napier さん プロフィール

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napierさん: Soul and Belief 孤独な哲学者たち
ハンドル名napier さん
ブログタイトルSoul and Belief 孤独な哲学者たち
ブログURLhttp://soulandbelief.seesaa.net/
サイト紹介文苦悩した哲学者たちから現代をより良く生きるヒントを学びたいと思います。後に英訳も併記する予定。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供11回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2014/12/18 14:58

napier さんのブログ記事

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  • 69冊目『騎士団長殺し』村上春樹 Killing Commendatore
  • 読み飛ばしせず読み切りましたが、正直な感想は「長い」です。けっして退屈な作品というわけではないんですが。こんなモチーフ前の作品にあったなとか、この描写はあの作品でも見たなとか思い出しながら、自制的な主人公が自分自身からちょっと解放されるに至る第二部まで読み進めていきました。物語の風呂敷を広げていく第一部はその後の展開を楽しめる構成になってましたが、事件の「ひとまず」の収束へ向かっていく第二部で肩透 [続きを読む]
  • 68冊目『精神医学的面接』サリヴァンThe Psychiatric Interview
  • 面接ってなんでしょうか?面接とは字義からすると顔を直接付き合わせることです。つまり本書で面接とは、われわれが一般的にイメージするところの「診察」のことを指しており、「診察」の基本的な姿勢から具体的な診察な進め方までおおまかに指南してくれています。しかし「診察」と言ってしまうと、その主体は医者ですね。医者が患者を診察するのであって、患者が医者を診察するのではない。診察の場において、患者は一方的に診察 [続きを読む]
  • 67冊目『オープンダイアローグ』ヤーコ・セイックラ/トム・E・アーンキル
  • 本書は「オープンダイアローグ」と「未来語りのダイアローグ」の技法について書かれた本です。前者は急性精神病を治療するための、後者はより広く不安を解消するためのテクニックとして、フィンランドの心理学者、社会学者たちの実践を通して開発されました。哲学的にはミハイル・バフチンの思想も参照されていますが、著者たちの試行錯誤があって徐々に体系化されていったことが強調されています。フィンランドの精神病入院患者を [続きを読む]
  • 64冊目『ニシノユキヒコの恋と冒険』川上弘美
  • 西野幸彦の青春時代から死後に至る(なんと西野の幽霊まで登場する)女性遍歴を、10人の女性の視点から、連作集という形式で振り返るのがこの作品。女を愛することのできない哀しい男を通して、女性作家にしか書けないであろう女性のリアルが垣間見えます。西野幸彦という名前に意味を読み取るとしたら、それが意味するところは浄土でしょうか。仏教が伝来して平安時代以降、阿弥陀仏が治める浄福なる浄土は遥か西方にあるとされ、幸 [続きを読む]
  • 63冊目『欣求浄土』藤枝静男
  • 作者の藤枝静男は、志賀直哉に心酔してあくまで私小説スタイルを貫いて小説を書いたことで有名です。しかし、私小説の極北とも形容されるように、彼の描き出す世界は現実を超えた幻想にまで広がってゆきます。素朴な自然を模範とし、客観的な描写を重んじた志賀直哉、白樺派。藤枝静男は、その延長線上で、自らのスタイルを切り拓いていったと言えるでしょう。連作という形式で書かれている『欣求浄土』も、そのように幻想にまで突 [続きを読む]
  • 62冊目『こころ』夏目漱石Kokoro
  • 私はその人を常に先生と呼んでいた。この有名な一節に始まる『こころ』。言わずと知れた国民文学です。ふと手にとった雑誌で夏目漱石の特集を読む機会があり、彼の言葉がむしょうに恋しくなって、上中下のうちの上「先生と私」だけ読み返しました。近代の孤独をいち早く経験し、そしてこの死に至る病がますます多くの日本人を苦しめるようになろうと予見した漱石。彼が恋愛を題材にあぶり出した近代社会の闇は、そのまま現代に通ず [続きを読む]
  • 61冊目『つながるーセックスが愛に変わるために』代々木忠
  • このブログで本書を取り扱うのには少々のためらいがありました。著者の代々木忠とは小説家でも思想家でもなくAV監督なのです。けれども本書は私たちに、紛れもない「性の哲学」とでもいうべきものを提示してくれています。しかもそれが「生の哲学」そのものなのであってみれば、どうでしょう?誰しも、性と生の問題から逃れられないだけに、一読の価値ある内容の濃い本です。本書は、精神分析学であり、東洋医学であり、仏教であり [続きを読む]
  • 60冊目『猫と庄造と二人のおんな』谷崎潤一郎
  • 本作は猫をめぐる滑稽語です。猫を溺愛する庄造という男と、その前妻と後妻の二人のおんなが、猫に翻弄される姿が戯画されています。庄造は猫を愛してやまず、悔しいながら女たちは猫に嫉妬せざるを得ない。そんな三者の間で静かにたたかわれる高度な心理戦が、この作品の大きな魅力になっています。物語は、前妻が寂しいからと庄造の猫を送ってくれるよう手紙で要求するところから始まります。後妻は前妻の思惑を察知する。これは [続きを読む]
  • 59冊目『苦海浄土ーわが水俣病』石牟礼道子
  • 本書は現地に育った著者による水俣病についてのルポタージュという体裁をとっています。「フクシマ」と向き合うために、今こそ読み直されるべき「ミナマタ」の本です。しかし、本書の解説者が言うには、本書はルポタージュなどではなく、石牟礼道子の私小説だというのです。かつて解説者は、石牟礼さんが水俣病被害者たちとどのように対話をし、そのさまを作品に書きつけているのか気になって尋ねてみたそうです。そして、曖昧にか [続きを読む]
  • 全文掲載『刺青』谷崎潤一郎
  • 『刺青』谷崎潤一郎 それはまだ人々が「愚」という貴い徳を持っていて、世の中が今のように激しく軋み合わない時分であった。殿様や若旦那の長閑な顔が曇らぬように、御殿女中や華魁の笑いの種が尽きぬようにと、饒舌を売るお茶坊主だの幇間だのという職業が、立派に存在して行けた程、世間がのんびりしていた時分であった。女定九郎、女自雷也、女鳴神、――当時の芝居でも草双紙でも、すべて美しい物は強者であり、醜いものは弱 [続きを読む]
  • 58冊目『この人を見よ』ニーチェEcce Homo
  • 「人はいかにして自分自身になるか」本書の副題はこのようなものです。しかし、ここで注意しなければいけないのは、「自分自身になる」ということを、いわゆる「自分探し」することのように捉えてはならないということです。ちまたでよく言われた「自分探し」というのは、大概は、旅行したり転職したり目新しい経験をしてみることによって、それに取り組む新しい自分の側面を発見してみようという趣旨で、喧伝されたように思います [続きを読む]
  • 57冊目『女が眠る時』ハビエル・マリアス
  • 著者は欧米では著名なイタリア人作家で、私はそのタイトルに惹かれ、北野武主演の映画を観に行ってみました。興味をそそられた理由は、川端康成の『眠れる美女』と似たような設定なのかなと思ったからです。『眠れる美女』をより良く読むためのイメージを得るために観に行ったのでした。しかし、その予想は違っていて、映画の方では、前半は主人公がバカンス中に、奇妙な老人&美女カップルを追いかけ回す点で『ヴェニスに死す』っ [続きを読む]
  • 55冊目『ひらいて』綿矢りさ
  • 本書は青春モノです。「ひらく」というのは第一に心を開くということでしょうか。素直に心を開くという経験は人生において素晴らしいものです。しかし、「ひらく」ことは、自分をさらけ出すことで、他者に対して無防備になり、他者から傷を受けやすくなることも意味します。「ひらく」ことは、自分の一部を捨てることでもあるのです。それは執着を捨てることであるため、本書では、トルストイの『復活』のように、主人公が聖書を「 [続きを読む]
  • 54冊目『魂を漁る女』マゾッホ
  • 士官の青年が故郷に帰り、昔想いを寄せていた幼馴染に再会すると、彼女は過激なカルト教団の熱烈な信者になってしまっていたという話。この設定の時点でもう容易に想像できるように、ストーリー(筋運び、世界観)とキャラクターの両面で大変ドラマチックな作品になっています。世を憎み贖罪と称して人殺しを繰り返すその教団の思想と、男女の愛とでは、どちらが強いのかを中心に読みました。作中ではもうひとり天真爛漫な少女が出て [続きを読む]
  • 53冊目『毛皮を着たヴィーナス』マゾッホ
  • この作品は主人公が夢を見るところから始まります。どんな夢かと言えば、鞭を振るう冷酷な女の夢です。で、なぜそんな夢を見たのかと言えば、変わり者の友人の家で見た、そういう女が描かれた絵画から影響を受けたのです。そうして冷酷な女に対する奇妙な欲望を知ってしまった主人公は、現実の女性に<冷酷さ>を求めるようになります。そんな彼は、都合の良い女性を見つけると、嫌がる彼女に、冷酷な女を演じるように頼みこみます [続きを読む]
  • 52冊目『マゾッホとサド』ドゥルーズ
  • 日本では宗教がそれほど根付いていないとよく言われます。しかしもちろんこれには例外があります。我が国にも神仏の思想を深め、それを生活の糧として体得しえた人たちはいましたし、今でもいるでしょう。明治期には新興宗教がたくさん生まれましたし、その後にも有名な教団が複数生まれていることは、みなさんご存知のとおりです。それに、視野を広げるなら、これだけお寺や神社が至る所にあり、初詣やお墓参りが一般市民の恒例行 [続きを読む]
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