井藤マサカツ さん プロフィール

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井藤マサカツさん: キテレツ諸子百家〜論語と孔子と、ときどき墨子〜
ハンドル名井藤マサカツ さん
ブログタイトルキテレツ諸子百家〜論語と孔子と、ときどき墨子〜
ブログURLhttp://ameblo.jp/tetsujin110/
サイト紹介文大手予備校の元漢文講師である私が「諸子百家」について、徒然なるままに語る部屋です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供172回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2016/03/30 10:47

井藤マサカツ さんのブログ記事

  • 論語漫歩165 論語最大の長文
  • 先進篇最終章読解 第32回 今回の論述に入る前に、同意を得ておきたいことが一つある。それは論語の章数についてである。我々がすでに知っているように、論語の隣接する章は、しばしば密接な関わりを持つ。従って2章を合わせて1章にする註釈家が多いため、論語の少数が註釈家によってまちまちである。そこで『詩経』の例に倣い、以後論語の総数を500章としたい。詩経は実際には305篇であるが、為政篇第2章と子路篇第5章で孔 [続きを読む]
  • 論語漫歩164 二つの世界
  • 先進篇最終章読解第31回  我々は、孔子が曾点の描く世界を心の奥底から望んでいることを知って驚く。なぜなら、我々が論語で接するのは、天下国家の政治や道徳の世界ばかりであるからである。それに対し、曾点の世界はまるっきり別世界である。  美の世界 詩の世界  である。孔子は二つの世界、政治道徳の世界と美的世界の両世界に住んでいたのである。前回我々は『草枕』の中の陶淵明と王維の、詩の世界を見 [続きを読む]
  • 論語漫歩163 別乾坤
  • 先進篇最終章読解第30回  前回我々は孔子が一風変わった曾点の志望に対して無限大の賛意を表するのを見た。 確かに曾点の「春風に吹かれて」の春服、春風、冠者、童子、温泉、舞、歌等の描写からは、  生の歓び 新生の息吹 生の賛歌  が感じられる。子路たちの志望する  現実の世界 政治の世界 人事の世界  とはまるで違う  美的生活 詩の世界  自然の世界  の出現である。漱 [続きを読む]
  • 論語漫歩162 喟然として歎じて曰く
  • 先進篇最終章読解第29回 前回我々は曾点の一風変わった志望「春風に吹かれて」を彼の口から聞いた。曾点は恐らく笑われることを覚悟の上で発表したと思われる。ところがである。意外や意外、孔子は彼の生き方に賛同したのである。 夫子喟然(きぜん)として歎(たん)じて曰く吾は点に与(くみ)せん私は点に賛成だ、と。 吉川幸次郎先生は、「喟然として歎ず」の用例を『論語下』(吉川幸次郎、昭和38年、朝日新聞社、6 [続きを読む]
  • 論語漫歩161 春風に吹かれて
  • 先進篇最終章読解第28回 点なんぢはいかん孔子が指名する。それまでポロン、ポロンと間遠に、静かに、かき鳴らしていた瑟を膝から床にコトリと置き、曾点は立ち上がってお答えした。 皆さんとはいささか違いますので、発表を控えさせていただけないでしょうか。 なに、かまうものか。それぞれ自分のやりたいことを言ったまでだ。それでは申し上げます。みんなで仕立て上がったばかりの春服を着込み今成人式を終えて冠 [続きを読む]
  • 論語漫歩160 弱冠20歳
  •  先進篇最終章読解第27回  前回曾子の父曾点が登場した。彼の発言に入る前に、彼の発言の中に出てくる「冠者」の意味を確かめておこう。  「冠者」とは、元服して冠をかぶった者、成人式を終った者のことである。この時から字(あざな)で呼ばれる。つまり、社会人として尊ばれるのである。五経の一つ『礼記』曲礼上篇に言う。  人生まれて十年を幼といふ。学ぶ(学校に入る)。 二十を弱といふ。冠す( [続きを読む]
  • 論語漫歩159 瑟を鼓すること希なり
  •  先進篇最終章読解第26回 3人の発表が終り、いよいよ第2場面。公西華の発表後、三度沈黙。孔子が指名。  点、なんぢはいかん。 瑟を鼓すること希なり 点とは、孔子の後継者曾子の父曾点のことだという。論語漫歩134に記したように、この時彼は子路に次ぐ高齢者であった。今一度登場人物全員の年齢を再掲してみよう。この時孔子を72歳とすると  子路63歳 曾点56歳頃 冉有43歳 公西華30歳  我々 [続きを読む]
  • 論語漫歩158 3人の志
  • 先進篇最終章第25回 前回で子路・冉有・公西華の「3人の志」の発表がやっと完結した。 子路 大国の軍事・経済・教育冉有 中・小国の経済公西華 礼楽 ところで、この3人は先進篇第22章でも顔を合わせている。聞けばすぐに実行していいですかの問いに対し、孔子は 子路には 父兄に相談してからにせよ  と教え 冉有にはすぐ実行せよ  と教えた。両方を聞いていた公西華が困惑して尋ねた [続きを読む]
  • 論語漫歩157 願はくば学ばん
  • 先進篇最終章読解第24回 前回我々は、孔門の十哲で政事(政治)科の冉有の  中規模の国の民の生活を豊かにしたいという「志」を聞いた。 冉有の発表のあと、またもや沈黙が続く。 再び、孔子が指名する。赤(公西華)よ。お前の志はどうか。すぐ前に、兄弟子の冉有が言った。  礼楽については君子にお願いしたい、と。 もしここで 私は礼楽を担当したいと言ったなら、自分は「君子である」ことを認めた [続きを読む]
  • 論語漫歩156 民を足らしむべし
  • 先進篇最終章読解第23回   前回我々は子路篇第9章の政治の3段階 庶しこれを富まさんこれを教えん のすべての読解を終え、今回やっと先進篇最終章に復帰できた。この章で孔子が弟子たちに「志」を問う。その途端  戦争と飢餓の危機にある大国を、たったの3年で軍事、経済、教育の全般にわたって充実させてみせます  と気炎をあげる子路。それにひきかえ、冉有は孔子の指名があるまでじっと待って [続きを読む]
  • 論語漫歩155 知らしむべからず
  •  先進篇最終章読解第22回  泰伯篇第9章は、古来悪評高い章である。全文を引用してみよう。  子曰く 民はこれに由らしむべし これを知らしむべからず  「由らしむべし。知らしむべからず」。古来、孔子の批判者たちが、「愚民政策」の代表として、真っ先に槍玉にあげた語である。 しかし、我々は先進篇第9章で、民の教育を重視する、孔子の言葉  これを教えん  を知っている。更に顔淵篇第7章 [続きを読む]
  • 論語漫歩154 天爵人爵
  •  先進篇最終章読解第21回  前回我々は「中国の官吏登用制度以上の制度はありえない」と記すヴォルテールの書物に、トーマス・ジェファーソンが広範な注釈を施しているのを見た。今回も同じくジェファーソンが、中国の君子教育と君子政治を「最善のもの」と絶賛する言葉を紹介しよう。クリール『孔子』(岩波書店、昭和36年、409頁)に言う。  孔子もジェファスンも、二人共平民のためになることを強力に推し進めた選 [続きを読む]
  • 論語漫歩153 学校
  •  先進篇最終章読解第20回  先進篇第9章で、「政治」について孔子が語る。  これを富まさん  先ず民の生活を豊かにしよう、と。つまり「経済」の充実である。次いで言う。  これを教えん  民を教えよう、と。庶民の教育。「普通教育」の実践である。 前回我々は第3代アメリカ合衆国大統領トーマス・ジェファーソンの「普通教育重視」を見た。彼は    普通教育こそは民主政治の最上の防衛であ [続きを読む]
  • 論語漫歩152 これを教えん
  •  先進篇最終章読解第19回  これまで我々は、先進篇最終章と同じく、「政治」を主題とする先進篇第9章を分析してきた。衛国を訪れた孔子が政治の3段階を説く。  1.庶し(人口増加) 2.これを富まさん(経済) 3.これを教えん(教育)  我々は前回やっと第2段階「これを富まさん」の叙述を完了した。民を富ます方法とは、「減税」であった。第1段階の「民を増やす」方法も「減税」であることを我々は [続きを読む]
  • 論語漫歩151 孟子 日本の戦国時代を開く
  •  先進篇最終章読解第18回  我々はこれまで「年貢」がいかに恐るべきものであるかを見てきた。そしてついに世界を根底から変える思想に行き着いた。ルソーと孟子の  民を貴しとなす  思想である。これが宣言された時、民を搾取する貴族の時代は理論上終焉したのである。あとは実行を待つのみであった。 王は貴い。神聖にして、不可侵である、と長い間人々は固く信じていた。しかし、王侯貴族は実は民の血を吸 [続きを読む]
  • 論語漫歩150 ルソーと孟子
  • 先進篇最終章読解第17回 我々は論語漫歩12で「ルソーと孟子」と題して、両者の根本思想「性善説」に触れた。今回は両者の「民を貴しとなす」の思想について述べることにしよう。この思想によって世界が根底から変わったのである。 民を貴しとなす を掲げる、『孟子』と『エミール』が「革命の書」と呼ばれる所以である。『エミール』第3篇(『ルソー全集 第6巻』、白水社、1980年、261頁)でルソーは言う。&nbs [続きを読む]
  • 論語漫歩149 民を貴しとなす
  • 先進篇最終章読解第16回 我々はこれまで有若の「十分の一税」(顔淵第9章)が世界一の仁徳陵を造営せしめ、同じく、有若の「和を貴しとなす」(学而篇第12章)が、聖徳太子「十七条憲法」第1条和を以て貴しとなすに結実するのを見た。前回我々は苛政(年貢)が虎よりも恐ろしい例を、万葉集「貧窮問答歌」に見た。今回から3回にわたって、「年貢」の軽減が日本の歴史を根底から変えるのを見ることにしよう。トップバッタ [続きを読む]
  • 論語漫歩148 万葉集
  • 先進篇最終章読解第15回  我々はこれまで年貢の恐ろしさ、苛政のむごさを見てきた。我々にもやっと孔子の怒りが分かりかけてきた。宰予の昼寝に対して、孔子がなぜあれほどまでに嘆いたのか、その心が少しわかりかけてきたのである。どれほど多くの民が虐政に呻き、苦しみ、泣いているか。民の叫びが絶え間なく孔子には聞こえていたにちがいない。  この日(暴君桀王)いつかほろびん われなんぢとともに亡びん 民 [続きを読む]
  • 論語漫歩147 有子
  •  先進篇最終章読解第14回  我々はこれまで有若がその「減税」思想によって魯の国の人々と日本の民を救うのを見てきた。ところで有若は論語に4回登場するが、すべて「有子」(有先生)と尊称されている。今、分析中の顔淵篇第9章のみが「有若」と名で呼ばれている。なぜか。君父師には「名」で対応することを我々は知っている。諸家も哀公にお答えする場面だから、「有若」と名を記したのだと意見を一致させている。 [続きを読む]
  • 論語漫歩146 論語と十七条憲法
  •  先進篇最終章読解第13回  前回我々は、有若の哀公への進言「租税半減」が、仁徳陵の淵源であることを見た。今回も有若(尊んで有子)の言葉である。学而篇第12章に言う。  有子曰く 礼の用 和を貴しとなす  この有子の「和を貴しとなす」の言葉は、わが国の根本方針を定めた、聖徳太子「十七条憲法」第一条で有名である。  和を以て貴しとなす 「十七条憲法」は、わが国で「憲法」という言葉が用い [続きを読む]
  • 論語漫歩145論語 仁徳陵を造る
  •  先進篇最終章読解第12回  前回我々は論語の泰伯と伯夷叔斉の影響で、論語を代表する言葉「仁」の徳を名とする仁徳天皇の誕生を見た。すなわち論語を始めとする諸書に精通していた、応神天皇の太子が、仁の徳と叡智とを合わせ持つ兄(仁徳天皇)に、自分の持つ皇位継承権のみならず、生命までも投げ捨てて位を「譲」るのを見た。太子こそは日本の「泰伯」であったのである。  仁徳天皇元年、天皇は即位するや、宮殿 [続きを読む]
  • 論語漫歩144 論語 仁徳天皇を産む
  • 先進篇最終章読解第11回  前回我々は悪政の害が虎より甚だしいのを見た。『日本書紀』巻10応神天皇15年8月1日の条に次の記事がある。  百済王が阿直岐(あちき)を派遣して良馬2頭を献上した。阿直岐は経典も読めた。早速太子が彼に師事した。 天皇が問う。 「もしかして汝に勝る博士ありや」 「王仁という者あり。秀れたり」 そこで王仁を徴した。 翌年2月王仁来朝。 太子はこれに師事し、諸々の典籍に精通 [続きを読む]
  • 論語漫歩143 苛政は虎よりも猛し
  •  先進篇最終章読解第10回  我々は今子路篇第9章の孔子の三つの言葉 庶きかな これを富まさん これを教えん  の2番目「これを富まさん」の読解を進めている。「十分の一税」は「礼」の規定であり、天下の通法であった。その心は、民の財を豊かにすること、つまり「これを富まさん」であった。これが「礼」の精神であり、五経の一つ『春秋左氏伝』宣公15年に記されている。それにもかかわらず宣公はB.C.594年 [続きを読む]
  • 論語漫歩142 これを富まさん
  • 先進篇最終章読解第9回  前回我々は子路篇第9章の孔子の三つの言葉   庶(おお)きかな!  これを富まさん  これを教えん のうち、「庶きかな」について考えてみた。今回は二番目の「これを富まさん」について考えてみよう。 どうすれば人民を富ますことができるのであろうか。その答の一つが顔淵篇第9章にある。   哀公「今年は飢饉で、財政が逼迫している。打開策は?」  有若「税を10分の1になさいませ [続きを読む]
  • 論語漫歩141 庶(おお)いかな!
  • 先進篇最終章読解第8回  前回我々は冉有の謙虚について見た。彼は「求や退く」の孔子評通りの謙虚な人であった。司令長官として、大国斉との戦争に勝ったにもかかわらず、己の抱負の中に軍事能力は入れず、経済能力に限定した。  ここで、政治についてもう一章引用しておこう。今分析中の先進篇最終章と大いに関連するからである。それは子路篇第9章である。B.C.500年頃、孔子53歳、冉有24歳頃のことである。しか [続きを読む]