Generative AI in movies 「生成AI 」は小説を書いたり、政治家になりすますなど、今までは人間にしかできないと思われていた仕事にまでも進出してくるようになった。するとそもそも、人間と AI の違いは何なのかという根本的なことが問題になってくる。 映画「he...
Generative AI in movies 「生成AI 」は小説を書いたり、政治家になりすますなど、今までは人間にしかできないと思われていた仕事にまでも進出してくるようになった。するとそもそも、人間と AI の違いは何なのかという根本的なことが問題になってくる。 映画「he...
「Heaven's Gate」 映像が美しい絵画的な映画といえば No.1 は「天国の門」だろう。マイケル・チミノ監督のこの映画は巨額の制作費をかけたが、興行的には大失敗して非難を浴びたといういわくつきの作品だ。撮影監督がヴィルモス・ジグモンドという人で、若い頃に美術の勉強をし...
Edge Light 人物に背後から逆光が当たると暗いシルエットになる。そして光が強いと、シルエットの輪郭(エッジ)に沿って細く強い光が生じる。それが「エッジライト」で、写真のライティングとしてよく使われる。 絵画でもたまに「エッジライト」の絵がある。例えばルノワールの「海のほ...
Cezanne and Cubism 「キュビズム 美の革命」展(国立西洋美術館、〜2024.1)があったが、入場するとすぐにセザンヌの作品数展が並んでいた。 セザンヌはキュビズムにつながる美の革命の先駆者だったとされているが、同展でもそのことを強調していた。 対象を固定した同...
「 Innovations」 by Sid Mead 最近の報道で 、USスチールが日本製鉄に買収されるというニュースが出てくる。「鉄は国家なり」といわれて、アメリカを支えてきた世界最強の USスチールが日本企業に買収されるとはびっくりする。 60 年くらい前の USスチール全盛...
Archimedes Death Ray 科学の知見を軍事に応用し、戦争に使った最初の人は、紀元前3世紀のギリシャのアルキメデスだといわれている。ローマ軍との戦争で、敵軍船を攻撃する兵器を作ることを頼まれたアルキメデスは、「死の光線」を発案した。(「身近な物理学の歴史」より) 海...
Leonardo da Vinci ダ・ヴィンチは宮仕えするときの履歴書に、自分の職業を「軍事技術者」と書いたという。当時のイタリアは小さな都市国家に分裂していて、いつも戦争をしていたことと、兵器の主流が弓矢から銃火器になったことで新兵器が必要になったことが背景にあるようだ。た...
暮れ残る空「マジックアワー」の光の美しさ ミレーの「晩鐘」と映画「天国の日々」
Magic Hour 写真や絵画で「マジックアワー」という言葉がある。日没時には、真っ赤な太陽の光が空を染めるが、それが終わって、太陽が地平線の下に沈むと、地平線の下から空へ向かって光が照らされる。空に反射した間接光なので、光は弱く優しく、微妙な色に輝く。完全に暗くなるまで 2...
「Men Behind the Sun」 映画「オッペンハイマー」は、原爆という非人道的兵器を作ったことで、自責の念にとらわれる科学者オッペンハイマーを描いている。このような「科学者と倫理」の問題は日本にもあった。 戦時中の、科学者たちの研究組織「731 部隊」だ。細菌兵器を開...
「Oppenheimer」 映画「オッペンハイマー」で印象的なシーンがある。いよいよ最初の爆発実験の日、実験場へ向かうオッペンハイマーが、庭で洗濯物を干している妻に、「閃光が見えたらすぐに洗濯物をしまうように」と言う。つまり、爆発で遠くにまで「死の灰」が降るほど原爆の破壊力が強...
「BARBENHEIMER」 去年(2023 年)夏のほぼ同時にアメリカで「バービー」と「オッペンハイマー」が公開された。そのとき、二つをくっつけた画像が SNS に投稿されて話題を呼んだ。「Barbie」と「Oppenheimer」をつなげた「Barbenheimer」(「バ...
「Oppenheimer」 オッペンハイマーは、悪魔の兵器を作った極悪人だとされる。しかしオッペンハイマーという人がいなければ原爆は生まれなかったかというとそんなことはない。彼個人の自由意志で原爆は作られたわけではなく、時代の要求に応えて、一科学者として貢献したにすぎない。映画...
「Godzilla Minus One」and Godzilla history 「ゴジラ -1.0 」が今年のアカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。「ゴジラ 70 周年記念」とうたっているが、その間に制作されたゴジラ映画は 30 本以上にのぼるそうだ。 ...
「Pulgasari」 北朝鮮の映画はめったに見られないが、「プルガサリ」という映画をDVD で見ることができる。1985 年制作の怪獣映画だ。今の金正恩の父の金正日はかなりの映画マニアで、数万本のフィルムライブラリーを持っていたそうだが、その金正日の肝いりで作られた。東宝のゴジ...
Perspective 遠近法(透視図法)を習い始めた時の教科書に載っていたこの図に強烈な衝撃を受けた。それまで消失点のことくらいしか遠近法の知識がなかったが、この図は遠近法のもっと本質的なことに気づかせてくれた。 まず万年筆のスケッチ(いちばん上)をする。次にそれを現物より大き...
Three - point Perspective マンションの広告でよくこんな写真があるが気になる。建物の縦ラインが完全に垂直になっているので、上広がりの頭でっかちに見える。写真のあおり補正のしすぎで、視覚的にとても 不自然だ。 もうひとつは、最上層の屋根の角の角度が 90 ...
Studying the Pitcher アマチュアの絵でこんなのを見かけたが、形がおかしい。静物画では、形の狂いがあると絵全体が嘘っぽくなってしまう。だから絵画教室の先生などは「モチーフをもっとよく見て」というが、目測だけで描いていると、狂いになかなか気づかない。そこで「物の形...
今日、3 / 14 は「円周率の日」だと TV で言っていた。誰が何の目的で決めたのか知らないが、相変わらず語呂合わせのくだらない”記念日” だ。 「ゆとり教育」は 2002 年から2011 年まで約十年間続いたが、その間の日本の子供の学力低下は激しかった。その代表が円周率を...
「Alexander Nevsky」 今のウクライナ戦争から思い出して、「アレクサンドル・ネフスキー」を見た。「戦艦ポチョムキン」の巨匠エイゼンシュタインの作品だ。 中世のロシアは周辺の国々から脅かされていたが、侵攻してきたドイツ軍を英雄アレクサンドル・ネフスキーが撃破して国を...
The perspective of "La Chambre à Arles" ゴッホは、「対象の描写」の印象派から、「内面の表現」のポスト印象派のへ移行していった時代の先駆者といわれている。それは、自由奔放な荒い筆致や、形のデフォルメに現れている、というのが通説になってい...
「Color & Light」 絵の楽しさはなんといっても「光」を描くことだが、とかく「色」と「形」だけにしか意識が向かないことが多い。「カラー&ライト」( J・ガーニー著)という本はさまざまな「光」の種類と、その描き方を教えてくれる貴重な本だ。その中からいくつかを紹介。 ...
Hidden Circle 絵画で、鉛筆をかざして目測で対象のプロポーションを測ることがよく行われる。このイラストは、古代エジプトの絵画教室という架空の風景で、昔ながらの方法を多少の皮肉を込めて描いている。「目測」とは文字どうり「目で測る」ことだから、目に見えていない物は測ること...
Fork Road 近所でこんな家を見かけた。このように三角形の土地に目いっぱい家を建てると、シャープエッジのある個性的な形になる。この家の場合、Y字路に挟まれていて、 あまり窓を開けられないため、コンクリートの塊のオブジェのように感じられて面白い。 エッジ部分の内部空間をどう使...
leap day 今日 2 / 29 は閏の日。閏日は季節と暦の間のズレを調整するためのものだが、日本では、西洋のグレゴリオ暦とは違う独自方式の暦を使っていた。江戸幕府には「天文方」という専門部署があって、天体観測をして、それをもとに暦を作った。 江戸時代初めに天文方を務めたのが...
「Drawing on the Artist Within」 初めて絵を描く高校生に、どう教えていいのか苦労していたある美術教師の話が面白い。静物を描かせるのだが、モチーフを「見た通りに描くように」と言っても描けない。「リンゴが容器の前にあるのが見えない?」と聞くと「ええ、見え...
「Drawing the Artist Within」 初級者の大学生に美術教育をしている B・エドワーズという人の本「内なる画家の眼」に面白いことがのっている。学生に8つのキーワードを与えて、それぞれに該当する小さな図を鉛筆で描けという課題を出す。条件として具体的な物の形を...
ドキュメンタリー番組「マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪」
Oppenheimer 「オッペンハイマー」が今年のアカデミー賞の有力候補になっているようだ。アメリカで公開されたのが去年の夏だったのに、日本公開はやっと今年3月になるという。それは「被爆国日本では批判されるから」という訳の分からない理由のようだが、被爆国日本だからこそ原爆開発の...
Giacomo Balla 19 世紀末から 20 世紀初めに活躍した「イタリア未来派」のジャコモ・バッラは動いている対象物のダイナミズムを絵画で表現した。「くさりにつながれた犬のダイナミズム」(1912 年)は代表作で、散歩する子犬の脚やしっぽのチョコマカした動きを捉えている...
「Bible and Cinema」 「アメリカ映画とキリスト教 120 年の関係史」という本で、著者の木谷佳楠はアメリカ映画についてこう言っている。 アメリカは建国以来、その精神を支えてきたのがアメリカ独特のキリスト教的価値観だった。「神の国アメリカ」を偉大にするという使命...
「THE GODFATHER」 前回、日本人とアイルランド人のアメリカ移民の苦しみを描いた映画(「愛と哀しみの旅路」と「ブルックリン」)について書いたので、今回はイタリア系移民をテーマにした「ゴッド・ファーザー」について。哀愁を帯びた音楽とあいまってイタリア系移民の哀しみを描いた...
「BROOKLIN」 「ディアスポラ」は「離散」のことで、迫害を受けた民族が外国へ逃れて「移民」することで、民族がバラバラになることを意味する。いちばん有名なのが「ユダヤ・ディアスポラ」で、紀元前のパレスチナで周辺の民族から迫害されたユダヤ人がパレスチナ以外の地に移り住んだ。現...
「COME SEE THE PARADISE」 「人種のるつぼ」といわれるアメリカ社会だから、映画も「移民」を題材にした作品がとても多い。例えば「ブルックリン」(2015 年)は印象的な映画だった。アイルランドの田舎から一人でニューヨークへ移民してきた若い女性の、苦悩を描いてい...
Junzo Sakakura 坂倉準三は好きな建築家の一人で、地元の神奈川県立近代美術館(今は他の美術館に変わっている)へよく見にいく。この建物はコルビジェの国立西洋美術館の影響を受けている(実際に数年間弟子入りしていた)が、自然環境との一体感を強く意識したデザインという点でと...
「The Siege」 「マーシャル・ロー」は、ニューヨークに住むイスラム教徒の姿を描いた映画で、アラブ系テロリストによる相次ぐテロ事件に直面するFBI 捜査官を描いている。この映画は2001 年の 9,11 多発テロ事件より3 年前の1998 年公開で、事件を予見していたかのよ...
American New Cinema 1970 年前後の約 10 年間、アメリカ映画に革命を起こした「アメリカン・ニュー・シネマ」は 10 年ほどであっという間に消えてしまった。それは一瞬の輝きだった。 当時のアメリカは、ベトナム戦争や公民権運動、カウンターカルチャーなど多く...
Earthquake Reinforcement 建てた時は美しかった建物が台無しになってしまったり、内側にいる人にとっては閉じ込められた感になる邪魔者だが、年老いた建物の延命治療とあれば仕方ない。 完全武装で鉄壁の守り。横浜市の某区役所庁舎。 ”後付け”感の無い美しい例。 純...
Outdoor unit of the air conditioner タウンウォッチング的に街を歩いていると、いやおうなく室外機が目に付く。目ざわりで景観的にあまりいいものでないし、近くを通ると風を吹きかけられたりする。どちらかというとあまり好かれる存在ではない室外機のコレク...
Steel Frame 街で見かけた鉄骨の構造物。コンクリートのマッシブな形とは違う魅力的な造形が多い。 建設中のビル。鉄筋の”スケルトン感” 。 コンクリートの皮膚がない骨がむき出しの工場。 川崎の工場地帯で見かけた工場。鉄骨を組み上げた要塞のような塔。 川崎のある商業施設のホ...
Piping 街を歩いていると、ガスや水道や排気などの配管を見かける。普通は建物に埋め込まれている配管だが、古い建物では外にむき出しになっていたりして、面白い造形を生んでいる。あるいは工場では、複雑な配管の ”機能美” が見られる。そんな配管のコレクション。 ラーメン屋の裏側の...
Emergency Stairs 建物には非常階段がつきものだが、普段はあまり注目されることはない。非常時にだけ使われる建物の付属物だ。しかしその造形は意識してみると魅力的なものが多い。工場や倉庫などの階段は実用に徹した機能的デザインだが、商業施設やマンションなどは、建物の一部と...
Micky Mouse ミッキーマウスの著作権が今年(2024 年)で消滅するそうだ。これから自由このキャラクターを利用できるようになる。ミッキーマウスが初めて登場したのが 1928 年の「蒸気船ウィリー」で、ディズニーアニメの始まりとなる記念碑的作品だった。 ムービー(約7分...
「Exodus」 最近の国際情勢から、昔の映画「栄光への脱出」(1960 年)を思い出して、再鑑賞した。パレスチナ問題とはそもそも何なのかは報道を見ているだけではなかなかわかりにくい。この映画は、その問題が起こり始めたまさにその時のイスラエルを舞台にしていて、パレスチナ問題がな...
Disney Movie Opening Title Logo ディズーの新作アニメ「ウィッシュ」を観たが、オープニング映像が今までと違っているのに気がついた。ディズニー 100 周年記念作ということで、リニューアルしたようだ。モチーフは従来どうり「城」だが、それに加えて、物語...
John Martin:Joshua Commanding the Sun Still upon Gibson 19 世紀イギリスの画家ジョン・マーチンは旧約聖書を題材にした歴史画を多く描いた。この「ギベオンの上に止まれと太陽に命ずるヨシュア」は、旧約聖書の古代イスラエルの物語...
「The Ten Commandment」 最近の世界情勢を見ていると、古い映画だが「十戒」(1956 年)を思い出す。旧約聖書の「出エジプト記」に記されている物語をそのまま映画化した作品だった。エジプトで奴隷労働をさせられていたイスラエル人が自由を求めてエジプトを脱出する物語...
John Martin 19 世紀イギリスのロマン主義の画家ジョン・マーチンは歴史画を多く描いたが、多くは題材を聖書の物語からとっている。 「ソドムとゴモラの滅亡」は、旧約聖書の「創世記」にある、火による神の制裁の話をもとにしている。悪徳の街ソドムとゴモラの上に天から硫黄と火が...
「WISH」 ディズニー 100 周年記念として力の入った作品ということだったが、観てがっかりした。ディズニー映画としては凡作といっていいと思う。 「女の子が夢をかなえようと、星に願いをかける」「邪悪な王が魔法を使って女の子を妨げる」「それでも困難や危険に立ち向かって闘う」「や...
Prophecy of universal peace Book of Isaiah 最近知ったことだが、ニューヨークの国連本部の建物に「イザヤ・ウォール」という壁があり、世界平和の理想が刻まれているそうだ。 彼らは剣を打ち直して鋤とし、 ...
Belshazzar's Feast 今イスラエルがやっていることへの国際社会の非難に、イスラエルは背を向けている。我々がやっていることは、聖書に書かれていることを忠実に実行しているだけで何も悪いことではない、と考えているイスラエル人が多いという。聖書とは「旧約聖書」のことだが...
Antarctic Exploration 昨日 12 / 14 は「南極の日」だった。ノルウエーの探検家アムンゼンが 1911 年のこの日に世界初の南極点到達に成功したことにちなんでいる。当時の南極探検はノルウエー、イギリス、日本の3国が先陣争いをしていたが、それについて最近は...
「〇〇の日」、「〇〇デー」、「〇〇記念日」、が最近やたらと多いが、日本記念日協会という団体があって、そこに申請さえすれば、協会認定記念日として登録されるという。いろいろな業界団体が商売の足しにしようとどんどん登録するから、同じ日でも10 個くらいの記念日が重なって登録されてい...
「Memphis Belle」 あまり有名でないが、「メンフィス・ベル」(1990 年)というアメリカ映画がある。第二次世界大戦中に、ドイツを爆撃したアメリカの爆撃機の搭乗員たちを描いた戦争映画だが、この中に都市を爆撃する時の彼らの葛藤が出てくる。 ある出撃の日、厚い雲で視界が...
「TORA! TORA! TORA!」 今日 12 / 8 は、日本の真珠湾攻撃により、日米が開戦した日だが、この日にはいつも古い映画だが「トラ! トラ! トラ! 」(1970 年)を思い出す。真珠湾攻撃を史実に忠実にドキュメンタリータッチで描いていた。連合艦隊司令長官の山本...
Expo 2025 年の大阪万博で、目玉として予定されていたドローン・タクシーの運用が実現不可能になり、デモフライトだけになるという。ドローンのモビリティはすでに世界中で実用が始まっていて、いまさら未来的な技術ではない。それさえ実現できないというのでは、「未来を見せる」という万...
映画「ナポレオン」と、ダヴィッドの絵画「ナポレオンの戴冠式」
「Napoleon」 リドリー・スコット監督の最新作「ナポレオン」が公開されたので、さっそく観た。普通に知られているのとは違う独自のナポレオン像を描いていて、さすがリドリー・スコットだ。権力欲のかたまりで、戦争屋のナポレオンだが、個人生活では、死ぬまで奥さんの皇后(ジョセフィー...
「9 / 11 : The Falling Man」 9.11 同時多発テロの日に、現場にいた新聞記者が撮影した写真「落ちる男」(The Falling Man)が問題になった。炎と煙の苦しさに耐えられず、超高層の貿易センタービルから飛び降りる男の写真だった。翌日の新聞にこの写...
パレスチナ・イスラエル問題の根本が わかる映画「アラビアのロレンス」
「Lawrence of Arabia」 今から 100 年前の第一次世界大戦で、中東全域を支配していたオスマン帝国はドイツ側について参戦した。イギリスはオスマン帝国を内側から潰そうとして、各地のアラブ人に内乱を起こさせる。中東各地の部族に潜入して反乱軍の指導をしたのが、イギリ...
Alfred Hitchcock ヒッチコック自身が自らの映画術を語る興味深い映画が公開されている。ヒッチコックファンとしてさっそく観た。 冒頭で、映画は演劇と何が違うかについて語る。演劇は舞台と観客席がはっきり区切られていて、舞台で演じられている世界を観客は第三者的に外から眺...
The Falling Man 9.11 の同時多発テロの時に「落ちる男」という報道写真があった。炎と煙の苦痛に耐えかねて、貿易センタービルの高層階から飛び降りる男を撮っている。この写真は事件翌日の新聞に掲載されたが、あまりにショッキングなため、すぐに封印されてしまう。日本でもい...
Scorsese スコセッシ監督は現在でこそ巨匠と呼ばれているが、永い間、2流監督扱いされてきた。作品のほとんどが興行的に失敗してきた理由は、映画をハッピーエンドで終わらせることをしなかったためだと言われている。ハリウッド式の「売れる映画」を作ることを拒んできた。 現在公開中の...
Expo 大阪万博が開催できるか危ぶまれているそうだ。そもそも、万博を日本でやると聞いたとき、「万博なんてまだあったの」という感じだった。インターネットなどない時代、未来の技術や異国の文化を目の当たりにできる万博は、最高の「情報メディア」だった。しかし、人・モノ・情報が世界を自...
アメリカの ”対テロ戦争” キャンペーンとハリウッド映画「ブラックホーク・ダウン」
「Blackhawk Down」 現在の中東の戦争で、イスラエルはテロ組織を殲滅するためだとして、民間人までも殺戮をしている。そのイスラエルをアメリカは支援をしている。アメリカはこれまで、「ユダヤ・キリスト教対イスラム過激派」という宗教的な対立軸を煽って、イスラム国に対して強硬...
「プロダクションコード」から生まれた名画 「カサブランカ」と「サイコ」
Production Code 映画の研究書に必ず出てくるのが、アメリカにかつてあった「プロダクション・コード」の話だ。1930 年代、映画産業が巨大化するとともに、娯楽としての映画が文化への影響力が強まったことへの不安感が広まった。特に発言力の強い宗教団体が、公序良俗に反する...
An eye for an eye 「目には目を」は、やられたらやり返せという報復を煽る言葉だと一般的に思われているが、それは大間違いだと言われている。この言葉は旧約聖書から始まったのだが、目をやられたら目をやりかえすまではいいが、それ以上のことはしてはならないという、過剰な報...
Daumier 19 世紀フランスのドーミエは「カリカチュア」の元祖といわれる画家で、革命や内乱などで混乱する当時のフランスで、権力者を批判する「毒」のある風刺画を描いた。 フランス革命後に再び王政復古して国王になったルイ・フィリップを皮肉っている。玉座に座ったまるまると太った...
映画「マンガで世界を変えようとした男」のラルフ・ステッドマン
「For No Good Reason」 Ralph Steadman 雑誌などでたまに見かけることのあるマンガだが、作者については知らなかった。「マンガで世界を変えようとした男」(2014 年)というドキュメンタリー映画を観て、イギリス人のラルフ・ステッドマンという人を知った。...
「Aalto」 アルバー・アアルトの人と作品を紹介するドキュメンタリー映画が公開された。数年前にあった「アアルト展」では、スケッチや建築模型しか見れなかったが、映画の大きいスクリーンで見るとアアルトの魅力が強く実感できる。レンガや木材などの自然素材を多用したので、フィンランドの...
「Killers of the Flower Moon」 スコセッシ監督の最新作ということでさっそく観た。史実にもとずく映画だが、アメリカ先住民(インディアン)に、こんな歴史があったとは知らなかった。 19 世紀末、白人によって土地を追われた先住民は強制的に居留地に移住させられ...
「Manderlay」 ラース・フォン・トリアー監督の作品のなかで「マンダレイ」(「Manderlay」 2005年)が強烈で、アメリカの「民主主義」の矛盾を鋭く描いている。 主人公の若い女性がアメリカ南部の小さい村にやってくるが、そこでは何十年も前に廃止された奴隷制度がいまだ...
「The Creator」 公開中の「ザ・クリエーター/創造者」は、A.I. が人間を超えるのではないかという、最近人々が 抱いている不安や恐れをベースにしたタイムリーな映画だ。 アンドロイドが人間と対立するというテーマの S F 映画は、名作「ブレードランナー」をはじめたくさ...
Drawing 中学生の孫が ぬいぐるみ の鉛筆デッサンをしたが、うまくて驚いた。へたな大人顔負けだ。美術部で毎日デッサンの練習をしているようだ。 その子が数年前の小学生の頃に描いた同じ ぬいぐるみ の絵と比べると違いがよくわかる。上の絵がモチーフを「立体」として捉えよ...
Aerial Perspective & Linear Perspective 青空の青は、遠くの地平線に近ずくほど色が薄くなり、白に近ずいていく。これは「空気遠近法」の原理による。雲も頭の上では明暗のコントラストがはっきりしていても、遠くではだんだん白っぽく霞んでいくが、これ...
「Skies & Water in Pastel」 パステル画の初心者向け教本「Skies & Water in Pastel」は、「空」と「水」の描き方に特化している。 「空はいつも青とは限らない」と、この表紙の絵で説明している。青空の日でも、地平線に近くなるにつれて、青みが...
「Modernist on the Move 1920 ~ 1930 」 神奈川県立近代美術館(葉山館)で開催中の「移動するモダニズム 1920 ~ 1930 」展が勉強になる。タイトルどうり、ちょうど100 年前の日本のモダニズム絵画が花開いた時代を展望できる。 192...
「 The Cubist Revolution」 「キュビズム 美の革命 展」(国立西洋美術館)は見ごたえがある。ほとんどの作品がポンピドゥセンターの所蔵品だけあって、キュビズムの ”総集編” のような展覧会になっている。元祖のピカソとブラックだけでなく、キュビズムの影響の広が...
「The Cook, the Thief, His Wife and Her Lover」 奇才ピーター・グリーナウェイの「コックと泥棒、その妻と愛人」は、「食べること」をテーマにした映画。この間紹介した「バベットの晩餐会」や「ショコラ」などが、キリストがパンを分け与えるよ...
Eye-Level カイユボットは印象派の巨匠だが、自然を描いた他の画家と違って、都会の風景を描いた。そして、風景を上から見下ろす構図が多いのだが、そこに風景を見ている人間を描き入れている。街を見ているのはカイユボット本人の視線なのだが、絵の中の人間に自分の身代わりをさせている...
Onomatopoeia 前回の続き。 「言語の本質」の著者は、オノマトペから始まって、人間が言語を進化させてきた過程を説明している。オノマトペについて、知らなかった面白い話がたくさん出てくる。オノマトペにはいろいろあって、「カチャカチャ」や「バリーン」などの聴覚に関わるもの、...
息子が幼い頃、救急車が家の前を通ったとき、「あ、ピーポやさんだ!」と言ったので、えらく感心したことを覚えている。普段から「八百屋さん」「おそば屋さん」などの親の会話を耳にしていて「○○やさん」というのは何らかの仕事の人を指すということを知っていて、それと擬音語の「ピーポ」をく...
Still Life in Pastel パステル画は「光を描く」のが基本の基本だが、風景画だけでなく静物画も同じ。パステリストのリチャード・ピオンクの作品などはその好例。 陰を描かなければ光を描くことはできない。だから静物画の背景は、黒または暗い色にするのが原則。暗い中に光の...
「Chocolat」 西洋では、「食べること」は、宗教的な意味合いを持っている。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に描かれているように、パンをちぎって人に分け与えて一緒に食べることは、信者どうしの結びつきを確認するための宗教的儀式だった。だから西洋絵画では、食事を描いた絵画がたくさん...
History of Eating 「食べる西洋美術史」(宮下規久朗) は、西洋では重要な絵画のテーマだった 「食事」や「食物」の絵画を通して、西洋における「食べる」ことの意味を読み解いている。日本には「食」の絵画という歴史がないから、目からウロコの本だ。 食事の絵といえば何と...
Intuitive Light パステルという画材は、レオナルド・ダ・ヴィンチが「光を描く」目的で発明したと言われている。だからパステル画の指導書はすべて、光を描かずして、何のためのパステル画だと言わんばかりに「光」の描き方に重点を置いている。対象を漫然と見ているだけでは「光」...
「Corsage」 ”歴史もの” 映画が大好きなので、とりあえずと思って見にいったが、予想を超えて、はるかに面白かった。歴史上の人物であるエリザベート皇妃を伝記的にではなく、今生きているかのように生々しい「女性」として描いているのは女性監督(マリー・クロイッツアー)ならではだろ...
Summer Landscape with Pastel 酷暑が続くと、せめて絵でも見て暑さを忘れたい。そこで題材が夏でありながらも、涼しい風景の絵を探してみた。光を描くのに適したパステル画はそういうのが得意だ。今回もパステル画の初心者向け入門書から作品を引用。 「夏の陰」 暑...
「L' Etranger」 毎日ジリジリするような暑さが続くと、つい思い出すのがカミュの「異邦人」で、灼熱の夏のアルジェリアを舞台にしている。この作品でノーベル文学賞をもらったカミュの名作だが、書き出しの最初の文章が超有名で、たったこれだけで主人公のすべてを表現している。 『今...
Dusk Landscape with Pastel 前回の「朝」の続きで、今回は「夕景」を。 パステルは、もともと「光」を表現するために生まれた画材だから、風景画でも、季節、天候、時間帯、などによって微妙に変化する「光」を表現するのが得意だ。だから、風景のムード(雰囲気)を表...
Morning landscape with pastel パステルは、風景のムード(雰囲気)を描くのに向いている画材だ。春夏秋冬の季節感、晴れ・雨・曇りの天候、朝昼晩の時間帯などによって変わる風景の表情を表現できる。 その例として、「朝」をテーマにした風景をあげてみる。朝の光...
「Allied」 テレビCMで、女スパイが主人公の某サスペンス映画の宣伝で予告編を流していた。演技力ゼロで有名な某大根女優が主役で、シリアスな役なのにマンガチックになってしまって笑える。それはともかく、7年前のやはり女スパイの映画「マリアンヌ」を思い出してもう一度観た。女スパイ...
「The Rope's Exorcist」&「The Exorcism of Emily Rose」 公開中の「ヴァチカンのエクソシスト」を観たが、「エクソシズム」(悪魔祓い)は中世の話かと思っていたがとんでもなく、現在でも世界中でエクソシストたちが活躍していることを知った。こ...
「HIROSHIMA」 ”幻の映画” ということだが、映画館(横浜シネマリン)は超満員で、1日だけ限定の、それも1回だけの上映なのがもったい。 黒焦げの死体や瓦礫に押しつぶされた人間など凄惨な地獄絵図がリアルに描かれている。火傷を冷やすために人々は川に入っていくが、そこでもたく...
「Barbie」「Oppenheimer」「Hiroshima」 日本人にとって8月は「戦争」と「原爆」の月だが、それにまつわる映画3本が来る。 「バービー」 日本への原爆投下を面白おかしく茶化すような場面があるということで、ネットで炎上している。劇場で予告編を見せられて、おバ...
「The Book of Lost Things」 ジョン・コナリーの「失われたものたちの本」が、宮崎駿のアニメ「君たちはどう生きるか」に大きな影響を与えたという。本の帯に「ぼくをしあわせにしてくれた本です。出会えて本当に良かったと思ってます。」という宮崎駿の推薦文がある。そし...
「The Boy and the Heron」 今話題の「君たちはどう生きるか」を観た。82 歳の宮崎駿の最後になる(だろう)渾身の一作だ。10 年前の前作「風立ちぬ」は、堀辰雄のセンチメンタルな小説をアニメ化した作品で、宮崎駿らしさがあまりなかったが、今回は宮崎ワールドを思う...
「BIG」 「ビッグ」というロマンチック・コメディは、今から 35 年前の 1988 年公開で、今から35 年前の映画だが、この時代を思い起こさせる場面がたくさん出てくる。 まず舞台のニューヨーク都心の風景が写し出されるが、日本の電機メーカーのネオンで埋め尽くされている。この時...
「The Super Mario Bros.」 Illumination と任天堂が共同製作した興味深い映画で、ジャンルもフォーマットも違う映像メディアである映画とゲームという二つが切れ目なく一体化している。登場するキャラクターも繰り広げられるアクションも、ゲームの「マリオ」の...
Disney Animation ディズニーがアニメ映画というジャンルを確立してから 80 年くらい経つが、絶大な人気を保ち続けながら反面で批判にさらされ続けてきた。現実のリアルな問題は無いことにして、愛に満ちた”美しい夢の世界” をスクリーン上に描いてきた。それは結果的に、差...
「The Little Mermaid」 けっこうよくできていて、じゅうぶん楽しめる映画だ。かつてのアニメ版を実写に変えたリメイクだが、人魚のアリエルの役にハリー・ベイリーという新人の黒人女性を登用したことが大きな議論になっている。 我々日本人には、彼女は純真で賢くて可愛いいし...
Photographs by Toshio Shibata 今、開催中の抽象絵画の展覧会「アブストラクション展」(アーティゾン美術館)を見ていたら、まるで写真のような表現の絵画があった・・・と思ったら、ほんとうに写真だった。 それで柴田敏雄という写真家を知って、その作品集を見て...
「 Indiana Jones and the Dial of Destiny」 いままでのシリーズと比べて アクション迫力度3倍 荒唐無稽度3倍 観客サービス度3倍 ということで、暑気払いに最適。 ラストシーンで、カレン・アレンがちょっとだけ出てくる。第 1 作でヒ...
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Generative AI in movies 「生成AI 」は小説を書いたり、政治家になりすますなど、今までは人間にしかできないと思われていた仕事にまでも進出してくるようになった。するとそもそも、人間と AI の違いは何なのかという根本的なことが問題になってくる。 映画「he...
「Heaven's Gate」 映像が美しい絵画的な映画といえば No.1 は「天国の門」だろう。マイケル・チミノ監督のこの映画は巨額の制作費をかけたが、興行的には大失敗して非難を浴びたといういわくつきの作品だ。撮影監督がヴィルモス・ジグモンドという人で、若い頃に美術の勉強をし...
Edge Light 人物に背後から逆光が当たると暗いシルエットになる。そして光が強いと、シルエットの輪郭(エッジ)に沿って細く強い光が生じる。それが「エッジライト」で、写真のライティングとしてよく使われる。 絵画でもたまに「エッジライト」の絵がある。例えばルノワールの「海のほ...
Cezanne and Cubism 「キュビズム 美の革命」展(国立西洋美術館、〜2024.1)があったが、入場するとすぐにセザンヌの作品数展が並んでいた。 セザンヌはキュビズムにつながる美の革命の先駆者だったとされているが、同展でもそのことを強調していた。 対象を固定した同...
「 Innovations」 by Sid Mead 最近の報道で 、USスチールが日本製鉄に買収されるというニュースが出てくる。「鉄は国家なり」といわれて、アメリカを支えてきた世界最強の USスチールが日本企業に買収されるとはびっくりする。 60 年くらい前の USスチール全盛...
Archimedes Death Ray 科学の知見を軍事に応用し、戦争に使った最初の人は、紀元前3世紀のギリシャのアルキメデスだといわれている。ローマ軍との戦争で、敵軍船を攻撃する兵器を作ることを頼まれたアルキメデスは、「死の光線」を発案した。(「身近な物理学の歴史」より) 海...
Leonardo da Vinci ダ・ヴィンチは宮仕えするときの履歴書に、自分の職業を「軍事技術者」と書いたという。当時のイタリアは小さな都市国家に分裂していて、いつも戦争をしていたことと、兵器の主流が弓矢から銃火器になったことで新兵器が必要になったことが背景にあるようだ。た...
Magic Hour 写真や絵画で「マジックアワー」という言葉がある。日没時には、真っ赤な太陽の光が空を染めるが、それが終わって、太陽が地平線の下に沈むと、地平線の下から空へ向かって光が照らされる。空に反射した間接光なので、光は弱く優しく、微妙な色に輝く。完全に暗くなるまで 2...
「Men Behind the Sun」 映画「オッペンハイマー」は、原爆という非人道的兵器を作ったことで、自責の念にとらわれる科学者オッペンハイマーを描いている。このような「科学者と倫理」の問題は日本にもあった。 戦時中の、科学者たちの研究組織「731 部隊」だ。細菌兵器を開...
「Oppenheimer」 映画「オッペンハイマー」で印象的なシーンがある。いよいよ最初の爆発実験の日、実験場へ向かうオッペンハイマーが、庭で洗濯物を干している妻に、「閃光が見えたらすぐに洗濯物をしまうように」と言う。つまり、爆発で遠くにまで「死の灰」が降るほど原爆の破壊力が強...
「BARBENHEIMER」 去年(2023 年)夏のほぼ同時にアメリカで「バービー」と「オッペンハイマー」が公開された。そのとき、二つをくっつけた画像が SNS に投稿されて話題を呼んだ。「Barbie」と「Oppenheimer」をつなげた「Barbenheimer」(「バ...
「Oppenheimer」 オッペンハイマーは、悪魔の兵器を作った極悪人だとされる。しかしオッペンハイマーという人がいなければ原爆は生まれなかったかというとそんなことはない。彼個人の自由意志で原爆は作られたわけではなく、時代の要求に応えて、一科学者として貢献したにすぎない。映画...
「Godzilla Minus One」and Godzilla history 「ゴジラ -1.0 」が今年のアカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。「ゴジラ 70 周年記念」とうたっているが、その間に制作されたゴジラ映画は 30 本以上にのぼるそうだ。 ...
「Pulgasari」 北朝鮮の映画はめったに見られないが、「プルガサリ」という映画をDVD で見ることができる。1985 年制作の怪獣映画だ。今の金正恩の父の金正日はかなりの映画マニアで、数万本のフィルムライブラリーを持っていたそうだが、その金正日の肝いりで作られた。東宝のゴジ...
Perspective 遠近法(透視図法)を習い始めた時の教科書に載っていたこの図に強烈な衝撃を受けた。それまで消失点のことくらいしか遠近法の知識がなかったが、この図は遠近法のもっと本質的なことに気づかせてくれた。 まず万年筆のスケッチ(いちばん上)をする。次にそれを現物より大き...
Three - point Perspective マンションの広告でよくこんな写真があるが気になる。建物の縦ラインが完全に垂直になっているので、上広がりの頭でっかちに見える。写真のあおり補正のしすぎで、視覚的にとても 不自然だ。 もうひとつは、最上層の屋根の角の角度が 90 ...
Studying the Pitcher アマチュアの絵でこんなのを見かけたが、形がおかしい。静物画では、形の狂いがあると絵全体が嘘っぽくなってしまう。だから絵画教室の先生などは「モチーフをもっとよく見て」というが、目測だけで描いていると、狂いになかなか気づかない。そこで「物の形...
今日、3 / 14 は「円周率の日」だと TV で言っていた。誰が何の目的で決めたのか知らないが、相変わらず語呂合わせのくだらない”記念日” だ。 「ゆとり教育」は 2002 年から2011 年まで約十年間続いたが、その間の日本の子供の学力低下は激しかった。その代表が円周率を...
「Alexander Nevsky」 今のウクライナ戦争から思い出して、「アレクサンドル・ネフスキー」を見た。「戦艦ポチョムキン」の巨匠エイゼンシュタインの作品だ。 中世のロシアは周辺の国々から脅かされていたが、侵攻してきたドイツ軍を英雄アレクサンドル・ネフスキーが撃破して国を...
The perspective of "La Chambre à Arles" ゴッホは、「対象の描写」の印象派から、「内面の表現」のポスト印象派のへ移行していった時代の先駆者といわれている。それは、自由奔放な荒い筆致や、形のデフォルメに現れている、というのが通説になってい...
ユヴァル・ノア・ハラリの人類史「サピエンス全史」が全世界で超々ベストセラーになったが、今度は、同じく人類学者 エマニュエル・トッドの人類史「我々はどこから来て、今どこにいるのか」がベストセラーになっている。 ハラリの「サピエンス全史」では、人類史は、人間を脅かす「戦争」「飢餓」...
「The Code Breakers」 コロナが始まった頃日本では、ワクチンができるまで3年かかるだろうと言われていたが、アメリカではあっいう間に完成してしまい、今のコロナ収束に貢献した。 なぜそんなことができたのか。ジェニファー・ダウドナというノーベル賞を受賞した女性科学者...
Akira Kurosawa & Now 先日、TV ( 4 / 8 Eテレ)で「能の美」という番組があって大変興味深かかった。黒澤明はさまざまな作品で、能の美学を取り入れていたが、晩年にその意図を説明するドキュメンタリー「能の美」を作ろうとして撮影を開始したという。それは...
Image Montage 最近あるTVの報道番組で、東京オリンピックの開催反対デモの参加者が、「日当をもらって動員されただけだ。」と打ち明けたと報じたのが問題になった。反対運動はそれほどでもなかったと印象付ける内容だが、それは事実でなかったことがわかって、TV 局は批判された...
「The Sea is Watching」 黒澤明は若い頃、画家を目指して本格的に絵画の修行をしていたから、映画監督になっても絵コンテを自分で描いていた。黒澤明の映画のショットが絵画的なのはそのためだ。 映画「海は見ていた」は、山本周五郎の小説が原作で、江戸の遊郭を舞台に、遊女...
「LIVING」 公開中の「生きる LIVING」は、黒澤明の名作「生きる」のリメイク作品として話題になっている。末期癌で余命半年の役人を主人公にして、人間の ”生きること” の意味を描いている。舞台をイギリスに移しているが、原作をほぼ忠実に再現していて、原作へのリスペクトを...
「The United States vs Billie Holiday」 1940 年代に人種差別に抗議し続けたビリー・ホリデーの伝記映画で、彼女が歌う「奇妙な果実」と、それを阻止しようとする国家権力との闘いを描いている。 南部の木には、奇妙な果実がなる 血が葉を濡らし、根に滴...
「 Conspiracy Theory and Fake Science」 陰謀論が世界的に流行しているが、なかでも有名なのが「Qアノン」で、彼らは目に見えない闇の権力が世界を支配しようと企んでいると信じこんでいる。コロナのワクチンも政府が国民を統制するために仕組んだ陰謀だとして...
「Fabelmans」 スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的映画で、8ミリカメラで家族の映像を撮ったり、友人たちと劇映画を作ったりして、映画に夢中になっていた自身の少年時代を描いている。その体験を通して、事実をありのままに撮ったはずの映像が、「編集」によってまったく違う意味を...
「Eiffel」 建設中のエッフェル塔のシーンがたびたび出てくるが、 CG ではなく、実物大のセットをパリ郊外の空き地に作って撮影したそうだが、迫力がある。 パリ万博のためのモニュメントを設計するコンペでエッフェルの案が優勝して採用されたが、鉄骨だけの機械的な形態が美しいパリの...
「 Worth」 公開中のこの映画は、9.11 テロの犠牲者の遺族に国が補償金を支払う際の支払額が問題になった実際の話で、じつに興味深い。 政府から委嘱された辣腕弁護士が補償計画を作るのだが、必要予算を最小限にしつつ「公平」をはかるために、生前の所得額に比例した補償額を払うという...
「Benedetta」 キリスト教の歴史に関する知識がないと、意味がわかりにくい映画だ。17 世紀イタリアで実在した若い修道女ベネデッタを主人公にして、当時の修道院や教会の聖職者たちの世界が生々しく描かれている。 修道院長は信者たちに高額の寄付を要求し、寄付できない貧しい人たち...
「Babylon」 「バビロン」は、ハリウッドの夢を追う若者たちのドラマだが、サイレントからトーキーへと変わる映画の大転換の時代を背景にした彼らの盛衰を描いている。”ハリウッド映画史” として見ることができ、じつに面白い。 20 世紀初めに映画会社は、雨があまり降らず土地が広く...
Babylon 「バビロン」は古代都市バビロンのように、映画が栄華を極めていた時代のハリウッドへのオマージュのような映画だ。20 世紀初めに映画会社が、広大な土地があり、雨が降らず野外ロケに適したカリフォルニアに映画スタジオを次々に作ってできたのが「ハリウッド」の始まりだった。...
Egon Schiele エゴン・シーレ展 @東京都美術館 エゴン・シーレといえば人物画ばかりと思いきや、 風景画や静物画もある。初めて見た。 いろいろな家をパッチワークのように組み合わせた風景 エゴン・シーレらしかぬ(?)装飾的な花の絵。金箔はクリムトの影響(?)
Aby Warburg's Memory Atlas 情報デザインの分野で最近、写真画像どうしの関連性をネットワーク図として可視化する研究がされている。例えば、1枚の写真に同時に写っている2人は友人である可能性が高い。だからこの2人が写っている写真をたくさん集めると、二人を中...
Yokohama Civic Art Gallery 大倉山の小高い高台のてっぺんにある大倉山記念館を初めて訪れた。巨大な神殿のような建物の形に驚かされる。ギリシャ建築風の3階建だが、最上階にも列柱がある。円柱は下細りで、下太りのギリシャ建築のエンタシスとは違う。これはギリシャ文...
Saeki Yuzo 佐伯祐三展 @東京ステーションギャラリー 個人的ベスト3(写真はネットより拝借)
「The Flying Classroom」 「飛ぶ教室」は、児童文学の最高傑作である、エーリヒ・ケストナーの原作をほぼ忠実に映画化している。時代を現代に置き換えているので、脚色に若干の違いはあるが、原作者の精神はそのまま引き継いでいる。 前回の投稿で紹介した、原作の「まえがき...
The Flying Classroom 図書館の児童書コーナーを通ったら、たまたま「飛ぶ教室」が目についたので借りてみた。小学生の頃、少年少女文学全集を全巻持っていたが、「飛ぶ教室」だけは何度も何度も読み返した愛読書だった。読むのは約 7 0 年ぶりになる。 児童文学の最高峰...