しゅり さん プロフィール

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しゅりさん: 未題
ハンドル名しゅり さん
ブログタイトル未題
ブログURLhttp://shurir.hatenablog.com/
サイト紹介文大切なひとを大切にしたい。短編より短い短編小説を書いています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供160回 / 365日(平均3.1回/週) - 参加 2016/07/07 01:13

しゅり さんのブログ記事

  • 郷愁
  •  朝起きて、喉の痛みを感じる。頭が熱い。きのう突っ込んだ指と、内臓への負担を考えると妥当な結果だとおもう。夜中になると突然発熱する身体をなんとかねじ伏せ越える夜、わたしは知らないうちなにか禍々しい化物を抑圧し生きていると痛感する。 怒りはたまっていく。哀しみは沈んでいく。そのなにかを糧に日々生きる。それでも、と彼女は言う。 「あなたのそのがんばりは、本来なら半分でもいいくらいのものなのよ。」 がん [続きを読む]
  • 長いグラウンドラン
  •  「おねえちゃん、もう不幸せに逃げるのはやめたいんだ。自分を、変えたいんだ。」 ひさしぶりにかかってきた電話を取って開口いちばんそう言うと、弟はうん、と頷いた。 「自分を傷つけて安心するのをやめたい。マトモになりたい。いまの仕事はちっともマトモじゃないけれど、マトモになるためにとても必要なことなんだ。」 弟はつづけて頷く。 「変えたい。変わりたい。笑いたい。」 あまりに鬼気迫ったわたしの声に弟はす [続きを読む]
  • 衝突事故
  •  彼はよぼよぼの身体にぱりぱりの一張羅でやってきた。75歳にしては顔がつるりと光っていて、わたしははじめ、それがなにを意味するのかよくわかってはいなかった。 ひさしぶりだね、彼は言い、おひさしぶりです、わたしも言う。さて、いこうかと連れていかれたのは中華料理店だった。 「いやあ、メールをくれてありがとう。きみとまた会えて嬉しいよ。」 いえこちらこそ、あ、就活のESなんですが……と鞄をごそごろ漁ろうとす [続きを読む]
  • 雪解け
  •  堪えるしかない。どんなに孤独を感じても。見返りはなくとも。やりたいからやっている、その意思をもって。変えるのは相手じゃない、自分だ。 誤魔化しも、焦りも、受けとめられるのは自分だけ。この自分をもって、堪えて堪えて堪えて、乗り切る。だれにも任せない、自分の人生を自分で背負う。 「ようやくそれらしくなってきたね。」 「だから言ったでしょう。出会うのがすこし遅かったらって。」 「けれどぼくと出会わなけ [続きを読む]
  • 踏み出す、踏み出す。
  •  幸せに浸り泣きそうになるときがある。いまがあまりに幸せすぎるから、この幸せが溶けて消えたときわたしは、もういままでの自分のまま生きることがむずかしくなるようにおもう。 幸せを掴むと幸せがなくなる気がする。幸せの味をおぼえてしまうのがこわい。だからずっとずっとがんばると決めた、この幸せを守るためにずっとずっとがんばると決めた。 となりに座る同僚とラーメンとチャーハンをたべる、目の前には上司が座って [続きを読む]
  • 「二重人格」
  •  わたしのなかに生まれつつあるもうひとりの人格が、強烈な存在感をもって現実を後押ししてくれる。彼女は理想だ。もちろん聖人ではないけれど、切り離された姿にはひととしての強さとやさしさが詰まっている。 わたしがどんなに嘆こうと、彼女はぐいとわたしの手をとり、明るい世界に引っ張っていく。その状態において彼女は躊躇わない。そしてだれよりも人間を信じている。 「こわいの、どうしても。失敗しやしないかな。」  [続きを読む]
  • 幸せの準備
  •  長らく囚われていた不幸思想からようやく脱却できるかもしれない、光をみて、つぎの瞬間には引き戻される現実に、いつでも絶望の色をみていた。 とどのつまり思い込みだ、おもいはするけれど、理解と実践の間には深い深い谷底がある、それが難題だ。と起き抜け、ぼーっとする頭で夢と現を擦り合わせた。 もし君が現実にいるとして、彼は言う。 「ぼくらがいまいるこのロフトの床が歪んで下に落ちる、その可能性はゼロじゃない [続きを読む]
  • 自然的療養、或いは遊戯。
  •  さびしくて泣いている。拒絶された苦しみというより、とてもやんわり、線を引かれたことに泣いている。仕方ないとわかっている。それでも、自らの素直さにより断ってしまった道を憂いている。それは仕方のないことだよ、あれもこれもは取れないんだよ。やさしいひとほど、返せない愛は受け取らないものだよ。拒絶というわけじゃない。 ただ、浮遊した愛をさびしく眺めている。 夜中、幾度となく目覚めるときわたしは、世界との [続きを読む]
  • 無自覚の背信
  •  絶句した。今朝の一発は相当響いた。あんまりびっくりしたので、びっくりしたことがわからないよう、感情が一気に反作用を起こしたくらいだ。 まだ信じていなくてよかった。傷が浅くてよかった。穏やかな未来を描いていなくてよかった。こころを許していなくてよかった。突き詰めると自己と他者はマーブルに混ざっていく。その境界を踏み間違えたとき、一気にくだる鉄槌を、その威力を、わたしはよく知っている。 いちばん哀し [続きを読む]
  • メビウスの輪
  •  なけなしのSOSは気づかれなかった、というより、わたしのほうがどうかしている。焦りもあるけれど、根本的恐怖から逃れるため出したそれが打ち払われ、目覚めの一発にしてはあまりに手痛いビンタに、おもわずわんわん声をあげ泣く。 「いきたくないよ、もういやだよ、しにたいよ。」 何度も何度も紡いだそれは一時期意識的に口を噤んだこともあれど、正直なこころを吐露できないのはあんまりにも辛くて、つぎの瞬間生きる意思 [続きを読む]
  • 信じる意思
  •  「わたしのアイデンティティはがんばることだけ、だから、がんばれなくなったらもう用済みなの。」 電話口で、彼女は黙っていた。これまでため込んだ苦しみがおもわず涙としてこぼれる。 「ずっとずっとがんばっているつもりだった、けれど、甘えだと言われてきた。かといって死ぬことさえできない甘えを抱えたまま、わたしはまだ息をしている。」 しななくていいのよ、彼女は言った。 「結局のところ、わたしはいつ首を切ら [続きを読む]
  • 決断力不足
  •  この世はまっくろけだよ。どうせまっくろけだよ。きれいにみせることができるだけだよ。感情の美しさに愛の湧くほんの瞬間だけ、あとはどんよりよどんでる。 ほんとうは苦しい。感情は反発する。過去の怨みが疼くんだよ、この手の人間に散々馬鹿にされてきたんだよ。わたしは一生このきもちを忘れないよ。 それでもできる限り美しくありたいと願うでしょう。正しくありたいとおもうでしょう。殺意はすべて押し込めるんだよ、べ [続きを読む]
  • 生還の代償
  •  自らの叫びを発することにより一瞬は落ち着くけれど、その後自身の発言がどんどんと退路を断っていく現実に気づく。さっと青ざめ、冷めたもうひとりの自分が、毎分毎秒トランスにはいりつづけるのを酷く斜に構えてみている。 やりきっているのは良い、本気すぎるのも良い、やりたくてやっているのも良い。むしろ我にかえらないほうがいい。それでもだれかと接するとき、相手の感情が追いついていない場合、わたしのこの熱は相手 [続きを読む]
  • 本能的拒絶
  •  疑心暗鬼がとまらない。特定のだれかに向け疑いの念をかける感覚に慣れない。いままでは逃げてきた、こわくなったら信じなければよかった。どちらにせよ理性でひとは信じられないけれど、遠まきに距離を取ることで凌いできた。ほんとうに信じて差し出して、ぐちゃぐちゃに引き裂かれた哀しみを背負うなんてこわい。もうしたくない。 酷く矛盾しているのに、わたしはこわいこわいと呟いて、信じたいとおもっても信じられない愛の [続きを読む]
  • 重ね重ね
  •  ろくに休めちゃいないくせ追いうちをかける業務メールに面喰らい、なにか差し出せばそれだけさらに高いハードルを課せられる期待の片鱗を垣間みて、わたしはぐう、と唸った。予測していなかったことがどんどん起こる、こりゃすごい。 クリエイティブは鮮度が命だ。発した瞬間から腐っていく生ものだ。つまりきょうの作品は基本的にあすへと持ち越せない。まったくおんなじ作品を二度とはつくれない。だから瞬発力が大切なのだ。 [続きを読む]
  • 湧き水
  •  頭がぼーっとする。目覚めると午後5時、身体がだるい。なにかしなければ、起こそうとしても動かない上半身、もしかすると必要以上にだれかの悲哀を吸い取ってしまったかもしれない。言動から滲み出る人間のあれこれをわたしはたべて生きている。そうして蓄積したたくさんの思想をぐちゃぐちゃに混ぜ、グレーの物語を紡ぐ。きれいでも汚くってもいい。ただ、人間らしいといい。 久方ぶりに開いた村上春樹をもう一度読み返して彼 [続きを読む]
  • 打って、響く。
  •  文学を笠に着て長らく立て篭もりつづけた精神を開け放つには、示唆的表現の内包する痛々しさに一度目を向ける必要がある。愛だ執着だ生だ死だの、そんなことを語るより先にごはんをたべてよくねむる。 だからといって、振り返り浮かぶその恥についてわたしは気兼ねしない。ある種のトランスが相手にとり非常に奇妙な悲劇或いは喜劇をみせていたとしても、わたしはその馬鹿馬鹿しさまで受けとめる。 だれになんと言われようとも [続きを読む]
  • 闘いたい。
  •  苦しみから解放されたとおもったらまた新たな苦しみが迫ってきて、考えても考えてもキリがなくて、熱が出て、火照る身体を横たえて、それでもねむれないからまた起きる。パソコンを開いて、絵を描いて、ああでもないこうでもないと精神世界に潜りこむ。 わたしは哀しい。世のなかの物理的制限にいつも苦しんでばかりいる。自由をどんなに望んでも、ひとは良いとこ取りばかりできない。なにかを得たら、なにかを我慢する、なにか [続きを読む]
  • 分岐あり
  •  「ほんとうに迷惑してるの。彼ってばちょっとワケありらしいんだけれど、だからって夜中に毎日電話がかかってくるのよ。よう、元気か。いまなにしてるって。妙にテンション高くって。そんなのくりかえされたらたまったもんじゃないわ。」 そうなんだ、同調しながらわたしは、名前も知らない彼の身を案じている。生きるため必死に訴えるSOSも、彼女にとってはただの迷惑行為におわる。だからといって、わたしがその彼を助けられ [続きを読む]
  • 愛のポーズ
  •  「お花、ありがとう。」 一瞬なんのことかわからなかった、或いは手紙のことを言われているのかともおもった。けれど彼女のそれが皮肉だとわかった途端、ぞくりと走った悪寒はまるで真夜中のメリーさんだった。 「もしもし、いまあなたのうしろにいるの。」 飛行機で1時間半も離れた距離にいるとはおもえない。どころか、彼女はわたしのうしろにぴったりとくっつきまるで離れようとしない。わたしがごめんね、言うと彼女はい [続きを読む]
  • 凌ぐ
  •  夜中になるとむせび泣く。自身の正義の是非を問う。本質にみえる道を辿っても、それが本質だという保証はどこにもない。もしかしたら圧倒的勘違いを誇示しているだけかもしれない。だとして、自身はいったい他者になにを伝えられるというのだろう。 彼の反発した瞳を思い出すと堪えられない。家族同様に接すると決めただれかに、ぎらりと光る敵意を突きつけられた。わたしは彼を殺す気がないのに、彼は無意識に牙を剥く。 こと [続きを読む]
  • からり
  •  元気か、問われ、巡る元気に対応する単語を頭のなかいっぱいに散りばめてみる。どれも言語としては不確定で、黒く霧がかかったそれを口から出すにはあまりに曖昧で、心許ない。 「げ、元気、ですか?え、えーっと。」 それでもなんとか会話がしたくて、一般的な元気の状態と自身の現状とを比較しながら、うんうん唸り整理しようと試みる。 「げ、元気、なくは、ないかもしれない、です。」 けれど、ようやく紡ぎ出されたのは [続きを読む]
  • 夢を叶える
  •  目の前のだれかと視線が合わないと不安で、一瞬でもそっぽを向かれるのがとてもこわいから、わたしはいつでもだれかと繋がっていたくて、迷子のこどものようにそればかりさがしている。 不安をそのまま声に出し眉をへの字に押し曲げると、必ずだれかがわたしを撫でてくれて、そういう幸せにとても憧れているけれど、いつでもだれかを求めるつづけるこころには際限がない。 さびしくないの、わたしがきくと彼は「さびしいのがあ [続きを読む]
  • みかわし
  •  にたりと弧を描く目尻にぞくりと悪寒が走る。そんな目でみてくれるな、おもう。好色はきらいだ。覗き込むよう顔を近づけられる刹那、その男の所有欲を垣間みる。わたしは所有物ではない。マスコットでもない。ひとりの人間だ。 「どちらかを選ぶといい。ここでその先の世界を見届けるか否かだ。」 わたしは首を傾げる。その気がまったくない。断ると、真理とはそういうものだ、男は語る。それは完全なるそちらの都合だ、解釈だ [続きを読む]
  • 嘘、含み真実
  •  休みなんてなくっていい。そんなことより認めてほしい。身体が動かないなら、頭を動かせばいい。 右足の甲の痛みがどこからきたのか、わたしには皆目見当もつかなかった。もしかすると1週間以上前の捻りがようやく浮上してきたのかもしれない。不自由を感じる、こころは求めても、現実に身体は悲鳴をあげる。 それでもやるしかなくって、もちろんやりたくって、できる限り無理がしたい。休みだから休もう、おもうから余計苦し [続きを読む]