rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。日本文学、ノンフィクション、紀行、演劇、古典芸能関係の本が中心。
自由文備忘録としてつけてきた読書メモが増えたので公開することにしました。タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2014年以降の約400冊を掲載していますが、過去(2009〜13年)の分も順次アップしていきます。その他、お勧めの音楽も紹介しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供38回 / 71日(平均3.7回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • 書を捨てよ、町へ出よう
  • 寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」ここ数年、それぞれの本にも読むべき年齢があるということを感じるようになった。10代の経験が10代でしかできないように、10代の感性では、30代の今は本を読むことができない。その逆も然り。人生の時間は一方通行で、感受性は変化すれば戻らない。高校の頃にのめり込んだ中上健次や安部公房を今初めて読んでも熱狂しないだろうし、逆に色川武大を当時読んでもあまり惹かれなかっただろう。大学 [続きを読む]
  • 言壺
  • 神林長平「言壺」SFというと、クラークの「幼年期の終わり」や、ホーガンの「星を継ぐもの」、ハクスリーの「すばらしい新世界」、オーウェルの「1984」など、何となく宇宙や文明を描くものと思いがちだが、言語や認識を題材とした“言語SF”と呼ばれるジャンルがある。中には伊藤計劃の「虐殺器官」のようにそれらが高度に組み合わさった作品もある。95年の日本SF大賞を受賞した「言壺」は、文章の執筆を支援する人工知能が搭載さ [続きを読む]
  • 老ヴォールの惑星
  • 小川一水「老ヴォールの惑星」個人的に、SFはミステリー以上に未開拓のジャンルだけど、たまに読むと刺激を受けることが多い。思考実験の場として、いわゆる“純文学”以上に人間を描いている作品がある。表題作「老ヴォールの惑星」のほか、「ギャルナフカの迷宮」「幸せになる箱庭」「漂った男」の計4編。どれも傑作。滅びゆく惑星の知的生命体が、情報の伝達によって個体の死を超越し、遠くの別の星にメッセージを残そうとする [続きを読む]
  • 千々にくだけて
  • リービ英雄「千々にくだけて」日本に9.11を正面から扱った作品はあまり無い(自分が寡聞にして知らないだけかもしれないけど)。他人事ではない衝撃を受けた人は作家にも多いと思うが、それについて語るべきものが日本文学の土壌には無いのかもしれない。表題作と、その後日譚的な小品「コネチカット・アベニュー」、関連エッセイ「9.11ノート」に、9.11以前に書かれた短編「国民のうた」を収録。日本で暮らす男がカナダ経由で米国 [続きを読む]
  • 雪が降る
  • 藤原伊織「雪が降る」読み終えて、じんわりと良い作品だったと思う短編小説はそれなりにあるけれど、読んでいる最中に先が気になって引き込まれる物語は、短編ではあまり無い。「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の六編。どの作品も、途中で読み進める手を止めることなく読了。フィクションであることをいかした不器用で気障な男たちが格好良い。収録作の内、バーで自称人魚の少女と出会う「トマト [続きを読む]
  • 愛でもない青春でもない旅立たない
  • 前田司郎「愛でもない青春でもない旅立たない」若者の心象風景を独特の文体で描き、その何もない空虚さが不思議と強い印象を残す。タイトルが秀逸。二十歳前後の大抵の男女は、「愛」と言い切れるほど強い感情は抱いていないし、絵に描いたような青春もしてないし、どこにも旅立たない。でも悟りを開いたかのように泰然として生きているかといえば、そうではなく、本人にも捉えきれない複雑な感情を抱えてふらふらとしている。物語 [続きを読む]
  • 朝のガスパール
  • 筒井康隆「朝のガスパール」筒井康隆による実験的小説。91〜92年に朝日新聞に掲載された連載小説だが、投書やパソコン通信での反響をリアルタイムで物語の中に取り込んでいくという思い切った手法がとられている。架空のオンラインゲーム内の世界と、そのゲームに熱中する人々を描いた“小説内の現実”、その小説を書いている作家と編集者、そこに影響を与える現実の読者と筒井康隆――といった多層構造によるメタフィクションとな [続きを読む]
  • なつかしい芸人たち
  • 色川武大「なつかしい芸人たち」「麻雀放浪記」の阿佐田哲也のイメージで色川武大の「狂人日記」や「百」といった小説を読むと驚かされるが、さらにこうしたエッセイを読むと、その芸能分野の造詣の深さに再び驚嘆させられる。その上で、こうして著者の人生観は育まれたのだと、読みながらストンと腑に落ちる。幼少期から思春期にかけて浴びるように触れた大量の文化。その後の戦争を経ての無頼の日々。著者の作品には“落ちこぼれ [続きを読む]
  • たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く
  • 石村博子「たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く」世界大会で3度優勝し、公式戦無敗の41連勝、“サンボの神様”とまで言われたビクトル古賀(古賀正一)の少年時代の物語。満州から一人で引き揚げてきた少年の回想であると同時に、コサックの末裔の物語でもある。「俺が人生で輝いていたのは、10歳、11歳くらいまでだったんだよ。(中略)俺のことを書きたいって、何人もの人が来たよ。でも格闘家ビクト [続きを読む]
  • 「子供を殺してください」という親たち
  • 押川剛「『子供を殺してください』という親たち」予備知識無くタイトルだけ見て、精神科医の書いた本かと思って手にしたが、著者は精神病の患者を家族等の依頼で医療機関に繫ぐ「精神障害者移送サービス」の経営者。病識を持つように本人を説得するとともに、受け入れ先の病院を探し、その後の面会等のフォローも手がけている。本書では著者自身が実地で体験したケースを紹介するとともに、現在の日本の精神医療の問題点を指摘して [続きを読む]
  • 対岸の彼女
  • 角田光代「対岸の彼女」人はしばしば、生きる意味と、何かに属するということを混同し、自分を生きづらさの隘路に追い込んでいく。中高生は細かく階層化されたグループを形成し、そこからはじき出されることを恐れる。大人になっても、グループが重なり合って複雑化しているだけで、実は思春期と同じことを繰り返している人は多い。働き始めた主婦と女社長の話、その女社長の学生時代の日々が交互に綴られる。一児の母の小夜子は、 [続きを読む]
  • すきあらば 前人未踏の洞窟探検 洞窟ばか
  • 吉田勝次「洞窟ばか」洞窟はやったことがないけど、むちゃくちゃ楽しそうだ。著者の洞窟愛に、読みつつ、くらくらしてしまう。自分は何をしているのか、本当にしたいことをして生きているのか、と。少し前まで「探検」や「冒険」はもはや存在しないと思っていた。地理的な空白部は20世紀までにほぼ埋め尽くされ、21世紀の今、Google Earthで見ることができない土地は無いし、費用と時間さえあればどこにだって辿り着ける。と、思っ [続きを読む]
  • 性的人間
  • 大江健三郎「性的人間」大江健三郎の手にかかれば、ただの痴漢の話が、これほどまでに文学的な色彩を帯びるのだから、すごい。表題作は二部に分かれていて、性的に倒錯した金持ちの青年Jを中心に、前半は別荘での奔放な男女の集まり、後半は痴漢に情熱を傾ける少年と老人、Jの3人の関係が描かれる。痴漢という行為を、死への衝動や背徳的な喜び、征服感などが混ざり合ったものとして読み解けば、確かに人間の根底を描いた小説と [続きを読む]
  • 性的人間
  • 大江健三郎「性的人間」大江健三郎の手にかかれば、ただの痴漢の話が、これほどまでに文学的な色彩を帯びるのだから、すごい。表題作は二部に分かれていて、性的に倒錯した金持ちの青年Jを中心に、前半は別荘での奔放な男女の集まり、後半は痴漢に情熱を傾ける少年と老人、Jの3人の関係が描かれる。痴漢という行為を、死への衝動や背徳的な喜び、征服感などが混ざり合ったものとして読み解けば、確かに人間の根底を描いた小説と [続きを読む]
  • 世界天才紀行
  • エリック・ワイナー「世界天才紀行」「その国で尊ばれるものが、洗練される」“天才”は不規則に生まれるのではない。特定の時期に、特定の場所に相次いで現れる。アテネ、杭州、フィレンツェ、エディンバラ、カルカッタ、ウィーン、そして、シリコンバレー。なぜ、その土地に天才が生まれたのだろう。紀元前のアテネも、ルネサンス前夜のフィレンツェも、当時の世界一の大都市でも先進都市でもなかったし、周辺の都市にすら後れを [続きを読む]
  • ストリーミングサービス
  • 国内で本格的に音楽のストリーミングサービスが始まってから、もうすぐ2年。apple music→google play music→apple music→spotifyと乗り換え続け、再びspotifyからapple musicに戻して2週間。今のところ楽曲のラインナップもappleが若干優位な印象で、とりあえず当面はここに落ち着きそう。アプリの出来やプレイリストの質、レコメンドの的確&多彩さなど、使いやすさは明らかにspotifyが上だったけど、昨年末に肝心のディスカ [続きを読む]
  • プログラム
  • 土田英生「プログラム」MONOの芝居はハズレがない。毎回、対話の面白さをたっぷり堪能させてくれる。しかも、ただ笑って終わりではなく、登場人物一人一人の置かれた立場やその言葉を通じて、現実の生活や社会についても振り返らされる。主宰の土田英生氏による初の小説であるこの作品も、それは変わらない。舞台は近未来。移民が増えた日本社会に対する反動として、東京湾の人工島に“古き良き日本”の面影を残す「日本村」が作ら [続きを読む]
  • スミヤキストQの冒険
  • 倉橋由美子「スミヤキストQの冒険」架空の政治思想「スミヤキズム」を信奉する青年Qが、革命を起こすことを意図して孤島の感化院に赴任し、そこで院長やドクトルら奇妙な人物に出会う。頭でっかちなQは理論武装で現実に立ち向かい、周りの人間や状況に翻弄される。ここに描かれる「スミヤキズム」は、現実のマルキシズムやトロツキズムを容易に連想させる。だとしたら、院児の肉を食料とする感化院の姿は権力や資本主義のメタフ [続きを読む]
  • 墓地を見おろす家
  • 小池真理子「墓地を見おろす家」怖いと評判の作品。墓地を見おろす新築マンションに越してきた一家の周りに奇妙な出来事が次々と起こる。エレベーターでしか出入りできない地下フロアに閉じ込められたり、エントランスのガラス戸に白い手形が次々と現れたりと、たしかにぞっとする場面はあるが、登場人物の描写や細部のリアリティ不足であまり怖いと思えなかった。なぜ、の説明が無いまま恐ろしい出来事が続くのはホラーとしては欠 [続きを読む]
  • 騎士団長殺し
  • 村上春樹「騎士団長殺し」第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編 これを成熟とみるか、停滞とみるか。集大成ととるか、懐古趣味ととるか。評価が大きく分かれそうな印象を受けた。妻が離れていき、社会と隔絶された孤独な環境に身を置く。やがて非日常への誘い手となる不思議な存在やミステリアスな少女が現れて……。さらに、井戸のような深い穴、得体の知れない暴力の予感、戦争の記憶、完璧で奇妙な隣人、様々な楽曲 [続きを読む]
  • しんせかい
  • 山下澄人「しんせかい」作中では【先生】【谷】としか書かれないが、倉本聰が主宰していた「富良野塾」での日々を綴った小説。19歳。【先生】のこともよく知らなければ、俳優になりたいという強い思いがあるわけでもない。たまたま目にした新聞記事を見て飛び込んだ【谷】は、俳優教室というよりは小さな共同体で、日々小屋作りや農作業に追われる。一人称の語り手に主体性が無いことと、感情の機微をあえて描かないスタイルは最近 [続きを読む]
  • Africa Express
  • Maison Des Jeunes(2013)アフリカ・エクスプレス(Africa Express)は、ブラー(Blur)のフロントマン、デーモン・アルバーン(Damon Albarn)によるプロジェクト。ブライアン・イーノ(Brian Eno)らが参加し、2006年から各地でアフリカと欧米のミュージシャンのコラボによるコンサートを開き、アルバムもリリースしている。なかでもこちらは大傑作。In C Mali(2014)ミニマル・ミュージックの巨匠、テリー・ライリー(Terry Riley [続きを読む]
  • ホワット・イフ? ―野球のボールを光速で投げたらどうなるか
  • ランドール・マンロー「ホワット・イフ? ―野球のボールを光速で投げたらどうなるか」多彩な質問にユーモアたっぷりの回答。著者はNASAで働いた経験を持つ理系漫画家。ウェブサイトに寄せられた「空気圧で肌を温めるにはどれくらい早く自転車をこげばいいか」「どのくらいの高度から肉を落としたらステーキが焼けるか」といった質問に、シュールなイラストを交えて、科学的知見で回答する。たとえば、表紙に書かれている「光速の [続きを読む]
  • 誰が音楽をタダにした? ─巨大産業をぶっ潰した男たち
  • スティーヴン・ウィット「誰が音楽をタダにした? ─巨大産業をぶっ潰した男たち」「音楽を手に入れることだけが目的じゃなかった。それ自身がサブカルチャーだったんだ」よくあるネット史の概説書かと思いきや、一級のノンフィクション。事実は小説より奇なり。音楽が無料で(その多くは違法で)流通するのは、何となくインターネットの発達の必然で、自然にそうなったような気がしていたが、あくまで人の物語なのだ。“音楽をタ [続きを読む]
  • 夜市
  • 恒川光太郎「夜市」表題作と「風の古道」の2本。さまざまな世界が混ざり合い、対価さえ払えば何でも手に入る夜市。魑魅魍魎が闊歩し、世界の裏側を通って各地をつなぐ不思議な古道。設定だけ書いたら既視感のある話だが、舞台の見せ方や物語の進め方が巧みで、それがシンプルな文体と相まって非常に魅力的な世界を構築している。夜市で弟と引き替えに野球の才能を買った男は慚愧の念から再び市を訪れる。古道に迷い込んだ少年は、 [続きを読む]