森田 享 さん プロフィール

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森田 享さん: 物語作家 小説家 森田 享
ハンドル名森田 享 さん
ブログタイトル物語作家 小説家 森田 享
ブログURLhttp://ameblo.jp/torujiro/
サイト紹介文私の書いた物語や小説、映画原作などを、このブログやアマゾンのkindleストアで発表していきます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供30回 / 90日(平均2.3回/週) - 参加 2016/12/29 11:56

森田 享 さんのブログ記事

  • 悲恋怪談『滝壺の底』(その四)
  •  次の朝、影虎は寝不足の重い体を引きずって、仕方なしに鶴丸の身辺警護の者と一緒に歩いていた。少し離れた池の畔で、鶴丸が遊んでいる。乳母の楓も鶴丸から少し離れていたとき、一人の侍女が鶴丸に近づき、何かを手渡してから引き下がって行った。再び、しばらく一人で遊んでいた鶴丸は、砂利の上に蹲っている。やがて、楓が歩み寄り、すぐに鶴丸の異常に気が付いて悲鳴を上げた。影虎は疾風のように、鶴丸 [続きを読む]
  • 悲恋怪談『滝壺の底』(その三)
  • 影虎 『都に戦乱の嵐が吹き荒れる前の、この時は、まだ黒岩家の広大な屋敷内にも麗らかな春の時が流れていた。影虎は、寝殿の客間の隅で、黒岩家の遠い親戚で、長らく疎遠だったのに最近また大殿の勝元に会いに来るようになった惟近(これちか)と言う若者と、勝元の娘、露姫の真昼の面会を見守っている。露姫と惟近は時節の挨拶を終えて、ただ黙って向かい合い座っていた。まだ少女の面影を残す十四歳の [続きを読む]
  • 悲恋怪談『滝壺の底』(その二)
  • 今、安明の頭の中には、まさに白昼夢の如き、この惨劇の記憶が渦巻いている。だが、彼には、それが果たして本当に自分の記憶なのかどうか、確信が持てない。まるで、何かの戦記絵巻物を繰り出して見ているかのように、次々と極彩色の光景が、現われては消えてゆくだけで、現実の実体験とは到底、思えないのだった。安明は、その惨劇の中にいる自分は、実際には今と同じで、合戦を見守る僧侶だったに違いない、 [続きを読む]
  • 悲恋怪談『滝壺の底』(その一)
  •    滝壺の底 ――私にとっての恋とは、まさに蕾が花開く瞬間を目の当たりして骨まで魅了され、しかも、それは叶うことのない虚しい片恋に終わり、その少女の淡い面影だけが永久に忘れられぬことであった。    安明(あんみょう) 真夏の太陽が照りつけている。人里から遠く離れた山奥の、深い森の中。聞こえるのは熱気の中で充満するよ [続きを読む]
  • 歴史ミステリーファンタジー小説『日本王國(五)』
  • 熊沢雅宗は全てにおいて絶望することになった。赤松重臣は長期入院し、熊沢雅宗との共同著書の出版は中止となった。さらに、なぜか赤松重臣の妻に代わって、美緒が付きっきりで赤松重臣の看病だけに専念することになったので、熊沢雅宗は、美緒と全く会えなくなってしまったのだ。おそらく、赤松重臣の妻は、夫と美緒の関係に、とっくに気づいていたのだろう。そして、赤松重臣も、熊沢雅宗と美緒との関係に気 [続きを読む]
  • 歴史ミステリーファンタジー小説『日本王國(四)』
  • 熊沢雅宗は、どうしても、もう一度だけ美緒に会いたかった。さらに、美緒と肉体関係にあるであろう赤松重臣にだけは二度と会いたくなかったので、電話で赤松重臣が不在であることを彼の妻に確認してから、美緒に会うために赤松重臣の研究所へ行った。「熊沢先生、今日は、どうしたんですか?」「私の論文で、少し書き直したいところがあったものだから」「あらっ、私にお電話いただければ、私の方で直し [続きを読む]
  • 歴史ミステリーファンタジー小説『日本王國(三)』
  • 午後の強い陽射しの中、赤松重臣の研究所の前で、熊沢雅宗と美緒は再会した。 熊沢雅宗は、努めて自然を装った。この会合は単なる仕事の打ち合わせなのだ、と自分に何度も言い聞かせた。 熊沢雅宗は、美緒に続いて、発掘品が並んでいる倉庫のような部屋を通ってから、奥の美緒が仮の住まいとしていると言う部屋へ入った。食宅にも使っていると言う机に美緒と二人だけで向かい合って座り、熊沢雅宗は緊張を解こうと [続きを読む]
  • 歴史ミステリーファンタジー小説『日本王國(二)』
  • 行田の古墳群がある辺りから歩いて十五分くらいのところに赤松重臣の研究所はあった。彼の家は大金持ちであるらしいことに、熊沢雅宗は再び驚かされた。赤松家は、昔はこの辺りの大地主だったそうで、今でも山を幾つも所有していて、家の敷地も広大だった。家の大きな母屋とはまた別の、大きい平屋の別棟を全部そのまま彼の研究所としているとの事だった。研究所の広い屋内は倉庫のように改装されていて、所狭しと無 [続きを読む]
  • 歴史ミステリーファンタジー小説『日本王國(一)』
  • 昭和四十年代頃の、ある夏の日。熊沢雅宗は埼玉県行田市へ向かっていた。熊沢雅宗は、もうすぐ四十歳にもなるのに、東京の大学の日本史学部で助教授にもなれず、しがない万年講師をやっている。日本歴史学において学閥からも外れ社交下手で、研究心こそ旺盛で熱意を持って古代史研究を続けてはいたが、学界に認められるような論文も書けないし、書いたとしても発表の場さえ無いような考古学者の端くれと言えた。しかし、熊 [続きを読む]
  • 私の心に残った名言
  • 『 「どうしたら人の心を打つような文章が書けるのでしょうか?」「あなたの愛しい人に語りかけるように書きなさい」 』(太宰 治) 『人は、死んでしまうことが嫌なのではない。死ぬのが嫌なのだ』(モンテーニュ) 『 「自分の死の瞬間に、人は、どのように向き合ったらいいのでしょう?」「お前たちが、この世に入って来たときのように、ただ、この世を出て行けばよい」 』(モ [続きを読む]
  • 私の心に残った名言
  • 『 Youth is wasted on the young (若さとは、若者によって浪費されてしまう)(若さとは、若者によって無駄にされるものだ)』(オスカー・ワイルド) 『私は、誘惑以外なら、何でも耐えられる』(オスカー・ワイルド) 『快楽は、来るものと思うな。去るものと思え』(アリストテレス) 『女は、最も女らしいときに、最も完全に美しい』(ウィリアム・グラッドストン) [続きを読む]
  • 短編恋愛小説『イギリス教室(後編)』
  • 数日後。敏郎のその後の様子が気になっていた龍平は、待ち伏せをして、再び英国語学館から出て来た敏郎と偶然を装い会うことができた。敏郎は、アメリーとの叶わぬ恋に悩み、さらに悪いことに、父親の家業の破産と、経済的理由による進学の断念という厳しい現実もあり、前よりもより一層、人生を悲観し苦悩していた。敏郎は、苦悶の表情を浮かべながら、「おれ、一人旅に出るつもりなんだ」と、龍平に自分の胸 [続きを読む]
  • 短編恋愛小説『イギリス教室(中編)』
  • 数日後のある夕暮れ。龍平は、イギリス語の授業を受け終わって英国語学館の門を潜って出て来た敏郎と、偶然に出会った。龍平と敏郎は話しながら歩き始めたが、ふいに敏郎は振り返って、英国語学館の入口の前で挨拶を交わしているアメリーとイギリス商人の男の姿を見つめていた。アメリーとイギリス商人は、日本人同士では決して交わさないような感じの笑顔と会話を楽しみながら、英国語学館の中へ入って行った [続きを読む]
  • 短編恋愛小説『イギリス教室(前編)』
  •    イギリス教室  大正時代。イギリス人女性だけで教える英語の学校が、長崎の、かつての外国人居留地にあった。その頃、長崎の外国人居留地は日本に返還されていて、外国人は内地雑居を認められていたが、なお異国情緒のある西洋館や教会ばかりが並んでいる街が残っていた。その街に英国人一家の英語塾があり、十四歳の少年、龍平は友達と一緒に、『英国語学館』と書かれた木の看板が掛かって [続きを読む]
  • 私の心に残った名言
  • 『男と言うものは、大きくなった子供に過ぎない』(ドライデン) 『すべての男は消耗品に過ぎない』(村上 龍) 『女は愛されるべきものであって、理解されるべきものではない』(オスカー・ワイルド) 『人はいつも恋をしていなければならない。それが、人が結婚してはならない理由である』(オスカー・ワイルド) 『私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行ってください』 [続きを読む]
  • 私の心に残った名言
  • 『愛するから愛するのである。たいした理由はない』(ロマン・ロラン) 『言うな。そんな悲しい調子で。人生は儚い夢に過ぎないなどと』(ロング・フェロー) 『死ぬことは何でもないが、この世と別れるのが私には辛い』(マルセル・パニョール) [続きを読む]