ちぇん さん プロフィール

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ちぇんさん: 書は言を尽くさず、
ハンドル名ちぇん さん
ブログタイトル書は言を尽くさず、
ブログURLhttp://chen.hatenablog.com/
サイト紹介文ミステリ、ホラー、その他小説の感想文・書評サイト。年間50冊読了を目標に、読んだ本は全て投稿!
自由文好きな作家は、島田荘司、大山尚利、吉田修一、森博嗣、森見登美彦、西尾維新、舞城王太郎、麻耶雄嵩、伊坂幸太郎、小林泰三、浦賀和宏、貴志祐介、佐藤友哉、北方謙三、法条遥、初野晴、白河三兎等。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供73回 / 285日(平均1.8回/週) - 参加 2015/06/14 10:09

ちぇん さんのブログ記事

  • 森見登美彦 『聖なる怠け者の冒険』
  • とある怠け者の土曜日を描いた長編小説。怠惰な腐れ社会人を主人公として、宵山の催される京都を舞台に、謎のヒーローが活躍したり秘密結社などが暗躍したりミーツガールしたり。そして人外。森見のいいとこ取り感は強い。著者あとがきにて仄めかされている通り、他作品とのリンク…所謂スターシステムのような趣向もある。尤もこれは著者の得意技の一つでもあるが。新聞連載という著者の新境地で描かれた作品であり、連載版と単行 [続きを読む]
  • 森博嗣 『赤目姫の潮解』
  • シリーズとしては百年シリーズの第3作とされる。偶像(アイドル)的な存在の赤目姫を中心に、それを取り巻く二人の男、そして緑目王子・紫王など様々なカラーアイを持つ人々が代わる代わる登場する。中盤より幻想性が極めて強まり、定まっていたはずの視点もぼやける。森博嗣が得意とする抽象化を小説で以って表現したものか。 また、幻想性の一方で哲学的物言いも増加する。『スカイ・クロラ』シリーズともまた違う抽象性であり、 [続きを読む]
  • 殊能将之 『殊能将之 未発表短篇集』
  • 殊能将之没後に発掘された短編等をまとめたもの。短編は3つで媒体等への発表がない丸っきりの未公開作品。「犬がこわい」はともかく、「鬼ごっこ」「精霊もどし」は著者自らが生前認めていた通り、本格ミステリとしての期待を持ってしまうとやや肩透かしになるかもしれない。この辺り、著者の本質を表すような特徴を持った作品かもしれない。最後の「ハサミ男の秘密の日記」は、過去に雑誌『メフィスト』に収録されたもので、日記 [続きを読む]
  • 『十年交差点』
  • テーマは「十年」のアンソロジー。著者は収録順に、中田永一、白河三兎、岡崎琢磨、原田ひ香、畠中恵。SF設定かつ泣かせる話の中田、トリッキーで世知辛い白河は普段通りと言える。岡崎は初めてだが、手堅いお泣かせという印象。少しだけ、表現上の言い訳がましさを感じるが、作家性かこの主人公特有なのかは不明。原田も初めて。「十年」というテーマに一番素直に取り組んだ作品か。映像前提なのだろうか、文章力と会話文が親切で [続きを読む]
  • 浦賀和宏 『ifの悲劇』
  • if。もしもあの場面で違う選択をしたら、というパラレルワールドの想像が冒頭で語られる。本作では「犯行直後に目撃者を殺した場合」「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」という章題を付け交互に物語が綴られていく。なんとも上手いこと納める方の浦賀和宏で、器用にミステリとして着地に落とし込む。なお、じゃない方は、しっちゃかめっちゃかにしちゃう方。途中から出てくる某シリーズとのリンクも面白い。あの人はホント散々 [続きを読む]
  • 小林泰三 『クララ殺し』
  • 前作『アリス殺し』に続く、幻想的創作物世界と現実的地球世界をアーヴァタール(所謂アバター)によってリンクしている設定で、井森など登場人物も一部共通する。SFミステリの一種で、一方の世界で殺された者はもう一方の世界でも死を迎える点がポイント。この設定を活かしたトリッキーさはあるが、前作も同様の設定であり新鮮味に欠けるのは否めない。元ネタが前作は『不思議の国のアリス』だが、本作はE.T.A.ホフマンの作品群で [続きを読む]
  • 早坂吝 『双蛇密室』
  • 上木らいちシリーズ第4弾。本格ミステリとエロの融合を図るこのシリーズもここに極まれり、というべきか。シリーズ通しての特徴としては、あくまでエロ要素・下ネタ等々が謎の一部や謎解きのヒント・手段としてミステリの成立のために配置されている点。描かれる内容について下品であるのは間違いないが、不快感を覚えるような作りにはなっていない。本作も、事象だけを見つめると極めて胸糞展開を含むわけだが、どうも心には響か [続きを読む]
  • 名梁和泉 『マガイの子』
  • 子ども攫い・取り替え子をミックスしたような田舎の山村の伝承「マガイ」から始まり、山村と東京の物語が並行。交差するポイントに大きな物語の山場を作るという、いかにもエンターテインメントな構成。伝承をベースにした古式ゆかしきホラーと思いきやそうではなく、不穏なNPO法人・村八分・児童虐待など様々な要素を取り入れてくる。ごった煮感は強い。なお、登場人物の多さにより取っ付き辛さを感じるのは、デビュー作『二階の [続きを読む]
  • 初野晴 『ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外編』
  • ハルチカシリーズ番外編。4編+αの短編集。個性豊かなメンバー揃いの吹奏楽部だが、本編はなんだかんだで主人公組のハルチカ視点。番外編ではハルタとチカ以外のメンバーを視点人物とすることで、サブキャラの心理面から掘り下げを行っている。各話にとも苦味走ったエピソードが含まれるのもこの作家のこのシリーズならでは。あと、最終話において芹澤さんが可哀想……何というか今後に期待。 [続きを読む]
  • 西尾維新 『人類最強のときめき』
  • 人類最強シリーズ。人類最強の請負人・哀川潤が活躍する短編集。人類最強の能力を持ち合わせるが故に面倒な出来事に巻き込まれる哀川潤。さながら私立探偵のように大それた事件を解決というか程良い落とし所に落ち着ける様は、西尾維新の小慣れた風呂敷の畳み方を感じる。「活字を破壊せよ」などはその最たるもの。誰もが納得するような解は返せなくても、そこそこ誰かしらの腑には落ちる。そんな器用さが垣間見える作品。なお、タ [続きを読む]
  • 白河三兎 『計画結婚』
  • 主人公たる女性は容姿端麗・スタイル抜群ながら、その性格と態度によりコミュニティの中心にはならない。その女性の結婚式が舞台となり、取り巻く人物らの述懐により女性の本質が描かれていくスタイル。白河登場人物らしい「捻くれ」を「真っ直ぐさ」という魅力として主張する論法。普段は成る程と腑に落ちるものがあるが、本作は牽強付会な印象が強い。相性だろうか。気持ちが解ると赦せるは別物であり、その壁を感じた。なお、ス [続きを読む]
  • 貫井徳郎 『壁の男』
  • 町の家々の壁に稚拙だが魅力的な絵を描く男。男が壁に「絵を描く」という事実(謎)が先に示され、「なぜ」を求めて男の出自・家族等々の背景が次々描かれていく。ひとりの人生を綴っていく筆運びはまさに「絵を描く」という行為との同義性を感じる。が、結末を迎える段階で「なぜ描くのか」という点を読者に納得させられそうかというと、どうも疑問符は残る。エピソード間の整合性面で気になる点が多いためだろう。雑誌連載ものの [続きを読む]
  • 飛鳥部勝則 『黒と愛』
  • 飛鳥部勝則の2017年6月時点最新長編。「奇傾城」なる旧建築物、嵐により外部と遮断された閉鎖空間、密室殺人など、本格ミステリのガジェットをこれでもかと言わんばかりに多用。懐かしき新本格ミステリらしさを感じる作品。飛鳥部勝則といえば独特の雰囲気作りが特徴。ホラー風のエログロ要素には耽美的な趣向も感じられる。それより何よりエキセントリックな登場人物達……とりわけ美少女の描写には個性が溢れている。これを厨二 [続きを読む]
  • 綾辻行人 『人間じゃない』
  • 単行本未収録の短編を刊行順にまとめた短編集。ジャンルもテーマも分量も一編ごとに異なる統一感のない短編集だが、綾辻行人の多面的な特徴を掴めるとも言える。新本格ミステリの代表格として知られる著者だが、本人の趣味趣向としてはホラーの方が好みなのは本書を読んで確かに感じるところ。ホラーに必要な雰囲気作りの巧さは著者のセールスポイントであり独特な作家性でもある。しかし個人的にはそこまで怖いホラーでも興味深い [続きを読む]
  • 小林泰三 『失われた過去と未来の犯罪』
  • 小林泰三お得意の記憶を題材として扱う作品。長期記憶の保持が不可能となった未来を舞台としたSF作品であり、第1章では記憶保持困難となった事態の発生直後を独特の理屈っぽさで描くことで世界設定の説明を丹念に行い、第2章ではこの設定下でのオリジナリティ溢れる物語を短編集に近い形式で複数綴る。SFは想像力が問われるジャンルで、小林泰三の理詰めなスタイルが充分に活かされる。各編に加えられたミステリ要素の味付けも程 [続きを読む]
  • 野崎まど 『2』
  • 同レーベルで刊行済みの5作『[映]アムリタ』『舞面真面とお面の女』『死なない生徒殺人事件』『小説家の作り方』『パーフェクトフレンド』総てについての続編。所謂スターシステムを想像させるが、登場人物と世界設定を共有するだけではなく、物語の筋も中心人物もほぼ引き継いでいる地続きの構成。前作までのエピソードを伏線として用いている部分もあり、もしや過去作は全て本作のために書かれたのか、という疑いすら覚えさせる [続きを読む]
  • 島田荘司 『御手洗潔の追憶』
  • ファンブック等での御手洗潔関連の短編を集めたもの。収録作のうち、「天使の名前」は御手洗潔の父親にかかる戦時中のエピソード。名文続きで、確かな筆力・文章の圧と熱量を感じさせる。本書のベスト。しかし。その後は犬坊里美文体に脱力、レオナの自己愛を押し付けられ、石岡先生の好きなコンビニ弁当を教えられたり、過去の著作の無粋なほじくり返しやネタバレを受けたり。余韻を挟む猶予なしというのは、如何なものか…。必要 [続きを読む]
  • 雀野日名子 『笑う赤おに』
  • WEB連載作品の単行本化。著者お得意の要素である、地方の過疎化・高齢化やムラ社会の閉塞感は健在。本作はそれに加えて、「2人殺してこの街にやってきた」とWEBで公開する殺人犯の謎を追う展開となる。謎の解明は「なるほど」であり、辿り着く各人物の結末は興味深いものではあるが、やや都合が良過ぎるのと、詰め込み過ぎの感あり。連載作品ゆえの「おさらい」、複数視点(主婦、フリーター、リーマン)の状況描写などでクドい仕 [続きを読む]
  • 山白朝子 『私のサイクロプス』
  • 和泉蝋庵シリーズ短編集。『エムブリヲ奇譚』続編。「旅本」作家の和泉蝋庵と荷物持ちの耳彦と出資者からの監視役の輪、3人の旅道中が描かれる。悲哀あり、人外あり、不可思議あり、グロテスクあり。方針は前作と変わらない。輪がレギュラー化し、耳彦との口喧嘩が一つのフォーマットになっている点が変わった所か。相も変わらず散々な目に遭い続ける耳彦。場面場面では繊細な心持ちを見せ、一生立ち直れないのではと思わせるよう [続きを読む]
  • 小杉英了 『赤い呪縛』
  • デビュー作ではファンタジー、第二作では近未来SF要素を取り入れたエンターテインメントホラーを描いてきた著者だが、本作は打って変わって現代が舞台。校正を生業とする女性を主人公とするモダンホラーというか、サスペンスというか。校正者という仕事について、まさに校正の対象となる小説という媒体で扱うことの勇気というかチャレンジ精神は素晴らしい。ただし主眼はそこにはないようで、様々な女という生き物と男を描いている [続きを読む]
  • 早坂吝 『アリス・ザ・ワンダーキラー』
  • ジャーロ連載作品の単行本化。『不思議の国のアリス』を見立てたバーチャルリアリティ推理ゲームに挑む、現実世界の少女アリスの物語。早坂吝と言えば下ネタと本格ミステリという印象だが、本書では前者の特徴はなりを潜める。『RPGスクール』で見せたようなゲーム要素を前面に出したもの。推理ゲームとしての面白みは宜しいが、ルイスキャロルへのリスペクトとしてはどうか。『不思議の国のアリス』をベースにブラックジョーク風 [続きを読む]
  • 白河三兎 『小人の巣』
  • 「小人の巣」なる、相談すれば楽に死ねる薬をくれるという自殺幇助サイト。そこへの相談者の物語を中心とした連作短編集。本書は様々な形での「自殺願望」が描かれる。鬱屈ばかりでもない。個々当人にしか計れない思いが描かれる。白河作品ならではの正鵠を射るような会話文は健在だが、泣かせにかかる様はストレートな作品かもしれない。もう一味、個人的には欲しかった。 [続きを読む]
  • 『四畳半神話大系』
  • アニメ版の特別放送(映画『夜は短し歩けよ乙女』公開記念)視聴後の再読。舞台は京都で、腐れ若者と如何わしい人物が頻出する点はいかにも森見登美彦。森見作品のルーツは本作と『太陽の塔』、そして『夜は短し歩けよ乙女』で大所は整っている。また、森見文体の持つ唯一無二の洒脱さは色褪せない。ところで、最近の作品よりも一文一文に籠められたパワーが強いように感じるのは自分だけだろうか。ここから本書(原作)とアニメ版 [続きを読む]
  • 古川日出男(訳) 『平家物語』
  • 源平合戦にかかる軍記物語を古川日出男が現代語訳。本書は平安時代末期を舞台として歴史をなぞる軍記物語という側面と、古川日出男の現代語訳にて特色を付与された激しいグルーヴ小説という二つの側面を持つ。前者の感想は、以下4つの要素が心に残る。1、悲哀。とにかくよく泣く。盛者必衰の理により落ちぶれる者とその縁者たちは、漏れなく袖を涙で濡らす。また、家族愛だけでなく男女愛の要素も強く、特に引き裂かれるものたち [続きを読む]