舞茸 さん プロフィール

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舞茸さん: 或る成人発達障害者の愛とかなしみ
ハンドル名舞茸 さん
ブログタイトル或る成人発達障害者の愛とかなしみ
ブログURLhttp://sanpowosiyou.blog.fc2.com/
サイト紹介文ただの日記です
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供71回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2015/06/05 20:57

舞茸 さんのブログ記事

  • 夜の台所
  • こうして毎日ひとりで生きていってぼくはある日突然死ぬのかどこかに目に見えない崖があってそこを通り過ぎるときにはぼくも目に見えなくなるのか事故死悲惨な死にかただろうか潰れたトマトのように 死ぬのか自殺孤独に耐えることができず自分で自分の首に縄をかけて 死ぬのか病死こうしているあいだにも体のどこかに 死はひそんでいるのか毎日ひとりで 生きていってお父さんとお母さんは老いて亡くなり(それはどんな死にかた [続きを読む]
  • 2017年7月29日の日記
  •  ぼくは病院の待合室にいた。外は雨が降っていた。ぼくは支援者のTさんを待っていた。七月も最後の土曜日だった。時刻は午後二時前。自立支援と精神障害者福祉保健手帳の更新のためにこの用紙の質問に答えてください、と受付で紙を渡されたので、それを書きながらTさんを待った。 約束の二時になってもTさんが来ないので、いったん病院から出て電話してみると、バーミヤンにいるということだった。「約束は二時半からじゃなかっ [続きを読む]
  • 不審者の窓
  • 真夜中に外を歩いていると不審者の気持ちになる草木がなまあたたかい夜風に吹かれてゆれてわたしもゆれる夜行性の動物のひっそりとした影を連れて歩くこんな夜にはなにかを捜してまだ起きている家々のあかるい窓を覗くそこには幸せと不幸があるシチューが湯気を立てていて茶色い小型犬が敷物のうえを歩いているトイレの個室で男がうなだれているテレビに巨大なヒキガエルが映っているその横で男女が性交している老人たちは円になり [続きを読む]
  • 誰か
  • 休み時間の教室にいて「誰か」とおもっている誰かがぼくの机に来て話しかけてくれないだろうか?実はぼく夏休みのあいだにこの世界の真理を悟ってしまったんだ「本当のところ神は存在しない」そのことを誰かに話したいから誰か来ないかなできれば川本さんがいいんだけど・・・というようなことを考えている中学生のぼくは川本さんにとっても他の誰にとっても「誰か」ではなく知らない少年だったのだ実際のところ神さまはいるこの前 [続きを読む]
  • 夜の水
  • なにも書かれていない本のページをめくりながらなにかが書いてある箇所をさがす二十分くらいその作業を続けるとぼくの耳は紙のこすれる音でいっぱいになるそれはながい箒のようにぼくのあたまのなかからあらゆる言葉と音楽を掃き出してしまった ぼくの眼は本のなかにある白い地平線を見ているそこには不思議な蛇口があっていくらでも水が出てくるかすかに薬品の匂いのする水は透明でちいさな虫一匹浮かんでいない水は無限に出てき [続きを読む]
  • きみの顔がすぐそこにあってきみの胸はぼくの胸にくっついているぼくたちは腕と脚をからみあわせてなにも身につけずに布団のなかにいるこういうふうにきみと二人でいるとほんとうにすごくて全身が熱くなってくるそれは他のどんなことにもたとえることができないすぐ耳元で心臓が鳴っている音が聞こえるがこれはだれの心臓だろう細胞の一つ一つがポップコーンかなにかのように弾け飛んでしまいそうで吹き飛ばされないようにしっかり [続きを読む]
  • 或る成人発達障害者の愛とかなしみ(5)
  •  ひさしぶりに作業所に寄った。会社の帰りだった。この前寄ったのがいつだったか思い出せない。 作業所は障害者が就職して社会に出る準備をする場所だ。そういう場所に会社帰りのスーツ姿で寄るのは、「ようこそ先輩」みたいな感じだ。でも、作業所は十七時で閉まるので、ぼくが顔を出したときには明かりも消えて薄暗く、室長のMさんだけしかいなかった。 ぼくは、この室長のMさんの笑い声が「ホホホホホ」というので、以前は「 [続きを読む]
  • 走るぼく
  • 子どものぼくが走っているおっさんのぼくの胸のおくでいまも叫びながら子どもの頃のぼくは多動の傾向があったのでどこでも走った家でも走ったし外でも走った美術館でも走った転んでまぶたを切ったこともあるぼくの叫び声は大人の耳をつんざくような響きで父の機嫌を悪くさせ母をおろおろさせた道行く人は振り返ってぼくを見たいまはぼくも 子どもではなくなりすっかり大人になった子どもの頃の面影はどこにもない誰もぼくを振り返 [続きを読む]
  • みどりのめつぼう
  • みどりはいまみかづきのようなかたちをしていてさんちょうめのこばやしさんのいえのにわからとしょかんのうえこみまでみどりはいまおうぎのようなかたちをしていてこうえんのぶらんこのうしろのくさむらからおてらのたけばやしまでみどりはいまいちばんうつくしいみどりはいまいちばんしんじつだでもきのうあんなにすばらしかったみどりがきょうはべつのばしょへとうつっているきのういちばんあざやかにみるくいろのそらをそめあげ [続きを読む]
  • 或る成人発達障害者の愛とかなしみ(4)
  •  座って落ち着いて電話のできる場所を探すためにいつもは来ない駅の反対側に来た。駅の反対側に来るのは初めてなんだけど、なんだかなにもなさそうだった。曇り空のしたを歩き回った。二階のベランダに犬がいて、その犬が僕に向かって吠え続けていた。僕は変に見えるのだろうか?犬には野生の勘でそういうのがわかるのかもしれない。 僕は会社を早退してきたのだけれど、会社のロッカールームから支援者のT沢さんと病院の先生に [続きを読む]
  • 或る成人発達障害者の愛とかなしみ(3)
  •  夕暮れ時の町を見ながら考えた。パン屋の前で、信号待ちをしていた。スーパーの袋には、いなばのタイカレーの缶が入っている。赤、橙、黄、緑。四色のいなばのタイカレー。 「以前、僕には、雑炊ばかり食べていた時期があった。時期と言っても一ヶ月にも満たない。 それから、風邪を引いた。風邪を引いたら食欲がなくなってしまってそのあいだはずっとうどんを食べていた。雑炊を食べていた時期と同じように、食べ始めた頃には [続きを読む]
  • 或る成人発達障害者の愛とかなしみ(2)
  •  缶コーヒーを昼食にしている。 「お昼ごはんに行ってきます」と言って、自動販売機で缶コーヒーを買う。微糖の缶コーヒーを買う場合が多い。普段はブラックなんだけど、少し糖分を摂ったほうが、エネルギーが出る気がしている。 なぜ、缶コーヒーが昼食なのかと言うと、会社の注文してくれるお弁当に、心の底から飽きてしまったからだ。一年間、食べ続けて、ぜんぶのメニューを食べ尽くして、そして、飽きた。 他にも、風邪を [続きを読む]
  • 或る成人発達障害者の愛とかなしみ(1)
  •  仕事に疲れたので自分の部署のある階を離れて、八階の食堂に行った。そこから、窓の外の風景を眺めた。ここら辺は田舎なので、いま、僕のいる会社の建物がいちばん高くて、遠くまで見ることができる。四月で、まだ春のはずだったけれど、この日は夏のように暑く、よく晴れていた。 最近、僕は眼鏡を新しくした。眼鏡のレンズも前のより度の強いものに替えたので、こうやって風景を見ていても、以前は見えなかった細かい部分まで [続きを読む]
  • 最近考えていること
  •  自分のことがなんだか以前よりよくわかる感じがする。よくわかる感じ、というよりは、わかりそうな感じがする。もう少しでなにかひらめきそうだ。 でも、わかってもここには書かないし、人には言わないことにしようかと思っている。 自分がいかにつまらない人間なのか、なんてことは黙っているに限る。 昨日は、発達障害の当事者会に行ってきた。 当事者会なんてものをやる人間は、みんなまじめだ。まじめなのはいいのだけれ [続きを読む]
  • 舞茸の鞄
  •  お昼ご飯を食べに食堂に行こうとエレベーターに乗ったら、最近、他の部署に入ってきた男の子と一緒になった。 こういうときには「仕事は慣れましたか?」と、ちょっと先輩ヅラして訊いてやるのが礼儀なのかとも思ったけれど、なんだかそういうのはやりたくないし、面倒くさいという気持ちだったので、何も言わずに黙っていることにした。 しばらく黙っていると、向こうから声をかけてきた。 「心配性なんですか?」とそいつは [続きを読む]
  • ビートルズ・新玉ねぎ・小学生新聞
  •  ビートルズにハマっている。いまさら、ビートルズかよって感じもするけど、やはり、いいな。 いまは、「ホワイトアルバム」を聴きながら、この文章を書いている。ビートルズの良さは、一曲、一曲が短いことだと思う。ボブ・ディランのように、同じメロディを延々と繰り返し歌い続けたりしないし、歌詞も素直だ。 この軽さが音楽の本来の魅力なのではないかという気がしてきた。 最近の、僕は、重いものを受け付けなくなってい [続きを読む]
  • 新しい眼鏡を買いに
  •  眼鏡を新しくしようと思ったのは、たとえば、僕が、街コンに参加するとして、相手の女の子に、「なんだ、この男は、眼鏡のレンズが傷だらけではないか」と思われるのが嫌だったからだ。そういう、見栄と下心から、長いあいだ使ってきた眼鏡を新しいものに変えようと思ったのだ。これは、つまり、俗に言う「エロメガネ」というやつなのかもしれない、なんてことを思ったけど、考えてみれば、傷だらけになった眼鏡を買い換えようと [続きを読む]
  • 食生活の乱れ
  •  定期的に自炊することに飽きてしまう。僕が自分で料理するのは、夜ご飯だけで、いつも、丼ものか、パスタ、それか、焼きそばを作る。基準は、量があって、作るのが簡単で、一品でお腹がいっぱいになる、ということだ。メニューによっては、インスタントのわかめスープをつける。最近は、雑炊もレパートリーに加わった。 無理して、凝ったものを作らないようになってから、わりと、長く自炊が続いていたんだけれど、今週は、食生 [続きを読む]
  • 考え事の続き
  •  僕は、だいたい、一週間前までのできごと、考えたことをテーマに文章を書いている。すると、書いたことが、意外に早く古くなってしまう、ということに気がついた。なんというか、自分にあったできごとは、遠くなるほど、確実になって、古くなりにくくなるのではないかと思う。遠くなるというのは、つまり、昔になる、という意味だけれど、何が言いたいのかと言うと、子どもの頃の思い出、のようなものは、それが遠くにあるので、 [続きを読む]
  • 三月
  •  春っぽくなってきた。そのせいか、最近、妙に体が軽い。でも、なんとなく忘れものをしてきたような、不思議な気持ちもする。たとえば、傘のようなものをどこかに忘れてきて、いままで持っていたものを持っていないような感じだ。 以前、新聞で、好きな季節はいつですか?という読者アンケートのような企画があって、その記事で印象に残っている部分がある。それは、人は若い頃は秋を好む傾向にあるが、年を取るにつれて、春を好 [続きを読む]
  • ロボット・イルカショー・弟
  •  毎日、ロボットになったつもりで働いている。今日は、おもしろい話をしたい、と思っています。仕事中は、仕事のことは、考えない。何故、詩人である自分が、こんな無味乾燥な事務仕事をしているのか、などということは、考えない。 頭のなかでは、他のことを考えるようにしています。頭のなかだけでも、自由にしておきたい。谷川俊太郎の詩で、自分が好きな詩を十、選ぶとしたら、とか、ボブ・ディランで五曲選ぶとしたら、とか [続きを読む]
  • 無気力な貴族
  • しんじつの姿ほとんどはだかにちかい格好でカーテンを開けるのも億劫なのでほとんどはだかにちかい格好で 萩原朔太郎の詩を読む無気力なおれは 日頃はサラリーマンのようなふりをして通勤電車のなかで 英単語を暗記しているのだけどけれどもそれも 敵の目をあざむくためでしんじつの姿無気力なおれは カーテンの隙間から見えるあかるい外の世界を 憎みながら詩を読む憎んで 憎んで憎みながら詩を読むしんじつの姿一匹の こ [続きを読む]
  • ミスター・犬死に
  • ミスター・犬死には 高層ビルの影にいるミスター・犬死には 監視カメラにピースするミスター・犬死には白いバラミスター・犬死には 母犬のあたたかな腹のなかで死んだミスター・犬死には よく磨かれた白いタイルの床のうえで死んだミスター・犬死には 映画女優の瞳のように青い空のしたで死んだ死因は退屈ミスター・犬死にの 恋人の映画女優はミスター・犬死にはいままで付き合った男のなかではいちばんつめたかったと言った [続きを読む]
  • 偽善者
  • これはニセモノの先端で青ざめているものつめたい命の持ち主で愛を知っているようなふりをしているもの安酒と珈琲を交互に飲み飲食のための金銭を惜しまぬものふるえる首の持ち主ああ 偽善者よおまえはおまえの父親から教わった人間には魂がないことを世界には神がないことを引き裂かれた唇を持った女を憐れむことを占い師がおまえの干からびた心を千の舌で愛撫する時メリーゴーランドが停止して一週間後にほのかにあたたかいもの [続きを読む]