朝霧とおる さん プロフィール

  •  
朝霧とおるさん: とおる亭
ハンドル名朝霧とおる さん
ブログタイトルとおる亭
ブログURLhttp://torutei.dou-jin.com/
サイト紹介文BL小説/R18/4月13日〜後輩×先輩(高校生)「新緑の楽園」連載開始/完結作あり
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供431回 / 365日(平均8.3回/週) - 参加 2015/08/07 15:37

朝霧とおる さんのブログ記事

  • 紫陽花3
  • 決して軽くはない恋人を負ぶって部屋に辿り着く。半分夢の中にいる酔っ払いをどうにか追い立てて、バスルームへ直行したのは、翌朝甲斐の機嫌を損ねたくなかったからだ。ベッドへ押し込む方が互いにとって数段楽なはずだが、せっかく連れてきたのに臍を曲げられては堪らない。一日の汚れを落としてから就寝しないと、翌日文句を言われるのは必至だ。バスタブに座らせると、されるがままシャワーの湯を受けて、気持ち良さそうに [続きを読む]
  • 紫陽花2
  • 甲斐は不器用ではない。その彼が自衛のために嘘をつかず、激情に駆られたのだとしたら、間が悪かったとしか言いようがないだろう。タクシーから降りて、走って甲斐の姿を探す。一番初めに駆けていったブランコに彼の姿はなかった。「甲斐!」『バカ。なんで、来ないんだよ……』拗ねて愚図る甲斐の携帯から、微かに自分の叫ぶ声が聞こえてくる。近くにいるはずだと、紫陽花の花壇を通り過ぎようとした時だった。「遅い [続きを読む]
  • 紫陽花1
  • 昼食を一緒にとった時、帰りは遅くないと言っていたのに、やって来る気配どころか電話の鳴る気配すらない。しかし進には甲斐が仕事を終えているであろうことも、電話を寄越さない理由にも心当たりがあった。「結局、こうなるのか……」せっかくの週末、二人でいられる貴重な時間を、無為な過ごし方をして無駄にしたくない。仕事でストレスのあった甲斐に出張の話をしてしまったのが悪かった。要はタイミングの問題だ。 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」34
  • 畳まずに放置していた洗濯物や、机の上で雪崩れている教科書やノートを見て、竜崎が仁王立ちしている。「ぴかりん、大丈夫だよ!」立ちはだかる竜崎に向かってみるが、上から見下ろされ腕組みされれば彼の迫力には到底敵わない。「大丈夫じゃねぇだろ。明日来んだぞ。」「ぴかりんに迷惑掛けないって決めたのー。」「即刻片付けろ。」「うー……。」ドアの前で項垂れていると、竜崎の後ろに控えていた柳が呆れ顔で勝手 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」33
  • 光の熱量に圧倒されて貪り尽くされた昨夜は、シーツに貼り付いてしまったかのように身体が重くなり、シャワーも浴びずに眠った。目に見える形で求められてホッとするなんて、随分自分の頭は単純にできているらしい。けれど光が見せてくれる反応すべてが、怯えていた気持ちを吹き飛ばすのに十分な威力があったのだ。まどろみから覚醒すると、すでに光は目覚めていたようで、目が合って息を呑む。「ッ……。」「もうちょ [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」32
  • 隆一の中に分身が収まった瞬間、耐え難い衝動に駆られ、忍耐の糸がふつりと切れる。気付いた時には隆一を組み敷いて腰を打ち付けていた。「ッ、隆一、ゴメ……」壊したら、傷付けたらどうしようと焦る一方、湧き上がってくる劣情を止められない。乱暴なことをしているはずなのに、うっとりと見上げてくる隆一の視線にも煽られてしまう。光が手を伸ばすことを拒んだ彼の言動を考えれば、真逆のことをしでかしている光は [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」31
  • 光に触れたい。けれど触れられてガッカリされたくない。「ッ……ん……」キスで誤魔化しながら光の視界を塞いで、自分の裸体を見せないようにする。幾度か伸びてきた手を振り払うことを繰り返していると、光も諦めたようで大人しくされるがままになった。用意周到な光のポケットから出てきたローションを奪い取って、自分で秘部を開いていく。光を待たせて興醒めさせたくなかったので必死だった。解れてい [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」30
  • 離れた唇から唾液が糸を引く。柔らかく湿った感触を唇に残して、光は腰に疼く甘い昂りに体温を上げる。「後悔しても知らないから……。」この期に及んで自衛に走る隆一がいじらしい。けれど言葉で納得してくれないなら、これから先、光が後悔していない事を行動で示し続けるしかないのだ。隆一の肌を貪ろうとシャツに手を伸ばすと、すぐに制止の手が入る。圧し掛かる胸板を押し返されて、拒まれたことに少なからずショ [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」29
  • 本気で拒む気があるなら、鍵を掛けておけばいい話だ。施錠しないまま机に向かっていたのは他でもない自分。ノックもせず部屋へ入ってきた光の方は見ずに、一行も頭に入っていない教科書を凝視する。「隆一」「ッ、ダメだって言ったよね?」「でも待ってただろ?」光の言葉で心の内を見透かされていると気付く。余計に目を合わせることができず、光に背を向けるように片肘を机についた。「そんな、ぐいぐい来ないでよ。」待つという [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」28
  • 点呼を始めると大抵の生徒は気を回してドアを開けて待ち構えている。しかしドアを叩いても呼んでみても反応がないのは春哉だった。部屋の前で隆一は光と顔を見合わせる。「カギ掛かってるし、中にはいるよね。」「あいつ、寝てんのかも。春哉ぁ、出てこい!」光が遠慮なく拳をドアに叩きつけていると、部屋の中で物音がした後、ペタペタと足音がドアへ向かって近付いてきた。「ふわぁ……ぴかりん……?」 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」27
  • 今朝、食堂で顔を合わせた時から微かな予感はあって、二階から三階へ引っ越しを終えるやいなや、光は隆一の部屋を訪ねてきた。これから一年間、後輩の目はなく一人部屋を満喫できる。解放されて嬉しいはずなのに、隆一の頭では憂鬱の種が芽を出していた。「点呼終わった後も来ていい?」光は二人の関係を進める意欲に溢れている。隆一からしてみれば、一人部屋で二人の関係を隠すことが容易くなったので、かえって断る口実を失った [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」26
  • 同居人が喜んで出ていくというのは複雑な心境だ。ホームシックで項垂れていた時は喝を入れてくれたし、調子に乗って怪我をした時は悪態をつきながらも、毎日背負って階段を上ってくれた。竜崎は春哉にとって家族ではない。友だちとも少し違う。先輩、後輩という言葉で括れるほど明確な境もなく、当然恋人でもない。何か一つの言葉に縛られることに違和感をおぼえるほど、隣りにいるのが当たり前で甘えられる人だった。この人がそば [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」25
  • いつでも部屋に来いと言った光の言葉を真に受ける気になったのは、机に向かっていても上の空で、勉強が捗らなかったからだ。しかし光の部屋の前で我に返り、ノックもできずに立ち尽くす。何と言って顔を合わせたらいいのかわからない。春哉も部屋にいるはずだし、用もなく会いに来たとは思われたくなかった。踵を返して立ち去ろうとした直後、部屋の中からドーンッと地鳴りがするほど大きな音が聞こえてくる。驚いて咄嗟に部屋へ飛 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」24
  • 「ぴかりん、好きになるとどんな感じがするの?」純粋なんだか悪魔なのか。春哉の問い掛けには、毎度悩まされる。知りたいという貪欲さは驚くほど真っすぐで、納得するまでなかなか引き下がってくれない。適当なあしらいは必ず見透かされるのだ。本人に相手を追い詰めさせる意図はないだろうが、ここ最近で一番頭の痛い質問だった。元々、隆一のことが好きだという気持ちを、春哉に告げる気はなかったのだ。言ったら最後、翌日には [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」23
  • 執行猶予は光の左足が完治するまでだなんて悠長なことを考えていたら、健康体そのものである彼の回復はめざましく、本当の意味で腹を括る前に迫られる羽目になる。「隆一、生徒会のミーティング行こうぜ。」「図書室寄ってから行く……」「じゃあ、俺も行く。」背後からグッと肩を組まれて、逃げる間もなく捕らえられてしまう。前はこんなスキンシップ過多ではなかった。それは光が隆一を特別視していたことからくる遠 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」22
  • 世話の掛かる二人だと内心思いながら、春哉は竜崎と柳の関係が羨ましくて仕方ない。特別に想い合っていることが、ひしひしと伝わってくるから、自分にも特別な誰かがほしいと、心が渇きを訴え始める。「いいなぁ、ぴかりん。いいなぁー。」特別に恋い慕う人がいるって、どんな気持ちだろう。もちろん家族も竜崎も大切な人には変わりない。しかし春哉にとって恋心は未知のものだった。自分の中でまだ形を成してはいないものへの興味 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」21
  • 隆一の怒りが鎮火してくれたことにホッとしてベッドに腰掛ける。「ッ……。」「ムリして歩くからだよ。」強引に歩き回った所為で、捻った左足の痛みがぶり返していた。呆れたように怪我した足を眺める隆一に、光は苦笑いをすることしかできない。必死になると恰好がつかないけれど、だからといって後悔の念は欠片もない。「なぁ、俺のこと好き?」「ッ……わかってるのに、いちいち言う必要ある?」「言わ [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」20
  • 「やなぎん……怒ってるの?」背後の気配が増えたと思ったら、春哉が加勢していた。光も光だ。何を思って連れてきたのかわからないが、少なくとも、こちらの神経を逆撫でするようなことをしているという自覚はなさそうだ。「……別に怒ってない。」春哉の前で無視を決め込むのも大人げない気がして、振り返ってベッドから起き上がる。明らかに不機嫌な隆一の気配に臆することなく、顔を覗き込んでくる春哉 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」19
  • 教科書や問題集を手に戻ってきた隆一は、不機嫌さを露わにして手にしていた物を放って寄越す。「あの子……。」「ん?」「知ってるでしょ。」「え、何が?」「最低……。」「え!?」慌てふためく光をよそに、隆一がベッドに入って背を向けてくる。少し心を許してくれたかと思えばこの有り様なので、隆一の気難しさに頭を抱えた。しかも彼が言わんとしていることがわからず途方に暮れる。「隆一…&h [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」18
  • 「光の持ち物はこっち?」「そうだよぉー。」点呼も終わってベッドで寛いでいたところ、やってきた柳を春哉は正座で出迎える。竜崎の勉強道具を取りに来ただけだったが、近寄ってくるなと言わんばかりのピリピリした空気に、春哉は背筋を伸ばす。恐る恐る柳の背中に視線を投げていると、気配を感じ取ったのか柳が振り返ってきたので飛び上がる。しっかり目が合ってしまって、ジロジロ様子を窺っていたのはすぐに気付かれてしまった [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」17
  • 懲りずに怪我を押してやってきた光に、もはや溜息も出ない。光に妙なスイッチを入れてしまったらしく、彼は全く引く気がなさそうだ。後輩が読まなくていい気配を感じ取って部屋から出ていき、光は我が物顔で部屋へ入ってくる。「なぁ、隆一。」「勉強……してるんだけど。」「じゃあ終わったら話聞けよ?」「……。」「都合悪いと、すぐ黙るよな。」光の溜息を一瞥することすらできなかったのは、揺れる心 [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」16
  • 押し問答を数回繰り返して、隆一から同意の言葉を引き出すのは自分では無理だと悟った。この際、隆一があとから認めてくれれば良しとしようと腹を括り、光は勝手に隆一の恋人として振る舞うことに決めたのだった。「隆一、次の移動、手貸して。」「……いいよ。」昨夜、部屋で繰り広げた険悪な空気は影を潜め、今、隆一の顔には涼やかな面が貼り付けられている。見事なポーカーフェイスには笑うしかない。光以外の前で [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」15
  • 頑なに認めることができないのは図星だからだ。光を好きだと思いながら眺めていることは幸せで、光に好意を寄せられることは満たされる。けれど一歩先へ進んだら、二人に戻る場所はなくて、きっと近い将来泣くことになると思うと恐怖でしかない。「手出してきたの、おまえだろ?」「だから出来心だって……。」伸びてきた光の手を振り払おうと向き直ると、春哉たちはとっくに逃げおおせていた。光に背を向け窓の外ばか [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」14
  • 竜崎と柳の目がないのをいいことに、クラスメイトと羽を伸ばしていると、柳がピリピリした様子で戻って来る。「人手いらなそうだから戻って。」「今日はこっちがいいなぁー。」「いいから戻って。」「えー……。」口を尖らせて春哉が不満を露わにすると、負けじと柳が睨んでくる。声を荒げないぶん刺すような眼力に春哉は背を凍り付かせ、それ以上の反論はせず、クラスメイトと目を合わせる。苛立ったように机に向かう [続きを読む]
  • 新緑の楽園「三人の少し前」13
  • 際立って大人だと感じていた隆一に悩まされる日が来るとは思っていなかった。返してくる全ての反応が予想外で、適当に流されているのか真面目な返答をしているつもりなのかもわからない。今まではそんな姿が魅力的に映っていたが、今、この瞬間は、煩わしくて堪らない。「光は好きになってほしいの?」「ッ、当り前だろ!」はぐらかされるのが嫌で、逃げられないように抱き締める。しかし言い募っても、隆一は首を傾げて納得いかな [続きを読む]