くろろん さん プロフィール

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くろろんさん: Floral Mirror
ハンドル名くろろん さん
ブログタイトルFloral Mirror
ブログURLhttp://doublesmirror.blog.fc2.com/
サイト紹介文ファンタジーにちょこっと恋愛要素の入った、オリジナル小説サイト。ハッピーエンド思考。
自由文人間になりたい女神と旅をしたら魔王の戦いに巻き込まれて勇者になっちゃったり、全く恋をしない王子に何とか恋愛をさせようとがんばるキューピッドが王子に恋をしたり。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供14回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2016/06/04 12:42

くろろん さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 第3章第1話 おもちゃ職人の血が騒ぐ
  •  それからほどなくして、国をあげてのおもちゃコンクールが開催される事となった。 チラシを見たウィルスとリットは顔を見合わせ、頷きあう。「優勝しかないね」「当然、優勝でしょ! だって、金額すごいもん」 優勝者には普通の暮らしだったら、一生食うに困らないほどの金額が提示されている。 準優勝の三倍近い金額だ。「でもウィルス、普段の注文を受けながらコンクール用のおもちゃ作ってる暇あるの?」 リットが予約待 [続きを読む]
  • 第2章第5話 かつての本職
  •  夜も更けてきた時分、ウィルスは普段とは違い、驚きの俊敏さで建物間の屋根を疾走していた。 目指すはハスク家。一度侵入した家だ、どこに衛兵がいるか把握している。 街路樹の陰から衛兵がいないのを見計らって、鉄柵に楔がついた縄を放ると一気に上り詰め、敷地内に降り立つ。 屋敷に近づき、ウィルスは黒のマスク越しに建物を見上げた。 フィリアの寝室はおそらく日当たりのいい南側……そして二階だろう。 雨樋を伝い上 [続きを読む]
  • 第2章第4話 願い叶わず
  •  翌日、ウィルスは王都の地図を見ながら貴族屋敷が並ぶ通りに向かっていた。 一生縁がなさそうな、高級馬車が往来している。 日傘を広げた貴婦人たちがウィルスの姿を見てくすくすと笑った。 だが、ウィルスにとってそんなことはどうでもいいことであった。 地図を片手に、ようやく目的のハスク家の屋敷に辿り着く。 門構えからして相当立派なもので、一般庶民のウィルスには門の向こう側など夢の世界のようだった。 とりあ [続きを読む]
  • 第2章第3話 失って気付く宝物
  •  その日の一日が終わって、ウィルスは肩をならした。 まだまだ予約待ちの商品は山ほどあり、少しずつでも消化しないと次から次へと注文が降ってくる。 立ち上がって思いっきり伸びをしたウィルスは、リットが工房にこないので、自ら店の方に顔を出した。「リット、今日はどうだった?」「……」「リット?」 リットはウィルスに振り向きざま、黒鞄を渡した。「何だい?これは」 リットが何も言わないので、ウィルスは訝しがっ [続きを読む]
  • 第2章第2話 お嬢様の求品
  •   レジ前にテディが置かれるようになって、ショーウィンドウからそれを覗いた子供たちが店内に遊びに来るようになった。 商品は全てサンプルだった為、買う事は出来ないけれども、店内で遊ぶだけで子供たちは満足しているようだ。 テディにもそれが十分伝わってくるから、子供たちに放り投げられようが黙って微笑んでいた。 そんな時。 一台の馬車が店の前に停車する。 リットがなんだろうと思っていると、馬車の扉が開いて [続きを読む]
  • 第2章第1話 おもちゃの宿命
  •  それからしばらくは嵐の前の静けさのように何事もなく過ぎて行った。 ジョバンニが必死に裏工作としてノイスラックの商品の悪評や酷評を並べ立てていたが、焼け石に水とはこのことで、ノイスラックの商品の人気が落ちる事はなかった。 街中で在りもしない事を書かれた悪口のオンパレードチラシを撒かれても、ウィルスは気にすることなくおもちゃを作り続けた。「ちょっとウィルス!」 チラシを片手に、リットが工房にやってく [続きを読む]
  • 第1章第7話 不幸中の幸い
  •  おもちゃ達の言葉は、現実のものとなった。 アーティクトから帰ってきたウィルスは、通りがやけに騒がしい事に気付く。しかも、自分の店の前で。「なんだろう……」「嫌な予感しかしないわね」 走るウィルスのカバンの中で近づいてくる人ごみを見たテディは、人々をすり抜けようとするウィルスの腰付近で押し潰された。 痛かったがそうも言ってられない状況だと言う事は分かった。 ウィルスが人垣をようやく抜けて前に出てみ [続きを読む]
  • 第1章第6話 見せかけは嘆きしか生まない
  •  翌日、店を閉めて再びアーティクトを訪れたウィルスは、カバンの中から顔だけ出しているテディに声をかけた。「あまり長居は出来ないよ。僕の顔、もう店長にバレてるから」「うん、分かってる」 テディの言葉を聞いて、とりあえずウィルスは店内をぶらつく。そして、気付いた事がある。前に来た時より格段にお客が減っていたのだ。前は店内をうろつくのすら子供に阻まれて自由が利かなかったのに、今では向こうの陳列棚まで見え [続きを読む]
  • 第1章第5話 本気の宣戦布告
  •  ドアベルが鳴る。リットは笑顔で「いらっしゃいませ」と出迎えた。 だが、やってきたのは大の大人二人で子供の姿はない。片方はまだ若年と言えるべき年齢の男で、ステッキを持ち高尚な衣装で身を包んでいる。一括りにした茶髪と、どことなく氷河を思わせる水色の双眸。もう片方の男は帽子を手に持ち、辺りを落ち着きなくキョロキョロと見渡していた。 そんな二人の珍客にリットの顔が曇る。嫌な予感がしたのだ。「ここの店主は [続きを読む]
  • 第1章第4話 出る杭は打たれる
  •  ウィルスの小さな店は今や王都中に噂が流れるようになっていた。数に限りがあるウィルスの商品は予約待ちでいっぱいになった。リットも暇があればウィルスの手伝いをしているが、とても追いつかない。ウィルスはそれでもおもちゃを作り続けた。 額の汗を拭ったウィルスは、天井を仰いでふぅと息を吐き出す。疲れているけれど、気持ちのいい疲れだ。自分の好きなことをやっている、この充実感。それを求めて来てくれる子供たち、 [続きを読む]
  • 第1章第3話 パラレルドリーム
  •  翌日、ウィルスの店を訪れたリットは驚いていた。ウィルスが昨日店をたたむと言っていたのに店はオープンしていた。それもあるが、店に子供の姿があったからだ。リットがウィルスの店で子供の姿を見た事などこれまでに一度もない。 リットは店内にいた親子と入れ違い様に店に入る。店のカウンターにはウィルスが笑顔で待っていた。「やぁリット」「やぁ……って。昨日店やめるって言ってなかった?」「うん、それ止めたんだ」「 [続きを読む]
  • 第1章第2話 おもちゃの息吹
  •  リットが帰った後も、中断していた作業を続行した。晩飯を食べる事すら忘れて一心不乱に作り続けた。切って、縫って……縫って…… これがおそらく、最後の作品。 丁寧に丁寧に布と布を縫い込んでいく。 綿を詰めて閉じ合わせて……目を縫い付けて、鼻と口を縫い上げたら。 作業机の前にある小窓から月光が降りる中、それは完成した。「出来た……」 ウィルスは満足したと同時に、それまでの緊張感がぷつりと切れて机に突っ [続きを読む]
  • 第1章第1話 夢は夢でしかなかった
  •  翌日、ウィルスは店を閉めて久しぶりの外出をした。 王都であるこの街、チェリッシュには元々数軒のおもちゃ屋があったのだが、ジョバンニ=リー=ミスティという貴族の実業家が経営するおもちゃ屋、アーティクトが台頭し、ウィルスの店を除いて次々と他店は閉まっていった。ジョバンニの経営手腕は確かに認めるものはあったのだけれども、利益の為ならば手段を選ばないものだったが故に他店はあっという間に潰れて行ったのだ。 [続きを読む]
  • 序章 生きがいとして
  •  工房でやすりをかけながら、ウィルスは額の汗を甲で拭った。今日は特別天気がよく、柔らかな夕日が窓ガラスの透度を限りなくゼロにしている。開け放ったドアからは緑の匂いを乗せた風が汗を涼やかにしてくれた。「よしっと……あとはニスを塗るだけかな」 湾曲する足で床を転がす木馬の握り手に、ウィルスはそっと指を添えた。 おもちゃに命を吹き込む事……こんなに楽しい事なんてない。それを生業としていけるのなら、自分の [続きを読む]
  • 終章(完結) 2人の弓は永遠を射る
  •  老夫婦の元へ、一通の手紙が届いた。「お爺さん、お婆さん、時間がなかったとはいえ、挨拶もしないで突然出て行ってしまってごめんなさい。近々そちらに伺わせていただきます」 その手紙の数日後、馬車が老夫婦の元に駆けてきた。 ノックの後、ゆったりとした間で、ドアが開かれる。「お婆さん、ただいま!」「おや、シルベリア!」 シルベリアに抱きつかれたお婆さんは、久しぶりの“孫”の帰宅に顔をほころばせた。「あんた [続きを読む]
  • 第10章第2話 喜びの色が幸せになる
  •  エルロードがディアルナを迎えに行ったのに、その馬車には王城を出た時と同じくエルロード一人しか乗っていなかった。結婚式を執り行う司祭達がどうしたものかと慌てふためく。 王城の、階段下に乗り付けた馬車からエルロードが降り、父王が城から出てくる。「エルロード! どういうつもりだ?!」「どうもこうも、私はディアルナとは結婚しません」「何だと?! お前、事の重大性が分かっているのか!」 父王はステッキを折 [続きを読む]
  • 第10章第1話 迷いも後悔もない
  •  シルベリアを伴い城に帰還したエルロードは、召使達に厳重に言い聞かせ急ぎ手配させていた物がある部屋に入る。 目を見開くシルベリアはエルロードを見上げ、彼は口端に微笑を湛える。「試着してみてくれ」「わたし…が…?」「母には許可を貰っている。背丈が同じだから大丈夫だろうとの事だ。もし合わなかったらまた考えているから、早く着ろ」 シルベリアは頷き、エルロードは部屋を出る。 隣室で待機していると、しばしの [続きを読む]
  • 第9章第2話 愛が導いた2人の恋
  •  門番に当たっている騎士は、今日こそ平和な夜が送れると欠伸さえしていた。だが、その平和は馬の嘶きと共に打ち鳴る蹄によって妨げられる事になる。「開門しろ」「エルロード様……! 今夜は外出禁止令が陛下から出されております!」「明日は結婚式です、今夜だけは頼みますから……!」 門番二人はそこでヒィっと息を呑む。エルロードが馬上から剣を抜き放ったからだ。「今すぐ開門しないと、貴様等の首を即刻飛ばす」 馬 [続きを読む]
  • 第9章第1話 手繰り寄せた笑顔
  •  シルベリアは結局、朝まで酒場に残されていた。目を覚ますと、同じテーブルにバッカス達も酔い潰れていた。そこで、自分の左手がとてつもなく寂しくなっている事に気付き、泣きたい気持ちを抑える。酔い潰れていた自分が悪いのだ…誰も責める事は出来ない。だが、バッカス達が目を覚ますと、指輪を持ち去ったのはエルロードだという事が分かり、なぜだかほっとした。左手は寂しくなったけど……自分の持ち物を一つでも持って帰 [続きを読む]
  • 第8章第5話 負けたくなかった
  • 「おいおい……これで何杯目だよ」 バッカスがテーブルを占拠し始めたジョッキを数えながら言った。 そろそろ、立っている足がふらつき始める。「貴様……女にしておくのがもったいないくらいの飲みっぷりだな」 エルロードの毒づきに、シルベリアも据わった目で応える。「その言葉、褒め言葉として受け取っておくわ」 ダメだ……意識が朦朧としてきた。ジョッキに足された酒を無理やり流し込みながら、シルベリアは手根で口 [続きを読む]
  • 第8章第4話 信念を賭けた勝負
  • 「何だ、おいバッカス。こいつお前より俺の方が気に入ったみたいだぞ」 はっとしたシルベリアはエルスタンから目を逸らした。あまりにも不躾に見つめ過ぎた。 だが、エルスタンはそんなシルベリアの顎を強制的にぐいと持ち上げる。人の食えない、見下げたような笑みが、そこにはあった。「何なら、今夜、俺と過ごしてみるか? そこら辺の男よりは退屈しないと思うぞ」 エルロードのその物言いに、シルベリアはゆっくりと口を [続きを読む]
  • 第8章第3話 記憶のひとかけら
  •  その日の夜。シルベリアは老夫婦に遅くなると言い残して、夜の歓楽街に足を運んだ。髪は解いて、いつもの街娘の格好ではなく、少し大人びた女性らしい服を着ている。  ザイという酒場は歓楽街入口の目に付くところにあった。その扉を開けるとドアベルが鳴る。 店内をぐるりと見渡すと、バッカスが手を振っていた。「おーい、こっちこっち!」 シルベリアはそこに移動すると、バッカスのテーブルには知らない男が数人いた。 [続きを読む]
  • 第8章第2話 わずかな希望
  •  結婚式が数日後に迫っていたある日、シルベリアはお婆さんにお使いを頼まれ、仕事終わりに市場を覗いていた。そして、選んだ野菜を持っていた編みカゴの中に入れる。編みカゴを手に下げ、揺らしながら、シルベリアは家へ帰る道を歩いていた。  聞こうとしなくても、聞こえてくる会話。 「結婚式には行くよな?」 「当然! 王家の人間が一挙に見られる数少ないチャンスだよ」  街の話題と言えば、結婚式の事ばかり。シルベリ [続きを読む]
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