落合順平 作品集 さん プロフィール

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落合順平 作品集さん: 落合順平 作品集
ハンドル名落合順平 作品集 さん
ブログタイトル落合順平 作品集
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/saradakann
サイト紹介文現代小説を中心に、連載で小説を書いています。 時々、画像もアップします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供40回 / 59日(平均4.7回/週) - 参加 2017/03/26 04:19

落合順平 作品集 さんのブログ記事

  • オヤジ達の白球(15)土方(どかた)ヤンキー
  • オヤジ達の白球(15)土方(どかた)ヤンキー 土方とは道路工事や治水工事、建築の現場で働く作業員のことを指す。ただし。土方という表現には、差別意識がつきまとう。 作業員の中で特に資格や技術を必要としない部署で働く人や、日雇い労働者たちをイメージして使われる事が多い。丸山明宏(現:美輪明宏)の代表曲『ヨイトマケの唄』の中に、土方という表現がある。差別用語を使った曲として、放送禁止に指定された。しかし。 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(14)民事再生法
  • オヤジ達の白球(14)民事再生法 熊の勤めていた土木会社も、バブル崩壊の影響をまともに受けた。完工高は40億ちかくにふくれあがっていた。しかし。約束していた銀行からの融資が受けられず、5億の手形が落ちなくなる瀬戸際に追い込まれた。追い打ちをかけるように工事中だった大きな現場が、つぎつぎ完成していく。下請け業者への支払いの期日が切迫してくる。こうなると資金繰りが、ますます厳しい状況になっていく。 さいわ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(13)北海の熊
  • オヤジ達の白球(13)北海の熊  北海の熊は、その名の通り北海道出身。怪童と呼ばれ、野球で知られる某私立高校で甲子園出場を目指した。『プロを目指せる逸材』と一部の人たちから、熱い注目をあつめた。 しかし高校2年の夏。それまでの無理がたたり、ついに肩を壊した。野球選手が肩を壊せば致命傷になる。投手とくればなおさらだ。手術することも考えた。メスを入れれば1年以上、リハビリに専念することになる。それでは甲子 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(12)瓢箪から駒
  • オヤジ達の白球(12)瓢箪から駒  「あのやろう。 謎の女の気をひくため、こんどはソフトボールのピッチャーになるってか。 動機が不純すぎるなぁ。 そんなことでホントに投手になれると思っているのか、あいつは?」 北海の熊が呆れる。グビリと苦そうに酒を呑み込む。「そういうな」岡崎が熱燗徳利を持ち上げる。 「実のところ、俺だって半信半疑だ。 あいつの場合。長く続いた趣味がひとつもねぇ。 確かに熱しやすくて [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(11)
  • オヤジ達の白球(11) 飽きっぽい男 居酒屋「十六夜(いざよい)」の閉店時間がちかづいてきた。祐介がいつものように、厨房で洗いものをはじめる。常連客がひとり、ふたりと勘定を済ませて帰っていく。 カウンターに北海の熊。小上がりにゴム職人の岡崎が残る。この2人は、いつも看板間際まで飲む。それもまた、いつものことだ。「どれ」熱燗をもって、北海の熊が立ち上がる。 「おい岡崎。ずいぶん熱心に坂上の話を聞いてい [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(10)坂上の決心
  • オヤジ達の白球(10)坂上の決心 「その通りだ。晴天の霹靂だ。まさに予想外の出会いさ。 帽子を目深にかぶっていたので、最初は誰だかまったくわからなかった。 だけどよ。向こうから先に、丁寧に頭を下げてきた」 「むこうから先に頭を下げた?・・・ということはやっぱり例の謎の女か!」 「挨拶されて、顔を確認したとき、俺も腰が抜けるほど驚いた。 帽子の下の顔は、あの謎の女だった。 可愛い顔をしているくせに、ソ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(9)公式審判員
  • オヤジ達の白球(9)公式審判員  「その責任を取らされてうちの地区は今季、出場を自粛中だ」 「あたりまえだ。今季どころか、無期限出場停止でもいいくらいだ。 おまえたちのせいでソフトを辞めた人間が、何人もいるんだぜ」 「俺たちのせいにするな。 ろくにソフトを好きでないメンバーばかり集めているから、そうなるんだ。 勝つためなら何でもする。審判を買収してどこが悪い」 「まったく反省していないのか。呆れた [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(8)没収試合
  • オヤジ達の白球(8)没収試合  「どれ」カウンターの一番奥から北海の熊が立ち上がる。熱燗徳利を片手に、つかつかと岡崎と坂上のテーブルへ歩み寄る。北海の熊は土木の現場で重機をあやつっている。一般になじみのある建設機械といえば、油圧ショベル(ショベルカー)やラフテレーンクレーン(クレーン車)などがあげられる。 熊が動いたことで、店内の飲んべェ達も動き始めた。やがてすべての男たちが、岡崎と坂上の周りに集 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(7)朗報
  • オヤジ達の白球(7)朗報 「朗報だ。しかもとっておきのビッグニュースだぞ!」 腰痛で寝込んでから8日後。祐介がひさしぶりに店を開ける。開店してまもなく。常連客のひとりがドタバタと、息を切らせて駈け込んで来た。 「なんだ、騒がしいなぁ。 近所で三毛猫のオスでも生まれたか?。 それとも、とうとうカミさんに愛想つかされて、夜逃げされたか。 どっちにしろおまえさんのビッグニュースには、眉唾物がおおいからな」 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(6)タンポポ 
  • オヤジ達の白球(6)タンポポ   それから一週間。腰に全神経をあつめた祐介が、自宅から出る。復帰トレーニングを兼ねた、朝の散歩だ。数歩あるいたところで、あまりにも力の入らない自分の足に気が付く。  (なんだよ。一週間寝込んだだけで老人並みに萎えてるのか、俺の足は。 人の身体なんて軟弱なもんだ。 道理で朝早くからおおくの人が、せっせと散歩しているわけだ・・・) 5分も歩くと、堤防に出る。流れているのは [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(5)男のやきもち
  • オヤジ達の白球(5)男のやきもち 陽子が煙草を取り出す。赤い唇から、ぽかりと煙がたちのぼる。「吸う?」陽子の問いかけに、祐介がこくりとうなずく。 「はい」吸いかけの煙草を、祐介の唇へ差し込む。フィルターに陽子の紅がついている。 「・・・男なんか、うんざりだ。 だいいち。あたしの周りには、ろくな男が居ないもの。 気ままで身勝手で、嘘ばっかりつくんだ。男どもときたら・・・」 「男でずいぶん、酷い目に遭 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(4)膝枕と腐れ縁
  • オヤジ達の白球(4)膝枕と腐れ縁  祐介が、そろりそろりと後ずさりしていく。しかし。時間をかけて布団まで戻ったところで、動きをピタリと止める。そのまま固まってしまった祐介を、陽子が心配そうな顔でのぞき込む。 「どうしたの。 痛みがまた、ひどくなったのかい?」 「そうじゃねぇ。 食べさせてもらう態勢について、いろいろ考えた。 横向きがいいか、あおむけがいいのかいろいろ考えたが、 どれもピンと来ない。 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(3)敵に塩?
  • オヤジ達の白球(3)敵に塩? 「バ〜カ。身動きさえ出来ないくせに、言う事だけは一人前だ。 お茶を入れてきます。台所はこっちかな?」 「廊下の先だ。わるいなぁ、面倒かけて」 「どうってことありません。 昔馴染みの男へ、塩を食わせるためにやって来たのさ。 これでもかとたっぷり塩をふってきた。 塩分のとり過ぎで早めに地獄へ送ってあげるから、感謝にはおよびません」 (魔性の女ですからね、あたしは。近寄ると [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(2) 持病
  • オヤジ達の白球(2) 持病 祐介は、持病をもっている。「ぎっくり腰」からはじまる腰の痛みだ。30代のはじめの頃。「椎間板ヘルニア」と診断され、ひと月ほど入院したことがある。以来。やっかいな痛みが、祐介の身体に定着した。腰の痛みはいつも些細なきっかけからはじまる。 数日前のこと。棚の荷物を取ろうとしたとき。わずかな痛みが背筋をはしった。「あれ?。またやったかな?」と思った。こんな風に祐介の腰痛は、ささ [続きを読む]
  • オヤジたちの白球(1) 謎の美人客
  • オヤジたちの白球(1) 謎の美人客 話は、10年前にさかのぼる。織物の町として知られる群馬県桐生市の北西部に、日暮れとともに呑んだくれが集まる居酒屋がある。街の中心部からかなり離れた山の裾。ポツンと一軒だけたつ小さな居酒屋。 春になり田圃に水が満たされると、カエルがうるさく鳴きはじめる。真夏になると、ホタルが飛び交う。近くにあるホタルの里から迷い出たホタルたちだ。赤い提灯につられて、ここまで飛んで [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 最終回
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 最終回 清子とたま 「ここが遭難しかけたという、語らいの丘か。 なるほど。噂には聞いていたが、想像していた以上に素晴らしい所だ。 まさに絶景だ」 「訂正してちょうだい。パパ。 私たちは遭難しかけたのではなく、緊急避難していたの。 天候の回復を待ち、ここでじっとしていました。 うふふ。霧に閉じ込められて、進退を窮まっていただけです。 わたしたちが助かったのは、たまが、カ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (76)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (76) 男と女の2人連れ ヘルメットにカンテラを装着している。未明の時間に麓から、登り始めてきた登山客のようだ。 「おい。最初の登山客がもうそこの尾根まで登ってきたぞ。ずいぶん早いなぁ。 いまの時間ここまで来るには、麓を1時か2時に出発するようだ。 ずいぶん熱心な登山客だ」 「なんだぁ・・・・手を引いて歩いているぞ。 へばっている様子からすると、もうひとりはまったくの初 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (75)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (75) レディファースト ひげの管理人が、グビリと缶ビールを呑み干す。2人の無事の生還を見届けた山小屋は、普段の静かさを取り戻す。宴といっても、車座に集まって酒を飲むわけではない。思い思いの場所へ陣取り、静かに酒を飲むだけだ。 山小屋だからといって特別なルールはない。しいてあげれば譲り合いの精神と、必要以上に騒がないことがあげられる。登山に疲労はつきもの。疲れる過ぎ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(74) 
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(74)  騎士(ナイト) 「2人とも、無事に生還したぞ!。もちろん無傷だ」 作業員の2人に背負われて、清子と恭子が姿を見せる。待機していた登山客たちの間から、ドッと大きな歓声があがる。 『無事か、よかった、よかった。寒かっただろう。まずは風呂だ。身体を温めるのが先だ!。風呂が湧いているから入ってもらおう』無事を確認した山小舎で、歓迎の大騒ぎが始まる。 稜線上の山小屋の水 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(73)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(73)  露営寸前・・・        山頂や稜線上は風が強い。天候が悪化したら雨や雷の直撃を受ける。そのため、ビバークや緊急の避難場所には適さない。川の流れのすぐそばも増水の危険が有り、流されることがある。 草原や湿地もビバークには適さない。さえぎるもののない草原は、落雷の可能性が有る。湿地帯では湿ってしまう。 恭子のリュックには、ビバークに備えて常にツェルトが入っ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(72)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(72) 本枯れ節のカツオ節 『どうしたんだろう・・・たまは?』たまの不思議な動作に、清子がすこし不安を覚える。足もとのたまを抱き上げようとする清子を、恭子が手で制止する。 「清子。もうすこし待って。 この風の中に何かを感じたか、何かの匂いを感じ取ったんだと思う」 すこし様子を見守ろうと、恭子がささやく。たまがふたたび、匂いにつられて歩き出す。3歩、4歩と、おぼつかない足 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(71)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(71) たまが動く 「たま、大丈夫?。たま。目を覚ましてちょうだい・・・」 遠くで、清子の声がする。『あれ・・・清子がおいらを呼んでいる。いったい何の用事だ。おいら眠くて、いまは、それどころじゃないんだ』ぼんやりしたまま、たまが答える。 『たま。こんなところで眠ったら、イヌワシの餌になっちゃうよ』 10代目の恭子の声が頭上から降って来た。『イヌワシの餌になるだって・・・ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (70)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (70) 捜索隊が行く  「4人一緒では、ラチがあかない。 お互いの距離をおき、広めに展開して幅広く探していこう」 「効率は悪いが今のままで行こう。 下手に散開すると、今度は俺たちがおたがいを見失う危険がある。 足元も滑る。注意しながらこのまま前進しょう」 4人が濃霧の中を、手探りで前進していく。このあたりの地形を知り尽くしているひげの管理人でさえ、思わず腰が引けるほどの、 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (69)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (69) 最悪の事態 飯豊山の天候は、時間とともに最悪へ向かっている。発達した低気圧が飯豊連山一帯に、30m以上の強風をもたらすと告げた。 30メートル以上の風を、猛烈な風と呼ぶ。屋外での行動は危険とされている。多くの樹木が倒れる。電柱や外灯なども倒れることがある。走行中のトラックが横転することもある。 発達した低気圧が雷雲を連れて、すこしずつ清子たちに接近している。 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (68)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (68) 尾根路の嵐 たまが、恭子のセーターの胸にもぐりこむ。くるりと向きを変えたたまが、セーターの襟のすき間から、ちょこんと顔を出す。その顔が、いつになく真剣だ。 『・・・空気が、重く澱んでいやがる。 ヒメサユリの匂いに混じって、かすかにだけど、おいらが捨ててきた 大嫌いなピーナツの匂いがする。 雷がやってきて雨が降る前に、なんとか避難小屋へたどり着きたいもんだ』  [続きを読む]