千月志保 さん プロフィール

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千月志保さん: ヴィリジアン
ハンドル名千月志保 さん
ブログタイトルヴィリジアン
ブログURLhttp://virigiantext.blog.shinobi.jp/
サイト紹介文突如王国に出現したヴァンパイアを追う王騎士たちを描くオリジナルファンタジー小説を連載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供55回 / 365日(平均1.1回/週) - 参加 2015/04/27 08:11

千月志保 さんのブログ記事

  • 第11章 真相(7) 試される実力
  • クレサックは他の兵士たちが一ヶ所に固まって充分なスペースが確保できたことを確認すると、結界を張った。「来い」 クレサックに言われてグレンは仕掛ける。助走をつけてクレサックに飛びかかる。「いいぞ」 クレサックは手応えのある一撃を賞賛しながらはねのけたが、容赦なくすぐに次の一撃が来る。スピードもなかなかのものだ。クレサックも素速く対応して次々と襲いかかるグレンの刃を退けていく。渾身の力で大きく最後の一 [続きを読む]
  • 第11章 真相(6) 運命の出会い
  • ヴァンパイア討伐から戻ったクレサックは待機中だった。その日の午後、次の任務を命じられる予定だった。少し体を動かそうと訓練場に向かっている途中、デュランと会った。「将軍、久しぶりに相手していただけませんか?」「ちょうどいい。私も一汗かこうと思っていたところだ」 クレサックはデュランと雑談を交わしながら訓練場を目指した。 訓練場に着くと、多くの上級兵士たちがクレサックを待っていた。「よろしくお願いしま [続きを読む]
  • 第11章 真相(5) 解放のために
  • 「ウィンターはまずヴァンパイアの出現情報をたどりながらムーンホルンの状況を調べ始めた。そこで、陛下が王騎士たちにヴァンパイア討伐をさせていることを知る」「王騎士たちがヴァンパイア討伐をしている様子を何度か観察しているうちに、クレサックに協力をしてもらえないかと考えるようになった。クレサックであれば、私の話を理解してもらえるような気がした」「ウィンターは私に接触してきた。陛下のヴァンパイア討伐の命に [続きを読む]
  • 第11章 真相(4) 王との接触
  • 当時から職務に就いていた部隊長たちがはっと顔を見合わせた。「そう。噂で一度くらいは耳にしたことがあるだろう。その日から王太子殿下のご様子がおかしいと。お優しかった王太子殿下が人が変わられたようだと」 吐き出すようにエストルは言った。平静を装おうと努めてはいるようだったが、怒りの感情が完全には抑え切れていなかった。「〈告知者〉は陛下の優しさにつけ込んで陛下を操ろうとした。意のままに操り、ムーンホルン [続きを読む]
  • 第11章 真相(3) ヴァンパイアについて
  • だが、すぐに姿勢を正し、真っ直ぐ向き直って話を続けた。「まず120年前に度重なる戦争のため、テルウィングとのゲートを互いに封印したことは周知の通りだ。その後テルウィングでは各地で内乱が起こった。テルウィング王は鎮圧に乗り出したが、一ヶ所鎮圧に成功したと思えば他の場所で、その場所の鎮圧に成功したと思えばまた他の場所で、と手がつけられない状態になった。そこで、戦争のとき、ムーンホルンに投入しようと開発を [続きを読む]
  • 第11章 真相(2) 会議開始
  • 「とにかく無理はしないでね。疲れたらいつでも言って」「お前もだ、グレン」 エストルが釘を刺すと、クレサックがくすくす笑った。 扉が開いてベテラン部隊長のドマーニが入ってくる。「クレサック将軍?」 驚いた表情のドマーニに気づいてクレサックは手を握りに行った。「いやあ、ドマーニ。元気そうじゃないか」「クレサック将軍……こんなところでお目にかかれるなんて」 二人は昔話に花を咲かせた。その後も [続きを読む]
  • 第11章 真相(1) 再会
  • 穏やかな時が流れていた。こんなに笑ったのは久しぶりだとグレンは思った。エストルと今の状況について考えていたことを正直に話した。今まで伏せていたこともつかえていたことも全て話せてすっきりし、その話題について話すことは尽きた。その後は士官学校時代の思い出話をした。楽しい学校生活を送っていたのだということを今改めて思った。「そろそろ時間かな」 少し名残惜しそうに言ってエストルが立ち上がる。「僕も、出席す [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(11) いつかこの手で
  • 「それでソードのことをあんなに信用していたんだな」「信用は……全面的にしていたわけじゃないと思う。けど、頼れる人が、ソードしかいなかったから」 グレンは寂しそうな顔をした。「上級ヴァンパイアに吸血されたけど、命も意識も残った。しかも人では絶対に得られないような力を手に入れた。桁外れの強さを手に入れた。でも、生血を吸わないといけない体になった。多分体を維持するために必要なんだと思う。そん [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(10) 隠していたこと
  • 「時間があるうちに休んでおくといい」 そう言ってエストルはグレンに肩を貸した。グレンを背負うと、ベッドまで運び、寝かせた。「ありがとう、エストル」 寝かせてもらうと、呼吸が落ち着いてきた。エストルはベッドの横に椅子を持ってきて座った。「何もできないが、せめて側にいさせてくれ」「いいの? こんなときに僕についてくれていて」「事態を部隊長たちに説明するために招集をかけた。まだ会議までに時間がある」「僕 [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(9) 力の代償
  • 「グレン将軍?」 デュランの体が反射的に動いたが、エストルの目を見ていたクレッチがそれを制した。「エストル様、グレンは……」 グレンの後ろ姿を心配そうに見送っていたソフィアは、エストルの方に向き直って聞いた。「少し休ませてやってくれ。本来なら立っていることもままならない状態なんだ」 努めて冷静に答える。「後ほど部隊長も集めて説明をするが、先に少し状況を話しておこう。聞いてくれるか?」  [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(8) 王と少女
  • 「陛下!」 王騎士グレン。そして、その一歩後ろには宰相エストルが控えていた。エストルはセレストの横に少女がいるのを見て少し意外だったようだが、すぐに状況を理解し、ゆっくりと前に出た。「陛下、その少女を我々に委ねていただきたいのですが」「断る」 即答だった。エストルの予想どおりだった。「では、陛下を拘束させていただきます」 エストルの言葉を聞いて、待っていたようにグレンが動き出そうとすると、少女がに [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(7) 砕けたコア
  • 「上級、ヴァンパイアが……」〈追跡者〉は跡形もなく消滅した。あんなに強かった上級ヴァンパイアがヴィリジアンにコアを傷つけられただけでその存在さえ絶たれた。 まだ実感が湧かなかった。しばらくこの場所に留まってこの状況をはっきりと認識したかった。だが、まだやるべきことが残っていた。グレンはエストルの方に歩いていった。「陛下を探しに行こう」 グレンはエストルの前に屈み込んでいたずらっぽく尋ね [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(6) 上級ヴァンパイアの血
  • 〈追跡者〉の強さはその圧倒的な素速さだ。先ほどのように一振りでは振り払えないようにより重い攻撃力の魔法を最大限のスピードで連続して繰り出した。だが、グレンは全く怯む様子なく、そのスピードについてきて、完璧に全ての攻撃をヴィリジアンに吸収させた。「速い……」 横で見ていたエストルが息を呑む。そのときだった。グレンが胸を押さえて悶えだした。「まだ私の血が完全に受け入れられていないようだな」 [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(5) 現実のたどる道
  • 「それでいい……」 さらさらした髪に触れていたエストルの指が力を失って離れていく。満たされる。心も体もエストルの温かい血で。意識を失ったエストルを支えながらもなおも吸血していく。背後から〈追跡者〉の勝ち誇ったような笑いが聞こえた。「どうだ、夢が現実になった感じは?」 グレンはエストルの傷口から魔力を送り、牙の痕を消した。そして、そっと座らせた。鞘から剣を抜くと、一気にエストルに斬りつけ [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(4) 夢と現実
  • 「生血が欲しくてたまらないだろう。もうソードから吸血してだいぶ経つはずだからな」「吸……血?」 壁に立ったまま寄りかからされている状態のエストルが聞こえないほど小さな声でつぶやく。肩をつかんだままのグレンは目をぎゅっとつぶって下を向いている。 抑えられない。今すぐにでもエストルの喉元に噛みついてしまいそうだった。夢の中と同じように理性が利かなくなってきている。「エストル…… [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(3) 明かされる真実
  • 「グレン、か?」 閉じていた目をうっすらと開け、エストルはつぶやいた。「もうこやつの記憶は全て読ませてもらった。用済みだ。くれてやる」〈追跡者〉はそう言うと、魔法陣からエストルを解放した。グレンは急に倒れてきたエストルの体を咄嗟に抱き留めた。「すまない。全て知られてしまった。ヴィリジアンのことも、ウィンターたちのことも」 ヴィリジアンのことも、ウィンターたちのことも?「待って。なんでエストルがそん [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(2) 結界の向こうへ
  • 「ただ周りにいた者たちがそう思っただけかもしれない。でも、私も少し、気になってはいる」 クレサックはそう言っていた。そして、そのセレストが自ら王騎士にするために連れてきたソード。 何度か考えたことがあった。セレストとソードとヴァンパイアに何らかの関係があるのではないかと。だが、その度に否定した。ヴァンパイアに支配されているなんて、ヴァンパイアの部下として働いているなんて考えるのは怖かった。信じたく [続きを読む]
  • 第10章 結界の向こう(1) 綻び
  • 城が見えてきた。空はどんよりと曇っている。嫌な気配を感じてグレンは走り出した。「何かあったの?」 城門をくぐるなり、グレンは見張り兵に聞いた。「グレン将軍!」 巡回の途中で通りかかったデュランが走ってくる。「将軍、城の二階に結界が張られて、陛下とエストル様が閉じ込められてしまったのです」「何だって」「ソフィア将軍たちと結界を解こうとしたのですが、我々の魔力ではびくともしないのです」 グレンはエスト [続きを読む]
  • 第9章までの登場人物
  • グレン ムーンホルン王騎士ソード ムーンホルン王騎士ソフィア ムーンホルン王騎士セレスト ムーンホルン国王エストル ムーンホルン宰相ウィンター 上級ヴァンパイアを追うテルウィング出身の冒険者クレサック 元ムーンホルン王騎士。ウィンターの協力者シャロン ヴィリジアンの使い手。クレサックの姪 クレッチ 上級兵士。グレンの部下デュラン 上級兵士。グレンの部下リン 上級兵士。ソフィアの部下ルイ 上級兵 [続きを読む]
  • 第9章 スア(10) 待機
  • 「クレッチ、デュラン」 よく通る声で呼ばれて二人は振り返る。「待たせたわね」 ソフィアだった。リンとルイを従えて、いつものしゃきっとした姿勢で立っていた。「話は聞いたわ。どう?」 結界を破壊しようと魔力を送り続けていた兵士たちの様子を見ながらソフィアは尋ねた。「駄目です。びくともしません」 クレッチが答えた。「力を貸して」 クレッチとデュランは頷いて五人横一列に並んだ。結界に魔力を送っていた兵士た [続きを読む]
  • 第9章 スア(9) 決別
  • 「そのようだな。誤算だった」「ソード」 グレンは剣を突きつけたまま強い口調でソードに迫った。「僕と一緒に戦って。ヴァンパイアから、この世界を救うために」 ソードは押し黙った。だが、次の瞬間笑いが込み上げてきて耐えられなくなり、大声で狂ったように笑い出した。およそソードらしからぬ行動だった。グレンは少しひるんだように一歩のけぞった。「私はお前の敵だ。信頼を裏切られたことをせいぜい苦しむが良い」 ぐさ [続きを読む]
  • 第9章 スア(8) 同調
  • グレンは「敵」という言葉にはっとなる。ソードの、敵。「そんなの、嫌だ」 ずっと見守ってくれていたのに。ずっと信頼していたのに。「選べ。共に城に戻るというのなら、喜んで受け入れる。だが、ヴィリジアンを力尽くで奪うと言うのなら」 ソードはヴィリジアンを目の前に掲げた。瞳が妖しく輝く。「覚えているか? ヴィリジアンは破壊してもよいと言われている」「駄目。やめて!」 ソードは宙に舞い、ヴィリジアンに魔力を [続きを読む]
  • 第9章 スア(7) 敵か味方か
  • 「待って」 すると、男はぴたりと歩みを止めて振り返った。「グレンか」 ソードだった。左手にいつもとは違う剣が握られていた。「ヴィリジアンが、見つかった」 グレンは驚きで言葉を失った。もう一度ソードの握っている剣を見た。青緑色の宝石が輝いている。「この町のヴァンパイアは私が一掃しておいた。すぐに城に戻って陛下にヴィリジアンを……」 すると、倒れていたシャロンがグレンの足首をつかんだ。「ヴ [続きを読む]
  • 第9章 スア(6) 空っぽの町
  • 「分かった」 ルイも同じように体を支えるように立ち上がり、少しちぐはぐな姿勢で大広間の方に向かった。 クレッチとデュランは大きくうなずき合って兵舎に向かった。「考えることは同じだな」 クレッチの部屋に着くと、いたずらっぽくデュランが笑う。「外のヴァンパイアは陽動だったんだと思う。狙いは最初からエストル様だったんだ」 クレッチが言いながら、部屋の床に魔法陣を浮かび上がらせた。エストルの私室に直接アク [続きを読む]
  • 第9章 スア(5) 結界
  • 「ルイ様、強力な結界が張られていて、二階に行けません!」「何だって?」 クレッチとデュランも驚いた表情で兵士たちを見る。いったい何が起きているというのか。「結界を解除しようと試みましたが、我々の魔力ではびくともしません」「分かった。行こう」 ルイが立ち上がると、デュランが言った。「俺たちも行こう。俺たち三人なら何とかできるかもしれない」 王騎士直属の部下三人。今動ける最大の戦力だ。「ありがとう。リ [続きを読む]