千月志保 さん プロフィール

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千月志保さん: ヴィリジアン
ハンドル名千月志保 さん
ブログタイトルヴィリジアン
ブログURLhttp://virigiantext.blog.shinobi.jp/
サイト紹介文突如王国に出現したヴァンパイアを追う王騎士たちを描くオリジナルファンタジー小説を連載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供54回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2015/04/27 08:11

千月志保 さんのブログ記事

  • 第12章 王のいない城(4) 新たな拠点
  • 「エストル様を、僕の手で葬らせるために」 言葉にするだけで疲れがどっとあふれた。「エストル様は僕にとって頼もしい上官だけど、それ以上に士官学校で共に学び、喜びや悲しみを分かち合ってきた大切な友人なんだ。僕だけを二階に招き入れたのはエストル様を僕を操って始末させ、大切な友人を手にかけた僕の反応を楽しむためだ」 茫然自失としただろうか、狂っただろうか、泣きわめいただろうか。いずれにしても考えたくなかっ [続きを読む]
  • 第12章 王のいない城(3) ヴィリジアンの意思
  • 「こざかしい」 これでは相手が疲れるまで埒が明かないと感じたソードは、シャロンの素速い動きを魔力で封じようとした。広範囲に魔法を展開され、避けることはできなかった。シャロンはヴィリジアンで跳ね返そうと試みる。両手で柄を握り、何秒間かは耐えたが、圧倒的なソードの魔力にはそれが限界だった。衝撃で後方に押しやられたかと思うと、体が宙に浮き、がくんと四方から体にものすごい重力がのしかかる。シャロンは何とか [続きを読む]
  • 第12章 王のいない城(2) ソードの正体
  • 「だが、失敗した」「でも、僕がヴィリジアンやヴァンパイアのことを知っていることを突き止めた」「そこで、グレンの部下から何か引き出せないかとクレッチを捕らえてその記憶をのぞいた。そのときは判断がつかなかったが、やはり〈追跡者〉は最初からお前の部下を狙っていたんだと思う。クレッチもがんばってくれたが、私とのラインが引き出された。次は私の番だと思い、覚悟は決めたが、相手の出方が読めず、結局あのような形で [続きを読む]
  • 第12章 王のいない城(1) ヴィリジアンをめぐって
  • 「他の王騎士にもグレンの実力を見てもらった。異論はなかった。実力的にも人格的にもグレンほど王騎士にふさわしい者はいなかった。私はすぐにグレンに引き継ぎをし、クレッチとデュランを直属の部下にするよう勧め、滞りなく王騎士の職を辞した」 クレサックは一息つくと、また切り出した。「その後、隠れやすそうな森を見つけて外部からの侵入者を欺けるような結界を張り、隠れ家を建ててシャロンの指導をした。充分な実力がつ [続きを読む]
  • 第11章 真相(12) 王騎士になった日
  • 「すごく面白いというか……実は最近クレサック将軍の任務についていってばかりで、その……」「上級兵士の通常業務はよく分かりません、か?」「いや。うん。そんなこともないんだけど」 困惑した様子のグレンを見ていておかしくなったのか、エストルは笑い出した。「で、どうだ、クレサック将軍の補佐は?」 すると、グレンの緑色の瞳がぱっと明るくなった。「今まで経験したことのないことばかりで。 [続きを読む]
  • 第11章 真相(11) 呼び出し
  • 「よくやった、グレン」 クレサックに肩を叩かれて、グレンも笑顔になる。「さて。魔獣も倒したし、帰るとするか」 体が疲れて重かったので、二人ともゆっくり歩き出した。「しっかし、あんなに機敏な動きをする魔獣だとは思っていなかった。すごいスピードだったなあ」 クレサックは軽く伸びをした。 その後も次々と魔獣、ヴァンパイア、ゾンビの討伐など事あるごとにクレサックの任務に連れて行かれた。「そのうち俺たち追い [続きを読む]
  • 第11章 真相(10) 初任務
  • ドアの前に立ってここで良かっただろうかと少し不安になる。グレンは一度深呼吸して名乗った。「グレンです」「入れ」 中からクレサックの声がしてほっと胸を撫で下ろす。「失礼します」 グレンが部屋に入ると、クレサックが顔を上げた。「そこに座ってくれ」 席を勧められてグレンは座った。「実は」 余計な話は一切せず、クレサックは急に切り出した。「明日から魔獣討伐に行くのだが、一緒に来てくれないか?」 一瞬どうい [続きを読む]
  • 第11章 真相(9) クレサックの提案
  • 「同期?」 若いとは思っていたが、エストルと同期とは。やはりあの青年、ただ者ではない。「よく手合わせしてもらった。一度も勝てなかったがな」 グレンの話をするエストルはいつもとは違って柔らかい表情をしていた。その理由がクレサックには何となく分かった。グレンにはそういう力があるのだ。「エストル様、先日、王騎士の職を辞して、シャロンの指導をしたいと申したこと、覚えておいでですよね」「もちろんだ」「王騎士 [続きを読む]
  • 第11章 真相(8) グレンという者
  • 「何ともないですか?」 あっという間に治癒は完了していた。この若者の剣裁きにも魔力にも驚いたが、治癒魔法の能力は格別だった。王騎士の中でもこれほどの治癒魔法の使い手はいない。「良い魔力を持っているな」「ありがとうございます」 クレサックが率直な印象を述べると、グレンは嬉しそうに礼を言った。屈託のない笑顔だった。「お前、しばらく立てないだろう」「衝撃がとても大きかったので。少し休んで立てるようになっ [続きを読む]
  • 第11章 真相(7) 試される実力
  • クレサックは他の兵士たちが一ヶ所に固まって充分なスペースが確保できたことを確認すると、結界を張った。「来い」 クレサックに言われてグレンは仕掛ける。助走をつけてクレサックに飛びかかる。「いいぞ」 クレサックは手応えのある一撃を賞賛しながらはねのけたが、容赦なくすぐに次の一撃が来る。スピードもなかなかのものだ。クレサックも素速く対応して次々と襲いかかるグレンの刃を退けていく。渾身の力で大きく最後の一 [続きを読む]
  • 第11章 真相(6) 運命の出会い
  • ヴァンパイア討伐から戻ったクレサックは待機中だった。その日の午後、次の任務を命じられる予定だった。少し体を動かそうと訓練場に向かっている途中、デュランと会った。「将軍、久しぶりに相手していただけませんか?」「ちょうどいい。私も一汗かこうと思っていたところだ」 クレサックはデュランと雑談を交わしながら訓練場を目指した。 訓練場に着くと、多くの上級兵士たちがクレサックを待っていた。「よろしくお願いしま [続きを読む]
  • 第11章 真相(5) 解放のために
  • 「ウィンターはまずヴァンパイアの出現情報をたどりながらムーンホルンの状況を調べ始めた。そこで、陛下が王騎士たちにヴァンパイア討伐をさせていることを知る」「王騎士たちがヴァンパイア討伐をしている様子を何度か観察しているうちに、クレサックに協力をしてもらえないかと考えるようになった。クレサックであれば、私の話を理解してもらえるような気がした」「ウィンターは私に接触してきた。陛下のヴァンパイア討伐の命に [続きを読む]
  • 第11章 真相(4) 王との接触
  • 当時から職務に就いていた部隊長たちがはっと顔を見合わせた。「そう。噂で一度くらいは耳にしたことがあるだろう。その日から王太子殿下のご様子がおかしいと。お優しかった王太子殿下が人が変わられたようだと」 吐き出すようにエストルは言った。平静を装おうと努めてはいるようだったが、怒りの感情が完全には抑え切れていなかった。「〈告知者〉は陛下の優しさにつけ込んで陛下を操ろうとした。意のままに操り、ムーンホルン [続きを読む]
  • 第11章 真相(3) ヴァンパイアについて
  • だが、すぐに姿勢を正し、真っ直ぐ向き直って話を続けた。「まず120年前に度重なる戦争のため、テルウィングとのゲートを互いに封印したことは周知の通りだ。その後テルウィングでは各地で内乱が起こった。テルウィング王は鎮圧に乗り出したが、一ヶ所鎮圧に成功したと思えば他の場所で、その場所の鎮圧に成功したと思えばまた他の場所で、と手がつけられない状態になった。そこで、戦争のとき、ムーンホルンに投入しようと開発を [続きを読む]
  • 第11章 真相(2) 会議開始
  • 「とにかく無理はしないでね。疲れたらいつでも言って」「お前もだ、グレン」 エストルが釘を刺すと、クレサックがくすくす笑った。 扉が開いてベテラン部隊長のドマーニが入ってくる。「クレサック将軍?」 驚いた表情のドマーニに気づいてクレサックは手を握りに行った。「いやあ、ドマーニ。元気そうじゃないか」「クレサック将軍……こんなところでお目にかかれるなんて」 二人は昔話に花を咲かせた。その後も [続きを読む]
  • 第11章 真相(1) 再会
  • 穏やかな時が流れていた。こんなに笑ったのは久しぶりだとグレンは思った。エストルと今の状況について考えていたことを正直に話した。今まで伏せていたこともつかえていたことも全て話せてすっきりし、その話題について話すことは尽きた。その後は士官学校時代の思い出話をした。楽しい学校生活を送っていたのだということを今改めて思った。「そろそろ時間かな」 少し名残惜しそうに言ってエストルが立ち上がる。「僕も、出席す [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(11) いつかこの手で
  • 「それでソードのことをあんなに信用していたんだな」「信用は……全面的にしていたわけじゃないと思う。けど、頼れる人が、ソードしかいなかったから」 グレンは寂しそうな顔をした。「上級ヴァンパイアに吸血されたけど、命も意識も残った。しかも人では絶対に得られないような力を手に入れた。桁外れの強さを手に入れた。でも、生血を吸わないといけない体になった。多分体を維持するために必要なんだと思う。そん [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(10) 隠していたこと
  • 「時間があるうちに休んでおくといい」 そう言ってエストルはグレンに肩を貸した。グレンを背負うと、ベッドまで運び、寝かせた。「ありがとう、エストル」 寝かせてもらうと、呼吸が落ち着いてきた。エストルはベッドの横に椅子を持ってきて座った。「何もできないが、せめて側にいさせてくれ」「いいの? こんなときに僕についてくれていて」「事態を部隊長たちに説明するために招集をかけた。まだ会議までに時間がある」「僕 [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(9) 力の代償
  • 「グレン将軍?」 デュランの体が反射的に動いたが、エストルの目を見ていたクレッチがそれを制した。「エストル様、グレンは……」 グレンの後ろ姿を心配そうに見送っていたソフィアは、エストルの方に向き直って聞いた。「少し休ませてやってくれ。本来なら立っていることもままならない状態なんだ」 努めて冷静に答える。「後ほど部隊長も集めて説明をするが、先に少し状況を話しておこう。聞いてくれるか?」  [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(8) 王と少女
  • 「陛下!」 王騎士グレン。そして、その一歩後ろには宰相エストルが控えていた。エストルはセレストの横に少女がいるのを見て少し意外だったようだが、すぐに状況を理解し、ゆっくりと前に出た。「陛下、その少女を我々に委ねていただきたいのですが」「断る」 即答だった。エストルの予想どおりだった。「では、陛下を拘束させていただきます」 エストルの言葉を聞いて、待っていたようにグレンが動き出そうとすると、少女がに [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(7) 砕けたコア
  • 「上級、ヴァンパイアが……」〈追跡者〉は跡形もなく消滅した。あんなに強かった上級ヴァンパイアがヴィリジアンにコアを傷つけられただけでその存在さえ絶たれた。 まだ実感が湧かなかった。しばらくこの場所に留まってこの状況をはっきりと認識したかった。だが、まだやるべきことが残っていた。グレンはエストルの方に歩いていった。「陛下を探しに行こう」 グレンはエストルの前に屈み込んでいたずらっぽく尋ね [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(6) 上級ヴァンパイアの血
  • 〈追跡者〉の強さはその圧倒的な素速さだ。先ほどのように一振りでは振り払えないようにより重い攻撃力の魔法を最大限のスピードで連続して繰り出した。だが、グレンは全く怯む様子なく、そのスピードについてきて、完璧に全ての攻撃をヴィリジアンに吸収させた。「速い……」 横で見ていたエストルが息を呑む。そのときだった。グレンが胸を押さえて悶えだした。「まだ私の血が完全に受け入れられていないようだな」 [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(5) 現実のたどる道
  • 「それでいい……」 さらさらした髪に触れていたエストルの指が力を失って離れていく。満たされる。心も体もエストルの温かい血で。意識を失ったエストルを支えながらもなおも吸血していく。背後から〈追跡者〉の勝ち誇ったような笑いが聞こえた。「どうだ、夢が現実になった感じは?」 グレンはエストルの傷口から魔力を送り、牙の痕を消した。そして、そっと座らせた。鞘から剣を抜くと、一気にエストルに斬りつけ [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(4) 夢と現実
  • 「生血が欲しくてたまらないだろう。もうソードから吸血してだいぶ経つはずだからな」「吸……血?」 壁に立ったまま寄りかからされている状態のエストルが聞こえないほど小さな声でつぶやく。肩をつかんだままのグレンは目をぎゅっとつぶって下を向いている。 抑えられない。今すぐにでもエストルの喉元に噛みついてしまいそうだった。夢の中と同じように理性が利かなくなってきている。「エストル…… [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(3) 明かされる真実
  • 「グレン、か?」 閉じていた目をうっすらと開け、エストルはつぶやいた。「もうこやつの記憶は全て読ませてもらった。用済みだ。くれてやる」〈追跡者〉はそう言うと、魔法陣からエストルを解放した。グレンは急に倒れてきたエストルの体を咄嗟に抱き留めた。「すまない。全て知られてしまった。ヴィリジアンのことも、ウィンターたちのことも」 ヴィリジアンのことも、ウィンターたちのことも?「待って。なんでエストルがそん [続きを読む]