rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。日本文学、ノンフィクション、紀行、演劇、古典芸能関係の本が中心。
自由文備忘録としてつけてきた読書メモが増えたので公開することにしました。タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2014年以降の約400冊を掲載していますが、過去(2009〜13年)の分も順次アップしていきます。その他、お勧めの音楽も紹介しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供81回 / 167日(平均3.4回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • 日の名残り
  • カズオ・イシグロ「日の名残り」1989年のブッカー賞受賞作。語り手の執事スティーブンスは、四角四面の、現代ではかえって慇懃無礼に感じられるような“英国執事”。ことあるごとに執事としての品格を延々と語り、新たな主人であるアメリカ人に合わせるために、真剣にジョークを研究するさまがその性格をよく表している。ある日休暇を貰った彼は、かつて同じ屋敷に勤めた元同僚の女性を訪ねて小旅行に出かける。その旅の風景と、過 [続きを読む]
  • 怪獣記
  • 高野秀行「怪獣記」トルコ東部のワン湖に棲むという謎の巨大生物ジャナワールの真偽を探る旅。コンゴを舞台にした「幻獣ムベンベを追え」など、UMAを巡る旅を続けてきた著者だが、ジャナワールの存在には否定的で、これまで調査対象とは考えていなかったという。それが、なぜかトルコの研究者による詳細な研究書を日本の東洋文庫で見つけ、興味を持ち始める。その研究書にはジャナワールを目撃した人物の住所一覧までもが載ってお [続きを読む]
  • ぴんぞろ
  • 戌井昭人「ぴんぞろ」表題作は、受賞作の無かった2011年上半期の芥川賞候補作。文藝春秋の選評掲載号に候補作6本を代表して掲載されたので、相対的に評価が高かったのだろう(この回の他の候補作は円城塔「これはペンです」、本谷有希子「ぬるい毒」など)。短めの中編小説、あるいは長めの短編小説というくらいの分量だが、前半の浅草でのチンチロリンの話から、後半は場末の温泉街のヌード劇場へと物語の場所が移り変わり、やや [続きを読む]
  • 唐版 滝の白糸 他二篇
  • 唐十郎「唐版 滝の白糸 他二篇」唐十郎の作品は10本くらい見ていて、小説(「佐川君からの手紙」)も読んでいるが、戯曲に触れるのは初めて。支離滅裂でかみ合わない会話の連続なのに、不思議と引き込まれてしまうのは台詞のテンポの良さと、その響きの小気味よさ。表題作は1975年初演。ナイーブな青年アリダと、うさんくさい銀メガネ、心中を図って死んだ兄の恋人で生き残ったお甲。唐十郎の作品の中では、かなり物語の筋が見えや [続きを読む]
  • 何でも見てやろう
  • 小田実「何でも見てやろう」 旅行記の古典。60〜70年代、本書を読んで多くの若者が海を渡った。著者は1959年にフルブライト留学生として米国に渡り、その帰途、欧州からアジアまで各地を訪れた。当時はまだ海外旅行が珍しかった時代。貧乏旅行で計22カ国を訪れた著者の記録は、同世代の若者から大きな衝撃と羨望を持って受け止められたことだろう。本書を読むと行き当たりばったりの奔放な旅のように思えるが、死後に見つかった著 [続きを読む]
  • 血と夢
  • 船戸与一「血と夢」冒険小説の大家、船戸与一の初期の作品。1982年刊。舞台はソ連侵攻直後のアフガニスタン。元自衛官の主人公は、亡き友人の娘の手術費用を稼ぐため、米国に雇われた工作員としてアフガニスタンに潜入する。非常にスケールの大きな物語で、米ソの対立に加え、ソ連傀儡政府とムジャヒディン(イスラム戦士)の戦い、CIAと陸軍の縄張り争いという米国内の事情、ソ連内部の政治抗争など、複雑に入り組んだ政治状況が [続きを読む]
  • 日本アルプス―登山と探検
  • ウォルター・ウェストン「日本アルプス―登山と探検」W.ウェストンの名前は山歩きをする人間なら一度は聞いたことがあるだろう。明治時代の日本に滞在し、アルプスを中心に各地の山々を踏破した。日本の山の魅力を世界に知らせるとともに、修験道などの宗教登山ではない“趣味”としての登山を日本に浸透させた。“Mountaineering and exploration in the Japanese Alps(日本アルプスの登山と探検)”はその代表作で、初めて槍ヶ [続きを読む]
  • 図説「最悪」の仕事の歴史
  • トニー・ロビンソン『図説「最悪」の仕事の歴史』人間は有史以来、さまざまな仕事を生みだしてきた。この本(”The Worst Jobs in History”)が取り扱うのは、古代ローマから近代までの西洋における“最悪の仕事”の歴史。著者は、現代でいう「危険」「汚い」「きつい」の3Kに、「退屈」と「低収入」の二つを加えた3K2Tの仕事の数々を紹介している。死と隣り合わせの「ウミガラスの卵採り」や、かつて医療に欠かせなかった [続きを読む]
  • 小説 阿佐田哲也
  • 色川武大「小説 阿佐田哲也」伝説の雀士であり、戦後を代表する大衆小説の一つ「麻雀放浪記」の主人公“坊や哲”であり、その著者でもある阿佐田哲也。人気作家となった後に本名の色川武大名義でも純文学小説を書き、「狂人日記」などの名作で戦後文学史に足跡を残している。著者の作品は、どちらの名で書かれた作品も虚と実が入り交じる。博打打ちの阿佐田哲也も、純文学作家の色川武大も、演じるべき虚構の人格だったのだろう。 [続きを読む]
  • 桜島・日の果て・幻化
  • 梅崎春生「桜島・日の果て・幻化」出世作「桜島」、絶筆の「幻化」のほか、「日の果て」「風宴」を収録。梅崎春生は1915年生まれ。戦中は海軍に暗号兵として勤め、その経験が46年発表の「桜島」に反映されている。敗色濃厚の日本。本土決戦が迫る中、米軍の上陸が想定される桜島で、語り手の「私」は死を覚悟して日々を過ごしている。偏執狂的な兵曹長、無邪気な志願兵、妓楼で出会った耳のない女。先行きの見えない環境、未来のな [続きを読む]
  • アイデア大全
  • 読書猿「アイデア大全」その名の通り、“発想法”の事典。古今東西の発想法、アイデアの出し方、視点の変え方、考え方の工夫が、実際にまねすることが出来るように事例付きで紹介されている。弁証法的思考という基本的なものから、さまざまなフローチャートやカードを利用しての問題分析の手法、生涯にわたって膨大なアイデア・ノートを記し続けたダビンチやエジソンの姿勢、問題に対して「なぜ」を5回重ねる「なぜなぜ分析」、離 [続きを読む]
  • ホサナ
  • 町田康「ホサナ」大傑作「告白」に匹敵する約700ページの大作。愛犬家の主人公は、ある日、“日本くるぶし”と名乗る神なのか何なのか分からない声から「正しいバーベーキューをせよ」という啓示を受ける。物語は繰り返し思索の脇道にそれ、思索もひたすら脇道にそれ続ける。予定調和からは程遠い、無茶苦茶な展開がこれでもかというほど積み重ねられる。こんな突拍子もない物語を綴ることができるのも、饒舌な文体を持っているか [続きを読む]
  • 花と火の帝
  • 隆慶一郎「花と火の帝」 江戸時代初めの京都を舞台に、禁裏と徳川幕府の熾烈な戦いを描いた隆慶一郎の未完の遺作。登場人物が魅力に溢れ、ファンタジー色の強い展開ながら、史料と史実を踏まえた説得力のある偽史となっている。天皇の賀輿丁として働いた八瀬童子が、代々天皇直属の隠密として暗躍してきたという設定にまず惹かれる。豊臣家の滅亡後、徳川幕府は、それまで法の外に存在した禁裏に対して禁中並公家諸法度を公布し、 [続きを読む]
  • 白いメリーさん
  • 中島らも「白いメリーさん」中島らもの短編集。商店街のおやじたちが殺し合う「日の出通り商店街いきいきデー」などのぶっ飛んだ作品から、ホラー、コメディ、人生の悲哀を感じさせる物語まで多彩な9本。中でも出色なのは、やはり表題作。都市伝説を追うライターとその娘の関係を軸に、奥行きも広がりもある秀逸な短編。徐々に蛇になっていく姉を妹の視点から描いた「クロウリング・キング・スネイク」は、荒唐無稽ながらどこか人 [続きを読む]
  • おかしなジパング図版帖 -モンタヌスが描いた驚異の王国
  • 宮田珠己「おかしなジパング図版帖 -モンタヌスが描いた驚異の王国」「十七世紀のオランダ人が見た日本」が非常に面白かったので、そこに登場する本の挿絵を多数収録したこの本も買ってしまった。モンタヌスの著書の挿絵を中心に、丁寧な観察と壮大な勘違いが混ざり合った当時の日本像を紹介している。モンタヌスが著した「東インド会社遣日使節紀行(日本誌)」は17世紀のオランダで広く読まれ、後世の西欧における日本像にも大き [続きを読む]
  • パラレル
  • 長嶋有「パラレル」デビュー作「サイドカーに犬」、芥川賞受賞作「猛スピードで母は」から、人間同士の微妙な距離感を描くのが巧い作家。主人公の男は元ゲームデザイナー、今無職。妻の浮気で離婚したものの、その後も他愛のないメールのやりとりを続け、親しい友人としての距離を保っている。大きなアクシデントも、劇的な展開もそこにはない。過去の回想が挟まれつつ、淡々と日常が続いていく。仕事と女遊びに情熱を傾ける友人の [続きを読む]
  • 生死を分ける転車台
  • 西村京太郎「生死を分ける転車台」500冊以上(!)の著書があるという多作な作家だが、これまで作品に触れたことが無かった。これは静岡のローカル線、天竜浜名湖鉄道を舞台にした作品で、十津川警部シリーズの一冊。読点と繰り返しの多い文章には独特の雰囲気があるが、「トラベルミステリー」と呼ばれるジャンルを確立した作家だけあって、テンポ良く移り変わる場面を追っていくだけで、あっという間に読み終わる。トリックらしいト [続きを読む]
  • グアテマラの弟
  • 片桐はいり「グアテマラの弟」エッセイの名手とは聞いたことがあったが、これほど素敵な文章を書く人だとは。グアテマラで暮らしている弟を訪ねた旅の話に、幼い頃の家族の思い出などが挟まれる。少し手を入れるだけで、それぞれのエピソードがそのまま洒落た短編小説になりそうな趣がある。大学院を出てから、ふらふらと中南米に旅行に行き、グアテマラに居着いてしまった弟。スペイン語学校を開いている年上の妻と結婚し、その連 [続きを読む]
  • 良寛 旅と人生
  • 松本市壽「良寛 旅と人生 」非常によくまとまっていて入門にも最適の一冊。個人的には良寛というと漢詩のイメージが強かったが、改めてその作品と生涯に触れ、晩年の歌が強く心に残った。「手ぬぐひで 年をかくすや 盆踊り」「形見とて 何残すらむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみぢ葉」良寛は江戸後期、文化・経済の爛熟期を生きた禅僧で、歌人、書家としても知られる。名家の長男に生まれたが出家し、生涯寺を持たずに庵を移 [続きを読む]
  • 西行 魂の旅路
  • 西澤美仁「西行 魂の旅路 」和歌を解するような風雅な心も知識も無いけれど、西行から芭蕉、山頭火に至る旅する歌人が残した歌には幾つか心惹かれるものがある。それは、歌の精神性の高さに感銘を受けるというよりは、身近で分かりやすい感慨を素直な言葉で表現しているからだと思う。西行や芭蕉の旅は、未踏の地を切り開くようなものではないし、当然ながら彼らは世捨て人でもない。武士としての将来を捨て、家族と離れて和歌と信 [続きを読む]
  • 黒いトランク
  • 鮎川哲也「黒いトランク」ミステリーにおいて、第一に重要なのはトリックであるという「本格」と呼ばれるに相応しい作品。一見入れ替えることが不可能な二つのトランク。東京から九州へ、九州から東京へ行き来するトランクと、その中に詰められた死体を巡る謎。実際の時刻表を使った大がかりで緻密なアリバイ作り。思考の盲点を突いたトリック。論理に論理を積み重ねるような地道な推理。読み手のこちらも、丁寧に頭の中で整理しな [続きを読む]
  • ジュライホテル バンコクの伝説の安宿
  • 及川タケシ「ジュライホテル バンコクの伝説の安宿」バンコクの安宿街といったらカオサン通りが有名(今はもう違うかも)だが、90年代半ばまではカオサンに滞在するのは欧米人が中心で、日本人旅行者の溜まり場はチャイナタウンだった。自分は直接その時代を知るわけではないが、楽宮旅社や台北旅社、ジュライホテルの名前は、アジアを旅したことがあるバックパッカーなら聞いたことがある人も多いのではないかと思う。廃墟のよう [続きを読む]
  • フィリピンパブ嬢の社会学
  • 中島弘象「フィリピンパブ嬢の社会学」新書で、このタイトル。新書に多い「タイトルだけ秀逸」という“出落ち”を警戒して読み始めたが、非常に面白いルポルタージュだった。真面目な大学院生だった著者は、在日フィリピン人女性を研究テーマとし、論文の題材としてフィリピンパブのことを調べるうちに、ホステスの「ミカ」と恋に落ちてしまう。そのミカとの交際や、家族との出会いを通じて、外国への出稼ぎに頼らざるをえないフィ [続きを読む]
  • 勝手にふるえてろ
  • 綿矢りさ「勝手にふるえてろ」主人公は、誰とも付き合ったことが無いまま26歳になってしまったオタク女子。中学生の頃から片思いしている相手と、言い寄ってきた職場の同僚の間で、妄想の二股気分に揺れている。色々とこじらせてしまったその女性のキャラが秀逸。周囲の人間を鋭く人間観察しているようで、致命的に人生経験が不足しているため、行動は空転し、思考だけが先走っていく。内面描写が生々しくリアルな一方、物語の展開 [続きを読む]
  • 世界最低最悪の旅
  • 蔵前仁一編「世界最低最悪の旅」終わってみれば、旅はトラブルこそが面白い。下痢で悶絶し、ハードな移動で消耗し、行く先々で騙され、たかられ、それでも喉元過ぎれば何とやら。トラブルの無い旅は、きっと印象にも残らない。そんなバックパッカーの失敗談や悲惨な話を集めた一冊。収録されているのは主に80〜90年代に雑誌「旅行人」とその前身のミニコミ誌「遊星通信」に投稿されたもの。読者投稿なので、一本一本が全て面白いと [続きを読む]