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諸事情で腕を切れなくなり コンサータとストラテラをおやつにして 愛するひとをカサンドラ症候群に罹らせぬよう生き抜きたい29歳児

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2015/12/28

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  • エヴァラスティング・エヴァグリーン・デイズ

    胸が疼く。 私の、僕の存在が、いつだって恋人を疲れ切った表情にさせるから。 ざぶざぶとジントニックをつくっては飲み、背に恋人の気配を淡々と感じつつ、冷え冷えしたさびしさの、抽象的としかいいようのない夜をやり過ごしてゆく。 丁度、金原ひとみの『星に落ちる』を読み返した。女主...

  • fireworks

    先日、いつのまにか二十九歳になった。 ということは僕の脳は、やっと十八歳くらいか。恋人より少し幼い。 昨晩、恋人とピロートークを堪能し、さあ寝るぞとマイスリーを飲んでしばらくぼおっとしていた。三分後には朝が来ていて、恋人はとうに出勤しており、さて僕も僕の仕事をやらねばとキ...

  • 美しい庭と、閉ざされた門

    いわゆる幸福な生活を送っているつもりだし、むしろ全うしている。 恋人は一年半もこんな僕の傍にいて、宥めたりやんわり叱ったりしてくれている。 独居という建前の半同棲は、学ぶことが多くて飽きることがない。 最近は家計簿を付けることの面白さに目覚めたり、靴下やタオルの熱消毒の偉...

  • 暗黙を食べる

    朝ごとにサンドイッチをつくって食べる。 わが家にはトースターが無いので、いつもフライパンで食パンを焼く。八枚切りのそれを二枚きっかり。粒マスタードとマヨネーズを塗り、ハムと輪切りのトマトを乗せ、パンで蓋をし、少し重しを置く。 ざっくりふたつに切って、あとはかぶりつく。無心に食...

  • Sugar-coated Night

    あんなにも酷すぎた夏だったのに、おそらくそれはもう逝った。 秋の心、と書いて、うれい。 僕たちは去年の今頃、その愁いを分かち合いたくて堪らなくて、出逢いを無に還したくなくて、か細い雨に濡れながら傘もささず凍えた手を握りあいながら、見つめあい、駅前に立ち尽くしていた。終電なん...

  • 儚きもの人間

    二年前、Cくんという大切なひとが死んだ。 その一年後、僕は発達障害のくせに、心がわからないくせに、あろうことか人間に恋をしてしまった。そうして紆余曲折あって、そのひとが最愛のひととなった。 最愛。 今の恋人に出逢ったその時を思い出してみる。 駅前の極彩色のゲームセンタ...

  • トライアングル ◎

    Cくんを喪失し、僕は脱け殻になった。 そのせいか、そのおかげか、性行為に対する生理的嫌悪感が薄まってきている。素肌を重ねたり擦りあったりすることに、どうも悪くないんじゃないかなあと感じるような回路が構築されつつある。発達してしまったんだなあ、階段をのぼってしまったんだなあ、と、...

  • 月が嗤っている

    ある日、Cくんはいなくなった。突然。 事故だった。 39度の熱にうなされていた僕がそれを知ったのは葬儀の後だった。 さびしい。 この感情に目覚めつつある僕は、いま何かしらの認知を得ようとしている。 僕はまたひとつ、縋るべき関係性を喪う。 そのときに、果たして耐えら...

  • ペパーミント

    幼なじみの男の子が運転していたバスで、うっかり障害者手帳を提示してしまった。 僕はその横顔でぴんと気づいたのだが、彼は僕の「動作」のみを見て割引操作をおこなっていて、ほっとした。まあ、ばれてもばれなくても、どっちでもよいのだが。 彼について憶えていることは、たとえば小学校の...

  • Deathly White

    あおいあおい、蒼白な夢をみて起きた。 不気味というよりも、月をおもわせる幻想的な夢ではあった。 以前の僕だったらここでいそいそソラナックスを飲む、が、今の僕にはもうそれは必要ない。ただ正しく服薬し、正しく水を飲み、正しく珈琲を淹れる。 最近は拒食ぎみ。ちいさなパウンドケー...

  • アプリコット

    杏子色のにおいがするひとに欲情する傾向がある。 僕は共感覚で、文字だけじゃなく匂いにも色が視えるからこういう言い方をするけれど、ひとに抱きついたとき、甘酸ゆい杏子色のにおいがすると、すぐにしたくなる。 新奇刺激欲求も、ゆき過ぎると困ったもんだ。 「さびしいんですよね」 ...

  • 処女雪

    おもいだす、あの日々を。 元主治医のPHSを合図に、瞬く間に四人の白衣に取り込まれたこと。権力とはああいうことをいうのだと、おもいだすたびに震える。 僕は措置入院を二度経験している。 原因は自傷行為。 表皮を引っかく程度なら何ら問題ないらしいのだが、僕のは「解剖」レベル...

  • 冷めた珈琲

    先日、知人と食事がてら語りあう機会があった。 否、「語りあう」とは言えなかったかも。 とにかく彼は一億年分ほどよくわからないことを話し、まくし立てた。衒学しつつ喋り散らす彼は至極いきいきとしていた。珈琲はすっかり冷めきって、どす黒い液面がてらてらひかっていた。 そうして最...

  • Dolly

    リスベット・サランデルは、僕の永遠の憧れ。 今の僕の髪型は黒のドーリー・セミロング。しかしちゃっかりツーブロック。リスベットに闘志みたいなものがあったとしたら、それにどうしても倣いたかった。 少し自意識に偏った話を記録する。 母に幾度も言われたことがある。 「あんた...

  • 足を攣る

    準備体操もせずプールに飛び込めば足を攣る。そんなまぬけなことを、僕は今している。 具体的にいえば、組成式もイオンの価数もわからぬまま酸化還元を学んでいる。そういうこと。 予備校に入ったタイミングが悪く、こんなことになってしまった。 基本僕の学習は「つまみ食い」なのでべつに...

  • 蛍石

    脆くて砕けやすい。 そういう時分は終わったのかもしれないと思った。蛍石とか、ガラスとか、そういうふうなものを想起させる「何か」が無くなった。外界に出てゆくときも、剃刀やメスを持ち歩かなくなった。僕はきっと何かしら、発達してしまったのだろう。 おのれの幼さを倦む。ひたすらに。...

  • psycho-

    身体と心は繋がっている、というふうに聞いたことはあった。 医療従事者になりたいという思いに変化はない。 だが、理転をやめた。 僕がほんとうに求めてやまないもの、 それは、 「医」の世界にではなく「心」の世界に在ったと気づいたからだ。 僕が「僕」を操作する過程で...

  • 正しい闇

    ひさしぶりに記録をとる。 アスペルガー症候群単体だと思っていたおのれの症状に、実は多動が混じっていたことを知った。 そうして僕は、ストラテラとコンサータを併せて飲みはじめた。 定型発達者の脳の構造がわかったような気がした。こんなにも発作のなき日々。 だが、僕はべつに...

  • 向日葵 ◎

    今迄に僕を捨ててきたひとたちがみんな、向日葵の種になってぼろぼろ零れてハムスターの餌としてぽりぽり食べられてくれますように。 それくらいの寓話でいい。 母親が退院したから僕は別の意味での通学路変更に苛まれ、酒の量が減らない。 ロヒプノールでふわふわしつつ、マイスリーと...

  • itchy

    精神がささくれているのがありあり自覚できる。 ああ痒い痒い痒い痒い。 何をしても左腕が痒い。 どう切っても痒い。ちくしょうちくしょう。 薬もだめだ。どう飲んでも飛べないし気持ちよくない。 最近は酒に縋っている。だがしかし安酒はクソまずい。飲む気どころか買う気さえ失せる...

  • 穴と線 ◎

    今日は文筆活動にも勉強にも過集中できた。 虚脱の感触はあまりない。ありがたい。 でも後が怖いので、もうすでにロヒプノールを入れた。一時間後にマイスリーを入れて横になる。 宣言しておくことで実行意欲を高める。 どうして僕のホメオスタシスは完璧主義者なんだろう。 穴を穿...

  • 溶血 ◎

    だめだそろそろバケツから水が溢れる。 低張液ですべてが壊れる。 蛇口を止める術を僕は知らない。 したい。自傷がしたい。腕を切りたい。 もうね、浅くでいいから、切りまくりたい。 涙をこぼすような、にやにや笑うような生傷をつくりまくりたい。 というかすでにフライングし...

  • Hypertonic

    さすがに反省した。相変わらず宇宙は見えなかった。 何日前の仕業かは忘れた。 父親にめずらしく怒られた。がつんと。 なぜアームカットをしなかったのかと過去の自分を懐疑するが、今は左前腕部の皮膚炎症がひどくてできないことを思いだしてなるほどとひとりごちた。 ht...

  • 爛熟

    母が倒れてからというもの、家事炊事に追われて這いつくばって生き延びてきた。 自身のこと、実験や詩にかかわることはまるで手つかずで。 虚しかった。 思考回路はメーターが振り切れたように、白くぼんやりと停止しているかんじ。 何か考えようと思っても考えられない。 自傷をする...

  • マザーコンピュータ ◎

    母が倒れた。 突如挙動もおかしくなって、奇行も目立つ。意味不明な言語を紡いでいる。 やばいと直感した。頭から血の気が引いて発作を起こしてしまった。 でも、すぐに父親に連絡、病院に連絡、救急車を呼んで意識朦朧とした母親を無事搬送した。 こういうとき、僕はサイコパスのごと...

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