jamal さん プロフィール

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jamalさん: 蝸牛庵日々録
ハンドル名jamal さん
ブログタイトル蝸牛庵日々録
ブログURLhttp://zdd.at.webry.info/
サイト紹介文読書書評ページ
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供34回 / 123日(平均1.9回/週) - 参加 2016/12/09 12:28

jamal さんのブログ記事

  • ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』
  • この小説に登場するダルジェロに自分の兄をみつけ、ジェラールやアガートに妻をみつけた。  この小説の中に自分にとって「宿命的」な存在を見いだすかも知れない。そして人は幼いときに既に宿命的な存在を見いだすものなのかも知れないとも思った。  僕には二歳年上の兄がいる。彼は危険で冒険的な子供であった。その危うさはいつも重大で英雄的で神秘的な現実=子供の現実を持った種族だった。それは多かれ少なかれ子供の部類 [続きを読む]
  • 小林秀雄『モーツアルト』
  • 小林秀雄は真実正直で嘘のない裸の批評家だといっていいだろう。これに対比する物書きのことを云々すことは避けよう。語っても馬鹿馬鹿しいだけだ。 『モオツァルト』のなかに「裸の」という言葉が頻繁に出てくる。モオツァルトを評するにこの言葉を使った小林自身が裸であったことを実感する。裸でなければ「骨」かもしれない。 人間の真実は骨であると言った人がある。死者を荼毘して残った骨こそが人間の正体だということだ。 [続きを読む]
  • ドストエフスキー『罪と罰』上
  • 漸くドストエフスキー『罪と罰』上巻を読み了えた。いつも思うのだが、こうやって読み終えた本を書棚に戻す時、満足感ではなく、抜け殻になった気分で骨壺を棚に納めるような気分になる。そして毎年読んだ本を一冊ずつ記録しているのだが、予め書いてある書名に単に(読)と記すだけの呆気なさに報われない気持ちを抱いてしまう。その記述を呆然と暫し眺めているのがせめてもの弔いのように思っているのだ。熱を籠めて読み進めた大 [続きを読む]
  • 鴨長明『方丈記』
  •  日本三大随筆のひとつとされる鴨長明の『方丈記』に今日は遊んだ。というのもバブル崩壊後の自民党政権の凋落ぶり、そして小泉政権によって復権したかにみえた後、第一次安倍内閣から政権交代劇にいたるまでを振り返る番組をみながら、平成ならぬ平安期から武士の世界に移り変わる大変動の歴史を重ねてみたからでもある。 長明の生きた時代を詳らかに且つ歴史認識を深めるのなら寧ろ慈円の『愚管抄』が適当であろうが、保元、平 [続きを読む]
  • 長谷川時雨『近代美人伝 (上)』
  • この一文を書くのにやや躊躇があって、他の読みかけの本を読もうか、それとも仕入れたばかりのエアブラシで遊ぼうかとなるたけ遠巻きにして考えていた。どうも気が重い。今まで書いた白蓮や九条武子にせよ、これほど燃えさかる情熱で身を焦がし我が儘極まりない「女優」の破天荒ぶりには書き手の僕にして(いや実際は時雨が書いたのだが)「厭な奴」はなかったからだ。我が儘で気位の高い女優は今だってざらにいるのだろう。その趨 [続きを読む]
  • 長谷川時雨『近代美人伝 (上)』
  • この一文を書くのにやや躊躇があって、他の読みかけの本を読もうか、それとも仕入れたばかりのエアブラシで遊ぼうかとなるたけ遠巻きにして考えていた。どうも気が重い。今まで書いた白蓮や九条武子にせよ、これほど燃えさかる情熱で身を焦がし我が儘極まりない「女優」の破天荒ぶりには書き手の僕にして(いや実際は時雨が書いたのだが)「厭な奴」はなかったからだ。我が儘で気位の高い女優は今だってざらにいるのだろう。その趨 [続きを読む]
  • 長谷川時雨『近代美人伝』下巻
  •  何の切っ掛けか柳原白蓮こと燁子に異常に興味を抱いてしまった。 石炭王伊藤伝右衛門に二度目になる再婚をし、何不自由ない生活だが、愛のない不毛な生活から逃れ宮崎という年下の活動家のもとに嫁いだ数奇な人生。 これは長谷川時雨が書いた『近代美人伝』上下巻の下巻のなかに綴られていたのを今になって読み返した。これがkindle版でそれぞれ個人別になっているのをみつけ、本編からの抜粋であることがわかってなんだという [続きを読む]
  • 与謝野晶子『私の生い立ち』
  •  ほぼ定期的に松岡正剛「千夜千冊」を遊興をするのだが、先日は中勘助の『銀の匙』から始まった。幼心がテーマということになろうか。 『銀の匙』のところはもう何度も読んでいたので、そこから繋がるものを探していた。 「けなげ」という言葉にひっかかって北野耕也『近代日本少年少女感情史考』にぶつかった。  書き出しに与謝野晶子の『私の生い立ち』のなかから「竹中はん」というのが出てくる場面がある、というので晶子 [続きを読む]
  • 泉鏡花『吉原新話』
  • 本を読むとりわけ文学などを読んだ後、「面白かった」と感想を述べることが日常だが、これは女性がよく使う「かわいい」と同様、何でもかんでも一緒くたにして発する感嘆の言葉である。 これをしかめっ面しく分析する暇もないが、色んな層にわかれているのだろう。 [続きを読む]
  • 芥川龍之介『手巾』
  • このところ映画を観ていなかった。久々になるが、なかなか一本映画を観るというのがなかなかだったからだ。今回観たのはロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)主演の「マイ・インターン」(原題: The Intern)で2015年作。これを3日かけて観た。見始めては観、思いついて続きを、やっとのことでラストに辿り着くという具合。それで3日になってしまった。デ・ニーロの相手役はジュールズ・オースティン - アン・ハサウェイ(Ann [続きを読む]
  • 『カラヴァッジョへの旅 天才画家の光と闇』宮下規久朗
  • 最近読了本が少なく、必要に応じて拾い読みしていることばかりいたので、レビユーとして書けるものがなっかった。しかし、思うにそもそもレビューには必要条件というのが有るはずだ。簡略であっていいが、一応書物の眼目を含んでいること。更に関連する著書に派生する事の出来るリンク性が必要だと思っている。だから、「一文は多文に殺到している」という格言を得たとき胸のすく思いをした気がするが、一つの書物を読んだ時に、他 [続きを読む]
  • 立川談志『童謡咄』
  • 丁度今、談志の『童謡咄』の途中で、「露地」のことが出てきた。露地に鉢植えを置く風情について書いている。花のことは殆ど知らないが、「都忘れ」なんて出てくると、何それ?となる。語呂がいい。「夕顔」くらいは知っている。「朝顔」「昼顔」の「夕顔」でしょう。陽が沈んじゃったら花は開かないので、夕顔といえどまさか陽のどっぷり沈んだ夜中には咲かないでしょう。多分。知らないけれど。紫の花びらしか知らないがそれ以外 [続きを読む]
  • ヒトラー強盗美術館 (1968年) (Pen nonfiction) ケン・ウォンストール
  • デヴィッド・ロクサン、ケン・ウォンストール共著の『ヒトラー強盗美術館』を読み出す。五木寛之著『戒厳令の夜』上・下に記されたヒトラーの「リンツ美術館計画」のことである。結構いい資料だ。出だしのとこでこの計画に籠められたヒトラーの動機、青年時代の怨念を晴らす為の計画であったことを示されている。読みながら思いついてチャップリンの「独裁者」(The Great Dictator)と関連する動画も観てみた。ヒトラーとチャップ [続きを読む]
  • 五木寛之『戒厳令の夜』上・下
  • この著の扉から最初の頁に一行「四人のパブロ」が同日に亡くなったというショッキングな出だしがあって、その四人とはパブロ・ピカソ、カザルス、ネルーダ、そしてこれは実在した人物を架空化したと思われるパブロ・ロペス。こんな偶然があるのかという驚きは読むうちにさほどのことではなくなるのだが、SF的だがその壮大な構想力に舌を巻く。 [続きを読む]
  • 宮本輝『地の星』
  • 五十歳になって初めて生まれた息子信仁の健康と妻房江のためそれまでの事業を捨てて生まれ故郷南宇和に帰った松坂熊吾だったが、長閑な田舎生活のなかにも小さな波乱が親子三人の平和な生活に待ち受けていた。なかでも「わうどうの伊佐男」こと増田伊佐男というならず者が熊吾にまだ若年のときに負わされた怪我がもとで左足を生涯引きずって歩かねばならない身となったことを恨み続け、熊吾が郷里に戻ってからも再び現れ不気味につ [続きを読む]
  • 『泥の河』宮本輝
  • 宮本輝原作の「泥の河」を観る。1981年 東映 監督:小栗康平 出演:田村高廣、藤田弓子、加賀まりこ等だが、田村、藤田の息子役信雄と船上生活をしているきっちゃんこと喜一という二人の少年の位置づけが大きい。昭和31年の設定であるところが、自分の少年時代を重ねあわせやすい。安治川の川岸で貧しい食堂を営む信雄の一家と食堂の窓からすぐ見える河の船上に暮らす母娘と息子。姉銀子と喜一は生活を支える為健気に細々と働く [続きを読む]
  • 『共喰い』田中慎弥
  • 何かとても気怠い日だった。寝ても寝てもその気怠さは遠退かず、何も手のつかないイライラばかりが体の奥で蠢いていた。それでも何度かにわけて一本の映画を観た。ナレーションが流れていて、それが久しぶりに心の琴線に触れてくる。原作は何か気になった。それは映画の題名と同じ『共喰い 』だった。作は田中慎弥という作家だった。1972年生まれの43歳。この作品は芥川賞を受賞した。近年の芥川や直木の賞をとった作品には殆ど [続きを読む]
  • 『盗聴二・二六事件』 中田整一 文藝春秋
  • 中田整一の『盗聴 二・二六事件』を読み続けている。とはいえ断続的にしか進捗していない。というのもYouTubeで2・26に関わるNHKが特集した貴重な映像がみつかったからである。中田氏がNHKにおいてプロデュースした歴史ドキュメンタリーが、この貴重な映像の3本のうち2本を手掛けていた。一本は、NHK特集「戒厳指令…交信ヲ傍受セヨ 〜二・二六事件秘録〜」 1979年(昭和54年)2月26日放送であり、司会は三國一朗氏である。 [続きを読む]
  • 『妻たちの二・二六事件』 澤地久枝
  • 澤地久枝『妻たちの二・二六事件』が届き「一九七一年夏」と題する序章的表題の章から始めるのだが、沈鬱な趣をたたえた書き出しはこの著が恰も小説であるかのような予兆を臭わせていたのだが、次に続く「雪の別れ」では叛乱罪で処刑された田中勝の未亡人と勝の母を訪ねた記録となって澤地のこの著の志すところの一端を理解した。 [続きを読む]
  • 創作 『戒厳令の夜』 その6
  • 「世界画報」の存在に小躍りした伸介は、あらためて計画の何を残して何を捨てるかの選択をした。母の言いぶりからして、祖父が六本木通りを昭和11年2月26日深夜行進した隊列を目撃したというような事実はありそうもない。翌27日に出された戒厳令施行により九段の軍人会館に戒厳司令部が設置されたが、その時一般市民に対し外出禁止令的なものが出されたのか、そうであれば到底帝都の一般市民が目撃することは難しいというこ [続きを読む]