やまの龍 さん プロフィール

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やまの龍さん: 頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」
ハンドル名やまの龍 さん
ブログタイトル頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」
ブログURLhttp://yoritomo-fan.com/
サイト紹介文源頼朝&政子、北条氏、鎌倉幕府が大好き。歴史小説&考察&書評ブログ。大河ドラマについても。
自由文真田の先祖、海野幸氏は木曽義仲の息子で頼朝の娘大姫の許嫁者である志水冠者義高の家来。後に鎌倉幕府の御家人になる彼は、武田や小笠原、望月と並んで弓馬四天王と呼ばれました。そんなカッコイイ彼を応援したくて起ち上げました。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供89回 / 365日(平均1.7回/週) - 参加 2016/03/21 19:48

やまの龍 さんのブログ記事

  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 73
  •  万寿を身ごもったあの日より、金太はアキの前には姿を現さなくなった。 でも御所には出入りしている。ユウには今も親しく声をかけているようだった。アキが自死しようとしたのを止めたのも金太の仕業だろう。 常に見張られているのだと、幼い頃からずっと監視されていたのだと知ったのはその頃。 あの日、金太は言った。『アキ、時政を殺せ。あいつは我らが父母の敵だ』と。 顔も知らぬ、家系からも消されている人々。アキ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 72
  • 「まぁ、五郎。あなたが機嫌伺いに来るなど珍しいこと」 既に元服して時連と名乗っていた末の弟の久しぶりの来訪に、アキは目を細めた。「干菓子など持たせましょう。八幡も喜ぶわ。元服してから、まるで姿を見せなくなったのだから」 アキは侍女のユウに目配せする。だが五郎は手をヒラヒラと振って、立ち上がりかけたユウを制した。「ああ、八幡にはもう土産を渡したので呼ばないでやってください。昼寝するって言ってました [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 71
  • 第十四章「あめつち」 「平重盛の孫を俺に預かれと?」 藤九郎の言葉に、金太は僅かに目を上げた。いつもの人を食ったような顔で藤九郎は頷いて見せる。「重盛殿の嫡男、資盛殿には色々と世話になりましてな。資盛殿は院の覚えもめでたかった。せめてその遺児だけでも助けよとのお達しが出てしばらく寺に匿っていたのですが、これがなかなか手に負えぬお子で。梵天君とおっしゃるのですがね。寺の勤めは怠ける、隠れて武芸の稽 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 70
  • 「御台、子供じみた真似はよせ」 戸の向こうで頼朝が声を上げる。それをアキは無視した。「いよいよ義高様の御身が危ないと、御台様の侍女がお声をかけてくださったのです。義高殿をお逃し申し上げると。女衆が御所の外に出るのに紛れ、馬の走る蹄の音が聞こえぬようにと布でまで覆って、武蔵国方面へ逃げよと。そこまで逃げれば道がいくつかに分かれる。後を追うことは難しくなるだろうと」 幸氏がぽつぽつと話すのを、アキは [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 69
  • 第十三章「気高い恋」  年が明けて少しして北条一族は伊豆から戻ってきた。 どちらが先にどう動いたのかはアキにはわからずじまいだったが、気付けば何事もなかった顔をして時政は鎌倉に戻っていた。 鎌倉と木曽との間の緊張がひどく高まっていた時期で、鎌倉に集う御家人は戦支度に大わらわだったので、そんな暇な噂話をする人もいなかった。 だが、春に八幡姫の元に許嫁がやってきた。 その木曽義仲の嫡男という。許嫁と [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 68
  • 「御台様を伊豆にお戻ししようとなさるのは、お止めになるがよろしいかと」 一瞬、間があく。それから頼朝はゆっくりと口を開いた。「理由は?」「御台様に伊豆に戻る意志はありませんよ」「だが、鎌倉へ来てよりずっと塞いでいる。気鬱の病であれば帰った方がいい」 頼朝は面白くなさそうに答えた。「では、もう御台様は用無しでございますね?」 ちらりと見上げる。頼朝は金太を見下ろした。「ああ、用無しだ! アキを伊豆へ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 67
  • 「なんという……なんということを。御台様に対して……」 怒りの色を露わに呪いの文句を呟いているのは侍女のユウだった。「いいのよ、ユウ。牧の御方の言う通り、仕方のないこと」 精一杯の笑みを浮かべる。目が三日月の形になる。それから大きく息を吸い込むと、すっと背を伸ばして口を開いた。「それよりもユウ、大姫を見てきてくれない? 御所が落ち着かないからあの子は心配していることでしょう。泣いてるかもしれないわ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 66
  • 「御台様は恐ろしい御方だ」「大層、嫉妬深くていらっしゃる」「あの大きな目に命じられると誰も否は言えぬそうだ」「御台様は伊豆において、龍の姫として夜な夜な子供の魂を喰っていたとか」「館を打ち壊された亀の前殿は鐙摺まで逃げられたらしい」「館を打ち壊した牧殿は、確か御台様のお義母上のご実家では?」「御所様は大変お怒りになって、牧殿の髻を切っておしまいになったと」「牧殿は男泣きに泣いて、その場から逃走し [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 65
  •  秋、アキは待望されていた鎌倉殿ご嫡男を出産する。鎌倉中がお祝いの渦に沸いた。 男児は万寿と名付けられ、比企能員が乳母父となり、盛大なお祝いの儀が日夜行われた。「どうか……どうか、万寿を私の手元で育てさせてください」 アキは懇願する。だが、将軍の嫡男をその母が養育するなどとんでもないと一蹴された。 大姫出産の頃は家族三人、走湯権現で幸せに過ごせたのに。 アキの周りをうろつく笑顔は顔に張り付いた絵 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 64
  • 「アキ、具合が悪いと聞いた」 久方ぶりに頼朝が顔を出す。アキは起き上がると、正座ではなく横座りをして、軽く目を伏せ髪をゆるく後ろへと流した。「平気にございます。でも、ここしばらく御所様のお顔が見られなかったので寂しゅうございました」 拗ねた顔で微笑んで見せる。 頼朝はここずっとアキを避けていた。他の女の所に通っていたのだろう。アキは小四郎から手を回し、別の人物を介して頼朝にそれとなくアキの不調を [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 63
  •  その後、もう一度密通した。だが三度目に忍んでいった時、アキは拒否をした。「人を呼ぶと?」 アキは小さく頷いて首を背けた。「甘えていました。ごめんなさい。私はもう大丈夫だから。だから……」 金太は鼻で嗤う。「お前が大丈夫でも、俺が大丈夫ではない」 頑なに脇を見て拒絶をしようとする女に、金太は薄く微笑んだ。「そうだな、では一つ昔話をしてやろう。お前は阿多美の阿岐姫を知ってるか?」 ちらとこちらに目 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 62
  • 第十二章「海の底」 「アキ、随分痩せた。あまり物を食べていないのではないか?」 優しげな声で囁く。「ほら」と声をかけ、握り飯を差し出す。「伊豆の米で作った。元気を出せ」 アキは握り飯を受け取るが、白い米の粒を一つ一つ数えるようにじっと眺めて動かない。「伊豆に帰りたいか?」 アキは小さく頷いた。いや、そのように見えた。 アキは知らない。自分の生まれを。血を。そして、のうのうと御台所として暮らしてい [続きを読む]
  • 一週間ほど篭ります〜
  • 更新が滞っておりまする。「直虎」の、おゆきちゃんについてとか、政次くん萌えとか、ろくペットとか。(おゆきちゃんが先頭なのは、最近の私の愛の傾向)いろいろ書きたいんですが、ごめん。5月末・・・いや6月の4日まで、締切と仕事とテストと何やら色々重なってるのでお休みいたします。プラス「アマカケル」後半で、書けなかった部分を書き足したくなってしまったのでそちらも直したい・・・ごめんなさい。1〜2週ほど篭り [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 61
  • 「函南で、宗時が討死……?」 函南は伊豆の北条の地の少し北だ。何故、宗時は石橋山から北条の地へ戻った?北条を出る時に「もう戻らぬ覚悟で行くぞ」と時政は言っていたのに。 そこでふと気付く。未練が一つ残っていた。 アキだ。宗時はアキを取り戻しに行ったに違いなかった。そして討ち取られたのだ。 ざまあみろ。あの女は不幸の女。関わる男をことごとく滅亡へと陥れていく。山木兼隆、北条宗時、源頼朝。そして最 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 60
  • 「落ち武者か」 低い声は殺気を十分に含んでいる。「それとも平家か」 鷹のような目に睨めつけられ、金太は息を詰めた。 只者ではない。これは相手にしないがいい。この僧兵がどちらの味方かは知らないが、やり過ごして見逃してもらうのが一番上策と思われた。 だがその時、バサァという音と共に盛綱が叫ぶ。「この白旗が見えねぇかよ! 源氏に決まってるだろが!」 振り返れば、盛綱が真っ白な旗をバッサバッサと振り [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 59
  •  不覚。 キリキリと張る弦の音の中、そっと辺りに目を配る。 どこだ? どこが一番穴だ? どこからなら包囲を突破出来る?「おまえ、金太? 金太じゃないか?」 覚えのある声に振り返れば佐々木定綱だった。続いて、経高、高綱が矢を下ろして立ち上がる。「白の印を腕につけていないから、大庭の兵かと思ったぞ」 金太は頭を下げた。源氏の兵である証とした白布は、先に外して捨てていた。「申し訳ない。逃げる所でした [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 58
  • 第十一章「死戦」  何故、陸路にしたのか。海路ならば陸路よりずっと安全だったはずだ。 山木の襲撃成功で、頼朝の中に時政の中に慢心があったのではないかと金太は思った。でなければ、女のあんなわがままを戦略よりも重んじるわけがない。『海路で向かうなら、それは伊豆を捨てることと同じじゃない』 あの女は大義というものをまるでわかっていない。目の前のことしか見ていない。目の前の稲刈りさえ無事に [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 57
  • 「フィー、フィルルルルルル……」 カジカカエルの鳴く声。そしてそれに重なる美しく静かな読経の声。アキは薄っすらと瞼を持ち上げた。「まぁ……」 読経の声が止む。続いてカジカカエルの声も止む。「良かった! 姫さま、痛みはひどくありませんか?」 自分を覗き込む清廉な尼の顔。そして、その向こうで穏やかに微笑んでいる男の顔。「初音さま、藤原さま……」「もう大事ございませんよ」 観音様のような滑らかな表 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 56
  •  どこか遠くで声がする。「可哀想に。アキは山木に酷い目に遭わされました。許しがたい」 父の声だ。憤るような声色。「山木の館になど侵入させるのではなかった」 優しげな響き。何を言ってるんだろう? 何があっても我慢しろと言ったのは父さんなのに。山木の性癖を知っていた筈なのに。「しかし佐殿、よくご決断されたな。アキもその身を犠牲にしただけのことはありましたぞ」 犠牲? 私、犠牲になったの? 死んだの [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 55
  • 「お前だけは……」 兼隆の指が首へと伸びる。狐の目が大きく見開かれ、白目の中の黒目がぐらぐらと揺れる。 アキは覚悟を決めた。そっと瞼を下ろす。 たった二晩でもこの男はアキの正式の夫。裏切るつもりであっても、盃を三献交わして誓った仲。彼が死ぬのならば、自分も死ぬべきなのだ。喉に食い込む細い冷たい指。 だが、何かが叩き壊される音、ガチャガチャと重く響く足音や鎧の音と共に空気が大きく動き、首にかか [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 54
  •  跳ね起きた兼隆の首に巻き付いているのはアキの手首に繋がれた縄。 兼隆は乱暴にそれを取り払おうとするが、アキはそうさせなかった。両腕を大きく広げ、兼隆の首を締めにかかる。 兼隆がアキを見た。「そなた、まさか……」 一瞬の沈黙の後、兼隆の足がアキの身体を蹴り飛ばした。「やめろ、放せ、この……!」 蹴られ、殴られるが、アキは必死で抵抗した。 この首にかけた縄だけは外さない。 そうしながら、アキは [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 53
  • 「フィー、フィルルルルルル……」 空気を、心を静かに振動させる美しい調べ。うっとりと幸せな夢の中をたゆたいながら、心地の良いその音にアキは心の耳を向けた。 なんだろう? 笛の音? 聞き覚えのあるような……。 ぼんやりと記憶を辿っていく。 ああ、鹿の声に似ているんだ。高くてピリピリと空気を震わせる声。でももっと甲高く美しい声のような? もしかしたら秋だから、恋をしているから鹿もいつもより美しい声 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 52
  •  第二の門の防柵の内では、第一の門の警護の者達同様に振る舞われた酒に顔を赤くしていた三人の男達が慌てて弓をつがえ、第一の門の陰に隠れる北条方に対して牽制の矢を放っていた。「祝言を上げたくせに、どうして北条が攻めてくるんだ?」「殿の悪い噂を聞いて、娘を取り戻しに来たんじゃないか?」「それより、どうする? 殿にご報告申し上げるか?」「いや、北条は家人も少ない。借りてきていたとしても、あれが精一杯 [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 51
  •  その頃、山木の門前では時政らが慇懃に礼をして立っていた。「三嶋の祭礼の帰りに立ち寄りました。西国の特別仕込の酒が手に入りましてな。新鮮な肴も持参しております。山木殿にお取り次ぎ願いたい」 時政の後ろで、宗時が背負い行李を重そうに揺すって見せる。だが勿論、中身は酒ではない。松明と魚油だ。 彼らは軽装に見せかける為に、直垂の下に簡易な鎧を纏っていた。風の止まった夏の夜。地面から立ち昇る熱気にじ [続きを読む]
  • アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 50
  •  ケロケロケロ…… アマガエルの声はいつも軽やかで楽しそうだ。それもそのはず。アマガエルは空気が湿り、雨が降りそうになると喜んで鳴く。だが鳴くのはオスだけ。メスにその歌声を聴かせて誘い出すのだと。だから楽しげに鳴くのだと聞いた。「どうしてオスだけなのかしら。メスだって歌いたいだろうに……」 声に出して呟いて、響いたその声に驚いて顔を上げる。 眠っていた? いや、意識を失っていたのだ。 薄暗い [続きを読む]