紫木蓮 さん プロフィール

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紫木蓮さん: 月に秋草
ハンドル名紫木蓮 さん
ブログタイトル月に秋草
ブログURLhttp://moonautumn.blog.fc2.com/
サイト紹介文花より男子の二次小説。類が大好きです。類や総優CPの幸せ、ほんわかするお話を書いてます♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供339回 / 365日(平均6.5回/週) - 参加 2016/07/03 15:31

紫木蓮 さんのブログ記事

  • precious 58
  • 優紀も、赤ん坊もリモの中で眠っていた。ときおりうっすらと目を覚ます優紀は総二郎の顔を見ると、またうつらうつらと眠りに落ちていく。リモは長い白壁沿いを走り西門流の表門を通り過ぎ、邸の大木戸の前で停まった。しばらくすると大木戸が内側に開かれ、リモは表玄関に横付けされた。総二郎は信じ難い思いでいると、外からドアが開き使用人頭が顔を覗かせると風呂敷包みを手に乗り込んできた。家政婦に抱かれた赤ん坊を見ると満 [続きを読む]
  • precious 57
  • 明日の退院の準備をしていた家政婦が風呂敷き包みを見つけ、総二郎はうっかりその存在を忘れていた。それは優紀の出産の連絡を受け慌てて邸を出るとき、使用人頭から持たされたものだった。家元夫人からだと言っていたことを思い出し、何だろうかと不思議に思い包みを開くと中身は赤ん坊の産着とレースの飾りがたっぷり付いた赤ん坊の服だった。「あら、まあ、素敵なベビードレスですね」「ベビードレス?」総二郎が手にしたそれを [続きを読む]
  • precious 56
  • 喫茶ルームに総二郎と家元が足を踏み入れると店内はしんとなった。ふたりともカジュアルな装いだというのに長身にピンと伸びた背筋と醸し出すオーラは独特だった。ふたりは端のテーブルに座った。「突然来て悪かったな」「それはもう結構です。一体、何のお話ですか?」病室で優紀を見つめる総二郎とは打って変わって厳しい表情をしている。この子がこうも感情を露わにしているのを見るのはいつぶりだろうかと家元は考えていた。年 [続きを読む]
  • precious 55
  • しばらくの間、ふたりは赤ん坊を覗き込み頬笑みながら声をひそめ話していた。家元夫人が小さな手に触れると、赤ん坊が家元夫人のその指を握った。「まあ・・・・・あなた、ご覧になった?わたくしの指を握りました」家元夫人は嬉しそうに声を上げ、見たこともない笑顔を家元と総二郎に交互に向けた。「ああ、本当にかわいい子だ。総二郎の小さなころにそっくりだな」家元の表情はさらに優しくなったように、総二郎には見えた。いつ [続きを読む]
  • precious 54
  • 優紀は赤ん坊に乳をやると食事もそこそこに眠りに落ちてしまった。「寝てばっかりだな」総二郎は優紀の削げた頬を撫でた。「優紀様は西門様が傍にいらっしゃると安心して眠ることが出来るんですよ。さあ、いまのうちに西門様もお休みになって下さい」家政婦は総二郎のために枕とブランケットをソファーに用意し声をかけた。「そうさせてもらうよ」総二郎はソファーに横になると眠気に襲われた。仕事と病院の往復で満足に寝ていない [続きを読む]
  • precious 53
  • 総二郎は優紀の声が聞こえた気がして立ち上がると襖を開けた。「優紀?起きたのか?」和室用のローベッドに横になった優紀はゆっくりと首を巡らした。「起きたか?ちょうど良かったよ、赤ん坊も起きたからミルクをやるところだったんだ。優紀、母乳やるだろ?」総二郎が尋ねると優紀はほっとしたように頷いた。「ちょっと待ってろよ」総二郎は開けたままだった襖の向こうに声をかけると、優紀のもとに戻った。「優紀、ゆっくり動く [続きを読む]
  • precious 52
  • 途切れそうな意識の中で赤ちゃんの元気な泣き声を聞きほっとした。処置が施されているあいだ赤ちゃんは産湯を使い、看護師が優紀のもとに赤ちゃんを連れてくると胸の上に寝かせてくれた。優紀は抱きかかえる力もなく、家政婦が優紀の腕を支え赤ちゃんを抱かせてくれる。優紀は小さな宝物の重みと温かさに涙が潤んだ。無事に産まれてくれてありがとうと伝えたいのに言葉を発することもできない。靄がかかったような頭の中はぼんやり [続きを読む]
  • precious 51
  • 総二郎はソファーの上で目を覚まし、窓を見ると外はぼんやりと白くなり始めていた。「うわっ、やば!」身を起こし携帯を手に取り、慌ててチェックしたが病院からの連絡はなくほっとした。手早く着替えを終え玄関に向かっているところで、使用人頭と鉢合わせをした。「総二郎様、奥様からお預かりしているものがございますのでお待ちください」総二郎は急いでいるからと無視をして玄関に向かうと、後ろから風呂敷包みを抱えて先ほど [続きを読む]
  • precious 50
  • 総二郎はタクシーに乗り込むと深夜の街を眺めながら小さく息を吐いた。「あと一か月あるつもりだったのに・・・間に合わなかった・・・くそっ!」ドンッという音に運転手がびくっとした。「あ、申し訳ない」総二郎はついドアを拳で叩いてしまったことを謝罪した。それにしても・・・予定通りに行かなかったな。総二郎は先に結婚の許しを得て、優紀を安心させ、出産を迎えさせてやるつもりでいた。結婚の許しを得たらすぐにでも優紀 [続きを読む]
  • precious 49
  • 「んっ・・・んんっ!」優紀が小さく身じろぎをしたと思ったら、目を閉じたまま顔をしかめた。「優紀?」総二郎は不思議に思い声をかけた。「あっ、ったい・・・・いた・・・い・・」掛け布団を握っている優紀の指に力が入り爪が白くなる。きつく目をつぶり、痛みに耐えているのが分かると総二郎は慌て、優紀の手を握った。「痛いのか、優紀?どこが痛いんだ?優紀、大丈夫か!」「おな・・か・・いっ・・たい・・・・・」ふぅふぅ [続きを読む]
  • precious 48
  • 家元夫人は総二郎を優紀のもとに行かせないために仕事や雑事を詰め込めさせ、夜には話し合いをと言い邸から出さない構えだった。そのため、総二郎が携帯をチェック出来たのは稽古がすべて終わった二十二時を過ぎていた。ディスプレイに並んだ着歴の数は有に二十を越え、あきらからの最後のラインには『陣痛が始まった』と短く記されている。総二郎は慌てて部屋に戻り着物を脱ぎ捨てながら、あきらに電話をかけた。「総二郎!早く来 [続きを読む]
  • precious 47
  • 「あなたもだったとは思いませんでした」優紀は目の前に立っているとても美しい女性とスーツ姿の銀縁メガネの男性に見下ろされていた。「わたしのことは覚えていらっしゃいますね?」優紀はおずおずと頷いた。田中と名乗った弁護士の言葉をまざまざと思い出していた。『優紀さんがいらっしゃると、総二郎様に迷惑が掛かります』そして、となりの美しい女性が雑誌で見た総二郎の婚約者だと気がつき胸が苦しくなる。ぶるりと震えた。 [続きを読む]
  • precious 46
  • 「突然呼び出して申し訳ありません」総二郎はわざと堅苦しい物言いをした。「総二郎さんのお誘いなら飛んで参りますわ・・・あら、わたしったら、はしたないですわね」女は艶やかな笑みを浮かべ、総二郎に妖艶な視線を投げ掛けた。数ヶ月ぶりに逢うが、やはり美しい女だった。スラリとしたモデルと見間違うようなスタイルをさりげなく高級ブランドで包み、隙ひとつないヘアメイクを施している。まったく総二郎のストライクを行くよ [続きを読む]
  • Honey night  〜プロローグ〜
  • 総二郎と優紀の婚約中のお話です。本筋であるインクロの流れです。総二郎 類 23歳くらい、優紀 22歳くらい(大学卒業している)、仔猫 19歳「こんにちは、西門さん・・・優紀さん?わぁ、かわいい!」類の仔猫がぴょこりと跳ね、類の腕にしがみつきながらぴょこぴょこと飛び跳ねた。「相変わらずだね、なのはちゃん。類に怒られるよ」類が仕方なさそうな表情をし、これ見よがしにため息をついてみせた。「あっ・・・わた [続きを読む]
  • precious 45
  • 夜更け、それぞれが仕事を終えふたたび集まった。家元はわずかな時間のあいだに優紀の素性を調べ尽くし、家元夫人にも明らかにされていた。「彼女は失踪した後見つかっていないようだが、総二郎はどこにいるのか知っているのか?」「はい。三日前、偶然地方で優紀を見つけることができました。いまは都内でわたしが匿っています」「そうか」家元は何か考えるようにして口をつぐんだ。「本来なら優紀を連れてきて会っていただくべき [続きを読む]
  • precious 44
  • 優紀の見送りにくすぐったいような嬉しさを噛み締めずにいられなかった。かわいらしい丸い瞳が総二郎の姿を追い、迫り出した腹にはふたりの赤ん坊がいる。赤ん坊など考えたこともないが、優紀が大切に守ってくれていたことはたまらないほど嬉しかった。「邸に戻ってくれ」総二郎は運転手に言いつけると気を引き締めた。優紀は間もなく臨月を迎える。邸に着き食堂へ行くと家元と家元夫人が朝食を終えたところだった。葵はもう登校し [続きを読む]
  • precious 43
  • 東京へ戻らないとごねていた優紀だったが、結局大人しくヘリコプターに乗った。納得したというよりは諦めているというのは分かっていても、とりあえず東京に連れ戻せる、傍に置けるというだけで総二郎は安堵できた。優紀はヘリコプターの中ではさすがに眠ることはできないようだったが、東京に到着し車に乗り込むとすぐにうつらうつら始めた。また拒むのだろうかと思ったが、強引に抱き寄せると腕の中にころんと納まりすうすうと寝 [続きを読む]
  • precious 42
  • 優紀は大きなダイニングテーブルの端にぽつんとひとり座っていた。栄養の考えられた豪勢な夕食を前に優紀は食欲がなくたびたび箸が止まってしまう。「優紀様、食欲がありませんか?」細やかに世話をしてくれる家政婦の心配そうな声に「ごめんなさい」と謝った。「おなかが大きくなると胃が圧迫されてしまいますから仕方ありませんね。少しずつ何回かにわけて召し上がるようにして下さい」優紀は頷くと食事を終え席を立ったが、その [続きを読む]
  • precious 41
  • チャイムの音が遠くで聞こえた気がして優紀は目覚めた。厚いカーテンの端から陽がわずかに漏れ、朝を迎えたらしいとぼんやりとしていると、ドアがゆっくりと開いた。「優紀・・・?」待ちわびた総二郎の声に優紀の胸は勝手に跳ねる。「起きてるのか」総二郎はベッドに腰掛けると優紀に頬笑みかけた。「昨日は疲れただろう。よくがんばったな」総二郎は優紀の頭をくしゃくしゃと撫でた。優紀は昨夜あれほど心もとなく不安だったのが [続きを読む]
  • precious 40
  • 「優紀、大丈夫か?気分悪くないか?もう十分もしたら降りられるからな、もう少しだけ我慢な」総二郎の労る声におなかを撫でる手を止め優紀は頷き、キラキラとどこまでも広がる夜景をじっと見下ろした。逃げ出した東京まで三時間もかからずに戻ってきてしまった。家族や友人と別れ、総二郎への想いだけを抱えて赤ちゃんと逃げ出したのに、総二郎には連れ戻すことなどわけもないのだ。ヘリコプターはたいして揺れもなく高層ビルのヘ [続きを読む]
  • precious 39
  • 優紀が泣いているところに総二郎は戻って来ると驚いた様子でベッドに駆け寄った。「優紀、どこか痛いのか?大丈夫か?どうしたんだ?」おろおろと優紀に触れることも出来ずに布団で隠した顔を覗き込んだ。優紀はゆっくりと首を振り、涙を拭った。「どうもしません・・・大丈夫です」優紀の応えにもまだ不安なのか、総二郎は一緒にいたあきらを振り返った。「大丈夫だよ、総二郎。優紀ちゃんと話しをしてただけだから。それより、も [続きを読む]
  • precious 38
  • あきらは総二郎に招き入れられ優紀の病室に入ると驚き脚をとめた。優紀の痩せやつれた姿もだったが、総二郎のこの上なく優しい視線と慈しみ労る様子にも驚いたのだった。あきらは苦い思いを噛み締め、視線を床に落とした。総二郎の選んだ選択肢は本人にも、優紀にも楽なものではなく困難で険しいものであることは間違い。この先ひと波乱も、ふた波乱もあることは間違いなかった。総二郎が優紀を囲おうとしていたのも今なら頷ける。 [続きを読む]
  • precious 37
  • 総二郎が病室に戻ると優紀はぐっすりと眠っていた。上向きでは苦しいのか横向きになり眠っている。総二郎は額にかかる前髪を指でそっと払い、そのまま優紀の肌の上を滑らし唇に触れた。少しかさついているが柔らかくふにふにとしていて記憶の中のままだった。つやつやとしたピンク色の頬は見る影もなく削げ、顔色も悪いけれど妊婦とはいえないほど幼い寝顔だった。総二郎に身を預け腕の中で眠っていたときと何も変わらない。それど [続きを読む]
  • precious 36
  • 総二郎は痛む頭を抑えた。病院を出る前、看護師に呼び止められ医師のもとに案内された。医師は心配することはないのですがと前置きをし、赤ん坊はしっかりと育っているが母体が弱っているのが気になると告げた。仕事は控えさせ、栄養のあるもの取らせ体力を付けさせたほうが良いと総二郎にアドバイスをした。出産にたえられないとか、すぐに入院が必要ということはないが産後には育児が始まりますからねと笑みをこぼした。かえすが [続きを読む]
  • Hold my hand(改) 15
  • くくっという聞き慣れた笑い声とビー玉のように透き通った瞳につくしのこころは跳ねた。「類!!」つくしの声も喜びに弾んだ。「いらっしゃい、牧野」つくしが大好きな優しい笑顔の類が、そこにいた。かっちりとしたダークスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイに指をかけ緩ませる姿に、つくしはついつい見ほれてしまった。類のスーツ姿は何度も見たことがあったのに、久しぶりにあったせいかまぶしいほど格好いい。「類さん、おかえ [続きを読む]