thecosmologicalfort さん プロフィール

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thecosmologicalfortさん: うちゅうてきなとりで
ハンドル名thecosmologicalfort さん
ブログタイトルうちゅうてきなとりで
ブログURLhttp://the-cosmological-fort.hatenablog.com/
サイト紹介文海外文学、歴史、軍事関連の図書についてのメモや、自作ポエム
自由文ほぼ毎日更新
・本メモ……海外のフィクション、歴史の本、日本のフィクション、その他
・とりでポエム
・その他
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供188回 / 365日(平均3.6回/週) - 参加 2016/02/07 08:10

thecosmologicalfort さんのブログ記事

  • 「サラの鍵」
  •  Elle s'appelait Sarah 制作:2010年 監督:ジル・パケ=ブランネール ヴィシー政権が国内のユダヤ人を一斉検挙し収容所に連行したヴェル・ディヴ事件を題材にした映画。 主人公の夫の一族が住んでいたアパートを起点に、過去と現在とが相互に入れ替わり進んでいく。 不幸な一生を送ったユダヤ人の孤児の行方を追うことで、関係者たちは真実を知る。この映画においては、真実は過酷だが知る価値があった。 導入は、フ [続きを読む]
  • 報告歌
  •  スキュラには慈悲はあるのか青々と輝く海で拷問という  カザリドリが地下水脈を降りていくじょうろで呑んだマントルの露  尋問部屋に入れば夏の墓堀はソテツの国で虫捕りをする   [続きを読む]
  • 『帰ってきたヒトラー』ティムール・ヴェルメシュ
  •  現代ドイツによみがえったヒトラーは芸人としてテレビに登場し、やがて人気者となる。 ネオナチに襲撃されて以降は、自由の闘士として各政党からもスカウトが殺到し、ヒトラーは自分の政党を新たに立ち上がる。スローガンは「悪いことばかりじゃなかった」。 ヒトラーが現代の文化や技術に触れて、批評を加えることで話が進んでいく読みやすい本である。 ユダヤ人虐殺問題を伏せることで、ヒトラーの政策や思想が抵抗なく受 [続きを読む]
  • 『今日われ生きてあり』神坂次郎
  •  特攻隊員の遺書、整備員や周辺住民の手記等をまとめた本。 著者は航空基地の通信員として働いた経験のある作家ということである。 特攻隊員の陰に隠れて、批判から逃れようとする戦争指導者や指揮官の姿勢はよくない。  *** 特攻に志願した者の大半は学徒出陣で徴兵された学生だった。遺書や手記には、隊員たちが家族や知人、周辺の住民と交流する姿が残されている。 上原良司少尉の遺書は、当時の検閲に引っかかったか [続きを読む]
  • 善き人
  •  最近は、ホロコーストとボスニア内戦の本、ホップカークの本を読んでいた。 歴史が、殺人と拷問の博物館のように見えることがある。この世には、何1つ当たり前のものはないと感じる。  ◆時計 『Into that Darkness』の主題である、収容所長フランツ・シュタングルFranz Stanglは、元警察官、中でも優秀な刑事捜査課Criminal Investigation Department出身であり、非常に穏和で、人格のある人物だった。 かれは収容所の責 [続きを読む]
  • 『ソドムの百二十日』サド
  •  フランスの小説家サドによる幻想文学。 本書の構成は以下のとおり。・背景・登場人物・計画・訓示・日課次元・記録 計画によって集められた少年少女は、4人の変態権力者の変態行為の犠牲になる。あわせて、4人の中年女が自分の経験した変態行為を話して聞かせる。 ひたすら糞尿と変態行為の記録が続き、最終的には『悪徳の栄え』のように拷問と殺人に至る。 変質大会に関して、割と計画が構成されているのが笑いどころ [続きを読む]
  • 「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」
  •  制作:2003年 監督:ケビン・コスナー 暗い過去を持つ牛追いたちが、悪徳牧場主と主が雇った殺し屋を倒す映画。 ケヴィン・コスナーとロバート・デュバルの復讐は筋が通っており、村人たちも協力する。 コスナーと独身女性との交流が、特に後半はくどい。これを縮めれば10分くらい短くできたのではないか。 戦闘……コスナーの連射や、精密射撃を見ることができる。 西部劇の戦闘パターン……敵は分散して、一部は通 [続きを読む]
  • 『続・突破者』宮崎学
  •  『突破者』を出版した後の著者の活動について自ら回想する本。 宮崎学は、現代日本をとりまく抽象的な正義を否定する。それは清潔な市民による正義であり、社会から不潔なものを全て抹消しようとする世界観である。 平沼騏一郎が司法官僚の時代、かれは被差別部落を管理するために事業資金を管理し、部落をコントロールしようとした。 ――言論活動が、「正義」と「真実」なんていう空疎なかたちの支持をかき集めるキャ [続きを読む]
  • 『外人部隊』フリードリヒ・グラウザー
  •  モロッコ駐留の外人部隊に所属する兵隊たちの話。それぞれ違う国からやってきた隊員たちは、真偽の怪しい自分の経歴について話す。逃げ出した者、高貴な生まれだが没落したもの、社会から外れたものが多数存在する。 部隊では尼僧院での売春が蔓延しており、また、レースという若者は現地の少女の父親に金を払い交際する。一部の兵隊は同性愛者や女装者であり規律を乱している。 こうした様子が、特に盛り上がりもなく漫然と続 [続きを読む]
  • 『堕落論・日本文化私観』坂口安吾
  •  評論・エッセイ類を集めた本。 だいぶ昔に一通り読んだが、改めていくつかを読み直した。 ◆小説・文学について 現実の代用としての言葉を否定し、絶対的な言葉こそが芸術となる。言葉は現実の模写や代用品ではない。 ――言葉には言葉の、音には音の、色にはまた色の、もっと純粋な領域があるはずである。 ――芸術は、描かれたものの他に別の実物があってはならない。芸術は創造だから。 ――つまり芸術家とは自己の [続きを読む]
  • 「ラストエンペラー」
  •  制作:1987年 監督:ベルナルド・ベルトルッチ 清朝皇帝のち満州国皇帝溥儀の一生についての映画。幼児皇帝の不自由な身分から抜け出したい一心だった人物が、過去の栄光と、祖国復活の夢に惑わされて再び操り人形になる。 溥儀の人生は思い通りにならず、家族は離散し、また意志も弱い。周りの人物たちも、阿片や迫害によって破滅していく。 中国最後の皇帝が、一労働者として幽霊のように消えていく様子が物寂しい。・ [続きを読む]
  • 古い沿海地方へ
  •  大気のうすい、晴れた日に 岩にのぼった。 遠い木製の環から 取り外され、積み上げられた 岩の継ぎ目には 力強い 茶色と緑の植物がある。 わたしは、空の対角から 白い虎が現れるのを目撃した。  動物はわたしたちの符号を知っている。 それらは、土をなめて かぎを埋めこんだ。 [続きを読む]
  • 『謀略戦 陸軍登戸研究所』斎藤充功
  •  元職員らの証言を聞き出し全貌を明らかにするという形式をとる。  ***・登戸研究所は各特務機関や中野学校と密接なつながりがあった。職員の中には、終戦後すぐに行方不明となり、中国人になりすまして生活をしていた者もいたという。・特に、米本土に影響を与えた風船爆弾部門や、化学兵器、生物兵器、贋札製造部門の職員たちは、占領軍による追及を恐れた。こうした部門で勤務していた者は、米軍との取引により免責された。 [続きを読む]
  • 『誘拐』本田靖春
  •  小原保(こはら たもつ)による村越吉展誘拐殺人について書かれた本。 事件の状況、警察による捜索と取り調べ、被害者と犯人の生い立ちなどを検討していく。文章は落ち着いているが、事件を通して浮かび上がる世の中の特性が細かく書かれている。  犯人の生い立ちは暗く、犯行にいたるまでの経緯もみじめである。酒と風俗にはまり金銭的な問題を抱え、自分の首を絞めることになった。 小原と一時期交際し、後に警察に協 [続きを読む]
  • 『パウル・ツェラン詩文集』
  •  代表的な詩とすべての詩論を収録した本。 詩の翻訳はいくつか読んだことがあり、大変印象に残っている。   *** 有名な「死のフーガ」をまた読んだところ、以前よりホロコーストの風景が露骨に表現されているように感じた。  ――彼は口笛を吹いて自分のユダヤ人どもを呼び出す地面に墓を掘らせる   彼は僕らに命令する奏でろさあダンスの曲だ ――男はベルトの拳銃をつかむそれを振りまわす男の眼は青い  [続きを読む]
  • 「スポットライト 世紀のスクープ」
  •  制作:2015年 監督:トム・マッカーシー カトリック神父の性的虐待を調査する記者たちが題材の映画。 タイトルは、ボストン・グローブ紙内の調査報道コーナーに由来する。 演出や展開は地味だが、教会の隠ぺいシステムを追及し、被害者たちの実態を表に出そうとする記者の信念に共感した。 登場人物たちは、子供が性的暴行を受け精神疾患になっていくのに薄々と気が付きながら、自分の仕事をし、また黙殺してきた。 記 [続きを読む]
  • スパイマスターの歴史
  •  はりがねを巻くには、 夜、窓が沼のなかに 沈んでいき 金色の砂嵐が わたしたちの 幕舎におおいかぶさるのを 時計で、きっちりと 記録しておくようにと であれば きまりを守ること。  わたしは 多肉植物を食べすぎた。 夏のあいだも 装置にもぐりこみ 夢を見すぎた。  なくなったものは、他人のもので あっても、取り戻せない。  受話器を置いた そのとき 労働係の影が ふわふわとふくらみ 一面の壁に塗 [続きを読む]
  • 『近現代日本を史料で読む』御厨貴
  •  各時代ごとの政治家、官僚、軍人等の日記を紹介する。 1つ1つの章は短く、各歴史的人物とその日記のガイドのようなものである。  日記は歴史的事件から間をおかずに書かれるため、改変の度合いが少なく、当時の状況を細部まで知ることができる。 一方で、記録者の主観が強く入っているため、利用するには史料批判が欠かせない。  史料の発見や公開によって、日本史研究が大きく進むことがわかる。よって、歴史研 [続きを読む]
  • 『千日の旅』石上玄一郎
  •  石上玄一郎(いしがみ げんいちろう)(1910-2009)は札幌出身、東北で育った小説家である。 この人物を知ったのは、田中清玄が自伝のなかで、かれが尊敬すべき中学の同級生である、と言及していたからである。 作品のほとんどは、仏教的な世界観の影響を受けているが、総じて平坦である。わたしには合わなかった。 「針」 餌差という職業は、武家の所有する鷹のために、小鳥を生け捕りにし餌として提供する。餌差は針を口 [続きを読む]
  • おそろしい牢屋
  •  古い本だが『江戸の刑罰』(石井良助)を読んでいたところ、牢屋敷における慣習のあまりの理不尽さに笑ってしまった。 牢内では、牢名主の指揮のもと、人口調節のために囚人を殺すことがあった。 ――入牢者が多いと、一畳に9人も10人も並んで、文字どおり鮨詰めになって身動きができなくなり、立膝のままで昼夜暮らさなければならなくなることがある。 ――これは名主の承諾を得て、二番役の者が中座の者と協議し、3日 [続きを読む]
  • 『陸軍登戸研究所の真実』伴繁雄 その2
  •  植物、作物に対する病原菌兵器の開発が行われ、大陸で実験された。しかし結果は不明確である。 風船爆弾に牛の病原菌兵器を搭載し米本土を攻撃する計画もあったが、中止になった。 電波兵器(1科) 怪力光線、殺人光線ともいわれる「く」号は、怪力電波によって兵器に損耗を与え敵兵を殺傷する決戦兵器として開発されていたが結局実用されなかった。 その他、探知レーダー(「ち」号)の開発も進められたが、欧米に大きく [続きを読む]
  • 『陸軍登戸研究所の真実』伴繁雄 その1
  •  陸軍登戸研究所は川崎市生田に1939年設立された陸軍所管の研究機関であり、陸軍中野学校、関東軍情報部、特務機関等と連携して、生物化学兵器、電波兵器、風船爆弾、中国紙幣の偽札など様々な謀略戦兵器を開発した。 本書は創設から研究所及び中野学校等関連機関に携わってきた職員による記録である。 映画や漫画のようなスパイ道具や、奇怪な新兵器開発の一端を知ることができる。また、BC兵器開発の分野で、研究所が戦争 [続きを読む]
  • 「レヴェナント」
  •  制作:2015年 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 息子を殺された男が、瀕死の状態から甦り復讐する物語。 実在の人物を基にした話だという。調べたところ、混血の息子の存在はフィクションらしかった。 厳しい自然の風景と、アメリカ人、フランス人、先住民達がお互いに生存をかけて殺し合う様子が描かれる。 開拓者と先住民が登場する西部劇だが、雰囲気は異質である。話の中心は、主役たちのサバイバルと [続きを読む]