やまの龍 さん プロフィール

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やまの龍さん: 頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」
ハンドル名やまの龍 さん
ブログタイトル頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」
ブログURLhttp://yoritomo-fan.com/
サイト紹介文源頼朝&政子、北条氏、鎌倉幕府が大好き。歴史小説&考察&書評ブログ。大河ドラマについても。
自由文真田の先祖、海野幸氏は木曽義仲の息子で頼朝の娘大姫の許嫁者である志水冠者義高の家来。後に鎌倉幕府の御家人になる彼は、武田や小笠原、望月と並んで弓馬四天王と呼ばれました。そんなカッコイイ彼を応援したくて起ち上げました。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供90回 / 365日(平均1.7回/週) - 参加 2016/03/21 19:48

やまの龍 さんのブログ記事

  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 82
  •  こんな穏やかな気持ちで愛し、愛されるのはいつぶりだろう?  アキは温もりに包まれ、のんびりと幸せにたゆたった。 もしかしたら親子三人、走湯権現で暮らした時以来かもしれない。あれからずっと頼朝は神経を張り詰めていた。一時でも気を緩めたら喰われてしまうかのように警戒していた。 でも今、やっと彼は昔と同じ穏やかな顔で眠っている。その胸の上に頬を寄せる。とくん、とくんと規則正しく聴こえる愛しい振動。この [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 81
  •  黄色の光が遮られ、壁に伸びて広がる黒い影。アキは小さく震える。「私はいっときお前を疑った。だから無事を知らせなかった。だが幸氏から全て聞いた。お前のおかげで私は助かった」 アキは反射的に何度も細かく首を横に振った。自分のしたことは無駄でなかったのだ。「そしてもう一つ。お前は昔から私の大切な妹だ。だから本当は巻き込みたくなかった。だが結局全部お前に負わせた。そしてこれからも負わせる。それも許せ」 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 80
  •  頼朝の手がアキの首へと伸びた。引き寄せられる。大きく温かい体、馴染んだ麝香の香りに包まれ、これが最後なのだとアキは悟った。 冷え切った関係に気付かないふりをしながら、ずっと怯えていた。でも、それもこれでおしまい。自分のやるべきことはあと一つだけ。 大きく一つ息を吸う。腕の中から逃れ、手を前についてアキは頭を下げた。「幕府の末長い存続の為、聞いていただきたい願いがございます」 どう言えばいい? 父 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 79
  • 「江間は、三浦や梶原も、まだ富士から戻らないの?」「はい、富士にお出かけになられた方々はまだお戻りでないようで……」 アキの問いに、男たちは皆低く低く顔を俯けて目を合わせようとしない。 既に富士の凶報から幾日かが過ぎていた。なのに頼朝に関する連絡がまるで入ってこない。ただ、続々と入る死者、負傷者の数が、この事件が単なる私的な仇討ちではなく、大掛かりな計画であったことを物語っていた。 これからどう [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 78
  •  それからアキは毎日必死に神仏に祈った。アキに出来ることなど他に何もない。代わりに盾になることすら出来ないのだ…… そんなある日、アキの心境などまるで察しない脳天気なお祝いの報告が入る。「誠にお目出とう御座います!」 晴れやかな、実に晴れやかで誇らしげな男の顔を見て、アキは胸がむかむかとするのを感じた。狩り場からの危急の使者と聞いて心臓が縮み上がったのに。「若君さまは、見事、鹿を射止められたので [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 77
  •  久しぶりに見る金太は、小ざっぱりとした格好で慇懃に頭を下げた。「久しゅうご挨拶もせず、失礼をいたしました」 会いたくなかった。顔など見たくもなかった。どうしたって自らの犯した罪を認識しないわけにはいかない。それでも、今は彼に頼るしかなかった。「金太、あなたに借りを一つ作りたい」 アキは形式的な挨拶も何もかも飛ばし、単刀直入に切り出すことを決めた。だが、金太の反応は鈍かった。彼は僅かに肩をすくめ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 76
  •  まさにその伊東の相続争いの当事者が、今回の闇討ちで手を下すことになるだろう曽我の兄弟だった。 伊東の家の相続争いは平家全盛の頃から連綿と続いていた。伯父が甥の土地と嫁を奪い、それを取り返そうと甥が伯父の命を狙う。だが伯父の暗殺には失敗し、その息子だけが死ぬ。残されるまだ幼い男児二人。殺された男の妻は別の男へと再嫁する。残された子らは復讐を誓った。金太のように。そして、その復讐心を今、北条に利用 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 75
  • 「珍しいな。どうした?」 頼朝と顔を合わせるのは久しぶりだった。同じ御所の中に暮らしているのに顔を合わせない日の方が多い。アキが避けているのか、頼朝が避けているのか、公的な催し以外の場で二人が会話をすることなど、ほとんどなかった。「お願いがございます」 手を揃えて頭を下げる。顔を上げると頼朝は明らかに機嫌の悪そうな顔をしていた。アキは震える手を懸命にこらえ、唇を噛み締めると正面から頼朝を見据えた [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 74
  • 「やるならもっと上手くやれ」 起き上がろうともがく梵天の腕を後ろに吊り上げ、金太は遠慮なく膝を進めて少年を地へと沈ませた。潰れた蛙のごとくグシャリと伸びる手足。それでも頑強に鎧通しから手を離さないのは褒めてやってもいいかもしれない。 引き取って三日。喋らぬ、目を合わさぬのは、馴染まぬせいばかりではなく、その心に一物あったようだ。「敵討ちか」 梵天は事もあろうに頼朝の首を狙ったのだ。それも大行列の [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 73
  •  万寿を身ごもったあの日より、金太はアキの前には姿を現さなくなった。 でも御所には出入りしている。ユウには今も親しく声をかけているようだった。アキが自死しようとしたのを止めたのも金太の仕業だろう。 常に見張られているのだと、幼い頃からずっと監視されていたのだと知ったのはその頃。 あの日、金太は言った。『アキ、時政を殺せ。あいつは我らが父母の敵だ』と。 顔も知らぬ、家系からも消されている人々。アキ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 72
  • 「まぁ、五郎。あなたが機嫌伺いに来るなど珍しいこと」 既に元服して時連と名乗っていた末の弟の久しぶりの来訪に、アキは目を細めた。「干菓子など持たせましょう。八幡も喜ぶわ。元服してから、まるで姿を見せなくなったのだから」 アキは侍女のユウに目配せする。だが五郎は手をヒラヒラと振って、立ち上がりかけたユウを制した。「ああ、八幡にはもう土産を渡したので呼ばないでやってください。昼寝するって言ってました [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 71
  • 第十四章「あめつち」 「平重盛の孫を俺に預かれと?」 藤九郎の言葉に、金太は僅かに目を上げた。いつもの人を食ったような顔で藤九郎は頷いて見せる。「重盛殿の嫡男、資盛殿には色々と世話になりましてな。資盛殿は院の覚えもめでたかった。せめてその遺児だけでも助けよとのお達しが出てしばらく寺に匿っていたのですが、これがなかなか手に負えぬお子で。梵天君とおっしゃるのですがね。寺の勤めは怠ける、隠れて武芸の稽 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 70
  • 「御台、子供じみた真似はよせ」 戸の向こうで頼朝が声を上げる。それをアキは無視した。「いよいよ義高様の御身が危ないと、御台様の侍女がお声をかけてくださったのです。義高殿をお逃し申し上げると。女衆が御所の外に出るのに紛れ、馬の走る蹄の音が聞こえぬようにと布でまで覆って、武蔵国方面へ逃げよと。そこまで逃げれば道がいくつかに分かれる。後を追うことは難しくなるだろうと」 幸氏がぽつぽつと話すのを、アキは [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 69
  • 第十三章「気高い恋」  年が明けて少しして北条一族は伊豆から戻ってきた。 どちらが先にどう動いたのかはアキにはわからずじまいだったが、気付けば何事もなかった顔をして時政は鎌倉に戻っていた。 鎌倉と木曽との間の緊張がひどく高まっていた時期で、鎌倉に集う御家人は戦支度に大わらわだったので、そんな暇な噂話をする人もいなかった。 だが、春に八幡姫の元に許嫁がやってきた。 その木曽義仲の嫡男という。許嫁と [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 68
  • 「御台様を伊豆にお戻ししようとなさるのは、お止めになるがよろしいかと」 一瞬、間があく。それから頼朝はゆっくりと口を開いた。「理由は?」「御台様に伊豆に戻る意志はありませんよ」「だが、鎌倉へ来てよりずっと塞いでいる。気鬱の病であれば帰った方がいい」 頼朝は面白くなさそうに答えた。「では、もう御台様は用無しでございますね?」 ちらりと見上げる。頼朝は金太を見下ろした。「ああ、用無しだ! アキを伊豆へ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 67
  • 「なんという……なんということを。御台様に対して……」 怒りの色を露わに呪いの文句を呟いているのは侍女のユウだった。「いいのよ、ユウ。牧の御方の言う通り、仕方のないこと」 精一杯の笑みを浮かべる。目が三日月の形になる。それから大きく息を吸い込むと、すっと背を伸ばして口を開いた。「それよりもユウ、大姫を見てきてくれない? 御所が落ち着かないからあの子は心配していることでしょう。泣いてるかもしれないわ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 66
  • 「御台様は恐ろしい御方だ」「大層、嫉妬深くていらっしゃる」「あの大きな目に命じられると誰も否は言えぬそうだ」「御台様は伊豆において、龍の姫として夜な夜な子供の魂を喰っていたとか」「館を打ち壊された亀の前殿は鐙摺まで逃げられたらしい」「館を打ち壊した牧殿は、確か御台様のお義母上のご実家では?」「御所様は大変お怒りになって、牧殿の髻を切っておしまいになったと」「牧殿は男泣きに泣いて、その場から逃走し [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 65
  •  秋、アキは待望されていた鎌倉殿ご嫡男を出産する。鎌倉中がお祝いの渦に沸いた。 男児は万寿と名付けられ、比企能員が乳母父となり、盛大なお祝いの儀が日夜行われた。「どうか……どうか、万寿を私の手元で育てさせてください」 アキは懇願する。だが、将軍の嫡男をその母が養育するなどとんでもないと一蹴された。 大姫出産の頃は家族三人、走湯権現で幸せに過ごせたのに。 アキの周りをうろつく笑顔は顔に張り付いた絵 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 64
  • 「アキ、具合が悪いと聞いた」 久方ぶりに頼朝が顔を出す。アキは起き上がると、正座ではなく横座りをして、軽く目を伏せ髪をゆるく後ろへと流した。「平気にございます。でも、ここしばらく御所様のお顔が見られなかったので寂しゅうございました」 拗ねた顔で微笑んで見せる。 頼朝はここずっとアキを避けていた。他の女の所に通っていたのだろう。アキは小四郎から手を回し、別の人物を介して頼朝にそれとなくアキの不調を [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 63
  •  その後、もう一度密通した。だが三度目に忍んでいった時、アキは拒否をした。「人を呼ぶと?」 アキは小さく頷いて首を背けた。「甘えていました。ごめんなさい。私はもう大丈夫だから。だから……」 金太は鼻で嗤う。「お前が大丈夫でも、俺が大丈夫ではない」 頑なに脇を見て拒絶をしようとする女に、金太は薄く微笑んだ。「そうだな、では一つ昔話をしてやろう。お前は阿多美の阿岐姫を知ってるか?」 ちらとこちらに目 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 62
  • 第十二章「海の底」 「アキ、随分痩せた。あまり物を食べていないのではないか?」 優しげな声で囁く。「ほら」と声をかけ、握り飯を差し出す。「伊豆の米で作った。元気を出せ」 アキは握り飯を受け取るが、白い米の粒を一つ一つ数えるようにじっと眺めて動かない。「伊豆に帰りたいか?」 アキは小さく頷いた。いや、そのように見えた。 アキは知らない。自分の生まれを。血を。そして、のうのうと御台所として暮らしてい [続きを読む]
  • 一週間ほど篭ります〜
  • 更新が滞っておりまする。「直虎」の、おゆきちゃんについてとか、政次くん萌えとか、ろくペットとか。(おゆきちゃんが先頭なのは、最近の私の愛の傾向)いろいろ書きたいんですが、ごめん。5月末・・・いや6月の4日まで、締切と仕事とテストと何やら色々重なってるのでお休みいたします。プラス「アマカケル」後半で、書けなかった部分を書き足したくなってしまったのでそちらも直したい・・・ごめんなさい。1〜2週ほど篭り [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 61
  • 「函南で、宗時が討死……?」 函南は伊豆の北条の地の少し北だ。何故、宗時は石橋山から北条の地へ戻った?北条を出る時に「もう戻らぬ覚悟で行くぞ」と時政は言っていたのに。 そこでふと気付く。未練が一つ残っていた。 アキだ。宗時はアキを取り戻しに行ったに違いなかった。そして討ち取られたのだ。 ざまあみろ。あの女は不幸の女。関わる男をことごとく滅亡へと陥れていく。山木兼隆、北条宗時、源頼朝。そして最 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 60
  • 「落ち武者か」 低い声は殺気を十分に含んでいる。「それとも平家か」 鷹のような目に睨めつけられ、金太は息を詰めた。 只者ではない。これは相手にしないがいい。この僧兵がどちらの味方かは知らないが、やり過ごして見逃してもらうのが一番上策と思われた。 だがその時、バサァという音と共に盛綱が叫ぶ。「この白旗が見えねぇかよ! 源氏に決まってるだろが!」 振り返れば、盛綱が真っ白な旗をバッサバッサと振り [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 59
  •  不覚。 キリキリと張る弦の音の中、そっと辺りに目を配る。 どこだ? どこが一番穴だ? どこからなら包囲を突破出来る?「おまえ、金太? 金太じゃないか?」 覚えのある声に振り返れば佐々木定綱だった。続いて、経高、高綱が矢を下ろして立ち上がる。「白の印を腕につけていないから、大庭の兵かと思ったぞ」 金太は頭を下げた。源氏の兵である証とした白布は、先に外して捨てていた。「申し訳ない。逃げる所でした [続きを読む]