kojotaro さん プロフィール

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kojotaroさん: ** ねじねじ **
ハンドル名kojotaro さん
ブログタイトル** ねじねじ **
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/m-dump
サイト紹介文自作小説メインに不定期一括更新方式。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供32回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2015/09/22 15:54

kojotaro さんのブログ記事

  • 夢に見た話 3月6日午睡
  •  玄関が開いて重たい靴の音。耳に恋しい声がする。よそ行きの、外面の、けれども確かにあのひとの。「わざわざここに帰らなくても」「明日も仕事がありますから」 笑って答えるその言葉。廊下を伝って優しく私を包み込む。私は堪らず駆け出した。音を立てて戸を開けて狭い廊下へ飛び出した。 背中。「では」「どうも」 玄関が閉められる。明かりが途絶えて薄暗くなる。 そこにあなたのいないのを見て私はこれが現実と知る。  [続きを読む]
  • miss
  • 昨日と同じメロディーを食い繋いでまたひとつ生き延びた泣きたい夜に君のことを思い出すってことにまた泣けてくる途切れた虹が繋がって未来はまだどこかにあるらしい道の途中で君を呼んだら優しく笑ってくれるんだろう許せないもどかしさを抱えるのが僕だけだっていうんなら唇に優しさを乗せないで穏やかな夢は終わりを知るのだと振り向かないで振り向かないで僕の心はため息のように消えてしまいそうだ [続きを読む]
  • スキマ
  • 隙間透かした胸の奥から溢れた君の光いつか誰かがそれを優しさと呼んで君に恋をしたそれは憧れのように手を伸ばしては諦める君に似合う寂しさの本当の意味を知って何もかもを失くした朝壊れたものの最後の形はもう、わからなくなった作り始めた夢の形はまだ見えないまんまスキマだらけの胸の奥からこぼれた君の消えない光いつか誰かがそれを強さと呼んですがりつく崩れそうな君に [続きを読む]
  • 微かな光 22
  •  その日、深夜の少し前、臨時部隊は一斉に、銃を構え、突入作戦を実行した。三か所のアジトと、十三か所の個人宅から、建物内にいた二十余名を捕縛し、十人を射殺した。突然ドアを蹴破った二名の憲兵から逃れようとしたジェフリーが、三階の窓から落ちて死んだ。 ドン・カークスはいなかった。 コウの姿も、夢のように消えた。 [続きを読む]
  • 微かな光 21
  •  約束の時間は過ぎた。ヨウは懐中時計を閉じた。時間を確かめるたびに、胸の鼓動が逸るのだった。きっと何か、手間取っているんだろう。荷物を運んでくるわけじゃない。弟を信じるのだ。 信じるのだ。 信じるのだ。 信じなければ。「茶番だ」 と憲兵大佐が言った。彼の隣には次期特務部隊長の内定している憲兵中佐が立って中尉を黙って見下ろしていた。「騙されているんだよ、あんたは。いい加減わかったろう、己の無能を。あ [続きを読む]
  • 微かな光 20
  •  そっと、ドアを開けると、ドンが静かに振り返って、「帰ったか」と言った。 コウは、言葉少なにドンを誘って、また外へ出た。ドンは黙ってついてきた。家の中では、ドンの旧来の仲間らが何人か集まって、ときおり、怒号のような声で言い合っている。「仕事が近い」とドンは言った。お前も来ないか、とは言わなかった。「あんた、いい加減やめたら。もう年寄りなんだから」「へっ。とっとと死ねってことかい」 コウは振り返って [続きを読む]
  • 微かな光 19
  •  養父が死んだ。 国葬とは、なんと盛大なものだろう。コウのあの嘘の葬式もかなり大々的で立派なものだったが、あんなものの比ではない。全ての工程が終わるまでに二日かかった。商店は全部休業し、地方からも参列者が集まって、道を埋め尽くした。己の養父、国家憲兵隊最高司令官たるルラック憲兵中将の偉大さ。そのひとが自分ごときを、息子だと言って、一心に愛してくれていたことが、今はとても、惨めなことのようにすら思え [続きを読む]
  • 微かな光 18
  •  星の多い夜だ。 四人は計画の通り、敷地に忍び込んだ。庭の木から庇へ渡り、二階の窓を外して……全てが順調だ。下調べは入念にされていて、確実だった。それほどに大きなヤマであると言える。それを、ドンの手を借りず、自分らだけでやってしまおうというのだ。大それたことをしている。コウは不安を拭えないままでいる。 ジェフリーは袋を広げながら、隣室への扉に耳を寄せた。そこは主寝室だ。主の、鼾混じりの寝息を聞いて [続きを読む]
  • 微かな光 17
  • ヨウが訪れると、衛兵は敬礼をして彼を通らせた。通路には窓からくっきりと陽が差し込んでいた。陽光は熱を帯びていた。じりつく頬に纏いつく空気は相反して冷たかった。 扉の前にも衛兵がひとり立っている。反射的な敬礼にヨウは丁寧に答礼した。衛兵は目元やほうれい線がはっきりした皺になって壮年の風貌である。ヨウの眼を見ようとしない。ヨウは彼を、通路の向こうへと下がらせる。「失礼致します。ヨウ・ルラック中尉です [続きを読む]
  • Good Luck!(覚書)
  • そっと いちに、さん と呟いた自分の心にだけ囁いたひとりでいいんだどこに行こうか なんて誰にも決められないから地図も望遠鏡も置いてきた僕の目に映るものを信じたいつかどこかへ たどり着いたら君に叫ぶよ空の真ん中辺へ飛び出した鳥のように両手を広げてたひとりでいいんだ何をしようか なんて誰にも決められないから地図も望遠鏡も置いてきた僕の眼差しだけが道標いつかどこかへ たどり着いたら君に叫ぶよGood Luck!とギガ [続きを読む]
  • 君の町にも雨が降る
  • 雨音は どんなふうに君に聞こえたの優しさはそこにある?憎しみは きっとある遠くでまた サイレンが鳴り響いては消えていく誰のことを思ったの君を責めるわけじゃないけれど今夜 君の町にも雨が降る誰しもが 急ぎ足で明日を待つゆりかご探してるいつか 青い空にこの雨を重ねる時が来る失くしたものを諦めて君は 何を 見つけたのか [続きを読む]
  • 形の違う生命体
  • 腐臭を放つヤツのうえには煩わしい雨のような愛が降って傘も差さずに嫌な顔して歩いていったあれよりましなものでいたくて血へどを吐いて笑って泣いた僕の上には冷たい雨がただ 雨が降っていたつまるところはこの世界には僕は堕ちる穴すらなくて生まれる場所を間違えたんだ形の違う生命体誰か僕に教えてほしい君の居場所はここだってこの手を引いて走っていってもしも知っているんなら虚しい海の波の狭間も光らぬ星の砂漠の影もい [続きを読む]
  • 確かにここにあるもの
  • 水のない海に漕ぎ出した焦りが心を穿つように櫂を突き立てた辿り着く当てはない不思議と淋しくはない淡い星の光が雲の隙間から背中に降っているそれは答えではないけれど確かにここにあるもの [続きを読む]
  • 無題気味
  • ゆっくりと 手を離した君は泣いてたのかなひとりでも平気だと言わなくちゃ僕らはずっと ひとりぼっち君の指の形少し冷たい体温がいつの間にかぬくみに変わるいま 手の中には 何もないI forget you someday君がいたからここまでこれたこの先へと 僕は行かなきゃならない途切れた足跡ひとつ 残っている [続きを読む]
  • イメージ(無題)
  • 目を閉じて 風の香り涙は冷たくて傷痕のような 轍の上爪先を濡らしていた手を伸ばしても何も触れない何を探しているかもわからない鼓動を 数えて 記憶を 繋いで明日を待っている空は高く あの日と同じ色時は止まってくれなかったあなたはいないここにあなたはいない消えない冬の淋しさ ひとつ [続きを読む]
  • good night的な。
  • この手 この耳に触れる君の夜真綿の飛ぶような夢を見てるの明日になればまた涙が零れるから今は何もかも忘れておやすみきっと傍にいるよ [続きを読む]
  • T・T・田中と八千草遠乃6
  • その時、T・T・田中の携帯電話がブイブイ言いだした。着信だ。滅多に鳴らない携帯電話を慣れた感じでT・T・田中は耳の穴の少し下に宛がう。「はいはーい」 あっ…あのう、探偵のT・T・田中さんでしょうか。「うん゛っ!」 T・T・田中は噎せた。 すみません、落ちていた名刺を先程拾いまして、こちらの電話番号が書いてあったものですから…あの、探偵業はいま、やっていらっしゃるんでしょうか?「やってる。やってま [続きを読む]
  • T・T・田中と八千草遠乃 5
  • 「君って、馬鹿なの? 君ってば馬鹿なの?」「うるさいなあ。遠乃さんが、ばらまけって言ったんじゃん」「君ってさあ、あれかなあ、日本語のあれ的なあれをあれしてくれたりしないのかなあ!」「あれあれあれあればっかり言ってるとあっという間にじじいになるぞう」「そう言う君は多少は大人になったかしら!」 もう大人だよ、というT・T・田中は結局、年齢不詳だし精神的にけっこう大人から程遠いことは間違いない。 「だ [続きを読む]
  • 無題再び
  • 何を守って 何を失うかこの手を広げてもたぶん最善はわからないけれど何かを 握りしめてそれを勇気と呼んだ小さな手の範囲のつかみとれるものだけを選んで追いかける行くんだ行くしかないんだ君を探さなくなるまで行くただ 行く君を幻と呼ぶ日まで [続きを読む]
  • 無題
  • 触れられてしまえばその途端に僕は僕を見失うのにそれでもまた誰かの手を求めている優しくなくてもいい教えてくれるならガラスより鮮やかに闇を透かすここに存在などしていないしてはならないだけど止まない叫び涙嘘にはなれない痛みを繋いで描き出した愚者は童話じみて憐れみを誘うだけ綺麗なものじゃなくていい君の瞳に映るなら憎しみが真っ直ぐに僕を貫くとしてもこの手が壊したものは音もなく散っていった僕は罪けれど罪は僕に [続きを読む]
  • T・T・田中と八千草遠乃 続続続
  • 憧れのアイテムを手に入れて興奮に目を輝かせるT・T・田中を見て、八千草遠乃も優しい顔をした。「このくらいなら、いつでも協力できるから。とりあえずそればらまいてみ! 千里の道も一歩からってね」「わかった! 俺さっそくばらまいてくる!」 一時間後、マンションの屋上から名刺を公道へばらまいたとして、T・T・田中は警察から厳重注意を受けた。 [続きを読む]
  • T・T・田中と八千草遠乃 続続
  • T・T・田中はここ数年以前の記憶をさっぱり失っている。 客間でT・T・田中へ目玉焼きのせご飯を与え(ほぼ無職であるT・T・田中はこうしてたびたび八千草遠乃から施しを受けているのだった。八千草邸のにわにはにわにわとりがいて、その採れて三日以内の新鮮な卵を使用した目玉焼きはとろーり半熟、それでいて香ばしい焦げ目も抜かりない、八千草遠乃渾身の一品なのである。決して手抜きの粗食を食わせているわけではない。 [続きを読む]
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  • ** ね じ ね じ **Since 2013.09.01※閉鎖準備中 pixivにて「おぐ」名義で活動していきたと思います。こちらの作品もぼちぼち移行していきます。 もしよければ遊びに来てください。http://pixiv.me/eybdo-og自作小説掲載中。大変に遅筆ですがお付き合いくださりありがとうございます。見返すとキリがないので目をつむって投稿しています。◎『微かな光』 ‐ 1〜22...終わろうかどうしようか迷い中。他 随 [続きを読む]
  • 微かな光 16
  • 「アメリカまで、どのくらいかかるんだろう」 とコウが言い出すので、ヨウは、「さあ、船で二週間くらいだったかな」と教えてやった。「アメリカへ行くのか?」「……行くかもしれない」 コウの声音に、先日のような溌剌さはなかった。「もし、そうなったら、あんたとももう会えなくなるかな」 ヨウは笑った。コウがあんまりにも寂しそうな顔をしているからだ。「心配いらない。会いに行くよ」「遠いぜ」「平気さ。お前の元気な [続きを読む]
  • 微かな光 15
  •  小さな棲家に一脚きりの椅子をコウに与え、自分はその横で立ったまま、ジェフは熱いお茶を啜る。珍しく黙り込んだままのコウに、気まずいのか、落ち着かない様子で雨の音に耳を澄ます。「お前もさ、じいさんの言うことをまともに聞くなよ。ああいうのは歳とるごとに口が喧しくなるんだから。そのうちぱったり何も言わなくなるよ。へへっ、もうしばらくの辛抱じゃないか」 年老いたドンのことをそんな風に言われると、コウはやっ [続きを読む]