼きで有名。この日はクリームあんみつを連れ合いはぜんざいを所望。甘味が何とも言えなかったね。いい半日で明月院

  • 私のウォーキング・コース①

    リモート・ワークになって100日が過ぎた。最大の課題は自身のウエイト・コントロール。ジョギングの方が良いだろうとは思うが、いきなりを避けて、ウォーキングをそろりと始めた。今はそのコースが5つになった。季節が少し戻るが、春先の分も含めて、ランドスケープを概観したい。住まいから歩いて5分の小田急線の駅。緑に包まれた日大生物資源科学部の周回道路を四分の一ほど辿る。大学のキャンパスには季節の花が咲き乱れている。何といってもバラ園が素晴らしいが、ここに無いのが残念。単に撮ってなかったからです。歩く道路の反対側に咲くフジ。ほぼひと駅の間をウォーキング。舗装道路を外れると、辺りは畑と田んぼが混在。今は田植えが終わり、一面の緑が目を洗うほどに美しい。この地域で生産されるトマトはブランド品。地元でお目にかかることを少ないが、ごく...私のウォーキング・コース①

  • 珈琲屋の人々

    久しぶりに良質なテレビドラマを楽しんだ。NHK-BSプレミアム、連続5回放送。初回の放送は2014年。見たいと思いつつも曜日・時間の都合でそれが叶わなかったドラマ。レコーダーの備えはなく、VODなど扱えない我が身。コロナ対策向けかどうかはいざ知らず、NHKの編成のお陰で観ることが出来た。一杯の珈琲で人生が変わるというコンセプトの物語。出演は、高橋克典、木村多江、八嶋智人、壇蜜、渡辺えり、吉行和子、小林稔侍など芸達者な面々。それぞれが演じる人生が匂い立ってくる。NHKの番宣記事は、このドラマの内容を次のように紹介している。東京下町の商店街。その中にひっそりとたたずむ、レトロな喫茶『珈琲屋』。この店には、集う人々の問題や悩みが日々持ち込まれ、ドラマが起きる。店主・宗田行介が心を込めていれるコーヒーは、そうした人たち...珈琲屋の人々

  • フォンテーヌブロー仙石亭

    コロナ緊急事態宣言解除2日前に箱根に出かけた。車は湘南ナンバー、県内移動で大目に見て貰おうという魂胆。はじめて利用する仙石原のオーベルジュ。もとは5月の予定だった。果たして実現できるかぎりぎりまで判断を延ばした結果だった。箱根湯本駅は閑散、商店街も8割は締まっていたが、ホテル着いて驚いた。10室全室満室。レセプション脇のロビー。レトロ調、ウッディの内装が落ち着いた佇まいで好感度が上がる。デスクライトはLED珈琲メイカー小型だが高音質の再生装置。24時間naturesoundで和らいだ音楽が静かに流れる。これとは別にDVD再生装置も備えあり。緑深い山あい。降り出した雨もいい按配に涼を呼ぶ。浴室は1か月前にリニューアルとか。聞けば、コロナの真っ盛りでも営業は続けていたという。固定客に愛されているのだろう。食材はすべ...フォンテーヌブロー仙石亭

  • 箱根湿性花園

    コロナ感染のための緊急事態宣言が解除。蟄居が解け箱根に行く。まずは気分転換。ホテル、旅館、レストラン、美術館、商店街、飲食店など軒並み休業中。二日前に開園した湿性花園は中高年の夫婦連れが三々五々。皆さんきちんとマスク。カキドオシクリンソウタニウツギカザグルマコウホネニッコウキスゲハマナスウワミズザクラハマギククロユリエゾノキリンソウミヤマウツボグサハナショウブ園内ではひときわ大きな鳥の鳴き声を度々聴く。姿を探すが見当たらず。あれはおそらくキジでしょう。遅めのランチは、仙石原の「かま家」、馴染みのお店。5日前から営業再開とか。箱根湿性花園

  • 天国と地獄

    ”コロナ鬱”による長いリモート・ワーク。友達と気晴らしの長電話でお互いの気分転換と健康確認。なんと黒澤明全作品30巻のDVDを楽しんでいるという。ならば、と借りたのがこれ。これまで探しまくったのだが、黒澤作品は、バラでは市場に出ていない。最も観たかったのが『天国と地獄』。時代物はTVで見てきたが、残念ながらこの現代物には出会えていなかった。コロナ禍のお陰で実現できたという次第。実業家・三船敏郎と脅迫犯・山崎努の生活の落差、パートカラーの煙突の煙、犯人を囲むシーンの音楽がプレスリーの『イッツ・ナウ・オア・ネバ―』、どれも鮮烈な衝撃を受けた50余年前。再び勿体ないほどに堪能させて貰った。冒頭の三船の家でのシーン、会社重役の面々の俳優陣が凄い。もうここから、尋常の作品ではない思いが押し寄せてくる。警察の捜査会議の刑事...天国と地獄

  • 音楽サスペンス紀行 亡命オーケストラの謎

    新型コロナウイルスのため、今週は月曜日からテレワーク。二日目の昨日、ザッピングで出くわして、思わず2時間見入る。名付けてテレビワーク。さすがNHK!と賛辞を贈ります。近衛秀麿はベルリン・フィルを初めて指揮した日本人であり、兄は太平洋戦争末期の日本国首相近衛文麿である。その彼が、ナチス・ドイツの戒厳令下のヨーロッパで”ユダヤ人音楽家を助けるために、オーケストラまで組織してそれを隠れ蓑に活動をしていた”と思われる事実を追って構成された2時間のサスペンス・ドキュメント。日独伊三国同盟の下で、日本の宰相の実弟が、ナチスの手からユダヤ人を救うことなどができたのか。80年前の話であり、当時のマエストロ・コノエを知る音楽家やレジスタンスの証言を得ることは今や絶望に等しい。糸をたぐりたぐり迫って行く映像と音楽のドキュメントであ...音楽サスペンス紀行亡命オーケストラの謎

  • 南相馬メドレー

    著者柳美里出版社第三文明社定価1,650円何と心温まる本だろうか。”人間ていいな!””人生は素晴らしい!”という思いが素直に湧いてくる。東日本大震災の被災地南相馬に移り住んでからの5年間を綴ったエッセイ47編。被災地の人々との交流や我が家族との日々が、時に熱く時に苦しく時に希望溢れる未来となって心に迫ってくる。ここに収められた一つ一つの世界が、なんと貴重で繊細で印象深いことか。それはきっと、著者の強い覚悟と高い見識と豊かな表現力によるものだからだろう。著者は書く。「わたしは四十七歳にして初めて自分を生活者として位置付けている気がします。いま、小説に書きたいのは、日々繰り返される生活です」「傷つき、痛み、苦しみ、悲しんでいる魂を感知する。魂に触れ、魂の脈をとる。脈を聴くことに心を集め、痛み、苦しみ、悲しみを引きう...南相馬メドレー

  • 東京ミチテラス2019

    このミチテラスは“道照らす”と思っていた。『なんだかなあ!』の想いを抱いていたが、間違いだった。“未知照らす”だった。とはいえ、開催趣旨の《未来を明るく照らしていこう》とは、開きがある現実でした。と言うのは、あの広大な東京駅から皇居へ直進する御幸通りを電飾で埋め尽くすのは土台無理でしょう。駅前広場では、プロジェクション・マッピングも披露され、中ではブライダル・ドレスの花嫁さんをプロらしきカメラマンが撮影している人だかりもありました。当方も野次馬宜しく盗み撮りしたのだが、所詮、他所ののお嫁さん。記念にアップさせて戴きました。丸の内では先行して11月7日からイルミネーションが飾られていてその数約100万球。仲通り1.2キロにわたり200本の街路樹がLEDで形どられ、そのドームの中を歩くのは、なかなかに幻想的、この世...東京ミチテラス2019

  • 鎌倉文学館 #鎌倉散歩2

    今年年初に鎌倉に出かけたが締めくくりも鎌倉。行く先は鎌倉文学館。幸運にも江ノ電は、運転席横の席。どうやらプロもアマもカメラマンたちが狙っていた気配があったが、年寄り夫婦が並んで乗車待ちの姿を見て、席取りを自発的に諦めた、失礼譲ってくれた模様。優しい皆さんに感謝してショート・トリップは始まった。ここにはシステムの制約があり、残念ながら動画は紹介できないが、江ノ電らしさ溢れた動画が撮れました。鎌倉文学館に着く前に潜り抜ける名物の隧道。栗鼠だった。何やら、道端や頭上の木の中でガサゴソ。栗鼠だった。人を怖じず、すぐ傍らで木の実を探しては啄む。まあ、可愛いこと。木立の間を歩むにつれ、歴史の案内板や記念の建造物などが現れてくる。紅葉の盛りは終わっていたが、閉館の2時間くらい前の黄昏時、観光客は疎らで静寂な佇まいがスッと吸収...鎌倉文学館#鎌倉散歩2

  • ルーズベルトの開戦責任

    著者ハミルトン・フィッシュ訳者渡辺惣樹出版草思社文庫フランクリン・ルーズベルトと言えば、ニューディール政策。これによって、アメリカを強大な国へと導いた偉大な大統領と教わったし、そのイメージは今までずっと変わらないで来た。それは間違いだというルーズベルト告発の本である。ニューディールは失敗だった。その挽回をすべくルーズベルトが打った手が、アメリカのヨーロッパ戦線への参戦であり、日本を開戦に追い込むことだった。そしてそれは見事成功した。著者は同時代の共和党所属下院議員のハミルトン・フィッシュ。彼は元来、外国での戦争にアメリカが参戦することに反対の非干渉主義者だったが、日本の真珠湾攻撃を機に対日戦争容認派に転じ、ルーズベルトを擁護し対日戦線布告を支持する演説をしたのだった。名演説と言われた。これによりヨーロッパの戦争...ルーズベルトの開戦責任

  • 忘れ難き歳月

    サブタイトルにある通り、本書の筆者は中国と日本の両国の約20名、その多くが長年にわたって両国の報道や研究に携わり、それぞれ駐在記者としてお互いの国に派遣された経験を持つベテラン記者たちである。記されているのは、私たちが聞いたり見たり経験した両国関係の重要な出来事であり、語られているのは戦後の中日友好事業の礎を築いた人や井戸を掘った人たちである。取り上げている時代は、1959年の日本の長老政治家松村謙三氏の戦後初の中国訪問から2007年の中国の総理温家宝の来日までの約半世紀。出版は国交回復35周年の2007年9月に中国の五洲伝播出版社から。半世紀にわたって自ら報道してきた記者たちが、少なからずの人数で書き編んだドキュメント。事実の重さがずっしりと伝わてくる。日中両国の現代史を綴った類書は数多くあれど、ユニークさと...忘れ難き歳月

  • 忘れ難き歳月

    劉徳有忘れ難き歳月

  • 日大藤沢キャンパス

    ご近所に越してきて2年。長い夏休みの運動不足の解消にと、初めてキャンパス内を歩いた。生物資源科学部。以前は農学部だったとそうで、さすが自然体の緑に溢れた広大な敷地。大学本部棟は、巨大な目印。地域の人に安心感とアカデミズムの誇りと学生の希望を届ける。夏休みで学生は少ない。木立を抜ける風はこの上なく心地よい。放置した林を抜けると研究室などの瀟洒な校舎が現れる。奥深い所には、同学部発祥の碑が建つ。聞けば、同じ町内の人々には、いつでも学食と図書館は開放されているそうで、これはいいことを聞いた。これから先の人生、大いに利用させて戴こう。日大藤沢キャンパス

  • ホテル ニューさがみや #7

    《温泉》カテゴリーで7回目のエントリー。30年来通っている。車で海岸線を1時間で着く。箱根、富士山、伊豆に脚を延ばすにうってつけ。湯も料理も申し分ない。毎年、夏前に一か月かけて全館のリフォームが行われているからだろう一向に古びないし、時代のセンスが取り込まれていて実に気分がいい。大沢商会の直営する観光ホテル。ロビーの衣替えも意表を突き、そのつど新鮮な驚きがある。ここの売りは料理と最上階の貸し切り露天風呂。深夜、真っ暗な洋上に漂う漁火を眺めながらの入浴はもう最高。癖になっている。ちょっと前までは、食事は全客自室だったが、現在はお食事処まで足を運ぶ。手間とか人件費とか働き方改革とかでやむを得なかろう。この日の献立をいってみよう。食前酒は梅酒。《楽盛り》は、こはだばってら寿し無花果生ハムチーズ合鴨カレー風味梅ひしをだ...ホテルニューさがみや#7

  • エルヴィス

    永住先のラスベガスから3年ぶりに一時帰国した先輩Mr.Nobu。その歓迎の小宴の集まりで、彼の友人の実業家から、記念に戴いた佐藤亜土の作品。黒色の中の朱色部分がお分かりになるだろうか。そう、エルヴィス・プレスリーのステージをモチーフにしている。この部分の色だけを変えて10作品があり、青の作品をもう一方が戴いた。ちなみに、この御仁の一時帰国は参院選の支援のためである。こうした支持者に支えられる候補や政党は強い。年々投票率が下がりゆく我が国の有権者は、なべて見習いたい。民主主義は一人から始まるのだから。ビートルズが登場する前、プレスリーは洋楽好きの若者のシンボルだった。一つの時代の刻印であろう。アンディー・ウォーホールがそうであったように。作品名「エルヴィス」作家名佐藤亜土作家名カタカナサトウアド作家英名SATO,...エルヴィス

  • 朝、目覚めると、戦争が始まっていました

    出版社方丈社2018.8.14第一版第一冊朝、目覚めると、戦争が始まっていました

  • マックバレン・バニラ・チョイス

    スウェーデン産40gパウチ1210円ひさしぶりのパイプのエントリー。ソフトでなかなか品のある味わいかな。火持ちはよい。ヴァージニアとキャベンディッシュにバーレーをプラスしたブレンド。ヴァニラテイストは初心者向き。今手元にあるパイプは14本。一番新しいのは昨年6月の退職記念に戴いたもの。大分長く使ったと思っていたが、そんなものだったか。買う大義名分を何にしようか。《thethirdjobmemorial》これにしよう。マックバレン・バニラ・チョイス

  • ど根性ひまわり

    5月の大型連休を利用して、《3.11》の震災遺構を訪ね追善をして来た。大川小学校では、裁判が進行中ということもあり、碑や弔意文・供物などは地味な配置の印象。『がんばろう!石巻』看板は、周辺の整地に伴い場所が若干移動。脇にはプレハブ造りの案内所が建つ。災害全域のジオラマで、ボランティアの方に丁寧な説明をして戴いた。緩慢を増す行政への怒りが伝わってきた。画像は、現地で種で戴いた”ど根性ひまわり9世”。5粒のうちの3粒が芽を出した。私にしては出来過ぎ。さてこの先、芽出度く種が収穫出来たら”ど根性ひまわり10世”をお分けします。希望さえる方はコメント欄にどうぞ。不器用なブログ主ゆえ上手く獲れたらの話ですが。ど根性ひまわり

  • 丸の内MS

    東京丸の内オアゾのB1にある。味も量も値段もバラエティに富んだお弁当を売る。界隈のオフィスで働く老若男女は、せかせかと買っては立ち去る。オフィスの自席か自社の入るビルの食事の共同スペースか、或いは至近のお堀端などでランチする。家庭料理の総菜も選べることが出来、ご飯と味噌汁を頼んで店内でイートインもOK。正午前から列ができる程に利用客が多い。この日の選んだランチは、小さめの弁当657円。味噌汁込みで820円。《丸の内MS》丸の内MS

  • RCタバーン

    RCタバーン

  • 花菜ガーデン

    朝刊に挿まれたチラシに誘われて”花菜ガーデン”にショート・ドライブ。陽気は上々。生まれ育った平塚市の田園地帯にある最近話題のバラ園である。これほど広くて清潔で整った施設とは思いもよらなかった。入場口の近くの屋内では、サツキの展覧会。ひとつひとつに授賞のラベルが張られていたが、なるほど納得の作品。開園は2010年。正式には『神奈川県立花と緑のふれあいセンター』という。3200余の季節の草花が楽しめる。一目で丹精されて育てられていることがわかる。薔薇の次はあじさい。待ち遠しい!!花菜ガーデン

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