ダメ人間 さん プロフィール

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ダメ人間さん: 幻造戦記
ハンドル名ダメ人間 さん
ブログタイトル幻造戦記
ブログURLhttp://gennzousennki.blog.fc2.com/
サイト紹介文社会の底辺に生息している「ダメ人間」が憂さ晴らしと気分転換を兼ねて綴っているブログ
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供342回 / 365日(平均6.6回/週) - 参加 2016/01/29 23:58

ダメ人間 さんのブログ記事

  • カードdeダンジョン前編 第2章 第23話
  • 「愚かモノめ・・・・・・」 ヴァン・クロイツァーが渾身の斬撃を放った。その攻撃は、横合いから彼を喰らおうと近づいた怪物の頭部に炸裂したのである。「じゅぐりゅらるらあふあああぁぁぁ・・・・・・」 意味をなさぬ奇怪な叫びが生じ、怪物が姿を現す。頭部が完全に両断されている。それは明らかに致命傷であった。怪物はしばらくの間、奇怪な悲鳴を発しながら巨体を無秩序にくねらせて暴れていたが、やがて動かなくなった。頭部の目もす [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第22話
  •  怪物の巨体はヴァン・クロイツァーからすれば巨大な標的そのものである。ましてや激痛によって隙ができた最中だ。時間に換算すれば一秒に満たぬわずかな時間であったが、その間に、怪物の身体には無数の深い亀裂が刻まれた。ヴァン・クロイツァーが斬撃を放つ。立て続けに放ち続ける。一切の容赦もなく、慈悲もなく、それは一方的な攻勢だった。怪物の身体は硬い鱗で覆われてはいたが、ヴァン・クロイツァーの技量をもってすれば [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第21話
  • 「・・・・・・」 ヴァン・クロイツァーは、自分がなぜ生きているのか、もはや理解できなかった。自分よりも生きるべき価値を有する人間は他にも大勢いたのに、彼らはみんな死んでいき、自分はたった独りまだ生きている。 だとしたら、自分も死ぬべきなのだろうか。「・・・・・・・・・・・・否」 という結論に達した瞬間、ヴァン・クロイツァーの体内から、恐るべき力が湧きあがってきた。それは猛烈な意欲であり、憎悪であり、怒りだった。この [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第20話
  • だがその時、後ろから肩を押されて、ヴァン・クロイツァーの身体がぐらりと揺れた。何者が彼を押したのか、明白だった。「死ぬな、ヴァン」 と、声が聞こえた気がした。 ヴァン・クロイツァーが思わず後ろを振り返りそうになった瞬間、黒い巨大な影が高速で彼の隣を通過していった。そしていまひとりを丸飲みにしたのである。「・・・・・・ッ!」 その瞬間が、ヴァン・クロイツァーの目には恐ろしいほどゆっくりと映っていた。 旧大 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第19話
  • 全長が一〇テーラーを超える巨大な蛇のような怪物――そう、森の中で探索団を襲撃し、壊滅に追いやった化け物が、ヴァン・クロイツァーらの前に再出現したのだ。 ヴァン・クロイツァーが再び呻いた。「こいつ・・・・・・後をつけてきたのか・・・・・・」 不覚にも気配に気づかなかった。いや、逃げるのに夢中で、それどころではなかったというのが実際のところだ。しかし、こうなるとそれは致命的な失敗だったといわざるをえない。「しゅら [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第18話
  •  スピルヘータの情熱的な演説を受け、ジャン・ピエールが立ち上がった。まだ完全に回復した様子ではなかったが、彼は立ち上がるべき理由を承知していたからだ。「だとすれば早くしよう。私たちの手元には、水も食料もほとんど残ってないんだ。調べるなら、早い方がいい」 彼の言う通り、三人の手元にある水と食料は、非常用として携行していた一日分だけである。人間は二、三日であれば飲まず食わずでも死ぬことはないが、そんな [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第17話
  •  探索団に参加した者たちは、六人の班長たちは別にして、他はなんらかの理由で金に困り、しかたなく参加した者たちばかりである。女に騙されて多額の負債を負った者、親族の借金返済を肩代わりした者、銀の取引に失敗して娼館にとられた妻と娘を取り返そうとしている者、孤児に対する支援を画策している者、そして病気の妹の治療費を稼ごうとした者など、みんな様々な事情があってここまでやって来て、そして死んでいった。ゆえに [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第16話
  • もし、この仮説が正しいとすれば、自分たちは砂浜とは反対側の方向に来てしまったということになる。しかし、結果として、自分たちの位置を把握することができた。そのことがヴァン・クロイツァーにとっては幸いだった。「場所の把握ができた。砂浜へ戻ろう」 ヴァン・クロイツァーは後ろを振り向いた。彼はすぐに引き返すことこそ賢明だと判断したわけだが、彼の後ろにいたジャン・ピエールとピローゼ・スピルヘータは、疲れ果て [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第15話
  •  ・・・・・・木々が林立し、雑草が生い茂る深い森の中を、ヴァン・クロイツァーは、生き残りのふたりを連れて前へと走っていた。その顔には苦渋の表情が浮かんでいた。「まだ半日・・・・・・いや、三時間も経っていないのに・・・・・・」 正確には一時間と四八分で、三時間どころか二時間も経っていないのだが、たったそれだけの短時間で、団は壊滅に追いやられ、ヴァン・クロイツァーも生死の境に立たされている。上陸する前は想像すらしていな [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第14話
  •  巨大な蛇のようなソレが、ゆっくりとした動作で巨体をくねらせながら、逃げ出さず(出せず)にいた団員たちに近づいた。そして巨大な口を開け、無抵抗な団員たちを次々と丸呑みにしていく。人間ひとりを食べきるのに、その怪物は一〇秒も時間を必要としなかった。 この時が怪物にできた唯一の隙であったかもしれない。怪物は食事に夢中で、注意が散漫になっていたからだ。行動に移ったのはいまだ心を強く保っていたヴァン・クロ [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第13話
  •  ソレは巨大な蛇のような生き物だった。全長は一〇テーラー(一テーラー、一・二メートル)ほど。胴まわりも太く、目算で一テーラー以上はあるだろう。全身が濃い緑色の鱗で覆われており、人間の身長ほどあろうかという巨大な口には、細かく鋭い牙がビッシリと生え揃っている。ソレはほぼ蛇の姿形をしていたが、唯一、上顎部だけが異形であった。ソレの上顎部はまるで人間の上半身のような形をしており、太く巨大な腕が四本も生え [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第12話
  •  たった一〇合に満たぬ打ち合いのなかで、ライオスは、自分とヴァン・クロイツァーの力の差を思い知っていた。剣を扱う技術、打ち込む速度、斬撃の的確さ、そして戦いの経験にいたるまで、全てがヴァン・クロイツァーの方が上であったのだ。ライオスは一歩、二歩どころか、一〇〇歩も二〇〇歩も劣位に立たされていたのである。 そのことを、ライオスと同じく、ヴァン・クロイツァーも理解していた。彼が本気を出せば、ライオスな [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第11話
  •  おそらくは、最後の言葉は余計なひと言であったに違いない。ヴァン・クロイツァーからの激しい糾弾を受けたライオスは、一瞬にして顔を真っ赤に染めあげると、激昂の咆哮を放った。「貴様を反逆罪で処罰するッ!」 言い終わるが早いか、ライオスは剣を握る腕に力を込め、ヴァン・クロイツァーに斬りかかった。高い金属音が響き、火花が散る。振り下ろされたライオスの剣を、ヴァン・クロイツァーが弾き返したのだ。 上司と部下 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第10話
  • 「!」 ジャン・ピエールの顔が驚愕で染まった。 ギイィィィィィンッ! 高い金属音が響いた。周囲が「あッ」と息を飲むなか、振り下ろされたライオスの白刃が、別の剣によってその動きを阻止された。ライオスよりも一段と素早い動作で抜剣し、ジャン・ピエールの命を救ったのは、傭兵のヴァン・クロイツァーであった。 ライオスがギロリとヴァン・クロイツァーを睨みつける。「貴様・・・・・・なんの真似だ?」「それはこっちの台詞 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第9話
  •  乱れた呼吸を整えながら、グルネ・ライオスが周囲に向かって声をかけた。「これより再度の点呼と団の再編成をおこなう。生存者は所属していた班と名前を名乗ってくれ」 ライオスの問いかけに対し、口を開く者がいた。「ま、まさか・・・・・・探索を続けるおつもりですか?」 医師のジャン・ピエールである。言葉は丁寧だが、その中には明らかな疑義の感情が秘められていた。「むろんだ。それが我々に課せられた任務ではないか」 ラ [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第8話
  • 「砂の中に何かがいる! みんな、砂浜から逃げろ!」 警鐘を発すると同時にヴァン・クロイツァーは真っ先に行動に移した。砂浜から離れるため、高く跳躍し、走りだしたのだ。危機一髪だった。何故ならば、細い管のような物体が、彼をも襲撃の射程圏内に収めており、あとほんの一秒足らずでヴァン・クロイツァーも餌食になっていたかもしれなかったからだ。 ヴァン・クロイツァーに続くようにして、他の団員たちも我先にと争うよ [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第7話
  • 「! な、なんだ! なにが起こっているんだ!?」 慄くように、誰かが叫び声を上げた。その声を受け、「無事」な者たちが気づいた。奇奇怪怪な悪夢が自分たちの周りに拡散していたのだ。今度は別の団員たちの身体が次々と膨らみはじめているではないか。ひとり、ふたりではない。一〇人以上――否、二〇人以上の団員たちの身体が、一斉に膨張していく。顔がむくむように膨れあがり、手や足が膨れ、身体全体が膨れ、筋肉が歪み、 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第6話
  • 「第二班、点呼完了。全員の装備・物資に問題なし」「第三班、第二班と同じく」「第四班も同様です」「第五班、人員よし、装備よし、水・食料よし」「第六班、欠員一名を除き、全員おります。装備にも異常ありません」最終確認がすみやかに、そのことがゼルラッハに報告されると、ゼルラッハは改めて集合している団員たちに向き直った。「よし。では出――」 出発――と、ゼルラッハが言いかけた直後である。団員たちが見ている目 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第5話
  •  ヴァン・クロイツァーの隣で、モンテンバイン・ゼルラッハが呟いた。年齢は三九歳。濃い髭を生やした偉丈夫で、身長も体格もヴァン・クロイツァーよりもひと回り大きい。彼はルドリア共和国出身の軍人で、この探索団の長を任されている人物である。 ゼルラッハは、額に浮かんだ汗を袖で拭いながら、ひとつ大きく息を吐き、それから、全員に轟くような声を響かせた。「これより旧大陸の調査を開始する。全班長は自班の装備の確認 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第1章 第4話
  •  オストバール号は、安全のため、陸地から一・五リーグ離れた海上に停泊し、探索団はそこから複数のボートに乗って旧大陸への上陸を果たした。 上陸を開始する前、船長のアル・ゴネは探索団員たちに告げた。「我々は一ヶ月間、海上にて君たちの帰還を待つ。その間に成果を上げ、無事に還ってきてくれ。健闘を祈る」 アル・ゴネがいう成果とは、旧大陸に関する有益な情報――発生している事象や現象の情報、生息している特有の植 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第3話
  •  ブライトンは瞬く間に取り囲まれた。屈強な水兵たちによって。乗組員の数が探索団の人数よりも多い理由は、このような時に対処するためである。 船長のアル・ゴネが一歩前に進み出て、ブライトンに声をかけた。その声は鎮痛に満ちたものであった。「雇われた君は、義務を果たす必要がある。その義務を果たさず、それどころか、このような反意を翻した場合、本来であれば即刻処刑されても文句をいえない。だが、もしいまの行動を [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第2話
  •  オストバール号が旧大陸へと近づくにつれ、悲壮感はより一層、深刻なものとなっていくようだった。誰もが口を閉ざし、口数が極端に減り、肌で感じとれるほど空気が重くなる。ヴァン・クロイツァーはすでに覚悟を決め、内心で死を受け入れる心構えをしていたが、そうでない者もいた。「いやだ!」 突然、鼓膜を突くような大きな声が響いた。「いやだ、俺は行きたくない! 俺はまだ死にたくない!」 そう叫んだのは、探索団員の [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第2章 第1話
  •  探索団員七二名と、船の乗組員九六名を乗せたガレオン船オストバール号は、途中、七回の嵐に遭遇しながらも、ひとりの命も失わせることなく、トリエステ港を出発してから七一日目にして旧大陸の影をその視界に捉えることに成功した。 遠くに薄っすらと陸地が見えた時、船からは一切の歓声があがらなかった。それどころか、緊張が走り、誰もが押し黙ってしまい、船にはまるで通夜が訪れたかのような雰囲気が漂う有様だった。 甲 [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第1章 第19話
  • 「旧大陸への行程は、最短でも二ヶ月はかかる」 と事前に教えられていたからだ。まったく、とんでもないところへ来てしまったものだと思わずにはいられない。「・・・・・・ああ神様、助けてくれ」 柄にもなく神に救いを求めた時、横からスッと手が差し出された。むろん、神の手ではなく、人間の手だ。手の平には黒い粒が三つほどのっている。「よかったらコレを飲むといい。酔い止めの薬だ」 ヴァン・クロイツァーは男に見覚えがあっ [続きを読む]
  • カードdeダンジョン前編 第1章 第18話
  • 「ほ、本当か・・・・・・」「ああ、二言はないよ」 大きく息を吐き、肩をすくめ、視線をあさっての方に向けながら、ヴァン・クロイツァーは言い切った。 ロンバルドが大きな声をだした。「すまない! 恩にきる!」 ロンバルドはさらにテーブルに頭を擦りつけ、礼を述べたが、ヴァン・クロイツァーの耳にはすでに届いてはいなかった。 ヴァン・クロイツァーはもう一度、大きく息を吐いた。 我ながら甘いと思わずにはいられない。い [続きを読む]