長女 さん プロフィール

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長女さん: 長女の書庫
ハンドル名長女 さん
ブログタイトル長女の書庫
ブログURLhttp://ameblo.jp/bossmax55/
サイト紹介文2015年1月に卵巣癌で亡くなった母の人生を綴る書庫です。他のお話も書くかもしれません。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供16回 / 45日(平均2.5回/週) - 参加 2016/12/08 17:09

長女 さんのブログ記事

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  • 寒い日
  • 今日はみこちゃんの二回目の命日だ。日付が1月20日に変わってすぐ亡くなった。昨年は初命日だというのに、20日か21日か、記憶が曖昧で死亡届を見直したいい加減な娘である。 芯まで凍りそうな、寒く暗い夜だった。大の寒がりで冬嫌いの人が、わざわざこんなクソ寒い日に、しかも真夜中に死ななくてもいいのにとぼんやり考えていた。これがせめて明るい昼間とか真夏の熱帯夜とかなら、ここまで淋しい気持ちにならなか [続きを読む]
  • お風呂に入りたかったから
  • 『今まで会った人の中で一番格好良かった!俊二なんかよりも!』と言うのは、みこちゃんが当時心魅かれていた職場の上司である。よく分からないが俊二よりもずっと端正な顔立ちで、仕事の出来る男だったらしい。そんなみこちゃんもバツイチ子持ちに関わらず、気さくで可愛かった為、男性社員から断トツで人気があった。 二人は自然と惹かれあったが、その上司は妻子持ちだった為お互いどうこうしたい訳でもなく、可愛らしい [続きを読む]
  • もう一人の父と母
  • みこちゃんが仕事でなな子のお迎えが遅れる時には、近くのよっ子姉夫妻が代わりに保育園へ行ってくれた。二人が来ると、なな子は歓喜のあまり、園の廊下の端から端まで駆け抜けながら喜んだという。大人しいなな子がおかしくなる程興奮する姿を見て、余程保育園が辛いのかと、よっ子姉の二番目の夫ヒデキは心配したそうだ。 ヒデキ━━周りからヒデちゃんと呼ばれるこの男性は、大の子供嫌いである。現在は山でペンションを [続きを読む]
  • 本当の青春時代
  • 俊二と別れた母娘は、別のアパートに引っ越した。1歳の子を抱え借金を返しながらの生活だったので、いつもお財布の中はこざっぱりとしていた。近くに住むよー子姉が持ってきてくれるシュークリームの、クリームを少し取って置き、これを食パンに付けて食べるのがみこちゃんの細やかな楽しみだった。 みこちゃんの心身が落ち着き、フルで働ける様になった頃、アパートから団地へ引っ越した。よー子姉の二番目の夫から、『ア [続きを読む]
  • 言わないこと、言えないこと
  • 実の父、俊二のあれこれを聞いたのは、確か小学校中〜高学年辺りである。女を作り借金を作り逃げたという刺激的な内容を、私の年齢に比例して小出しに聞かせてくれた。『お前の父ちゃんは女作って借金作って逃げちまってねー』とは言いつつも、みこちゃんは私に対して父の悪口を本当の意味で言ったことはない。それよりも、カッコ良かったとか、面白かったとか、絵が上手かったとか。そんな話をよくしてくれた。くっきり二重の大 [続きを読む]
  • 雪と分岐点
  • イケメン俊二は優しく家族思いだった為、みこちゃんの両親にも気に入られ交際は順調だった。 しばらくして二人はアパートで同棲を始めることにした。銭湯に行って彼氏に絵を描いてもらうという、某名曲の歌詞の様な生活だったらしい。俊二の提案でスナックを経営し生計を立てることとなるが、ボリュームがあり美味しく安いつまみと酒で、店はなかなか繁盛していた。みこちゃんに少しでも気安くする客がいようものなら、俊二 [続きを読む]
  • 全てではないけれど
  • 親は心のどこかでいつも親らしくありたいと願い、子供もまた親は親であって欲しいと願うものだと思う。みこちゃんが話してくれたあれこれは、きっと彼女の中で、親としての威厳を保てるギリギリのラインで留めていた様な気がする。特に恋愛に関しては。恋愛ほどに醜く、浅はかで、愚かな病気はないからだ。そして自分が親になった今、やはり娘には全てを語らない、語れないと思っている。 初恋は17歳。その人は20 [続きを読む]
  • 薄い青春時代
  • ここにこうして書いていることは、枕元でみこちゃんから聞いた昔話の内、特に何度も繰り返し聞いた話ばかりである。それはきっと彼女の人生の中で重要な出来事だったのだろうと思いながら記している。 そろそろ青春時代に移りたいのだが、いざ書こうとする段階になって、彼女の青春時代がとても薄っぺらいことに気付いた。(本人には失礼であるが)とりあえず小学校卒業後から書いてみよう。 中学時代は成績はあ [続きを読む]
  • 怖い瞬間
  • 「子供の頃ね、お父ちゃんやお母ちゃんが死んじゃったらって考えるだけで、怖くて怖くて眠れなかったの。ご飯が食べられないとか住む家がなくなるとかじゃなくて、ただただ怖かった。」 みこちゃんと同じで、私も母が死んでしまったらと考えるだけで怖かった。子供の頃だけでなく、大人になってからも。自分の存在そのものを愛してくれる、そんな唯一無二の場所がなくなるからなのだろう。 本当に死んでしまった今は、 [続きを読む]
  • 食べられなかったお弁当
  • 「みこは若い頃、おにぎりを一度に10個も食べたんだよ」と兄弟達が証言する様に(本人は否定しているが)、みこちゃんは昔から食いしん坊だった。 畑仕事の合間に出る味噌おにぎり、結婚式の後に父親が持って帰る甘い砂糖菓子、甘酸っぱいグミの実、小麦粉のお団子、運動会の日のいなり寿司、ふー子姉の手作りハンバーグ。どれも大好物だった。 「食べ物を我慢すると惨めな気持ちになるの。」と言って、お金に困って [続きを読む]
  • 欲しかったもの
  • 晩年は非常に無欲だったみこちゃんだが、子供の頃はそれなりに欲しいものが沢山あった。 「私は “もはや戦後ではない” の生まれだよ! (私はそんなに歳じゃないの意)」と言っていた通り、みこちゃんが産まれた昭和30年代は景気も上向きになり、家の経済状況もよっ子姉やふー子姉の子供の頃と比べて大分良くなっていた。何しろ二人は、朝ドラ『おしん』の大根飯を鼻で笑い、「私らの頃はもっと酷いもの食べてたよ!」 [続きを読む]
  • 消えちゃえばいいのに!
  • 二人の姉に続く、8歳上の長男のまさおは、家族が大好き身内大好きの優しい兄である。たった一人の妹であるみこちゃんをとても可愛り、みこちゃんも「さおにい、さおにい」と姉達に対するそれとは違った甘え方をしていた。兄達の中で、青春時代など一番付き合いが深かったのはこのまさおである。4歳上の次男くにおは頭が良く、少々理屈っぽい所はあるが大人だった。 そしてみこちゃんが消えちゃえばいいのに!と念じていたく [続きを読む]
  • よっ子姉とふー子姉
  • 歳の離れた二人の姉は、みこちゃんの人生の大半に大きく関わり支えとなった。 6人兄弟の長女、みこちゃんより14歳年上のよっ子姉。冒頭部分で生命の神秘を嘆いていた女子中学生その人である。 色白で色素の薄い大きな瞳、華奢な身体、おっとりしていて気品溢れるその風貌はフランス人形の様に美しい。彼女はとにかく貧しい家の長女故に、様々な我慢を強いられてきた。頭が良く勉強が好きだが、家の畑仕事の手伝いが何よ [続きを読む]
  • 決して美人ではなかった
  • みこちゃんは決して美人ではなかった。━━書き出しが思いつかなかったので、彼女が愛した、かの有名小説を参考にさせてもらった。 主なパーツは、黒々とした大きな瞳、ちょこんとした鼻、ぽてっとした口。そして小さな顔には小さな無数のホクロが星の様に散らばっているのだが、何故か言われるまでその存在に気づかれない。顔の大きさとは不釣り合いに、肩幅から腕にかけては逞しく…これが彼女にとっては最大のコンプレッ [続きを読む]
  • 誕生日占いが出来ないの
  • 「どうしてうちは貧乏なのに、また子供が産まれるんだろう」 神奈川県のとある郡に住む純真な女子中学生は、やるせない気持ちでこのような疑念を抱いていた。もしこの時、子供が天から自然に授かるものではないと彼女が知ったならば、貧しい農家の長女として幼い頃から強いられてきた我慢を爆発させていたことだろう。 数か月後そんな小さな疑念など置き去りのまま、あっという間に、この家の6人目の子供が産まれた。 [続きを読む]
  • はじまり
  • 「しょうがないね‥あんた達はよっぽど私が好きなんだね。薬で身体を追われて、もう脳しか居場所がなくなって可哀想に。そこに居てもいいんだよ。悪さをしなければ。あんた達が増えすぎると、結局あんた達も死ぬことになるんだからね。」 そんなみこちゃんの優しい忠告を無視し、卵巣から生まれた癌細胞達はあっという間にみこちゃんの小さな頭の大事な所を埋め尽くしてしまった。 みこちゃんの呼吸と共に動けな [続きを読む]
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