その頃、ロマンス・シベリア軍は首都のノグリキに迫っていました。何ヶ月も前、カラフト・ヤマト軍に包囲されていた時と全く逆の形になったのです。スパシーバ王子はヤマト帝国の“政変”をまだ知りませんでしたが、ヒゲモジャ王と共に和平への工作を考えていました。その結果、頃合を見てイワーノフ宰相をロマンス側に派遣し、ツルハゲ王の意向を打診するすることになりました。イワーノフも和平には積極的な姿勢を示していたのです。ただ、ロマンス・シベリア軍が攻勢に出てきた場合は、ある程度戦わざるを得ません。降伏するのではなく、あくまでも停戦から和平に結びつけたいと考えていました。このノグリキの王宮はツルハゲ王のものであり、しかもいま娘のリューバ妃もいるので、ここで和平会談を開けば必ず道は開けると読んでいたのです。一方、ツルハゲ王もオハ...サハリン物語(11)