グランドオープン特典のケーキ、俺の分は麻衣に譲ってやった。そうしたら仲悪そうだったのに2人でキャアキャア言いながら選び、運ばれて来たのは小さめのケーキ8個・・・・・・・・・って多くね?!「よく毎回それだけ食えるな・・・」「え~~~?だってふた口じゃん、こんなの」「牧野さん、痩せの大食いなんだね・・・」「ほ~~んと!その栄養、どこに消えてるんですかねぇ~~~?」「悪かったわね💢!」「胸に回せるようにセルフコントロー...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
グランドオープン特典のケーキ、俺の分は麻衣に譲ってやった。そうしたら仲悪そうだったのに2人でキャアキャア言いながら選び、運ばれて来たのは小さめのケーキ8個・・・・・・・・・って多くね?!「よく毎回それだけ食えるな・・・」「え~~~?だってふた口じゃん、こんなの」「牧野さん、痩せの大食いなんだね・・・」「ほ~~んと!その栄養、どこに消えてるんですかねぇ~~~?」「悪かったわね💢!」「胸に回せるようにセルフコントロー...
柑菜は所謂「一般家庭」で育った、極普通の女性だ。ただし両親は仲が悪く、いつも喧嘩が絶えなかった。罵り合う声、お互いの不貞行為、平手打ちの音、物が壊れる有様・・・その原因が家の経済状況に繫がっていたため、柑菜は同じ目に遭いたくないと思って高校まで過ごしてきた。父親も母親も柑菜のことは二の次で自分のことばかり・・・そんな冷えきった家族の中で育ったのだ。幸い勉強は出来る方で、なんとか頑張って奨学金を得て有名大...
「俺と牧野のことはあんた達には関係ねぇよな?てか、恋人だって抱き合うまでは友達・・・そうじゃね?」その言葉を聞いて3人がフリーズ・・・・・・確かにそうかもしれないけど///今の流れだと、そのうち私が・・・私達が・・・///そういうコト、するって言ってるみたいに聞こえるんだけどっ!!そんな言葉を出した西門さんはシレッとノンアル飲んで、「俺、変なこと言った?」なんて私に笑いかける・・・でも、こんな雰囲気が龍崎さんのハンター魂...
「随分仲良く話しているのね、あなた達。いつからそんなに親密な関係だったの?」「お義母様・・・」「まぁ、花沢副社長!もう義父とのお話は終わりまして?」少しの間3人で話していたら、そこに来たのは遙香だ。妖しいまでに美しい笑顔を浮かべ、ワイングラスを片手に類の横に立った。遙香の質問に答えるのは類が妥当だと思った美央は、まるで助けを求めるかのように「夫」を見上げる・・・逆に目の前の柑菜は話したくてウズウズしてい...
「お昼だって高嶋さんとすっごく仲良かったじゃないですか~~~」「その言い方やめてくれない?!」仲良かったんじゃなくて、極普通に接してたのよ!だって高嶋さんは大人だし、常識人だし真面目だし、誰かさんみたいに怒られるような事はしない・・・だから笑って話せるだけで、それを仲良しとは言わないっつーの!しかもさっきのはあんたが鞄をぶつけてきたからで、それも絶対ワザとだったよね?!「え~~~?ダメなんですか~?...
車の中でも類と美央の間に会話はなかった。とは言え険悪な空気などではなく、お互いに無口なだけ・・・運転手の方が何故か緊張し、時々バックミラーで類たちの表情を確認してしまうほどだ。ただ会話がないだけで、時々視線を向けている。今日の美央はパーティーメイク・・・それは結婚式以来で、とても美しかった。ブルーと黒という組み合わせなのでアクセサリーはゴールド・・・だが派手ではなく、トレスダイヤネックレスと言って、3つの...
西門さんがお迎えに来てくれる・・・だから今日は何が何でも定時で帰るために自分の仕事をさっさと終わらせ、龍崎さんの研修日報も早めにチェック。ものすごくお粗末な日報だけど、そんなのどうでもいいから私までテキトーに「来週も頑張りましょう」と書いて終り。・・・と言うか、こんなに丸っこい字で書くなっつーの!これも立派な会社の書類だってのに・・・・・・マジ、宇宙人っ💢!!西門さんの小筆文字、見せてやりたいわっ!「・・・でもあ...
12月9日・・・黒田の新会社設立記念パーティーの日の前日になった。遙香がパリを出たという報告は既に受けており、花沢家でも女主人の帰国に緊張感が溢れていた。遙香の部屋の空気の入れ替え、遙香の好きな食材、それに新しい寝具。各部屋の掃除は隅々まで徹底して行われ、庭師達も手入れに余念がない。シェフ達も遙香の滞在期間のメニューを練り直し、この数日間は誰もが焦った顔をしていた。それを取り仕切る加代は特に厳しい表...
会社に復帰して数日後・・・相変わらず龍崎さんは私に対してナメきった態度をとっていた。涼子達にも似たような態度だったけど、その中でも私には特に酷く、事ある毎に女としてのマウントを取られているような・・・?その理由は判らないけど、ホントに腹が立つ・・・💢でも新人を簡単に辞めさせない努力もしなくちゃいけなくて、やる気を引き出すような言葉を出しつつ、注意もしつつ・・・しかも初日には決まっていなかったんだけど、昨日正式...
朝食を食べ終えると、再びコテージに戻って10時前にはチェックアウト。その後、隣にある遊園地に向かい、そこで暫く遊ぶことにしていた。それはこの遊園地のフリーパスまで含まれているプランを予約したからだが、ここも4歳児までが遊べるアトラクションは然程多くない。だが絶叫系や危なっかしいものに乗るつもりはなかったので、つくしと本郷は真音を基準に遊ぶものを選んだ。「まぁ君、見て~~!アスレチックだぁ~」「のり...
スリランカ料理・・・つまりはカレー。でも今日はカレーの気分じゃなかったから、さっぱりと「しゃぶしゃぶがいいなぁ~」と言うと、西門さんは車を停めて何処かに電話してた。その口調が「西門だけど、今からOK?」みたいなノリだったので、居酒屋みたいな場所かな?と思っていたら・・・西麻布のお洒落なお店に来てしまった。しかもその入り口・・・・・・気軽な居酒屋じゃないし!!「あの、西門さん・・・ここは?」「あ?あぁ、この店は予...
21時になると子ども達は眠くなり、本郷と話し合った結果、2段ベッドの下の1つに2人を寝かせる事にした。そして真音が夜泣きをしたらいけないのでつくしがもうひとつある下段のベッドに寝て、本郷は子ども達の真上のベッド。ただ大人が寝るには少し早く、着替えだけを済ませて部屋の真ん中に座っていた。そしてつくしは温かいココア、本郷は何本目かのビール・・・既に顔が赤く、少し酔っているようだった。とは言え紳士的な態度は崩さ...
「総二郎さん、どうかしたの?何度もスマホをチラ見して」「・・・いや、なんでもない」月曜の昼飯・・・2週間だけだが俺の右隣に牧野が居たのに、今日は当然空席・・・だからなのか右腕がすげぇ寒く感じられて変な気分だった。それに何かメッセージでも入るかと思ってスマホを見るが、特に連絡はナシ。仕事が忙しいのか、それとも久しぶりで疲れ切ってるのか、将又足が痛いのか・・・そんな事を考えても判るはずもなく、俺から連絡するのもお...
自室に戻った類は、自分の案を美央に話した。すると美央は予想に反して「お義母様が帰国しているのに、それは出来ませんわ」と反対・・・美央が類の意見に反対することなど、これまでになかったので少しばかり驚いた。だが自分のいない時に美央と真利愛に何を言うかと思うと・・・美央は大人なので上手く対処するだろうが、真利愛はそうはいかない。しかも、もうすぐ3歳になる真利愛は周囲の物事への興味や関心が増し、好奇心や探求心も...
「西門さんとデキてんでしょ?」「は?!」「いいのいいの、隠さなくて!私、見ちゃったのよね~~」「なにを?!」仕事復帰初日のお昼、涼子が突然そんな事を言い出し、私は心臓にバズーカ砲撃ち込まれた気分!他の人がいる休憩室だったから私の大声でみんなが注目・・・それでも涼子はニヤニヤして「いつからなのよ~~!」と、その話をやめない。「あんた、あの合コンの後も会ってたんだ・・・」「涼子!ちょっと来て!!」私は彼女の...
つくし達のコテージではバーベキューが始まった。子ども達は本郷が焼くのを見ながら大はしゃぎで、つくしは焼き上がったものをトングで掴んで紙皿に乗せていった。「はい、熱いから気をつけて食べてね~」「うわぁ~~い!おばちゃん、トウモロコシ、まだある~?」「ママ、ぼくのは~?」「真音の食べられるもの、すぐに用意するから待ってね」まだ2歳の真音には分厚いステーキ肉や味の濃いものは食べさせられない。それに主食は...
野久保課長の話を聞き終わったら久しぶりの業務開始。机の上に置かれた山のような書類に目を通しながら、ふと顔を上げると涼子と目が合った。すると何故かニヤリと笑い・・・それが不気味で、小さな声で「なによ?」と言うと、向こうも小さな声で「お昼休みに話があるのよ」と言ってきた。なんだろう・・・?私、何かやらかした?・・・と考えたけど何も思い当たらない。しかも涼子のあの顔は仕事じゃない気がする・・・と、首を傾げていたら新...
土曜日の朝はいつもよりゆっくり始まる。でもこの日のつくしは逆にいつもより早く目が覚めた。そしてまだ寝息をたてている真音の横で、ぼんやりと天井を眺めていた。今日は本郷親子と一緒にキャンプに行く日・・・本当に今夜はあのコテージに泊まるのかと思うと落ち着かなかった。だから睡眠も浅く、頭が重い。でも子ども達は楽しみにしているので、今更中止と言う訳にもいかない。しかも予報では今日も快晴・・・土砂ぶりなら中止も出来...
4月の第3週目、私は職場に復帰することになった。その日の朝はいつも通りに起きて朝食をいただいたんだけど・・・何故かご機嫌ナナメなのは家元夫人。何度も「本当に大丈夫?」と言われ、その度に「大丈夫です」と答えるんだけど・・・「でもお顔の端っこ、まだ少し擦り傷があるんじゃない?」「このぐらい何ともないですし、痛くも痒くもないんで・・・」「でも足だってまだ庇いながら歩いてない?」「まぁ、完全完治までは6週間って言わ...
つくしが東京に戻って半月が経過した。その頃になって希望していた保育園の入園許可が出て、美来と真音は12月から同じ保育園に行くことになった。それが決まると必要な物を準備するために忙しくなり、つくしは「ほんごうみらい」と「まきのまこと」の名前を持ち物に書いていく作業に追われた。そんな木曜日の帰宅後、つくしが保育園の書類に目を通していると、本郷が申し訳なさそうに隣に座り・・・「本当にごめんね、美来の事を全...
真理子さんの爆弾発言で一同唖然・・・野久保課長は鬼のような顔で真理子さんを睨み、ワナワナと震えていた。でも言い返さないところを見ると、これは真実?そして私が着たのは・・・そんな着物だったってことーーーーっ?!西門さんもポカンとしてるし、真理子さんは俯いたままだし、私は社長達を見て震えが止まらない。多分この沈黙は数秒間だっただろうけど、私にはもの凄く長く感じた。そして低い声で「本当なのかね、野久保課長!」...
類が大分から戻って数日後、10月末日には別府のマンスリーマンションの契約が終了した旨の通知がスマホに届いた。その後、レンタカーも返却されて別府での調査は終了。が、その日の夕方に浦田からメールが入って来た。その内容はつくし事ではなく、本郷の引っ越しについての情報だ。それによると本郷の引っ越しは土曜で、つくしと同じ日ではなかった。そして行き先は関東・・・それを読んで、類は執務室の隣にある休憩室に入り、そ...
お店に入って来たのは野久保課長、そしてその後ろには4人のおじさんがいたんだけど、その中には見覚えのある人もいた。でも今はそれを思い出す作業よりも、この面子でご飯食べてる状況を見られたことで大パニック!!いや、まだ真理子さんが振り向いてないから大丈夫か?と思った瞬間、真理子さんが私の視線に気が付いたのか、ゆっくり振り向いてしまった!そして当然、野久保課長も真理子さんに気が付いて・・・「・・・・・・・・・っ!!」...
類が東京に戻ったのは日曜日の真夜中・・・日付が変わった頃だった。本当は19時前に着く大分発羽田行きの便に乗っていたが、わざわざ北海道の最終便に合わせて帰宅したのでこの時間になった。どうしてそんな時間にしたのかと言えば、美央にも真利愛にも今の顔を見られたくなかったから・・・明るい表情で真利愛に笑いかける自信がなかったからだ。だから土産も買わず、静かに屋敷に入った。出迎えたのは加代・・・まだ寝る支度もしておら...
赤羽のお店に着いたのは12時ジャスト!西門さんが急いでくれたので何とか間に合った。しかも真理子さんが教えてくれたお店も判りやすかった♪ただ駐車場がなかったので、近くのパーキングに停めることに・・・それを真理子さんにメールすると、『気にしないでいいよ~、お店で待ってるね~♪』との明るい返事。運良くすぐに入れることが出来たのはいいんだけど、私は急げないのでゆっくり歩いて店に向かっていたら、急に西門さんに「...
類と浦田が次に向かったのはひろみのアパートだった。彼女もこの土地でつくしと話している人物の1人だからだ。「でもこの女は牧野さんと関わってる本郷拓篤と言う男を狙ってた保育士ですからね・・・正直、あまり良い話は聞けないと思いますよ」「・・・・・・それ、勘違いだって言ってたよね」「まぁ、そこは俺でも判りませんよ。彼女も真実は知らなさそうでしたしね・・・ただ子供同士が仲の良い、シングルマザーとシングルファザーですから...
金曜日、私は13時少し前に真理子さんに電話をかけた。丁度彼女はランチタイムだったようで、電話にはすぐに出てくれてラッキー♪しかも真っ先に言ってくれたのは『元気にしてますか?怪我はどう?』・・・相変わらず明るくて優しくて、こんな人の着物をダメにして本当に申し訳ないと涙が出そうだった。怪我は順調に治ってるし、すでに固定も外してサポーターだけになったことを伝えると、それにもすごく喜んでくれた。『茶道の先生も...
「俺が探してるから逃げたってこと?それ・・・もう最悪だよね」消え入りそうな類の呟きに、総二郎はすぐには何も言えなかった。この男とてつくしには特別な想いがある・・・それは「愛」だとか「恋」だと言うものではなく、あの道明寺司を変えた女性であり、人に心を開かない類を笑顔にさせた女性だからだ。それ故に諦めるような言葉は聞きたくない。本当は怒鳴りたかったが、その勢いは自分の胸の中に押しとどめ、総二郎も声を抑えなが...
事故から10日間が過ぎた。この家の空気にはすっかり慣れて、客間のお布団でもぐっすり寝られるし、広すぎるトイレも快適になった。サッちゃんに頼んで自分でお洗濯もさせてもらって、複雑怪奇な廊下も1人で歩けるようになった。短い距離なら松葉杖がなくても痛くはないけど、明日病院に行ってシーネを取るかどうかの判断がされるのだそう。捻挫の治療で大切なのは”損傷度合いを正確に把握し、必要な固定を必要な期間だけ行い、...
浦田に言われた場所に着いたのは17時過ぎだった。類が浦田に直接会うのは今日が初めてで、タクシーから降りても何処に彼がいるのか判らず・・・コーポ坂井と書かれたアパートの前で、その建物を見上げていると1人の男が駆け寄って来た。「花沢さんですか?」その聞き慣れない声に振り向くと、中年のボサッとした男が目深に被った帽子の下で鋭い目を光らせる。「あんたが浦田?」そう尋ねると軽く頷き、辺りをキョロキョロしながら...
「待ってたわ~~~、さぁ、入ってちょうだいな」「お邪魔します・・・」「お袋、時間ねぇから早くしろよ」「判ってるわよ、せっかちねぇ、総二郎さんは!」西門さんと一緒に家元夫人の部屋に行くと、そこはやっぱり豪華な・・・と言うか、想像通りの超高級旅館仕様だった。しかも良い香り・・・複雑な模様の和箪笥にお洒落な1枚板のテーブルにはお花が飾られてるし、衣桁ってのがあって、そこには着物が掛かってた。しかもお部屋は奥にも...
夕暮れが近付いた空・・・下降する飛行機に真音が大きく手を振っていた。それが滑走路に着くのは見ることが出来なかったが、そろそろ門司に向けて出発しても良い頃だろう。つくしは真音を車に乗せ、新門司までのルートを確認・・・日出IC(ひじインターチェンジ)に向かい、そこから東九州自動車道を北上し、北九州JCTで九州自動車道に入り新門司ICで降りる・・・途中何度か休憩を取ってもフェリーの乗船時間には間に合いそうだ。これから2...
翌日の朝食時、西門さんが家元と家元夫人に、昨日の夜に話したことを伝えた。私が暇だから何かお手伝いさせて欲しいって事・・・そうしたら初めは「そんな事しなくていいからゆっくりして!」って言っていたけど、彼が「それが苦痛だっての!」って説得。話し合いの結果、お2人が許可してくれて、西村事務長さんの補佐で事務処理をする事となった。仕事内容としては後援会名簿のパソコン入力とか、会社で言う「総務系」の仕事。ずっ...
土曜日・・・朝から大分に行くつもりだった類の誤算は、前日来日したアメリカの取引先の要望で、昼までの時間を奪われたことだった。それは観光などではなく商談だったために受け入れるしかなく、午前中を花沢物産の役員会議室で過ごすことになった。「専務、そのような恐ろしい顔をしないでください」「してないよ・・・君がそう思うだけだろ」「・・・相手の社長もチラチラ見ていましたよ。特に専務は表情が伝わり難いので、少しは考えて...
勝手に会議室から出ていった野久保課長・・・💢一体なんだったんだ?!と腹は立ったが、真理子さんの事を話さなくていいのなら助かったとばかりに私も会議室を出た。そうしたらあの人はもう業務に戻っていて、私の方には目も向けない。涼子達には「何かあったの?」って聞かれたけど、「別に何も~」とだけ言って、業務終了後にはさっさと帰ることにした。更衣室から出たら野久保課長以外の課長と、部長には深々と頭を下げ、「次に来る...
金曜日になった。今日はつくしの引っ越し荷物を出す日で、朝から最後の荷物詰めでてんやわんやしていた。真音はいつもと違う様子に落ち着かず、つくしの服を引っ張って離さない。それがとても邪魔だったのだが、そんな事を言えるはずもなく・・・♪~♪~~「もしもし、本郷さん?」『引っ越し始まった?』「いえ、あと1時間ぐらいしたら引っ越し業者さんが来るんですよ」『じゃあ今から行くから、真音君を連れ出していい?』「え!真音...
「つくしーーーーっ!あんた本当に事故ったの?!」「牧野先輩、大丈夫なんですか?!」「その顔、どうすんのよーーーーっ!」「顔は死守しなきゃでしょうが!」「・・・おはよう、みんな・・・心配してくれてるのかどうか判んないけど、なんとか生きてるわよ」野久保課長を放っといて、急いで更衣室に入った途端、全員に叫ばれた。そりゃ頭に包帯巻いた人間が出勤したら驚くのは納得・・・こんな格好で仕事する方がヤバいって言われれたの...
数分後、それまで握り締めていたスマホをしっかり持ち直すと、すぐに電話をかけた。相手は別府で調査中の浦田。すぐにでもこの情報を教え、調べるように言うためだった。それは3コールめで繋がり、浦田は疲れたような声で『もしもし・・・』と気怠そうに電話に出た。そしてすぐに『そう急かされてもねぇ~』と言ったのだが、その言葉を最後まで聞かずに類が声を張り上げた。「明日、A町の○○保育園に行ってくれないか!」『えっ・・・・・...
「これで今日の稽古は終り・・・本気が伝わったか?」「・・・・・・はい。どうもありがとうございました・・・」今日も苦かったんだけど、少しは慣れてきた薄茶。本当言えばお菓子が後で、この苦さを打ち消したいんだけど・・・それを言ったら確実に怒鳴られると思い、黙っておいた。ただ、もう少し話をしてみたい・・・そう思ったから、片付け中の西門さんに「ちょっと聞いてもいい?」と言うと・・・「まぁ、普通は稽古中に聞くもんだけど・・・牧野は初...
浦田が真音の保育園を張り込んで1週間が過ぎた。だがつくしが現われる気配はなく、俄に焦りが出て来た。それならまた演技をしてでも確かめるしかないと思い、月曜日の夕方には歩いて保育園の入り口に近付いた。そして1人の若い母親が2歳ぐらいの子供の手を引いて出て来た瞬間、小走りで近付き、明るく「こんにちは~」と叫んだ。その母親は「こんにちは~」と答えたが、見慣れない男に困惑している様子・・・警戒されないためにも...
ーー牧野の本気度が判んねぇのに、無茶は言わねぇよーーそれを言われた瞬間、何故かムッとした。「本気でやるなら俺も真剣になる。そうじゃなくて興味程度なら俺もそれに合わせるってことだ」・・・そう言ってる時もニヤニヤしてて、まるで私は後者だと言わんばかりに・・・。そりゃ、ド真剣かと言われると素直に「はい」と言えない。だけど始めてみようかなって思った事に比べると、気持ちは随分違う・・・だからあんなに頑張って野点に参...
アパートの部屋には真音が見ているアニメの声だけが響いていた。その小さな背中の後ろではつくしと本郷が向かい合って座り、そして無言・・・・・・『どうだろう・・・俺と新しい人生を歩んでいけないかな。これまでの恋を捨てろなんて言わない・・・言い方は変かもしれないけど、良いパートナーとして暮らさないか?』これまでの恋を捨てないのに、新しい人生とは?良いパートナーと言うのは夫婦ではないと・・・?そんな風に本郷の言葉を繰り返...
少しは包帯とガーゼが減るかと思ったのに、逆に増えてしまうとは・・・まさかの追加治療だったけど、その左腕部分はそんなに酷くはなかった。むしろ固定していた右足の捻挫を余計に痛めたというか・・・お医者様にもくれぐれも気をつけるように言われたんだけど、そもそも原因は隣の男だし・・・。「ほんっとにドジだな!」「・・・ちょっとぼ~っとしただけよ///」「まぁ、見えない部分で良かったけどな」「へっ?どう言う意味?」「他人から見...
21時になり、本郷が眠くなった美来を連れてアパートから出て行く時だった。つくしは自分が作ったネーム入りの通園バッグ一式を「使って下さい」という言葉と共に差し出した。それを受け取った本郷は、バッグをマジマジとみて、その名前に気が付き目を大きくさせた。「えっ・・・これ、牧野さんが?」「はい。初めてなんであまり綺麗じゃないけど、新しい保育園で使ってもらえたらと思って・・・」「・・・・・・名前がちゃんと入ってる・・・」...
「おはようございま~~~す、牧野様」誰かが呼んでる気がして目を開けようとしたけど瞼が重くて開かない・・・と言うか、あまりにも気持ちいいお布団で、この中から出たくない。私、こんな良いお布団買ったっけ・・・・・・軽いし暖かいし、もう最高なんだけど・・・「何処か痛みますか?大丈夫ですか?」「・・・・・・・・・う~~~ん」「もうすぐ朝食ですよ?牧野様~~~」「・・・・・・っ!」朝食というワードでパチッ!と目が覚めた。そして1人の女...
その水曜日の昼間、つくしは本郷と連絡を取っていた。『えっ?保育園を退園する・・・じゃあ会社は?』「それも相談したいんです。すみませんが、もうあのお店で働くことも出来ないかと・・・」『そうか・・・そうだよね、真音君を退園させるなら仕方ないよね』「本当に申し訳ありません。会社の手続きは本郷課長に手続きをお願いしてもいいですか?」『うん、それは構わないけど・・・』「それで保育園に退園届を出さなくてはならなくて、でも...
「・・・・・・ったぁ・・・!」「いたたたた・・・また何処か擦り剥いたかも・・・・・・」「・・・・・・・・・えっ?」「・・・・・・・・・あ・・・」気が付いたら俺は牧野の上に重なるように倒れてて、牧野は両手広げた状態。指輪を握ってた俺の右手は床だったが、もう片方は牧野の胸の上・・・そして顔と顔は15㎝ぐらい。焦点が合わないほどの至近距離だし、牧野のワンピは捲れて太股丸だしだけど、その足の上には俺の足・・・。しかも何故か俺の左手、広げた状態で胸に...
つくしがアパートで本郷と会っていた頃、真音の保育園の近くでは車で張り込んでいた浦田がイライラしていた。それはつくしの姿が確認出来ないからで、本当言えば今日にでもつくしを直接確認して、類に報告して指示をもらうつもりだったからだ。別府に来て2ヶ月以上・・・正直こんなに早くに見付かるとは思っていなかったが、さっさと東京に戻りたいのが本音。それに成功報酬まで入れると2000万だ。早くその金を手に入れたくてウ...
なんやかんや言って私は西門流でお稽古する羽目に・・・と言うか、断わることが出来なかった。もちろん今は捻挫してるし包帯だらけだから正座しないけど、座って出来るお茶室もあるらしくて、そこで西門さんに教えてもらうことになった。「じゃあ牧野さん♪これからよろしくね~」「まぁ、ゆっくり始めるといい。総二郎、頼んだぞ」「てか牧野の姉ちゃん、俺の教室に来たら良かったのに~~」「えっと・・・まだ頭がこんがらがってるんで...
本郷がつくしのアパートに来たのは10時半だった。空いている駐車場に車を停め、辺りを確認してから素早く降りたが、よく考えたら「つくしを探している男」はこのアパートは知らないはず・・・だから足早に2階に上がると、チャイムを押した。そのドアはすぐに開き、本郷は言葉も交わさずに中に入った。「ごめんね、驚かせて・・・落ち着いた?」「・・・はい・・・会社、大丈夫ですか?」「あぁ、保育園のことで市役所に行くって話して出たか...
どうにかこうにか夕ご飯を食べ終えたのに、突然家元夫人に言われた一言・・・「カルチャーセンターの茶道教室ではなく、うちでお茶を習わない?私がお稽古を付けてあげるから、ここでやってみないこと?」あまりにも綺麗な顔であっさり言うもんだから一瞬フリーズ・・・と、言うかこれまでの自己調査&体験で「家元夫人」がどんな人かは判ったんだけど、その人が私にお稽古?それに多分、イイトコのお嬢様が申し込んでも、一発OKなんて...
月曜日、東京から戻った本郷はいつも通り保育園に美来を連れて行った。そして担任保育士に預け、さっさと帰ろうとした時に背中側から声が掛かった。「本郷さん、おはようございます」「・・・・・・あなたですか。おはようございます・・・」呼び止めたのはひろみだ。そして今日はいつも以上にニコニコして近付いて来た。本郷としては先週彼女に辛辣な態度をとったつもりだったので、まさか話し掛けてくるとは思っておらず、かなり驚いた。...
西門家のダイニング・・・てっきり和室なのかと思ったら、レトロな感じの洋室で、大正浪漫風なテーブルと椅子だった。天井を見上げればやっぱりレトロな照明器。マジマジとみると米国MINKA-LAVERY社のシーリングライトが2つ・・・これ、1個30万円ぐらいするんじゃないの?と思って見上げていたら、西門さんに「後ろにひっくり返るぞ」と言われて慌てて元に戻した。そして正面を見ると・・・家元夫妻と考三郎先生っ!挨拶よりも先に照明...
ふなばしアンデルセン公園に着いたのは10時前で、類たちは南ゲートから入った。その付近が小さな子供向けだというので、1番初めに向かったのはキッズガーデンと呼ばれる場所。ここには3歳までの子供が楽しめる遊具が沢山あるからだ。類がランチボックスと真利愛の着替えなどを入れた鞄を持ち、美央が真利愛の手を引いて通路を歩く。外遊びには丁度いい季候なので、そこには既に何組かの家族が来ていた。真利愛は同じような年頃...
家元夫人も西門さんも、志乃さんも出ていった・・・そして部屋に残ったのは私とサッちゃん。彼女はおトイレやお風呂用品に不足がないか、念入りに調べてくれていた。紺色の着物着てキビキビと・・・しかも居候に1人の使用人さんを付けるなんて、なんて贅沢なんだろう。こんな人が数十人もこのお屋敷にはいるってことだよね?一体西門家ってどんだけお金持ちなんだろう・・・借金のカタに売られそうになった過去がある私には想像出来ないん...
「ぱっぱ、はよ~~~~~♪」「うわっ!!・・・・・・あぁ、真利愛か・・・・・・」日曜日の朝、寝ていた類の上に飛び乗ったのは真利愛。寝癖でボサボサの髪をもっとグシャグシャにしながら、「あしゃでしゅよ~~~!」と上機嫌だ。そんなお転婆娘を捕まえ、「悪戯っ子め!」と言って自分の布団の中に入れて遊んでいたら、すぐ近くでクスクス笑う声が聞こえた。それは美央で、真利愛の荷物を揃えながら「おはようございます」と・・・類が身体を...
私が通されたのは母屋・東棟の中にある数少ない洋室の客間・・・西門さんのお部屋から100メートルぐらい離れてる場所だった。てか、普通の家じゃ考えられない距離。一体どれだけ部屋があるのか判らないぐらい広くて、まるで温泉旅館・・・私は「西門温泉」の離れで暫くの間泊まることになったみたい。その部屋に入ったら西門さんは「俺は少し仕事があるから」って出ていき、志乃さんも「宗家の皆様にご報告してきますので」と言って出...
ひろみと浦田が睨み合って数秒間・・・ニヤリと笑ったひろみが「探してるのはあの子の父親?」と聞いた。かなりグレーな行動をしている情報屋とは言え、浦田はプロだ。だから依頼主の詳細を話すことはない。だが情報を得るために、氏名も住所も言わずに「そうだ」と答えた。「・・・牧野って人、どうしてシングルなの?もしかして黙って旦那から逃げて来たの?」「それをあんたが聞いても意味ないだろう?質問に答えてくれればいい・・・彼...
西門さんと車の中で言い争いになったけど、これは西門さんの希望じゃなく、ご両親の希望。事故の責任を感じてってことだし、あの男の子の家が西門家と大事な間柄・・・あれこれ言われて頭がこんがらがり、とうとう行く事を承諾した。それでも自分のカバンひとつも持たずに行くのは気が引ける・・・そう言うと、西門さんがアパートに向かってくれた。「でもお前の部屋は2階だろ?階段、上がれねぇだろ」「別に上がれると思うけど・・・松葉...
金曜日の朝、本郷が美来を連れて保育園に行くと、いつもより無愛想な表情のひろみが出て来た。そして美来を預けた後、退園届を園長に手渡したことを伝えられた。いつもより笑顔の少ない彼女だったが、元々ウンザリしていた本郷はそれについて何も触れることはなく、いつものように「シッターが迎えに来るのでよろしく」とだけ言って車に戻ろうとしたが・・・「あの人、もう迎えに来ないんですか?」そんな言葉を言われて立ち止まった...
「2日目の方が身体が痛いというのは本当なんだ・・・・・・」次の日、朝起きた瞬間に激痛が全身を襲った。昨日はそんなに思わなかったんだけど、一晩寝たらあちこちが痛い・・・ベッドから降りることもすぐには出来なかった。それを看護師さんに言うと、すぐに病室来たのは西門家の主治医先生。その人が丁寧に教えてくれたんだけど・・・事故の翌日と言わず、しばらくしてから痛みが出る場合があるのは何故か。その原因は色々あるらしいけど、...
美央が同窓会に出席してから数日後の木曜日・・・20時に類が帰宅すると加代が心配そうな顔で近付いて来た。その時、2階では美央が真利愛を寝かしつけ中で、類の出迎えには来ていなかったのだ。そのままリビングに向かい、昼間の報告を受けたのだが・・・「美央の様子がおかしい?」「はい・・・随分沈んでおられまして、真利愛様のお声も聞こえないほどで・・・」「食事は?」「あまり召し上がっておいでではないです。お顔の色も悪いのでお...
西門さんとご飯を食べたあと、暫くしたら看護師さんが来てベッドに戻るように言われた。その時に事故の時に一緒にいたお爺ちゃん達が見舞いに来ると聞いたので、西門さんも同席することになったんだけど・・・折角茶会の話を聞いていたもんだから少し残念。でも一応怪我人だし?こんな特別室で豪華な和食セット食べてるのがバレたら、それも少し恥ずかしいし?わざわざ具合悪いフリなんてしないけど、大騒ぎして救急車で運ばれたんだ...
月曜日から浦田は再び美来の保育園に張り付いた。だが当然つくしは現われない。それは判りきっていたので、今のターゲットはひろみだった。先週のひろみの様子から、つくしに関する動きがあるのでは・・・そう思っていたからだ。その張り込みが3日間続いた時、浦田はある事に気が付いた。それはひろみが1人の父親に対してだけ態度が違うと言うこと・・・毎朝小さな女の子を連れてくる男を見ると、奥の方から出て来てニコニコと話し掛け...
牧野と野久保が同じホテルに・・・それを聞いて身体が前のめって大声が出てしまった。が、慌てて姿勢を戻し、コホンと咳払い。志乃さんがクスクス笑ってやがったが、それを無視して「何処まで行ったんだ?」と聞くと・・・「工場は横浜にあって・・・」「はぁ?横浜なら帰りゃいいだろうが!」「だって昨日の夜は泊まったホテルで懇親会だよ?帰りたかったけど帰れないじゃん!」「・・・・・・まぁ、そうか。会社の研修だもんな」「そうだよ!私...
湯布院フローラルビレッジを出た4人は、車で少し移動した公園でおやつタイムにした。ここでもつくしお手製のマフィンとかぼちゃ餅は好評で、本郷も2つめのマフィンに手が伸びていた。美来はかぼちゃ餅を美味しそうに食べて、「おばちゃん、また作って~!」と・・・真音はマフィンを両手で抱え、ポロポロ溢してみんなを笑わせていた。それを食べ終わると、次に行く場所をスマホを見ながら考え中。すると本郷が「自分の箸が作れる場...
着物が再起不能・・・・・・西門さんがそう言って椅子から立ち上がり、すぐ近くに置いてあった着物を持って来てくれた。それは確かに真理子さんの着物だったけど、汚れてる上に破れてる・・・本当に無残な姿だった。「帯はそうでもねぇけどな・・・てか、これはレンタルか?」「・・・・・・・・・・・・」「レンタルなら西門が弁償してやるから、どこのレンタル屋か教えてくれ」「・・・・・・・・・・・・」「おい、しっかりしろ。お前が放心状態になっても着物は復活...
リビングに入った美央は驚いた。その後ろではドアを閉める柑菜・・・そして「どうぞ、座ってちょうだい」の声が聞こえてゾクッとした。「柑菜・・・これはどういうこと?」「見ての通りよ?今日は私とあなたの同窓会・・・こうでもしないと2人きりになれないじゃない」「招待状は嘘だったの?」「あはは!相変わらず騙されやすいのねぇ、美央って!」「どうしてこんな事を・・・!」「だって花沢邸だと見張りがいるんですもの」その部屋には誰...
「お前、ここで何してんだ!!俺の声が聞こえてんなら返事しろ!おい、牧野!!」そう叫んだけど牧野の目は開かない・・・出血はなさそうだったが、もしかしたら頭を強く打ったのかもしれない。だからむやみに動かさず、誰かが「救急車を手配しました!」と言う言葉を聞いて、それを待つ事にした。真後ろには客が大勢いて大混乱・・・そのうち親父達も来て、お袋が「まぁ、このお嬢さんが?!」と叫んでいた。そんな事よりも着物の状態で...
美央が黒田邸に着いたのは約束の時間の5分前・・・初めて見る黒田邸は、花沢に比べると小さいものの、その周辺ではかなり目だつ洋風の邸宅だった。重厚感のあるアプローチ、スクエアなフォルムの建物、クリーム色の外壁にあえて黒の縁取りの窓。外光をふんだんに取り入れる西洋的なデザインであり、来客に丸見えのガレージには高級車が2台・・・気になったのは人の気配があまりしないことだった。美央はどちらかというと遅く来た方だろ...
家元夫人のお茶席には年配の女性が多かった。しかもみんな「奥様」って感じで、カルチャーセンターのおばちゃん達とはちょっと違う・・・しかも皆さん、作法に困ってないようで流れるような所作でお茶碗を受け取っていた。私と言えば、茶道は考三郎先生の体験見学とカルチャーセンターのお稽古が3回のみ。まだ教えてもらわなきゃお茶碗も持てないし、お菓子の食べ方もイマイチ・・・そう思っていたら、志乃さんが「もうすぐお菓子が来ま...
つくし達が湯布院に着いたのは昼前で、まず向かったのは「トリック3Dアート 湯布院」。トリック3Dアートとは二次元である壁や床に立体感のある三次元的な世界を表現した、所謂「だまし絵」のこと。平面の絵が立体的に見えたり、角度により異なる絵が見えたりと、目の錯覚を利用した不思議な世界が楽しめる美術館だ。ここではコンピューターグラフィック(CG)による作品を展示しており、スケールが大きいことで有名だった。外...
「それにしても玄関までが遠いなぁ・・・」武家屋敷並の門を潜ってから歩くこと50歩以上・・・まだ玄関が見えない事に吃驚した。両サイドには植木とか岩とか、地面には敷石とか玉砂利とかで、大きな旅館でもこんなに遠くないんじゃ?って思っていたら、後ろから志乃さんが追い付いてきた。そして私に「受付をしましょう」と言ってくれたのでついて行くと、漸く玄関が見えて来たんだけど、それは広い裏口より更に広くて豪華な玄関・・・そ...
10月の第一日曜日、つくしは早起きして弁当を作り始めた。この日の為に買った4段重ねのランチボックスを並べ、まずはその1つに6種類のおにぎりを15個。このぐらいあれば足りるだろうと思い、ツナマヨ・おかか・サケ・塩昆布・煮卵・牛肉のしぐれ煮の具材を大急ぎで作った。「サバのおにぎりは子供には無理だろうからな~これはうちのおかずにしようっと♪」おかずは定番の唐揚げに、昨日の夜作っておいた筑前煮。卵焼きにさ...
真理子さんに水屋見舞いのお菓子をもらい、かかった費用を精算してホテルを出たのは予定よりも10分遅れた14時10分。それでもお茶会には間に合うので、何度もお礼をいって先にタクシーに乗り込んだ。その時にも「堂々としてたらいいですからね!」ってアドバイスくれて・・・とは言え、堂々と失敗したら、それもそれで恥ずかしい。だから隅っこでおとなしく見学しようと思っていた。まずは研修荷物を置くために自宅アパートに行...
情報屋の男は翌日から3日間、毎日朝と夕方の時間帯に保育園を監視した。が、加藤は毎日現われるが、つくしと思われる人物の姿は確認出来なかった。それなら別の母親にも聞き込みをしてみようかと、4日目になる土曜日の夕方、歩いて保育園に近付き、少し離れた路地で誰かが出て来るのを待った。そうしたら18時頃に1人の若い女性が出て来て、門の前を掃除し始めた。その行動からこの保育園の保育士だとわかり、カマを掛けること...
品川までの時間が長い・・・15分ぐらいしか乗ってないのに、もう3時間乗ってるぐらいに感じてるし、ドキドキも半端ない。この緊張感を少しでもやわらげるためにスマホでもう1回作法について勉強しようかと思ったけど、座ることも出来なかったから無理。野久保課長は私とは違う車輌に乗ったみたいだから姿は見えなかった。それにはホッとして、あとどのくらいで着くのかを、窓の外を見ながら考えてたら・・・次はもう品川だった!「や...
本郷に転勤の辞令が出たのは10月に入ってすぐだった。配属先は東京本社の管理課だ。この夏、本社総務の課長に社内規定違反があり、話し合いの結果依願退職をしたという事例があったのだ。本郷の移動はその後任のためなのだが、元々東京出身なので地元に戻った方が子どものためだと上司が判断し、本郷を推したという経緯があった。本郷としては東京に戻らなくても良かったのだが、その話をされたのは異動が決まってからだった。「...
3月30日・・・今日は類の誕生日。じゃなくて、桜の茶会の日・・・面倒臭ぇなぁ~と思いつつ身体を起こすと、いきなり背中がゾクッとした。「・・・なんだ、今の悪寒・・・風邪引いたか?」とは言え熱っぽくもねぇし咳も出ない。鼻も詰まってないし怠くもない・・・むしろ体調不良になって欲しいぐらいなのに、身体だけは元気そうだ。なんて事をブツブツ言いながらベッドから降り、身仕度を整えたら仏間に向かった。何故なら茶会や茶事の日はご...
暑い夏が過ぎ、9月後半・・・漸く涼しい風が吹くようになった頃。庭に植えていた向日葵が枯れ、その種を美央と真利愛が採っていた。「ママ、こえ、なぁ~に?」「これは向日葵の種なのよ。これを土に植えると、来年また向日葵が咲くの・・・お花はね、こうして増えていくのよ」「ふぅ~~~ん」「うふふ・・・大事にとっておいて、来年の夏にまた植えましょうね」「あいっ!」「じゃあこの箱に入れていってね、真利愛ちゃん」「ん♪」そんな...
その日の研修はあっという間に終わった。なんてのは嘘で、本当は長かった・・・・・・。照明器具なんてパソコンの画面でしか見ないから現物を見られるのは嬉しいけど、その製造工程にあまり興味はない・・・と言ったら怒られるから真面目に見たけど、正直見ても意味が判らない。それに勉強会では「部屋の広さと明るさの目安」とか「照明器具のデザインや材質」とかって専門的な説明があったけど・・・途中で目を開けた状態で寝てたと思う。「電...
翌日、つくしはいつもより少し早めに起き、子ども達の朝ごはんを作った。小さめのおにぎりにオムレツ、そして昨日の残りの中華スープ・・・小さな食器を2つ並べると、自然とそこに真利愛の顔が浮かんだ。花沢家の朝食・・・真利愛はどんな風に食べているのだろう。これは毎日想像してしまうのだが、その度に小さく首を振り、その光景を打ち消してきた。「真音、美来ちゃん、朝だよ~~!」「・・・・・・ん~~~」「あさぁ?・・・ふぁあぁ~~~...
桜の茶会まであと少し・・・今年もお嬢達が着飾ってくるんだろうなぁと溜息吐いていたら、背後に人の気配。誰だ?と思って振り向いたら、何故かニコニコしたお袋が立っていた。その笑顔が超不気味・・・我が母親ながらゾッとした。「総二郎さん」「・・・なんだ?最近ヤケに声掛けてくるな」「桜のお茶会に特別に呼ぶ人はいないの?」「は?特別ってなんだよ・・・別にいねぇけど?」「あら、いないの?遠慮しなくてもいいのよ?」「野点にどん...
以前1度だけ迎えに来たことがある美来の保育園。そこに着いたのは17時で、つくしは園の駐車場に真音を残したまま急いで玄関に向かった。そして本郷から頼まれて美来を迎えに来たことを告げると、廊下の奥から出てきた美来はニコニコ笑って「おばちゃんだぁ~」と・・・。「美来ちゃん、先生からお話し聞いた?」「うん、パパが病気になるかもしれないから、今日と明日はまぁ君ちにお泊まりって!」「そうそう。突然だからこのまま...
ホワイトデーの余韻に浸っていた15日。会社に行ったら突然「工場見学」の話をされた。それはメーカーの照明器具工場に行くという研修なんだけど、照明器の製造過程を見学したりショールームを見せてもらったりして、夜は大宴会・・・よって、横浜にその工場があるから遠くはないんだけど泊まりになる。しかも日程は2週間後の29日(金)と30日(土)・・・あまりにも急な話に驚いた。「なんでそんな急なの?普通は2ヶ月前ぐらいに...
8月の間中、つくしは歳の近い職場仲間に無視をされ続けた。だがつくしは過去の経験からなのか、他の連中が思うほどのダメージはなかった。そうしているうちに話し掛けてくる人も出て来たり、初めからあんな噂を気にしない年配のパート従業員とは会話も出来るようになっていた。気をつけたのは本郷との接触・・・あれから数回本郷が店舗に来たが、それを見掛ける度にバックヤードに入った。本郷も忙しかったようでつくしに会いに来る...
お手軽に「居酒屋」を言うと思った俺が馬鹿だった。まさかの「うなぎ」・・・そう言われたら都内の専門店に行くしかないと思い、そこに電話を入れた。そうしたら丁度個室がひと部屋空いていると言われ、そこを予約することに・・・おそらく2万円のコースだろうが、金額よりもその内容に納得するのか?と心配だった。なんたって「うなぎづくし」だから他のものが殆どない・・・あとで「物足りなかった!」と言いそうだが?うなぎの旬は冬と...
花沢邸の庭は芝生が殆どで、大きな花壇や温室、池などはない。あるのはガゼボと輸入した木製のゆりかごブランコ、そして真利愛と美央が育てている向日葵の花壇と、真利愛の為に作った小さな砂場があるだけだった。柑菜がどうしてもと言うので子ども達を庭に出したが、容赦なく照りつける日差しを避けるため、使用人が急いでパラソルとテーブルに椅子、そして飲み物を用意したりと大変だった。この時は加代もテラスから真利愛と瑛翔...
3月14日・・・俗に言うホワイトデーの当日、私達女子社員は朝から茫然としていた。何故なら、休憩室のテーブルにのど飴の袋が3つ置いてあったから・・・「・・・ねぇ、まさかだけど」「これが・・・お返しってことはないわよね?」「去年までは高級洋菓子店のケーキだったよね?しかもその中でも高いヤツで、色々選べるようになってて・・・」「毎年あみだでケーキを選んでたよね?」「・・・・・・・・・」←毎年あみだで残りものになっていたつくし「...
九州旅行が終って数日後、類はいつもと変わらない日常へと戻った。今日も専務執務室で書類に目を通し、パソコンを睨み、メールを返信・・・ただ1つ変わったと言えば、常にあの御守を持ち歩いているということだ。それが息子のものかどうかは不明だが、鞄の中に入れて一緒に出勤していた。そしてもうひとつ・・・机の引き出しに入れている、私用のスマホに入る連絡を待つようになった。旅行から帰った日の夜、類は情報屋に連絡を入れた。...
雛の茶事が終って4日目・・・歳のせいか、通常より長く休んだお袋が復活した。そして俺達の前に出て来たんだが、毎年のように言われる言葉がなくてちょっと気持ち悪かった。それは・・・『どのお嬢様が印象的だった?』とか『連絡取りたいお嬢様はいなかったの?』ってヤツ。何故なら雛の茶事は「桃の節句」に合わせてるから、お嬢達は超着飾ってくる。例年ならお袋が亭主だから、俺や考三郎は茶事の前後に挨拶するだけ・・・それでもお嬢...
翌日、つくしはいつも通りに起きて朝食を作り、真音を起こしてから保育園の準備をした。月曜日の保育園荷物は大量だ。連絡帳などの毎日の荷物は当然で、真音の保育園は昼寝用の布団も持参だった。それにおむつも取れてないので数枚用意し、夏だからタオルに水着もある。汗をかくので着替え3組に帽子、スモックも加わり、大容量のバッグに布団袋、それに真音の通園リュック。つくしは落とした御守の代わりに黄色いマスコット人形を...
3月に入って1番初めの月曜は4日。それは私の茶道デビュー・・・カルチャーセンターは18時30分からの1時間半なので、仕事が終わったら早めに事務所を出なきゃ間に合わない。それなのに今は月初の仕事がてんこ盛り・・・「おい、お前・・・」「・・・・・・・・・・・・」「おい、聞こえないのか」「私はお前ではありません。名前を呼ばないのなら答えられません」この1ヶ月、殆ど「牧野」と呼ばれない状態が続き、私は我慢の限界だった。そもそも上司から...
旅行の最終日、類たちは午前中に湯布院を観光した。始めに行ったのは「湯布院フローラルヴィレッジ」で、ここはイギリスのコッツウォルズ地方の街並みを再現したミニテーマパークだ。全体がイングリッシュガーデン風に仕上げられており、色とりどりの美しい花々が咲き乱れた庭と、小さな動物たちもいる。敷地はそれほど大きくないのだが、とにかく可愛らしく、湯布院では異彩を放つ場所だ。ベルトラン家の子ども達には然程珍しい建...
2月の終り・・・私は会社帰りにとあるカルチャーセンターに向かった。そこには茶道があり、表千家の先生に教えてもらえるって事だったから・・・本当は考三郎先生のところに行けばいいんだろうけど、牧田って偽名を使ったし、西門さん絡みで行きにくい・・・出来が悪いのは判っているから、それをイチイチ報告されるのは恥ずかしいし。それは涼子達にも誰にも言わず、こっそりと・・・別にすごく興味がある訳でもなかったんだけど、折角西門さ...
『もしもし、類?どうしたんだ、急に・・・』「・・・・・・ごめん、今少しいい?」『あぁ、今日の仕事は一段落したから・・・震えてんのか?』その声は西門総二郎・・・唯一日本に残ってる友人だ。そして真音・真利愛の事は説明済み。現時点で類の話を聞けるのはこの男しかいなかった。類は総二郎に旅行についての説明と今日の出来事を伝え、総二郎はそれを最後まで黙って聞いていた。だがここでも答えは同じ・・・『キツい事を言うが、まことって名...
牧野が言った『その後の電話で言ったじゃない』・・・それを思い出そうとしたが思い出せない。そう思ってスマホを手に取り、通話履歴を見てみると牧野とのやり取りが数件・・・「あぁ、そうか・・・レーズンは牧野からかかってきた電話か。で、その後俺がかけてるけど・・・思い出した、野久保の名前を聞いたんだ!で、そのすぐ後に牧野から?そんなやり取りしたっけ・・・」そこで画面を睨みながら暫く考えてると、森田さんの車にスマホを置いて...
地獄巡りから自宅近くまで戻ったのは17時前で、後部座席の2人はまだ爆睡だった。本郷も「やれやれ」と苦笑いだし、つくしも「疲れたんでしょうねぇ」と・・・そこで考えたのは夕食だ。つくしは自分で作れるが、本郷はこれから帰って、自炊するのかと聞くと・・・「ははは・・・簡単なものなら作るんだけど、土日は殆ど惣菜かなぁ・・・特に今は暑いから作る気しなくて」「そうですよね~、それは私も同じです」「掃除や洗濯はなんともないん...
最悪な14日が始まり、その日1日中野久保課長とは口をきかなかった。向こうも腹がたってるのか、直線距離で2メートルなのに私への用件は総て社内メール・・・しかも『お疲れさま』も『よろしくお願いします』の文字も無し!涼子達もビビってるし、休憩室では「何よ、あれ!」って感じで、早くも私以外の営業課女子社員全員を敵に回してた。「顔は良いんだけど性格悪っ!」「なんかイメージダウンだわ~~、ガッカリした!」「来年...
美央が車に戻ったとき、そこには1台しかなかった。もちろん残っているのは自分が乗っていた車だが、慌てて車のドアを開けると、そこには類が座っていて、真利愛と遊んでいたのだ。「あら?類様・・・どうなさったんです?」「少し前にベルトラン氏の車が出ただけ。気にしなくていいよ」「でもご案内のお役目が・・・申し訳ありません、私が少し遅くなったから怒ってしまわれたとか?」「いや、全然。これまで一緒だったせいで俺が真利愛...
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グランドオープン特典のケーキ、俺の分は麻衣に譲ってやった。そうしたら仲悪そうだったのに2人でキャアキャア言いながら選び、運ばれて来たのは小さめのケーキ8個・・・・・・・・・って多くね?!「よく毎回それだけ食えるな・・・」「え~~~?だってふた口じゃん、こんなの」「牧野さん、痩せの大食いなんだね・・・」「ほ~~んと!その栄養、どこに消えてるんですかねぇ~~~?」「悪かったわね💢!」「胸に回せるようにセルフコントロー...
柑菜は所謂「一般家庭」で育った、極普通の女性だ。ただし両親は仲が悪く、いつも喧嘩が絶えなかった。罵り合う声、お互いの不貞行為、平手打ちの音、物が壊れる有様・・・その原因が家の経済状況に繫がっていたため、柑菜は同じ目に遭いたくないと思って高校まで過ごしてきた。父親も母親も柑菜のことは二の次で自分のことばかり・・・そんな冷えきった家族の中で育ったのだ。幸い勉強は出来る方で、なんとか頑張って奨学金を得て有名大...
「俺と牧野のことはあんた達には関係ねぇよな?てか、恋人だって抱き合うまでは友達・・・そうじゃね?」その言葉を聞いて3人がフリーズ・・・・・・確かにそうかもしれないけど///今の流れだと、そのうち私が・・・私達が・・・///そういうコト、するって言ってるみたいに聞こえるんだけどっ!!そんな言葉を出した西門さんはシレッとノンアル飲んで、「俺、変なこと言った?」なんて私に笑いかける・・・でも、こんな雰囲気が龍崎さんのハンター魂...
「随分仲良く話しているのね、あなた達。いつからそんなに親密な関係だったの?」「お義母様・・・」「まぁ、花沢副社長!もう義父とのお話は終わりまして?」少しの間3人で話していたら、そこに来たのは遙香だ。妖しいまでに美しい笑顔を浮かべ、ワイングラスを片手に類の横に立った。遙香の質問に答えるのは類が妥当だと思った美央は、まるで助けを求めるかのように「夫」を見上げる・・・逆に目の前の柑菜は話したくてウズウズしてい...
「お昼だって高嶋さんとすっごく仲良かったじゃないですか~~~」「その言い方やめてくれない?!」仲良かったんじゃなくて、極普通に接してたのよ!だって高嶋さんは大人だし、常識人だし真面目だし、誰かさんみたいに怒られるような事はしない・・・だから笑って話せるだけで、それを仲良しとは言わないっつーの!しかもさっきのはあんたが鞄をぶつけてきたからで、それも絶対ワザとだったよね?!「え~~~?ダメなんですか~?...
車の中でも類と美央の間に会話はなかった。とは言え険悪な空気などではなく、お互いに無口なだけ・・・運転手の方が何故か緊張し、時々バックミラーで類たちの表情を確認してしまうほどだ。ただ会話がないだけで、時々視線を向けている。今日の美央はパーティーメイク・・・それは結婚式以来で、とても美しかった。ブルーと黒という組み合わせなのでアクセサリーはゴールド・・・だが派手ではなく、トレスダイヤネックレスと言って、3つの...
西門さんがお迎えに来てくれる・・・だから今日は何が何でも定時で帰るために自分の仕事をさっさと終わらせ、龍崎さんの研修日報も早めにチェック。ものすごくお粗末な日報だけど、そんなのどうでもいいから私までテキトーに「来週も頑張りましょう」と書いて終り。・・・と言うか、こんなに丸っこい字で書くなっつーの!これも立派な会社の書類だってのに・・・・・・マジ、宇宙人っ💢!!西門さんの小筆文字、見せてやりたいわっ!「・・・でもあ...
12月9日・・・黒田の新会社設立記念パーティーの日の前日になった。遙香がパリを出たという報告は既に受けており、花沢家でも女主人の帰国に緊張感が溢れていた。遙香の部屋の空気の入れ替え、遙香の好きな食材、それに新しい寝具。各部屋の掃除は隅々まで徹底して行われ、庭師達も手入れに余念がない。シェフ達も遙香の滞在期間のメニューを練り直し、この数日間は誰もが焦った顔をしていた。それを取り仕切る加代は特に厳しい表...
会社に復帰して数日後・・・相変わらず龍崎さんは私に対してナメきった態度をとっていた。涼子達にも似たような態度だったけど、その中でも私には特に酷く、事ある毎に女としてのマウントを取られているような・・・?その理由は判らないけど、ホントに腹が立つ・・・💢でも新人を簡単に辞めさせない努力もしなくちゃいけなくて、やる気を引き出すような言葉を出しつつ、注意もしつつ・・・しかも初日には決まっていなかったんだけど、昨日正式...
朝食を食べ終えると、再びコテージに戻って10時前にはチェックアウト。その後、隣にある遊園地に向かい、そこで暫く遊ぶことにしていた。それはこの遊園地のフリーパスまで含まれているプランを予約したからだが、ここも4歳児までが遊べるアトラクションは然程多くない。だが絶叫系や危なっかしいものに乗るつもりはなかったので、つくしと本郷は真音を基準に遊ぶものを選んだ。「まぁ君、見て~~!アスレチックだぁ~」「のり...
スリランカ料理・・・つまりはカレー。でも今日はカレーの気分じゃなかったから、さっぱりと「しゃぶしゃぶがいいなぁ~」と言うと、西門さんは車を停めて何処かに電話してた。その口調が「西門だけど、今からOK?」みたいなノリだったので、居酒屋みたいな場所かな?と思っていたら・・・西麻布のお洒落なお店に来てしまった。しかもその入り口・・・・・・気軽な居酒屋じゃないし!!「あの、西門さん・・・ここは?」「あ?あぁ、この店は予...
21時になると子ども達は眠くなり、本郷と話し合った結果、2段ベッドの下の1つに2人を寝かせる事にした。そして真音が夜泣きをしたらいけないのでつくしがもうひとつある下段のベッドに寝て、本郷は子ども達の真上のベッド。ただ大人が寝るには少し早く、着替えだけを済ませて部屋の真ん中に座っていた。そしてつくしは温かいココア、本郷は何本目かのビール・・・既に顔が赤く、少し酔っているようだった。とは言え紳士的な態度は崩さ...
「総二郎さん、どうかしたの?何度もスマホをチラ見して」「・・・いや、なんでもない」月曜の昼飯・・・2週間だけだが俺の右隣に牧野が居たのに、今日は当然空席・・・だからなのか右腕がすげぇ寒く感じられて変な気分だった。それに何かメッセージでも入るかと思ってスマホを見るが、特に連絡はナシ。仕事が忙しいのか、それとも久しぶりで疲れ切ってるのか、将又足が痛いのか・・・そんな事を考えても判るはずもなく、俺から連絡するのもお...
自室に戻った類は、自分の案を美央に話した。すると美央は予想に反して「お義母様が帰国しているのに、それは出来ませんわ」と反対・・・美央が類の意見に反対することなど、これまでになかったので少しばかり驚いた。だが自分のいない時に美央と真利愛に何を言うかと思うと・・・美央は大人なので上手く対処するだろうが、真利愛はそうはいかない。しかも、もうすぐ3歳になる真利愛は周囲の物事への興味や関心が増し、好奇心や探求心も...
「西門さんとデキてんでしょ?」「は?!」「いいのいいの、隠さなくて!私、見ちゃったのよね~~」「なにを?!」仕事復帰初日のお昼、涼子が突然そんな事を言い出し、私は心臓にバズーカ砲撃ち込まれた気分!他の人がいる休憩室だったから私の大声でみんなが注目・・・それでも涼子はニヤニヤして「いつからなのよ~~!」と、その話をやめない。「あんた、あの合コンの後も会ってたんだ・・・」「涼子!ちょっと来て!!」私は彼女の...
つくし達のコテージではバーベキューが始まった。子ども達は本郷が焼くのを見ながら大はしゃぎで、つくしは焼き上がったものをトングで掴んで紙皿に乗せていった。「はい、熱いから気をつけて食べてね~」「うわぁ~~い!おばちゃん、トウモロコシ、まだある~?」「ママ、ぼくのは~?」「真音の食べられるもの、すぐに用意するから待ってね」まだ2歳の真音には分厚いステーキ肉や味の濃いものは食べさせられない。それに主食は...
野久保課長の話を聞き終わったら久しぶりの業務開始。机の上に置かれた山のような書類に目を通しながら、ふと顔を上げると涼子と目が合った。すると何故かニヤリと笑い・・・それが不気味で、小さな声で「なによ?」と言うと、向こうも小さな声で「お昼休みに話があるのよ」と言ってきた。なんだろう・・・?私、何かやらかした?・・・と考えたけど何も思い当たらない。しかも涼子のあの顔は仕事じゃない気がする・・・と、首を傾げていたら新...
土曜日の朝はいつもよりゆっくり始まる。でもこの日のつくしは逆にいつもより早く目が覚めた。そしてまだ寝息をたてている真音の横で、ぼんやりと天井を眺めていた。今日は本郷親子と一緒にキャンプに行く日・・・本当に今夜はあのコテージに泊まるのかと思うと落ち着かなかった。だから睡眠も浅く、頭が重い。でも子ども達は楽しみにしているので、今更中止と言う訳にもいかない。しかも予報では今日も快晴・・・土砂ぶりなら中止も出来...
4月の第3週目、私は職場に復帰することになった。その日の朝はいつも通りに起きて朝食をいただいたんだけど・・・何故かご機嫌ナナメなのは家元夫人。何度も「本当に大丈夫?」と言われ、その度に「大丈夫です」と答えるんだけど・・・「でもお顔の端っこ、まだ少し擦り傷があるんじゃない?」「このぐらい何ともないですし、痛くも痒くもないんで・・・」「でも足だってまだ庇いながら歩いてない?」「まぁ、完全完治までは6週間って言わ...
つくしが東京に戻って半月が経過した。その頃になって希望していた保育園の入園許可が出て、美来と真音は12月から同じ保育園に行くことになった。それが決まると必要な物を準備するために忙しくなり、つくしは「ほんごうみらい」と「まきのまこと」の名前を持ち物に書いていく作業に追われた。そんな木曜日の帰宅後、つくしが保育園の書類に目を通していると、本郷が申し訳なさそうに隣に座り・・・「本当にごめんね、美来の事を全...
「なに泣いてんの?荷物持って早く降りて」「・・・・・・・・・はい」変な子だな・・・・・・さっきから何を考えてるんだろう?今にも死にそうな顔して・・・と牧野つくしを車から降ろし、マンションの駐車場からエントランスに上がり、そこからエレベーターに乗った。ここは低層階レジデンスで、俺の部屋は最上階でもある4階の3LDK。もちろん普段から住んでいる訳でもなく、気が向いたときに寝泊まりするだけ。各部屋には専用の庭もあり・・・とは言...
「それはお袋からお前に譲られた着物だ。それを着て爺様に挨拶しに行くから」総二郎に言われてキョトン・・・これが家元夫人の着物で、私に譲られる物?・・・・・・ってことは・・・家元夫人、私達のことを知ってるってこと?確かに総二郎から茶道の勉強が必要って言われたから、それはある意味将来を考えてのことだとは思ったけど・・・・・・えっ?!こんなに急にそんな話が出来上がってたの?!「総二郎、あんた・・・もうみんなにバラしちゃったの...
まさか、こんなところであの時の女の子に会うとは思わなかった。しかも名前と会社名までバレたのなら、この子を俺の監視下に置く必要があるかもしれない。それとも、いくらかの口止め料を払えばあっさり東京から出ていくか・・・いろんな事を考えたけど、たった今起きた出来事で頭の中が纏まらない。取り敢えずT町の旅館ではなく、俺が私用で使うマンションへ連れて行くことにした。そこで少しこの子と話してから、今後の事を決めよう...
翌朝目が覚めたのは朝7時・・・スマホのアラームで起き上がった。そして隣を見たら同じくアラームで目を開けたつくしがいて、俺と目があった途端に「最低!」と怒られた。「・・・それが朝イチに言う言葉か?」「何言ってんのよ💢寝たの朝方じゃない!!」「・・・そうだっけ・・・・・・途中寝てないか?」「意識失ってたのよ!!」そう言いながら背中を殴られ、俺は笑いながらベッドから降りた。そして1人でシャワールームに行き、そこでベタベ...
あの日から3日が過ぎた。結局寝泊まりはネカフェで、そこで日当が現金支給されるバイトを見付けた。でも流石にホステス用のワンピースじゃいけない・・・だから翌朝1番に花沢さんから借りたお金を持って古着屋に行き、そこでトレーナーとジーンズ、安い上着を買った。「日当もらったら補填します!まずはお借りしますね!」、と諭吉さんに頭を下げてお支払い。翌日とその翌日はイベントスタッフとして同じ会社で働き、イベント会場...
京都駅でレンタカーを手配し、真っ直ぐ嵐山に向かった。旅館へは18時着だと伝えていたみたいだけど、折角だからって連れてってくれたのは京福電鉄嵐山線、通称“嵐電”の嵐山駅。そこに近付くと、もう暗くなった景色が明るくなって・・・「・・・・・・あ!確かここって・・・」「そう、キモノ・フォレストって聞いた事があるだろ?」「うん!うわぁ、ここだったんだぁ~~」「まぁな。グルッと見ても15分もありゃ回れるから」ここは駅であるにも...
「専務。おはようございます」「おはようございます、専務。今日は暖かいですね~」「・・・・・・・・・・・・」今日も本社ビルのロビーを歩くと、前後左右から社員たちが挨拶してくる。その全部に言葉を返せないから視線だけ向けて通り過ぎる・・・そして、それを見て溜息つくのが役員専用エレベーター前で俺を待つ藤本。今朝も愛想の無い俺を見て、「もう少し笑顔を作れませんか?」と言うが、朝は顔筋が動かないから仕方がない。「朝限定では...
京都に着いたのは13時過ぎ・・・本当ならここでクリスマスランチをしようかと思ったが、我慢出来ないつくしが駅弁食ったから、荷物をコインロッカーに預けて、すぐに東福寺の塔頭 、勝林寺に向かった。ここの本堂の近くにある手水舎は、溢れんばかりの花が活けられた色鮮やかな花手水・・・クリスマスのこの時期も綺麗に活けられていると聞いたから行ってみると・・・(勝林寺ではありませんが参考までに。1月に京都で撮影したもので、クリ...
もうすぐ冬が終わろうかという頃・・・その日の夜、私は1人で都内の繁華街を歩いてた。時間は22時で、飲み会から帰る人とか二次会に行く人とかで通行人はまだ多い。その誰を見ても楽しそうというか、幸せそうというか・・・自分だけが「不幸背負ってる」ような気がして惨めだった。その時に頭の中に流れたのは・・・・・・ーー探し物はなんですか?見つけにくいものですか?カバンの中も つくえの中も、探したけれど見つからないのにまだま...
皆様、こんばんは。本日類君の連載が終了しました。番外編合わせて随分長くなりましたが、最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。今後の更新ですが・・・なんとかもう少しブログを続けてみようかと思い、1月後半から必死に考えていました。ですが、半年以上前から辞める前提でしたので何もネタがなく、しかも新しくお話を作るエネルギーがありませんでした。そしてあっという間に3月になり、引き延ばした番外編も終り・...
翌日の金曜日、会社に行ったらみんなが心配してくれて、私は仮免許を無事に取れたことを報告した。そうしたら桃子も倉田さんも喜んでくれて、今日のお昼は奢ってくれることに・・・それは嬉しかったんだけど、今日の私は笑顔が引き攣っていた。何故なら「家庭の事情」により、来週の月曜日に再び有給休暇の申請をする事にしたから・・・。これは総二郎からの頼みで、24日は嵐山に泊まるけど、25日は一乗寺にある西門の別邸に泊まると...
あかたんが生まれた♪あかたんが生まれたでしゅ♥あたち、おねえちゃんになったでしゅ~~~~♪でもしゅぐに気になったのは・・・・・・前に見たあかたんの写真でしゅ・・・・・・あかたん、どんな色でしゅかね?「花沢さん、処置が終わったのでお入りになってもよろしいですよ~」「は、はい!」「さぁ、梨沙様、行きましょう♪妹様ですよ、楽しみですねぇ♥」「・・・・・・う、うん・・・」「あら、どうかなさいました?そうだわ、抱っこしないとママが見...
「それでは皆さん、明日からまた頑張りましょう~!お疲れさまでした~」修了検定の日が終わった・・・結果、私は・・・・・・合格した!!手元には無いけど、仮免許を取得したのだ~~~~♪点数は教えられないと言われたから聞かないけど、そんなのどうでもいい!とにかく合格出来たことが嬉しくて、最後に集められた部屋で号泣した。それこそ他の教習生の人にドン引きされるほどに!**今日の検定の流れを言うと・・・まずは会場に集められて...
ぱっぱを呼んでまんまのところに戻ったら、まんまはしゅごくくるちそう(苦しそう)だったでしゅ。なんだか泣いてるみたいだち、ぱっぱもコワいお顔ちて・・・あたちはどうちていいのかわからず、まんまの横でオロオロ・・・「類・・・驚かせてごめん・・・・・・お腹が痛くなって・・・・・・っつ!」「もう大丈夫だから。取り敢えず家に帰るよ」「まんま、まんま~~~っ!!」「・・・ママは大丈夫だよ、パパを呼んでくれてありがとうね・・・」「まんま~...
それから数日間が過ぎた。もう12月も後半で、今週末はクリスマスイブ・・・そして私は明日、修了検定を受けるために有給休暇を取っていた。だから今夜はエッチお預けで学科の勉強会。総二郎に問題を出してもらって、それを答える方法でかれこれ2時間も続けていた。「前車が原動機付自転車を追い越そうとしているときに、その車を追い越しても二重追い越しにはならない」「・・・・・・・・・ま、○!」「ピンポーン!前の車が自動車なら二重...
「・・・・・・まんま、いたい?」「ん~~?痛くないよ~~」「・・・・・・・・・」「もうすぐ赤ちゃんに会えるからね~~」あかたんの生まれる日がちかぢゅいた(近付いた)みたいでしゅ・・・。まんまのおなか、またおっきくなって、ちょっとコワいんでしゅけど。ぱっぱも「ホントに痛くないの?」って聞いてて、触るとカチコチでしゅ。この前までや~らかかったのに・・・。「じゃあ今日は検診だから行ってくるね~」「つくし、俺が運転するから!...
色々あった日曜日が終わり、月曜日・・・この日、私は自動車教習所の予約を入れていた。それは技能講習だから担当は三浦教官だ。でも昨日の事があるからどうしようかと悩んでた。「取り敢えず、今日のはキャンセルしようかな・・・でも当日キャンセルだと手数料が発生するしなぁ・・・」そんな事をブツブツ言いながら昼休みになり、今日は通勤途中に買ったパン・・・だからそれを休憩室で食べながら、スマホで教習所の予約キャンセル画面を見て...
ちゅぎ(次)の日はぱっぱのお誕生日でしゅ♪でもぱっぱ、昨日頑張ったからお寝坊・・・しょれをまんまと見てクシュクシュわらって、あたちはまたおねんね、まんまはお弁当をちゅくり(作り)にいったでしゅ。「・・・ふぁ・・・」あれ?ぱっぱ・・・まだ起きてないでしゅか?・・・しょれよりもイイ匂いがちてきて、あたちもお腹ちゅいた・・・ぱっぱ、起きないかなぁ~と思ってお鼻をチョンってちたら、「う~~~~ん」って・・・もうお目々がさめるか...
「落ち着いていられないっつーの!じゃあこの前、私に顔を近づけてきたのはなんだったの?!」つくしがそう叫んだ瞬間、俺の顔がつくしに向かった。そして出てきたのは「今なんて言った?!」・・・同時につくしがピタッと止まり、「あ!」と小さく呟いた。「・・・顔を近づけて来ただと?・・・何処でだ?!」「・・・え、え~~~~と・・・」「誤魔化すな!何をされたんだ!!」三浦を見ると、まるで他人事のように知らん顔・・・それにもムカつい...
ポロ~~~~ン♪ポロン、ポロン♪♪きゃははははは!ちら兄ちゃんのプレジェントのピアノ、おもちろいでしゅねぇ♪たたいたら、いろんな音がでましゅよ?バンバンバン!♪ダンダンダン!♪「きゃはははは!!」「梨沙・・・もう少し小さな音でお願い。パパ、今アルバム作りで大変だから」あ~~~~い!じゃあ今度はまちの(牧野)のおじいちゃんたちがくれた、ボーリングって言うのであしょび(遊び)ましゅ。どうぶちゅ(動物)のお顔が...