寝る前に さん プロフィール

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寝る前にさん: 寝る前に読む小話
ハンドル名寝る前に さん
ブログタイトル寝る前に読む小話
ブログURLhttp://blog.hatena.ne.jp/topnotch/
サイト紹介文寝る前に読む小話を紹介しています。
自由文寝る前に1分くらいで読める小話を陶工しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供367回 / 365日(平均7.0回/週) - 参加 2016/04/28 00:36

寝る前に さんのブログ記事

  • 男の香水はどう思う?
  • 「男性の香水ってどう思う?」と、男が聞く。女が答える。「いい匂いだったらいいけど、きつすぎると嫌かな。あと甘い匂いとかは苦手かも」。表参道の全部で30席ほどのイタリアン。店の端の6人がけのテーブルでその会話は繰り広げられる。「柔軟剤の匂いがいいよ」と別の女が言う。「柔軟剤の匂いを嗅ぐとどきっとする」。赤ら顔の男が反論する。「でもさ、柔軟剤の匂いは良いとしてもだよ、その匂いを嗅ぐというシーンってどうい [続きを読む]
  • 食べ物を密度で選ぶ女
  • レイコは、サラダバーでトウモロコシやツナといった重いものばかりを取っていた。レタスやカイワレのような葉っぱものには見向きもせず。ある時、「葉っぱが嫌いなの?」と聞いたことがある。レイコは言う。「レタスとかは食べた気がしなくて。やっぱり密度の濃い食べ物の方が食べた気がするでしょ」私は、食べ物を密度で考えたことはなかったから、その考えがとても斬新だった。密度の濃い食べ物は他にあるかな、と考えた。お肉や [続きを読む]
  • ズッキーニの茹で時間
  • はじめて会った時の自己紹介は「私、ズッキーニみたいって言われるんです」という言葉だった。ズッキーニはウリ科の食べ物で蛋白な食べ物だ。かぼちゃなどに比べて味が薄い。それゆえに、どのような食材や料理にでもあう。そんなズッキーニみたいに、誰とでもうまくやれるのが、ミサコだった。わるくいえば、八方美人。よく言えば、コミュニケーション力が豊かということだろうか。実際にズッキーニのように、僕との相性も良かった [続きを読む]
  • 金曜日の過ごし方
  • 会社の飲み会で、話は恋愛に向かう。1人の男が懇意にする女性がいる。今まで3回ほど食事に行った。前回は金曜日のデートだった。しかし、何もできなかった。ようやく女性の過去の恋愛の話が話題にでた程度だ。男はその女性が気になっている。しかし、女性にどう思われているかわからないので、踏み込めない。失敗するのが怖い。恥ずかしい。次回のデートを誘いたい。来月、彼女がTOEICを受けるので、その打ち上げにデートを誘おう [続きを読む]
  • お店にまつわるエピソードを巡る冒険
  • 彼はレストランを選ぶのが好きだった。そして、選んだレストランに行くと、必ずお店にまつわるエピソードを話してくれた。- この松見坂のバーは、歌手の福山さんがオーナーという噂があるんだよ。本当かどうか知らないけど、雰囲気のあるバーだよね。ユキちゃんは福山好きだよね?- このお店は、1960年にオープンして、当時またイタリアンが日本にない頃に日本に広めていったお店の1つなんだ。バジリコパスタを作る時に、バジルが [続きを読む]
  • ホテルのバーへ行け
  • 私が、ニューヨークに一週間の旅行をしていた時の話だ。その時に、日本人のミチヨさんという方と出会った。同じ宿の部屋だったのだ。ダブルベッドが2個あるシンプルな部屋。いわゆるドミトリー。そこで私はミチヨさんと出会った。カールスバーグを共用部のテラスで飲みながらいろんな話をした。私は大学生で、彼女は、多分40歳くらいだろうか。でも、宝石の買付けにきているというミチヨさんは、仕事柄か衣装やメイクも派手で、あ [続きを読む]
  • ブルゾンちえみのメッセージが持つパワー
  • 「「ブルゾンちえみ」が圧倒的な支持を得た理由」という記事を読んで、ある友人の話を思い出した。彼女はシングルマザーで娘がいる。13歳。思春期だ。その娘とお風呂に入っていると、娘から教えられる。「彼氏と別れた」と。付き合っていたというのは、数週間前に聞いていた。早熟だな、と思ったけれど、止めるほどもなく静観していた。でも、数週間で別れるというのは早いな、と母は思う。理由を聞くと、「私よりも男の子と遊ぶのを [続きを読む]
  • 野球部のマネージャーの彼氏は誰?
  • 野球部のマネージャーで、アイコという女の子がいた。かわいい女の子だった。今の子たちには伝わらないかもしれないけれど、タッチのミナミのような、少し勝ち気のある女の子だった。もう1人、タカコというマネージャーもいたけれど、彼女は男勝りなキャラだったので、アイドルという位置付けではなかった。だから、僕たちのアイドルはアイコだった。みなはアイコに応援してもらうために頑張った。彼女に喜んでもらいたいために [続きを読む]
  • あなたは沈黙を楽しめる?
  • 「沈黙を楽しめる人」と彼女は言った。僕はその言葉がズシっと胸に響き、意図せずに沈黙を生み出してしまう。それは、「どういう男性が好きなの」と聞いた質問の回答だった。よく聞くような「筋肉ある人」「背の高い人」「面白い人」とは違った回答だった。その回答で、ある映画を思い出す。キル・ビルで有名なタランティーノ監督の2作目の映画だ。「パルプフィクション」という映画のあるシーン。そのシーンの登場人物は2人。マフ [続きを読む]
  • 結婚はポーカー?ルーレット?
  • 「結婚て、Winner takes allじゃん。最後の総取りじゃん」と、イーピンを切りながらタロウが言う。「つまりさ、人生では何人かと恋愛するでしょ。でも、最後には1人の人としか結婚しない。少なくとも日本ではね。そうすると最後に結婚した人だけが幸せで、それまで付き合った人たちは、その幸せは分け与えられないじゃない。養育費ももらえないし、子供もうめないし。でに、それまでの恋人との恋愛で得た経験を使って最後の人と結 [続きを読む]
  • 絶望とローズマリー
  • つまらない会食の店を出ると雨。朝の天気予報では雨なんて言っていなかったのに。傘はない。お店の傘を借りて、お客さんをタクシーに乗せて見送る。そして、今日は、私もタクシーで帰ろう、と思う。月曜日からくたくただから、少しの贅沢。領収書は通るかな。タクシーにのりながらぼーっとする。携帯を見るほどの力もない。ただ、窓から雨の降る恵比寿の街を眺める。ロストイントランスレーションのシーンを思い出す。恋人とのゴタ [続きを読む]
  • 宮益御嶽神社にて
  • 学校でなぜ手のつなぎ方を教えてくれないんだよ、と思った。微分やフランス革命よりも重要だろうよ。今日は2回目のデート。渋谷のデート。電車で40分揺られて渋谷につく。まずはセンター街を散歩。そして、そこから少しはずれたところにあるゲーセン。UFOキャッチャーとコインゲーム。そして、プリクラ。プリクラの時に少し手をつなげるかと思ったけど、駄目だった。「手をつないで」っていうポーズがあればよかったのに。そこから [続きを読む]
  • 自動運転は事故は防げても悪意は防げない
  • まさか、「そんな偶然が」という思いだった。その日、私は、40代のお客さんの接客をしていた。自動運転カーの試乗をしてもらい、私は助手席で話をする。実際に乗ってもらって、購入を後押しする。運転中に「ブレーキを我慢してみてください」という。信号で前が赤になる。運転手は、ブレーキを踏みたいけど我慢する。ぶつかりそうになると車が自動で止まる。運転手は「すごい!」と感動する。私は「でしょう。これで、もう事故をす [続きを読む]
  • 革命は食事の後で
  • パスピエさんというアーティストの歌に「ヨアケマエ 」という歌がある。その歌で、とてもセクシーな歌詞がある。革命は食事のあとでというフレーズ。文脈はよくわからない。ただ、そのフレーズ単体が持つパワーは圧倒的だ。食事の後に行う革命。それは比喩なのかもしれないし、あるいは、本当の革命を意味しているのかもしれない。しかし、どちらにしても、セクシーである。戦の前に肉にかぶり付くジャンヌ・ダルクを想起させるよ [続きを読む]
  • 迫りくる尿意との戦い
  • 「空気読めよ」と、これほど強く思ったことはない。私は目で「トイレ行きたい、トイレ行きたい」とアイコンタクトを送る。すっと目線をトイレに送る。カウンター席の端にある扉に目を送る。でもこいつは気にせずひたすら喋る。私に席を立つスキを与えない。港区では最近、甘酒が人気だとか。それは港区は関係ないんじゃないか、と思うけれど、それよりもトイレに行きたい。会話の途中で席を立つのって、まぁまぁの度胸がいる。それ [続きを読む]
  • 現代の幽玄
  • 「幽玄っていう単語を使いたいの」と彼女は言う。僕はコーヒーを一口すするふりをして、正解の回答を探す。なんと答えればいいんだ。「幽玄ってどういう意味?」と僕は聞く。彼女は嬉しそうな顔して説明を始める。どうやら正解だったようだ。「幽玄って、芸術用語として使われることが多いんだけど、ものの良さや美しさが奥深くてなかなかわからないことを指すらしいの。奥深さ?味わい深さ?みたいな。」彼女はこうやってたまに何 [続きを読む]
  • シワ
  • 湯船で彼女が椎名林檎の歌を口ずさむ。あなたはすぐに写真を撮りたがるあたしは何時も其れを厭がるのだって写真になっちゃえばあたしが古くなるじゃないいい歌詞だな、と思った。確かにな、と。写真を撮ると、その写真の彼女は、過去の彼女だ。古い彼女になる。なるほどな、と。でも、と、お風呂の中で彼女の指を見ながら思う。では、未来の彼女を想像してみるのはどうだろう、と。お湯でふやけた彼女の指。彼女も年をとるとこんな [続きを読む]
  • 沖縄の海
  • 「自殺するくらいなら、全財産持ってラスベガスにいって一勝負して失敗してから考えればいいのに。勝てば自殺なんて考えなくなるだろうし」なんて不謹慎なことを小学生の頃に思ったことがある。しかし、それから20年以上経って、ようやく理解する。死にたい人間にそんな気力はない。ラスベガスに行く気力があれば、死を考えない。村上春樹は言った。「死は対岸にあるものではなく、生の中にあるものだと」。数年前に同僚が死んだ [続きを読む]
  • 桜の季節
  • ちょうど付き合い始めたのも桜の季節の頃だった。その頃は散る桜に「これからの暑い季節」を予感し、散る桜にさえも心を踊らせたものだ。でも状況が変われば桜の意味も変わる。別れ話の後では、散る桜が我々の関係性のように見えて切ない。隣の女性をふと見る。2時間前までは恋人だった女性。桜が散るからこそ美しいというならば、恋愛も別れがあるから美しいといえるのだろうか。それならば、別れを前提としない結婚は美しくない [続きを読む]
  • 花見の席
  • もう少し早くくればよかった。自分たちの花見の陣地は既に満席に近く、端しか空いてなかった。その端に座り、メンバーから配られたビールを飲む。隣は大学からの友人の男性2人。大学時代で同じ時間を過ごした仲間だ。久しぶりでも、久しぶりの感覚を気にせず、気楽に話をできるのはありがたい。この1年の近況を共有する。ただ、俺の心は気もそぞろだった。今回、仲良くなりたいアイコとはだいぶ離れた席になってしまった。みなは丸 [続きを読む]
  • 送られなかったメール
  • 蒸発するように消える、という比喩は比喩でなかったんだ。ある日、帰ってきたら、その部屋にもう彼女の姿はなかった。そこに、飲みかけの珈琲カップがあった。脱ぎっぱなしの靴下はなかったけど、財布や携帯はなくなっていた。つまり、自発的に出ていったのだろう。部屋を探すと彼女の痕跡はいろんなところに残っていた。彼女が買った本や聞いていた音楽。彼女が好きだった調味料。トリートメントに香水。そのようなものはほとんど [続きを読む]
  • 花屋の花は見るためだけに使うものではない
  • 花咲く花屋は今日も忙しい。16時頃、お店に訪れたのは20歳後半の女性だった。スーツ姿がかっこいい。「すいません、お花を探しているんですが」- はい、どういうお花でしょう「あのー。いいずらいんですが、相手を殴るための花ってありますか。花をそんな風に使うのは申し訳ないんですが、どうしても花で殴りたくて」大丈夫です、と私は笑顔で即答しながら言うべき言葉を探す。花って、きれいに見るだけの存在でもないんです。あな [続きを読む]
  • 返ってこないLINE
  • 送らなければよかったかな、と反省した。春の陽気に誘われてつい送ってしまった。LINEに取り消し機能があればいいのに。既読の文字が肉肉しい。「久しぶり。今度、飲まない?」2年前の彼女に送った未練がましいメール。もう少し丁寧な送り方もあったと思う。いきなり飲みに誘わず、まずは挨拶に留めるとか。でももう送ったものはしょうがない。ひたすら後悔をするだけだ。忘れるようにしよう。今日もコンビニで行列に並びながら、 [続きを読む]
  • 女性1人で牛丼屋に入れますか
  • 平日の夜、23時ごろ、最寄り駅から帰っていると、1人の女性いた。松屋の中を覗いている。僕は遠目からそれを見ていて「入れ」と心で念じていた。女性は、牛丼屋に1人で入りにくいと言われている。でも、食事に男女なんて関係ないわけで、できれば女性が気にせず松屋に入れる世の中であって欲しい。そういう思いで、中をうかがう女性を心の中で後押しする。中が混んでいるのをみているのか。混んでない方が入りやすいのかな。きっと [続きを読む]
  • 世界に借りがある
  • 「まじか」と思わず声に出る。その声と一緒にでた息が白く濁る。この寒さの中、こんな何もないところで自転車がパンク。これは辛い。すっかり空気が抜けている。何かを踏んだようだ。とはいえ乗れるかな、と自転車に乗ってみるが、とてもじゃないが危険で乗れない。ふらふらする。何より自転車のホイールを痛めることになる。昼間ならば、近くの自転車修理のお店を探すのだけれど、今は夜中の1時。どこもやってないだろう。どうし [続きを読む]