happygogo さん プロフィール

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happygogoさん: 青い風のような貴公子たち
ハンドル名happygogo さん
ブログタイトル青い風のような貴公子たち
ブログURLhttp://aoikaze.sblo.jp/
サイト紹介文青春文学です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供84回 / 365日(平均1.6回/週) - 参加 2015/09/15 21:22

happygogo さんのブログ記事

  • 香港にて
  • 繁華街で郵便局を探して、新聞社に原稿を送る。原稿を送ると気分的にタカシはほっとした。2階建てのバスに乗る。2階から香港の街を見下ろす。なんだか偉くなった気分である。バスを降りて繁華街を歩く。突然、激しい雨が降る。喫茶店にタカシは入る。コーヒーを注文すると「カフェね」と店員は言う。飲んでみるとコーヒーだった。繁華街から裏道に入ってみる。うす暗くなんとなくうらびれた感じ。繁華街のきらびやかさに比べて裏道 [続きを読む]
  • 美人との遭遇
  • ケーブルカ―の待合室でものすごい美人をタカシは見た。アメリカ人か英国人かスペイン人か、それは分からないが、相当の美人である。派手な花柄のブラウスに優美な薄茶色のスカート、頭にはシルクのネツカチーフのこの女性、情熱的な顔立ちをしている。日本にはこんな美人はいない。タカシの方を見るので、タカシも負けずに見返す。ケーブルカ―が発車した。彼女はタカシの前に座った。話しかけようと思うのだが、英語には自信がな [続きを読む]
  • 香港にて
  • 6月11日  晴れ午前9時 憧れの香港を見た。重く低く雲が立ち込めている。歯切れの悪い情景である。乱立する高層ビルがまるで墓碑みたいである。ハシケで香港島に上陸する。港で香港の女と英国人が激しい口喧嘩をしているのを見て驚く。この当時は香港は英国の植民地で、英国の影響が強かった。西洋マッケツトの前でタクシーを拾ってビクトリア・ピークへ。タクシーの運転手の愛想の悪いのには驚いた。チップをやってもにこりとも [続きを読む]
  • 香港
  • 6月10日  晴れ昨夜はほとんど揺れなかった。湖の上を走っているという感じである。明日はいよいよ香港である。香港では思い切り遊ぶつもり。真っ青な海。香港はまもなくあらわれるだろう。ここまでくると日本では真夏と言われる時候である。二等航海士の工藤さんが「香港につくと売春婦がハシケで上がってくるが決してドアは開けてはならない」と注意する。香港の売春婦は病気を持っている女が多いそうである。そんなものかなと [続きを読む]
  • 先島諸島
  • 6月9日  晴れ夜半、雨が激しく空を叩きつける音を聞いた。午前9時、先島諸島を通過中。水平線から積乱雲がむくむくと大空に向かって湧き上がっている。部屋の中は暑い。アンダシャツ一枚になる。コックの板垣君が鐘を鳴らして歩く。食事の合図である。船長、航海士、機関長ら幹部と一緒に食事をとる。冷凍食品なので旨いとは言えない。 お客はタカシ一人だが別に退屈はしない。話相手が欲しい時はコックの板垣君のところへ行 [続きを読む]
  • 沖縄通過
  • 6月8日     曇り沖縄本島に近づいた。「今は、沖縄の端を通過中だよ」二等航海士の工藤さんが海図に線を引きながら位置を教える。その沖縄を見たいのだが、ガスがかかって姿を見せない。海の風は生暖かく、ここまでくると夏の息吹を感じる。午後4時、太陽が顔を出した。風呂から上がって甲板に出ると熱風だ。体中が熱くなっていく気がして南国台湾が近づいていたことを知る。台湾には寄港せず。帰りに寄ることになる。href= [続きを読む]
  • 屋久島海峡
  • 6月7日午前11時30分、屋久島海峡を通過する。雨、降りしきる。屋久島を重い雲が立ち込めている。4時過ぎに雨が止んだ。波は静かである。午後6時、雲の切れ間から青い空が顔を出した。何もすることがないので三島由紀夫の美徳のよろめきを読む。節子のような女性は現実に存在するかもしれない。都会の恋であって田舎の恋ではない。節子は自分のスキヤンダルで父親が責任を取らされるのは恐れて恋人土屋を捨てるわけだがいかにも現在 [続きを読む]
  • 足摺岬
  • 6月6日嵐は収まった。「船は揺れるものですね」と三等航海士の西坂君にタカシが言うと、思わず笑って「昨夜は低気圧が通過したからですよ」と言う。海の男、西坂君にとってそんな事は日常茶飯 であって別に気にはしてないという風であった。午後一時、室戸岬沖を通過する。午後6時、足摺岬を通過。波は収まったものの、空はどんより曇っている。双眼鏡で覗くと、灯台が飛び込んできた。周辺に人家が見える。下に降りてコックの板 [続きを読む]
  • 6月5日7時朝食朝食の時、船長が一等航海士、2等航海士、3等航海士、機関長、無線室長を紹介した。タカシは客であるから幹部と一緒に食事をとるのだが、冷凍ものが多く、まずかった。夜半になって嵐に遭遇した。ベツトから転げ落ちそうになる。船はぎーぎと不気味な音を立てる。大型の船ならこんなに揺れないだろうが、老朽船であるから揺れも直接というか、まともに波の影響を受ける。船旅とはこんなものかと、先を思うと憂鬱にな [続きを読む]
  • 横浜新港にて
  • 作られたベツト、白いシーツの上にボストンバッグを放りあげる。近くの椅子に座る。ボストンバッグには10冊ほど本が詰めてある。小説、哲学書、経済学の本。その中の一冊、三島由紀夫の「美徳のよろめき」をタカシは読む。都会の恋、田舎ではこんなセンスのある小説は書けない。東京の文学であって、地方の文学ではない。なかなか上手に書いてあって、こんな女はいるだろうと思う。都会の恋のはかなさ、それは人生である。虚しさ [続きを読む]
  • 横浜新港にて
  • 1970年6月4日パスポートやら種痘の接種など、渡航に必要な手続きを済ませて指定された時刻に横浜の新港の桟橋にタカシは向かった。船体は下がオレンジで船橋は白である。オレンジ色もはげた部分もあって古い貨物船である。これでボルネオまで行くのかと思うと多少タカシは不安になった。船名は和光丸、2千トンクラスの中型クラスの貨物船である。クレーンで次から次へと貨物が船倉に積み下ろされている。一等航海士にパスポートを [続きを読む]
  • 佳子への手紙その2
  • 佳子への手紙「日本脱出。この旅で新しい日本像を僕は掴むだろう。そこにすごい成長があると思う。青春の息吹を感じている。長い間、この時を待っていたように思う。冒険と華やかさ。これがなければ面白くない。砂をかむような味気ない生活から脱出。今は毎日が生き生きとしている。初めての海外旅行。横浜から船が出るとき心が躍る。まだ見ぬ東南アジアへ思いを馳せるとき心は高まる。君は海外旅行へは何度も行っているから感動と [続きを読む]
  • 佳子への手紙
  • 佳子への手紙「青春がやってきたという感じ。日本を脱出するのだと思うと心がわくわくしてくる。外から日本を眺めるのはとても大切な観点だと思う。外国から日本はどう見えるのか、これはとても興味ある観点だ。日本にいると日本のことはよくわからないが外国から日本を眺めると日本の問題点が鮮明な形で浮かび上がってくる。これは以前から知りたいと思っていた。日本とは一体なんであるか。今度の旅な中でしっかりそのことを考え [続きを読む]
  • 佳子への手紙
  • 佳子に報告しょうと思うけど、佳子は電話に出ない。外出中と佳子の母親は言う。変だなと思う。そこで佳子に手紙を書く。「6月にボルネオに行くことになった。飛行機ではなく貨物船に乗って。ラワン材の集荷を取材する。ひと月以上。新聞記者の漫遊記のようなものを書けと会社の専務は言う。漫遊記ならさほどむずかしくはない。自分でもできると専務に言ったけれど、本当は自信がない。香港、台湾、フィリピンから記事は送る。海外 [続きを読む]
  • ボルネオ行き
  • 佳子から返事がこなかったのでタカシはがっかりした。仕事は忙しかった。毎朝7時に出て帰宅は午後10時であった。こんな生活が嫌になった。タカシは次第に自分が嫌になっていた。ストレスが溜まっていった。悩んでいるとき専務からラワン材の取材でボルネオに行ってくれないかと相談があった。貨物船に乗って香港、台湾、フィリッピンをひと月かけて周るのである。日本脱出、これは愉快だとタカシは思った。今までの鬱憤を晴らす [続きを読む]
  • 佳子への手紙
  • 佳子のへの手紙人との対面の中で自分の自信のなさが出ていやな気がします。もっと自分に自信が持てる人間になりたいのです。青春には大きな夢があるはずですが、今の僕のそれは猥雑で縮小された目標しかないのです。それはあまりにも利己的な夢。これが夢と呼べるだろうか。現実の生活の厳しさに負けて希望を失っているそんな自分がとても嫌なのです。あなたの愛で僕の傷ついた心を慰めてください。あなたの優しい言葉が傷ついた僕 [続きを読む]
  • 佳子への手紙
  • 新聞記者になってからいつも佳子のことを思っていた。時々電話をするのだが、いつもが外出中である。佳子に手紙を書く。「栂野佳子様今は新聞記者をやっています。新聞社といっても業界紙で、林材関係の、住宅グラフという雑誌の編集記者です。農林省や建設省の取材に行かねばならず、結構大変です。嘘はかけないし真実を書かねばなりませんから。朝6時に起床、夜は午後23時帰宅、床に就くのは午前1時です。忙しいばかりでこれでい [続きを読む]
  • 記者の世界
  • 必死の思いで担当者に会って記事を書いても編集長が書き換えててしまうので、自分の記事は原形をとどめていない。編集長の記事に化けている。これにはタカシもがっかりした。どちらかと言うと人とあまり会うのが好きではないタカシにとって取材は得意ではなかった。経験が浅かったので相手と名刺を交換するときに手が震えて困ってしまう。病的だと相手は変に思うし、それでは取材はうまくいかない。相手に自分の心の中が読み取られ [続きを読む]
  • 記者の一日
  • 就職先が決まったので大学に休学届を出して、5月からタカシは木場の業界紙の記者になった。朝、8時出勤なので朝寝坊などしていられない。8時半には編集長と打ち合わせをして、カメラマンとともに9時には現場に向かう。住宅に関する雑誌を出していたので、農林省や建設省に取材に行く。農林省は現在農林水産省に改称されている。建設省は現在は国土交通省に再編された。局長などの大物は会ってくれず、取材の難しさを痛く感じる。下 [続きを読む]
  • 面接
  • 硝子のドアを開けると受付嬢が出てきた、受付嬢といっても50歳くらいのおばさんである。面接にきましたとタカシがいうと、応接室に案内した。しばらくすると,紺色のスーツを着た若い男が出てきた。この会社の専務である。社長の息子である。全般的に丸い感じで、けれど眼だけは眼光炯々としていた。履歴書は持っていかなかったので、代わりに学生証を見せていろいろ話をすると、専務はにっこりして採用ということになった。東京 [続きを読む]
  • 木場にて
  • 新聞記者をやりたいとタカシは思っていた。将来、小説家になろうと思っていたので。作家になるには、新聞記者が最短距離にあると思っていた。けれど、広い東京とはいえ、記者の仕事はなかなかなかった。ある日、突然、新聞で編集記者募集の文字が飛び込んでいた。これは奇跡に近かった。日ごろから探し、強い思いだったので、実現したのだろう。タカシは飛び上がって喜んだ。業界紙の記者であったが、そんなことはどうでもよかった [続きを読む]
  • 学生食堂にて
  • 「大学をやめようかどうしょうか迷っている」とタカシが言うと、裕美は反対する。「大学出という肩書は絶対に必要だ」と言う。佳子や中山と同じことを言うのでタカシはがっかりした。佳子や中山と違った言葉を期待したのだが。本当に実力のある者は肩書など必要としない。社会は実力のある者を求めるのであって肩書にしがみついている者など優遇はしない。そんな意味で社会は公平だ。本当に実力をつけたいとタカシは思った。今の自 [続きを読む]
  • 学生食堂にて
  • 経済学の講義が終わって教室をタカシが出ようとすると、誰かが後ろから声を掛けた。振り向くと青木裕美だった。その出立ちは、頭に毛糸の帽子をかぶり、シャツの上にグリーンのプールオーバ、同色のベスト、ジーンズのミニスカート、靴は黄色のパンプスである。どこにでもいる女学生の姿である。学生食堂に行こうと裕美が提案したので、並木通りを経て食堂へ。裕美はBランチ、タカシは貧しい学生が食べるAランチ。Aランチはコロッ [続きを読む]
  • 文芸部にて
  • 「一年、休学して働いてみるのもいいかもしれないね。働いているうちに気がかわるかもしれないよ。勉強したくなるかもしれないよ」と中山。「人が決めるものじゃない。君の将来は君が決めるものさ。君が辞めたいと思うなら辞めたらいいさ。その代わり後悔はダメだぜ」と坂本。自分の将来は自分が決めなければならないが、他人の意見も参考になるので、聞いて損はないとタカシは思う。いやいや、すでにもう腹の中では休学することを [続きを読む]
  • 文芸部にて
  • 「もともと経済が好きではないので」とタカシ。「俺だって経営は好きではないよ。社会に出れば必要な学問だと思うから我慢している。面白くはないが頑張るのさ」と坂本。「やめれば今まで大学に貢いだお金がもったいないからさ。大学卒という肩書は必要だと思うよ。大学中退と卒業ではえらい違いだからね」と中山。「かなり悩んでいるのです」「まぁ、それは君が決めることだから。他人がとやかく言うべきではない。やめたいと思う [続きを読む]