Empty Study さん プロフィール

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Empty Studyさん: Empty Study
ハンドル名Empty Study さん
ブログタイトルEmpty Study
ブログURLhttp://emptystudy.hatenablog.com/
サイト紹介文本のない書斎/中身のない研究/読書感想/青空文庫/ミステリー/日本文学
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供186回 / 131日(平均9.9回/週) - 参加 2017/02/12 10:05

Empty Study さんのブログ記事

  • 「どじょうと金魚」 小川 未明
  • アプリの「新着」にあったのが目について読んだ。小川未明の作品はおそらくはじめて読む。「赤い蠟燭と人魚」の人、というイメージだが、読んだことはないのである。とても短い作品で、夢野久作の子供向け作品のような印象を受けた。 ある日(ひ)、子供(こども)がガラスのびんを手(て)に持(も)って、金魚(きんぎょ)をほしいといって、泣(な)いていました。すると、通(とお)りかかったどじょう売(う)りのおじ [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 01読者への口上」 坂口 安吾
  • 坂口安吾のアニメがあったらしいと知って調べてみた。「un-go」という作品で、「明治開化 安吾捕物」をモチーフにしたものらしい。そのままではなく、かなり改変がある。「アニメ化」ではなく、「アニメの元ネタ」という認識で良いと思う。安吾捕物はまだ手をつけていなかったのだが、それならばと読んでみることにした。「ミステリー」でも「探偵小説」でもなく、「捕物帖」という表現に惹かれるものがある。この記事を [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その一 舞踏会殺人事件」 坂口 安吾
  • 「舞踏会殺人事件」はアニメ「un-go」の1話のモチーフになっている。海舟はいわゆるアームチェアディテクティブ、安楽椅子探偵のような役である。現場は一切見ないで、虎之介の話を頼りに推理をする。しかし名探偵のようにはいかず、惜しいところまではいくのだが肝心の点は外してしまう。事件を解決するのは名探偵の新十郎であり、海舟は推理の間違いを認めざるを得ない。その言い訳を「ありがたいお言葉」として受け止める虎 [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その二 密室大犯罪」 坂口 安吾
  • 「密室大犯罪」 などという大仰で不謹慎なタイトルが素敵である。後半で少しだけ「舞踏会殺人事件」のお梨江が登場する。1話だけの登場人物かと思ったが、シリーズ通してのヒロインなのかもしれない。とはいえあまり活躍するわけではないのだが。こちらももちろん海舟と虎之介のシーンで終わる。安定感。オレが加助を犯人と見たのは間違っていたが、現場に立ちあっていないのだから、仕方がねえのさ。だが、加助のような人望 [続きを読む]
  • 「フォスフォレッスセンス」 太宰 治
  • 締め切りまでに原稿が書けなくて、編集者の前で口頭で即興の物語をつくり記述させた、というエピソードを聞いたことがあったので、どんな酷い作品だろうかと思ったら全然そんなことはなく、むしろ出来過ぎているとさえ感じた。頭の中ではすでに出来上がっていたのかもしれない。本当にこれを即興で述べたのだとしたら、とんでもない人である。しかし太宰ならそれくらいやりそうだとも思わせる。底の知れぬ人である。もし文豪た [続きを読む]
  • 「如是我聞」 太宰 治
  • 有名な「志賀直哉への批判」である。この人の時代にインターネットがあったら、ということを考えずにはいられない。きっと面白いことになっただろう。醜い顔の東洋人。けちくさい苦学生。赤毛布(あかげっと)。オラア、オッタマゲタ。きたない歯。日本には汽車がありますの? 送金延着への絶えざる不安。その憂鬱と屈辱と孤独と、それをどの「洋行者」が書いていたろう。所詮は、ただうれしいのである。上野の博覧会である。 [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その三 魔教の怪」 坂口 安吾
  • 秋雨の降りしきる朝。海舟邸の奥の書斎で、主人と対坐しているのは泉山虎之介。訪客のない早朝を見すまして智恵をかりにきたのであるが、手帳をあちこちひッくりかえして、キチョウメンに書きこんだメモと首ッぴきに、入念に考えこんでは説明している。後先をとりちがえないためである。「後先をとりちがえないためである」という部分の味わいがとても良い。安吾捕物の「その一」「その二」を読むと、海舟は虎之介に事件を語ら [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その四 ああ無情」 坂口 安吾
  • この作品は、アニメ「un-go」の第二話のモチーフとなっている。とはいえストーリーはほぼ別物と言ってよく、「un-go」では戦意高揚のため政治的に作られたアイドルの話になっていた。このアイドルグループの名前が「ヨナガヒメ」であるのがいかにもオマージュ作品らしくて良い。アニメの方は舞台が現代(近未来?)になっているので仕方ないが、タクシーやスーツケースと、車夫や行李とではやはり雰囲気が違う。「行李に入っ [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その五 万引家族」 坂口 安吾
  • だんだん冒頭の「海舟と虎之介」のシーンが省略されるようになり、「事件の話をたっぷり語ったうえで後半にようやく名探偵が登場する」という、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズのようになってきた。事件は虎之介の聞き伝えでなく、字の文で語られる。「万引家族」は、これまでに読んだ安吾捕物の中ではいちばん面白かった。まずタイトルがキャッチーである。そして事件の内容も、いわれてみればよくあるパターンなのであるが( [続きを読む]
  • 「安吾巷談 01 麻薬・自殺・宗教」 坂口 安吾
  • 戦後間もない時期の世相を活写した、ルポルタージュ。1950(昭和25)年1月号から12月号にかけて、「文藝春秋」に連載された。前年2月から4月にかけて、作者は、睡眠薬(アドルム)中毒の治療のため、東大病院精神科に入院した(青空文庫の説明より)安吾が当時の世相について書いており、たいへん面白かった。薬物についての話では織田作之助の描写が興味深い。織田作之助はヒロポン注射が得意で、酒席で、にわかに腕をまく [続きを読む]
  • 「安吾巷談 02 天光光女史の場合」 坂口 安吾
  • 政党を異にするものの結婚生活が成立するか。ここで問題になっている具体的な案件についてはよくわからないが、おそらく当時の時事ネタ(というかゴシップ)なのであろう。私は恋愛だとか結婚というものを処世の具に用いることを必ずしも悪いとは思わない。なぜなら、どんな熱烈な恋心でも、決して永遠のものでは有り得ないからだ。恋心は必ずさめる。きまりきっているのだ。もしも人間が自分の情熱に忠実でなければならない [続きを読む]
  • 「安吾巷談 03 野坂中尉と中西伍長」 坂口 安吾
  • 一人の部隊長があって、作戦を立て、号令をかけていた。ところが、この部隊長は、小隊長、中尉ぐらいのところで、これが日本共産党というものであった。その上にコミンフォルムという大部隊長がいて、中尉の作戦を批判して叱りつけたから、中尉は驚いて、ちょっと弁解しかけてみたが、三日もたつと全面的に降参して、大部隊長にあやまってしまったのである。  これは新日本イソップ物語というようなものの一節には適している。 [続きを読む]
  • 「安吾巷談 04 今日われ競輪す」 坂口 安吾
  • 安吾は競輪の不正を告訴しているが、この「今日われ競輪す」では、八百長の仕組みや必然性を鮮やかに解き明かしている。本当かどうかわからないが、説得力がある。そして主張もまっとうである。八百長の元は、場内整理にボスが当り、選手派遣についてもボスに渡りをつける必要があるなどゝいう仕組の中にあるのだろうと思う。しかし、現在、競輪に人気が集中しているのは、その八百長的性格のせいで、大番狂わせ、大穴のでる [続きを読む]
  • 「安吾巷談 05 湯の町エレジー」 坂口 安吾
  • 温泉街の、憎めない盗人。およそ犯罪者につきものの、残忍さや卑怯さといったものとは違い、鮮やかな手口はむしろ痛快ですらある。捕まったあと、差し入れにも手をつけず(おどろくべきことに、この盗人にはたくさんの差し入れがあるのである)何も口にしないことからハンストをしているのだと思われていたが、実は衰弱による保釈を狙ってのことであった。温泉荒しのハンスト先生の手口も、どうにも憎みきれないところがある [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その八 時計館の秘密」 坂口 安吾
  • 変化球。海舟と虎之介は後半に少し顔を出して間違った推理を披露するが、それだけである。新十郎もさらっと登場するのみ。そして犯人を知りながら(正確には「殺人があったということを知りながら」と言うべきかもしれない。ほかの者にはただの失踪と思われている)、黙認する。シリーズ初の「新十郎と犯人」によるラストは、一見粋な感じにも思えるが、これは時代のせいかもしれない。殺されたお源・お米・花亭は、「殺されて [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その六 血を見る真珠」 坂口 安吾
  • 真珠の密漁をする部分が面白かった。世界観というか毛色がちょっと違うように感じたので、どうやって新十郎たちを登場させるのだろうと思ったが、要らぬ心配だった。それから3年後に未亡人が依頼人として訪ねてくるのである。最後は論点をずらしていいことを言ったように見せる海舟。そういう手もあるか。「そうかい。今村が八十吉殺しの、清松が畑中殺しの犯人かい。まことに意外な犯人だが、畑中を殺して金庫をあけた清松 [続きを読む]
  • 「明治開化 安吾捕物 その七 石の下」 坂口 安吾
  • 囲碁好きの安吾らしい作品。碁の最中に毒を盛られた千頭津右衛門は、碁盤の方角を指さして死んだ。それが、津右衛門しか知らない宝の在り処を示すダイイングメッセージというわけだ。これは「石の下」という手で、碁をよく知るものにしか分からない。それから20年後、当時を再現するために集められた甚八はこれに気付いて石の下を探し始めるが、再現の最中に今度は甚八が毒殺されてしまう。「虎は碁をうつかエ」 「ハ。ヘタ [続きを読む]
  • 「日本文化私観」 坂口 安吾
  • 「堕落論」に次いで代表作にあげられる安吾のエッセイ。米粒写経の居島一平さんが、「高校時代に公園で坂口安吾の日本文化私観を読んでひとりでさめざめと泣いた」という話をしていた。わたしが言うのもおこがましいが、良いエッセイだった。わたしは「美しいデザインのものが使いやすいとは限らないが、理にかなって使いやすいデザインは必ず美しい」と考えてきた。つまりはそういうことなのだ。小菅刑務所とドライアイス [続きを読む]
  • 「明日は天気になれ」 坂口 安吾
  • エッセイ集。獅子文六と交流があったことが書かれている。わたしは安吾のカタカナ使いに獅子文六を思い出していたので、また獅子文六はもっと後の時代だと勝手に思っていたのでこれには少し驚いた。短いエッセイが100話あるので少しづつ楽しんだ。明日は天気になれ作者: 坂口安吾出版社/メーカー: 知温書房発売日: 2013/08/18メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る図書カード:明日は天気になれ [続きを読む]
  • 「木枯の酒倉から」 坂口 安吾
  • 安吾の処女作。であるのだが、これまでに読んだ作品の中ではもっとも難解であった。もっとも、分かりやすさというのはその作品の良し悪しを決める決定打にはならないし、わたしの理解が不足しているという点は否めない。主人公が狂人のような不思議な男と出会い、その男が語りだすという話なのだが、誰が話しているのががわかりにくい。あえてそうしているのかもしれない。なぜかラテンアメリカ文学のような感じを受ける。荒 [続きを読む]
  • 「D・D・Tと万年床」 坂口 安吾
  • 安吾の「明日は天気になれ」を読んでいて、D・D・Tの話が出ていたのでこちらも読んだ。D・D・Tというのは薬品の名前だが、おそらくは強力な殺虫剤であろう。わたしは安吾の部屋の写真がとても好きだが、このエッセイを読むととてもここには住めないな、と思わされる。蜂もカマキリも蝶も蝉も蛾も蠅も、私の部屋へ来たが最後、翌日は屍体をさらしてしまうから、死屍ルイルイ、これだけは、すこし、きたない。けれども、その屍 [続きを読む]
  • 「文づかひ/文づかい」 森 鷗外
  • 「文づかひ」とは、文、つまり手紙を届ける「遣い」のことであった。主人公が姫から預かった手紙を届けるという筋書きは分かったものの、細部を理解するのがなかなか難しい。姫は親の決めた結婚が嫌で、その手紙によってそれを免れた、ということになると思うが、解説など読むと、どうやら結婚相手が嫌というより結婚そのものが嫌で、仕事に就くことでそれを回避した、ということらしい。女性の自立や新しい時代の生き方のような [続きを読む]
  • 「黒蜥蜴」 江戸川 乱歩
  • 明智小五郎シリーズ。「黒蜥蜴」という女の賊が登場するが、テイストとしては二十面相のシリーズに近い。殺人事件の推理をするのではなく、怪盗と騙し合いをするのである。子供向け作品ではないと思うのだが、相変わらず変装やら身代わりの人形やらのトリックを用いている。本格的なものを期待すると肩透かしを喰らうが、乱歩のこれはもはやこういうものとして楽しむべきなのだろう。二十面相は人を殺さないが、黒蜥蜴は人殺し [続きを読む]
  • 「駈込み訴え」 太宰 治
  • 再読。最初に読んだのはおそらく「人間失格」の文庫本に収録されていたもの。最後に語り手がユダと名乗るのが印象的であった。なんとなく分かっていても、鮮やかだと思う。読み返してみて、こんなに疾走感のある作品だったかと驚いた。はじめて読んだときと全く印象が違って、面白かった。キリスト教には詳しくないのだが、ユダの愛の解釈は太宰のオリジナルなのだろうか。この作品はキリスト教史というよりユダをモチーフに [続きを読む]
  • 「陰火」 太宰 治
  • おれはいまに大作家になるのであるから、この小説もこののち百年は世の中にのこるのだ。するとお前は、この小説とともに百年のちまで嘘つきとして世にうたはれるであらう、と妻をおどかした。「誕生」「紙の鶴」「水車」「尼」の4遍から成るが、「尼」は間の抜けた如来が登場するなどコミカルさがあり、少し違う感じの印象を受けた。「紙の鶴」では苦しみから逃れるため終始何かで気を紛らわそうとする様子がいじらしい。陰 [続きを読む]