詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記) さん プロフィール

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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)さん: 詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)
ハンドル名詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記) さん
ブログタイトル詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/shokeimoji2005
サイト紹介文日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供524回 / 365日(平均10.0回/週) - 参加 2014/10/02 10:33

詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記) さんのブログ記事

  • 坂多瑩子「へいすけ」、颯木あやこ「深海の奏楽者」
  • 坂多瑩子「へいすけ」、颯木あやこ「深海の奏楽者」(「狼」30、2017年03月発行) 坂多瑩子「へいすけ」を読みながら、「へいすけ」って誰?と思う。男? それとも猫? あるいは猫は「あたし」?へいすけは真っ白なハンカチで手をふきながら歩いているへいすけは看板を見上げて腕時計を見たそれからあたしの方に向かって歩いてきた これは男の描写に見える。小説なら、そうなる。 これが、こうつづく。へいすけとあたしが知り [続きを読む]
  • 平林敏彦「叛旗はきょうも」
  • 平林敏彦「叛旗はきょうも」(「交野が原」82、2017年04月01日発行) 平林敏彦「叛旗はきょうも」は風景にたんたんと自己を重ねていく。おお あれに見えるは浚渫船か世界はけだし激動のさなかにあるがあの船は日がな一日水の底にたまっている土砂や老廃物をさらっては掻き出し またさらいながらただ一度の生涯を終えるのだおれっち人間もしばしば赤恥をさらしまた逆に居直ったりしてずたずたな一生を送りあとは野末の石の下とい [続きを読む]
  • 白島真『死水晶』
  • 白島真『死水晶』(七月堂、2017年03月07日発行) 白島真『死水晶』には1970年代に書かれた作品から最近書かれた作品までが収録されている。2016年に書かれた「雪豹」。机の上の青白い囲みのなかに閉じ込められた雪豹をみる書きかけた詩篇のなかで原野に放たれ都市の肉を引き裂くおまえを見たかった 「書きかけた詩篇のなかで」という一行が白島を特徴づけている。「詩篇」は「ことば」と言い換えることができる。実際の雪豹では [続きを読む]
  • 米田憲三「長崎さるく」
  • 米田憲三「長崎さるく」(「原型富山」173 、2017年03月12日発行) 米田憲三の短歌は現実を描いてもどこか虚構性というか、演劇性があって、そこに私は「青春」を感じるのだが。 「長崎さるく」は、旅そのものが一種の非日常なので、虚構・演劇性が薄れる。そこにもうひとりの米田がいる。聞き慣れぬ「さるく」の語意を訊ぬれば気儘な散歩かと老師は応う さっと読んでしまう歌だが、その「さっと読める」リズムが気持ちがいい。 [続きを読む]
  • 千人のオフィーリア(メモ35)
  • 千人のオフィーリア(メモ35)そして戻ってきた誰かを愛していたはずだけれど、誰を愛していたのか忘れてしまった愛したこころだけを持って戻ってきた敗北して、疲れて、頭の中をことばでいっぱいにして。ちょっと待って、プレイバック、プレイバックと山口百恵は歌った、ちょっと待って愛したこころって、誰のこころ?私のこころ?愛したひとのこころ?誰が何を言っているのか、自分の声も聞こえないくらいにことばが騒がしい。覚 [続きを読む]
  • 鈴木正樹『壊れる感じ』
  • 鈴木正樹『壊れる感じ』(思潮社、2017年02月25日発行) 鈴木正樹『壊れる感じ』の感想を書くのはむずかしい。たとえば「糸」という作品。天空へ押し流されているのは凧ではない自らの 指を裂きながら糸を 繰り出す自らの 重みにたわみながら糸は 伸びる何をはらんで 凧は昇るのか?指が繋ぎ留める 痛み 二連目に繰り返される「自らの」ということば。そこに差し挟まれる「裂く」という動詞。自ら傷ついていくもの。そして [続きを読む]
  • 千人のオフィーリア(メモ34)
  • 私は春の雨に恋するのが好きイエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの傘があたらしい花のように音を立てて開く私は春の雨に恋するのが好きガラスを斜めに叩いて向かいの本屋を隠してしまうとコーヒーのかおりがあたたかくなる私は春の雨に恋するのが好き通りすぎると空は青いシャツに着替えて私の目を透きとおった目で満たす私は春の雨に恋するのが好き交差点でクラクションが世界の変化を予言する小鳥たちの噂話をかき消して [続きを読む]
  • 夏目美知子「歩く、歩く秋」、斎藤健一「並列」
  • 夏目美知子「歩く、歩く秋」、斎藤健一「並列」(「乾河」2017年02月01日発行) 夏目美知子「歩く、歩く秋」は金木犀のことを書いているのだが。風吹く通りを歩く。脚は勝手に家に向かって動く。家へはこのまま真っ直ぐだが、道は左右あちこちで分かれている。 ここがおもしろかった。「真っ直ぐ」はほんとうに直線かどうかわからない。家に帰るときは、何度角を曲がっても曲がったことを意識しないだろう。「勝手に」というは意 [続きを読む]
  • 又吉直樹「劇場」
  • 又吉直樹「劇場」(「新潮」2017年04月号) 又吉直樹「劇場」はストーリーと描写と哲学が交錯する。「小説」の王道である。 私は「見かけ」のストーリーには関心がない。目次に「上京して演劇を志す永田と恋人の沙希。未来が見えないまま、嘘のない心で結ばれた二人」が、「見かけのストーリー」である。「枠組み」である。 「見かけのストーリー」とは別に、「真のストーリー」がある。「他人」が突然登場して、世界を活気づか [続きを読む]
  • 千人のオフィーリア(メモ32)
  • 千人のオフィーリア(メモ32)春を告げるミモザは黄緑色の強烈な謎。遠い国からやってきて、突然私の目を讃える。鳥が騒ぎだすように恋の予感が騒いでいる。新しい太陽の光が感覚のなかで光る。私は不安でいっぱいだ。空へ果てしなく落ちていく青と、庭の椅子の白の間を音楽が駆け抜け世界はかわる。The magic box―谷内修三詩集 (1982年)クリエーター情報なし象形文字編集室 [続きを読む]
  • 中川智正「肉牛の眼」ほか
  • 中川智正「肉牛の眼」ほか(「ジャム・セッション」創刊号、2012年08月発行) 「ジャム・セッション」は江里昭彦が中川智正と出している同人誌。江里が同人誌を思い立った理由が書かれている。 被告のころからすでに短歌・俳句の実作を試みていた中川氏は、私との面会が不可能になる直前、歳時記の差し入れを希望した。これからも継続して詩歌を作りたいという意思表示であると理解した私は、最後の面会において、ふたりだけで同 [続きを読む]
  • 千人のオフィーリア(メモ31)
  • 千人のオフィーリア(メモ31)私は私を無視してあなたをみつめている。あなたはあなたを無視して私をみつめている。私は私の私を知らない。あなたはあなたのあなたを知らない。けれど私の私はあなたのあなたを知っている。あなたのあなたは私の私を知っている。私の私、あなたのあなた、私たちは私たちを無視して互いをみつめている。いつも。あなたがいないときもあなたがいないことを無視して。私がいないときも私がいないことを [続きを読む]
  • 宇部京子「とうさんの海」
  • 宇部京子「とうさんの海」(「毎日新聞」2017年03月07日夕刊=西部版) 毎日新聞夕刊の「特集ワイド」に宇部京子「とうさんの海」が掲載されている。さみしいときうれしいときまよったときつかれたときとうさんの海に会いにいくとうさんとおなじ 歩幅ですなはまを あるくとうさんとおなじ 背中でかいがらを ひろうとうさんとおなじ 目線で水平線を みるとうさんとおなじ 手つきではまなすを たおるとうさんの海は わたし [続きを読む]
  • 千人のオフィーリア(メモ30)
  • 千人のオフィーリア(メモ30)今夜、川がオフィーリアを発見した、そのすばらしい体を。キスをするとき舌と舌が激しくもつれて、「もっと」。ほかのことばが無意味になったみたいに「もっと」こころが叫んだとき熱のある肌が大きく起伏して、遠くでフクロウが闇に嘘をついていた。春のやわらかい葉裏になって風が手のように動いた。今夜、川は裸になってオフィーリアを追いかけ、今夜、川はなめらかなまま光る激流になってオフィー [続きを読む]
  • 高貝弘也「祝福」
  • 高貝弘也「祝福」(「森羅」3、2017年03月09日発行) 高貝弘也「祝福」は、行間、字下げが複雑にできている。行間、字下げにも「意味」や「感覚」があるのだろうけれど、私にはつかみきれない。(引用したことばが、ネットにアップしたとき正確に反映するかどうかわからない。原文は「森羅」を参照してください。)あなたへ返す、初心悲願の血と 光と   あなたの 悲しいほどの、   うらなさよ夕暮れさみしい日の、影送り [続きを読む]
  • 粕谷栄市「死んだ男」
  • 粕谷栄市「死んだ男」(「森羅」3、2017年03月09日発行) 粕谷栄市「死んだ男」は、繰り返し、言い直しによって少しずつことばが動いていく詩である。 死んだ男が、最も恐れなければならないことは、自分が、既に死んでいることに気づかずに、日々を過ごしていることである。 たしかに、自分は、昔から住んでいた町にいて、永年、営んできた筆屋の店にいる。少し、変わっていることといえば、もう何年も、一人も筆を買いにくる [続きを読む]
  • パク・チャヌク監督「お嬢さん」(★)
  • パク・チャヌク監督「お嬢さん」(★)監督 パク・チャヌク 出演 キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ  「オールド・ボーイ」「渇き」のパク・チャヌクが監督、ということで期待して見に行ったのだが。 私はストーリー展開(逆転、また逆転の見えないラスト)という映画が嫌い。退屈してしまう。「肉体」に真実味が感じられない。人間性が見えてこない。 この映画は「詐欺師」が登場した瞬間から、これはもう、最初から最 [続きを読む]
  • 池井昌樹「星」
  • 池井昌樹「星」(「森羅」3、2017年03月09日発行) すでに紹介したが、「森羅」は手書きの文字をコピーして製本したもの。池井の、独特の「くねくね」した文字。何をつかって書いているのかわからないが、「筆」の文字に似ている。書き初めがしっかり意識されている。最後の「とめ」とか「はね」もしっかり意識されている。書き初めから、最後の「とめ」「はね」までゆっくりと「筆の腹」が紙の上を動いていく。その「ゆっくり」 [続きを読む]