rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。日本文学、ノンフィクション、紀行、演劇、古典芸能関係の本が中心。
自由文備忘録としてつけてきた読書メモが増えたので公開することにしました。タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2014年以降の約400冊を掲載していますが、過去(2009〜13年)の分も順次アップしていきます。その他、お勧めの音楽も紹介しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供94回 / 223日(平均3.0回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • ドキュメント生還 −山岳遭難からの救出
  • 羽根田治「ドキュメント生還 −山岳遭難からの救出」遭難に至る過程と、いかに生き延びたかのドキュメント。とても参考になる内容で、もっと早く読めば良かった。ノンフィクションの読み物としても非常に面白い。海外の高峰に挑むような特別なシチュエーションではなく、国内の山で、ごく普通の登山愛好家が、何がきっかけで引き返せない状況に陥ったのか、そして、そこで生と死を分けたものは何だったのか。当時の状況を、生還者 [続きを読む]
  • ヤマハ WXA-50
  • 15年あまり使ってきた山水のアンプ(SANSUI AU-303R)を買い替え。ほぼストリーミングで音楽を聴くようになったため、レシーバーやDACを兼ねたヤマハの小型機種WXA-50に。これがむちゃくちゃ使いやすくてびっくり。Bluetoothは今や当たり前だけど、AirplayやSpotify Connectにも対応していて、NASからの再生も楽々。さらにスマホ用リモコンアプリのMusicCastが非常に良くできていて、国内メーカーらしからぬシンプルで分かりやすい [続きを読む]
  • 紀伊物語
  • 中上健次「紀伊物語」 「大島」「聖餐」の2部構成。物語としては一続きだが、発表時期は5年ほど離れており、作品の手触りも大きく異なる。中上の長編の中では、“路地”の最後という決定的な場面を描きながら、あまり読まれることも語られることも少ない作品。大島の網元の娘、道子を主人公とした「大島」は、乱暴にまとめてしまえば、気位の高い少女がプレイボーイに惹かれていくだけの話だが、そこに胸を締め付けるような切実 [続きを読む]
  • 海も暮れきる
  • 吉村昭「海も暮れきる」「こんなよい月を一人で見て寝る」「咳をしても一人」東京帝大を卒業し、大手保険会社のエリートコースを歩みながら、酒におぼれ、仕事を捨て、家族に捨てられ、小豆島の小さな庵で最期を迎えた尾崎放哉。種田山頭火と並ぶ自由律俳句の大家でありながら、人間的には極めて厄介な人物であったことが知られている。吉村昭によるこの評伝小説では、その不安定な性格が細かく描写されている。タイトルは「障子あ [続きを読む]
  • 洞窟オジさん
  • 加村一馬「洞窟オジさん」著者の加村一馬氏は1946年、群馬県生まれ。13歳の時に、両親の虐待から逃れて足尾銅山の廃坑に住み着き、その後も富士の樹海や川辺を転々として、ホームレスとして半世紀近くを生きてきた。ヘビやネズミ、カタツムリ、カエルを食べ、時には山で採った山菜を売ってわずかな収入を得る。やがて茨城の小貝川の河川敷に小屋を建てて暮らすようになり、57歳の時に窃盗未遂で逮捕され、取り調べと公判を通じて半 [続きを読む]
  • ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー
  • 山田詠美「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」著者の初期の代表作で、直木賞受賞作。ソウル・ミュージックをBGMに、黒人社会の恋愛を描く。小洒落た雑誌に載っていそうな翻訳小説の雰囲気だが、性を描写しつつ透明感のある洒脱な文章に著者の作家性が強く表れている。ゲームのような男女の関係の中に身を置きつつ、ある日、世界の姿が一変するほど引きつけられる相手と出会う。やがて自分の一部を失うような別れが訪れ、 [続きを読む]
  • 廃市
  • 福永武彦「廃市」ひと夏、親戚の紹介で旧家の世話になることになった語り手の青年。そこで美しい姉妹と、姉の夫を巡る複雑な人間関係に触れることになる。水路が縦横に巡らされた、美しく、どこか退廃的な雰囲気が漂う田舎町を舞台とした名品。ノスタルジックな雰囲気が好きな人にはたまらないだろう。表題作の他に「沼」「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」。とらえどころの無い先鋭的な作品と、人間関係の微妙な綾を描いた作 [続きを読む]
  • 戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇
  • 堀川惠子「戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と『桜隊』の悲劇」広島で被爆し、全滅した劇団「桜隊」は、井上ひさしの「紙屋町さくらホテル」や新藤兼人監督の映画で取り上げられてきたが、いずれも原爆の悲劇としての側面が強く、なぜ彼らが広島にいたのか、その背景にある戦前・戦中の苛烈な思想統制、演劇人への弾圧については資料の不足からあまり描かれてこなかった。著者は、桜隊の演出を手がけていた八田元夫の膨大 [続きを読む]
  • 小説「聖書」
  • ウォルター・ワンゲリン 小説「聖書」旧約篇上・下、新約篇  神学者でもあり、作家でもある著者が、聖書の膨大なテキストを小説の文体で書き下ろした。天地創造、神とアブラハムの契約、モーセの出エジプト、ダビデとソロモンの時代、バビロン捕囚。旧約聖書に書かれたエピソードの一つ一つは多くの人が知っているだろうが、全体を通読したことがある人はキリスト教徒やユダヤ教徒以外では稀だろう。膨大な断片の集まりである聖 [続きを読む]
  • 迷路館の殺人
  • 綾辻行人「迷路館の殺人」館シリーズの第3作。二重に仕掛けがあって遊び心に富んだ作品。大御所作家の館に若手作家4人が集められ、5日間で最も優れた作品を書いた者に遺産の半分を与えるとの遺言が示される。ミステリー本編が作中作という構成を取り、本編の面白さに加えてその外側にも仕掛けがある。ただトリックの部分で、やや“飛び道具”のような種明かしがあって、緻密な推理物を期待して読むと少し物足りないかもしれない [続きを読む]
  • 砂のクロニクル
  • 船戸与一「砂のクロニクル」 イスラム革命後のイラン北西部マハバードを舞台に、独立を求めて戦うクルド人ゲリラと、ハジ(巡礼者)と呼ばれた日本人二人の物語。著者の代表作とされる長編であり、スケールの大きさとフィクションとは思えない緻密な描写に圧倒される。国を持たない世界最大の民族とされるクルド人だが、第二次世界大戦直後、マハバード共和国と呼ばれる幻のクルド人国家が築かれたことがあった。イラン政府の侵攻 [続きを読む]
  • 言い寄る
  • 田辺聖子「言い寄る」恋愛小説の大家の70年代の作品。当時はこれが自立した新しいヒロイン像だったのかもしれないけど、今読むとどうだろう。小説や物語の受け止めに性差はあまり無いと思いたいけど、この作品は男女や過去の恋愛経験で感じ方が大きく変わるかもしれない。主人公の乃里子は好きな男には言い寄ることができず、別の男たちに言い寄られて、ふらふらと一夜を過ごし、情に流されていってしまう。そのくせ、自分は自分を [続きを読む]
  • すべてがFになる
  • 森博嗣「すべてがFになる」20年ほど前のベストセラーを今さらながら。舞台は孤島の研究所。幼少期に両親を殺し、隔離されたまま研究を続ける天才少女と、その突然の死を巡って物語は進む。プログラミングや理系の学問の素養のある人は、タイトルや序盤の会話に隠されたヒントに気付くかもしれない。探偵役の大学助教授、助手役の女子学生、犯人、そして研究所の人々。常人離れした頭脳と個性を持つキャラクターたちは魅力的だが、 [続きを読む]
  • 日の名残り
  • カズオ・イシグロ「日の名残り」1989年のブッカー賞受賞作。語り手の執事スティーブンスは、四角四面の、現代ではかえって慇懃無礼に感じられるような“英国執事”。ことあるごとに執事としての品格を延々と語り、新たな主人であるアメリカ人に合わせるために、真剣にジョークを研究するさまがその性格をよく表している。ある日休暇を貰った彼は、かつて同じ屋敷に勤めた元同僚の女性を訪ねて小旅行に出かける。その旅の風景と、過 [続きを読む]
  • 怪獣記
  • 高野秀行「怪獣記」トルコ東部のワン湖に棲むという謎の巨大生物ジャナワールの真偽を探る旅。コンゴを舞台にした「幻獣ムベンベを追え」など、UMAを巡る旅を続けてきた著者だが、ジャナワールの存在には否定的で、これまで調査対象とは考えていなかったという。それが、なぜかトルコの研究者による詳細な研究書を日本の東洋文庫で見つけ、興味を持ち始める。その研究書にはジャナワールを目撃した人物の住所一覧までもが載ってお [続きを読む]
  • ぴんぞろ
  • 戌井昭人「ぴんぞろ」表題作は、受賞作の無かった2011年上半期の芥川賞候補作。文藝春秋の選評掲載号に候補作6本を代表して掲載されたので、相対的に評価が高かったのだろう(この回の他の候補作は円城塔「これはペンです」、本谷有希子「ぬるい毒」など)。短めの中編小説、あるいは長めの短編小説というくらいの分量だが、前半の浅草でのチンチロリンの話から、後半は場末の温泉街のヌード劇場へと物語の場所が移り変わり、やや [続きを読む]
  • 唐版 滝の白糸 他二篇
  • 唐十郎「唐版 滝の白糸 他二篇」唐十郎の作品は10本くらい見ていて、小説(「佐川君からの手紙」)も読んでいるが、戯曲に触れるのは初めて。支離滅裂でかみ合わない会話の連続なのに、不思議と引き込まれてしまうのは台詞のテンポの良さと、その響きの小気味よさ。表題作は1975年初演。ナイーブな青年アリダと、うさんくさい銀メガネ、心中を図って死んだ兄の恋人で生き残ったお甲。唐十郎の作品の中では、かなり物語の筋が見えや [続きを読む]
  • 何でも見てやろう
  • 小田実「何でも見てやろう」 旅行記の古典。60〜70年代、本書を読んで多くの若者が海を渡った。著者は1959年にフルブライト留学生として米国に渡り、その帰途、欧州からアジアまで各地を訪れた。当時はまだ海外旅行が珍しかった時代。貧乏旅行で計22カ国を訪れた著者の記録は、同世代の若者から大きな衝撃と羨望を持って受け止められたことだろう。本書を読むと行き当たりばったりの奔放な旅のように思えるが、死後に見つかった著 [続きを読む]
  • 血と夢
  • 船戸与一「血と夢」冒険小説の大家、船戸与一の初期の作品。1982年刊。舞台はソ連侵攻直後のアフガニスタン。元自衛官の主人公は、亡き友人の娘の手術費用を稼ぐため、米国に雇われた工作員としてアフガニスタンに潜入する。非常にスケールの大きな物語で、米ソの対立に加え、ソ連傀儡政府とムジャヒディン(イスラム戦士)の戦い、CIAと陸軍の縄張り争いという米国内の事情、ソ連内部の政治抗争など、複雑に入り組んだ政治状況が [続きを読む]
  • 日本アルプス―登山と探検
  • ウォルター・ウェストン「日本アルプス―登山と探検」W.ウェストンの名前は山歩きをする人間なら一度は聞いたことがあるだろう。明治時代の日本に滞在し、アルプスを中心に各地の山々を踏破した。日本の山の魅力を世界に知らせるとともに、修験道などの宗教登山ではない“趣味”としての登山を日本に浸透させた。“Mountaineering and exploration in the Japanese Alps(日本アルプスの登山と探検)”はその代表作で、初めて槍ヶ [続きを読む]
  • 図説「最悪」の仕事の歴史
  • トニー・ロビンソン『図説「最悪」の仕事の歴史』人間は有史以来、さまざまな仕事を生みだしてきた。この本(”The Worst Jobs in History”)が取り扱うのは、古代ローマから近代までの西洋における“最悪の仕事”の歴史。著者は、現代でいう「危険」「汚い」「きつい」の3Kに、「退屈」と「低収入」の二つを加えた3K2Tの仕事の数々を紹介している。死と隣り合わせの「ウミガラスの卵採り」や、かつて医療に欠かせなかった [続きを読む]
  • 小説 阿佐田哲也
  • 色川武大「小説 阿佐田哲也」伝説の雀士であり、戦後を代表する大衆小説の一つ「麻雀放浪記」の主人公“坊や哲”であり、その著者でもある阿佐田哲也。人気作家となった後に本名の色川武大名義でも純文学小説を書き、「狂人日記」などの名作で戦後文学史に足跡を残している。著者の作品は、どちらの名で書かれた作品も虚と実が入り交じる。博打打ちの阿佐田哲也も、純文学作家の色川武大も、演じるべき虚構の人格だったのだろう。 [続きを読む]
  • 桜島・日の果て・幻化
  • 梅崎春生「桜島・日の果て・幻化」出世作「桜島」、絶筆の「幻化」のほか、「日の果て」「風宴」を収録。梅崎春生は1915年生まれ。戦中は海軍に暗号兵として勤め、その経験が46年発表の「桜島」に反映されている。敗色濃厚の日本。本土決戦が迫る中、米軍の上陸が想定される桜島で、語り手の「私」は死を覚悟して日々を過ごしている。偏執狂的な兵曹長、無邪気な志願兵、妓楼で出会った耳のない女。先行きの見えない環境、未来のな [続きを読む]
  • アイデア大全
  • 読書猿「アイデア大全」その名の通り、“発想法”の事典。古今東西の発想法、アイデアの出し方、視点の変え方、考え方の工夫が、実際にまねすることが出来るように事例付きで紹介されている。弁証法的思考という基本的なものから、さまざまなフローチャートやカードを利用しての問題分析の手法、生涯にわたって膨大なアイデア・ノートを記し続けたダビンチやエジソンの姿勢、問題に対して「なぜ」を5回重ねる「なぜなぜ分析」、離 [続きを読む]
  • ホサナ
  • 町田康「ホサナ」大傑作「告白」に匹敵する約700ページの大作。愛犬家の主人公は、ある日、“日本くるぶし”と名乗る神なのか何なのか分からない声から「正しいバーベーキューをせよ」という啓示を受ける。物語は繰り返し思索の脇道にそれ、思索もひたすら脇道にそれ続ける。予定調和からは程遠い、無茶苦茶な展開がこれでもかというほど積み重ねられる。こんな突拍子もない物語を綴ることができるのも、饒舌な文体を持っているか [続きを読む]