坂東蚕 さん プロフィール

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坂東蚕さん: ロマン燈籠
ハンドル名坂東蚕 さん
ブログタイトルロマン燈籠
ブログURLhttp://peitipas.blog.fc2.com/
サイト紹介文過疎村の旧家の元気息子×無愛想でミステリアスな樹木医の短編連載始めました。
自由文ほのぼの日常系/幼馴染み再会もの/リーマン系/幕末・新撰組刀剣アクションBLも連載中。短編長編完結済あり。健気で強気受×俺様攻め多めです。

参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供127回 / 365日(平均2.4回/週) - 参加 2016/04/19 17:42

坂東蚕 さんのブログ記事

  • 咲かない桜の桜守 52
  • 「ちょっと、恥ずかしいって! 松田さん」「心配すんな。もう俺達以外いないだろ。見てみろよ」熱くなった耳元で囁かれ、羽太は顔を左右に動かした。確かに今は公園を散策する人も観光客の姿もない。ほっと安堵の息をもらしたら、背がしなるほど抱きしめられ、また息ができなくなってしまう。 初めて会った時、松田に学生扱いされ、あんなに腹を立てたのに。今は『可愛い』なんて、思いがけない単語を彼の口から聞かされただけで [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 51
  • その翌日の朝早く、羽太は松田と二人で平家桜を訪れた。青みがかった山麓に朝霧が流れる山岳地の春の朝は、凛として冴えわたり、冬のコートを着込むほど冷えている。それでも今朝は花見の観光客らしき人達も、まばらにいた。 中年の男性と女性が平家桜の周囲にめぐらされたロープ越しに、枝振りをしげしげと眺めている。「薬害に合ったって聞いてたけど、ひどいわねえ。樹齢八百年の桜なのに……」「こうなったら、もう枯れるしか [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 50(R18)
  • 松田と視線を絡ませて、羽太は松田の頬に貼りついた黒髪を指で梳く。肌を合わせ、こうして身体まで繋いでいる。だからこそ、優しさといたわりの仮面の下にあるはずの、壊れた松田が見たくなる。そうして息を凝らして待っていると、松田の髪を梳いていた右手を不意に握られる。「いいんだな?」松田が猟犬のような目になった。握られた手首が痛かった。「いいよ」返事をして気がついた。自分も松田に壊されたい。自分ではない別の何 [続きを読む]
  • アルファポリスBL小説ランキング10位内に!
  • いつも当サイトをご訪問頂きまして、ありがとうございます。今、アルファポリスの外部サイトBL小説ランキングを見てみたら、『咲かない桜の桜守』がランキング9位に入っていました!今まで、どの作品も10位以内に食い込んだ事がなかったので、本当に嬉しいです。応援のバナー をして押して下さった方々に心より御礼を申し上げます。とても励みになりました。ありがとうございました。にほんブログ村BL小説ブログランキ [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 49(R18)
  • 「あ……、ふっ」甘く切なく責めたてられ、松田の背中に回した手が布団の上に滑り落ちる。身体に力が入らない。鼓動があまりに速すぎて、肺まで息が入らない。視界も頭にも紗がかかり、溺れたようになっていた。すると、松田は曲げさせた羽太の腿を下ろして伸ばし、呼吸をしやすくしてくれた。それでも松田は食い入るように羽太を見る。目を凝らすようにして、じっと見る。我慢させていないかどうか危ぶむような目をしている。眉が [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 48(R18)
  • 汗濡れた胸をあわせたまま、松田が苦しげに囁いた。松田の頬から玉のような汗が流れている。肩で息をしながらも、逆巻く激情をかろうじて封じ込めているように。「お前は、どうしたい……?」頭を起こしてもう一度、かすれた声で訊ねられる。羽太の目の奥にある本心を読み取ろうとしている目だ。最初の時のように何が何でもこうなりたい。恋人になりたいと駄々をこねているような押しの強さは陰をひそめ、松田は静謐に返事を待って [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 47(R18)
  • 口づけを解いたあと、松田は羽太の肩口に顔を埋め、狂おしげに羽太を抱きしめる。羽太の耳に、うなじに、荒い息を吐きかけながら肌を吸い、また唇を重ねてくる。どんなにしても足りないというようにキスをする。羽太はそのたびすぐに口を開け、松田の舌を捉えにいく。頭をもたげて吸いついて、口腔深く引き込んだ。松田もまだ焦っている。不安にかられてもがいている。本当に自分が好きなのか。これでいのかと、キスで確かめようと [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 46(R18)
  • 羽太は両膝を立てたまま、腰から融けていくように仰向けに布団に倒れ込んだ。松田はまだ口淫を続けている。今度はざらついた舌の腹で根元から軸を舐め上げて、唾液をたっぷり絡ませる。先のくびれを舌先でゆったりなぞり、乳首にした時と同じように先端をきゅっと吸い上げる。「あっ、 あっ……、んん、ああ……」背を弓なりにしならせて、松田の髪を握りしめた。脚の間で松田の頭が前後に激しく動いている。いっそ食らいたいと言 [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 45(R18)
  • 「わっ! やっ、なに、……あっ」咄嗟に羽太は跳ね起きた。羽太の足元に移動して、ジーンズを引き抜いた松田の目の前に、顕わにされた性器がある。しかも松田は、そこにもキスしようとするかのように前屈みになり、顔を寄せた。腹につくほど反り返り、血管が青く隆起している浅ましいそれ。先走りの精液を滴らせ、下生えまで濡らした性器が醜悪で滑稽で恥ずかしい。耳までカッと熱くなり、蕩けた脳が覚醒する。羽太は思わず膝を立 [続きを読む]
  • 来たぜ!R18って時になってメンテナンス。
  • いつも当サイトをご訪問下さり、ありがとうございます。明日5月15日(火)は午前0時から夜の8時ぐらいまで、ブログ村の定期メンテナンス日。いよいよR18。来たぜR18。待ってたぜ! R18って時になって、今日は一日ブログ村はお休みです。悲しい。なんて間が悪いのかと呪いました。ブログ村の運営局様のせいじゃないんですけどね。ですが、メンテナンス中でも本日バナー していただいた分は、保留という形でカ [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 44(R18)
  • 松田に肩を押さえつけられ、射るように睨まれる。まるで拒まれる事を前提にした脅迫だ。こんな顔で凄まれたら、嫌がったところで離してもらえそうにない。思わず羽太が吹き出すと、松田の気配が剣呑になる。「何だよ、急に」「急には、そっちじゃないですか。だって、びっくりしてただけなのに」自分も動揺しているが、もっと切羽詰まった様子の松田を見ていたら、驚きも恐れも凪いでいた。羽太は恍惚として目を細め、憮然として眉 [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 43
  • 「今日は帰らなくてもいいんですよね?」松田の胸に頬を押しつけ、甘えるように訊ねると、短く松田が頷いてくれる。羽太は大きな腕にくるみこまれるようにして公園の遊歩道から駐車場まで移動した。そして、互いの車を前後に連ねて山を下り、山麓の自宅まで帰って来た。玄関灯も点されない家の鍵を開ける時、胸の風穴に一陣の寒風が吹き抜ける夜もあるけれど、今日は隣に松田がいる。羽太は視線を甘く絡ませて、玄関の引き戸を嬉々 [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 42
  • 「……何とか言えよ」肩越しに顔をのぞかせて、松田が憮然と促した。匂うような春の夜風が花つきの枝を広げ、松田の周囲で花びらが舞った。月の光を浴びながら星屑のように閃いた。羽太は、まるで魂を絡め獲られたように目を細め、夢見心地で聞き返す。「僕が励みになったのは、どうして……」と、か細い声で問いつめる。「松田さんのその『好き』は、どういう意味の好きですか?」強ばった松田の背中がさっきから好きだ、好きだと [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 41
  • 「それって、僕に樹木医として信頼されなくなるのが恐かったって意味ですか?」羽太は声が震えるのを感じつつ、一歩前に進み出た。長身の彼の顔を見たければ、頭はほぼ垂直に上げないと不可能だ。もう松田の手の届く範囲だ。領域内だ。そこまで羽太は踏み込んだ。コートのポケットに両手を入れた松田は、もう素の顔に戻っている。鉄板のポーカーフェイスで視線だけを動かして、羽太の一挙手一投足を追っていた。その松田にもうひと [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 40
  • 松田も息を凝らすようにして見つめ返してくる。視線を羽太に据えたまま、 携帯を持った手をだらりと脇に下げていた。一切の表情が抜け落ちた顔からは、答えようか止めようかという逡巡が読み取れる。口元は固く引き結ばれたままだった。けれど、瞳が小刻みに揺れている。  羽太は、はぐらかさないで欲しかった。それなのに自分で問いつめておきながら、頭の隅では知らずにいたいと、この期に及んで思っている。松田から聞き出し [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 39
  • こんな花冷えの夜なのに、羽太の左手を収めた松田の掌は温かい。子供の体温のようだった。それとも自分の手が、冷えきっていたからか。凍りついているからか。松田は羽太の手の甲を眺めている。思案気に。唇は閉じたまま、眉を僅かにしかめつつ、物言いたげに手の中の羽太の手を見つめている。羽太の指先を撫でた松田の親指は樹木皮のように硬かった。乾燥し、ざらりとした感触を鮮烈に羽太に与え、名残惜しげに去っていった。「… [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 38
  • 「桜祭りが終わったら、できるだけ早く謝罪したかった。これからの処置の方向性も早く決めないと手遅れになっるからな。今日は小泉さんに、こういう席を設けて貰えて助かった」ムキになる羽太を落ち着かせようとするように、軽く頭をはたかれた。だから、今日に限って能紺のスーツに白のシャツ、無地のネクタイという、あらたまったビジネス仕様の服装で来たのかと、羽太は、やっと気がついた。そっと見上げた松田の目は、胸のつか [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 37
  • 「まあ、咲いてねえんだから、しょうがねえよ」 松田は肩をすくめて苦笑した。互いに何か話すたび、微かに白い互いの息が森閑とした夜気に紛れる。山岳地のこの辺りは、桜が満開になる頃でも夜は寒い。手袋がなければ指がかじかんでくる程だ。春の宵闇。静寂の杜。         霞がかった白銀の月。   黒々とそびえる山脈を背景にして、ひっそりと佇む平家桜は、老いさらばえた花魁のように侘しげだ。あちこち枝を落とさ [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 36
  • 「疲れた……」 想定外の修羅場だった事もあり、羽太は燃え尽きたようにパイプ椅子に腰をかけた。今更ながら汗がどっと吹き出して、体が小刻みに震え出す。思わず大きく息を吸い、吐きながら羽太は項垂れた。すると、肩にそっと手を置かれ、反射的に顔を向ける。「松田さん……」「何にも言わずに急にこんな話をしてすまなかった。だけど、三浦が助け舟、出してくれるなんて思わなかった」  艶めいた目で撫でるように見つめられ [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 35
  • 「僕も地元の人間です。平家桜の美観は村中の死活問題だという事もわかります。こんなになるまで異変を放置した当主としての責任も感じています。だけど、僕は平家桜の所有者です。所有者として、あの桜を見殺しにはできません」会議室に充満した気詰まりな沈黙を、羽太がおもむろに切り裂いた。今度は松田が隣で息を呑み、驚いたように身動いた。だが、羽太はまっすぐに顔を上げ、松田の方を見なかった。これは自分で下した決断だ [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 34
  • 「平家桜は観光資源と割り切るのなら、これ以上、桜の姿を損なうべきではないでしょう。ですが、桜は観光資源であると同時に命です。生きています。今ここで大鉈をふるえば、私達の次世代の春を平家桜はかつての姿で、彩ってくれるようになる。だから私は治療を諦めきれません。放置すれば枯死すると、わかっているのに見捨てる事はできません」  切々と哀訴する松田の横顔は樹木医としての信念と、人としての生きざまを吐露して [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 33
  • 松田のスーツの襟を掴み、揺さぶりたい衝動に猛烈に襲われた。そして、唐突に羽太は気がついた。どうして松田がその事を自分に言わずにいたのかも。言えるわけがないからだ。弱った桜に日本の酷暑を越えさせるには、支幹をほとんど伐採し、主幹と根だけにするしかない。樹齢八百年の古木の桜を丸裸にするなんて、納得できるわけがない。受け入れられるわけがない。だから松田は言わなかった。代々桜を守ってきた三浦家の当主だから [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 32
  • 「これが治療と言えるかどうかは、わかりません。ですが、主幹の主根が枯れる前に、主幹以外は支幹を可能な限り取り除き、主根にかかるる負担を少しでも軽減するのがベストです。桜は感染症に弱い樹ですから、切断口から病気にかからないよう、万全の措置は私が取らせて頂きます。また、冬には毎年根付ぎを続ければ、必ず平家桜は再生します」     つまり、八百年もの歳月を経て平家桜が創造した絢爛豪華な枝振りを、生命力の [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 31
  • ただ、小泉が松田に言いたい事は大方の予想がつく。けれど、松田もまた平家桜のこれからについて、村役場の職員や村民と、話し合いと言っている。平家桜の今後に関して何か心づもりがあるのなら、持ち主の自分に真っ先に相談があっていいはずなのに、何も聞いていなかった。羽太は疼くような不安に駆られつつ、松田に程なく追いついた。そして松田と肩を並べながら二人して口を噤み、濃霧に覆われた深い樹海の入り口のような事務所 [続きを読む]
  • 咲かない桜の桜守 30
  • 全国の古木に除草剤を注入し、倒木させた材木商の犯人は、平家桜の関与も自供して逮捕され、既に起訴もされた。羽太は怒りの矛先が松田に向かわないよう釘をさした。 だが、観光客が引けた頃合いに祭りの後片付けを始めたが、小泉は険しい顔を崩さない。二人で公園内の雪洞を外したりしていても、普段は冗舌な彼がむっつり黙り込んでいる。羽太は気まづい空気を堪えつつ簡易テントを解体し、小泉と二人、それを公園事務所へ運んで [続きを読む]