深川歌仙 さん プロフィール

  •  
深川歌仙さん: 文芸誌の旅
ハンドル名深川歌仙 さん
ブログタイトル文芸誌の旅
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/tokyo_ueno/
サイト紹介文5つの文芸誌を中心に、創作や評論のレビューをしていきたいと思っています。
自由文文芸誌の楽しみは、突然の出会いがあること。
読んだことのない作家の作品、
新しい人の作品
自分の中に既存の知識に邪魔にされずに読める至福の媒体。
あとは購入したり、借りたりした書籍のレビュー書きたい。
よくばって映画や雑誌の記事、展覧会・美術展の紹介などもの書きたい!
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供38回 / 347日(平均0.8回/週) - 参加 2016/02/08 11:37

深川歌仙 さんのブログ記事

  • 水原涼『蹴爪(ボラン)』「群像」2017年2月号
  • 主人公ベニグノにとっては 与えられた環境は厳しすぎる。 父は落ちぶれる 兄に殴られる 母から仕事をやらさられる しかしそこを離れて行くていくすべを持たない 子どもという弱い存在にしかすぎない。 でもまさにベニグノには叩き潰されても 這い上がる生命力がある。 潰されても潰されても その理不尽にたして反抗するのではなく 不器用に [続きを読む]
  • 【芥川賞候補】加藤秀行『キャピタル』「文學界」2016年12月号
  • この小説を擁護するとしたらどのように擁護したらいいだろうか?プロフェッショナルとして登場してくるのにプロフェッショナルではない登場人物たちそれは意図的なものなのか作者の努力が足りないのか判別がつかない。映像芸術と違って文学にはそういうことがある。 主人公「須賀裕樹」のモノローグ風あるは紀行文風の人生の旅の途中の出来事的なものすらなってない。どう擁護したらいいのか?どう擁護したらいいのか? [続きを読む]
  • 青山七恵『帰郷』「群像」2017年2月号
  • 曽祖父の時代は土地の名士でその立派な屋敷だったのにいまや家屋の解体のために無秩序なほどにゴミやら何やらがちらかっていて母も父も忙しくしているところにひさしぶりの実家を訪れた娘。6年前に結婚問題で親と揉めて家出を宣言をしてからとくに和解めいた決着があったわけでもないがいまは東京の仕事が嫌になりやめてあわよくば実家で楽をしようとするも都合良いことのなかなか言えず解体の日は近づいてくる。ある時から祖母の [続きを読む]
  • 松浦理英子『最愛の子ども』「文學界」2017年2月号
  • 「最愛の子供」ではかわった手法が用いられている。地の文の書き手、あるいは地の文に展開される心情の発信主は「わたしたち」と曖昧のまま全編貫かれている。それが物語の中へ入って行く際に若干のわずらわしさを感じざるを得なかった。小説で推移していくメインキャストの今里真汐、舞原日夏、薬井空穂の三人。彼女達の行動や心理状態は普通の友情ではくくれなく、まるで〈ファミリー〉この作品の中では「わ [続きを読む]
  • 下村敦史『算段』「小説幻冬」2017年1月号
  • これはよく扉を見なかった私が悪かったのだ。でももし事前に確認していてたらたぶん読まなかった小説そのことを知る前の感想−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 京都の五百九十年程続く和菓子屋が舞台。祖母、母、娘がまるで初めて会ったかのような自己紹介を兼ねるにしては強引なセリフ群例祖母が孫に言う「京子も高校生になったんやし、これからは店を手伝わなあかん」京都に詳しくない人への京都の説明例「毎年一人 [続きを読む]
  • 舞城王太郎『秘密は花になる』「新潮」2017年2月号
  • 誰だって基本的に自分から価値判断の出発があるそれが世の中とかずれていいるという自覚が生まれるようになってもそれは自分の環境の悪さ、育ってきた境遇とにかく自分以外の外的要因で自分がおかしくなったことに正当化を与える。とはいえ・・・主人公母・えり子。その娘・瑠美子。その夫の譲。 【作品の流れ】 ある日娘・瑠美子に「大人のパンツはいてる?」とかいう変態的な電話がかかってきた。 しかも小学校五 [続きを読む]
  • 【芥川賞候補】宮内悠介『カブールの園』「文學界」2016年10月号
  • いろんなものがいっぱい詰まっている。娘と母の和解の物語りのまわりにはいろいろな光が交差している。どの方向から見てもとても輝いている。その光は屈折しそうだけど。それでも未来に向かっている。子供の時に肥満で豚と言われカラテ・キッドを真似たいじめでそれがトラウマとなり今でも治療を続けている。しかもVR技術で当時の状況を再現しそのことを再体験することで克服しようとすることができるらしい。こうした治療が実験段 [続きを読む]
  • 【芥川賞候補】岸政彦『ビニール傘』「新潮」2016年9月号
  • 1と2があって1が男の物語2が女の物語1の物語の主人公「俺」は何人いるのか不明なところがある。大阪の淀川の下流のかつては湿地帯でいまはユニバがあるあたりと部屋が散らかっててカップ麺乃至カップラーメンの残りがあるとこが共通点タクシー運転手が少し清掃員が多めでベルトコンベアーの見つめている派遣の人一瞬やっぱり同一人物か別人か不明なんだけど働いてあるいは働かされて付き合ってふられてそんな物語2の物語の主 [続きを読む]
  • 【芥川賞候補】山下澄人『しんせかい』「新潮」2016年7月号
  • 「すみと」には興味が持てない。最初から興味が持てない。「すみと」がどうして【谷】へ行ったのか。そこでどうなったか。「すみと」が他人に興味がないくらいに、僕も「すみと」興味が持てない。でもね、他人に興味がない人の小説は珍しいかもね。これは昔で言う「自然主義」なのかな。現代の小説読んで「自然主義」とか言葉が出てきてびっくりしたけど。構成らしきものがないようにしてでも妄想の勢いではないようにする。「どち [続きを読む]
  • 飯田未和『迷い鳥』「小説同人誌mon」Vol.9 2016.10.20
  • 沖縄本島から四百キロ離れた周囲が二十キロほどの小さな離島羽手島。コノハズクの研究に訪れた加藤ちかそのちかの研究所にオオグンカンドリの幼鳥をもっていきなり現れた中1男子新垣悠真。いつの間にか、ちかの部屋に上がり込んでお互いのかなり経験の違いはあるけどなんとなく互いに関心が出てくる「好きな人は」「・・・・・・今はいない」「前はいたの」「そりゃあ好きな人の一人や二人はいたわよ付き合った人もいるし、片思い [続きを読む]
  • 津村記久子『うそコンシェルジュ』「新潮」2016年9月号
  • この小説がうそばっかり。だって主人公の小林みのりさんは、仕事が忙しいとかいいながら布の展覧会で、はじめて会った相沢さんにコサージュ作ってあげて、相沢さんと合う約束を破るためについたうそを姪の佐紀ちゃんに話したら佐紀ちゃんが大学のサークル抜けるのをうまくいかせるためにまたうそを考えて、しかもうまくいく。そうしたら同じサークルの別の子の彼氏の谷岡くんが佐紀ちゃんを通じておばあちゃんが兄夫婦への意味のな [続きを読む]
  • 小島信夫『小銃』(初出「新潮」1952年12月号)
  • 日本近代短編小説選昭和篇3(岩波文庫)から引用蒙疆の地でのある兵士の物語拳銃の名手であった主人公はその小銃を女性のように思い手入れの時は至高の一時になりまた唯一の性体験を与えてくれた5歳年上の人妻で妊婦を思い重ねていた。たまたま目があったシナ人の妊娠していた女性捕虜にその年上の女性を感じ主人公は一瞬、情が芽生える。それを感じ取った大矢班長は見逃さずにその女性を処刑をすることを命令し、主人公は実行し [続きを読む]
  • 木村紅美『馬を誘う女』「文學界」2016年8月号
  • 栞は本当のことを言えなかった。馬に恋しているなんて恥ずかしかった。もともと馬は好きだった。子どもの時の阿蘇山の旅行で人に引かれた馬に乗っているとまわりの景色が一変したことを覚えている。高校生のときは馬油入りのハンドクリームを使っていた。賭けには興味ないが競馬中継も見るようになった。でもサラブレッドより農作業を手伝う馬のほうが好きなのがわかった。栞は休みには全国各地の馬牧場巡りが趣味になっていた。今 [続きを読む]
  • 木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』「新潮」2016年8月号
  • 時代とともにある文学何から書いたらいいのかよくわからないのでいつものようにストーリーから東京と神奈川県の間に流れる独間川。その神奈川県側の河川敷に居をかまえる柳さん。ムスビという猫とともにアルミ缶の収集で生計をたてる。最寄りの新鳴子駅から弁慶大杉駅のがテリトリー。もうこれで20年生計を立ててきた。しかし時代を反映してかアルミの買取価格は下がりさらに競争相手も増えてきた。住みにく時代になったと感じた [続きを読む]
  • セス・フリード(藤井光訳)『宇宙を旅する大冒険』「すばる」2016年8月号
  • 多くの人間に囲まれていながら、孤独を感じる人は多いだろう。クラスメートとLINEでチャットをしたり同僚とごく当たり前な会話をしたり、家族と休日を過ごしたりしても孤独感に苛まれることは多くの人が経験するところであろう。しかし操作ミスで宇宙空間へ放り出されて秒速1500メートルのスピードで離脱していて、しかも身につけている宇宙服の生命維持装置により少なくとも5,6年は生き続けることができる。ただし孤独に堪え [続きを読む]
  • 村田沙耶香『コンビニ人間』「文學界」2016年6月号
  • コンビニのバイトは大変だ。扱う物品の種類の多さ、サイクルの短さ、それに発注、納品確認、陳列、賞味期限切れの撤去。決済も現金、電子マネー、クレジットなどなどチケットの発券、宅配便の荷物の収受などの各種サービスもあるし、惣菜の調理、店内外やトイレの清掃、そしてはっきりとした挨拶と声掛け。ほんとうに大変だ。でも古倉恵子はそれを大変だと思ったり、おかしいと思ったりしなかった。むしろコンビニバイトに感謝さえ [続きを読む]
  • 村田沙耶香『コンビニ人間』「文學界」2016年6月号
  • コンビニのバイトは大変だ。扱う物品の種類の多さ、サイクルの短さ、それに発注、納品確認、陳列、賞味期限切れの撤去。決済も現金、電子マネー、クレジットなどなどチケットの発券、宅配便の荷物の収受などの各種サービスもあるし、惣菜の調理、店内外やトイレの清掃、そしてはっきりとした挨拶と声掛け。ほんとうに大変だ。でも古倉恵子はそれを大変だと思ったり、おかしいと思ったりしなかった。むしろコンビニバイトに感謝さえ [続きを読む]
  • 崔実『ジニのパズル』「群像」2016年6月号
  • 自分がなにかに属しているのは間違いないし、 そこに属しているがゆえに、正なり負なりの影響を受ける。 そしてそのことが現実的な問題とならなかれば 心は平和だし、 そのことに疑いをもてば、 自分の存在そのものに疑いをかけてしまう。 自分の存在の正当性を一旦は疑ってしうだろう。 でもそこになんらかの決着を見ないと、まともに生きていけない。 [続きを読む]
  • 中村文則『私の消滅』「文學界」2016年6月号
  • 「したがって、恐怖こそ、迷信が生まれ、保たれ、育まれる原因なのである」。スピノザ(吉田量彦・訳)『神学・政治論』―光文社古典新訳文庫―薬物の使用。精神的な拷問。催眠。洗脳。あるいは統合失調症や解離性同一障害など人格に関する病。こうして人為的、あるいは病的な原因により人格を同一のものとして保つことが難しくなることがある。しかしなお人格として「ある」という感触はなんだろうか?人格が変わったとしても別の [続きを読む]
  • 小林紀晴『山人』「文學界」2016年5月号
  • 「ばあちゃんは、八ヶ岳に登ったことがあるの?」「あらずか・・・・・・登るのが、そもそも間違いだ」登山事故で両親をなくした小学生がその山の近くで祖父母に育てられることになった。だから都会から来た子供が田舎に来て感じる不思議な感じ。そんなことが語られている。例えば切り出した幹に人が乗って山の斜面を下る大柱祭。例えば蜂の子を取るために蜂に刺されながらも蜂と格闘する「煙桶」例えば子供を神に差し出す「オコソ [続きを読む]
  • 熊谷達也『オーバーホール』「文學界」2016年4月号
  • 99年式、GT-R、BNR34。通称R34震災から二日後に、津波にさらわれたであろうGT-Rは潮見川の底から発見された。その運転席から妻友紀が見つかった。妻は溺死だった。GT-Rの損傷は「ヨシキモーターズ」夫の美樹みたてではなんとかなるかもしれないと思った。友紀と付き合っている時に買ったR34。たくさんのカスタマイズを施してきた。友紀と結婚をし子供も授かった。会社も立ちあげた。もう一人の家族として、そして妻を見とっ [続きを読む]
  • パク・ソルメ『冬のまなざし』「すばる」2016年3月号
  • 私の故郷K市から近いヘマンに住んでいる。しばらくは故郷のことを思い出したことはない。 釜山のちかくでの原発大事故その近くにあった海雲台(ヘウンデ)は避難対象地域美しい海岸は廃墟に。 そのことを思い出したのはあの映画を見たから。その様子を写したドキュメンタリー映画上映会、シンポジウム、コンサート。でも観客もスタッフもなにかこの独りよがりさが漂っている。それでも [続きを読む]
  • 松尾豊『人工知能は人間を超えるか』
  • この本の中でも書かれているが人工知能という言葉は何度か現れては期待はずれの烙印を押されて消えていった。しかしネットやそれとつながるスマホなどのデバイスがほぼ個人に行き渡り単なる便利な小道具が、社会的インフラのコアテクノロジーになろうとしている今無関心ではいられないと思い関連する書籍を求め書店に出向いてこの本を手に取った。最近の人工知能のトピックで過去との違いを決定的に表したのは「ディープラーニング [続きを読む]
  • 安藤礼二『批評とは何か』「すばる」2016年2月号
  • このテーマで、それほど長くない文章を書くことになった安藤礼二は最初から「批評」というものを言い尽くすことを意図してないと思う。このことは批評家しては永遠に追いかけるもので、一雑誌の記事の範囲では不可能であるし、この分野に関心がある読者であれば、たくさんの場所で「批評」を書いている安藤がこの場ではあえて、何を選択して書くか、そこに興味が行く。冒頭近くで安藤氏はこのように定義する。「批評とは、言語とは [続きを読む]
  • 滝口悠生『文化』「新潮」2016年1月号
  • 神田神保町。文化の日。午後一時半。かつては中華屋だった餃子が評判の居酒屋に一人の初老の男。中瓶と餃子8個を頼むビールを喉に、追加で煮込みと刺し身を頼む。煮込みが来ると、中瓶は半分ほどに、さらに刺し身が来るとツマと一緒にカマボコ三切れ、紅白紅の順に。店はやや混んでいる、向こうの席の子どもと目が合う。酔いに任せて、意識は外へ、すずらん通りから駿河台下交差点。最近店じまいした大型書店を見ながら曲がって三 [続きを読む]