焼け付くような赤い夕陽を、二人が同じ場所で見ていた。海岸沿いに面した堤防の上に立ち、二人はお互いの手を握っている。一人の表情は水平線をただまっすぐと見つめ...
「夕方の六時、今は使われていない旧校舎の用務員室でさ、出るんだって」「出るって何が?」「何がって……あれだよ、あれ!!」「あれって、幽霊とか?」「多分……...
この記事はブログのファンのみ閲覧できます
校舎裏のいつもの場所で、桜井はいつものように煙草を吸っていた。足元には数本の吸殻が散らばっている。何本目かの煙草を吸い終わった後、すぐにまた新しいのを取り...
校舎裏で吸う煙草の旨さをどう表現すればいいのか、と桜井は煙をゆっくり吐きながら考えてみた。家で吸っても文句を言うものはおらず、見た目も大人びているので街中...
「あらら、こんなのツモっちゃったよ」まー坊が手牌を倒した。三副露してのドラ単騎。赤を含めての満貫手。大友は苦虫をつぶしたような顔で点棒とチップを払った。鎌...
「リーチだ」吉岡の発声に、両隣の二人はうんざりした。これで一体何回目のリーチになるのか。確かに調子がいい時には、リーチは良くかかるものだ。だが吉岡は違う。...
「そうよ、あくまで噂」寂れたバーのカウンターで、中年の男が顔に似合わない甲高い声でそう言った。「でも、気持ちはわかるわぁ」その右隣にいる、濃い化粧をした男...
部屋から見える雲は、他より少し濁っている気がする。路地裏の匂いは、他より少し小便臭い気がする。僕が着ている制服は、他の子たちよりも少しぼろっちい気がする。...
僕は無駄に麻雀歴は長いですが、腕前はピヨピヨ鳴くひよこレベルです。初めて麻雀を知ったのはマガジンで連載していた哲也で、そこから牌を買って一人で卓を作り黙々...
男はイラついていた。この半荘だけでショートピースを半分は空けており、右手の人差指と中指の末節はヤニで黄ばんでいる。だが、それも無理はなかった。最初の方の半...
「そんなに美味しそうに舐めなくてもいいのに」洸治の小馬鹿にしたような声で現実に戻された。俺はいつの間にか小指の方まで舐めていたらしい。ペティキュアも所々が...
背も低くて、顔も小さいし肌も白くて女みたいなやつ。それが洸治の第一印象だった。性格も押しに弱く、自分の意見を主張しないと見た目通りでよく同級生にからかわれ...
口で靴下のつま先部分を咥えて脱がそうとするが、中々上手くいかない。ニーソックスというやつだろうか、膝丈よりも長いこの靴下を手を使わずに脱がせろと言われた俺...
「ブログリーダー」を活用して、エークさんをフォローしませんか?