落合順平 作品集 さん プロフィール

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落合順平 作品集さん: 落合順平 作品集
ハンドル名落合順平 作品集 さん
ブログタイトル落合順平 作品集
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/saradakann
サイト紹介文現代小説を中心に、連載で小説を書いています。 時々、画像もアップします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供30回 / 30日(平均7.0回/週) - 参加 2017/03/26 04:19

落合順平 作品集 さんのブログ記事

  • オヤジ達の白球(5)男のやきもち
  • オヤジ達の白球(5)男のやきもち 陽子が煙草を取り出す。赤い唇から、ぽかりと煙がたちのぼる。「吸う?」陽子の問いかけに、祐介がこくりとうなずく。 「はい」吸いかけの煙草を、祐介の唇へ差し込む。フィルターに陽子の紅がついている。 「・・・男なんか、うんざりだ。 だいいち。あたしの周りには、ろくな男が居ないもの。 気ままで身勝手で、嘘ばっかりつくんだ。男どもときたら・・・」 「男でずいぶん、酷い目に遭 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(4)膝枕と腐れ縁
  • オヤジ達の白球(4)膝枕と腐れ縁  祐介が、そろりそろりと後ずさりしていく。しかし。時間をかけて布団まで戻ったところで、動きをピタリと止める。そのまま固まってしまった祐介を、陽子が心配そうな顔でのぞき込む。 「どうしたの。 痛みがまた、ひどくなったのかい?」 「そうじゃねぇ。 食べさせてもらう態勢について、いろいろ考えた。 横向きがいいか、あおむけがいいのかいろいろ考えたが、 どれもピンと来ない。 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(3)敵に塩?
  • オヤジ達の白球(3)敵に塩? 「バ〜カ。身動きさえ出来ないくせに、言う事だけは一人前だ。 お茶を入れてきます。台所はこっちかな?」 「廊下の先だ。わるいなぁ、面倒かけて」 「どうってことありません。 昔馴染みの男へ、塩を食わせるためにやって来たのさ。 これでもかとたっぷり塩をふってきた。 塩分のとり過ぎで早めに地獄へ送ってあげるから、感謝にはおよびません」 (魔性の女ですからね、あたしは。近寄ると [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(2) 持病
  • オヤジ達の白球(2) 持病 祐介は、持病をもっている。「ぎっくり腰」からはじまる腰の痛みだ。30代のはじめの頃。「椎間板ヘルニア」と診断され、ひと月ほど入院したことがある。以来。やっかいな痛みが、祐介の身体に定着した。腰の痛みはいつも些細なきっかけからはじまる。 数日前のこと。棚の荷物を取ろうとしたとき。わずかな痛みが背筋をはしった。「あれ?。またやったかな?」と思った。こんな風に祐介の腰痛は、ささ [続きを読む]
  • オヤジたちの白球(1) 謎の美人客
  • オヤジたちの白球(1) 謎の美人客 話は、10年前にさかのぼる。織物の町として知られる群馬県桐生市の北西部に、日暮れとともに呑んだくれが集まる居酒屋がある。街の中心部からかなり離れた山の裾。ポツンと一軒だけたつ小さな居酒屋。 春になり田圃に水が満たされると、カエルがうるさく鳴きはじめる。真夏になると、ホタルが飛び交う。近くにあるホタルの里から迷い出たホタルたちだ。赤い提灯につられて、ここまで飛んで [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 最終回
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 最終回 清子とたま 「ここが遭難しかけたという、語らいの丘か。 なるほど。噂には聞いていたが、想像していた以上に素晴らしい所だ。 まさに絶景だ」 「訂正してちょうだい。パパ。 私たちは遭難しかけたのではなく、緊急避難していたの。 天候の回復を待ち、ここでじっとしていました。 うふふ。霧に閉じ込められて、進退を窮まっていただけです。 わたしたちが助かったのは、たまが、カ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (76)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (76) 男と女の2人連れ ヘルメットにカンテラを装着している。未明の時間に麓から、登り始めてきた登山客のようだ。 「おい。最初の登山客がもうそこの尾根まで登ってきたぞ。ずいぶん早いなぁ。 いまの時間ここまで来るには、麓を1時か2時に出発するようだ。 ずいぶん熱心な登山客だ」 「なんだぁ・・・・手を引いて歩いているぞ。 へばっている様子からすると、もうひとりはまったくの初 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (75)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (75) レディファースト ひげの管理人が、グビリと缶ビールを呑み干す。2人の無事の生還を見届けた山小屋は、普段の静かさを取り戻す。宴といっても、車座に集まって酒を飲むわけではない。思い思いの場所へ陣取り、静かに酒を飲むだけだ。 山小屋だからといって特別なルールはない。しいてあげれば譲り合いの精神と、必要以上に騒がないことがあげられる。登山に疲労はつきもの。疲れる過ぎ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(74) 
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(74)  騎士(ナイト) 「2人とも、無事に生還したぞ!。もちろん無傷だ」 作業員の2人に背負われて、清子と恭子が姿を見せる。待機していた登山客たちの間から、ドッと大きな歓声があがる。 『無事か、よかった、よかった。寒かっただろう。まずは風呂だ。身体を温めるのが先だ!。風呂が湧いているから入ってもらおう』無事を確認した山小舎で、歓迎の大騒ぎが始まる。 稜線上の山小屋の水 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(73)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(73)  露営寸前・・・        山頂や稜線上は風が強い。天候が悪化したら雨や雷の直撃を受ける。そのため、ビバークや緊急の避難場所には適さない。川の流れのすぐそばも増水の危険が有り、流されることがある。 草原や湿地もビバークには適さない。さえぎるもののない草原は、落雷の可能性が有る。湿地帯では湿ってしまう。 恭子のリュックには、ビバークに備えて常にツェルトが入っ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(72)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(72) 本枯れ節のカツオ節 『どうしたんだろう・・・たまは?』たまの不思議な動作に、清子がすこし不安を覚える。足もとのたまを抱き上げようとする清子を、恭子が手で制止する。 「清子。もうすこし待って。 この風の中に何かを感じたか、何かの匂いを感じ取ったんだと思う」 すこし様子を見守ろうと、恭子がささやく。たまがふたたび、匂いにつられて歩き出す。3歩、4歩と、おぼつかない足 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(71)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま(71) たまが動く 「たま、大丈夫?。たま。目を覚ましてちょうだい・・・」 遠くで、清子の声がする。『あれ・・・清子がおいらを呼んでいる。いったい何の用事だ。おいら眠くて、いまは、それどころじゃないんだ』ぼんやりしたまま、たまが答える。 『たま。こんなところで眠ったら、イヌワシの餌になっちゃうよ』 10代目の恭子の声が頭上から降って来た。『イヌワシの餌になるだって・・・ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (70)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (70) 捜索隊が行く  「4人一緒では、ラチがあかない。 お互いの距離をおき、広めに展開して幅広く探していこう」 「効率は悪いが今のままで行こう。 下手に散開すると、今度は俺たちがおたがいを見失う危険がある。 足元も滑る。注意しながらこのまま前進しょう」 4人が濃霧の中を、手探りで前進していく。このあたりの地形を知り尽くしているひげの管理人でさえ、思わず腰が引けるほどの、 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (69)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (69) 最悪の事態 飯豊山の天候は、時間とともに最悪へ向かっている。発達した低気圧が飯豊連山一帯に、30m以上の強風をもたらすと告げた。 30メートル以上の風を、猛烈な風と呼ぶ。屋外での行動は危険とされている。多くの樹木が倒れる。電柱や外灯なども倒れることがある。走行中のトラックが横転することもある。 発達した低気圧が雷雲を連れて、すこしずつ清子たちに接近している。 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (68)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (68) 尾根路の嵐 たまが、恭子のセーターの胸にもぐりこむ。くるりと向きを変えたたまが、セーターの襟のすき間から、ちょこんと顔を出す。その顔が、いつになく真剣だ。 『・・・空気が、重く澱んでいやがる。 ヒメサユリの匂いに混じって、かすかにだけど、おいらが捨ててきた 大嫌いなピーナツの匂いがする。 雷がやってきて雨が降る前に、なんとか避難小屋へたどり着きたいもんだ』  [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (67)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (67) たまの嗅覚 たまが、清子の顔をペロリと舐める。寒いのだろうか。全身が霧から落ちたしずくで濡れている。『寒いんだろう、お前。いま、拭いてあげるからね』清子が、リュックサックの中から乾いたあたらしいタオルを取り出す。 そのとき。ガサッと小さな音を立てて、ビニールの袋が地面に落ちた。落ちたのは、行動食の柿の種の袋だ。袋の隅に小さな穴が開いている。 『あら・・・落ち [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (66)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (66) 雷鳴の中で 雷鳴は、空中で放電現象が発生したときに生じる音のことで、地面に落下したときの衝撃音ではない。放電の際に放たれる膨大な熱量が、周辺の空気を急速に膨張させる。勢いが音速を超えた時、衝撃波が発生して、雷鳴になる。 稲妻は光速で伝わる。ほぼ瞬時に到達する。これに対し雷鳴は音速で伝わっていくため、稲妻よりかなり遅れて到達する。発生した場所が遠いほど、雷鳴ま [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (65)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (65) 地震 雷 火事 親父 閃光がはしる。走凄まじい雷鳴が、油断していた2人の頭上で炸裂する。音に驚いた清子が、恭子の胸へ慌てて飛び込む。間髪を入れず恭子も、耳をおさえ、清子の背中へ覆い被さる。 『イテテ。乱暴だな2人とも。か弱いオイラが潰れちまうじゃねぇか・・・重たいぞ。頼むから2人とも、おいらから離れてくれよ』2人の重みをまともに受けたたまが、清子の胸の下で、必 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (64)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (64) まるでミルクの水の底 「お姉ちゃん。周りじゅうが真っ白です。 宇宙空間に漂っているか、ミルクの水の底にいるような感じがします」 自分の指先さえ見えなくなるほどの、濃密なガスの中。清子が、自分に向ってつぶやく。『ミルクの水の底か。とつぜん上手いことを言うね。清子も』体を寄せた恭子が水滴が滑り落ちてくる帽子のひさしを、阿弥陀に持ち上げる。 谷底から吹き上げてくる風 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (63)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (63) 嵐がやって来る? 稜線の登山道で作業していた2人も、天候の異変に気がつく。急激に温度が下がってきたからだ。そう感じた次の瞬間。ガスの塊りが谷底から、一気に斜面を駆けあがってきた。 濃密なガスが、またたくまに視界を奪う。稜線上でガスと、西から吹き付けてきた風がぶつかりあう。行き場を失ったガスがすさまじい勢いで、上空に向かって舞い上がっていく。 日本海から吹き付 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (62)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (62)もしかしたら遭難? それから15分が過ぎた。2人の周囲にたちこめたガスは、一向に晴れない。それどころか時間とともに、ますます濃密になっていく。 冷たい風に乗り、次から次へ谷底から湧きあがってくるガスの流れは、まるで無限に続くような勢いを持っている。 「♪〜涙果てなし、雪より白い・・・花より白い 君故かなし・・・・」 「なんなの清子。とつぜん歌なんか歌い始めて?」 「 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (61)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (61) ガスは谷底から湧いてくる 歩くこと20分あまり。「語らいの丘」のふもとへ2人が到着する。このあたりから、ようやく、ヒメサユリの花街道らしさが幕をあける。茎の上に無事に残った蕾の数が多くなる。 急な斜面が近づくにつれ、満開のヒメサユリの花が増えてくる。こんもりとした丘を通過したあたりから、群生が見えてきた。歩くにつれ、進むにつれて、ハクサンチドリやシラネアオイ、 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (60)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (60) イイデリンドウの登山バッジ 「おっ。誰が通りかかったのかと思えば、 昨夜泊まってくれた、 べっぴんのお姉ちゃん達の2人連れか。 いま、山頂からの帰りかい。 飯豊連峰が誇る雲の上の、お花畑はどうだった?。 思う存分、満喫することができたかい」 「はい。綺麗なお花たちを、たっぷり楽しむことができました!」 「そいつは、なによりだ。 また2人で飯豊山へ登ってきてくれ。  [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (59)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (59) 草履塚と御秘所(おひそ) 草履塚(ぞうりつか)は、美しい風景が自慢の飯豊連峰の中において、もっとも景観に優れたところと言われている。 参詣者たちの散米を集めて、甘酒を造る。これを分け隔てなく振る舞う。さらに難所のための杖を貸し出した処として知られている。草履という名前は、ここで新しいわらじにはき替え、心身を整え、本社に向かった、といういきさつに由来している。 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (58)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (58) クマタカ 『いい匂いがするなぁ・・・・』恭子の胸で、思わずたまが目を細める。たまが嗅いでいるのは、イイデリンドウの花の匂いではない。清子よりもはるかにふくよかな恭子の胸は、何とも言えないいい匂いが漂っている。『たまらんのう・・・』たまが、ニタリと目をほそめる。 ハクサンイチゲの純白のお花畑を縁どるように、イイデリンドウの紫の花が咲き群れている。 「へぇぇ・・ [続きを読む]