はさみの世界・出張版 さん プロフィール

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はさみの世界・出張版さん: はさみの世界・出張版
ハンドル名はさみの世界・出張版 さん
ブログタイトルはさみの世界・出張版
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/800137
サイト紹介文三国志中心の、創作小説のHP「はさみの世界」の出張版です。 どうぞ、ごゆっくりお楽しみくださいませ!(
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供145回 / 365日(平均2.8回/週) - 参加 2015/02/03 15:31

はさみの世界・出張版 さんのブログ記事

  • 孤月的陣 花の章 32
  • 孔明は刃を気にしながらも、心の中で舌打ちした。どうやら趙雲と別れたあと、花安英は、その足で劉琦のもとへ行ったらしい。だが、蔡瑁と蔡氏の関係については、なにも言わなかった様子だ。もしその事実を劉琦と伊籍が知っていたなら、いちいち孔明を介さずに、みずから兵を動かして、蔡一族を襲っていただろう。花安英の心を量りかね、孔明は戸惑う。劉琦の味方をしたいのか、それとも混乱させたいのか。「花安英は、わたしに尋ね [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 31
  • 「斐仁の調書はどこです」涙を見せたくなかったので、無礼を知りつつ、あえてぶっきらぼうに孔明はたずねた。しかし劉琦は答えない。 どうしたのだろうと振り返ると、いきなり、公子は、がばりと床に平伏した。「軍師、お許しくだされ!」突然に平伏した劉琦であるが、その勢いがあまりに激しかったので、孔明はおどろいて、思わず、一歩後退する。しかし部屋がせまいので、すぐに身体が書棚にぶつかってしまう。平伏したきり、頭 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 30
  • 「なあ、孔明どの。おまえさんは、さっきのおれの問いに答えていないぜ。なんで、天下なんていちいち論じているんだ。おまえさんはほかの連中より、すこしばかり頭がいいようだから、気付いているだろう、あの連中は、口からむなしい言葉を生み出すだけで、中身は世俗の垢にまみれまくった、ただの泥だ。連中の語る天下なんぞ、所詮机上の空論。あいつらは実際には、だれも救えやしないんだ」「それは、わたしの塾の仲間のことか? [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 29
  • 「おれは、長生きのできぬ人間なのさ」と、程子聞は笑った。おのれの人生を恥じているような、投げやりな笑い方であった。魚を素手で掴むがごとく、女にも男にも、不自由しないほどの容姿の持ち主である。着衣をただして、言葉遣いを正しく守りさえすれば、さわやかな好青年そのものであった。程子聞は、いつでも酒のにおいをさせている。それを隠そうと、香り袋を携帯している。しかし、しょっちゅう、酒を呑んでいるために、香り [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 28
  • 「程子聞が如何なされましたか。なにか、気になることでも?」「ええ、とある人物から聞いたのですが、程子聞の遺体はひどい有り様で、とても本人とは思えぬほどであったとか。程子聞の部屋で死んでいたから、程子聞である、と断じられたわけですか」「衣も程子聞のものでありましたし、ひどいとはいえ、まったく見分けがつかなかったわけではありません。従者から知らされた花安英が見に行って、本人であると言ったのです。ほかの [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 27
  • 趙雲は、昨夜のことを思い出し、複雑な心境になった。そうして、前方の、足を止めている孔明を見る。孔明には、夕べのことはすべて伝えてあった。蔡氏と蔡瑁が、じつは兄妹ではなく、愛人関係の継続している男女であることを。孔明は、それを聞くと不快そうに眉をしかめたが、ふと、なにか思いついたらしく、書簡をしたためると、新野城への使いをまたひとり増やして、陳到に送った。その内容は、「ただの勘だから、まだ言えない」 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 26
  • 趙雲がふと目を開くと、机に突っ伏すようにして、眠っている孔明の姿が見えた。朝陽が完全に顔を出している頃であるのに、消しわすれた蝋燭が、まだ炎を灯していた。蝋燭を消し、孔明の肩に、上衣を羽織らせる。ちょうど横顔だけをこちらに見せているのであるが、こんなふうに無防備に眠っている顔を見るのは初めてであったので、なにやら知らない別の人間の寝顔を見ているような、錯覚をおぼえる。言葉と表情を取り去った孔明の顔 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 25
  • 季南は黙った。女の言葉がもっともだった、というのもあるが、女の言葉が、文字通り耳に痛かった。女の声自体が、耳に入った時点で痛みに変わってしまうからである。女はそれをどう取ったか、つづけた。「安心するがいい。わたしはあまり人にあれこれ事情を聞くのが得意ではない。しかし出来るだけの治療はしてやる。ただし、生きる気があるならば、だが」「ふざけるな、このアマ、だれが、死ぬか」季南が悪態をついても、女はやは [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 24
  • 「あら、目が覚めたのね」耳慣れない女の声がして、朱季南は目を開いたが、同時に、曙光に目を焼かれ、何度かまばたきをした。安い白粉のにおいがする。同時に、複数の、耳にさやかな衣擦れ。いままで、自分が、闇の中でもがいていた、というほかは、はっきりした記憶を持っていない朱季南は、頭痛に悩まされながらも、なんとか身体を起こそうとした。すると、さきほどとおなじ女の声が、それを制する。「まだ休んでいたほうがいい [続きを読む]
  • お盆に、サイト「はさみのなかまのホームページ」更新 その2
  • ご先祖さまもよろこぶ(?)連日アップ!昨日に引き続き、本日もサイト「はさみのなかまのホームページ」を更新しました。URLは下記の通り。home.cilas.net/~ka2mttsrこちらをコピペしてご利用いただくか、当ブログの左にあります「ブックマーク」のコーナーの「はさみのなかまのホームページ」を 、あるいは、WEB検索で「はさみのなかま」としていただければ、サイトへ行くことができます。昨日はたくさんの人に来ていただ [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 23
  • 寝苦しさに気づいて孔明はふと眠りから醒めた。見慣れぬ天井が目の前にある。樊城にいるのだったと遅れて思い出し、そして寝ぼけた頭をなだめるため、ため息をひとつついてみる。眠らねばならない。朝には、ふたたび戦いが待っていることだろう。そうしてまぶたをふたたび閉じようとしたとき、孔明は、おのれの寝所に自分以外の人間がいることに気づいた。「何者ぞ!」孔明は起き上がると、部屋の隅にうごめく闇に向けて、鋭く誰何 [続きを読む]
  • お盆に、サイト「はさみのなかまのホームページ」更新
  • 冷夏の仙台より、お盆にサイト更新のおしらせです。いやー、ほんとうに涼しいです。湿度は高いのですが、気温は25℃以下!過ごしやすくてありがたいですが、作物が育たないんじゃないかと心配です。それはさておき、サイト「はさみのなかまのホームページ」更新しました。home.cilas.net/~ka2mttsr/index.html↑をコピぺしてご利用ください。あるいは、「はさみのなかまのホームページ」で検索、もしくは、左の「ブックマーク」 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 22
  • 屋根に落ちると、趙雲と花安英の重量に耐えられず、藁葺きの屋根はすぐに落ち窪み、そのまま傾いだ。とたん、屋根のしたで、まどろんでいた無数の鳥たちが、不気味な鳴き声をあげていっせいに暴れだす。闇の中、姿のはっきり見えない鳥たち…どうやら家鴨の小屋であったらしい…の羽根に顔を打たれつつ、羽毛と藁の飛び散るなか、趙雲は、立ち止まることなく、駆け出した。藁葺き屋根が物置部屋の真下であったのは、幸運だった。落 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 21
  • たしかに得をするだろう。だが、花安英は劉備と孔明の気質を知らない。蔡瑁の暗部を白日のもとにさらけ出し、追い出した後に、神輿をかついで、自分が蔡瑁のいた地位に居座る、などという世渡りは、劉備のもっとも嫌うところである。さらに加えて、孔明は、軍師らしからぬことに、こういった『汚い』話を嫌う。汚い話を、汚いまま、処理することが性格上、できない。ふと、むせ返るような花のにおいを吸い込んだ。いつの間にか、花 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 20
  • 「お前様はわたくしにおっしゃった。我慢せい。もうすこしで、この城は我らのものとなる、と」蔡瑁は腕を組み、女をじっと見据えている。女は、そんな蔡瑁の心の内を、すべて見抜いているようだ。忍び笑いをしながら、ゆっくりと蔡瑁に近づいていく。「そういい続けてもう十年余り。泣くことも許されず、わたくしは、ただひたすら、耐えてきた。嫌いな男を夫と呼び、立てていかねばならぬ苦しみ、ほかの女たちとの競って勝たねばな [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 19
  • 気付くと、しんと闇に沈む樊城の、北側にやってきていた。どこもかしこもきれいに磨きこまれている城の、そこは物置として使用されている部屋のようであった。無造作に積まれた卓や椅子、棚などの調度品があり、蜘蛛の巣がかかっているものもある。どこまで行っても塵ひとつない空間の連続であった樊城において、こんなに乱雑な部屋がある、ということに、趙雲は、むしろほっとした。樊城はたしかに清浄なところであったが、しかし [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 18
  • 「すこし休まれたほうがよろしいのでは? そうだ、わたしの部屋にいらっしゃい」と、花安英は、ぐいぐいと腕をひっぱる。その身体からは、きつい花の香りがする。あとは腐るばかりの、売れきった果実にも似た、甘い香りだ。「いや、やめておく。すまないが、軍師をひとりにするわけにはいかん」趙雲はそう言い、花安英をほどこうとした。しかし、花安英のほうは、傷ついたような顔をして、ゆるゆると腕を放した。「わからないな。 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 17
  • 「軍師の舅、黄承元と知己なのか」「ええ。不思議ですか? ところでなんでしたっけ? だれが程子聞を殺したか? それは、あの地下牢の人でもないと思います」趙雲はおどろき、はじめてまともに、自分の腕に絡んでいる少年を見下ろした。趙雲の注意が自分にまっすぐ向いたので、少年は満足そうに、にっこりと笑う。「そんなの、ほんとうはみんな知っていますよ。斐仁っていうのでしたっけ? あのひとが見つかったのは、程子聞の [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 16
  • ※伊籍を中心に、孔明を歓迎する宴が開かれた。ひとが一人、暗殺されたというのに、宴もなにもないものだが、蔡家に睨まれ、風前の灯火となっている、劉琦とその腹心たちにとっては、死んだ仲間より、長生きさせてくれるかもしれない軍師の歓心を買うほうが、大切なのだ。花安英が言ったとおり、劉琦とその腹心たちは、孔明を、敵を残らず殲滅できる猛毒か、魔法の剣のように考えているらしい。孔明は策士ではあるが、正攻法を好む [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 15
  • 怪談とはこうだ…新野城にいたある兵卒が、城に出入りする妓女といい仲になった。夫婦の約束までしていたが、その男の弟も、おなじ妓女に想いを寄せていた。兄弟は仲が良かったが、じつは片親だけの血の繋がりしかない。それまでのしがらみもあったのか、女を間にはさみ、二人の仲は途端に割れた。二人は烈しく憎しみあうようになり、ついに、女をめぐって決闘をすることに決めた。しかし軍規により、決闘は禁止されている。そこで [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 14
  • 夜回りの時間になり、陳到はやれやれと身を起こした。面倒である。それにつまらない。早く帰りたい。趙雲から、朱季南という男の探索を頼まれているが、こちらも一向によい知らせがこない。まったく面倒だ。それまで、兵舎の囲炉裏端で、よもやま話に花を咲かせていた同輩たちは、仕事の時間がやってきたので、さきほどまでのくつろいだ様子を捨てて、すっかり将の顔になっている。それに比べると陳到は、いかにもしまりがなく、仕 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 13
  • ※鼾が反響している。この牢屋でできることといえば、おのれの身を嘆くことと、眠ることだけだ。楽しみなんぞなにもない。毎日の食事はどうせ腐ったものばかりであるし、不平をいえば、牢屋番に気絶するまでぶちのめされる。死をじわじわと感じながら、斐仁は闇に落ちた牢屋で、身動き一つせず、目を見開いたまま、考えていた。七年間。夢のような年月にも思えたし、まさに夢そのものであったのかもしれない。夢はうたかたのごとく [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 12
  • 「すまなかったな」孔明が言うと、趙雲は薄く笑った。「べつに。たいした手間じゃない」水のことではないのだが。まあ、いい。誤解であっても、感謝していることだけ伝われば。孔明が落ち着いたのをみると、趙雲は、周囲に聞かれないように声を落として言った。「ここは虎穴どころの騒ぎではないな。この城のどこか、あるいはだれかが『壷中』なのだ」 「まったくそのとおりだ。斐仁の話でわかったことは、一、やはり斐仁は『壷中 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 11
  • 『壷中』という組織は、いったい、なんのための、だれに拠る組織なのか?この樊城と、徐州の出である『よそもの』の糜芳を結び付けているものは何だ?なぜ自分が、『壷中』の仲間である可能性がもっとも薄く、『壷中』であるとすれば、、恥知らず、と見なされるのか? ふと、斐仁の腫れあがった顔に、怪訝そうな表情が浮かぶ。斐仁を冷静にさせてはいけない。斐仁は七年間も周囲を欺きとおしてきた男なのだ。勝負に出てみるか。「 [続きを読む]
  • 孤月的陣 花の章 10
  • 牢というものはどこでもそうであるが、厠とおなじくらいにひどい臭いの耐えない場所である。孔明は、新野の賞罰に関しても、すべて執り行っていたから、裁きの場で囚人と顔をあわせることはあっても、牢に下りて、直接に言葉をかわしたことはない。牢に降り立ったとき、吹き上げてきた臭いが襲ってきて、思わず孔明は身体をぐらつかせた。「大事無いか」「滑っただけだ」孔明は、趙雲の顔を見ることが出来なかった。身体を支えるよ [続きを読む]