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武士ーもののふー https://blog.goo.ne.jp/gushax2

大阪の陣へ向け、そして大阪の陣で獅子奮迅の活躍をする信繁と真田十勇士。

関ヶ原の戦いの後、九度山に蟄居させられた真田家。 豊臣家と徳川家の軋轢の中、次なる戦いに向けて準備をする。 後に真田十勇士とも称される武士達が逆境に立ち向かう姿を描く。

菊千代
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2016/08/28

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  • 第七話/若武者と好々爺

    信繁達が大阪へ出掛けている間も、九度山では住民達がいつも通り、農作業に精を出していた。その農作業の合間に、一人の若い侍が槍の稽古に勤しんでいる。歳は二十代前半といったところだろうか。顔立ちは整っており、中性的な雰囲気を漂わせていた。女性であれば、さぞ美しかろうと思える程である。その者の名は由利鎌之助。信繁の家臣の一人で、信繁達の留守を任されていた。真田家の重臣達の中で、もう一人、留守の責任者として昌幸の家臣が九度山に留まっていたが、鎌之助はその責任者の補佐をする様な立場である。そして九度山に住む者は普段、侍も含めて皆、農作業に従事していた。身分の差はあったが、身分の差に関係なく、自給自足に近い生活をしていたのである。また、昌幸の教えにより、身分の上の者が積極的に身分の下の者を手助けをする様な事が徹底されていたの...第七話/若武者と好々爺

  • 第六話/愚者と愚者

    信繁と甚八を取り囲む様に散らばった山賊達。一番、奥に控える、頭目と思われる男が信繁に問う。「そこの坊主共を助けに来たのか!?」「さて、坊主共とは、何の事やら!?」信繁はすっとぼけた。男が納得せず、信繁を脅す。「しらばっくれるんじゃねぇよ。坊主共がどうなってもいいのか!?」「しらばっくれてなんかおらん。第一、お主等如き山賊共に捕まる間抜けな者など、助けて何になる!?それよりも、お主等の方がその坊主共とやらに加勢をして貰ったら、どうじゃ!?その方が我等も楽しめようというものよ」信繁は堂々と言い放った。男が不快感を顕す。「何だと!?」「それよりも、お主の名は何と云う?」信繁が男の名を訊いた。男はすぐには答えない。数瞬の間をおいてから、男が答える。「山狗」「取って付けた様な名にしては、ピッタリじゃないか」信繁が皮肉を言...第六話/愚者と愚者

  • 第五話/誤算と計算

    数日間を掛けて、大阪城周辺の地理を確認した信繁は二人の家臣を連れて、九度山へ帰る前にと、環観寺へ清海と伊三を訪ねた。信繁は以前から体が大きく、ずば抜けた力を持つ者を家臣に加えたいと思っていて、清海と伊三は正にピッタリだったのである。それも二人は二人共、であった。勿論、一人でも十分ではあったが、二人なら尚、良い。上手い事、家臣に引き入れる事は出来ないものかと、環観寺を訪れたのだ。寺に着くと、一人の坊さんが三人を出迎える。「お侍様、如何なご用件でございましょうか!?」「こちらに清海と伊三という、二人の大きな僧が厄介になっていると伺ったが!?」信繁は坊さんに確認をする様に言った。坊さんが応える。「確かに、その者達は我寺の僧でございます」「お会いしたいと参らせて貰ったが、叶うかな!?」信繁は坊さんに尋ねた。坊さんが二人...第五話/誤算と計算

  • 第四話/巨僧と小僧

    場所は代わって、此処、大阪の町には真田信繁と伴の者達が二人、やって来ていた。真田昌幸と信繁は九度山に配流の身ではあったが、比較的に自由な行動は許されていたのである。だから、こうして大阪まで出て来る事も難なく出来た。ただ、恐らくは何処かからか監視の目を向けられてはいるだろう。しかし、そんな事を気にする必要はない。今はまだ、表立って徳川方に警戒を与える様な事をするつもりは無かった。単に大阪城周辺の地理を確認しに来ただけである。因みに、昌幸はすでに外に出歩いたりは出来なくなっており、九度山の自宅にて篭りきりであった。その様な事から、真田家の実質的な当主はすでに信繁になっていると言っていいくらいである。そして信繁は伴の者を左右に従えて、大阪の城下町を歩いていた。伴の者の内、一人は侍の格好をしていたが、もう一人は侍という...第四話/巨僧と小僧

  • 第三話/情けと誇り

    佐助は才蔵との死闘で消費した忍具の回収に来ていた。才蔵は肉体を川に浸して、失った水分と体力を回復している。半日程はかかるらしい。その時間を利用して、死闘の跡を辿り、忍具の回収をする。それも自分の分だけでなく、才蔵の分もしなければならない。というのも、佐助と才蔵は今後、行動を共にする事になった。─────「何故?」手応えを打ち消された、佐助が才蔵に尋ねた。才蔵ははぐらかす。「そこまでお前に言う必要は無い。俺の個人的問題だ」「確かに、それはそうだが、今、お前の命をどうするかは俺次第なんだけどな」佐助が才蔵を脅すかの様に言った。才蔵は何も言えなくなってしまう。そして佐助が言葉を続ける。「このまま、お前を生かしておいたら、この先また、俺や信繁様にとっての大きな障害になるとも限らない」「だったら、とっとと殺すがいい」才蔵...第三話/情けと誇り

  • 第二話/仕える者と雇われ者

    佐助は自分の体力を幾らか回復すると、先程まで死闘を繰り広げた相手の介抱を始めた。川の水を布に含んで、男の口の中に水を絞り出す。それを何度か繰り返していく。すると何度目かに男が目を覚ます。男が目を覚ますと佐助は男から距離を取って、大きな石の上に腰を下ろした。そして男は体を横たえたまま、再び佐助に訊く。「何故!?俺を助けた?」「助けるかどうかは、まだ決めちゃいない。その前にお前の素性を確かめておきたくてな」佐助は淡々と応えた。男は納得する様に呟く。「なるほどな」「何故!?俺を襲った?」佐助が男に訊いた。男は佐助に訊き返す。「お前は猿飛であるだろう!?」「如何にも。お前に誤魔化しは効かないだろうからな」佐助は素直に答えた。男が苦笑しながら言う。「ならば、身に覚えはあるだろうに」「確かに身に覚えは腐る程にあるが。もう少...第二話/仕える者と雇われ者

  • 第一話/朱雀と青龍

    武士(もののふ)とは。『困難に立ち向かう事の出来る者』主君である真田昌幸の言葉であったそして、その困難を乗り越えて、初めて武士としての評価が得られるのだろう。佐助は今、正に、そんな困難に直面していた。猿飛佐助。紀州にある九度山に蟄居中の真田家に仕える忍者である。昌幸はそんな佐助を武士として扱ってくれるのだ。この時代はまだ、その様な見方は一般的ではない。武士と忍者には明確な区別がされており、あくまでも忍者は忍者でしかなかった。どんなに努力を積み重ねても、忍者が武士になる事は出来ない。主君である大名や武将に仕える形で、忍者は道具として存在していたのである。そして道具も同然に扱われて、決して待遇は良いものではなかった。だから所属する流派を抜け出す、所謂、抜け忍も後を断たない現状がある。ただでさえ良くない待遇であるのに...第一話/朱雀と青龍

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