chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人) https://blog.goo.ne.jp/red777slope

こころの困りごと・悩みごと相談でじーじ臨床心理士が公園カウンセリング、訪問カウンセリング、面会交流の相談・援助などをやっています

赤坂正人 1954年生まれ 家庭裁判所調査官として司法臨床に従事 放送大学大学院臨床心理学プログラム修了 心理カウンセリング個人開業 臨床心理士 新潟市西区 心理療法、家族療法、遊戯療法、面会交流の相談・援助など 精神分析学会、遊戯療法学会会員 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006,『臨床心理学』)「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011,『遊戯療法学研究』)ほか

ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2015/02/19

arrow_drop_down
  • 北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』1999・星和書店-「甘え」の臨床に学ぶ

    2020年5月のブログです*北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』(1999・星和書店)をかなり久しぶりに読みました。土居さんの「甘え」理論を1997年の第4回日本語臨床研究会で討議をしたあとの論文集ですが、読むのはなぜか久しぶりになってしまいました(土居さん、北山さん、ごめんなさい)。例によって、付箋やアンダーラインがあるものの、記憶がほとんどなく、なんと藤山直樹さんも論文を書いていて、ラッキーでした(一回読んだはずなのに、ラッキーもないのですが…。藤山さん、ごめんなさい)。言い訳になりますが、人はやはりその時の実力に応じた読書しかできないのですね。さて、今回の実力(?)で、印象に残ったことを一つ、二つ。一つは、小此木啓吾さんの論文。小此木さんは土居さんより10歳後輩らしいのですが、土居さん...北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』1999・星和書店-「甘え」の臨床に学ぶ

  • 神田橋條治『精神科診断面接のコツ』1984・岩崎学術出版社-精神科面接の名著に学ぶ

    2020年5月のブログです*神田橋條治さんの『精神科診断面接のコツ』(1984・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。この有名な精神科臨床の面接の名著、じーじも家裁調査官の時代から何度も読んで参考にさせていただいていますが、感想文は初めてです。このまるで宝箱のような本を再読して、今の力量で何をどう感じるのか、自分で確かめてみたいと思いました。あいかわらず、付箋とアンダーラインだらけで、少し整理をしながら読み進めました。あくまでも、今の時点で印象に残ったことを一つ,二つ。一つめは、読んでいて思い出したのですが、ごく近い未来を予測することの大切さ。その後、この予測と結果を比較することで、面接や診断の善し悪しがわかり、面接の技術が上がるといいます。頷けます。二つめは、いつでも、あと5分で面接を終われるような面...神田橋條治『精神科診断面接のコツ』1984・岩崎学術出版社-精神科面接の名著に学ぶ

  • 立松和平『歓びの知床』1999・地球丸-和平さんの知床・知布泊での丸太小屋生活です

    2020年5月のブログです*立松和平さんの『歓びの知床』(1999・地球丸)を久しぶりに読みました。面白かったです。今年の連休はコロナで県外に出かけられないので(県境で検問をしているニュースまでありました)、もっぱら読書三昧の生活。もっとも、じーじの場合、車中泊で旅行をしていても、人の少ないところで、景色を眺めたり、本を読んだり、ビールを呑んだりしているだけなので、家にいるのと同じなんですけどね…。さて、本書、和平さんの知床・知布泊での丸太小屋生活を綴っています。以前、この本を読んで、じーじも知床に小さいのでいいので、丸太小屋がほしいな、と思ったことがあったくらいで、あこがれの生活です。山荘のまわりでソバを育て、しまいには地元の友人たちと農業会社まで作ってしまいます。さらに、別の友人に頼まれて、毘沙門堂ま...立松和平『歓びの知床』1999・地球丸-和平さんの知床・知布泊での丸太小屋生活です

  • 山中康裕『こころと精神のはざまで』2005・金剛出版-こどもごころを残したすてきな臨床家に学ぶ

    2020年5月のブログです*山中康裕さんの『こころと精神のはざまで』(2005・金剛出版)を久しぶりに読みました。このところ、BS放送大学の小野けい子先生の「イメージと心理療法」を見ていて、ゲストで登場される山中さんの切れのいい、しかし、温かみとユーモアのあるお話をお聞きして、やはりすごい先生だな、と思い、何冊かの本を読み返しています。本書は、雑誌「臨床心理学」に、河合隼雄さんの後を受けて連載されたエッセイというか、論文で、山中さんの学術的な経験が本音でどんどんと語られます。バウムテストや絵画療法の思い出、ひきこもりの「内閉論」、こころの「窓」論、箱庭療法のカルフさんとの思い出、などなど、その専門性の高さはじーじも尊敬をするところです。また、河合隼雄さんだけでなく、中井久夫さんや木村敏さん、その他の優秀な...山中康裕『こころと精神のはざまで』2005・金剛出版-こどもごころを残したすてきな臨床家に学ぶ

  • 川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』2004・新潮文庫-電車の中で読むのは少し危険な本です

    2019年5月のブログです*川上弘美さんのエッセイ集『ゆっくりさよならをとなえる』(2004・新潮文庫)を再読しました。川上さんのエッセイを読むのは、『赤ゾンビ…』以来ですかね?少し前の本で、本棚の端のほうでなんとなく寂しそうにしているのを見つけて(?)読みました。いい本です。軽いタッチの文章のわりに、なんというかいみじみとした感じが漂っていて、文章も少しだけ寂し気です。しかし、内容がとても面白いので、時々、フフフ、と笑ってしまいます。大笑いをするわけではないのですが、時おり軽く笑ってしまうので、電車の中では要注意です。もともとは日経や朝日、中日などの新聞や月刊雑誌に連載したエッセイたちらしいのですが、こんなに笑わせていいのだろうか、と思ったりしながら読んでいました。川上さんのサービス精神もあるのかもしれ...川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』2004・新潮文庫-電車の中で読むのは少し危険な本です

  • 川上範夫『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』2012・明石書店

    2020年5月のブログです*川上範夫さんの『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』(2012・明石書店)を初めて読みました。川上さんの論文は、これまでにいくつか読ませていただいています。そのこまやかでていねいな実践を踏まえた論考にはすごく感心させられることが多かったのですが、今回、単行本を古本屋さんで手に入れることができました(こんないい本が品切れなのはもったいないことです)。すごい本です。川上さんは、ご自分のケースを紹介しながら、ウィニコットさんをとてもわかりやすく説明してくれていますが、それがすごいです。ウィニコットさんをこんなに深く理解して、説明されるかたはそういません。ひょっとすると、ウィニコットさんが表現できなかったことも説明されているような気もします。本当に...川上範夫『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』2012・明石書店

  • 村上春樹 『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)1991・講談社文庫-『羊をめぐる冒険』の世界へ

    2019年6月のブログです*村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)(1991・講談社文庫)を再読しました。なんとなく、あらすじの一部をぼんやりと覚えているような気がしていたので、再読がしばらくぶりになってしまいましたが、細部はほとんど忘れていたので、例によって(?)、またまたとても新鮮な気分で読んでしまいました。さきほど、読み終えたばかり、この感情をどう表現したらいいのか、戸惑います。やはり、すごい小説です。今まで思っていた以上にすごいです。読むほどに、生きる経験を積んで読むほどに、うなずけることと不思議さの両方が、哀しみや微笑みや笑いととともに増えていきそうな小説です。そう、この小説の中で、読者は人生を生き、哀しみ、苦しみ、喜び、そして、死を眺めるのだと思います。生きることのしんどさ、辛さ、...村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)1991・講談社文庫-『羊をめぐる冒険』の世界へ

  • 山中康裕『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』1985・岩波書店

    2019年5月のブログです*山中康裕さんの『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』(1985・岩波書店)を再読しました。この本もかなり久しぶりで、本棚の隅のほうに隠れていた(?)のを見つけ出して、読んでみました。全然古くありません。まだ大家になる前の山中さんの若々しい姿が、そこにあって、新鮮な感じで読めてよかったです。自閉症の子どもさんなどのケースをていねいに提示して、ケースの理解と治療の様子をかなり詳しく述べておられるので、とても参考になります。山中さんは理屈抜きに、自分に正直に子どもさんやお母さんと向き合っており、やはりその情熱と熱意がすごいなと思います。例によって、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、子どもの出生について。世間では、子どもをつくる、つくらない、産む、産まない...山中康裕『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』1985・岩波書店

  • 藤沢周平『三屋清左衛門残日録』1992・文春文庫-老いることと生きること

    2019年5月のブログです*藤沢周平さんの『三屋清左衛門残日録』(1992・文春文庫)を再読しました。久しぶりでしたが、堪能しました。やはりいい小説です。この小説も、テレビドラマを観たのがきっかけで読みました。嫁役の南果歩さんがとても可愛かったのを覚えています。その後、原作を読んだのですが、すばらしい小説で、それがきっかけでじーじは藤沢周平さんの小説をたくさん読むことになりました。さて、本書、おとなの小説です。おとなというより年寄りの小説かもしれません。しかし、物語は結構、現代的で、描かれる主題は、例えば、組織で、あるいは、社会で、生きていく、とはどういうことか、と問いかけてきます。そして、そこに、男女のことがらが絡み、人として生きることとは、ということも出てきます。出てきますが、当然、正解はなく、様々な...藤沢周平『三屋清左衛門残日録』1992・文春文庫-老いることと生きること

  • 滝川一廣『新しい思春期像と精神療法』2004・金剛出版-子どものことを考える精神科医に学ぶ

    2019年6月のブログです*滝川一廣さんの『新しい思春期像と精神療法』(2004・金剛出版)を再読しました。5月の遊戯療法学会で滝川さんのお話をお聞きして、やはりすごい人だと思い、この本も再読しました。いい本です。臨床中心に、理屈ではなく、現実をわかりやすく説明してくださいます。特に、デビュー論文が摂食障害の論文だったということもあって、摂食障害とその治療についての記述がすごいですし、それでいてわかりやすく、身近な感じがする論考です。例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、いじめについて。いじめは悪ふざけのレベルから恐喝や傷害のレベルまで幅広いのですが、滝川さんは、どのいじめも子ども集団の中での相互作用として生じている現象、と捉えます。それゆえに、加害者意識が生じにくいことを指摘されますが、い...滝川一廣『新しい思春期像と精神療法』2004・金剛出版-子どものことを考える精神科医に学ぶ

  • 読書三昧・村上春樹さん・藤沢周平さん-じーじのじいじ日記・セレクト

    2019年5月の日記です*金曜日のボランティアで疲れたせいか、週末は小説三昧。村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』(2004・講談社文庫)と藤沢周平さんの『三屋清左衛門残日録』(1992・文春文庫)を交互に読む。すごい組み合わせ、自分でも驚く(!)。しかし、これがとてもいい。カステラとおせんべいを交互に食べているような感じ(?)。洋風と和風のコラボレーションだ。どちらもなかなか深くて、しかし、少々のユーモアが効いているので、読み心地がいいし、後にひく。人生とは、出世とは、仕事とは、男女とは、などなど、久しぶりに考えながら、しかし、時おり、ニヤリとしながら読む。どちらもおとなの小説で、じーじにも読みごたえを感じさせてくれる。いい週末だ。そして、もうすぐビールの時間だ。(2019.5記)読書三昧・村上春樹さん・藤沢周平さん-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 滝川一廣『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』2004・ちくま新書

    2019年5月のブログです*先日の遊戯療法学会で滝川一廣さんのお話に感心をしたので、本棚の隅っこにあった滝川さんの『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』(2004・ちくま新書)を見つけ出して読む。久しぶりだが、いい本だ。統合失調症の発症の経過がとてもていねいに説明されて、中井久夫さんと同じくらいにわかりやすい。幻聴の生じ方もよく理解できる。自閉症に関しては、共同性という概念の導入で、こちらもとても理解しやすい。自閉症が単なる発達の正規分布の一部であることも述べられて(いわゆる自閉症スペクトラムだ)、いたずらに原因追及をすることの弊害も説明される。それよりも、関係性の発達の遅れととらえて、周囲がかかわることの大切さが説明される。昔と違って、一次産業や二次産業の人口が減り、三次産業と...滝川一廣『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』2004・ちくま新書

  • 遊戯療法・箱庭療法・プレイセラピー-2019年遊戯療法学会

    2019年5月の日記です*昨日から遊戯療法学会で東京にいる。昨日はワークショップとシンポジウム。ワークショップは山中康裕さん。箱庭療法のカルフさんと思い出話。今も昔も「熱い」先生で尊敬をする。山中さんのお元気なお話を堪能してまことに幸せな時間を過ごす。シンポジウムは養護施設の子どもさんのケース。いつもお世話になっている新潟大の横山知行先生が指定討論者のお一人だったが、先生のすごいケースも提示されて、教わることが多かった。今日の午前中は研究発表。じーじは田中千穂子さんが助言者の分科会に参加したが、田中さんのあいかわらず切れのいい助言に酔う。とても幸せな時間だった。午後、もう少しだけ勉強をして帰りの新幹線に乗る予定。新幹線で吞むビールが今から楽しみだ。(2019.5記)遊戯療法・箱庭療法・プレイセラピー-2019年遊戯療法学会

  • 心理臨床・イメージ・箱庭療法-じーじのカウンセリング日記

    2019年5月の日記です*BSの放送大学の「心理臨床とイメージ」を見る。今日は箱庭療法の講義。講師は小野けい子先生。放送大学大学院で勉強していた時にたいへんお世話になった先生だ。臨床心理学、心理療法、箱庭療法、絵画療法など、とても詳しく、ていねいに、わかりやすく教えていただいた。そして、今日のゲストがなんと山中康裕さん。遊戯療法学会の会長で、このブログにも何度も登場している先生。じーじの尊敬する心理療法家だ。山中さんはスイスの箱庭療法家のカルフさんから箱庭療法を習い、その後、河合隼雄さんなどと一緒に、箱庭療法を世界的なものに発展させた人でもある。このお二人が箱庭療法のお話をするということで、とても豪華な講義である。久しぶりに学生になったような気分で真面目に勉強をする。実は今月中旬に東京で遊戯療法学会があっ...心理臨床・イメージ・箱庭療法-じーじのカウンセリング日記

  • 立原正秋『冬の旅』1973・新潮文庫-凛とした孤高の青年を描く

    2019年5月のブログです*立原正秋さんの『冬の旅』(1973・新潮文庫)を久しぶりに読みました。おそらく30代の終わりくらいに再読をして以来、約30年ぶりくらいの再読です。とてもいい小説で、記憶力の悪いじーじにしてはめずらしくあらすじを覚えていて、再読が久しぶりになってしまいました。本当にいい小説なので、あらすじだけでなく、文章もじっくりと味わうことができるのですが、すごいご無沙汰でもったいないことをしてしまいました。今回は、文章を丁寧に味わいながら、ゆっくり、ゆっくりと読みました。やはりすごい小説です。文章がたびたび胸に迫ってきて、こころを平静に保つのが難しくなることもありました。じーじが持っている文庫本は1973年に購入したもの。大学1年の時です。おそらく高校時代に「冬の旅」のテレビドラマを観て、印...立原正秋『冬の旅』1973・新潮文庫-凛とした孤高の青年を描く

  • 冬の旅・愛読書・物語のちから-じーじのじいじ日記・セレクト

    2019年5月の日記です*昨日から立原正秋さんの『冬の旅』(1973・新潮文庫)を再読している。じーじにとってはもっとも大切な小説。「もっとも」という言葉は簡単には使いたくないが、この小説はじーじにとっては本当に大切な小説。この小説を読んだことで、非行少年の相手をしてみたくなり、臨床の世界に入ったからだ。おそらく、自分の中の、非行少年、不良少年、の部分に向き合わされたのだろうと思う。あらすじはさすがに、じーじにはめずらしく(?)まだ覚えているので、再読を少し迷ったが、やはりいい小説を読んで、こころを豊かにしたいな、という思いが強くなった。いい小説の文章の力、物語の力は、やはりすごいと思う。そういう意味で、再読をしたい大切な小説はまだたくさんあって、たとえば、村上春樹さんの『海辺のカフカ』(2005・新潮文...冬の旅・愛読書・物語のちから-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 加藤周一『夕陽妄語2 1992-2000』2016・ちくま文庫-ドイツと日本の戦争責任のあり方を考える

    2022年5月のブログです*加藤周一さんの『夕陽妄語21992-2000』(2016・ちくま文庫)を再読する。加藤さんの『夕陽妄語』の感想文は、なぜか、『1』と『3』だけがあって(よかったら読んでみてください)、『2』がなかったので、再読してみた。1992年から2000年にかけて、『朝日新聞』に月1回ずつ連載されたエッセイをまとめたもの。この間、日本では、戦後50年問題、阪神淡路大震災、オウムサリン事件などがあり、海外ではユーゴスラビア紛争その他が起きた。加藤さんはそれぞれの出来事を冷静に、時に熱く述べるが、じーじの見るところ、その通底には日本の戦争責任のあり方の不十分さを問うているものがあるように感じられた(加藤さん、間違っていたら、ごめんなさい)。ドイツが、ナチスの戦争責任とそれへの協力者に対して長年...加藤周一『夕陽妄語21992-2000』2016・ちくま文庫-ドイツと日本の戦争責任のあり方を考える

  • 伊藤良子『心理療法論』2011・京都大学学術出版会-こころに大切なことを学ぶ

    2018年のブログです*先日、伊藤良子さんの『心理治療と転移』を読んでおもしろかったので、今度は同じく伊藤さんの『心理療法論』(2011・京都大学学術出版会)を再読してみました。これもかなり久しぶりで、なんとなく心理療法論という題名や京都大学学術出版会という名前にちょっと怖じ気づいてしまい、遠のけていました(伊藤さん、京大関係者のみなさん、ごめんなさい)。読んでみると、内容は案の定、ほとんど忘れていたのですが、しかし、ところどころに付箋やアンダーラインがあり、昔は真面目に勉強していたんだな、と感心をしました(?)。今回、印象に残ったことを一つ、二つ…。一つめは、来談者こそクライエント、という視点。われわれは、ともすると、症状を出している人が問題、と考えがちですが、こと、心理療法においては、来談者に耳を傾け...伊藤良子『心理療法論』2011・京都大学学術出版会-こころに大切なことを学ぶ

  • 東北・道の駅・車中泊-じーじの2019年東北の旅・5

    2019年ゴールデンウィークの日記です*今朝、新潟に戻る。6泊7日の東北の旅。初めての日本海側の旅だったので、じーじもワクワク、ドキドキの旅だった。三内丸山遺跡もすごかったし、本州から見る北海道もすごかった。時間や空間が雄大になった感じで、今も気持ちがいい。一方、車中泊をした道の駅。人さまのことは言えないが、車中泊の車が増えてたいへん。ホテルや旅館に泊らない貧乏人が増えているのかな?景気が悪いのかな?やはり消費税増額などをしている場合ではないのかもしれない。というより、この際、消費税は廃止したほうがいいかも…。足りない税収は大企業や高額所得者からいっぱいいただくようにしたい。ちょうど参議院選挙もあるし、ひょっとすると衆議院選挙もあるかもしれず、いい機会かも?貧乏な庶民をいじめる消費税は廃止しましょう!あ、...東北・道の駅・車中泊-じーじの2019年東北の旅・5

  • 伊藤良子『心理治療と転移-発話者としての<私>の生成の場』2001・誠信書房-「私」とは?

    2018年のブログです*伊藤良子さんの『心理治療と転移-発話者としての<私>の生成の場』(2001・誠信書房)を再読しました。今年の遊戯療法学会のワークショップでお話をきく機会があり、せっかくなので以前読んだことのある本書を読んだうえでお話をきこうと思って再読をしたのですが、読み終わるまでに少し時間がかかってしまいました。じーじの本には2種類の付箋が貼られていて、おそらく2回は読んでいるようなのですが(?)、なかなか難しい本で、今回も結構、難渋をしました。それでも、少しだけ、印象に残ったことを書いてみます。一つめは、自閉症児は「見ること」へのとらわれがあるのではないかという仮説です。自閉症児が「見る」ことに過剰にとらわれて、「もの」に執着し、「人」への対象の移行がうまくできていなにのではないか、ということ...伊藤良子『心理治療と転移-発話者としての<私>の生成の場』2001・誠信書房-「私」とは?

  • 桜吹雪の山形・庄内路を南下中です-じーじの2019年東北の旅・4

    2019年ゴールデンウィークのブログです*今日の東北地方日本海側はやや強めの風。わが愛車タントくんは秋田から山形県庄内地方に入りました。散りかけの桜が風に舞って、タントくんのフロントガラスに付き、とってもきれい。無粋なじーじでもひと時の詩人にしてくれそうです。山形美人ちゃんは…、と探しますが、風が強いせいか、見当たりません。残念。途中、日帰り温泉があったので寄りました。湯船がいくつもあって、立派な温泉。5分以上入らないこと、と書かれた湯船もあって、本格的です。旅の疲れを癒しました。庄内は作家藤沢周平さんのふるさと。あちらこちらから周平さんの描くお侍さんや農民さんが出てきそうな雰囲気です。しばらく読んでいなかったので、帰ったらまた読みたいと思います。さてさて、旅も終盤。安全運転で新潟を目指します。(2019...桜吹雪の山形・庄内路を南下中です-じーじの2019年東北の旅・4

  • 子ども・自閉・遊戯療法-2018年遊戯療法学会

    2018年のブログです*週末に首都大学東京で開催された2018年遊戯療法学会に行ってきました。遊戯療法学会の首都大学東京での開催は2008年以来10年ぶりとのことで、そういえば10年前、入会して間もなくのわたしは、知らない人ばかりの大学内でうろうろしていたな、となつかしく思い出しました。今年のテーマは、子どもの今-遊戯療法の実践者としてできること、で基調講演はなんと落合恵子さん、初めて生で見てしまいました。ワークショップは伊藤良子さんの、自閉スペクトラム症の子どもの遊戯療法から学んだ重要なこと、のクラスを選択しました。最近、伊藤さんの『心理治療と転移』(2001・誠信書房)という本が気になって再読中なのですが、ちょうどその中の一事例を詳しくご紹介いただいて、とても勉強になりました。ひとがひとになっていく瞬...子ども・自閉・遊戯療法-2018年遊戯療法学会

  • 山菜を眺めながらの里山カウンセリングは、こころもぐんぐん、おなかはぐーぐーです

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...山菜を眺めながらの里山カウンセリングは、こころもぐんぐん、おなかはぐーぐーです

  • 今年の5月1日は秋田美人ちゃんがいっぱいです!-じーじの旅・セレクト

    2019年ゴールデンウィークのブログです*5月1日といえばメーデー。現役時代はメーデーの行進をしたものですが、引退後はひとり旅の日々。今日は秋田県内を南下しました。秋田美人といいいますが、確かに美人ちゃんが多いです。街を歩く女性の2人に1人は美人ちゃん。青森も意外と(?)美人ちゃんが多く、街を歩く3人に1人は美人ちゃんでしたが、さすがは秋田です。美人恐怖症のじーじにはうれしい悲鳴(?)。そういえば、じーじの母方の先祖は秋田出身(ちなみに父方は仙台出身で、戊辰戦争後に北海道に渡ったらしいです)。ということで、じーじも秋田美人の血をひいていますが(?)、そんなじーじが新潟美人の奥さんと結婚をしましたので、その間にできた娘(孫娘たちのママですね)は新潟・秋田連合の最強の美人ちゃん。孫娘たちも新潟・秋田最強連合の...今年の5月1日は秋田美人ちゃんがいっぱいです!-じーじの旅・セレクト

  • 河合隼雄『子どもと悪』1997・岩波書店-「いい子」が自立をするために必要な「悪」を考える

    たぶん2016年ころのブログです*河合隼雄さんの『子どもと悪』(1997・岩波書店)を再読しました。もう何回目になるでしょうか。1997年の本ですから、かれこれ20年くらい読んでいることになります。何回読んでも、いろいろと考えさせられる本ですし、河合さんの本の中でもじーじが大好きで重要な本の一冊だと思います。内容は、悪と創造、盗みの意味、暴力と攻撃性、うそと秘密、秘密と性、いじめ、子どもをとりまく悪、などなど。いずれも、子どもの成長や自立をめぐって、「悪」の大切さを考察しています。ここでいう「悪」とは、人間が自立をする際に、ギリシア神話の中で、神さまから「火」を盗んだことに象徴されるような意味での「悪」です。そして、それは、子どもが神さまならぬ親から自立をするときに必要なものを意味するようです。そういえば...河合隼雄『子どもと悪』1997・岩波書店-「いい子」が自立をするために必要な「悪」を考える

  • 雄大ですばらしい津軽海峡春景色(?)-じーじの旅・セレクト

    2019年ゴールデンウィークのブログです*昨日、4月30日は津軽半島の北端、竜飛崎に行ってきました。ここも前から来てみたかったところ、本州から北海道を眺めてみました。すばらしいです。雄大な眺め。北海道の渡島半島や百名山の駒ヶ岳、そして、函館山まで見えます。日本海には渡島大島と渡島小島。いずれも無人島ですが、なかなか立派です。小樽行きのフェリーから見たことはありましたが、本州から見るのは初めて。なかなか興味深いです。いずれも意外と近く感じます。小心者のじーじでさえ、行ってみたいな、と思ってしまいますので、昔の勇敢な縄文人はきっと丸木船で渡ったのではないでしょうか。北海道の黒曜石が三内丸山遺跡から出てきますので、おそらくそういう縄文人がいたのでしょう。あるいは、北海道のアイヌの人たちもそうだったのでしょうか。...雄大ですばらしい津軽海峡春景色(?)-じーじの旅・セレクト

  • 土居健郎『精神療法の臨床と指導』1967・医学書院-精神療法のすごさを学ぶ

    たぶん2015年ころのブログです*土居健郎さんの『精神療法の臨床と指導』(1967・医学書院)を相当久しぶりに再読しました。じーじがこの本を購入したのが1981年、家裁調査官研修所を修了する頃。その後、何回か読んで感動し、付箋やアンダーラインもいっぱいですが、ここしばらくはご無沙汰でした(土居さん、ごめんなさい)。久しぶりに読んだ本書はやはり刺激的でした。今はもう大家になっている人たちの若いころのケースを土居さんが指導しているのですが、その「きれ」がすごいです。そういえば、土居さんは調査官研修所にも指導に来てくださり、同期生のケースを午後半日かけて指導してもらったことがありました。こわい先生だとお聞きしていたので(土居さん、再びごめんなさい)、ケース提供者だけでなく、周りのじーじたちも緊張をしていたことを...土居健郎『精神療法の臨床と指導』1967・医学書院-精神療法のすごさを学ぶ

  • 桜満開の青森にやってきました-じーじの旅・セレクト

    2019年ゴールデンウィークのブログです*10連休ということで、ボランティアもお休みなので、じーじも貧乏旅に出ることにしました。目的地は青森の三内丸山遺跡。去年、司馬遼太郎さんの『北のまほろば』(街道をゆく)を読んで、一度行きたいと思い、今回、実現しました。4月27日に新潟を出発、その日は秋田の道の駅で車中泊、そして、28日の午後、三内丸山遺跡に着きました。すごかったです。5000年前の縄文の人たちの遺跡。特に、大きくて高い物見やぐら(?)、すごいのひと言です。5000年前にあんな大きな建物を造るなんて、感動です。現代人にも負けていません。人の営みというものに感動をします。実際に見てみて、本当によかったと思いました。29日はこちらも念願の本州最北端の大間崎。本州から北海道を見てみたいと思い、行ってみたので...桜満開の青森にやってきました-じーじの旅・セレクト

  • 青木省三『思春期こころのいる場所』2016・日本評論社、『ぼくらの中の発達障害』2012・ちくまプリマー新書

    2016年のブログです*青木省三さんの『思春期こころのいる場所』(2016・日本評論社)と『ぼくらの中の発達障害』(2012・ちくまプリマー新書)を読みました。青木さんのお名前は以前から存じ上げていたのですが、なかなか読む機会がありませんでした(青木さん、ごめんなさい)。しかし、先日、このブログでもご紹介をさせていただいた雑誌「こころの科学」の中井久夫さんの特集号で、青木さんの中井さんとの感動的な思い出のお話を読んで、今回、一気に2冊の本を読んでしまいました。いずれの本も、ていねいで細やかな、優しい、心配りのいきとどいた診察風景が印象的です。青木さんの診察は、発達障碍や統合失調症などといった病名にとらわれずに、患者さんの困っていることや悩んでいることにとことん寄り添い、そこに付き合って、少しずつ、少しずつ...青木省三『思春期こころのいる場所』2016・日本評論社、『ぼくらの中の発達障害』2012・ちくまプリマー新書

  • うんどうかいがあるのですね。見にいきたいなあ-じいじからのおてがみ・セレクト

    2022年4月、小6と小3の孫娘たちへのおてがみです*さーちゃん・あーちゃん、メールとしゃしんをどうもありがとう。ふたりともあいかわらずびじんちゃんですね。こころがうつくしい人は、おかおもうつくしいらしいです。よしよし!うんどうかいがあるのですね。見にいきたいなあ。100メートルと80メートルとリレーも走るのですね。すごいなあ!このあいだ、こうえんであーちゃんとかけっこをしたら、あーちゃんがすごくはやくなっていて、びっくりしました。さすがは3年生です。こんどはさーちゃんともはしってみたいですね。5月のれんきゅう、たのしみにしています。にいがたのじいじより(2022.4記)うんどうかいがあるのですね。見にいきたいなあ-じいじからのおてがみ・セレクト

  • D・W・ウィニコット(牛島定信監訳ほか)『人間の本性-ウィニコットの講義録』2004・誠信書房

    2018年のブログです*ウィニコットさんの『人間の本性-ウィニコットの講義録』(牛島定信監訳・館直彦訳、2004・誠信書房)を再読しました。これも、ものすごく久しぶりです。そういえば、ウィニコットさんのことはずいぶん引用するわりに、彼の本をきちんとご紹介するのは初めてかもしれません。いずれ、きちんとご紹介したいと思っているのですが…。さて、本書、イギリスの幼児教育や社会福祉などの大学院生に向けての子どもの発達やこころの発達についての講義。深い内容をていねいに話しています。人間の本性というのはhumanNatureの訳で人間性のことですが、人間の精神的、心理的な成熟について語っていると思います。いろいろなことが語られていて盛りだくさんですが、じーじが今回、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、精神分析につ...D・W・ウィニコット(牛島定信監訳ほか)『人間の本性-ウィニコットの講義録』2004・誠信書房

  • 村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?-紀行文集』2018・文春文庫

    2018年のブログです*村上春樹さんの『ラオスにいったい何があるというんですか?-紀行文集』(2018・文春文庫)を読みました。2015年に単行本が出ていて、2回くらい読んでいたのですが、今回の文庫本には、その後にあった熊本地震の後に書かれた「熊本再訪」が収録されているとのことでしたので、さっそく買ってしまいました。やっぱりおもしろかったです。表題は、ラオスに行く途中に、飛行機の乗り継ぎで寄ったヴェトナムのハノイの人の言葉ですが、村上さんは、その何かを探すために旅をするのだと思う、と書いています。たしかに、団体旅行やパック旅行とは違って、自分の足で歩く旅というのは、そういうものかもしれません。今回の村上さんの旅は、ボストン、ニューヨーク、ギリシャ、イタリア、ラオス、アイスランド、フィンランド、熊本、などな...村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?-紀行文集』2018・文春文庫

  • 田中千穂子『ひきこもりの家族関係』2001・講談社-「ひきこもる」ことは、そんなに悪いことなのか!?

    2018年のブログです*田中千穂子さんの『ひきこもりの家族関係』(2001・講談社+α新書)を再読しました。これもかなり久しぶりの再読です。田中さんは(じーじが勝手に尊敬し、大ファンである)本当に信頼できる力のある臨床家。子どもの遊戯療法などの本をこのブログでも何回かご紹介していますが、その臨床場面のていねいさと細やかさはすばらしいものがあります。その田中さんの「ひきこもり」論。本の帯には、「ひきこもる」ことは、そんなに悪いことなのか!?とあって、なかなか刺激的です。今回もいろいろと示唆を受けたのですが、その一つめは、ひきこもりは「対話する関係」の喪失、という視点。個人の病い、というとらえかたでなく、家族や友人らとの間で、対話をする関係が不十分なために、傷つき、人間関係から撤退している状態、ととらえます。...田中千穂子『ひきこもりの家族関係』2001・講談社-「ひきこもる」ことは、そんなに悪いことなのか!?

  • 鳩沢佐美夫『コタンに死す-鳩沢佐美夫作品集』1973・新人物往来社-アイヌ民族からの叫びをきく

    2020年春のブログです*アイヌ民族の作家である鳩沢佐美夫さんの『コタンに死す-鳩沢佐美夫作品集』(1973・新人物往来社)を再読しました。この本は20年くらい前に帯広の古本屋さんで購入したもので、一度読んだきりだったのですが(鳩沢さん、ごめんなさい)、今回、すごく久しぶりに読みました。1973年、じーじが大学に入った年の本ですが、内容は全く古くありません。それどころか、アイヌの人々への差別問題だけでなく、最近、問題になった知的障碍者の避妊手術事件などがすでに描かれていて、作者の問題意識の深さにびっくりさせられます。短編集ですが、じーじは作者の自伝的な小説である二つの小説が印象に残りました。一つはおばあちゃんとの思い出話を描いたもの。おばあちゃんのアイヌ民族の知恵がたくさん描かれていて、美しい小説です。も...鳩沢佐美夫『コタンに死す-鳩沢佐美夫作品集』1973・新人物往来社-アイヌ民族からの叫びをきく

  • クリストファー・ボラス(館直彦ほか監訳)『精神分析の経験-事物のミステリー』2004・岩崎学術出版社

    2018年のブログです*アメリカの精神分析家であるC・ボラスさんの『精神分析の経験-事物のミステリー』(館直彦他監訳・2004・岩崎学術出版社)を再読しました。これもかなり久しぶりです。ボラスさんの本については、何冊かはこのブログにも感想を書いていますので、ご承知のかたもいらっしゃるかもしれません。アメリカ人ですが、イギリス独立派の精神分析を学んだ人で、ウィニコットさんやビオンさん、クラインさんなどの名前がたくさん出てきます。本書はその書名のとおり、精神分析という経験をていねいに描写して、その中で起きていることを学問的に考察しています。精神分析の経験がない人でも精神分析というできごとを想像できるような細やかな本だと思います。じーじも精神分析そのものの経験はなく、精神分析的心理療法の経験から想像をするしかな...クリストファー・ボラス(館直彦ほか監訳)『精神分析の経験-事物のミステリー』2004・岩崎学術出版社

  • あーちゃん、さくぶんがじょうずになりましたね!-じいじからのおてがみ・セレクト

    2022年4月、小6と小3の孫娘へのお手紙です*さーちゃん・あーちゃん、げんきですか。じいじはげんきです。ばあばはすごくげんきです。あーちゃんのアルバム、まいにちみています。あーちゃん、さくぶんがじょうずになりましたね。マラソンたいかいのさくぶん、とてもいいですね。あーちゃんが、はしりながらおもったことやかんがえたことが、すなおにかかれていて、とてもすてきです。よんでいるじいじまでげんきになります。1ねんせいのときに、ママとえにっきをがんばったおかげかな?こんどまた、あたらしいさくぶんをかいたら、よませてください。たのしみにしています。そして、さーちゃんのさくぶんもぜひよんでみたいです。にいがたのじいじより(2022.4記)あーちゃん、さくぶんがじょうずになりましたね!-じいじからのおてがみ・セレクト

  • 松木邦裕・藤山直樹『愛と死-生きていることの精神分析』2016・創元社-「生きること」と「生きていないこと」

    2018年のブログです*松木邦裕さんと藤山直樹の『愛と死-生きていることの精神分析』(2016・創元社)を再読しました。じーじとしてはめずらしく(?)、2年目での再読です。それでも結構、忘れている部分が多くて、びっくりです。本書は創元社が主催する「精神分析スタディDAY」というセミナーの第7回の記録です。このセミナーはじーじも以前、一回だけ参加したことがありますが、深い内容の講義がなされ、それをもとに出版されている本もレベルが高く、参考になります。今回のテーマは、愛と死。なんだか小説の題のようですが、精神分析はなんだかんだと難しい議論がなされますが、しかし、やはりこの二つのテーマが重要だということだと思います。愛、というと、じーじなどはなんだか恥ずかしくなりますが、精神分析では、生きることは愛することだ、...松木邦裕・藤山直樹『愛と死-生きていることの精神分析』2016・創元社-「生きること」と「生きていないこと」

  • 坂本直行『山・原野・牧場-ある牧場の生活』1975・茗溪堂-直行さんの素敵な画文集です

    2020年3月のブログです*先日、坂本直行さんの息子さんの坂本嵩さんの『開拓一家と動物たち』を読みましたので、こんどは直行さんご自身の『山・原野・牧場-ある牧場の生活』(1975・茗溪堂)を久しぶりに読みました。直行さんは何度もご紹介していますが、六花亭の包装紙の花の絵を描かれたかた。この本にもいくつかのきれいな草花の絵が描かれています。もっとも、直行さんが有名なのは花の絵だけではなく、山の絵もすばらしく、日高の山や利尻、大雪など数多くの山の絵を描かれていて、じーじの部屋にも直行さんの山の絵や花の絵が孫娘たちの絵と並んで(直行さん、ごめんなさい)、たくさん飾ってあります。本書は昭和初期に北海道の南十勝で開拓に従事した独身時代の直行さんと仲間の生活が描かれていますが、希望に燃えた若者の頑張りが読んでいて楽し...坂本直行『山・原野・牧場-ある牧場の生活』1975・茗溪堂-直行さんの素敵な画文集です

  • 松木邦裕・藤山直樹『精神分析の本質と方法』2015・創元社-精神分析に深く学ぶ

    2018年のブログです*松木邦裕さんと藤山直樹さんの『精神分析の本質と方法』(2015・創元社)を再読しました。2015年の本ですから、のんびり屋のじーじとしては、めずらしく早めの(と、言っても3年ぶりですが…)再読です。松木さんと藤山さんのそれぞれの講義と討論からなっていますが、なかなか充実した内容で、奥が深いですし、やはり難しいです。特にじーじは、藤山さんの講義に感心させられましたし、刺激を受けましたが、自分の経験が少ないために、どれくらい理解ができているかとなると、かなり心もとない感じがします。それでも、勉強になったことを、一つ、二つ。一つめは、今、フロイトさんを読む意義。藤山さんは、精神分析を学ぶには、フロイトさんを読んで、フロイトさんと語り合うことが大切だ、といいます。フロイトさんの学説だけでな...松木邦裕・藤山直樹『精神分析の本質と方法』2015・創元社-精神分析に深く学ぶ

  • 坂本嵩『開拓一家と動物たち-北の大地に素手で立ち向かった開拓家族の生活誌』1996・朝文社-直行さん一家の開拓話

    2020年3月のブログです*坂本嵩さんの『開拓一家と動物たち-北の大地に素手で立ち向かった開拓家族の生活誌』(1996・朝文社)を再読しました。坂本嵩さんは六花亭の包装紙の草花の絵で有名な坂本直行さんの二男さん。その6人兄妹の二男坊の目から見た直行さん一家の北海道十勝での開拓生活がとても魅力的に描かれます。魅力的といっても開拓地のこと、その生活はいろいろと我慢と苦労の多いものですが、一方で、大自然の中での素敵な生活でもあります。馬や牛、羊、豚、鶏などとの生活、じゃがいもやとうもろこし、ビートなどの畑作、そして、熊の恐怖。今から70年から80年前の十勝です。当然、電気もない生活。しかし、一家は厳しい自然の中で協力をして、開拓の生活を進めます。そして、豊かな自然の中で子どもたちは伸び伸びと育ちます。嵩少年は料...坂本嵩『開拓一家と動物たち-北の大地に素手で立ち向かった開拓家族の生活誌』1996・朝文社-直行さん一家の開拓話

  • クリストファー・ボラス(館直彦監訳)『太陽が破裂するとき-統合失調症の謎』2017・創元社

    2017年のブログです*クリストファー・ボラスさんの『太陽が破裂するとき-統合失調症の謎』(舘直彦監訳・2017・創元社)を読みました。楽しみにしていた本で、すごくわくわくしながら読みました。ボラスさんはアメリカの精神分析家で、じーじもこれまでに何冊かの本を読んでいます。『精神分析という経験』(2004・岩崎学術出版社)という本はとてもいい本ですし、『終わりのない質問』(2011・誠信書房)もすごい本です(いずれもブログに感想文を書いていますので、よろしかったら読んでみてください)。今回の本は、統合失調症の患者さんへの精神分析的アプローチについて、多くの事例をもとにていねいに論じている本で、表題の、太陽が破裂するとき、はある患者さんの言葉です。内容は、事例が中心ですので読みやすいのですが、中味を理解するの...クリストファー・ボラス(館直彦監訳)『太陽が破裂するとき-統合失調症の謎』2017・創元社

  • 朝ドラ「虎に翼」を観て-じーじのじいじ日記(2024.4.22)

    2024年4月22日の日記です*朝ドラ「虎に翼」を観る。じーじは朝ドラはあまり観ないほうだが、今回は裁判所が舞台なので、観ている。主人公の寅子さんが元気いっぱいでいい。寅子さんのモデルは三淵嘉子さん。女性初の弁護士で、後に裁判官になり、さらには、女性初の裁判所長になったという方だ。じつは、じーじが50年くらい前に浦和の家庭裁判所(今のさいたま家裁ですね)に採用になった時の所長さんが三淵さん。びっくり、ぽん!だ(古いなあ)。三淵さんから採用辞令をいただいたはずなのだが、全然記憶がない(三淵さん、ごめんなさい)。じーじが緊張していて、記憶がないのかもしれない(じーじにもそういう時代があったんだなあー)。当時は、そんなにすごい経歴の方とはまったく知らずに、おばさんの裁判官が所長さんなんだ、と思っていた(三淵さん...朝ドラ「虎に翼」を観て-じーじのじいじ日記(2024.4.22)

  • 田中千穂子「プレイセラピーとことば-つながるチャンネルをさがすこと-」2016・『遊戯療法学研究』15巻1号

    2016年のブログです*遊戯療法学会の学会誌である『遊戯療法学研究』の最新号が届きましたので、パラパラとめくっていたところ、新潟でいっしょに勉強をさせてもらっている研究会の先生やメンバーさんのお名前が二、三あり、うれしくなりました。そして、さらには、じーじがプレイセラピーの世界で一番信頼をし、尊敬をしている田中千穂子さんの文章がありました。遊戯療法事始め、というリレーエッセイで、田中さんは「プレイセラピーとことば-つながるチャンネルをさがすこと-」という文章を書かれています。とっても、いい文章です。論文なのですが、読んでいて、ふと涙が出てきそうになりました。田中さんの学生時代、サークル活動で公園で子どもたちと遊ぶ活動の時に、みんなと遊べないでいる子どもたちと少しずつつきあっていけるようになる経験が綴られま...田中千穂子「プレイセラピーとことば-つながるチャンネルをさがすこと-」2016・『遊戯療法学研究』15巻1号

  • 辻仁成『函館物語』1998・集英社文庫-辻仁成さんの青春時代の函館と今の函館を歩く

    2021年2月のブログです*辻仁成さんの『函館物語』(1998・集英社文庫)をすごく久しぶりに読みました。20年ぶりくらいでしょうか。本棚の上のほうに重ねてあったのですが、偶然、目にとまりました。おもしろかったです。2日間で一気に読んでしまいました。辻さんは青春時代の4年間を函館で過ごされたそうですが、その思い出の地を散策する旅行記です。じつは、じーじは函館の生まれ。母の実家が函館にあって、そこで生まれました。1年ほどで旭川に引っ越したので、育った記憶はないのですが、時々、函館のじーじとばーばのところに遊びに行ったので、函館の記憶は少しだけあります。親戚がお寿司屋さんをやっていたので、遊びに行くと、お寿司をお腹いっぱい食べさせてもらった楽しい記憶があります。さて、本書、辻さんの青春時代の函館と今の(といっ...辻仁成『函館物語』1998・集英社文庫-辻仁成さんの青春時代の函館と今の函館を歩く

  • 河合俊雄・田中康裕編『大人の発達障害の見立てと心理療法』2013・創元社-発達障碍を考える

    2018年のブログです*河合俊雄さんと田中康裕さんが編集をした『大人の発達障害の見立てと心理療法』(2013・創元社)を読みました。なかなか難しい本でしたが、かなり刺激的な本で、勉強になりました。お二人ともユング派の分析家ですが、ユングにこだわらずに、精神分析や心理療法全般にも目配りがなされており、バランスのいい本です。発達障害、と聞くと、空気を読めない、とか、自己流とか、マイペース、とかいったイメージが湧いてきますが、河合さんは、それらよりも、主体のなさや主体の未成立がその本質ではないか、という仮説を持っていらっしゃいます。主体が未成立だからこそ、状況に関係なく、刺激に流されてしまい、状況と関われないのではないか、とおっしゃっているように思います(間違っていないと思うのですが…)。したがって、主体を確立...河合俊雄・田中康裕編『大人の発達障害の見立てと心理療法』2013・創元社-発達障碍を考える

  • 宮下奈都『羊と鋼の森』2018・文春文庫-調律師の青年のこころと魂の成長を描く

    2018年2月のブログです*宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(2018・文春文庫)を読みました。2016年の本屋大賞受賞作で、読むのを楽しみにしていましたが、ようやく文庫本で出ましたので、さっそく読みました。期待にたがわず、とてもいい小説です。17歳の秋、たまたますばらしい調律師と出会い、その感動のあまり、自分もそんな存在になりたいと調律師になった青年のこころと魂の成長をていねいに描いた小説です。あこがれの調律師だけでなく、職場の先輩調律師や女性事務員さんも、それぞれがひとくせもふたくせもありながら、主人公の純粋さと真剣に向き合ってくれます。主人公は、ひとことでいうと、ねくらで奥手な青年。北海道の山奥で育った田舎者の青年で、不安や焦りや少しの希望で胸がはち切れそうな状態。そんなナイーブな青年が少しずつ周囲に助...宮下奈都『羊と鋼の森』2018・文春文庫-調律師の青年のこころと魂の成長を描く

  • 田中康裕『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』2017・創元社-個別から普遍へ

    2018年のブログです*田中康裕さんの『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』(2017・創元社)を読みました。田中さんはユング派の分析家ですが、じっくりと読むのは初めて。かなり刺激的でいい本でした。田中さんは、心理療法はその対象によって常に改定される、といいます。神経症が対象だったフロイトさんの時代は精神分析、その後、精神分析は統合失調症や境界例にも適応されて発展しますが、解離性障害ではなかなか難しくなった、と指摘されます。それは、解離性障害では、それまで当然とされた「人格」の存在があやうくなった(?)ため、といいます(雑な要約で、間違っていなければいいのですが…)。そのために、それまでの、意識と無意識からなる「人格」を当然のものとしていたそれまでの心理療法では手に負えなくなったのではないか、と考...田中康裕『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』2017・創元社-個別から普遍へ

  • 村上春樹『街とその不確かな壁』2023・新潮社-喪失・疎外・魂

    2023年春のブログです*村上春樹さんの『街とその不確かな壁』(2023・新潮社)を読む。重厚な物語だと思う。まだ一回読んだだけなので、今後、印象は変わるかもしれないが、一回読んだところで連想したことは、喪失、疎外、魂、という言葉。激しい喪失が何度も描かれる。読んでいても胸が痛くなるようないくつかの喪失。そして、喪失による哀しみ。人生は喪失と哀しみの繰り返しなんだなあ、と思う。次に、疎外。現実社会でも、壁の「街」でも、人々は疎外されている。疎外されて、生き生きと生きられず、なかば死んだように生きる。何かを恐れるように、生きる。個性は潰され、人々は平板な人生を生きる。そこに魂はない。一方、信ずることの大切さが述べられる。何を信ずるかにもよるのだろうが、信ずることと魂の復権は関係するのかもしれない。重厚で重層...村上春樹『街とその不確かな壁』2023・新潮社-喪失・疎外・魂

  • 西園昌久『精神療法の現場から-実践力動的精神療法-西園精神療法ゼミナール3』2011・中山書店

    2019年春のブログです*西園昌久さんの『精神療法の現場から-実践力動的精神療法-西園精神療法ゼミナール3』(2011・中山書店)を読みました。おもしろかったです。先日、同じ西園さんの『精神療法入門-西園精神療法ゼミナール1』(2010、中山書店)を久しぶりに再読して、勉強になるところが多かったので、同じシリーズの本書を買って読みました。この本も比較的小さな本なのですが、症例がいっぱいで、勉強になります。西園さんのていねいで、親切で、的を得た精神療法の実際が読めて、すごいです。例によって、特に印象に残ったことを一つ、二つ。まずは、このところずっと書いているような気がしますが、今、ここでの体験によって、過去の記憶が書き換えられるということ。治療者と患者さんの今、ここでの関係で、過去の記憶が書き換えられる、と...西園昌久『精神療法の現場から-実践力動的精神療法-西園精神療法ゼミナール3』2011・中山書店

  • 椎名誠『おなかがすいた ハラペコだ。』(2019・集英社文庫)-シーナさん・たき火・ハラペコ

    2019年春のブログです*シーナさんの椎名誠『おなかがすいたハラペコだ。』(2019・集英社文庫)を読む。シーナさんの久しぶりの文庫本新刊、すごくおもしろい。本書は雑誌「女性のひろば」に連載をされたエッセイで、食についての文章が並ぶ。世界中を旅行して、いろいろな食べ物を食べてきているシーナさんだけに、その文章はすごい。シーナさんは辺境の旅が多いので、そこでの食べ物も決して高価なものではないが、新鮮、素朴で、うなずけるものがたくさん出てくる。一方で、子どもたちが独立し、愛妻との二人の食事や、その愛妻も旅に出て、一人っきりでの食事も描かれる。ここではシーナさんはシーナじいじいになってしまうが(じーじと同じだ)、これはこれで楽しそうだ。総じて、シーナさんの場合、高価なものに背中を向け、身近なものの良さを再発見し...椎名誠『おなかがすいたハラペコだ。』(2019・集英社文庫)-シーナさん・たき火・ハラペコ

  • チューリップを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもカラフル明るくになります

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...チューリップを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもカラフル明るくになります

  • 西園昌久『精神療法入門-西園精神療法ゼミナール1』2010・中山書店-確かな基本と多くの症例に学ぶ

    2019年春のブログです*先日、西園さんの『精神分析技法の要諦』(1999・金剛出版)を再読して、たいへん勉強になったので、こんどは同じ西園さんの『精神療法入門-西園精神療法ゼミナール1』(2010・中山書店)を再読しました。この本も久しぶりの再読になってしまいましたが、「入門」とはいうものの、内容は深く、しかも、症例が豊富で、こちらもすごく勉強になりました。西園さんのすごさに改めて感服です。今回、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、記憶の書き換え。治療者との良い関係が、患者さんの過去の記憶をたぐり寄せて、過去の記憶が書き換えられたり、修正をされるということ。家庭裁判所の面接でも経験があるのですが、こういう不思議なことが起こります。いい面接ができると、そのいい関係が過去の記憶を書き換えるということで、...西園昌久『精神療法入門-西園精神療法ゼミナール1』2010・中山書店-確かな基本と多くの症例に学ぶ

  • なつ・じーちゃん・北海道弁ーじーじのじいじ日記・セレクト

    2019年4月の日記です*またまた、「なつぞら」を観てしまう。不覚にも(?)、面白い。フフフ、と小声で笑いながら観てしまう。勧善懲悪でないところがいい。矛盾と葛藤と、その他もろもろを、そのまま描いているところがいい。その底に、少しのユーモアと優しさが透けて見えて、なんだか心地よい。じーじのふるさと北海道のお話、というだけでなくて、いいと思う。十勝の自然を観ていると、気持ちが雄大になる。北海道弁を聞いていると、なんだかなつかしくなる。やっぱりふるさとはいい。言っていることが矛盾しているか?しかし、矛盾も大切だ。矛盾と葛藤の中でこそ人は大きくなる、と誰かが言っていた(誰だ?)。じーじもたまには、じーじ、ではなく、じーちゃん、と呼ばれてみたい!じーじの孫娘たちは、ほんのたまに、じーちゃん、と呼んでくれることもあ...なつ・じーちゃん・北海道弁ーじーじのじいじ日記・セレクト

  • 西園昌久『精神分析技法の要諦』1999・金剛出版-精神分析の基本と実践に学ぶ

    2019年春のブログです*西園昌久さんの『精神分析技法の要諦』(1999・金剛出版)を再読しました。これもすごく、というか、ものすごく久しぶりの再読です。真面目そうな、堅実そうな印象の本でしたので、再読がつい遅くなってしまいました(西園さん、ごめんなさい)。西園さんには思い出があり、今から20年以上前、新潟で家族療法学会があった時に、初めて講演をお聞きして、すごいな、と感心した記憶があります。それまで学会などには背を向けていたのですが、本当にすごい人がいるんだな、と思い、その後、いくつかの学会に顔を出すきっかけをつくってくださいました(西園さん、ありがとうございます)。それから何度かお話をお聞きしたり、本を読ませていただいて、勉強をさせてもらっていますが、その堅実な理論と豊富な症例には本当に感心させられま...西園昌久『精神分析技法の要諦』1999・金剛出版-精神分析の基本と実践に学ぶ

  • なつ・なつぞら・十勝-じーじのじいじ日記・セレクト

    2019年4月の日記です*NHKの朝ドラ「なつぞら」を観てしまう(朝ドラはあまり観ないほうだが、今回はやっぱりじーじのふるさと北海道が舞台なので、つい観てしまう)。いつの間にか、急に登場人物が大きくなっていて、驚く。月日の経つのは早い。じーじも年を取るわけだ(?)。小さななつも可愛かったが、大きくなったなつも悪くはない(少々美人過ぎるのがなんだが…。美人恐怖症のじーじにはやや辛い?)。しかし、それにしても、十勝の自然はいい。それだけ、気候は厳しいわけだが…。今日は、大きくなったなつがじーちゃんに勧められて馬で登校する。まるで西部劇のようだ。そういえば、十勝を訪れると、なんとなく外国の雰囲気が漂っているのは気のせいでもないのかもしれない。じゃがいも、牛乳、バター、どれも素朴だが、とてもおいしい。コメ作りが主...なつ・なつぞら・十勝-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 松木邦裕ほか『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』2014・岩崎学術出版社

    2020年3月のブログです*松木邦裕・瀧井正人・鈴木智美『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』(2014・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。じーじにしては早めの再読、と思ったのですが、もう6年ぶりになるのですね。いかん、いかん(松木さん、ごめんなさい)。付箋がいっぱいだったので、少し整理をしながら読んだら、だいぶすっきりしました(?)。もっとも、本当に理解できているのかな?やや心配です。鼎談相手の瀧井さんは心療内科医、鈴木さんは精神分析医と3人それぞれの立場で治療に従事しておられますが、3人とも、摂食障害は食の病いというより、こころの病い、という理解で一致しているようです。そうなのです。摂食障害は食の病いとして表現されますが、こころを深く理解していくと、生きていることの不安を見つめられ...松木邦裕ほか『摂食障害との出会いと挑戦-アンチマニュアル的鼎談』2014・岩崎学術出版社

  • 東直己『鈴蘭』2010・角川春樹事務所-私立探偵・畝原シリーズ第8作、生きる哀しみと喜びを描く

    2023年春のブログです*東直己さんの『鈴蘭』(2010・角川春樹事務所)を読む。私立探偵・畝原シリーズの第8作。生きる哀しみと喜びを描いている、と思う。いい小説だ。このところ、樋口有介さんと東直己さんの小説にはまっていて、ずっと読み続ける毎日。幸せな日々だ。主人公の畝原は、第4作の『熾火』で関わりのできたみなしごを引き取り、養女とし、さらに、長年、娘の学童保育を通じて付き合いのあった女性とその連れ子と一緒に生活をするようになる。娘と再婚した女性の連れ子の女の子と養女との3人の女の子の父親となって、なかなかにぎやかだ。第5作から第8作まで、畝原が私立探偵として関わる事件とともに、女の子たちの成長ぶりが読んでいて楽しいが、特に養女となったみなしごの成長ぶりにとても癒される。その子は、保護された時、虐待の跡が...東直己『鈴蘭』2010・角川春樹事務所-私立探偵・畝原シリーズ第8作、生きる哀しみと喜びを描く

  • 子育て支援金は敵基地攻撃用ミサイルのトマホーク代を充てませんか?-じーじのじいじ日記・セレクト

    2024年2月の日記です*ニュースを見ていると、子育て支援金で当面、月500円程度を保険料に上乗せして徴収することになるという。計算によれば、月1,000円程度になる国民もいるらしく、えらい「増税」である(政府は「増税」でないというが、言葉のペテンにすぎない)。じーじのような年金生活者は、税金プラス介護保険料だけでもアップアップなのに、どういうことかと思う。子育て支援にお金を使うことには反対しないが、あくまでも税金の範囲内で行なうべきだろう。税金といえば、防衛費の増額が著しい。特にびっくりしたのが、敵基地攻撃能力の議論。議論がきちんとなされないままに、攻撃用ミサイルのトマホークの購入が決まってしまったらしい。憲法違反の可能性もあるのに、そんなに拙速に決めていいのだろうか。1発数億円、400発を注文するらし...子育て支援金は敵基地攻撃用ミサイルのトマホーク代を充てませんか?-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 河合俊雄編著『ユング派心理療法』2013・ミネルヴァ書房-ユング派の臨床に学ぶ

    2018年のブログです*河合俊雄さん編著の『ユング派心理療法』(2013・ミネルヴァ書房)を再読しました。たぶん2回目だと思うのですが(?)、例によってあまり自信はありません。以前読んだ時には当時のじーじの力不足のせいで、あまり理解できたとはいえなかったように思うのですが(河合さん、ごめんなさい)、今回は少しだけ以前より理解できた箇所もあったように思います。解説編と事例編の二部構成で、解説編では、心理療法における第三のもの、という論点に興味をひかれました。精神分析のウィニコットさんのいう中間領域やオグデンさんや藤山直樹さんのいう第三の主体、あるいは、クライン派の考えなどをめぐって、ユング派から見たイメージの考えなども含めて、考察がなされます。イメージから物語、象徴との関連など、考察は広がって、こちらの想像...河合俊雄編著『ユング派心理療法』2013・ミネルヴァ書房-ユング派の臨床に学ぶ

  • 村上春樹 『国境の南、太陽の西』1995・講談社文庫-喪失と再生の物語を読む

    2019年3月のブログです*村上春樹『国境の南、太陽の西』(1995・講談社文庫)を再読しました。かなりひさしぶりです。この本も本棚の横の標高約120センチくらいの文庫本の山の中の標高10センチくらいのところに埋もれていて、読みたいなと思いつつも、なかなか読めずにいたのですが、今回、清水の舞台から飛び降りる覚悟で(?)、本の山を崩して、救出し、読むことができました。おもしろかったです。こんなに面白い本をしばらく読まずにいて、村上さん、ごめんなさい。しかし、少し、つらい本でもありました。あらすじは書きませんが、喪失と再生、がテーマでしょうか。いろんな読み方があるでしょうが、今のじーじには、そのように読めました。もちろん、何日かすると、別の感じ方ができるのかもしれません。それが村上さんの奥深さでしょうし、おも...村上春樹『国境の南、太陽の西』1995・講談社文庫-喪失と再生の物語を読む

  • 河合隼雄編『ユング派の心理療法』1998・日本評論社-ユング派の臨床に学ぶ

    2018年のブログです*河合隼雄さん編集の『ユング派の心理療法』(1998・日本評論社)を再読しました。このところ、なぜかユング派が気になっていて、この本も本棚の隅に見つけて、読みました。ちょうど20年前の本で、じーじも2~3回読んでいるはずで(?)、付箋も2種類の付箋があちこちに貼られ、アンダーラインも引かれているのですが、例によって、記憶はあいまいで、またまた新鮮な(?)気持ちで読んでしまいました。面白かったです。古い本なので、今は大家になった人達の中堅時代の論文が多いですが、みなさん、当時は日本に13人しかいなかったユング派の資格を取った人たちで、当時の熱意みたいなものが伝わってきます。もちろん、中身もそれぞれ多彩で、深く、今読んでも勉強になりますし、いろいろと刺激されるところが多いです。今回、印象...河合隼雄編『ユング派の心理療法』1998・日本評論社-ユング派の臨床に学ぶ

  • 村上春樹『海辺のカフカ』(上・下)2011・新潮文庫-生きることの不思議さとユーモアの大切さを味わう本物の物語

    2017年のブログです村上さんの新作『騎士団長殺し』を読んでいたら、『海辺のカフカ』を思い出しました。物語の底を流れるユーモアの質にじーじは同じような印象を受けました。特に、ホシノくんをめぐるユーモアと同質のように思える前向きなユーモアは絶品だと思います。どんなに苦しい状況でもホシノくんのようなユーモアがあれば、なんとかなれそうな気がします。『海辺のカフカ』については2012年にブログを書いていて、とても十分な文章とはいえませんが、しかし、全くの的外れでもないようなので、再録してみます。(2017.4記)*2012年のブログです村上春樹さんの『海辺のカフカ』を再読しました。単行本が出てすぐ、ついこないだに読んだばかりのような気がしていたのですが(この間、いろいろな村上春樹論を読んでいたせいもあるかもしれま...村上春樹『海辺のカフカ』(上・下)2011・新潮文庫-生きることの不思議さとユーモアの大切さを味わう本物の物語

  • 田中千穂子『障碍の児のこころ-関係性のなかでの育ち』2007・ユビキタスタジオ-ユーモアのちからに学ぶ

    たぶん2017年のブログです*田中千穂子さんの『障碍(しょうがい)の児(こ)のこころ-関係性のなかでの育ち』(2007・ユビキタスタジオ)を再読しました。この本もずいぶんいい本なのにかなりのひさしぶりで、自分の勉強不足を反省させられます。この中では、知的障碍で何らかのご事情から困難に陥ってしまった人たちへの田中さんの心理相談などの援助の様子が描かれています。かなりの事例が描かれ、その困難さを障碍者の人と一緒に少しずつ解決をしていく、あるいは、馴染んでいく田中さんの粘りとていねいなアプローチは感動的です。また、何かとたいへんなご家族にもていねいにより添う田中さんの姿もすばらしいです。そして、それらの援助活動の底には、やはりユーモアの力の大きさを感じさせられる場面が数多く描かれています。たくさん学ぶべきところ...田中千穂子『障碍の児のこころ-関係性のなかでの育ち』2007・ユビキタスタジオ-ユーモアのちからに学ぶ

  • 村上春樹 ・川上未映子『みみずくは黄昏に飛びたつ』2017・新潮社-ただのインタヴューでは「あらない」です

    2017年春のブログです*村上春樹さんに作家の川上未映子さんがインタヴューをした『みみずくは黄昏に飛びたつ』(2017・新潮社)を読みました。すごく面白かったです。騎士団長ふうにいうと、ただのインタヴューでは「あらない」、です。とても深いインタヴューです。もともと村上さんの大フアンである川上さんが、周到な用意をしてのインタヴューで、しかし、その鋭い(?)質問に村上さんは飄々と答えています。時には、村上さんも熱く語る場面がありますが、やはり基本は真面目さに裏づけられたユーモアとゆとり、という印象です。そこが村上さんの真骨頂なのでしょう。個人的には、ここのところ、『騎士団長殺し』に出てきた、スバル・フォレスターのタイヤケース、が、そんなのあったっけ?と、少しだけ心配だったのです(村上さんのことだから間違いはな...村上春樹・川上未映子『みみずくは黄昏に飛びたつ』2017・新潮社-ただのインタヴューでは「あらない」です

  • 成田善弘『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』2003・金剛出版

    たぶん2017年のブログです*成田善弘さんの『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』(2003・金剛出版)を久しぶりに再読しました。この本も、とてもいい本なのに、じーじの怠慢ゆえに、かなり久しぶりになってしまいました(成田さん、ごめんなさい)。四十台後半、じーじが家族療法学会や思春期青年期精神医学会、さらには、精神分析学会などで学びはじめた頃に読み、以後、参考にさせていただいてきている基本的な本です。内容はとても深く、今でも学ぶところがいっぱいありますし、今回も勉強になったところがたくさんありました。いい本というのは、こちらの経験が深まるにつれて、学べるところも多くある本のようです。懐かしかったのは、成田さんが編者のお一人だった『転移/逆転移』(1997・人文書院)と『共感と解釈』(1999・...成田善弘『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』2003・金剛出版

  • 2017年4月の「朝日新聞」村上春樹さんのインタヴュー「『騎士団長殺し』の執筆語る」

    2017年春のブログです*今朝の「朝日新聞」に載った村上春樹さんのインタヴュー「『騎士団長殺し』の執筆語る」を読みました。あまり自分の小説については語らない村上さんが、めずらしく少しだけ語っておられます(とはいっても、一面の半分程度のあいかわらず控えめな発言ですが…。小説について言いたいことは、できるだけ小説でしか表現しない、と日ごろからおっしゃっている村上さんらしいです)。印象的だったのは、やはり、子どもが誕生した結末について。何かを引き継いでほしいという気持ちがある、それが何なのか、自分でもよくわからないけれど、と正直に述べられています。また、びっくりしたのが、この小説を執筆中だった一昨年の秋に、東北の沿岸を一人で車で走ったということ(そういえば、そういう光景が小説の重要な部分として出てきます)。じー...2017年4月の「朝日新聞」村上春樹さんのインタヴュー「『騎士団長殺し』の執筆語る」

  • 土居健郎『新訂・方法としての面接-臨床家のために』1992・医学書院-基本書をていねいに熟読する

    たぶん2017年のブログですこの時に初めて詩人キーツさんの重要さに気づいたようです(2019.1記)*土居健郎さんの有名な『新訂・方法としての面接-臨床家のために』(1992・医学書院)を再読しました。もう何回目になるでしょうか。本は付箋とアンダーラインで大変な状態です。初版本はじーじが家庭裁判所に就職をした翌年の1978年に購入していますから、かれこれ40年近いおつきあいです(うちの奥さんより長いおつきあいです)。新訂本も25年のおつきあいで、じーじは両方の本に大変お世話になっています。今回は、付箋とアンダーラインの中でも、また何か新しい発見があるのではないかと思って読んだのですが、やはりありました。自慢には全くならないのですが、これまでノーチェックの箇所がやはりいくつかありました。ひとつは、有名な、わ...土居健郎『新訂・方法としての面接-臨床家のために』1992・医学書院-基本書をていねいに熟読する

  • 村上春樹 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その2・驚きと穏やかさと

    2017年春のブログです*少し迷いましたが、村上さんの『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)の感想文の第2報を書いてみます。まだまだ読み終えていないかたも多いと思いますので、あらすじは書きません。しかし、結末を少しだけ書きます(村上さん、ごめんなさい。でも、売り上げはひょっとすると上がるかもしれません)。結末はなんと(!)、主人公が生まれてきた小さな娘の保育園の送り迎えをする、というものです(!)。驚き(!)の、びっくりでしょう(!)。村上さんの小説の主人公に子どもが生まれるのは、じーじの記憶ではたぶん初めてではないでしょうか(?)。1Q84では、主人公が妊娠をしたところで終わりましたが、今回は子どもが生まれました。もっとも、本当に自分の子どもかどうかは科学的にはあいまいなのですが、ここで...村上春樹『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その2・驚きと穏やかさと

  • 藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

    2016年のブログです*藤山直樹さんと伊藤絵美さんの『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』(2016・岩崎学術出版社)を読みました。とてもおもしろかったです。そして、とても勉強になりました。この中で藤山さんが精神分析のエッセンスを講義されているのですが、おそらくじーじが今まで読んだ精神分析の説明の中で、一番わかりやすくて、かつ、一番深いものではないかと思います。もちろん、それは藤山さんなりの「精神分析」なのですが、だからこそ、藤山さんファンのじーじには宝物のような講義でした。ここで、じーじがうれしかったのは、治療者がたとえ失敗をしても厳然と「そこにいること」の大切さが述べられていて、このところ、このことを考え続けているじーじにはとても勉強になりました。そして、失敗は必須のものではない...藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

  • 安保法を見据えてのベトナム寄港と踏切の安全問題のニュースを見て考える-じーじのひとりごと+追記です

    2016年のブログです(ずいぶん前の文章ですが、その後も政府のやっていることは戦争への再軍備化だと思われるので、再録します)*先日、海上自衛隊の護衛艦がベトナムの港に寄港をしているニュースを見ました。自衛隊の艦船がベトナムに(?)、何のためなのか、よくわかりませんでした。安保法のせいなのでしょうか。当然、中国は抗議の声明を出していました。それらを見て、じーじは、日本を守るために、自衛隊がベトナムにまで行く必要があるのだろうか、と単純に思いました。そして、ひょっとすると、太平洋戦争の前にも、これと同じような光景がアジアの各地であったのかな、と想像をしました。ベトナムにいる日本人を守るためにという理由で、また、中国や東南アジアの国々にいる日本人を守るためにという理由で、自衛隊があちこちに派遣されるのでしょうか...安保法を見据えてのベトナム寄港と踏切の安全問題のニュースを見て考える-じーじのひとりごと+追記です

  • 村上春樹 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その1・哀しみとユーモアと

    2017年春のブログです*村上さんの『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)を読みました。これからも読後感や印象がどんどん変化すると予想するのですが、第1報をとりあえず書いてみます。まずは、とてもおもしろかったです。じーじのこころの準備不足のせいか、エンジンのかかるのが少し遅かったのですが、途中から物語に引き込まれて、土日月の3日間で読んでしまいました(もったいない!)。テーマは重層的で深いです。あまり詳しくは書きませんが、善と悪、戦争、人殺し、死者と対象喪失、こころから哀しむこと、信ずること、その他もろもろ。偶然でしょうが、対象喪失とこころから哀しむことのテーマが出てきました(と、いっても、じーじがそう感じているだけで、普遍的なものとはいえないのかもしれませんが…、最近、そのようなことを考...村上春樹『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その1・哀しみとユーモアと

  • 心理臨床とイメージ・小野けい子先生・山中康裕さん-じーじのカウンセリング日記

    2020年春の日記です*BS放送大学の、心理臨床とイメージ、を見る。いつも途中から見ていたので、今回は新学期ということもあり、先週の第1回から見ている。今日は第2回、表現療法ということで、なんとゲストが山中康裕さん。小野先生(大学院在学中はたいへんお世話になりました)のインタヴューがうまいこともあって、山中さんのいろいろな思い出話が展開される。山中さんの若い頃のエネルギッシュな様子がうかがえて、とても面白い。中井久夫さんや河合隼雄さんのお話も出て、勉強になる。時に、山中さんが逆に小野先生にインタビューをされて、小野先生もいつになくリラックスをされて、貴重なお話をされる。とても勉強になる番組だなと思う。下手な学会や研究会に出るより、ずっと勉強になる。みなさん、BS放送大学の、心理臨床とイメージ、はお勧めです...心理臨床とイメージ・小野けい子先生・山中康裕さん-じーじのカウンセリング日記

  • 東直己『悲鳴』2001・角川春樹事務所-東直己さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作です

    2023年春のブログです*東直己さんの小説『悲鳴』(2001・角川春樹事務所)を久しぶりに読む。このところ、樋口有介さんと東直己さんの小説にはまってしまい、ずっと読み続けている。この小説は、東さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作。ご存じのかたもいらっしゃるかもしれないが、東さんにはススキノ探偵シリーズがあって、映画化もされて、それなりに知られているが、こちらの私立探偵・畝原シリーズも負けないくらいに面白い。舞台はやはり札幌。地元の元大手新聞の記者だったが、事件関係者の陰謀で誤認逮捕をされ、新聞社を解雇された中年男性が主人公。奥さんに逃げられ、小学生の女の子を育てながら、私立探偵をして生計を立てている。その畝原の正義感と、以前と変わらずに友情を示してくれる友人らの姿が読んでいてすがすがしい。しかし、仕事に関...東直己『悲鳴』2001・角川春樹事務所-東直己さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作です

  • 神田橋條治・滝口俊子『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』2002・創元社

    2019年春のブログです*神田橋條治さんと滝口俊子さんの対談『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』(2002・創元社)を再読しました。これもずいぶん久しぶりの本で、アンダーラインがあまりなかったのも、先日の下坂さんの本と同じです。しかし、この本も再読をしてみるとすごい本で、当時のわたしは本当に何を読んでいたんだろうと、反省すること大です。良く解釈をすれば、この20年ほどの間に、これらの本が少しは理解をできる程度に成長してきた、といえるのかもしれませんが、それにしてもお粗末です。例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、これも最近よく目にしますが、部分の中に全体がある、という考え方。神田橋さんは、フラクタル理論から思いつかれたとのことですが、精神分析ではいろんな方が同じような趣旨のことを言わ...神田橋條治・滝口俊子『不確かさの中を-わたしの心理療法を求めて』2002・創元社

  • チューリップの国旗とチューリップの国歌の夢を見た-じーじのじいじ日記・セレクト

    2023年12月のブログです*お昼寝をしていたら、とても楽しい夢を見た。日の丸がチューリップの図柄(!)の国旗にかわり、国歌が君が代にかわってチューリップの歌(!)になるというもの。すごいでしょう!夢の中では、小学校の入学式で、新入生がチューリップの花を持ち、チューリップの国旗に向かって、チューリップの国歌を元気に歌っていた。日の丸・君が代の強制が厭で、自分の子どもたちの入学式と卒業式は全部欠席したじーじだが(子どもたち、ごめん)、こういう入学式や卒業式なら列席してみたい。孫娘たちが学生のうちに実現しないかな?そうしたら、じーじもぜひ出席させてもらって、チューリップの歌を大声で歌いたい(?)。そもそも、日の丸はもとより、菊や桜の図柄だと、なんとなくキナ臭いイメージがつきまとう。その点、チューリップはいい。...チューリップの国旗とチューリップの国歌の夢を見た-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 2歳の孫娘の保育園デビューにおける小さくてもとっても大きな大冒険!-遊ぶことのちから

    下の孫娘が2歳、上の孫娘が5歳の時のブログです*車で1時間ほど離れた町に住んでいる孫娘たちが遊びに来ました。2人とも元気いっぱいです。2歳になる下の孫娘はこの4月に保育園に入園しました。いよいよ保育園デビューです。年少さんのさらに一つ下のチョー年少ぐみで、「こあらぐみ」というのだそうです(とてもかわいいネーミングですね。園長せんせいの「あそびごころ」がひかります)。最初は、おうちがいい!、と下の孫娘は泣き叫んだようですが、今では笑顔で通園バスに乗って保育園に通っているようです。我が家に来ると、下の孫娘は覚えたての「チューリップ」のうたを大声で歌って、なにやら自慢げです。さらには、お絵かきを始めて、画用紙に大きなまるを描いては、でかい!といい、小さなまるを描いては、ちっちゃい!とお話しています。あっというま...2歳の孫娘の保育園デビューにおける小さくてもとっても大きな大冒険!-遊ぶことのちから

  • 山秋真『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』2007・桂書房

    2024年春のブログです*山秋真さんの『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』(2007・桂書房)を読む。今年3月、TBS「報道特集」の能登半島地震の特集番組を見ていたら、久しぶりに金平茂紀さんが出ていて、地元の人から珠洲岸発の話を取材していた。珠洲原発?じーじはうかつにも全く知らなかった。調べてみると、1980年代に能登半島の珠洲に北陸電力・関西電力・中部電力が原発を作る計画を発表、反対派と賛成派が激しく争ったが、2003年に電力3社が撤退を表明したという。この間、新潟の巻原発計画では、住民投票の末に反対派が勝利し、東北電力は撤退をしている(じーじも組合の役員をしている時だったので、こっそりと原発反対のビラ配りにいったりした)。珠洲原発計画では、賛成派の選挙違反や土地の不...山秋真『ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』2007・桂書房

  • 成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

    2019年春のブログです*成田善弘さんの『精神療法家のひとりごと』(2019・金剛出版)を読みました。新刊です。すごいですね(!)。しかも、じーじのひとりごととは違って、中身が充実しています。本書は雑誌「精神療法」に連載されたエッセイなどをまとめたもので、精神療法についてのお話が読みやすい形で書かれています。読みやすいのですが、内容はかなり深いので、読んだ後にも余韻が残って、いろんなことを考えさせられます。印象に残ったことを一つ、二つ。まずは、患者さんの問題行動を病理の現われとして見るのではなく、患者さんなりの現実への対処と見るという視点。患者さんの努力はぎこちなく、不適切で、逆効果になりやすいですが、彼らなりの努力であると見ることで、問題行動を捉える見方が違ってくると述べます。鋭いですし、一方で、温かい...成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

  • 広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

    2019年春のブログです*広瀬徹也さん編集の『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』(2004・星和書店)を再読しました。この本は広瀬さんが帝京大学精神科の教授をされていた時に、下坂幸三さんから若手精神科医がグループスーパーヴィジョンを受けた時の記録で、下坂さんの前には土居健郎さんが同じようにスーパーヴィジョンをされていたようで、夢のように贅沢な研究会の記録です。実際、今回、再読をしてみて、改めて勉強になるところが多々あり、いい本だな、と今さらながら感心をしました。2004年の本で、じーじが購入したのはいつだったかはっきりしませんが、それにしてもずいぶんのご無沙汰で、もったいないことをしてしまいました。しかも、前回は、アンダーラインがあまり引かれておらず、当時のじーじは何をしていたので...広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

  • 椎名誠『三匹のかいじゅう』2013・集英社-三匹の孫かいじゅうとシーナじいじいの物語です

    2019年春のブログです*椎名誠さんの『三匹のかいじゅう』(2013・集英社)を再読しました。シーナじいじいの孫物語シリーズの第三作。シーナさんの息子さんの岳くん家族が、第三子を日本で出産するためにアメリカから来日、その前後のシーナさんのじいじいぶりが描かれます。おもしろいです。とてもおもしろいです。じーじにも心当たりがあるようなできごともあって、思わず笑ってしまいます。頻繁に笑ってしまい、この本も電車の中で読むのは危ない本だと思いました。第三子は無事に生まれ、琉太くんと名づけられます。そして、風太くん、海ちゃん、琉太くんの三匹のかいじゅう相手にシーナじいじいの奮闘が始まります。しかし、2011年3月11日の東日本大震災があり、その後、原発事故が起こります。シーナじいじいは孫たちへの放射能汚染を心配してみ...椎名誠『三匹のかいじゅう』2013・集英社-三匹の孫かいじゅうとシーナじいじいの物語です

  • 相田信男『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』2006・金剛出版-精神科病院での実践に学ぶ

    2020年春のブログです*相田信男さんの『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』(2006・金剛出版)を読みました。相田さんは精神科医で群馬県にある精神科病院の院長先生、そして慶応大学医学部の講師、さらに精神分析協会正会員というかた。じーじはお名前を知っている程度でしたが(相田さん、ごめんなさい)、去年秋の札幌での精神分析学会の分科会でみっちりとお話をお聞きして、すごいちからのあるかただなと驚きました。若手治療者のケース検討会の助言者をされたのですが、お話が的確で正確、かつわかりやすい語りで、本当に勉強になりました。そして、その相田さんの本を読んでみたくなり、今回、本書を読みました。この本もすごい本で、相田さんは正直に飾りなく、さまざまな事柄を率直に語っていらっしゃいます。例によって、印象に残...相田信男『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』2006・金剛出版-精神科病院での実践に学ぶ

  • 坂本直行『雪原の足あと』1965・茗溪堂-直行さんの画文集を姿勢正しく(?)読む

    2020年春のブログです*坂本直行さんの画文集『雪原の足あと』(1965・茗溪堂)を読む。ふだん読書の時は座椅子に寝っ転がって読んでいるので、大きな本は敬遠気味だが(直行さん、ごめんなさい)、今回は姿勢正しく直行さんの大判の本を読む。直行さんが原野での開墾生活をやめて、画業一本になってからの本で、山歩きの話や開墾生活の思い出が語られ、それに山や花の絵が添えられている。とても贅沢な本で、六花亭の包装紙で有名なきれいな花々や六花の森の売店の絵葉書などでしか見れなかったすばらしい山の絵が、大判の本の中にいっぱいだ。見ていると気持ちがすがすがしくなってくる。こころが疲れた時などには、ぜひ眺めたいと思う。今後は姿勢正しく(?)、直行さんの本を読んでいきたい。(2020.4記)*2024年春の追記です今も直行さんのこ...坂本直行『雪原の足あと』1965・茗溪堂-直行さんの画文集を姿勢正しく(?)読む

  • 中井久夫『精神科治療の覚書』1982・日本評論社-中井さんの名著に細やかさやていねいさを学ぶ

    2024年春のブログです*中井久夫さんの『精神科治療の覚書』(1982・日本評論社)をかなり久しぶりに読む。中井さんの名著なのに、再読がすっかり遅くなった。反省。中井さんが日々の精神科治療で経験されたことをすごく細やかに、ていねいに記されていて、勉強になる。真摯な精神科医はこんなにもいろいろなことを考えて治療をされているのか、と本当に感心させられる。それでいて、そこから患者さん中心の精神医学が立ち上がってくるさまが見えてくるようですごい。例は違うかもしれないが、松田道夫さんの『育児の百科』を思い出す。松田さんも、子どもの症状をていねいに細やかに記して、そこから親ごさんが安心できるような情報を導き出すが、そこがそっくりな印象を受ける。患者さんや家族を大切にする大家は分野が違っても、同じような作業をされている...中井久夫『精神科治療の覚書』1982・日本評論社-中井さんの名著に細やかさやていねいさを学ぶ

  • 喜多由布子『知床の少女』2007・講談社-北のじーじとばーばの知恵に学ぶ

    2020年春のブログです*喜多由布子さんの小説『知床の少女』(2007・講談社)をしばらくぶりに読みました。いい小説です。涙もろいじーじは、終わりのほうは、涙じわーんで読んでしまいました。高校受験に失敗をして、浪人中の女の子が主人公。家庭不和もあって、精神的に余裕がなくなっています。そんな女の子に、札幌に住むじーじが遊びに来ることをすすめます(いいじーじですね)。そして、じーじのはからいで知床で水産工場を営む、さくらばあ、というばーばのところに。そこで、働く人たちとの生活の中で、女の子は本当にだいじなことはなにかを学んでいきます。飾りはないけど、質素で純朴な人たち。厳しいけれど、こころ温かい人々とのやりとりの中で、女の子は都会では見失われている大切なものに気づいていきます。いわば、梨木香歩さんの『西の魔女...喜多由布子『知床の少女』2007・講談社-北のじーじとばーばの知恵に学ぶ

  • ふきのとうを眺めながらの里山カウンセリングは、こころももこもこ元気になります

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...ふきのとうを眺めながらの里山カウンセリングは、こころももこもこ元気になります

  • 河合俊雄「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」2023・河合隼雄財団

    2023年春のブログです*河合俊雄さんの「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」(2023・河合隼雄財団)のビデオを観る。文字通り、河合さんの京都大学での最終講義。ご自分が大学院生の時に担当をした小学校低学年の発達障害の男の子のプレイセラピーの事例検討を通じて、発達障害の心理療法について論じる。これがすごい。当時のケースを40年後の今の河合さんがコメントをしていくのだが、そのコメントの数と奥深さがすばらしい。じーじは家裁調査官の時に、先輩から、仮説は少なくとも三つ以上持ちなさい、と教わったが、河合さんはケースの仮説を十も二十も提示して、その有効性を検証する。さすがだ。そして、発達障害については、世間的には訓練や教育が有効で、心理療法には否定的な空気がある中で、河合さんは心理療法の有効性を強く示唆する。...河合俊雄「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」2023・河合隼雄財団

  • 村上春樹『職業としての小説家』2015・スイッチパブリッシング-小説家としての覚悟を語る+追記です

    2015年のブログです*村上さんの『職業としての小説家』(2015・スイッチパブリッシング)を読みました(なぜかマックス・ウェーバーさんの『職業としての学問』を思い出したのですが,あまり関係はないのかな?)。とても刺激的な本です。小説家としての村上さんの覚悟が述べられていると思います。もちろん,村上さんのことですから,押しつけはしていませんが…。正直に,ご自分の立場,考え,小説の書き方,体の鍛え方(長編小説を書くには体力も大切らしいです)などが述べられています。意外だったのは(意外でもないか?),小説を書き上げると最初に奥さんに読んでもらうということ。よくエッセイなどで,奥さんが怒ってる時には小さくなってやりすごすしかない,などと書いているので心配をしていましたが,なんだ!仲よし夫婦なんですね。よかった,...村上春樹『職業としての小説家』2015・スイッチパブリッシング-小説家としての覚悟を語る+追記です

  • 大滝慶作『歌集・友に贈る歌』2020・喜怒哀楽書房-元家裁調査官の先輩臨床心理士さんが詠んだ歌集です

    2021年春のブログです*大滝慶作さんの『歌集・友に贈る歌』(2020・喜怒哀楽書房)を読みました。とても素敵な歌集です。大滝さんは五つ年上の家裁調査官の先輩。そして、臨床心理士としても先輩です。残念ながら一緒に仕事をしたことはなかったのですが、大滝さんが新潟のご出身なので、お名前は知っておりました。じーじが定年退職後にようやく臨床心理士の資格を取った頃、大滝さんも新潟に戻られ、臨床心理士の勉強会などでお声をかけていただくようになりました。ある日、大滝さんが、短歌なんかに興味ある?といわれ、じーじが、俵万智さんくらいなら…、と答えると、大滝さんがなんとなく恥ずかしそうに、実は歌集を出したんだけど…、といわれて、後日、本書が送られてきました。さっそく読ませていただくと、現代風の短歌がいっぱいで、身近な歌集で...大滝慶作『歌集・友に贈る歌』2020・喜怒哀楽書房-元家裁調査官の先輩臨床心理士さんが詠んだ歌集です

  • 小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その2・ていねいで「熱い」子どもの精神科医に学ぶ

    たぶん2016年ころのブログです*小倉清さんの『子どもの精神科医50年』(2012・論創社)を再読しました。2012年11月のブログでもご紹介させてもらっていますが、かなり久しぶりです。じーじの場合、なぜかいい本は4~5年ごとに読みたくなるようです。前回もふれていますが、とにかく「熱い」です。その「熱さ」は本当にすごいです。熱いことで有名な山中康裕さんもびっくりかもしれません(山中さん、ごめんなさい)。特に、医学生時代の「熱さ」のエピソードは痛快です。こういう情熱があるからこそ、すばらしい実践ができるのかもしれません。今回、勉強になったのは、ひとつは、現場でのやりとりをていねいに検討することの大切さということ。じーじも2カ月に一回、新潟の研究会で事例をていねいに検討させてもらっていますが、ひとつの事例を深...小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その2・ていねいで「熱い」子どもの精神科医に学ぶ

  • じーじ、改名か?ーじーじのじいじ日記・セレクト

    2021年3月のブログです*週末で孫娘たちが遊びにきてくれた。2階のじーじの部屋で下の孫娘とお話をしていると、じーじからのメールを読んだらしく、びっくりの発言。「じーちゃん、『にいがたのじーじ』ののばすきごうの『ー』は、カタカナでしか、つかえないいんだよ。ひらがなではつかえないんだよ」じーじが驚いて、「学校で習ったの?」ときくと、「そうだよ」と教えてくれる。じーじが「すごいな。もう、そんなことを勉強するんだ!」と感心をすると、孫娘はうれしそうにしている。そういわれると、たしかにそうで、じーじは今の1年生は本当にすごいなあ、とあらためて思う。せっかく、下の孫娘が教えてくれたので、これからは、孫娘たちへのメールには、『じーじ』を『じいじ』に変更して、「にいがたのじいじより」と書こうと思う。老いては子にしたがえ...じーじ、改名か?ーじーじのじいじ日記・セレクト

  • 小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その1・子どもへの愛情で「熱い」精神科医に学ぶ

    2012年のブログです*小倉清さんの『子どもの精神科医50年』(2012・論創社)を読みました。小倉さんはじーじの尊敬する幼児児童精神科医で、これまでにもすばらしい本を何冊も出しておられますが、今回の本もすばらしいです今回の本は、小倉さんの人生を回想しながら、幼児児童精神医学を語るという形ですが、とにかく「熱い」です。幼児や児童への愛情がほとばしっています。あえてたとえるなら、本の中にも登場しますが、河合隼雄さんの「熱さ」に共通する「熱さ」、情熱、やりぬく意欲、といったものでしょうか。先駆者としての意欲にあふれた姿が示されていて、感動的です。学問に裏付けられた熱意に触れられて、少し疲れ気味だった自分も少しだけ元気になれました。(2012.11記)*2023年秋の追記です初めて小倉さんのお話をお聞きした日の...小倉清『子どもの精神科医50年』2012・論創社-その1・子どもへの愛情で「熱い」精神科医に学ぶ

  • 佐々木譲『ユニット』2005・文春文庫-DVと犯罪被害者遺族を描く

    2021年3月のブログです*佐々木譲さんの『ユニット』(2005・文春文庫)を読みました。すごく久しぶり。本棚の発掘作業をしていて(?)、偶然、見つけました(佐々木さん、ごめんなさい)。緊張感のある小説で、ハラハラ、ドキドキ、しながら読みました。年寄りの心臓には少し悪い(?)小説です。テーマはDVと犯罪被害者遺族。舞台は北海道。あらすじはあえて書きませんが、DV被害者とDV加害者、それに、妻子を殺された遺族とその犯人らが織りなす人間模様を綿密に描きます。DVの怖さと異常さ、二面性が怖いくらいに描きこまれていますし、殺人事件の遺族のうらみと憎しみ、そして、それからの離脱も描かれます。読んでいると、人間が怖くなると同時に、少しだけ希望も持てるかもしれません。人間はとても弱い存在ですが、案外捨てたもんでもないな...佐々木譲『ユニット』2005・文春文庫-DVと犯罪被害者遺族を描く

  • 岩宮恵子『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』2009・岩波現代文庫-ていねいな子どもの心理療法に学ぶ

    たぶん2014年ころのブログです*岩宮恵子さんの『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』(2009・岩波現代文庫)を久しぶりに再読しました。文庫本は2009年以来の2回目だと思うのですが、だいぶご無沙汰をしていました(岩宮さん、ごめんなさい)。もっとも、1997年に出た単行本も何回か読んでいるので、この本にはずいぶん勉強をさせてもらっている本です(岩宮さん、ありがとうございます)。本の中では、とても丁寧な心理療法の様子が、たいへんこまやかに描かれていて、すごく参考になります。事例のひとつは、過剰適応の小学男子のケース。チックとおねしょという症状で来談をしますが、箱庭をする中で、自らのこころの無意識の部分をうまく統合して、生き生きとした自分を取り戻します。もうひとつは、拒食症の小学女子のケース。食事...岩宮恵子『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』2009・岩波現代文庫-ていねいな子どもの心理療法に学ぶ

  • 樋口有介『11月そして12月』2009・中公文庫-カメラマン志望男子とマラソン女子との切ない恋愛物語です

    2023年3月のブログです*またまた有介ワールドに浸ってしまった。樋口有介『11月そして12月』(2009・中公文庫)。マラソン女子とカメラマン志望の主人公の切ない恋愛物語。青春だなー。しかし、有介さんはうまいな、と思う。文章も物語も…。七十近いじーじが読んでしまうのだから、すごい。じーじもこんな恋愛をしてみたかったなあ、と思ってしまう。「きみに会ってから、毎日練習をしていた」「大人になることを?」どう?この会話。すごいでしょう?二人の出会いからしてとても素敵だが、それは読んでのお楽しみ。物語は、不倫をしていた姉の自殺未遂や父親の浮気発覚などで、家庭内のごたごたに巻き込まれる主人公と、将来を嘱望されていたのに人間関係からマラソンをやめてしまった女の子とのさり気ない恋愛を描く。もっとも、有介ワールドだから、...樋口有介『11月そして12月』2009・中公文庫-カメラマン志望男子とマラソン女子との切ない恋愛物語です

  • 小倉清『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』2019・遠見書房

    2019年秋のブログです*小倉清さんの『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』(2019・遠見書房)を読みました。本書は小倉さんが1984年に出した『こころのせかい「私」は誰?』を改訂した本で(同書の拙い感想文もブログに書いてありますので、よかったら読んでみてください)、内容がさらにパワーアップしています。もちろん、基本的なところは同じで、本書でも子どものこころの成長を精神分析的な見方をもとにして、とてもていねいに説明されています。現場で長らく診療をされている医師なので、症例が豊富ですし、重要なケースがたくさん出てきて、それをどのように診るか、どのように理解するのか、私のような初学者にはとても勉強になります。例によって、今回、特に印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、防衛機制につ...小倉清『子どものこころの世界-あなたのための児童精神科医の臨床ノート』2019・遠見書房

  • 藤原伊織『ひまわりの祝祭』1997・講談社-ゴッホの「ひまわり」をめぐる哀しくも強い物語

    2021年3月のブログです*藤原伊織さんの『ひまわりの祝祭』(1997・講談社)を久しぶりに読みました。おそらく20何年ぶり(藤原さん、ごめんなさい)。本棚の横に積み上げてあった本の山の中から発掘(?)しました。これがいい小説。おとなの哀しみを描きながら、生きることの多少のよさも描いていて、読んでいて心地よいです。例によって、あらすじはあえて書きませんが、ゴッホの「ひまわり」という絵をめぐる物語。じーじでも、ドキドキ、ハラハラする展開です。登場人物がまたなかなか魅力的。主人公だけでなく、周囲の人たちも魅力的です。そういえば、『海辺のカフカ』のホシノくんのような登場人物も出てきます。少しのユーモアと遊びごごろが、物語の哀しみを救っています。おとなの小説でしょうね。いい小説を再読できて幸せです。(2021.3...藤原伊織『ひまわりの祝祭』1997・講談社-ゴッホの「ひまわり」をめぐる哀しくも強い物語

  • 小倉清『こころのせかい「私」はだれ?』1984・彩古書房-「熱い」子どもの精神科医との出会いを思い出す

    たぶん2011年ころのブログです*小倉清さんの『こころのせかい「私」はだれ?』(1984・彩古書房)をかなり久しぶりに読みました。3回目くらいで、10年ぶりくらいではないでしょうか。1984年の本ですが、その少し前頃、家裁調査官の東京での研修で、たまたま小倉さんの講義をきく機会がありました。それで、感激をして、小倉さんの本をあちこちの本屋さんで探して、ようやく手に入れた記憶があります。小倉さんのことはその当時、じーじはまったく知らなくて(小倉さん、ごめんなさい)、しかも、小倉さんの働く関東中央病院という先進的な精神科病院のこともじーじはまったく知りませんでした。そんな本当に白紙の状態でお話をお聞きしたのですが、その「熱さ」と学問的な裏付けに、思わずうなってしまった記憶があります。また、当時はまだじーじは精...小倉清『こころのせかい「私」はだれ?』1984・彩古書房-「熱い」子どもの精神科医との出会いを思い出す

  • 坂本直行『原野から見た山』2021・ヤマケイ文庫-直行さんの名著が山渓の文庫になりました!

    2021年3月のブログです*坂本直行さんの『原野から見た山』(2021・ヤマケイ文庫)を読みました。単行本は1957年に出版され、1973年に茗溪堂から復刻版が出ていて、これまでじーじはこの復刻版を読んでいたのですが、大きな本でじーじのように寝っ転がって本を読む人間にはなかなか大変でした(直行さん、ごめんなさい)。今度は文庫本ですので、行儀の悪いじーじでも安心です。本は小ぶりになりましたが、印刷がとてもきれいなので、見劣りはしません。素敵な文庫本です。戦前、南十勝の牧場に開拓で入った頃のお話やそこから見た日高山脈のスケッチ、大雪山や斜里岳への山旅、そして、最後の山旅と覚悟しての石狩岳登山などのお話とスケッチなどからなります。当時の大雪山ののどかさはとても素敵ですし、熊を逆におどかして楽しむ直行さんは豪快で...坂本直行『原野から見た山』2021・ヤマケイ文庫-直行さんの名著が山渓の文庫になりました!

  • 藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その2・「甘え」と秘密をめぐって

    2022年夏のブログです*藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を久しぶりに再読しました。今回もいろいろなことが勉強になりました。特に今回、じーじが参考になったことは、「甘え」と秘密の関係と、自由連想についての考察。いずれも鋭いです。秘密の問題については、精神分析でいろいろな方が論じていますが、今回、藤山さんは、「はにかみ」と「甘え」いう現象を取り上げて説明をします。そして、おとなになるためには秘密が必要であり、それが「甘え」や「はにかみ」の世界に包まれるような関係が大切といいます(それで合っていると思うのですが、間違っていたら、ごめんなさい)。一方、自由連想。藤山さんは、自由連想は、単に自由に連想をすること、ではなく、自由に連想をしたことを語ること、に意味があるといいます。...藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その2・「甘え」と秘密をめぐって

  • 原田マハ『丘の上の賢人-旅屋おかえり』2021・集英社文庫-ちからのあるいい小説です

    2022年3月のブログです*原田マハさんの『丘の上の賢人-旅屋おかえり』(2021・集英社文庫)を読む。小説、作り話とわかっていて読むが、いい物語で、いつの間にか涙がじわーんとなってしまう。じーじはいいかげん枯れはてた年寄りなので、もう水分なんてなくなってしまったかな(?)と思っていたが、不覚にもじわーんと涙が出てきてびっくりする(読んだあと、水分補給をしなければと(?)、あわててビールをたくさん呑んでしまった)。冗談はさておき、いい小説である。例によって、あらすじはあえて書かないが、依頼者にかわって旅をする主人公がすがすがしい。素直で、体当たりの行動が、周りの人々の感情を解きほぐしていく様子がすがすがしい。これは小説だ、こんな都合よくいかないだろう、こんなこと実際には起こるわけないだろう、と思いつつも、...原田マハ『丘の上の賢人-旅屋おかえり』2021・集英社文庫-ちからのあるいい小説です

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)さんをフォローしませんか?

ハンドル名
ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)さん
ブログタイトル
ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)
フォロー
ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用