ちぇん さん プロフィール

  •  
ちぇんさん: 書は言を尽くさず、
ハンドル名ちぇん さん
ブログタイトル書は言を尽くさず、
ブログURLhttp://chen.hatenablog.com/
サイト紹介文ミステリ、ホラー、その他小説の感想文・書評サイト。年間50冊読了を目標に、読んだ本は全て投稿!
自由文好きな作家は、島田荘司、大山尚利、吉田修一、森博嗣、森見登美彦、西尾維新、舞城王太郎、麻耶雄嵩、伊坂幸太郎、小林泰三、浦賀和宏、貴志祐介、佐藤友哉、北方謙三、法条遥、初野晴、白河三兎等。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供48回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2015/06/14 10:09

ちぇん さんのブログ記事

  • 森博嗣 『神様が殺してくれる』
  • 美し過ぎる青年と連続殺人事件。そして、かつてパリの大学生であった頃、その青年とルームメイトであった「僕」。森博嗣の作品で海外が舞台となるのは比較的珍しい。パリ、フランクフルト、台湾、東京など舞台は移り変わるが、まさか旅情のようなものを森博嗣に期待すべきではなく、成果も推して知るべしと言ったところか。ただ、多国籍の登場人物が会する場で誰々はここは英語で話した・フランス語が通じただとか、得意としない言 [続きを読む]
  • 貫井徳郎 『我が心の底の光』
  • [asin:4575238880:image]人を殺めた父を持ち、伯父一家に引き取られて暮らす少年の生き様を描く。主人公の年齢ごとに章が分かれる形だが、もっとエピソードが連なるのかな、というタイミングで年代ジャンプが発生。連載雑誌の紙幅の都合か、バランスを加味した結果か。「過去」は描くが「現在」の描写には渋る。貫井徳郎ならもっと描けるだろう、と思わせる中途半端さ。終盤明らかになる真意には一捻りあり。敢えて「外す」ような [続きを読む]
  • 西尾維新 『非衛伝』
  • 伝説シリーズ第eight作。四国→世界と広がって来た舞台は更に宇宙に広がる。とはいえ、物語の殆どは人工衛星という閉鎖空間の中で展開する「交渉劇」。バトル要素は成りを潜め、それぞれの思惑を持ったキャラクターたちが舌戦なり腹芸なりを繰り広げる。西尾維新のキャラ造型や会話文、どでかいハッタリなどを存分に楽しめるという点ではシリーズ屈指かもしれない。本シリーズもあと2作。四国にいるのは長過ぎたが、四国で得たモノ [続きを読む]
  • 舞城王太郎 『深夜百太郎 入口/出口』
  • Twitterで毎日発表された百物語を単行本化。1編ごとに著名な写真家・佐内正史の写真も挿入される。舞台は舞城作品お馴染みの福井県西暁町と東京都調布市のいずれかに限定されるが、内容は人外幽霊キチガイなどバリエーション豊か。古今東西ありとあらゆるホラーの様式を集めたようなショートショート。スピード感のある文体、真理を語るような会話文、そして自己完結性。舞城の肝が抜き出されたような濃厚さを感じることができる。 [続きを読む]
  • 澤村伊智 『ぼぎわんが、来る』
  • 日本ホラー小説大賞受賞作。「ぼぎわん」なる異形の来訪とそれに抗う家族ら。3つの視点人物による章立てによる物語の牽引力、恐怖に紐付く心理描写と過去の背景、異形にかかる伝承の「それらしさ」など、一つ一つがそつなくこなされており、新人離れした実力があるのは確か。「ぼぎわん」とのラストバトルはまさに大賞らしいクライマックス。纏まりのある作品だが、飛び抜け感は特になかった。次回作を読むか否か。 [続きを読む]
  • 野崎まど 『舞面真面とお面の女』
  • かつて財閥を築いた旧家に伝わる箱と石と仮面に関わる謎。様々な「天才」を描く野崎まどだが、本作での「天才」の見せ方はデビュー作や以後の作品と比べるといまいち映えない。些か大仰な風呂敷広げや軽妙な会話だとか、いかにも野崎まど作品らしいパーツばかりではあるが、本作に限っては自ら上げたハードルが高過ぎたか。ともかく方向性策定という意味での2作目としては大いに価値ある作品。 [続きを読む]
  • 名梁和泉 『二階の王』
  • 第22回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。ひきこもりという現代社会の課題にクトゥルフ神話らしき要素を取り入れた怪作。とにかくスケールの大きい物語を描きたいという欲求が伝わってくる。登場人物の多さとパニックホラー要素によるせわしなさが物語への没入を疎外する。何だかよく分からない人物がよく分からないが行動している、という感じ。序盤はまだ人物描写に文章を割いているが、主要人物にもう一味ずつエピソードがあれば [続きを読む]
  • 『VS.こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所ノベライズアンソロジー』
  • 『こち亀』と6作品が小説でコラボ。初野晴目当てで手にしたため、ハルチカ以外の5作への知識はほぼない(東川篤哉はデビュー作のみ読了、オーフェンはアニメを見ていた程度)が、両津勘吉の描写だけで参加作家たちのこち亀愛が分かり、楽しく読めるものである。初野晴、東川篤哉あたりは短編ミステリとして良い仕上がり。流石ベテラン。おそ松さんやガルパンやチア男子は、両津がアウェーに乗り込む感じで、コラボ先の特色を活かし [続きを読む]
  • 小林泰三 『記憶破断者』
  • 主人公・田村二吉は前向性健忘症で、30分以上記憶を保持できない。実は著者の作品では『奇憶』『忌憶』などでお馴染みの登場人物。本作では人の記憶を改変する凶悪犯罪者と二吉の戦い等が描かれる。小林泰三のミステリは設定の使いこなしが非常に巧妙で、本作では記憶に関するルールを上手く活用している。実際の前向性健忘症患者の思考が本作のように都合よく?消えたりするのかは良く分からないが、とにかくエンタテインメントと [続きを読む]
  • 山白朝子 『エムブリヲ奇譚』
  • 『幽』連載作品を9編収録。「旅本」書きの和泉蠟庵と荷物持ちの耳彦の、不思議な旅道中。人外あり、鬼畜あり、卑劣漢ありの怪談ホラー。この作家は決して多くない文章量で読み手の心を揺さぶるのが本当に巧い。最初の2作(表題作と「ラピスラズリ幻想」)が最たるもので、導入として完璧に近い。精神的にも肉体的にもズタズタにされてしまうが存外タフな耳彦という人物にも魅力を感じる。続編も楽しみにしたい。 [続きを読む]
  • 早坂吝 『誰も僕を裁けない』
  • 上木らいちシリーズ第3弾。女子高生かつ売春婦を探偵役とする著者のデビュー作から連なるこのシリーズ。前作はノンシリーズ『RPGスクール』でイマイチな方向に脱線したが、本シリーズで巧いことエロミス方面に戻ってくれた。本格ミステリとエロ、というか性描写の融合は新機軸。性を小説の彩りとしてではなくミステリを構成する要素として、煽情的にはならず技巧的に仕上げる様は見事の一言。どうも性描写というものは、著者の理想 [続きを読む]
  • 白河三兎 『十五歳の課外授業』
  • 15歳の中学生という思春期の若者を主人公とする点はいつもの白河三兎作品だが、今回趣きが異なるのは若さの悪い面に着目している点。どこか大人びた、本質を見通したような主人公・視点人物が白河作品には多数出てくるのに対し、今回の主人公は決してそうではない。現状維持を貫くために嘘と悪手を積み重ねて行く様は、正真正銘若気の至り。まぁただでは終わるまいと踏んで読み続けた結果、終盤の展開はもうお察しというか、小説と [続きを読む]
  • 雀野日名子 『山本くんの怪難 北陸魔境勤労記』
  • 著者の本領発揮、田舎社会を舞台としたホラー(怪談)。他の作品では県名をイニシャルにしたり、架空の市町村を用いたりしていたが、本書は県名を出しての福井県いじり。田舎の閉鎖的なムラ社会、北陸新幹線の開業で沸き立つ石川県との対比、無軌道な町おこし、共働き率の高さの背景等々。とにかく福井についてロクでもない扱いをするが、これらはいずれも愛憎半ばの複雑な感情が為せる技であり、よくある自己愛による自虐と言える [続きを読む]
  • 浦賀和宏 『緋い猫』
  • 戦後のGHQ支配下の日本が舞台。主人公・洋子は共産主義者と恋に落ちるも、彼は失踪。その足跡を辿り青森の小さな村へ向かう。戦後という時代設定やGHQ・プロレタリア・下山事件などの史実に沿った題材は、著者が今まで扱ってこなかった要素。作家としての幅が広がる片鱗は見せるものの、一つ一つを深く掘り下げることはしないため、軽い味付け程度にしかなっていない。また、平易な文章のタイプの浦賀作品でリーダビリティは優れて [続きを読む]
  • 『人狼作家』
  • ミステリ作家による人狼ゲームのリプレイ本。人狼ゲームは名前を聞いたことがあるくらいの予備知識しかなく、冒頭のルール説明を都度都度見返しながら読み進める。ルール熟知前提のミステリ作家の発言は自分には難解過ぎる。初期装備でいきなり上級者部屋に入ってしまったような感じなのだろう。プレイヤーはキャラクターを与えられ、どの作家がどのキャラクターを演じているかはゲーム終了まで明かされない。文章はチャットの会話 [続きを読む]
  • 北山猛邦 『先生、大事なものが盗まれました』
  • 初の講談社タイガ。探偵と怪盗が育つ島を舞台とした本格推理。怪盗もののミステリで「どうやって」「誰が」「なぜ」盗まれたかを問う作品は多数あれど、「何が」盗まれたかが謎となるものは珍しい。正直、その試みが効果を表したか疑問符がつくものもあるが(第1話)、このチャレンジは面白い。それでもやっぱり地図、見取り図はある。物理の北山、見取り図好きの北山。続く、の言葉で本書は結ばれるが、続編も同じコンセプトだろ [続きを読む]
  • 西尾維新 『人類最強の純愛』
  • 最強シリーズ第二弾。『メフィスト』掲載の5編を収録。西尾維新の牽強付会の極まりというか、キャッチーなタイトルにどうにか内容を近付けていくような作りの印象。特にこの最強シリーズは、戯言シリーズで確固たるキャラクター性を確立させた人物が主役。なかなか作者の思うようには動かせず、結果タイトル負けしてしまうのではと思う。別に作品としてつまらない訳ではないのだが、ハードルを自らタイトルで上げてしまう感じ。そ [続きを読む]
  • 貫井徳郎 『私に似た人』
  • 主に雇用不安により小規模なテロ「小口テロ」が頻発する政情不安定な近未来の日本を舞台に、老若男女様々な視点で物語が描かれる。群像劇のように各々の人生を一応描きはするものの、どうもステレオタイプというか素朴な人物が多く、リアルな人の生臭みのようなものに欠ける。リアルさの拡がり・遊びに欠ける、仕草や癖等の表現不足という方が妥当か。ただ、この素朴な人物像は、反面リーダビリティの高さにも繋がっている。バラン [続きを読む]
  • 伊坂幸太郎 『残り全部バケーション』
  • いずれも異なる雑誌・アンソロジーに収録された短編に書き下ろしを加えた連作短編集。1編ごとに籠められたミステリだとか、1冊として総合する物語だとか。そして裏稼業を営む物騒でありながら憎めないキャラクターたちの存在により、まさに伊坂幸太郎としてオーソドックスな作品として仕上がっているように思う。また、このラストシーン余韻の残し方も著者が「よくやる」パターン。最早職人のようだ。 [続きを読む]
  • 森博嗣 『常識にとらわれない100の講義』
  • 森博嗣実用書シリーズ。見開き2頁につき1テーマで綴られる森博嗣の「講義」。1つの話題について2頁程度なので、回りくどい言い回しや具体例を詳細には解説せずに簡潔に考えが述べられる。突き放した感じもあるが、考える余地を与えられるようにも思う。ただ、冒頭で自ら認める通り、目新しいものもあるものの、今までどこかで見たような森博嗣の主張の方が多い。似た話題を繰り返しても気にしないのも、「何にも拘らない」主義の一 [続きを読む]
  • 雪富千晶紀 『死呪の島』
  • 日本ホラー小説大賞受賞作。タイトルからして古式ゆかしい孤島の呪いにかかる物語と想像されるが、半分当たりで半分予想を外してくる。貴志祐介の選評が最もしっくりくる。由来を問わない怪異のごった煮。ごちゃ混ぜ感を落ち着きがないと捉えるか、豪華詰め合わせと感じるかの差で、評価が割れそう。後者で捉えたとしても、最初の怪異がインパクト最上で、右肩下がって行くような点は残念。文体が落ち着きがあるからか、パニックホ [続きを読む]
  • 小林泰三 『安楽探偵』
  • l所謂アームチェアディテクティブ、安楽椅子探偵もの。小林泰三のミステリものは、大粒の一撃ネタというよりも小〜中粒なネタを異様なキャラクターや会話で飾り付ける短編向き。本作もご多分に漏れず、多彩かつ多才な小林泰三の一面を伺うことができる。最後の一編で見せた結末は、極めて目新しいというものではないが、過去から議論される探偵論に対して小林泰三が自身の言葉で解答した結果とも言えるだろう。尚、独特の回りくど [続きを読む]
  • 枝松蛍 『何様ですか?』
  • このミス大賞「隠し玉」ということで一筋縄ではいかない予感のとおり。高校生ならではの過剰な自意識と自意識のぶつかり合い。「ファイナルプラン」とは一体。「痛々しさ」にしつこくスポットを当て続ける嫌ミスとして面白みはあるが、小手先でこねくり回している印象。もっともっと引っ掻き回しても良かったのではないかと思う。応募時は、作中のブログに実在する書籍の書評も含まれており、選考委員を呆れさせたらしいが、出版時 [続きを読む]
  • 白河三兎 『ふたえ』
  • 修学旅行の班分けで余り物が集まった「ぼっち班」。個性的な転校生の手代木麗華を中心に、修学旅行の舞台で起こる様々な出来事。これぞメフィスト賞とでも言うべき、自意識とミステリの結集体。著者は講談社ノベルスの枠からはとうの昔に抜け出しているが、当初より一貫して青春小説のような繊細さ・機微を描き続けている。本作もその特徴に変わりはないものの、ややミステリ的な試み・企みを含んでおり、ルーツはメフィスト賞にあ [続きを読む]
  • 野崎まど 『[映]アムリタ』
  • 映像系大学生にして天才映画監督が撮る、天才の映画とは。軽妙な会話文、ぶっ飛んだ少女、天賦の才と凡人、風呂敷の広げ方と畳み方。著者のデビュー作にして、既に野崎まど式が全て出来上がっているような印象。本書のキーワードの一つに「天才」があるが、この単語をうまくハッタリをかますことができるかが、この手の超人を描く小説や作家のポイント。森博嗣は別格。著者はそこには至らぬが西尾維新は越えていると思う。 [続きを読む]