lemar さん プロフィール

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lemarさん: 信義 the faith as fan fiction
ハンドル名lemar さん
ブログタイトル信義 the faith as fan fiction
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/lemar-faith/
サイト紹介文信義の二次小説です。
自由文引っ越しました
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供260回 / 365日(平均5.0回/週) - 参加 2016/02/02 19:11

lemar さんのブログ記事

  • 白秋26
  • 「メヒの家は元に帰服する国に抗して官職を離れてより無官になって久しいが高宗の頃まではこの国の為に尽した功臣の家系だ。叔母上もその旨を鉄原にも伝えたそうだ。」「俺はそんな‥家の事など。」口籠るヨンの戸惑う目の奥に一人の男が揺らめくのが見えたチフは不思議なざわめきを心に覚えたままヨンに「ああ、わかっている。お前の父上も以前家門などは些細なことだと言っておられた。では進めていいんだな。」告げた。「メヒに [続きを読む]
  • 却来 壱
  • まるで映画の衣装のような格好の男が刀を振り回しているという通報があったのはヨンがコエックスに着いてすぐだった。その日は海外の要人が集まる国際会議がソウルで二つも重なっていた。ヨンが現場を離れて随分になる。今日も本来なら本部での指揮にあたるはずが人手不足が重なってこんなところにまで駆り出されていた。― 春になると可笑しな奴が増えると言うが「ああそう、木の芽時…だ。」叔母の言葉を思い出した。手隙の部下 [続きを読む]
  • 白秋25
  • 「寄らぬのか、お前。」「ええ、俺は顔を出せる筋合いではないので…。イムの旦那に挨拶だけしてきやす。」「崖に向かう道の窪地に石を積んだ。すぐわかる。もう遅いから俺のところで夜を明かして明日、早くに船を出せばよかろう…。」「今晩の潮なら平気でさあ。」女を奪う事はそんなにも罪な事であるのか。マンボがチフの為に用意した船はこの島の出だという漁師のものだ。その男は、人の女房を奪って島を出てから後、島に上がっ [続きを読む]
  • 輦道4
  • 「江陵大君ではありませぬか?」異国で不意に聞こえてくる故郷の言葉は往々にして胸を締め付けるものだが、まだ聞き慣れぬその名もその唇から発せられると何か美しい詩の一節のようだった。瑠璃の羅うすものを通して微かに伺えるその容貌かたちは胸の奥のまだ己でも触れておらぬ無垢な部分に甘痛い爪痕を残した。だが、その邂逅はきっと黄砂の見せた幻だったのだろう。その娘はもう二度と現れまい。「…の御息女、宝塔失里ブツダシ [続きを読む]
  • 輦道3
  • この国に倦みながらも私の帰国までにはまだ何年も要することになる。高麗に帰国する甥の姿を見送ったあとどこからともなく鼠が盛んに鳴く声が聞こえてきた。「王禎がああだったから…東夷が反抗などするから。」まだ僅か八歳の幼王であった為その為政は元の公主しかも世祖を高祖父に持つ母、徳寧公主が垂簾して行い実質的には元の親政だった。順帝は甥を冊封する前に高麗の諸臣の前で幼き世子に尋ねたそうだ。「父と母そのどちらの [続きを読む]
  • 輦道2
  • 兄王が廃された。母后の心配されていたとおりになった。そして時を置かず、世子である甥が帰国して冊封された。その時私は、十六になっていたがもう何年も前から既に己の人生が己の手にない事はわかっていた。人生とは、ただ漫然と過行く日々を耐える事だ。私は、目の前に広げた白い紙の上でのみ自由になれる。白い紙が私の筆によって思うままの世界に創り上げられて行く。そこには元皇宮に巣くう鼠のような宦官もいない。彼らの話 [続きを読む]
  • 輦道1
  • 「媽媽、媽媽、大元子媽媽。」ドチの声で目覚めるとそこは土埃舞う中原の乾いた大地だった。黄土で固めた城壁は思い描いていた様なものではなく武骨な荒々しい力でこの中原の地を奪い支配する騎馬の民の姿そのものだった。元出身の母を持たぬ兄が王になったことは、高麗より私に付き従ってきた者たちに野心を抱かせたようだった。幼き心には王位などというものにさしたる意味も価値も見いだせなかった。「大元子」などという名称と [続きを読む]
  • 白秋24
  • 「碧玉姐さん、女将さんはどこだろう。お客様がお見えで。」店先で待つ小太りの派手な顔の女とその付き添いの老婆は碧玉を見ると会釈をした。碧玉は、商家の嫁と言った佇まいのその女にどこか見覚えがあったがそう言った知り合いは持ったことがなかった。「白蓮姐さんのところだと思うけど…。呼んでくるからお通しして下さい。」白蓮のいる奥の間に向かう碧玉の背中に小女の案内する声に礼を言う女の声が聞こえたがやはりどこかで [続きを読む]
  • 白秋23
  • 「タンギ、抱っこ。」「おやおや、媽媽どうなさいました。」利発な王子は年の割には言葉も早く気性の穏やかな素直なお子であった。「もうお疲れでございますか。しようがありませんね。」ただ、少しお体が弱いのが母上の尹氏夫人の心配の種であった。年にしては小柄な王子を抱き上げるとチェ尚記は自分ではもう持つことのかなわぬ優しい重みに言いようのない悦びを感じた。正后を母に持つ兄君が世子として元におられる為この宮では [続きを読む]
  • 白秋22
  • 「会ってきたか。 どんな様子だった。」「ヨン達と帰らなかったのか。」「ああ、二人は、先に帰した。」マンボはその事に少し意外な気がした。そして、何故か心の奥に微かな波立ちを感じた。「で、どうだった。」「まあ、そうせかすな。」チフの前に腰かけたマンボは盃では足りぬのか飯椀に自ら酒を注ぐと一気に飲み干した。腹の中が温まってくるとタルと別れてからずっと胸の奥につかえていたものがやっと溶けてながれだした気が [続きを読む]
  • 白秋21
  • 「碧玉、そんなところで何してるんだい。」碧玉は女将に声を掛けられて初めて自分が随分長い間そうしていたことに気付いた。「えっ、これをヨンさんが持ってきてくれて…白蓮姐さんに渡すようにタルさんから預かったって…。」「薬だね…。」女将は碧玉の差し出した薬を受け取ると眉根を寄せて「タルさんの事は?タルさんが今どうしているか何か言ってたかい?」首を振った碧玉は「何も…ただタルさんから預かったってだけで。」「 [続きを読む]
  • 白秋20
  • 「何しに来た。」腰をかがめて横たわる男の顔を覗きこんだマンボの首にひやりとしたモノが触れた。― こいつは一体俺をどう思っているのだか首筋にあたった剣先はマンボを傷つけぬようにその刃の裏にそっとタルの指が添えられていた。― 全く…俺も見くびられたもんだ。「隊長の遣いだ。久しぶりだと言うのにこれが挨拶か。ガキの頃熱を出したお前を医者までおぶって行ってやったのは俺だ。」それでもタルのやり方に従ってやるよ [続きを読む]
  • 白秋19
  • 崖に向かう道から人の声がする。三人か…。足音からだと…もう一人。「ヨン、タルはどうした。部隊長といた筈だ。」ユンの声だ。他には「敵と共にファンの力で海にまで飛ばされたのだろう。 なあ、ヨン。」隊長と…、ヨン。きっと直ぐ近くにメヒもいるはずだ。誰かが視線を下げれば直ぐに見つかりそうだった。タルは動けない大二郎を隠すようにしながら祈っていた。見つかれば終わりだ。「ヨンと共に長を人質にとった敵と戦ってい [続きを読む]
  • ブログ道銷魂中
  • 私、見つけてしまいました!!!!昨日の午後の事でございます。昨日は朝からヒールでもないのに転んだり午前中床をワックスがけしたのに雨が降って来たりで(めったにせん事をするからや)気落ちしたままパソコンを開いて作業中の事です。ふとしたポチで見つけてしまいました。中国版WIKIで役名の漢字名が出ておりました。あんなに探してもなかったのにトクマンの姓!「呉」トルベは「山梨」ですと!そしてメヒ 「梅熙」でしかも [続きを読む]
  • 白秋18
  • 薬湯はもう底を尽きかけていた。― もう一度、   薬師のところまで連れていくべきだろうか何日か前には一度持ち直して取り留めもなく子供の頃の思い出話をしては声を出して笑うまでになっていたのに今日は、息をするのも苦しそうに見えた。“あの夜”も感じたが今も、微かにだが内攻で己の体を守ろうとしているようだった。だが、その力は― 形を成さず、あまりに…弱い調息を知らぬ者では、それ程僅かな力すら持て余すだけの [続きを読む]
  • 餔”あーん”
  • 「トギ、一緒に食べないの?」ウンスの問いかけに首を振ったトギは身支度をすませると慌ただしく出ていった。「私もこれから 恵民局の新しい散職と会わなければいけなくて…。」ウンスと目があったチャン侍医も済まなさそうにそう言うと忙しそうにいってしまった。ソウルにいた頃には1人で食事をする事にも慣れていたのにどうした訳か、今日のように1人で食事をすると物足りない思いがした。―  ここだといつも誰かが傍にいてく [続きを読む]
  • 輦道0
  • 十の時だった。兄王の復位に伴い禿魯花となるべく高麗を旅立ったその時、私は新しく開き始めた世界に胸を躍らせていた。快適とは言い難い馬車の道中、車窓から眺める風景の移り変わりは物珍しく、いちいち「あれはなんだ。」「ここはどこだ。」と煩く問うた。最初は「端無きことにて…。」と私を窘めていたその従者も、私の余りに熱心に魅入るその姿に呆れたのか、苦笑しながらもいちいち答えていた。乳母子の兄でもあるその従者は [続きを読む]
  • 白秋17
  • 「今度倅が嫁を貰う。」「ジュが?もうそんな年になったのか。」「お前のとこにいる元直殿の息子と同い年だ。禁軍に出仕し始めてもう一年になる。我が家はなあ高宗の頃まで全羅道の郷士だったのだが抗蒙の戦の折に先祖が神義軍に加わって以来代々武官を務めてきた。以前、俺の高祖父にあたる先祖がその兄から受け取った手紙を親父が見せてくれたことがある。そこに、『皇都では異形の者と蔑まれた者がいつも我々を救ってくれた。彼 [続きを読む]
  • 白秋16
  • 「前の時もそうだったが今上は気の弱い男だ。今度ももう既に周囲のいいように操られてしまって…。」アン・ヨンドはまた盃をあけながら今上を“男”呼ばわりした。「何の事だ。奇氏の娘が懐妊した以外にも何かあるのか?」「マンボから聞いてないのか?」「…マンボは…今ちょっと別の事をしてもらっている。」チフはそう言いながら思い出したように“左”の掌を握った。「蔡河中がな肩で風を切るように歩いていたのには訳がある。 [続きを読む]
  • 白秋15
  • 花かと思った。その娘が妓楼から出て来た時いい匂いがして一瞬、大きな花が零れ出てきたかと思った。その花はそこいらに生えているような平凡な花じゃない。埃っぽい道端には不似合な綺麗な花だった。きっと女とは本来そうして花のように生きていくものかもしれない。血や埃にまみれて生きる私には望むべくもないけれど。「メヒ、風が来た。帆を張らないと。」「うん。」季節によって、いやその日によっても変わる風を読むのは難し [続きを読む]
  • 迂達赤婦人之会 明月初陣 其ノ参
  • ミョンウォルは自分を見送った義母の心配そうな顔が浮かぶとのけ反りそうな態勢を立て直すように再び背筋を伸ばした。そして、真直ぐに顔を上げたミョンウォルは「迂達赤は今上の為のお勤めが第一ですし国が落ち着いて、時が来れば天から、…そうした沙汰が来ると思います。」婦人方を見回すようにしてにっこりと微笑んだ。― そう、私には旦那様の為に大切な使命がありますもの「そう、そう天からといえばなにやら胡乱な天女とや [続きを読む]
  • 迂達赤婦人之会 明月初陣 其ノ弐
  • 官僚夫人の有志による茶亭や刺繍会の名目で行われるこうした会合は夫や子の身分や職責の近いものが集まるのが通例となっていた。ミョンウォルの実家の母もそうした集まりには妻の務めとして参加していた。案内された部屋の中から既に聞こえてくる婦人方の話声にミョンウォルは背筋を伸ばした。― 何としても旦那様の為に”あの事“を探らねば…。「今日は副隊長の奥様がお越しになるとか…。」今日チョ評理の邸宅で開かれたこの会 [続きを読む]
  • 迂達赤婦人之会 明月初陣 其之壱
  • 「お義母様、よろしいですか。」チュンソクの母は入ってきた嫁に何と言おうかと暫く言葉が出ずにいた。「お義母…さま。 おかしゅうございますか。」「いえ、そういうわけではないのよ。」そう、いつもの通りミョンウォルは可愛かった。早くに嫁いでいったチュンソクの姉は、夫の任地について行った為、その娘にも孫にも、もう何年も会っていなかった。だから、チュンソクがやっと嫁を娶った時、年若い嫁と暮らすのが楽しみだった [続きを読む]
  • 白秋14
  • マンボはチフが「直接やって欲しい。」と言った時にその話の粗方の筋が読めた気がしていた。ファンが亡くなった後、その顛末を伝えに来たのはファンと同じ多島海の生まれのユンだった。ユンは戦のすぐ後の船旅で疲れ果て血走った目を擦りながらファンとタルの死を伝えた後「いくらあの辺の潮が急だからと言っても何も痕跡がないのはおかしい。」としきりに言っていた。どうやらチフがタルの死を決めつけている事が腑に落ちないよう [続きを読む]
  • 白秋13
  • 「どうだ、その新しいナリは。ちったあ慣れたか。」乱暴な言葉で述べられたマンボらしいいたわりにチフは片頬を上げて答えた。「うん、まあな。だいぶ慣れたが、たまにな、左腕がない事を忘れてコイツを持つと体の均衡を崩すときがある。」その主と宿縁に結ばれた鬼剣は、あ... [続きを読む]