輔 さん プロフィール

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輔さん: 僕だって他力本願に生きたい
ハンドル名輔 さん
ブログタイトル僕だって他力本願に生きたい
ブログURLhttp://aequanimitas1991.hatenablog.com/
サイト紹介文大学生ゲイが記憶と思考を整理するブログ
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供28回 / 111日(平均1.8回/週) - 参加 2016/12/03 13:04

輔 さんのブログ記事

  • 意識はいつ生まれるのか
  • 今回紹介する本.領域としては脳神経科学にあたる.意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論作者: ジュリオ・トノーニ,マルチェッロ・マッスィミーニ,花本知子出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2015/05/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見るこの本の主題は,書名の通りであり,現代医学で未だに解明されていない謎の一つである意識の所在とその発生のメカニズムについて,最新の知見を織り交ぜ [続きを読む]
  • 散文的な
  • 僕の思考は音声を伴う言葉で行われている.何かを考えている時は,頭の中で自分の声がしている.だから時間がかかるが,明瞭であり,具体的である.本を読む場合も,文字を頭の中で発音する.いつからかは分からないが,抗えない習慣になっている.無論,慣れきった動作を行う時は,言語化はしない.そういう時は,僕は大抵,何も頭が働かず,ぼんやりしてしている.だから,意識が戻ってきた時には,つまり,再び言葉が頭の中に現 [続きを読む]
  • あの日 −後篇−
  • テレビから大きな笑い声が聞こえてきて,僕は我に返った.自分の目に涙が滲んでいるのを感じた.彼は平然として,相変わらず雑誌を読んでいた.僕は自分の頭が現実を扱いきれていないことを感じた.疲れている.もったいない,と思った.もっとはっきりとした意識の中で,彼と接していたかった.ゲイの男性にこうやって抱きつくのは,これが最初で,そして最後なのだ,とぼんやりと思った.なぜなら僕は,ストレートのふりをして生 [続きを読む]
  • day 151
  • 相方とファミレスに行く.エスニックフェアをやっていた.相方はパクチーが苦手だが僕は好物である.なんやかんやで二人ともパクチーが乗ったメニューにする.不味そうに食べる相方.何がしたいのやら.ようやくPodcastにお便りが来るようになったという話,Twitterでフォローしている複数のカップルに破局の兆しがあるという話,将来は同居したいか隣の部屋に別々に住むかといった話をとりとめもなくする.僕には,一緒に同じ部屋 [続きを読む]
  • あの日 −中篇−
  • 僕はほとんど衝動的に,彼の身体に触れてもいいか,と聞いた.彼は「上半身だけならいいよ」と平然と許可をくれた.その答えを聞いて,今日始めて救われた気がしたが,同時に目が回りそうだった.ゲイとして,男性に触るのは初めてだった.そんな機会が来るなんて,思いもよらなかったことだった.僕はずっと諦めていたからだ.人間関係において,そもそも内向的過ぎた僕は,ノンケ男子同士のスキンシップですら経験がなかった.ま [続きを読む]
  • あの日 −前篇−
  • 僕がいよいよ耐え切れなくなって,悩みがあると彼に切り出したのは,ゴールデンウィークが始まる前日の夕方だった.今日を逃せば一週間近く彼に会えなくなる.このまま時間だけが過ぎることは辛すぎる,言うなら今しかないと思った.帰宅する準備を始めていた彼を呼び止めて,話したいことがあると言った.彼は最近僕の様子がおかしいのを薄々気付いていて,やっと話をする気になったかという面持ちで椅子に座り直し,心配そうに僕 [続きを読む]
  • 友情恋愛
  • 友情恋愛なんて,成り立つんだろうかと思って検索したら,そもそも言葉がヒットしない.友情と恋愛は別物である,という記事がトップに表示されただけである.どうやら一般的な言葉ではなかったようだ.友情恋愛という言葉がどこから生じてきたかというと,僕と相方との関係が少し変わっていて,それを上手く言い表す表現を探していた.以前に書いたが,僕はノンセクシュアルの傾向があり,性的な事にそもそも意識が向かない.その [続きを読む]
  • はっきりしない自分
  • 僕は同性愛者だ.LGBTで言うところの「G(ゲイ)」である.中学校の頃には,もう分かっていた.女性に対して何かを感じたことが一度もない.そして,思春期を過ぎてからはその傾向がより明確になり,大学に入って以降,マイノリティとしての社会的立場を徐々に自覚するに至った.別にそのことで悩んではいない.悩んだ時はあったが,同性愛者であるという点そのものについては,とっくに気持ちの整理は済んでいる.それは誰しもが [続きを読む]
  • 死ぬ時は味方
  • 先日,祖父が死んだ.母方の祖父である.父方の祖父は僕が高校生の時に死んだ.だから,もうお祖父ちゃんと呼ぶべき人はいない.他界する一週間前に,母から電話が来た.容態が急変して,今夜かもしれないとのことだった.翌日に大学を休んで,数日間帰省することにした.高速バスと電車を乗り継いで,入院先の市民病院へ向かった.僕はこれまで,身内の見舞いをした経験はなかったから,少し勝手が分からなかった.ドラマやアニ [続きを読む]
  • 彼女と僕 11
  • 僕たちは電灯の消えた部屋で長い間抱き合っていた.彼女がやがて平静を取り戻し,ありがとう,もう大丈夫と言ったので,僕は彼女の身体から離れ,隣に座り直した.僕は一件落着したような気持ちになり,彼女に念を押した.「そうやって思い詰め過ぎる前に,何でも話してほしいって言っているだろう」「何でも?」そう言った彼女の声は少し固く,僕ははっとして彼女の顔に目を向けた.部屋は暗いままだったが,彼女の表情がいつにな [続きを読む]
  • 現在 2
  • 誰かを好きになるとは何だろうか.夜の八時を過ぎた頃,彼氏が下宿に来た.彼のことは以降,将太と呼ぶことにする.玄関の扉を開けて迎えた僕に彼は軽くキスをして,夜勤明けで夕方まで寝ていたよと言った.僕と将太はまだ交際を始めてから時間が経っていない.彼とは二月前に知り合って,会うのはこれでまだ五回目である.縁は異なもので,僕は彼女と別れてからこれまで恋人を求め二十名ほどの男性と対面してきたが,彼はその中で [続きを読む]
  • 彼女と僕 10
  • 僕は彼女に同情したが,解決策を提示することはできかねた.下宿へ戻ったのち,僕たちは買い物袋を玄関口に置いたままソファに腰掛けた.僕は彼女にどうしたいのかと尋ねた.彼女は自分を嘲るように少し笑い,わからないとだけ答えたきりうつむいた.秀才特有のコンプレックス,誰しもが通る道と言ってしまえばそれまでだろう.とどのつまり,何らかの手がかりを得てやりがいを取り戻すか,すべての義務を放擲して開き直るしか方法 [続きを読む]
  • 彼女と僕 9
  • 僕の口から出た言葉は,無念にも平凡極まりないものだった.「死にたいって,どうして」彼女は,僕の顔色の変わったのを見て,安心して,そこまで深刻じゃないの,と付け加えた.本気で自殺念慮があるわけじゃないの.でも,時々何もかも終わりにしたくなって,一日中塞ぎ込んでしまうの.そういう気分は誰にでも起こりうることだよ,と僕は思わず言いかけたが,なんとか喉元で言葉を押し戻した.気軽な共感は事態を悪化させただろ [続きを読む]
  • 彼女と僕 8
  • 季節は容赦なく進んだ.僕と彼女の思い出には次々に新しい情景が加わっていった.温泉街の旅館でとった豪華な夕食,甘みの過ぎる手作りのチョコレート,終電を逃した日の映画の半券.傍からは,僕たちは互いについて知らないことなど何も残っていないような,未来の確約された完璧な男女に見えたことだろう.しかし,僕の心にはいつしか壁が形成され――あるいは壁は最初からあって,ようやく姿を誇示するようになったのかもしれな [続きを読む]
  • 彼女と僕 7
  • その後の僕と彼女の日々を,ここで詳述することは躊躇われる.具体的な思い出を並べ立てることで,彼女との記憶をむやみに曝け出しても仕方がない.要約,二回生の後期から交際を始めた僕たちは,毎日の講義・実習を共に受け,週末は互いの下宿で過ごすことが習慣になった.そして世間のありふれた男女のように,特別なプレゼントを贈り合ったり,時には遠出をしたりして楽しんだ.彼女は時々,自分のどこを好きになったのかと僕に [続きを読む]
  • 彼女と僕 6
  • 一体何が僕の中であのような言葉を創出したのか,未だに分からない.実習の荷物を片付け終えたあと,僕と彼女は食堂で夕食をとることにした.僕は一方的に,自分の苛立ちの理由とどうしようもない不安についで愚痴をこぼした.彼女は終始聞き役に徹し,真剣に相槌を打った.「疲れたよ」僕は溜息をついた.しかし,僕の心はいつの間にか晴れていた.「私も疲れた」彼女はふふっと笑いながら言った.「聞いてくれてありがとう,本当 [続きを読む]
  • 現在 1
  • 彼女に送ったLINEには,数日遅れで既読が付いただけだった.あの解剖実習の日から,およそ五年が経っていた.僕は諸事情あって大学に三年多く残ることになり,彼女は先に卒業し,研修医として別の街で働いている.僕と彼女が恋人でなくなってから,三ヶ月が過ぎようとしていた.僕は冬の雨の音を聴きながら,しばらくLINEのトーク履歴をスクロールしていた.だが,長くは遡れなかった.僕は数週間前にスマホの空き容量を増やすため [続きを読む]
  • 彼女と僕 5
  • その日の僕は特別に機嫌が悪かった.先日僕が担当した語学サークルの勉強会で,実習の忙しい合間を縫って捻出した時間で丁寧に資料を作成したにも関わらず,案外少ない参加者の数に報われない思いをしたのである.先だってよりサークルの活動状況には翳りが見え始めていた.部の活動方針が定まらず,幽霊部員の数が増え,定期的な勉強会の参加者は減る一方だった.この問題について,幾度となく幹部学年を中心とした話し合いが行わ [続きを読む]
  • 彼女と僕 4
  • 解剖実習は終わりの知れない労働だった.乱雑に広げられた複数の教科書にはたちまち防腐剤の不愉快な臭気が染み込んだ.同期たちは緊張と疲労を織り交ぜて毎日のノルマと格闘していた.頭に入れなければならない知識の量が膨大なために,自分が諳んじた事柄が何を意味しているのかさえたびたび覚束なくなった.僕と彼女は別々の班に振り分けられていた.時折,僕は離れた解剖台で作業する彼女の方を見た.絵が得意であった彼女は丁 [続きを読む]
  • 彼女と僕 3
  • 二回生の夏季休暇が始まり数週間が過ぎた.ある日,僕は野暮用で大学に出て来て,部活帰りの彼女に偶然会った.彼女は武道系の部活に所属しており,ちょうど夏の大会に向けて強化練習に入っていた.僕たちは話しながらしばらく蝉の鳴く構内を歩いた.ふと,彼女が掲示板に目を留めた.市内の某施設で漫画家の画展開催を知らせるポスターだった.こういうの興味があるな,行ってみたい,と彼女が言った.「今度,行こうよ」と僕は考 [続きを読む]
  • 彼女と僕 2
  • 二回生が始まると,僕の生活は急激に多忙を極めた.医学部の学生であれば共通の認識であるが,専門科目――組織学,解剖学,生理学など――の講義が本格化したためである.これまで一般キャンパスで散り散りに講義を受けていた同期たちは,薄暗く黴臭い医学部の講堂にまとめて押し込められた.限界まで詰められた時間割と,なんとも要領を得ない教授たちの講義,そして次から次へと到来する試験に向け,僕たちは自由を満喫していた [続きを読む]
  • 彼女と僕 1
  • 僕が女性に強く惹かれたのは,その後の五年間で彼女に対してだけだった.一回生の秋,学生に開放された自習室と休憩室を兼ねた場所で,彼女は僕の隣に座った.僕は少し動揺した.明らかに,彼女は意図的に僕の隣に来たように思われたからである.「何してるの?」と彼女は聞いた.「勉強会の準備」と僕は努めて作った笑顔で答えた.これまで主にサークルという文脈で女子と話すことがほとんどだった僕には,彼女との会話の始まり方 [続きを読む]
  • 少し長い前日譚 5/5
  • 長かった高校時代も終わろうとしていた.同性に対する興味の傾向はますます強く明確になっていたが,僕はそのことについて驚くほど能天気でいた.正確には,部活や勉強に気を取られ,人とは違う性的指向性など気に病んでいる余裕が持てなかったのである.携帯電話もネットに接続したパソコンも持たなかった僕は,同性愛に関する情報収集を行うという選択肢さえ頭に浮かぶことがなかった.結果,僕のゲイとしてのアイデンティティの [続きを読む]
  • 少し長い前日譚 4/5
  • 当時,僕が同性を好きであることは,誰にも打ち明けていなかった.だが,高校1年生の頃,図らずも父親に中途半端なカミングアウトをしたことがあった.僕が父の携帯電話を使い,成人向けサイト(当然,同性愛関連)を閲覧したことが直接の原因である.当時,僕は一切のネット環境を持っていなかったため,ある晩好奇心と欲求に耐えかねて,後先を考えずに夜中に手が伸びてしまった.閲覧履歴を消してもデータ通信量で早晩知られる [続きを読む]
  • 少し長い前日譚 3/5
  • 僕の初恋はいつだったろう?やがて僕は高校へ進学したが,環境は何も変わらなかった.中高一貫の男子校であったから,当然と言えば当然である.高校受験もなく,担任とクラスメートが組み変わるだけで,何事も起きなかったかのように僕の高校生活は始まった.しかし,ちょうど最初の一年が半ば過ぎた頃に,気になる男子生徒ができた.隣のクラスからよく僕の教室へ遊びに来ていた,色白で可愛さと格好良さが同居したような涼しい顔 [続きを読む]