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  • 適正価格

    「価値観の転換」3月14日ミニ論点欄が掲載されました。『13日、大手企業からは大幅な賃上げ回答が相次いだ。今後、賃上げの流れは中小企業に広がり、来年以降も継続するのか。そのための課題は何か』というテーマのものです。識者の一人、日本総研客員研究員山田久氏が語られている内容が印象に残りました。山田氏は、『企業は「良い商品を安く提供」という価値観から「顧客が欲しいものを適正価格で提供」へと転換することが重要になる』とおっしゃっているのです。「良い品を安く」は、戦後70年以上、誰もが疑わない正しいこととして信奉されてきました。企業サイドの人間だけでなく、消費者である私もそれを信じていました。企業が「良い品を安く」という理念で研究努力を積み重ねることで、世の中が豊かになり、良くなっていくと考えていたのです。しかし、...適正価格

  • 一人で、あるいは集団として

    「個人で、もダメ?」3月13日『加藤氏「極めて不適切」』という見出しの記事が掲載されました。『自民党和歌山県連主催の懇親会に露出の多い姿の女性ダンサーが招かれていた問題で、加藤鮎子女性活躍・共生社会担当相は12日の記者会見で「極めて不適切な内容の余興が企画、実施され、国民の不信を招いたことは誠に遺憾」と強く非難した』ことを報じる記事です。いったいどういう感覚をしているのだ、と首を傾げたくなるような醜態です。常識では考えられない愚行です。その点に異論はありません。ただ、へそ曲がりな私は、こうした問題については、なぜ非難されるべきなのか、きちんと明確にしたくなります。そして、どうしても教員の場合、というふうに考えてしまうのです。校長会の懇親会で露出の多い姿の女性ダンサーを招いたとしたらどうでしょうか。校長と政...一人で、あるいは集団として

  • 麗しき誤解

    「理想の師弟関係」3月12日川柳欄に、越谷市K氏の『誤解したままの二人は仲が良い』という句が掲載されていました。面白い句です。人間関係の真実をさりげなく突いているような気がします。どんな人間にも、汚れた部分、卑怯な恥ずかしい面があります。それを知らずに自分にとって都合の良い人物像を勝手に描き、その人物像を愛し親しみをもつことで人間関係が上手くいく、確かにそんなことがありそうです。私は、教員と子供の関係にも、というか教員と子供の関係にこそK氏が提示した真実が当てはまるように思います。卒業させた子供に約30年ぶりに会ったときのことです。彼女は、担任当時の私について、「先生は~」といろいろな思い出を話してくれました。そして、40歳になった自分と比べると、当時の私が年下(35歳)だったということが信じられない、先...麗しき誤解

  • 9年も前に

    「慧眼というわけではないが」3月10日『翻訳家に求められる創意工夫』という見出しの記事が掲載されました。『急速に深化を遂げる人工知能は外国語翻訳の分野にも広がっている(略)AI時代に外国語を学ぶ必要はなくなってしまうのか』という問題意識の下、翻訳家で法政大教授金原瑞人しにインタビューした記事です。その中で金原氏は、『翻訳家の仕事はなくなります』『AI翻訳が普及すれば、「単なる道具」として英語を学ぶのではなく、言語を通じて異文化を知り、相互理解を深めるという一昔前の外国語教育のあり方に戻るような気がします』と述べていらっしゃいます。この記事を読み、私は9年前にこのブログで書いたことを思い出しました。平成27年4月5日の日付のものです。以下に再掲します。「思った通り」4月5日『東京五輪で技術力アピール』という...9年も前に

  • 誰でも自分を守りたい

    「守りの姿勢」3月10日放送タレント松尾貴史氏が、『ウズラの卵控えるより食べ方教えては』という表題でコラムを書かれていました。その中で松尾氏は、福岡県の小1児童が給食のウズラ卵を喉に詰まらせて亡くなった事件を取り上げています。松尾氏は、『この事故を受けて、各地の教育委員会が給食にウズラの卵の使用を当面控える方針を決めた』ことに疑問を呈し、『食材を取り除くのではなく、食べ方を指導すればいいのではないか。問題がある度に食材を使用禁止にしていては、流動食しか出せなくなってしまうだろう』と述べていらっしゃいました。また、似た例として、『公園の遊具でけが人が出たら撤去したり「使用禁止」にしたりする対策が取られるようなことが起こりがちだ』と挙げてもいらっしゃいます。おっしゃることはよく分かります。でも、難しいとも思い...誰でも自分を守りたい

  • 一人前になるまで辞めなければよい

    「無期限に?」3月9日書評欄に、『「サンミュージックなお笑いの夜明けだったよ!付き人から社長になった男の物語」岡博之著(晶文社)』についての書評が掲載されていました。同書は、『芸歴40年超の現役芸人が、芸能事務所「サンミュージック」の社長になるまでの歩みをつづる』ものだそうです。とても考えさせられる一文がありました。『芸人として売れるために必要なことは「売れるまで辞めないこと」。至言だ』です。意味はよく分かります。なるほどと思う面もあります。でもこれは、全ての職に通用することなのか、と考えてしまったのです。もっと端的に言えば、教職にも通用するのか、ということです。つまり、「良い教員になるために必要なことは、良い教員になるまで辞めないこと」という命題は、正しいのかということです。新卒一年目の初日から、既に良...一人前になるまで辞めなければよい

  • 支持者は皆無なのか

    「初めから除外?」3月5日『短時間給食「焦り生む」』という見出しの記事が掲載されました。『みやま市の小学1年生の男子児童(7)が給食を喉に詰まらせて死亡した事件を巡り、SNSで「給食時間」の短さを訴える声があがっている』ことについて報じる記事です。記事では、『「早く食べないと」という焦りは事故を誘発する一因になる』という専門家の声、文科省の手引きに『パンの早食いによる窒息事故が過去に報告されている』という指摘、『給食を食べ終えるのに最低でも20分、できれば25分以上、見るべき』という危機管理の専門家の意見などが紹介されています。では実態はどうかと言うと、『30分が給食の時間です。そのうち最初の10分は配膳、ラスト5分は片付けなので食べる時間は15分程度で、配膳によってはもっと短くなります』という現役中学生...支持者は皆無なのか

  • もう、大嫌いだ!

    「嫌になるぐらい」3月5日『「決め切る力を」磨くジャンプ』という見出しの記事が掲載されました。フィギュアスケート選手友野一希氏へのインタビュー記事です。その中で友野氏が語る言葉が印象に残りました。『練習の密度も量も含めて一日中ずっとスケートを考えることを続けていきたいですね。好きを超えるというか。好きな気持ちで練習できることが一番僕は楽しいんですけど。その楽しい過程の中で、スケートが嫌になるぐらいやることが大切なので』という言葉です。スケートが好き、楽しい、それは友野氏の本音でしょう。楽しみながらハードな練習をこなしている、あるいは常人であればつらいレベルの練習でも友野氏には楽しく感じられるということです。しかし、それでは足りないというのです。根っからのスケート好きの友野氏でさえ、もう滑りたくない、スケー...もう、大嫌いだ!

  • 教員側からも働きかけて

    「欲するものを」3月4日『本屋大賞、児童書が初ノミネート』という見出しの記事が掲載されました。『「人生で初めて読むミステリー」がコンセプトの「放課後ミステリークラブ1金魚の泳ぐプール事件」(ライツ社)が、児童書として初めて本屋対象にノミネートされた』ことを報じる記事です。著者はミステリー作家知念実希人です。同書は、『知念先生の作品はとても人気があり、サイン会では感激して泣いている中高生もいる。さらに低年齢を対象にした作品があれば、本好きな子供が増える』というある書店長の思いが発端となり生まれたそうです。知念氏も『絵本から本へ移り変わる年齢で読まなくなる子が多い。読書の楽しさを知ってほしいという理想の実現を手伝えるのではないかと思った』と語られています。知念氏指摘は、私も感じていました。絵本から本への移行が...教員側からも働きかけて

  • 強くも逞しくもなかった

    「世代断絶」3月4日『夢なくても生きていける』という見出しの特集記事が掲載されました。ジャーナリスト田原総一朗氏による、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長大空幸星氏へのインタビュー記事の後編です。前文に、『生き方や教育を巡り、年の差64歳の世代間ギャップも浮き彫りになります』とありましたが、今回興味深かったのはまさにその点でした。89歳の田原氏は、『一生をかけてやるほど好きなことを、子供が見つけられるようにするのが教育ではないか』と話し、25歳の大空氏は、『今の子供たちは「好きなことを見つけなさい」「やりたいことを探しなさい」と言われて悩んでいます』と答えます。さらに田原氏が、『大学生にどんな企業に就職したいかを聞いたある調査では、「安定している」「自分のやりたい仕事ができる」「給料が良い」がトップ3で...強くも逞しくもなかった

  • 〇〇も▽▽も

    「教員は支援者?」3月3日専門編集委員滝野隆浩氏が、『語尾は「ね」で終えよう』という表題でコラムを書かれていました。その中で滝野氏は、めぐみ在宅クリニック院長小澤竹俊氏の講演会の内容を紹介なさっています。『先生は「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」と繰り返す。そうした「わかる人」になるためには、相手の話に対し「……なのですか」と疑問形ではなく、「……なのですね」と反復する形で答えようと訴えている』。その後も、『質問したら心は閉ざされる』『聞きたいことを聞くのではない。相手が話したいことを話してもらうのだ』などの記述が並びます。援助的コミュニケーションにおける「三つの約束」として、『語尾は「ね」で終わる』『メモを取らない』『安心感のある態度で聴く』を提示しています。とてもよく...〇〇も▽▽も

  • 質の高い学習歴尊重へ

    「明日は我が身」3月2日堀山明子記者が、『そうる大卒業生への祝辞』という表題でコラムを書かれていました。その中で堀山氏は、ソウル大卒業式でのOB代表の祝辞を紹介しています。『生成AI時代には「高学歴の敗者や脱落者が大量に出る」と指摘し、韓国社会にも「失敗を支える文化」が必要だと訴えた』というのです。韓国は失敗が許されない社会だという前提があります。堀山氏は、『祝辞を聞いて、負ける覚悟をした卒業生はいないだろう。もしその時が来たら、祝辞を読み返して、と願うばかりだ』という言葉でコラムを結んでいます。読み返して、それでどうすればよいというのでしょうか。よく分かりません。OB代表は、社会の変革を訴えているのであって、卒業生の意識改革を訴えているのではないからです。ソウル大は、日本でいえば東大や京大といった格の大...質の高い学習歴尊重へ

  • 民営化の是非

    「そんなことを言う人がいた」3月2日『少子化資本主義の失敗』という見出しの記事が掲載されました。「人新世の資本論」で知られる東京大准教授斎藤幸平氏へのインタビュー記事です。その中で斎藤氏は、『市場で管理できるものと管理に適さないものがあります。教育や医療、道路といった社会的インフラは市場の管理に適しません。世界的にもこの半世紀、さまざまな規制緩和や民営化の改革が行われてきました。しかしその負の影響があまりに大きいので(略)「再公営化」する動きが英国やフランス、スペインなどで出ています』と述べられています。思い出しました。このブログを書き始めたころ、学校民営化論、学校公設民営化論、塾を学校に、などの主張がなされ、私はこのブログで再三再四反論していたことを。もちろん私には、斎藤氏のような広い視野も歴史や経済の...民営化の是非

  • 他人任せ、無関心をなくす

    「学校でも有効」2月28日論点欄に、『「くじ引き」市民の熟議で』と題された、同志社大教授吉田徹氏へのインタビューが掲載されていました。論点全体のテーマは裏金問題等で深まる政治への不信、無関心にどのように対応すべきかですが、吉田氏の提言は学校においても使えそうだと感じました。吉田氏は、『私は、古代アテネなどで行われていた「くじ引き民主主義」を提案している』と書き、『無作為抽出された市民が熟議と討議を通じて合意形成を図る』ものと解説なさっています。そのメリットとしては、『(選挙で選ばれる)代表制では、政治家と国民のギャップが不可避的に生まれ、政治不信の元になるが、母集団に近い構成で議員を選べばギャップはなくなる』を挙げていらっしゃいます。私が、学校にも使えると考えたのもこの点にあります。学級でも、学年でも、学...他人任せ、無関心をなくす

  • 精緻な議論

    「誤解を生じさせる?」2月27日『多言語習得「音」から東大チーム働く脳領域特定』という見出しの記事が掲載されました。『複数の言語を習得する際に共通して活発に働く脳の領域を特定したと、東京大などのチームが英科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した』ことを報じる記事です。記事によると、『これまで学んできた言語のリスニング能力が高い人ほど、新しい言語の音声を聞いている際にこの領域が活発化し、文法の理解が早かった。チームは「言語を学ぶ上では、まず音から入るのが基本だと裏付けられた」と指摘する』ということだそうです。よく分からない点があります。リスニング能力を対象にした研究だということは分かります。しかし、言語の習得はリスニングで、「音」で行われるとは限りません。江戸時代、杉田玄白や前野良沢らの尽力によ...精緻な議論

  • 教職遂行の土台

    「貴重な指摘」2月26日『「不登校でも学べる環境を」』という見出しの特集記事が掲載されました。ジャーナリスト田原総一朗氏による、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長大空幸星氏へのインタビュー記事です。大空氏が語る言葉の中に印象に残るものがありました。ご自身の高校時代の経験談です。『夜中の3時ごろ、家の状況(ヤングケアラー、バイト3つ掛け持ち)とともに「死にたい」「学校をやめるかもしれない」といった長文のメールを先生に送ったら、、翌朝、自宅に駆けつけてくれました(略)先生と出会ったことで「この人に頼ればなんとかなる」って安心感を得ることができたんです』。この経験を基に、大空氏は、『今の学校現場はそういう状況ではなくなってきました(略)教員によるわいせつ行為を予防するため、児童生徒とSNSでの私的なやりとりを...教職遂行の土台

  • 知るからこそ支援できる

    「事前に同意を得れば」2月26日『「検閲のようだ」児童生徒の検索履歴閲覧学習端末世田谷区教委、議会で撤回』という見出しの記事が掲載されました。『世田谷区教育委員会が昨年、児童生徒の学習用デジタル端末の検索履歴を学校側が閲覧できる機能の活用を検討し、区議会で「検閲のようだ」との指摘を受け撤回していた』ことを報じる記事です。この見出しを見て、真っ先に私の頭に浮かんだのが、今から30年ほど前の社会科の実践でした。都教委の研究生として行ったもので、子供一人一人にA4の用紙を渡し、教室内の40種類以上の資料を置いた上で、紙の中心にそれぞれの学習問題を書かせ、そこから調べた資料名、分かったこと、新たに生じた疑問などを書かせて線で結ばせて蜘蛛の巣のような「思考の関連図」を作成させ、自分の問題解決の過程を振り返りながら学...知るからこそ支援できる

  • 知って、想像して、対策する

    「手遅れ」2月25日読者投稿欄に、和歌山県公務員F氏の『ゴミ分別見学で反省』と題された投稿が掲載されていました。その中でF氏は、『小学生の頃、社会科見学で資源ゴミのリサイクル工場に行った』ときのことを書かれています。『鼻が曲がりそうな異臭がした。つい顔をゆがめてしまう。スタッフは無心に作業にあたっていたが「くさい」と窓から顔を出す同級生もいた。学校に戻ると、先生が悲しげに話した。「あの臭いはみんなが出したゴミの臭いだよ。みんなのために頑張っている人に「くさい」というのはどうかな」。全員の顔がこわ張った』。F氏はこのときのことを今でもふと思い出すそうです。F氏にとってどのような意味をもつ記憶なのかは分かりませんが、私には担任教員の未熟さを表すエピソードとしか思えません。それは、子供理解、教材理解が共に不足し...知って、想像して、対策する

  • 文化刷新力の育成

    「文化」2月22日『侵攻2年識者に問う世界の行方文化が敵意和らげる』という見出しの記事が掲載されました。ウクライナの国民的作家アンドレイ・クルコフ氏へのインタビュー記事です。その中にとても印象に残った言葉がありました。『ロシアの暴力はこの国に深い憎しみを植え付けた。どの村にもロシアの暴力による犠牲者の墓が多数ある。子供たちは、自国の東側には「手が血まみれの敵」がおり、西側には友人やパートナーがいると学びながら成長する。憎しみや警戒が世代から世代へと継承されるのか、それとも、沈静化して新たな関係が築かれるのかは分からない(略)文化は隣人同士がお互いを恐れなくなるようにする道具だ。文化的な影響力は敵意を和らげる(略)ウクライナは独立した主権国家であり、独自の文化を持つ。そのようにロシアが認識を改めれば、40年...文化刷新力の育成

  • 考え続けること

    「分からないことの意味」2月21日『鷲田清一さんと「哲学カフェ」』という見出しの特集記事が掲載されました。小国綾子氏が元大阪大学長で哲学者鷲田清一氏と語り合った記事です。その中で鷲田氏は、『本を読んでも、議論しても簡単に答えの出ないことばかり。人はわからないままでいることに耐えられず、分かりやすい物語に飛びつき、わかりやすい論理に立てこもろうとする』と指摘し、『「わからなさ」に向き合うには、「わからないけどこれだけは大事。これは逸してはいけない」と判断し、わからないままでも正確に対処できることが大切』と語っていらっしゃいました。大切な指摘だと思いました。そして最近読んだ記事のことを連想しました。子供が自死し、保護者が学校でのいじめが原因だと訴え調査を求め、教委が調査し、その結果を公表したという記事です。教...考え続けること

  • 子供の疑問に答えている?

    「小学生の感覚」2月21日『「君」から「議員」へ品川区議会小学生の意見で呼称「改定」』という見出しの記事が掲載されました。『品川区議会は20日開会した定例会から、議場での議員の呼称を「君」から「議員」に改めた。きっかけは議会を傍聴に訪れた小学生の意見だった』ことを報じる記事です。記事によると、傍聴後のアンケートで『「議長が議員を「君」と呼ぶのが不思議だった」「気になった」との意見が寄せられた』とのことです。そして、『男女共同参画やジェンダー平等の社会的状況も踏まえ』議員という呼称を使用することになったという経緯のようです。議員の呼称は難しい問題です。私が最初に教委の指導主事として勤務した区では、議員は「先生」でした。議会答弁では、「ただいまの○○先生のご指摘でございますが~」というように話していました。ま...子供の疑問に答えている?

  • 教員のキャリア

    「キャリア、とは」2月21日『学校でのキャリアを始めてみませんか』という見出しの記事が掲載されました。『学校に関わる人を増やし、人材確保の裾野を広げようとと教育委員会は3月、教員免許を持ちながら教職に就いていない「ペーパーティチャー」らを対象にしたオンライン説明会を開く』ことを報じる記事です。説明会は、『学校でのキャリアのはじめかた』だそうです。内容については、ここでは触れません。正直、目新しいものはありません。ただ、私がこの記事に注目したのは、「学校でのキャリア」という言葉に関心があったからです。弁護士事務所でキャリアを積むと言えば、弁護士業務を知らない人にもイメージは湧きます。民事に刑事、企業法務などさまざまな案件について、初めは先輩弁護士と組んで補助的な業務をこなしながら経験し、次第に自分の得意分野...教員のキャリア

  • 5年生になったら、比べるのは止めよう?

    「10歳から」2月20日専門記者大治朋子氏が、『若い脳とSNS』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、NY市が『SNSが特に若者の健康を損なう』として、『SNSを運営する企業に対策と損害賠償を求めて訴訟を起こした』ことを取り上げています。コラムの中に気になる記述がありました。『10歳頃から、仲間の承認などを求める社会性が強まる。ちょうどスマホを持つ時期でもある。その後、12歳ぐらいに掛けて脳内では幸福感ややる気をもたらす神経伝達物質、オキシトシンやドーパミンの受容体が急速に増え、仲間からの注目や称賛により敏感になっていく。嫉妬や自己嫌悪との戦いが本格化する。感情や衝動を制御する脳の前頭前野の成熟は20代後半ごろまでかかるとされる。つまりそれまでの若い脳は、特に他者の評価が気になるし、感情...5年生になったら、比べるのは止めよう?

  • 私も加害者?

    「大丈夫?」2月20日『理科実験の石綿労災認定中皮腫死の元小学教諭』という見出しの記事が掲載されました。『理科の実験の準備が原因でアスベスト関連の中皮種を発症したとみられるとして、69歳で死亡した元小学校教諭の男性が、公務員の労災にあたる公務災害と認定された』ことを報じる記事です。記事によると、『和歌山市立小学校の教諭だった山東日出男さんは1977年から2013年にかけて、主に高学年の授業を担当(略)理科の授業の準備で、アルコールランプの石綿製の芯の上部をさばいて燃えやすいようにした。飛散して落ちた粉じんの掃除もした。当時は石綿の発がん性を知らず全く無防備だった(略)ビーカーを置く金網も、石綿で耐火被覆されたものを使っていた』ということです。山東氏と同世代の私もまったく同じ状況下にいました。高学年の担任を...私も加害者?

  • 悪知恵

    「悪知恵」2月19日『対米従属保守でなく「保身」』という見出しの特集記事が掲載されました。『政治批判を重ねてきた作家、島田雅彦さん(62)』へのインタビュー記事です。島田氏の指摘はやや偏っているという気もしましたが、大筋は賛成できるものでした。ただ、私が着目したのは本筋とはあまり関係のないある記述でした。『スキャンダルの火消しには、問題が沈静化するのを待つ▽論点をずらす▽自分を被害者に見せる-といった「既定戦術」がある』という記述です。よく分かります。私自身、教委の幹部としてメディアに吊し上げられたり、保護者や市民に責任を追及されたりといった経験をしてきています。上述のような悪辣な手段は使ったことはありませんが、沈静化を待つ、という対応の仕方が有効であるのは、骨身にしみてわかります。食事を摂るまもないほど...悪知恵

  • 唇にピアス、鼻にピアス、瞼にピアス

    「ピアスもネイルも赤髪も」2月19日『爪のケアで心も明るく』という見出しの記事が掲載されました。『手入れが後回しになりがちな爪。年齢を重ねると割れやすくなったり、薄くなったりするが、ケアの仕方によっては気持ちまでプラスになる。高齢者施設などを訪問する「福祉ネイル」にも取り組む爪のプロに、ポイントを聞いた』記事です。実は私の教え子が、訪問介護の会社を経営しており、そこでもネイル等の取り組みをしているのです。そんなこともあり、記事を読み進めましたが、そのうちある考えが浮かんできました。記事では、『高齢の方にもネイルは楽しみや喜びになる』『実際にネイルをした爪を見て嬉しくて涙する人がいて、施設のスタッフも利用者の会話や笑顔が増えたと喜んでくれる』とありました。教え子からも同じような話を聴いたことがあることも思い...唇にピアス、鼻にピアス、瞼にピアス

  • その声はだれの声

    「奪う行為」2月17日書評欄に、詩人渡邊十絲子氏の『「黙々聞かれなかった声とともに歩く哲学」(コビョングォン著、影本剛訳明石書店)』についての書評が掲載されました。その中で渡邊氏は、『自分のために声を上げることができない人たちが、この世にはいる。さまざまな理由で周縁に追いやられた人々である。その一方で、かれらの「声なき声」を代弁しようとする人たちもいる。しかしそれはたいへん危険なことだと著者はいう。声なき者たちの沈黙は、かれらが黙ったのではなく、われわれが声帯を奪ったのだということ。かれらを代弁するために声を発したつもりでも、それは自分たちの声をかれらの声に重ね書きしてしまうことであり、かれらを<二重の沈黙に閉じ込める>ことになる』と書かれています。私は以前このブログで、授業中に指名された子供が上手く話せ...その声はだれの声

  • ふつふつと湧き上がる

    「教師とは」2月17日書評欄に、芸人ヒコロヒー氏による『「ツユクサナツコの一生」益田ミリ著(新潮社)』に対する書評が掲載されていました。同書は、『ドーナツ屋の店員として働きながら、夜になると父と住む家で「おはぎ屋で働く春子」を主人公とした漫画を描く暮らしをしている名もなき漫画家』ツユクサナツコを主人公にした小説です。ヒコロヒー氏は、『ナツコは自身が胸を張って漫画家だと言えるほどのマンガかではないことが見てとれるわけだが、彼女は毎晩必ず漫画を描く。連載を持ち締め切りがあるわけでもないのに、漫画を描く。傍から見ればナツコはドーナツ屋の店員だが、立派な漫画家である。なぜならその創作欲が彼女を支え、作品を描き、残しているからだ』と書かれています。考えさせられました。漫画家という言葉を教師という言葉に置き換えて考え...ふつふつと湧き上がる

  • 上手く説明できないけれど

    「勘はダメ?」2月15日専門記者田原和宏氏が、『モヤモヤ残る記者会見』という表題でコラムを書かれていました。その中で田原氏は女子卓球パリ五輪団体戦の最後の一人に張本美和選手を選んだことについて開かれた記者会見について言及なさっています。田原氏は冒頭に、『違和感の残る記者会見だった』と記し、『張本選手か、経験、実績ともに十分な伊藤選手か。どちらを選んでも賛否は分かれる。選ぶ側は詳細な説明をするとばかり思っていた。ところが、選考理由として挙げられたのは「戦いぶり」「伸びしろ」といった抽象的な文言ばかり』とその理由を述べていらっしゃいました。そして、『選ぶ側は客観的なデータも交えて判断の根拠を示すべきではなかったか。透明性に欠ける選考は時代にそぐわない』と結んでいらっしゃるのです。私は、中高と卓球部に属し、今で...上手く説明できないけれど

  • 塾代の心配無用

    「発想の転換」2月14日能登半島地震への対応について、3人の識者がそれぞれの専門の立場から論じる特集記事が掲載されました。その中で、「カタリバ」代表理事今村久美氏が書かれていることに、目から鱗が落ちる気分にさせられました。今村氏は、『子ども支援は間接的に大人への支援にもなる。子どもが安心して過ごせる場所がないと、大人は自宅の復旧や生活の立て直しについて考える余裕もできない』と述べていらっしゃるのです。言われてみれば、ごく普通のこと、当たり前のことですが、私はこうした視点で学校教育を考えたことがありませんでした。常に子供にとっての幸せの実現、子供第一主義的な発想で、保護者に接してきたのです。そうすると必然的に、お子さんのためにこういう点を改めてください、こういうことに気を配ってください、というような態度に陥...塾代の心配無用

  • 学校が担う?

    「学校での取り組み」2月14日『小澤征爾さん逝く国越えて音楽に愛された』というタイトルが付けられた社説が掲載されました。私は音楽については知識も感性もなく、小澤氏のことも名前と顔と名声を知るだけで、何も語るべき材料をもってはいません。ですから、今回気になったのも小澤氏個人とは全く関係のないある記述でした。『たぐいまれな日本人指揮者が加わったことで、クラシック音楽の世界自体も広がった。それを可能にしたのは、恵まれた音楽性、努力ゆえだけではあるまい。時に「やんちゃ」と評される人間性が愛されたことも大きかったに違いない』という記述です。「人間性」とは何なのか、という疑問を抱いたのです。音楽性は分かります。音楽における才能でしょう。努力もそのままに意味で理解できます。才能に恵まれた者がさらに常人には不可能な努力を...学校が担う?

  • それでも教員出身者は…

    「そういえば」2月12日『教員団体、市教委に金品名古屋校長推薦名簿添え毎年200万円』という見出しの記事が掲載されました。『名古屋市教育委員会は11日、市立小中学校の40超の教員団体から2023年度、校長などに推薦する教員の名簿と合わせ、計200万円程度の金品を受け取っていたと発表した』ことを報じる記事です。記事によると、『20年以上前から受け取っていた』ということで、市教委は『「(金品が人事に反映したと)疑念を招く行為で極めて不適切だ」と陳謝。調査で実態解明を進める』方針のようです。とんでもない不祥事です。20年間続いてきたことも、関係者の規範意識の弱さを物語っています。私が特に気になっているのは、『(教職員)課の課長は教員出身者が歴代務め、市教委は「教員出身の役職者以外は授受を知らなかったと考えている...それでも教員出身者は…

  • 日本が誇る「教育」とは

    「ディベートの宝庫」2月10日『今の世界の常識を疑え』という見出しの特集記事が掲載されました。総合地球環境学研究所長山極寿一氏の寄稿を掲載したものです。その中で山極氏は、多くの提言をなさっているのですが、正直なところ私には違和感を覚える指摘が少なくありませんでした。しかし、私は視野が狭く、かなり偏った考え方の人間です。ですから、批判する勇気もありません、そこで、山極氏の指摘や提言について、ディベートの題材にしてはどうかと思ったのです。多数派と私のようなひねくれ者、どこの教室にもいるはずです。教員がうな苦運営すれば、面白いディベートになると思うのですが。まず、『マーケットに並んでいる商品はどれも規格がそろえられていて、同じ規格のものは同じ値段がついている。それを私たちは疑うことなく購入するが、それは正しい行...日本が誇る「教育」とは

  • 凪になって消えた?

    「どうなった」2月10日書評欄に、研究者成田悠輔氏による『「遺書」松本人志著(朝日新聞出版)』についてのコラムが掲載されていました。30年前の本が取り上げられたのは、松本氏と文春との裁判を受けてのことでしょう。その中で成田氏は、松本氏を『芸で戦うプレーヤーから、芸という情報を製作し流通させるルールを握るプラットフォーマーへ』変化した存在と述べています。そして、『どんな新風もやがてかつての輝きと鋭さを失い、去り際を逃がした既得権益として腐臭を放つ』と書かれているのです。私は、松本氏については何も分かりません。ただこの「どんな新風も~」と言い指摘には考えさせられました。学校教育界における数々の「新風」はどうなっているのか、ということです。30年近く前、民間企業の管理職を公立学校の校長に迎える、という試みが全国...凪になって消えた?

  • 教員人事評価AI

    「評価の難しさ」2月10日余禄欄は、『経営学の大家、ドラッカーは「正しい人事のために4時間をかけなければ、あとで400時間とられる」と記している。トップが人事に慎重を期さないと、組織に深刻な損害を与えることへの戒めだ』という言葉で始まっていました。盛山文科相の適格性を巡る内容ですが、私にはこの冒頭の言葉が一番印象に残りました。私も指導室長時代に、この金言を嚙み締めることになったからです。ある教員が、性的な不祥事で警察に逮捕されました。それからの1カ月は、マスコミへの対応、市長や議会への説明、数度にわたる緊急保護者会への参加と準備、校長会等での説明、警察への聞き取りや要望、都教委への説明と連携・要望、学校体制の整備、教員の処分と本人への説得などに追いまくられました。それこそ、400時間にはならないもののおそ...教員人事評価AI

  • だから面白い

    「基本中の基本」2月8日デジタル報道グループ大沢瑞季記者が、『詰め込まない中学受験』という表題でコラムを書かれていました。『“詰め込まない中学受験”を掲げる塾』知窓学舎塾長矢萩邦彦氏に取材した記事です。その中で矢萩氏は、授業について次のように語っています。『大切にしているのは、「正解のない問い」を子どもたちと共有すること。大人が答えをもっている問いでは「試されている気がして嫌だ」「間違ったら嫌だから発言できない」という子どもたちは多い』と。そしてその例として、『頼朝亡き後、なぜ北条政子が御家人たちの気持ちをつかめたのか』という問いを紹介しています。なんだか不思議な気持ちになりました。私の授業論と全く同じだったからです。私はそれを、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンという用語で説明してきました。後...だから面白い

  • 書く、書く、書く

    「書く」2月7日連載企画『遮音社会』は、ジャーナリスト堀潤氏へのインタビューでした。その中で堀氏は、『早く簡単に、結論を聞きたがっている人が多い』と述べています。昨日の辻氏と重なる指摘です。しかしまたそのテーマを取り上げても、同じことに繰り返しになってしまいそうなので、別の発言に注目してみました。『SNSの普及で、自分の意見や知識がきちんと言語化できていないまま、他者の言論に触れる機会が圧倒的に増えています』『自分が思っていることをちゃんと言葉にして、他者に伝わったときに、初めてお互いの違いが分かり、多様性への理解が生まれます』『今は、「一緒だな」という人の声を聞きすぎだと思います』などの言葉です。理解を深め定着させる勉強法として挙げられるものに、学習内容を自分なりに再構成して自分著の教科書を作る、という...書く、書く、書く

  • 今になって

    「30年前のレジュメ」2月6日連載企画『遮音社会』は、文化人類学者辻信一氏へのインタビューでした。辻氏は、『長年にわたりスローライフ運動を展開してきた』方です。インタビューの中で辻氏は、『今こそ「分からない」に時間をかけてつき合う力が必要』という主張をなさっていました。具体的には、『答えの出ない事態に耐える能力』『異質なものや役に立たないこととつき合う能力』『「待つ」「聴く」などの「受け身の力」』という言い方をなさっています。私なりに解釈すれば、分からないことがあるとすぐにネットで検索し、そこに書かれていることを唯一無二の正解だと考えて結論を出してしまう、という行動の対極にある生き方だということです。分からないことに直面したとき、しばらくああだこうだと考え悩んでみる、正解らしきものがもたらされたとき、その...今になって

  • それも個性

    「個性?」2月4日『吃音が問うもの1/100人の障害嘲笑心折れ不登校』という見出しの特集記事が掲載されました。『人と話すことは嫌いじゃないんですけど、笑われるのは怖いんです』と語る通信高校1年、川田亮一(仮名)氏を取り上げた記事です。川田氏の苦しんだ経緯にも心をうたれましたが、私が注目したのは、全国言友会連絡協議会の中村泰介氏の言葉でした。『悩みの渦中にある子供にとって大人のアドバイスは響かないことが多い』『「吃音は個性だから気にしないで」と子供を励まそうとするケースは少なくないが、「これは大人になり、吃音の悩みを克服できてこそ言えるワードです」』という発言です。とても納得できる内容だと感じました。私は一般的に「不利」とされる状態にある人に対し、それも個性という趣旨の言葉をかけることに違和感を抱いていまし...それも個性

  • 自分が可愛いのは人の性だが、声をあげる勇気をもて

    「どこかで泣いている人が…」2月4日『性暴力何十年も消えぬ傷』という見出しの特集記事が掲載されました。30年の歳月を経て、小学校の担任教員から受けた性暴力の記憶に苦しめられてきた平野利枝氏を取り上げた記事です。『卒業して会うことがなくなっても、私は元担任に「支配」され続けてきました』。今40代の平野氏の言葉です。『高校2年の春、授業中に突然、喉が絞まったような感覚に襲われた。呼吸ができずパニックになり、教室を飛び出した(略)息苦しく、体のあちこちが刺されたように痛かった。県内外の病院を転々とした。自律神経失調症、神経症、起立性調節障害-さまざまな病名で、山ほど薬を処方されたが、症状は一向に改善しなかった(略)高校は不登校になり、大学は1週間も通えないまま中退した』という苦しみを味わってきた末の言葉なのです...自分が可愛いのは人の性だが、声をあげる勇気をもて

  • むしのいい話

    「ないものねだり」2月3日読者投稿欄に、福岡県M氏による『質の高いライドシェアを』と題された投稿が掲載されました。その中でM氏は、フィリピンでのライドシェア体験を、『一般の自家用車がやってくるので運転手の対応や運転技量はさまざまだった。乗ったタクシーが自転車と衝突した時は運転手の事故対応に不安を覚えたことも』と書き、その上で『外国へ行くと日本のタクシーのサービスの質の高さを改めて感じる。その質の高さを維持し、外国人観光客も安心して利用できる日本版ライドシェアの制度、運用を期待したい』と結んでいるのです。私はこのような「虫のいい」話を目にすると、つい舌打ちしてしまいます。M氏に悪気はないことは分かるのですが、ある仕組みが質の高いレベルで機能するためには、一定の予算措置と携わる人間の資質向上・維持が不可欠なの...むしのいい話

  • 全小学校序列化

    「中学受験が一般化?」2月3日『急速に進む中高一貫校と大学連携』という見出しの記事が掲載されました。『上智大、東京女子大、芝浦工業大、順天堂大-。これらは、2023年に私立中高一貫校との連携協定を結んだ大学だ(略)中学受験の学校選びにも少なからず影響を与えそうな高大連携。なぜ今、急速に進んでいるのか』という問題意識で書かれた記事です。それぞれの大学の担当者は、『顔の見える関係にある生徒が入学してくれることを望んでいます』『入学後のミスマッチを防ぎたい』『理系分野あ女子学生が少ないという状況を是正していきたい』などと理由を述べています。それらが嘘だと言うつもりはありませんが、少子化時代を迎え、大学側には一定のレベルの学生の確保、高校側には大学進学における有利さをポイントに生徒を集めるという思惑があることは間...全小学校序列化

  • 何が違う?

    「誰も異存はない」2月2日川柳欄に、久喜市M氏による『よくないとみんなが言っているイジメ』という句が掲載されました。分かりやすい句です。イジメについては、大人も子供も、教員も保護者も、小学生も中学生も、誰に聞いても「悪いことだ」「いけないことだ」「許されないことだ」と言う、そういう意味です。でも考えさせられる句でもあります。いじめはなくなりません。おそらく全国の学校で年間100万件は発生しているはずです。誰もがいけないことだと言い、いじめてはいけないと考えているのに、100万件も発生しているのです。いじめは、一人の被害者につき1件と数えます。そして、1件のいじめには数人の加害者がいるのが一般的です。つまり、のべにして4~500万人の加害者、いじめをする人がいる計算になります。みんながいけないことだと言うに...何が違う?

  • 我慢は美徳なんてクソくらえ

    「がっかり」1月31日『外相、どの声も「ありがたい」』という見出しの記事が掲載されました。麻生太郎自民党副総裁が上川外相の容姿を『そんなに美しい方とは言わない』と言ったことについて上川氏が、『さまざまなご意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている』と述べたことを報じる記事です。本当にがっかりしました。国際社会に向かって我が国を代表する立場にある外相が、ルッキズムや女性差別に満ちた発言を容認するような態度をとることが、我が国のイメージを損なうということが分からないのでしょうか。最悪の対応です。自民党という枠内での発想としては理解できます。今も党内に影響力をもつ麻生氏との間で波風を起こしたくない、そんなことをすればせっかくの女性初の総理大臣という好機を逃してしまうという思惑でし...我慢は美徳なんてクソくらえ

  • 鏡に映る自分の姿

    「縮図」1月30日読者投稿欄に、長崎県S氏による『技能実習生もマナー守って』と題された投稿が掲載されていました。S氏は、『外国人農業技能実習生の姿を多く見かけるようになった。農場でもくもくと仕事をしている姿に頭が下がる。休日に仲間同士楽しく買い物をする光景に心が和む。農家の方の「実習生はみんな働き者で優しい」の言葉にうなずく』という記述で投稿を始めています。しかし、実習生を評価しているこうした記述に続き、『スーパーの玄関口で地べたに座って飲食していた。寝転がっている人もいた。無施錠のままトイレを使用しているところに2度出くわした。携帯を操作しながら自転車を運転』などと負の実態を列挙し、『雇い主や監理団体の、ご指導をお願いしたい』で結んでいるのです。読んでなんだかモヤモヤしました。どうしてなんだろうと考える...鏡に映る自分の姿

  • ゼロカウントでも大変

    「こんなに働いていますよ」1月30日『虐待件数過大報告か児相の相談対応20自治体で』という見出しの記事が掲載されました。『こども家庭庁が児相を設置する全国の78自治体に確認したところ、20自治体が国の調査要領に沿わない不適切な報告をしていた可能性がある』ことを報じる記事です。なお、記事によると、『実際の件数より多い数を報告したケースが大半とみられる』とのことです。面白いと思いました。学校のいじめや不登校、問題行動の調査では、どちらかというと実際よりも少ない数を報告し、それを隠蔽と非難されることの方が多いという印象がありますが、児相は多く報告しているというのです。もちろん、学校や教委と児相とでは背景が異なります。児相は外部から案件が持ち込まれるのに対し、学校や教委は自分たちの内部で案件が発生しているという違...ゼロカウントでも大変

  • 美談と感じてはならない

    「隔世の感」1月29日読者投稿欄に苫前市Y氏(63)による『先生に感謝』というタイトルの投稿が掲載されました。高校時代の恩師とのエピソードが書かれているのですが、その内容が「すごい」のです。『どうしようもない生徒』だったY氏は、『A先生のやむにやまれぬ教育的指導に対する恨みつらみを、あろうことか卒業時にクラス全員で先生に贈った寄せ書きに記していた』というのです。書かれた内容は『あの右ストレートを忘れない』です。A教員はY氏に右ストレートを叩き込んだのです。これを「教育的指導」と呼ぶY氏の感覚、今では信じられません。教え子に右ストレートを叩き込む行為、今なら間違いなく停職以上の処分を受けるはずです。思わず手が出た、というのではなく右ストレートなのですから、痛めつけてやろうという意思は明確です。ちなみに、思わ...美談と感じてはならない

  • 子供が羨ましい

    「羨むべき」1月28日連載企画『僧侶・陽人のユーチューバー巡礼』は、『「現代の道具を使わず、自然にあるものだけでゼロから文明を築く」をコンセプトに活動している2人組ユーチューバーがいる。縄さん(32)と文さん(31)を名乗る「週末縄文人」』との対話でした。その中にショックを受けた記述がありました。『火も最初はまったくつかず、土器もたくさん割れて。でも、困った時に助けてもらっている井戸尻考古館(長野県富士見町)の小松孝志館長から「うらやましい」と言われたんです。「僕はもう答えを知っているから、失敗できない。でも失敗の中にこそ気づきがあるし、成功の喜びもある。失敗できることが宝だ」』という文氏の言葉です。私は今までこのブログの中で、様々な「良い教員」の条件について語ってきました。その中で繰り返してきたのが、「...子供が羨ましい

  • 通説の矛盾

    「通説の矛盾」1月26日人生相談欄に、40歳女性の『夫が息子に否定的声がけ』という内容の相談をしていました。具体的な例として、『「学校の勉強ぐらいできて当たり前」「子供が勉強できなければ親は大迷惑」』などがあげられていました。また、相談者は『義母も似た話し方をするので夫も同様に言われて育ったのかもしれません』とも書いています。これに対し回答者は、『以前、友人から「人は、自分が知っていることしかできない」と聞いた時には背筋が凍る思いでした。他者から誤った対応をされてきたら、よっぽど意識をしないと、自分も誰かに同じことをしてしまうということです』と述べた上で、解決策を提示していました。私が関心をもったのは、解決策ではなく、上記の記述でした。よく聞く話です。なるほどそんなものかもしれないな、とも思ってしまいます...通説の矛盾

  • また教員に新たな仕事

    「学校への影響は」1月25日『二重負担「家計不安」49%』という見出しの記事が掲載されました。『子育てと介護を同時に迫られる「ダブルケア」。その重い負担に直面した男女1000人を対象にしたソニー生命の実態調査』の結果について報じる記事です。記事によると、『現役の子育て世代約1万7000人にインターネットを通じ事前調査を実施。この調査に対し、全体の11%にあたる1773人がダブルケアに直面していると回答』なのだそうです。つまり、30人学級では、3人の子供の保護者がダブルケアに直面し悩み苦しんでいるということです。この問題に詳しい横浜国立大教授相馬直子氏は、『ダブルケアは100人いれば100通りの負担や悩みがある』『国や自治体は適切な政策を整備していく大きな責任がある』と述べていらっしゃいます。その通りでしょ...また教員に新たな仕事

  • 知らないものは教えられぬ

    「一つ抜けていた」1月24日論点欄は、『凶暴化する「世間」変えるには』というテーマの下行われた、作家・演出家鴻上尚史氏へのインタビューでした。その中で鴻上氏は、『教室の同調圧力が高い』『学校で掲げる標語も「みんな仲良くしよう」でしょう?でも無理に「仲良く」しなくていい』『学校が教えるべきは、「仲良くしろ」ではなく、仲良くしない相手とも「協働」すること』などとおっしゃっています。このブログを読んでいただいている方はお分かりだと思いますが、これらは私が繰り返し、数十回以上繰り返して述べてきたことです。我が意を得たりという思いで嬉しくなりました。ただ、一つだけ、私が言及したことがない指摘がありました。それは、『日本の学校では同調圧力へのあらがい方も個人として声を上げる方法も教えません』という指摘です。その通りで...知らないものは教えられぬ

  • サイボーグ?アンドロイド?

    「無限の可能性?」1月22日専修大教授武田徹氏が、『電子技術が生身の身体に』という表題でコラムを書かれていました。その中で武田氏は、『従来の音楽は演奏家の身体の制約を受けてきた。たとえば歌手が歌える音域や節回しの速さには限界があり、作編曲もその範囲内でなされていた。ボカロ音楽の新しさは、電子音声合成技術の化身である初音ミクが、こうした身体的な限界を超えて歌う点にあった。ところが、そんなボカロ曲を歌ってしまう生身の歌手が現れる(略)人間の表現力を突然変異的に高めたボカロは、技術と人間の共生を考えるモデルにもなろう』と書かれています。つまり、人間には歌えないと思われていた音域や節回しの速さの曲が、ボカロ曲として作られると、それに挑戦する歌い手が相次ぎ、自分の歌として歌えるようになるケースが珍しくなくなった、と...サイボーグ?アンドロイド?

  • きっといいことがある

    「人が動くとき」1月21日日本芸術文化振興会理事長長谷川眞理子氏が、『三日坊主にしない「新年の誓い」』という表題でコラムを書かれていました。その中で長谷川氏は、『誓ったのにできないということは、要するに、「○○をしよう」という誓いに本当の必要が伴っていないからなのだ』と喝破し、具体的に『なぜそうせねばならないのか、切迫した理由』『実際に役に立ったという記憶』の2点を、誓いが実行される条件を挙げています。頷ける指摘です。そしてこれは、人を動かす際のコツでもあります。教員は、子供を動かすことが仕事です。いくらお説教をしても、立派な道徳を語っても、子供が実際に何らかの行動を起こさないのでは、職務を果たしたことにはなりません。私の経験からいうと、切迫性を用いて子供を動かすのは難しいと思います。例えば、毎日新聞を読...きっといいことがある

  • 公教育と宗教

    「公務員と宗教」1月21日『陸自昨年も靖国計画書集団参拝今年と内容酷似』という見出しの記事が掲載されました。『陸上自衛隊で航空事故を調査する「航空事故調査委員会」の幹部たちが今月9日に東京・九段北の靖国神社を集団参拝していたことを巡り、昨年も今年と同様に参拝の流れや注意事項をまとめた実施計画が作成されていた』ことを報じる記事です。自衛隊・靖国神社という括りが、右派、復古主義、軍国主義などをイメージさせ、注目されているのでしょうが、問題の基本は、全体の奉仕者である公務員が特定の宗教にかかわりをもつよう組織として動いているのではないか、という疑惑です。キリスト教の教会やイスラム教のモスクならよいという問題ではありません。そう考えれば、私にも思い当たることがあります。教委勤務時、正月休み明けの初出勤の日、いつも...公教育と宗教

  • 究極の信頼される恩師

    「終わりが近い」1月21日『オープンAI米大学と初提携』という見出しの記事が掲載されました。『オープンAIが18日、米アリゾナ州立大学と提携すると発表した。AIを使った前例のない学習方法を開発する』ことを報じる記事です。その中に気になる記述がありました。『学生一人一人の需要に合わせた「AI家庭教師」を作ったり~(略)AIは人間と同じくらい優れた家庭教師になれる』という記述です。私は、AI教員の誕生には懐疑的でした。授業は生き物であり、いくらAIであっても30人がそれぞれ予想外の反応を示し、その複合した状況に対応は難しいだろうという判断でした。それは今でも変わりません。しかし、現状は私の予想とは異なる方向で進化していたのです。一台のAIが30人学級の担任となるのではなく、子供一人一人に一台のAIが専任教員と...究極の信頼される恩師

  • ラーニングマイノリティー

    「勉強マイノリティー」1月19日論点欄は、『マイノリティーと日本』というテーマで、世界ゆるスポーツ協会代表理事澤田智洋氏へのインタビュー記事でした。その中に、面白い記述がありました。澤田氏は『極度の運動音痴の自身を「スポーツマイノリティー」と捉えています』というのです。そのことについて、『障害に比べたら、運動ができないなんて大したことないだろうと思うかもしれませんが、僕は自分がマイノリティーの当事者だと認識することが大事だと思っています』とも語っていらっしゃいます。この発想に基づけば、音痴は「音楽マイノリティー」、家庭科や図工で不器用なのは「手作業マイノリティー」、勉強ができないのは「勉強マイノリティー」ということになります。つまり、学校には、多数のマイノリティーがいる、わざわざインクルーシブだとか、ダイ...ラーニングマイノリティー

  • 言葉遊び

    「既視感」1月14日専門編集委員滝野隆浩氏が、『「支える」と「寄り添う」』という表題でコラムを書かれていました。その中で滝野氏は、ホスピス活動の先駆者、淀川キリスト教病院名誉ホスピス長柏木哲夫氏の講演での言葉を紹介なさっています。『「支える」はタテの関係。下から持ち上げていないと患者は落ちてしまうと心配する。「寄り添う」はヨコの関係。そばを歩けば患者は自分で進んでいけると信じている。「私は当初、患者さんのその人らしさを支えるのが、『ホスピスの心』だと表現していました。でも、寄り添うことこそが大切だと思い始めたのです」』。私はこの言葉から、30年前の教育界を思い出してしまいました。当時私は指導主事試験に合格したばかりでした。この時代は、新しい学力観、新しい授業像が盛んに提唱されていた時期でした。私も、「試験...言葉遊び

  • 困っていることはありませんか

    「夢ではなく困りごと」1月13日『第22回全国高等学校ビジネスアイディア甲子園』という見出しの特集記事が掲載されました。ビジネスアイディア甲子園は、『高校生がチャレンジ精神を養い、新しい発想で社会の課題を解決する方法の提案を競う場』なのだそうです。個々のアイディアについても興味深いのですが、私は学校賞を受賞した専修学校クラーク高等学院大阪梅田校教員磯山由真氏の言葉が印象に残りました。磯山氏は、『「何があれば便利か」ではなく「自分は何に困っているか」からビジネスアイディアを考えるように伝えています』と話されていました。教員には、未来の夢とか希望などという言葉が好きな人が多いという印象があります。図工の時間に、20年後の街というタイトルで空飛ぶクルマが飛び交う超近代的な街の絵をかかせたり、作文でネコ語翻訳機が...困っていることはありませんか

  • 大部分は「その通り」

    「同意と不同意」1月13日書評欄に、日本総合研究所主席研究員藻谷浩介氏による、『「なぜかいじめに巻き込まれる子どもたち」川上敬二郎著(ポプラ新書)』に対する書評が掲載されました。相変わらず、藻谷氏に指摘は明確で小気味よいものですが、「そうだ、その通り」と思う部分と「?」と感じる部分があります。まず前者から。藻谷氏は、『大小無数のいじめの延長上に重大事態が発生しているのであり、後者を処断しても前者はなくならない。たとえは悪いが、いくら殺人事件を処断しても、万引きはなくならないのと同じだ』と書かれています。同感です。私は、いじめ問題への対応として、いじめ防止対策推進法を持ち出し、重大事態への認定に問題があるとか、第三者委員会の立ち上げが遅いとかいうことばかりを問題にして糾弾する風潮に疑義を呈してきました。ある...大部分は「その通り」

  • 近いことの意味

    「立証済み?」1月13日『筑波大坂戸高移転を検討』という見出しの記事が掲載されました。『筑波大が埼玉県坂戸市にある付属坂戸高校を茨城県つくば市に移転させることを検討している』ことを報じる記事です。記事によると、『大学近くに移転させることで高大連携を強化し、探究学習を深める』『大学近くに移転すれば、教職員や生徒の行き来が容易になり、より充実した教育を行える』などの狙いや効果があるということです。よく分かりません。校種の異なる学校が連携すると、教育効果が高まるということですが、それは何らかの研究によって検証された「事実」なのでしょうか。あるいは、精緻に組み立てられた論理に基づくものなのでしょうか。仮にそうだとして、それは連携する双方の学校にとって教育効果を高めるものなのか、大学から高校へというように、一方通行...近いことの意味

  • 知る必要はない?

    「知らなくていい?」1月12日『「森」全体見えぬ時代に』という見出しの記事が掲載されました。作家高村薫氏へのインタビュー記事です。その中で高村氏は、近年の世界情勢について、『誰しも全体を俯瞰することが難しい』と指摘なさっています。高村氏の指摘は鋭く、共感させられるものが多いのですが、ひとつだけ引っかかるものがありました。それは、『ウクライナ前線の橋頭堡がどうの、侵攻ルートがどうの、なんて話は私たち素人が知らなければならない情報ではありません』という言葉です。私は高村氏の少し下の世代。平和は無条件に善で、戦争は絶対にあってはならないもの、という価値観が染み通っています。軍隊や武器、兵士や軍事について語るから戦争が起きる、というような非科学的な言霊信仰的な感覚も理解できてしまいます。戦争は口にするのも忌まわし...知る必要はない?

  • 何でそんなに働く?

    「違う」1月11日関西広域連合有識者委員渥美由喜氏が、『「やかましい」で改革』という表題でコラムを書かれていました。その中で渥美氏は、『A県庁に情報公開請求したデータを分析した結果、職員の長時間労働と昇進・昇格の間には高い相関関係があった(略)A県庁の時間外労働都道府県の全国平均を大きく下回り、「時間外が月45時間超の職員割合」も全国平均よりも少ない模範生だった。にもかかわらず、「長時間労働の職員が出世している」という事実に落胆した』と書かれています。要するに、長時間労働する職員=職務遂行意欲があり、責任感も強い優秀で信頼できる人物→昇格させるべき人物という図式が見え、それでは長時間労働も過労死もなくならない、ということです。やはりそんなものなのか、と思う一方で、教員の場合はこの構図が成り立たないのではな...何でそんなに働く?

  • そこから得るもの

    「職業訓練校」1月10日『受験生に伝える「医療の現実」』という見出しの記事が掲載されました。『「医学部は医師になるための職業訓練校。中高生の段階から医師の実像を知ってほしい」。そうした思いから、手弁当で中高生へのせみないーを開いている開業医』朝倉太郎氏へのインタビュー記事です。まず、医学部を職業訓練校と言い切る発想に驚かされました。同じ発想をするならば、教育学部は教員になるための職業訓練校ということになります。そう考えると記事の内容に興味が湧いてきました。私が特に注目したのが、『医療に携わることは社会とと関わることだと考え、社会問題との接点を示そうとしてきました。これまでの講演テーマは、偽情報があふれる中での正しい医療情報の発信、認知症医療の現場、へき地での医師不足の問題など(略)患者に対する嘱託殺人事件...そこから得るもの

  • そんなに間違ってはいなかった

    「発想はよかった」1月9日『1600通りの時間割を作る』という見出しの記事が掲載されました。『宿題や定期テストの廃止など、学校改革で知られる元東京都千代田区立麹町中学校長の工藤勇一さん。2020年度から校長を務める横浜創英中学・高校で新たな改革に挑む』姿を取り上げた記事です。工藤氏とは一年間だけ、都立教育研究所で一緒に勤務したことがあります。それだけに、メディアに取り上げられる工藤氏の挑戦を興味深く拝見してきました。今回の取り組みで、私が注目したのは以下の点です。まず、『個別最適な学びを実現するために学年の壁を柔軟に超えて学ぶ。中1でも英語が得意な生徒は中3の授業に出ることができるし、英語が苦手な生徒は中3でも中1の授業で学び直すことができる』という部分です。以前、大阪府知事を務めた橋下徹氏が、義務教育で...そんなに間違ってはいなかった

  • 究極のアナログ?

    「消えていく」1月9日『参院手書き速記に幕』という見出しの記事が掲載されました。『デジタル化の進展などを受け、参院は2023年11月に議場での手書きの速記を廃止した。歴史の転換点に、速記者は何を思うのか』を報じる記事です。記事によると、『現在約80人いる参院の速記者は今後パソコンでの議事録作成が中心になり(略)手書きの速記は使わなくなる』とのことです。つまり、速記というごく少数の者の間で伝承されてきた特殊技能は、継承者もなく今後数十年の間にはこの世から消えてなくなるということです。何だかもったいないような気がします。私は教員時代に、できるだけ子供に教科書や資料集で調べるだけではなく、実際に生の声に接することが大切だと考えていました。地域の歴史が刻まれた碑を前に、住職さんにお話を聴く、商店街の人に仕事で大変...究極のアナログ?

  • ハードな訓練こそ

    「強調点」1月8日『新たな「問い」を求める』という見出しの記事が掲載されました。連載企画『田原総一朗の日本の教育問題は何だ!?』で、社会学者上野千鶴子氏へのインタビュー記事です。教委で人権教育を担当していたとき、上野氏の著書を読ませていただいたものです。田原氏には、「朝まで生テレビ」に出演させていただいたときに、声を掛けていただいたことがあります。それだけに興味深く読ませていただきました。気になったのは、上野氏の次の発言です。『東大や京大がそれなりの才能ある人材を輩出してきたのは、大学の教育や教師が良かったからではなく、入学してくる学生に、もともと優秀な人材の割合が多かったからだと思います(略)今あるものを身に付けるだけでは教育ではありません。だから、ゼミ生に「誰も答えたことのないオリジナルな問いを立てて...ハードな訓練こそ

  • 5段階の上から2番目

    「どのレベル?」1月6日人生相談欄に、『「みんなも同じ」納得できぬ』という28歳の方からの相談が掲載されていました。相談者は、『悩んでいる人を励ますときなどに「みんなも同じだから」という言葉をかけることに納得できません』と書かれています。それに対し回答者の劇作家渡辺えり氏は、『悩みは人それぞれで、同じ悩みはありません(略)人は一つ一つの悩みにしっかり耳を傾ける必要があると思います』と答えていらっしゃいました。そうできたらいいと思います。でも、現実には難しいのではないでしょうか。私は、「悩み感度」にはいくつかのレベルがあると考えています。まず、人が悩んでいるかどうかを感じ取ることができるレベルです。暗い表情で、言葉も少なく、ため息ばかりついている、誰が見ても何か悩みを抱えていると察するはずですが、こうした状...5段階の上から2番目

  • 成長不足というきめつけ?

    「残念」1月5日『障害者とのつながり大切に』という見出しの記事が掲載されました。『俳優の常盤貴子さん(51)は(略)障害者や福祉などをテーマに映画制作を手掛けてきた国内最高齢の女性映画監督、山田火砂子監督(91)の作品づくりに力を注ぎ、障害のある子どもたちとのつながりを大切にしている』ことを報じる記事です。その中で常盤氏は、『(障害のある)彼ら、彼女たちには、うそがないから、私も素の自分でいられるんです』と述べていらっしゃいます。残念です。長年、障害のある子供たちと交流を重ねてきた常盤氏の言葉だけに、残念なのです。私は、教委勤務時に、特別支援教育を担当していましたし、人権教育の担当者として障害者差別の問題にもかかわってきました。その経験から、常盤氏の言葉は、事実認識として間違っているだけでなく、障害者への...成長不足というきめつけ?

  • 揺り戻し

    「時代錯誤?」1月5日人生相談欄に、『離婚したら子供が心配』という男性からの相談が掲載されていました。相談者は、『ドメスティックバイオレンスの被害を受け離婚調停中です(略)経済面も心配で、離婚をしたら子どもが不幸になるのではないかと気掛かりです』と書かれていました。それに対し、回答者の落語家立川談四楼氏は、落語の「子どもつなひき騒動を例に挙げ、『どうかお子さんの幸せを考えてください』という言葉で回答を結んでいらっしゃったのです。驚きました。現代は、誰でも自分の人生を幸福なものにする権利があり、親だからと言って子供のために自分の人生を犠牲にする必要はない、という考え方が主流だと思っていたからです。また、多少ニュアンスは違いますが、子供のために我慢するより、親自身が自分の幸せを追求する姿を見せることが、子供の...揺り戻し

  • 渡邉、渡辺、渡邊

    「どっちでもいいんです」1月5日『DX阻む戸籍70万字』という見出しの記事が掲載されました。『戸籍だけで約70万字』という『行政機関が管理する膨大な数の「文字」がデジタル改革を阻んでいる』ことを報じる記事です。記事の中に、中嶋ひろ子氏が登場します。『区役所から「お知らせ」が届いた。名前の漢字を「〇に黄」から「廣」に変更したというのだ(略)根拠とされたのは、自治体が戸籍の誤字や俗字を「正字」に修正することを認めた90年の法務省通達(略)「(形の違いは)たかが横棒1本と思ったのだろうか」。中嶋さんは怒りに震えた。親からもらった名前に愛着があるし、名刺でも使っている。漢字を変えると知人への連絡も手間だ。元に戻すよう求めたが、区役所に拒まれた』というのです。中嶋氏はその後裁判に訴え、『一方的に改めることは許されな...渡邉、渡辺、渡邊

  • 別の問題

    「ずれ」1月4日中部報道センター田中理知記者が、『過去の自分を「否定」した校長』という表題でコラムを書かれていました。校則に関するシンポジウムで、『正直、自分の今までの教育は間違っていたのではないかと思うのです』と発言した、愛知県立足助高校長谷上正明氏の焦点を当て、発言の背景を辿ったコラムです。記事によると、かつての谷上氏は、『頭ごなしに生徒をきつく叱ることもあった。生徒の自主性は二の次。「恥ずかしながら、よく言っていました。『わがままを言うな』『先生の言うことを聞け』と」』という教員だったそうです。また、『生徒たちを校則で縛った。そうしなければ、校内の秩序を保てなかったからだ』『誰かが嫌われ役にならなければ。自分がそうなろうと思っていました』などとも書かれていました。よく分かります。地域は違えど、谷上氏...別の問題

  • 15の仮説

    「15の仮説」12月30日余禄欄に、次のような記述がありました。『「だから」は前提をすべて正しいと考え、結論をストレートに導く。この思考法では、居丈高になりがちだ。一方、「そうだとすれば」と留保を付けた場合、他の可能性にも思いを巡らせるため、主張するにしても物腰はソフトになる▲昨今、世の中は「だから」全盛だ(略)完全に正しい前提など多くはない』。例文を示してみました。「日教組は日本の良き伝統を破壊しようとしている。だから~」。これは私が、教育問題に関する討論番組に出演したときのある参加者の言葉です。彼女はこの後、延々と日教組批判を繰り広げましたが、現場を知る私としては、多くが誇張された伝聞に基づく内容で、事実には添わないものでした。とても聞き苦しい思いがしたものです。なお、私は教員時代に教組に加入したこと...15の仮説

  • ピンクに染めたおっさん

    「色が象徴するもの」12月30日『自由な髪の色保育業界にも』という見出しの記事が掲載されました。『ピンクの髪を三つ編みにまとめた女性が、保育園の子どもたちにお遊戯会のダンスを教えていた。華やかな髪色は、同じピンクのエプロンによくなじんでいる。少しずつ企業で広がる「自由な髪の色」の波は、保守的なイメージが強い保育業界にも来ている』ことを報じる記事です。記事を読み、いくつかのことを考えさせられました。記事に登場する宮原氏については、『子どもたちからは、「かわいい」「プリキュアみたい」と人気に。気になる保護者の反応も「今までの髪型で一番似合っているよ」と好評だった』そうです。宮原氏は27歳の女性です。もし、宮原氏が40歳の男性保育士だとしたら、同じ反応だったでしょうか。もし、拒否反応、否定的な反応が返ってきたら...ピンクに染めたおっさん

  • 「意見」なんか聞かなくていい

    「意見」12月30日『広がる中学受験』という見出しの記事が掲載されました。臨床心理士武田信子氏へのインタビュー記事です。記事の中で武田氏は、『親としてできることは、子どもが「嫌だ」と感じた時に表現する「ノー」を受けとめることです。どちらかが言うなりになるのではなく、親と子が合意できるよう民主的に対話を続けることが重要です』と述べていらっしゃいました。一方、記事を書かれた宍戸護記者は、最後のまとめで『大人の思いだけで押し切らず、子どもの意見に耳を傾けて話し合ってみることがよさそうだ』と書かれています。おそらく、先述した武田氏の言葉を受けたものだと思われます。しかし、武田氏の言葉と宍戸氏の言葉、同じ内容なのでしょうか。私には大きな違いがあるように思えるのです。それは、武田氏が子供の「感じ」を重視しているのに対...「意見」なんか聞かなくていい

  • 子供と犬

    「我が子よりも」12月29日論点欄は、『ペットとの向き合い方』というテーマで、2人の識者が論じていました。NPO法人「人と動物の共生センター」理事長奥田順之氏は、『もはや動物は一部の人が家族の一員と捉えているだけでなく、社会の一員となっている』と述べていらっしゃいました。中央大教授山田昌弘氏は、『ペットを家族と見なす傾向が強まっている一方で、本来は家族である子どもを取り替え可能なモノのように扱うことが増えている』と語られていました。さらに山田氏は、『ペットの世話をすることが自分の存在意義となるうえ、人間よりもペットの方が理想的な関係を作りやすい』ともおっしゃっています。動物嫌いの私には想像もつかない世界です。私は以前このブログで、ペット問題を取り上げたことがあります。そのときには、ペットが亡くなったので忌...子供と犬

  • 最上位人間の奢り

    「難しいけど、なるほど」12月29日『毎日ユニバーサル委員会第15回座談会』の概要が報じられました。テーマはヤングケアラー問題でした。5人の識者が意見を述べ合っていましたが、その中の1人事業構想大学院大学学長田中里沙氏の発言に注目させられました。田中氏は、『(ヤングケアラー問題を特集した)記事で注目したのは、家族のために行ってきた介護などが就職の際に評価されなかったという点です。辛いことや特別な環境に向き合い、乗り越えた経験があっても、そのことを社会が何ら評価していないとしたら大問題です。成長する糧は絶対にあったはずで、それを「見える化」したり価値を見いだしたりできていないのは社会全体の課題だと思います』と述べていらっしゃったのです。田中氏のこの発言を受け、毎日新聞社くらい科学環境部長清水健二氏が、『ヤン...最上位人間の奢り

  • 教室と刑務所

    「形が変わる」12月27日梅津時比古氏が、『オーケストラの組織論』という表題でコラムを書かれていました。その中で梅津氏は、『指揮者とオーケストラはパノプティコン(刑務所の理想的な管理システム)と似た形である。過激な比喩だが、放射線状に並ぶオーケストラの団員は監獄の収容者に似て互いを見ることができない。看守塔の位置にある指揮者は一人だけ全員を見ることができる』と書かれています。そう言えばそうだと、初めて気付かされました。この形、教室にも似ているように思われます。教員は全員の子供の顔を見ることができますが、子供は教員の顔だけを見、他の子供については後頭部だけが見え、顔を見ることはできないというわけです。つまり、一人だけ全員の顔を見て状況を把握することができる教員は、分断されて他の表情を見ることができない弱い立...教室と刑務所

  • 私にとっての○○体験

    「痴漢」12月26日『痴漢被害女性の4割実態調査半数が高校生までに遭遇』という見出しの記事が掲載されました。『都は25日、初めて実施した痴漢被害に関する大規模な実態調査の結果を公表した』ことを報じる記事です。記事には、『男性3474人のうち8.6%(298人)が被害を受けていた』『半数以上(53.2%)が高校生までに遭遇していた』『被害場所は、電車内が81.2%で最も多く、路上7.9%~』などの記載がありました。思い出したのです。私(男)が初めて痴漢に遭ったのは高校生のとき、帰宅途中の電車内だったことと、2回目に遭ったのが地元の商店街の路上だったことを。1回目は隣に立っていた20代と思われる女性にズボンの上から股間を撫でられました。2回目は、前から歩いてきた60代と思われる男性に股間を強く握られました。少...私にとっての○○体験

  • スマホで拍車

    「拒否権」12月25日『勤務外連絡7割「拒否したい」』という見出しの記事が掲載されました。『職場や取引先からの勤務時間外の連絡について』連合が実施したアンケート結果を報じる記事です。記事によると、『勤務時間外に職場から連絡が来ることが「ある」人は72.4%』『労働者の6割がストレスに感じ、約7割が「拒否できるならしたい」と考えている』『そうした連絡についてのルールが職場に「ある」と答えた人は25.8%にとどまった』のだそうです。教員も、指導主事も、時間外連絡は当然、という職場でした。高校の同窓会中に呼び出されたり、これから寝ようかというときに「子供が家に戻らない」と連絡を受け、勤務校の近くの交番にタクシーを飛ばしたり、日頃お世話になっていた警察の少年係の係長から暴力行為を繰り返す中学生の手打ち式に来てほし...スマホで拍車

  • 殴ると触る

    「体罰とわいせつ行為」12月23日『昨年度体罰教員9年ぶりに増加』という見出しの記事が掲載されました。『文部科学省の「人事行政状況調査」』の結果を報じる記事です。記事によると、『2022年度に全国の公立学校で、児童生徒への体罰で処分を受けた教員は前年度比54人増の397人となり、9年ぶりに増加に転じた』ということです。数値を細かく見ていくと、いくつかの「発見」がありました。まず、『体罰による懲戒処分は91人(免職はなし)、訓告などが306人だった』という記述です。つまり、体罰教員の大部分は、戒告以上の履歴に残る処分を受けていないということです。履歴に残らないということは、将来の昇給や昇進にも影響はなく、実質的な不利益はほとんどない、ということです。被害者やその保護者の中には、加害教員は処分を受けたと聞かさ...殴ると触る

  • 言葉では言い表せない

    「対人でも?」12月24日連載企画『池上彰のこれ聞いていいですか?』は、上智大法学部教授三浦まり氏へのインタビューでした。『政治の閉塞市民が変える』という見出しで行われた対談の中に、とても考えさせられる記述がありました。『体系立って仕事のやり方を言語化し、後輩や部下に伝えるという作業を怠ると、コミュニケーションギャップが生まれ、場合によってはハラスメントを生み出す土壌を形成してしまう。これまでは「仕事は盗んで覚えろ」「あうんの呼吸で伝わるはず」といった考えがまん延していました(略)米国は仕事のやり方を専門知として体系化することが多いので、新人が仕事を習得するまでの時間が早い(略)そうしたことを日本はあまり重視してこなかったことも、世界の技術力や研究力に差をつけられてしまった一因かと思います』というものです...言葉では言い表せない

  • 正論でもうざったい

    「反発」12月22日『「第五福竜丸」来年被ばく70年ゴミ山の廃船草の根から保存実現』という見出しの記事が掲載されました。『米国の水爆実験で被ばくした静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」。「死の灰」を浴びた船体は夢の島(東京都江東区)のゴミ山に捨てられたが、草の根運動が社会を動かし保存につながった』経緯をたどり、『核被害を伝え続ける実物の存在意義』を考える記事です。記事の中で、60年代末、保存のためのボランティア活動に参加した『江東区立小の若手教師だった松本アイ子』さんの言葉が紹介されていました。松本氏は退職後展示館のボランティアガイドも勤めていらっしゃった方です。松本氏は、『展示館を訪れた人たちは、自分の経験や知識と照らし合わせて「私ももっと考えなきゃ」と感じる』と述べていらっしゃいました。その通りです...正論でもうざったい

  • いいネタを探す嗅覚

    「野良猫」12月22日論点欄は、『クマ被害にどう対処』というテーマで、3人の識者が意見を述べていました。その中の1人、NPO法人ピッキオ・クマ保護管理チーム田中純平氏が述べていらっしゃることに注目しました。田中氏は、『クマ被害の拡大に対して駆除が進む一方、捕殺すべきではないとの意見もある』と書かれていました。私は駆除支持派です。たった一人であっても、人命は100頭のクマの命よりも重い、という考えだからです。しかし、私の考えはどうでもいいのです。私はこの記述から、教員時代のことを思い出したのです。当時、私は子供たちに新聞記事を読ませて、そのことについて意見を書かせるという指導を毎週行っていました。その中で一番盛り上がったのが、「野良猫に餌をやらないで」と訴えた女性の投稿を題材にしたときでした。野良猫に餌をあ...いいネタを探す嗅覚

  • 保護者は何をする?

    「衣食住」12月22日読者投稿欄に、宮崎県A氏の『給食無償化の実施を進めよう』と題された投稿が掲載されました。その中にとても気になる記述がありました。A氏は、『子供が安心して学校生活を送るためにも旧態依然とした「子供の食は親の責任」という意識から脱却すべきだ』と書かれているのです。そうなのでしょうか。衣食住は、生活の基本です。特に「食」は、欠ければ生命の維持に直結する基本中の基本です。それを安定して子供のために確保する、その責任は親にないというのであれば、親には子供についてどんな責任があるというのでしょうか。責任なんて何もない、とでもいうのでしょうか。私は様々な事情で、給食費を払うことが難しい状況にある家庭に対して、無償化という補助をすることに反対しているわけではありません。「子供の食は親の責任」という考...保護者は何をする?

  • 知らないの?忘れたの?

    「システム」12月21日『ダイハツ全車種出荷停止』という見出しの記事が掲載されました。『ダイハツ工業で車両の認証試験に不正があった問題』について報じる記事です。その中に、『不正の原因として短期間での新車開発を重視する社内風土を挙げ、開発スケジュールに余裕がなくなり「強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだ」とした(略)経営幹部は不正の未然防止や早期発見に向けた対策を何ら講ずることなく短期開発を推進した』という記述がありました。不思議でなりません。こうした企業の管理職や経営陣の人は、どういう経歴の人なのでしょうか。多くの方が、若いころは、営業や開発、生産などの現場を経験し、徐々に昇進し管理職になり経営陣に加わるという道を歩んできたのではないのでしょうか。そうであれば、自分の経験に鑑みて、...知らないの?忘れたの?

  • 秀才で金持ちの医者の娘じゃねえか、もOK

    「道徳」12月19日『中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る「授業」』という趣旨の『14歳の君へ』欄に、成人かい香山リカ氏が登場しました。良い内容だと思いました。ただ一つ、気になることがありました。香山氏は、主にご自身の中高時代を振り返り、『先生や親と意見が違うことが多かったけど、怒られないようにと思い、言えませんでした』『当時はひとりぼっちをマイナスに感じたけど、後で「あれは必要だった」とプラスに変わった』『今の私の8割は10代でできました。高校卒業までに考えたことが土台になっています』『自分がみんなと違う意見を持つことがあれば、大切にしてほしい。自分らしさのカギになるから』『「おかしい」と言う人は信じず、「ここがいい」とほめてくれる人を信じたほうがいい』『今は勉強なんて無駄だと思うかもしれない。で...秀才で金持ちの医者の娘じゃねえか、もOK

  • 教員が力を注ぐべきは

    「パチパチパチ」12月18日『学校の風土変え「未然防止」』という見出しの記事が掲載されました。『不登校になった子供のケアといった「対症療法」的な対策から、「未然防止」にかじを切った学校がある。学校の風土を変える取り組みだ。不登校が減ったという東京都内の中学校を訪ねた』記事です。この記事を読んで嬉しくなりました。それは、私がこのブログを始めたときから十数年、ずっと訴え続けてきたことが書かれていたからです。教員として、教委の幹部としての経験を基に主張してきたことが正しかったと思うことができたのです。記事では、『学校風土の改善で不登校の未然防止につなげる手法』について述べられています。『公益社団法人「子どもの発達科学研究所」が文科省の委託事業をもとに「学校風土調査」を開発し、学校の居心地や雰囲気を図れるようにし...教員が力を注ぐべきは

  • 愚行の楽しさ

    「子供にも権利はある?」12月17日人生相談欄に、54歳女性から『「出会い系サイト」使う父』という相談が寄せられ、作家高橋源一郎氏が、答えていました。『84歳の父は10年以上前から出会い系サイトでいろんな女性と付き合っていました』と訴える女性に対し、高橋氏は『お父さまは愚か者です。けれども、人間には愚かなことをする自由と権利がある。わたしはそう思います。他人に迷惑をかけない限りは、ですが』と述べているのです。私は、高橋氏の意見に概ね賛成です。条件に「他人に迷惑」に「法に反しない」を付け加えたいとは思いますが。私も愚かなことをしてきましたし、これからもする可能性があると考えるからです。もちろん、小心者ですから大きなことはできませんが。では、高橋氏が説く「人間」の中に子供は含まれているのでしょうか。子供も人間...愚行の楽しさ

  • もう小学生にも

    「意識しているか」12月14日大学生が作る紙面「キャンパる」に、『薬物乱用食い止めたい』という見出しの記事が掲載されました。『若者はなぜ危険な薬物に手を出してしまうのか。薬物乱用防止活動に尽力する2人の大学生とともに、理由や背景を考察した』記事です。その中に注目すべき記述がいくつかありました。『閉鎖的な組織では、一部のメンバーの行動がほかのメンバーに影響を与えやすい。違法な行為でも外部の目が届かないため、追随しやすくなってしまう』『(クスリに逃げないためには)問題を一人で抱え込まずに相談できる人を見つけること、また没頭できる趣味や活動を見つけることが大切』『薬物の成分や効果への誤解、依存症についての理解不足など、知識の無さから危機感を感じにくくなっている』です。これらの記述は、子供を導く教員が、配慮すべき...もう小学生にも

  • 一部だから、は許されない

    「屁理屈」12月12日『広島市職員研修に教育勅語』という見出しの記事が掲載されました。『広島市の新規採用職員研修で、松井一実市長が戦前の「教育勅語」の一部を研修資料に使っていたことが11日、市への取材で分かった』ことを報じる記事です。記事によると、『専門家は「現行憲法の理念に反し、不適切だ」と指摘』したのに対し、市長は、『教育勅語そのものを再評価すべきとは考えていないが、評価してもよい部分があったということを知ることは大切だ』『全体を画一的に捉えて判断するのではなく、中身をよく見て多面的に捉えることが重要』と語り、今後も使用を続ける考えを示したそうです。私は指導主事でとして最初の年に担当した新規採用教員が、道徳の授業で先ごろ亡くなった池田大作氏の著作を使用した「事件」を思い出しました。彼は創価学会の熱心な...一部だから、は許されない

  • anatahawatasigakiraidemo,watasihaanatagasuki

    「忘れがちなこと」12月12日読者投稿欄に、奈良県の教員T氏による『教師は「片思い」の覚悟で激励』と題された投稿が掲載されました。その中でT氏は、『言葉の誤用、句読点の間違いなど同じミスをしている原稿用紙を見る度に「前回、私が添削した書き込みを見ていないのだろうか」と心が痛む。それでも、教師は「片思い」の覚悟で叱咤激励し続けなくてはならない』と書かれています。なんとなく分かるような気もしますが、誤解を受けそうな部分もある記述です。まず、違和感を覚えたのは、「叱咤激励を続ける」という記述です。子供に指導が浸透していないとき、教員がすべきなのは、叱咤激励ではなく、自分の指導法に問題がないか冷静に分析し、改善に取り組むことです。仮に、教員の指導が拙いために、子供は一生懸命説明を聞いているにもかかわらず内容を理解...anatahawatasigakiraidemo,watasihaanatagasuki

  • 2つの「分かりやすい」

    「見ると聞く」12月10日横浜みなとみらいホール館長新井鷗子氏が、『「ミュージック・イン・ザ・ダーク」とは見るきく視覚障害者と探る』という表題でコラムを書かれていました。ちなみに、「ミュージック・イン・ザ・ダーク」とは、『照明をすべて消した暗闇の空間で演奏するコンサート』のことだそうです。その中に気になる記述がありました。『ポスターやチラシにははっきりした色やフォントを使い、紙面に音声読み上げ機能を付け、点字のチラシも作ります。目で見てわかりやすい文言と、耳で聞いてわかりやすい文章はまったく違うので、見るチラシ、聴くチラシの2種類を作製します』です。どういうことなのでしょうか。あることを伝えたいとき、そのことを読んで理解するのに適した表現と、耳で聞いて理解するのに適した表現は違うということがいめーじできま...2つの「分かりやすい」

  • もうすぐそこに

    「それどころではない」12月9日ナレーター近藤サト氏が、『AIアナウンサーの可能性人の表現のいとしさ痛感』という表題でコラムを書かれていました。その中で近藤氏は、『AIアナウンサーの読み上げるニュースがとても聞き取りやすい』ことを指摘した上で、『今のAIはいわば「初歩段階」で、もしこれが実在のアナウンサーの画像、声色、話し方の癖、性格などを読み取った上で画面上に生成され、ニュースを読んだら、皆さんはどう感じますか』と問いかけていらっしゃいます。アナウンサーで可能なら、教員でも可能になります。私はコロナ禍のころ、リモート授業について再三このコラムで取り上げました。一人の教員が講義形式で大勢の子供に話すという形が中心のリモート授業を拡充すれば、教育予算のかなりの部分を占める教員の人件費の大幅な削減につながるこ...もうすぐそこに

  • 大谷の小学生のときの写真、高く売れるかも

    「横領?」12月9日読者投稿欄に、和歌山県T氏の『著作権少しずつ学びたい』というタイトルの投稿が掲載されました。その中に気になる記述がありました。『私は以前から思っていたことがあります。「小中高などの卒業文集の著作権は?あるとすれば誰のもの?」』という記述です。8回、卒業生を担任し、卒業文集を作成してきましたが、正直なところ、考えたこともありませんでした。T氏は、世間を騒がせた事件の容疑者や著名なスポーツ選手などの小学校時代の卒業文集の内容が報じられることからこうした疑問を抱いたようです。私の教え子にそうした人はいませんが、気になることがあります。30代半ばで受け持ったFさん。彼は絵やデザインが上手く、彼が卒業文集の表紙を描くことになりました。自宅で30回以上、試行錯誤を重ねて完成版をもってきました。それ...大谷の小学生のときの写真、高く売れるかも

  • 1対100ならば…

    「正解はゼロだけ?」12月7日近事片々欄に、『パレスチナの死者、民間人が戦闘員の倍に。「良い比率だ」とイスラエル軍報道官。人命軽視する心なき発言』という記述がありました。全くその通りです。罪もない子供や女性、高齢者が悲惨な死を余儀なくされている惨状を目にしてのこの暴言、多くの日本人が強い憤りを感じているはずです。ところで、冷静になって考えてみると、もしこの「比率」が、民間人1に対し戦闘員10だとしたら、どうなのでしょうか。やはりとんでもない暴言となるのでしょうか。それなら、民間人1に対し戦闘員100だとしたらどうでしょうか。多くの人が、戦争の発端となった2か月前のハマスの攻撃をテロとして非難しています。そして、イスラエルには自衛権があるという考え方も支持されています。さらに、ハマスが民間人を人間の盾にして...1対100ならば…

  • やっぱり…だよね

    「方向性は?」12月7日『国際学力調査で上位に』と題された社説が掲載されました。『経済協力開発機構の2022年国債学習到達度調査(PISA)で、日本は世界トップレベルの成績を収めた』ことをについて、その背景を分析し、課題を示す内容です。その中に気になる記述がありました。『OECDは、新型コロナウイルス感染拡大による休校期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性があると指摘している。できるだけ対面授業を維持しようとした教師らの取り組みが功を奏した形だ』です。ポイントは、「対面授業の維持」です。このブログでも何度か取り上げましたが、当時のメディアでは、リモート授業の早急な拡大を推奨し、休校が解除されてからも、今後の学習の在り方としてリモート学習を積極的に拡充する方向性を推奨していたはずです。地域ごとの教育...やっぱり…だよね

  • 手段の目的化

    「流れ作業化」12月7日『奈良・女子児童いじめ重大事態「私が死ねば」に担任が花マル』という見出しの記事が掲載されました。『同級生からいじめを受けた奈良市立小学校の女児が自殺をほのめかした文章に、担任教諭が「花マル」をつけて返却していた』ことを報じる記事です。記事によると、『女児が「わたしは死ねばいいのに」「死ねばいいな、自分なんて、いなければよかった」などと書いたノートを担任に提出したところ、担任はノートに花マルをつけた上で「Youcandoit!!」、「ファイト!」と書きこんで返した。学校側の聞き取りに担任は「励ましの意味で書いた」などと説明した』ということです。まずかったですね。この担任の対応が問題であることは当然ですが、私は、担任は嘘をついてはいない、と思います。あくまでも想像ですが、この担任は毎日...手段の目的化

  • 3割7分5厘

    「あなたはどっち?」12月6日読者投稿欄に、山口県K氏の『「見張られる」と「見守られる」』というタイトルの投稿が掲載されました。その中でK氏は、女性2人の会話について触れています。『(年配女性は)「隣の人は、私が困っているとすぐ声を掛けてくださるよく気がつく人で助かっている」。そんな内容だった。一方の若い人が「それじゃあ、見張られているよう」と心配そうに聞く』。この後、K氏は、『「見張られる」は、悪いことをしないかと監視される、「見守られる」は、無事であるように気をつけてもらっている。そこには大きな違いがある』と書かれています。その通りだと思います。でも、この例示された年配の女性の場合、本当は「見張られている」のか「見守られている」のか、どちらなのだろうと考えてしまいました。隣の人の立場に立てば、「高齢者...3割7分5厘

  • そういえば「いちばん好きな花」にも

    「ぼんやり」12月6日川柳欄に、兵庫県S氏の『みんなとは便利な言葉誰のこと』という句が掲載されました。鋭い句です。私たちは、安易に「みんな」という言葉を使いがちです。子供が言います。「もうみんなスマホ持ってるよ」。親はこのおねだりに負けて、スマホを買え与えます。「みんなが持っているのに、うちの子だけもっていないのでは可哀想だ」と。ではこの「みんな」とは誰のことなのでしょうか。学校の子供全員?同じ学級の子供全員?同じ班の子供全員?それとも我が子の仲良しグループ全員???。もし学校や学級の全員であれば、言葉本来の意味通りです。しかし、仲の良い3人組のうち2人が持っているというケースだとすれば、ほとんど詐欺に近い印象操作です。もちろんこの場合、子供は親を騙そうと思っているわけではないでしょうし、親も正確に学級全...そういえば「いちばん好きな花」にも

  • 何もしていないのに前から歩いてきた人に殴られる…

    「衝撃」12月4日『パレスチナ戦場の勝ち負けで終わらない紛争』という見出しの記事が掲載されました。『パレスチナ問題の長い歴史の中で、今回の戦闘はどう位置づけられるのか。エジプト日本科学技術大学で平和学を教えるサイード・サデク教授』に話を聴いた内容を報じる記事です。その中に、衝撃を受けた記述がありました。『(第二次世界大戦で戦った)米国人が日本に旅行に来ても、日本人は「殺してやる」とは思わない。これが平和の構築だ。だが、パレスチナでは(略)』という記述です。私は国際派ではありませんし、外国の方と仲良くした経験もありません。それでも、米国人だという理由で「殺してやりたい」と思ったことは一度もありません。殺してやりたいはおろか、殴ってやりたいとか唾を掛けてやりたいとか思ったこともありません。そもそも、そんなこと...何もしていないのに前から歩いてきた人に殴られる…

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