適当館 剛 さん プロフィール

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適当館 剛さん: 斐界群史
ハンドル名適当館 剛 さん
ブログタイトル斐界群史
ブログURLhttp://hikaigunshi.blog.fc2.com/
サイト紹介文斐界という世界の出来事を、バラバラと短かい小説で書いていきます。
自由文こんにちは。斐界(ヒカイ)という世界の出来事を、書いていきます。バラバラと短かい小説をあげていきます。私はテキトーな性格なので、テキトーに書いていきます。一応一話完結なので、どこから読んでも一応大丈夫です。では、良ろしければ読んで下さいませ。

※コメントは承認制です。
※過激な表現やR18表現があるかもしれませんので、苦手な方はお避け下さい。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供53回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2015/05/09 12:25

適当館 剛 さんのブログ記事

  • 第参章 ― 胎動の風景 第伍話
  •  啻山(ていざん)は南中の夏日を浴び、緑に包まれた鮮やかな山容を誇るように、聳え立っていた。そしてその東麓に広がる大城市、啻万麓(ていばんろく)は、照りつける真昼の太陽の下、加速度的に気温を上昇させていた。 眞暦(しんれき)1806年8月15日。 因州州都の啻万麓は夏の陽気に晒されている。因(いん)州は大姚(とう)帝国三十一州の中でも東北端に位置し、全体に冷涼な気候であるが、夏季はやはり暑い。 紅白の磚 [続きを読む]
  • 第参章 ― 胎動の風景 第四話
  •  8月の朝。 軍事都市、囿治果(ゆうちか)は賑わっている。 白く塗られた兵舎が画一的にズラリと並び、その狭間を走る大路、小路を、兵装に身を包んだ多くの男女が往来していた。 兵員相手の露天商も多く、武具商、食い物屋、本屋なんぞが路傍に立って、声を張っている。夏の朝日を浴びて、皆汗を垂れ流している。「さあさ、そこの隊長さん。槍兵さん。饅頭どうだい。」「オヤジ、こないだ買ったやつは肉が殆ど入ってなかった [続きを読む]
  • 第参章 ― 胎動の風景 第参話
  • 「父上。かように公子の隆盛は明白。」 紅白に塗られた磚(せん)で仕上げられた上房(じょうぼう)は、夏の朝に熱をはらむ。東の天窓から射す日がすでに暑い。 圃韓(ほかん)の座前に拱手(きょうしゅ)する二人も緊張感ある表情を崩さず、これも房内に暑気がこもる一因のようだった。 怒ったような声で報告を続ける痩せた男は、圃韓の嫡男、圃戒仕(ほかいし)である。「たかが三千足らずの流賊を討つのに、一万の軍兵を集め [続きを読む]
  • 第参章 ― 胎動の風景 第弐話
  •  因(いん)州囿治果(ゆうちか)城の郊外、茫漠と広がる黄土平原。 美獣(びじゅう)、美佑聯(びゆうれん)の閲兵が終わり、今日の調練は解散となった。「吼了欽(こうりょうきん)。御苦労でした。」 忞番対(ぶんばんたい)と一緒に圃戒仕(ほかいし)隊四十人の無事を確認している吼了欽の右肩を、一人の武人が叩いた。「あっ。これは、困士甜(こんしてん)様。」 吼了欽が振り向けば、そこに女武者が立っていた。「お疲 [続きを読む]
  • 第参章 ― 胎動の風景 第壱話
  • 第参章 胎動の風景第参章 ― 胎動の風景 第壱話 夏の日差しが大地に照りつけ、黄土は乾ききっている。 因(いん)州囿治果(ゆうちか)の郊外に広がる、大平原。そこに銅鑼が一度叩かれ、余程大力の士が鳴らしたか、広大な荒野に響き渡った。「圃戒仕(ほかいし)隊、前進!」 吼了欽(こうりょうきん)は金色(こんじき)の兜を煌めかせて、甲高い声を張る。そして同時に、四十人の隊列が魚鱗の陣形を保持したまま、一斉に歩 [続きを読む]
  • 第弐章 ― 心酔 第伍話
  • 「吼了欽(こうりょうきん)殿。此度(こたび)のご活躍見事。おめでとうござる。」 囿治果(ゆうちか)城への帰還行軍。 吼了欽は圃戒仕(ほかいし)隊にあって隊列の監視に当たっていたが、隣を進軍する啓殉覚(けいじゅんかく)隊から一人の武官が離れ、近寄ってきた。「あ、ありがとうございまする。」 吼了欽はつい、背筋(せすじ)を正す。 その武人の声は若くて張りがあり、良く通るものだから、圃戒仕隊の多くが振り返 [続きを読む]
  • 第弐章 ― 心酔 第四話
  •  出立直前に色恋の話なぞして、いきなり背後に立った主君に軍規の緩みを叱責されるのでないかと、吼了欽(こうりょうきん)は慌てふためいた。「圃戒仕(ほかいし)様。我が隊五名、皆いつでも出発出来まするっ。」 と、忞番対(ぶんばんたい)の隣に並び、報告する。「出来まするっ。」 直立不動で忞番対も最敬礼する。 その報告を受ける圃戒仕はしかし、何も応えない。 馬上で身体を少し揺らしながら、こちらから目を逸らし [続きを読む]
  • 第弐章 ― 心酔 第参話
  •  眞暦(しんれき)1806年8月12日の早朝。 囮丘(かきゅう)の空は曇り、風が出ていた。「やった。やった。」 出発間際の慌ただしい圃戒仕(ほかいし)隊に、喜びの舞を踊る兵が一人。「うるさいぞ、忞番対(ぶんばんたい)。俺が怒られる。」「やった、描初處(びょうしょしょ)から手紙が来たのさ。」 踊る忞番対を叱る吼了欽(こうりょうきん)。しかし吼了欽は一転、「本当か。そりゃ随分、脈ありだな。」 と、祝福してみ [続きを読む]
  • 第弐章 ― 心酔 第弐話
  • 「一万ですか。こうして見ると本当に、壮観でございます。」「まったく、不足。」 兄と妹が、丘の上に立っている。 昨日まで賊が拠点にしていた山寨とは異なる場所だが、それでも囮丘(かきゅう)の中では見晴らしのいい高地で、緩やかに波打つ丘陵地帯を一望できる。 少し日は傾いたが、それでもなお8月の陽射しは強い。そんな夏空の下に一万の軍勢が展開しているが、陽炎のせいか、得体の知れぬ魑魅魍魎(ちみもうりょう)の [続きを読む]
  • 第弐章 ― 心酔 第壱話
  • 第弐章 心酔第弐章 ― 心酔 第壱話 夏空が蒼々と広がり、南中に差し掛かりつつある太陽に照らされて、混じり気無い純白の雲は眩しく光っていた。 囮丘(かきゅう)の丘陵地帯にはおびただしい幕舎が立ち、軍兵が忙しく行き交う。(戦後処理も淡々と進んでいるなあ。このぶんだと、囮丘からの撤収も早いぞ。) 昨日の激戦地を眺めながら、吼了欽はゆっくり歩く。昨日から装着したままの黒い甲冑をカシャつかせているが、金色( [続きを読む]
  • 第壱章 ― 囮丘に大軍が始動す 第四話
  •  啻山(ていざん)の緑は生き生きと鮮やかで、夏の日射しを跳ね返し、目に眩しい。 その東麓に広がる都市、啻万麓(ていばんろく)もまた、街中が光に包まれている。「私も啻万麓は十数回参ってますが、さすが『紅雪閃光城(こうせつせんこうじょう)』、いつ来ても美しい光の都でございます。」 秦(しん)州からの使者、和酬(かしゅう)が感嘆し、「そこまで言ってくれると、こちらも嬉しい。此度もゆっくりしていかれるがよ [続きを読む]
  • 第壱章 ― 囮丘に大軍が始動す 第参話
  • 「左翼は槍兵を囲めえっ。北にまだ六人、敵歩兵が残存、右翼はこれを包囲っ。急げ、必ず殲滅せよ!」 吼了欽(こうりょうきん)は肩を抑えながら地に伏し、まっすぐ屹立して指示を出す武人を見上げている。「穆薀(ぼくうん)様、ありがとうございます。」 夏の太陽が逆光となり、顔も分からなかったが、吼了欽を助け起そうと武人がしゃがんだので、確認できた。 黄檗(おうばく)艶消しの兜に、同色真円の前立てをあしらい、鼻 [続きを読む]
  • 第壱章 ― 囮丘に大軍が始動す 第弐話
  •  雲霞の如き賊軍に、只一人斬り込んでいく。「うおあああっ」 「賊軍」と記した。 正規の軍隊ではない。彼らは囮丘(かきゅう)の波打つ丘陵の内、頭一つ抜け出た高台に山寨をこしらえ、損張労(そんちょうろう)などという者を首領に据えて、野盗無頼の類を刈り集めた集団だった。数は二千とも三千とも言う。奏同啄飯道(そうどうたくはんどう)を名乗っているが、非公認と思われる。(つまりは我が因(いん)州王府正規軍に敵 [続きを読む]
  • 第壱章 ― 囮丘に大軍が始動す 第壱話
  • 第壱章 囮丘に大軍が始動す第壱章 ― 囮丘に大軍が始動す 第壱話「吼了欽(こうりょうきん)。そっちは無理だっ」 金色(こんじき)の兜越しに、忞番対(ぶんばんたい)の怒鳴り声が届く。「だめだ。俺、突っ込むよ。」 吼了欽は振り返らず、よく通る高音で返答する。右手の長剣が血でぬめり、しっかりと握り直す。 吼了欽の澄んだ瞳の前には、汚ならしい盗賊どもが、雲霞の如く展開していた。(忞番対、すまん。しかし捨て置 [続きを読む]
  • はじめに (序文など)
  • 序斐界群史 序文今私たちがいる世界「現界」に平行して、異界である「彼界」が存在する。彼界の人々は自らの世界全体を同音である「斐界(ひかい)」と呼び、その暮らしは現界の人々と共通点が多い。ここではその「斐界」に展開する歴史や風景、物語を気ままに切り取って、紹介していく。地域は、海に東面した広大な「大陸」と、その東の海上に連なる列島「陸島」を主とする。また時期は、18眞紀末以降の動乱期、現界でいう封建社 [続きを読む]
  • 「美獣を止めよ」連載開始
  • 4/6に予告しました中編小説を、5/4より連載開始します。舞台は因州。主役は吼了欽という若者。時代は眞暦1806年の夏、後に英雄化する美獣がまだ州王に就いてなく、公子の頃の話です。既出の『斐界群史 大陸編〜』は短編集でしたが、今度のは続き物の中編となります。よろしければご覧下さいませ。 [続きを読む]
  • 中編小説を連休頃に掲載し始めたいです
  • ご無沙汰しております。適当館剛です。年末にご挨拶して以来なので、丸3カ月以上経ってしまいました。ところによっては桜が満開で、雨風もあいまって、散り始めている頃合いです。さて、以前申しましたように※、これまでの短編と大きく異なる、斐界群史の中編小説を準備しております。連休前後には、掲載を始められそうな気分になってまいりました。連載を始めたとしても、また、途中で中だるみする予定です。しかし、まずは、と [続きを読む]
  • 篇外雑記 11  年表 〜 第107番
  • こんにちは。適当館剛です。【大陸篇 18・19眞紀】の更新を停止しましたが、その全104篇について、年表にまとめました。59篇目を掲載した後にも年表を整理していますが※、改めての作成となります。盪関の戦いで、美獣と塊協半の時代が終わった眞暦1822年より後は、駆け足で進んでいるのが分かります。いずれこの空白は埋めていきたいと思っています。<大陸篇 18・19眞紀   作品年表>  ※年代は眞暦です。作中年/月   [続きを読む]
  • 一度、【大陸篇 18・19眞紀】の更新を止めます
  • こんにちは。適当館剛です。斐界群史のうち、18・19眞紀の大陸で展開する短編を中心に上梓して来ました。2015年5月5日の「馬車、白青大路を走る」から始まり、3日前の「迫り来る青き波濤」まで、数えると104篇になります。ここで、大陸の短編については、しばらく更新を止めます。ちなみに正確に言いますと、「迫り来る青き波濤」は眞暦1913年の話ですので、20眞紀にあたります。後述しますが、いずれ表記を改めるつもりです。さて [続きを読む]
  • 107 迫り来る青き波濤
  •  刪回(さっかい)の痩せて皺くちゃな顔が、燭燈の灯に浮かぶ。 ところは剣(けん)州州都の劍園(けんえん)にある、経相(けいしょう)府。10月の深更、州の財務を司るこの官庁は次年度予算の編成に追われて多くの吏僚が居残り、果てを知らぬ協議、引きも切らぬ陳情への対応、神経のすり減る書類作成など、皆頼りない卓上の灯りの下で、忙殺されていた。「島倭(とうわ)の為に計上するものが多過ぎるわ。」 刪回は鶴の嘴のよ [続きを読む]
  • 106 砂漠の虎、未だ翼を持たず
  •  砂漠の風が、もうもうと砂塵を舞い上げている。 砂(さ)州西南部の城市、碁幞(ごぼく)。 黄色い砂の柱は城壁よりはるかに高く、4月の晴天を覆い隠すように立ち昇って、市中からよく見えた。「痛え。てめえ、足を踏んだな。」「あ?何を。少し爪先が当たった程度で、俺に因縁つけるか。」 眛馬婀難(マイ・マーナン)は茶屋で温かな茉莉花(ジャスミン)茶を傾けながら、街の喧嘩を眺めている。「爪先が当たった程度ぉ?し [続きを読む]
  • 105 斐界痛恨
  •  炎(えん)州西部に茫漠と広がる燐蒸原(りんじょうげん)の原野に、10万をゆうに超える大軍が整然と行軍している。 その頭上から、雷光。 6月の空はにわかにかき曇り、ややあって、猛虎の唸るが如き低音があたりに響き渡った。雨は、無い。(ここまでは、うまく進んでいる。) 屹立(きつりつ)する男が、顎に手を当て、そんな平原を見つめていた。 男は、水軍鎧を纏(まと)い、総髪かき上げて後頭部に黄の絹布で束ね、さ [続きを読む]
  • 104 細腰を抱き、乱世を想う
  •  眞暦(しんれき)1876年7月。 炎(えん)州の州都、炎勢里(えんせいり)は初夏の太陽に照らされている。 街の群衆は、天空からの陽射しを受けて、大汗を発していた。汗は流れ、飛び散り、なおまた吹き出している。それは7月の陽光ともう一つ、車駕に乗って麗后大路(れいごうだいろ)に登場する予定の、高貴なる夫妻を一目見んとする熱狂もまた、要因の一つであった。「暑そうな。」 焚学明(ふんがくめい)は尖った鼻を鳴 [続きを読む]
  • 103 教都の緑の下で
  •  蝉時雨(せみしぐれ)が街に降り注ぐ。 真夏の太陽が南天にあって、力強く輝き、柳並木の緑が陽光に呼応して鮮烈な色彩を放っていた。 時は、眞暦(しんれき)1861年8月。 珥(じ)州中部の街、璃楠(りなん)はもともと緑豊かな南国の街だが、盛夏という季節もあって、鬱蒼とした密林に石造の家々が垣間見えているような、そんな街並みである。石家は、小さな住宅から、大きな官庁、学校まで、よく見れば樹間の所々に建って [続きを読む]