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若手弁護士のつぶやき https://wakateben.hatenablog.com/

都市圏で開業している若手弁護士が日々の業務で感じたこと、業務に役に立つ書籍の紹介等を記していきます

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2017/04/04

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  • ITサービスの利用規約や契約書作成にあたって役立つ法律書

    2022年ももうすぐ終わりですね。 今年も個人情報保護法や特商法等、様々な改正があり、対応に苦労されたという企業も多いのではないでしょうか。 今年はITサービス関係の利用規約やプライバシーポリシー作成やレビューのご依頼が複数件ありました。 その都度様々な文献を調べたりしたのですが、そのうち特に参考になると思われる文献を紹介します。 古川昌平・上原拓也・小林直弥 「BtoC Eコマース実務対応」 shojihomu.rr2.co.jp NBLの連載を書籍化したものです。 Eコマースビジネスにまつわる法律問題を幅広く、かつ、緻密に検討しているところがポイントで、タイトルは「BtoC・・・」となって…

  • 説明・アドバイスの仕方についての雑感

    久しぶりのブログ更新です・・・(昨年のLegal AC以来)。 Twitterで相互フォローさせていただいているdtkさんとくまったさん、更には経文緯武さんのスペース(萌渋スペース)が、毎回盛況ですね。 前回5月30日(?)のスペースは、残念ながら所要のため参加ができなかったのですが、私のリクエストを拾ってくださり、しかもそれをブログにまとめていただいていました。 次のお題というか、お聞きしたいのは、法務からみて説明・アドバイス上手な弁護士と下手な弁護士の違いですかね。依頼側の法務として、こんなメールの書き方は困る、あるいはこんな工夫がされていると助かるといったような(既に取り上げられていたら…

  • 法律時報「2021年学界回顧」で興味深かった文献

    2021年法務系Advent Calendarのエントリー記事です。 法務系 Advent Calendar 2021 - Adventar 改めて、Kanekoさん、幹事をお引き受けいただきありがとうございます。 吉峯耕平先生(kyoshimine)さんからバトンを受け取りました(法務系LTの記事、大変興味深かったです)。 関西で弁護士業をしている若手弁といいます。今回でアドベントカレンダーへの参加は4回目となります。 過去のエントリーは以下のような記事を書いていました。 wakateben.hatenablog.com wakateben.hatenablog.com wakateben.…

  • Eコマース実務対応(個人情報保護)に関するNBL記事の雑感

    NBLの2021.9.15号に掲載されている、吉川昌平弁護士と上原拓也弁護士の「Eコマース実務対応(規約作成上の留意点等)第10回」個人情報保護に関する留意点(1)の記事を読みました。 https://www.shojihomu.co.jp/nbl/nbl-backnumbers/1202-nbl この連載は、Eコマース運営者として留意すべき法的問題を取り上げているのですが、今回は個人情報保護に焦点を当てたものの第1回ということになります。 Eコマース運営においてプライバシーポリシーはどのような法的意義を持ち、運営者側はどのような点に留意をすべきかという点が解説されています。 プライバシーポリ…

  • LEGAL LIBRARYの活用について

    最近はLEGAL LIBRARYにお世話になることが多いです。 サービス開始当初から利用しており、当初は掲載されている書籍の数もそこまで多くはなかったのですが、現在は質・量とも相当充実している印象です。 直近では、我妻先生の民法講義シリーズの掲載も開始されるという素晴らしい動きが・・・! 我妻栄 著『民法講義』シリーズが「LEGAL LIBRARY」に掲載開始。岩波書店と電子配信に関する基本契約を締結 - WMR Tokyo - エンターテイメント 自分なりに、LEGAL LIBRARYをどのように活用しているか、どのようなメリットがあると感じているかを簡単にまとめておきます。 1 リサーチの…

  • 法律関係で参考となる情報のまとめ(主に官公庁)

    厚労省「法令・通達・裁判例・各種参考資料などの検索(試行運用中)」 一般社団法人「日本人材派遣協会」のサイト 法務省:債権法改正に関するサイト 公正取引委員会:下請法の解説ページ 個人情報保護委員会:個人情報保護法関係の解説ページ 労働政策研究・研修機構の論文データベース 消費者庁のHP 特定商取引法ガイド 公益社団法人著作権情報センターCRICのHP 経済産業省:不正競争防止法の解説ページ 国土交通省・建設業法令の解説ページ 政府広報オンライン 最高裁判所図書館 消費者庁:製造物責任法関連 法律実務においては情報収集は欠かせません。 しかし、膨大な情報が溢れている現代において、信頼度の高い情…

  • モバゲー会員規約の変遷と消費者契約法

    モバゲーを運営する株式会社ディー・エヌ・エーに対し、適格消費者団体が利用規約の消費者契約法違反を理由に差止訴訟を提起し、一審・二審とも請求認容としました。 一審判決については、以前ブログで紹介しました。 wakateben.hatenablog.com 一審・二審の概要、争点、判旨は消費者庁のニュースリリースでわかりやすくまとめられています。 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_system_cms203_210106_06.pdf 一審、二審、その後で、問題となった規約がどのように変わったかをまとめました。 一審判決時点 一審段階の規約は…

  • 自粛要請に違反して飲み会等に参加し、新型コロナウイルスに感染した従業員に対する懲戒処分の可否

    1 問題の所在 新型コロナの第3波の状況が深刻になっており、首都圏に緊急事態宣言が発令される見通しのようです。 年末年始の風物詩であった忘年会・新年会を取りやめた企業も多いでしょう。 会食によるクラスター感染が連日報道されており、企業としては従業員に対し、業務終了後にも居酒屋等に行くことの自粛を要請しているところも多いと思われます。 さて、そのような自粛要請にもかかわらず、従業員が酒類を提供する店に行って大人数で会食をして新型コロナウイルスに感染したという場合、懲戒処分を行うことは可能なのでしょうか。 2 検討の視点‐私生活上の非違行為と懲戒の可否 会食の場ではクラスターが多く発生しているとさ…

  • 2020年に読んだもので面白かった本(法律書以外)

    コロナに振り回された2020年ももうすぐ終わりですね。 緊急事態宣言の影響で在宅勤務が多かったこともあり、今年は例年以上に本を読んだように思います。 備忘も兼ねて今年読んだ本の中で面白かったものを紹介していきます。 1 カミュ「ペスト」 ペスト(新潮文庫) 作者:カミュ 発売日: 2017/03/10 メディア: Kindle版 おそらくこのコロナ禍がなければ手に取ることはなかったと思いますが、非常に面白かったです。 アルジェリアにある港町のオランで、突如としてペストが大流行し、医師や新聞記者、司祭、官吏といった様々な身分・立場の者達がペストにどう対処していくのかを描く群像劇です。 ペストとい…

  • 草野判事個別意見に見る法解釈の技法

    この記事は裏 法務系Advent Calendarのエントリーです。 裏 法務系 Advent Calendar 2020 - Adventar Legal ACには今回で3年目・3回目の参加となります。一種のお祭りに参加しているような感覚で、私自身楽しんで記事を書くことができますし、実務の第一線で奮闘されている方々の多様な記事を読めることは大いに勉強になります。 改めまして、幹事を引き受けていただいている@kanegoontaさん、ありがとうございます。 過去2回の記事は文献紹介でしたが、今回は趣向を変えて、草野耕一最高裁判事の個別意見を取り上げようと思います。 弁護士出身の草野判事は、昨年…

  • 情報ネットワーク法学会研究大会・雑感

    情報ネットワーク法学会・第20回研究大会に参加しました。 第20回情報ネットワーク法学会研究大会 (in-law.jp) 本日報告をお聞きしたのは、佃 貴弘「信認義務に依拠したプライバシーの再構築―専門家責任に基づく義務論として―」です。 大変興味深い内容だったので、備忘録もかねて気になった点をメモで残しておきます。 報告の内容としては、アメリカの法学者ジャック・バルキンの情報受認者論をベースとして、日本法の文脈でプライバシー保護の構成を試みるというものでした。 特に印象に残ったものが、個人(プライバシー保護の対象となる者)と直接契約関係を持たずに適法に情報を取得した事業者が、当該個人のプライ…

  • 家裁調査官の論文によるプライバシー侵害の損害賠償を否定した最高裁判決(最判令和2年10月9日)

    家庭裁判所調査官が、自身が担当した少年事件を題材として論文を精神医学関係者向けの雑誌及び書籍に掲載した公表したことについて、当該少年が原告となり、①当該調査官、雑誌の出版社、書籍の出版社を被告としてプライバシー侵害等による損害賠償請求訴訟を提起(第1事件)、②調査官の所属する裁判所職員が論文の公表を制止すべき義務を怠った等として国家賠償請求訴訟を提起(第2事件)したという、2つの事件について、10月9日、最高裁第2小法廷が判決を下しました。 原審の東京高裁は、第1事件・第2事件いずれもプライバシー侵害による損害賠償・国家賠償を認めました。第2事件の原判決については以前ブログで記事にしています。…

  • 家裁調査官の論文によるプライバシー侵害、国家賠償を認めた判決(東京高判平成30年3月22日、原審:東京地判平成29年2月13日)

    10月9日、第2小法廷で判決が予定されている、個人的に要注目の事件です。 ※最高裁の開廷期日情報 最高裁判所開廷期日情報 裁判所 1 事案の概要 家庭裁判所調査官(便宜上「A」といいます。)が自身の担当した少年保護事件を題材として、精神医学雑誌の医学論文に応募し公表されました。これについて、当該保護事件の少年が原告となり、Aの行為によりプライバシー権等を侵害され精神的苦痛を被ったとして、大阪家裁所長等の職員がAを指導・監督する義務を怠ったとして慰謝料を求める国家賠償請求事件です。 なお、一審判決で記載されている点からすると、原告は、本件とは別に、A個人に対する損害賠償請求訴訟を提起している…

  • 【書評】「歴史に残る外交三賢人‐ビスマルク、タレーラン、ドゴール」

    歴史に残る外交三賢人-ビスマルク、タレーラン、ドゴール (中公新書ラクレ (677)) 作者:伊藤 貫 発売日: 2020/02/06 メディア: 新書 「世界史」と「外交」。このテーマにとても興味があります。 政治や外交についての素養はありませんが、交渉を扱うという点で弁護士業務と共通している部分もあり、かねてから関心がありました。 しかも、外交交渉の達人として世界史に残る人物として、ビスマルクやタレーランのことはかねてから勉強したいと思っていたので、本書を書店で見つけたときにすぐに購入をしました。 著者は長年アメリカに在住しているライター。書籍からうかがえる思想としては、日本も核武装して自…

  • 【書評】「逆転勝利を呼ぶ弁護」

    弁護士業務は、法令や裁判例を基盤として成り立つものです。案件を受任した際には、当該案件について先例となる裁判例をリサーチすることになります。 つい、裁判例は所与のものとして、その判決を獲得するために当事者や代理人がどのよう工夫や努力をしたのかという点は忘れてしまいがちです。 逆転勝利を呼ぶ弁護 作者:原和良 発売日: 2020/09/25 メディア: Kindle版 原和良「逆転勝利を呼ぶ弁護」(学陽書房)では、困難で多くの弁護士が断るような案件で素晴らしい成果を上げられた自身の経験をまとめられています。 本書で取り上げられているケースは、ちかん冤罪事件、別荘管理契約(南箱根ダイヤランド事件)…

  • 【書評】「夫婦関係調停条項作成マニュアル」

    離婚事件では、離婚の可否はもちろん、親権者の定め、養育費・婚姻費用、面会交流、財産分野(どの財産をどのように分配するか)といった多岐に渡る争点があり、特に定型的でない処理をする場合に調停条項に反映させすることは難しいです。 色々と文献を探していたところ、小磯治「夫婦関係調停条項作成マニュアル」(民事法研究会)が非常に有用でした。 夫婦関係調停条項作成マニュアル〔第6版〕―文例・判例と執行までの実務― 作者:小磯 治 発売日: 2016/10/27 メディア: 単行本 この本は、裁判所書記官で構成された離婚調停条項の実務研究での成果を反映したものです。条項作成を担う書記官による執筆というだけあっ…

  • 【書評】実務解説 行政訴訟

    行政訴訟というと非常にハードルが高い印象があります。 個別の法令を読み込んで違法となる根拠を探し当てて主張立証していくことの難しさや労力もさることながら、更に行政訴訟特有の問題として訴訟類型のうちどれをとるべきか(取消訴訟か無効確認訴訟か、義務付訴訟か等)、また原告適格や訴えの利益といった訴訟要件を満たすかといった点の難解さも敷居を高くしている大きな要因です。 私自身、行政訴訟にはほぼ無縁であったのですが、この度大島義則編著「実務解説 行政訴訟」をご恵贈いただきました。 実務解説 行政訴訟 (勁草法律実務シリーズ) 作者:義則, 大島 発売日: 2020/05/01 メディア: 単行本 執筆陣…

  • 【判例メモ】参考判例 楽曲の公表権侵害に基づく損害賠償が認められた事例

    著作権侵害で気になった裁判例があったので紹介します。 東京地判平成30・12・11判例時報2020年1月21日号57頁) 当事者 原告 音楽家(作詞作曲、歌手活動をしている者) 被告1 芸能レポーター 被告2 被告1が出捐するテレビ番組を放送した放送事業者 事案の概要 原告が、覚せい剤取締法違反等の罪による執行猶予期間中に創作した楽曲の録音データを被告1に提供したところ、被告1が自ら出演する番組内で、捜査機関が原告に対する覚せい剤使用の嫌疑で逮捕状を請求する予定であることが明らかになったとして、その楽曲の一部を再生した ※この時点で、楽曲は公衆に提供・提示されておらず、公表・放送することについ…

  • 【書評】堀鉄平「弁護士が実践する 不動産投資の法的知識・戦略とリスクマネジメント」

    弁護士が実践する 不動産投資の法的知識・戦略とリスクマネジメント 作者:堀 鉄平 出版社/メーカー: 日本法令 発売日: 2019/01/18 メディア: 単行本 弁護士法人の代表を務めながら、不動産投資家、格闘家の活動もしている堀鉄平弁護士が執筆された本です。 弁護士法人の代表という重責を担いながら、不動産投資において6年間で54億円の投資に対して25億円の売却益を獲得した(17頁)というのはすごい・・・。 本書では、そのような堀弁護士の経験やノウハウを踏まえ、不動産投資において法律知識をいかに活用していくかという実践方法が惜しみもなく解説されています。 弁護士が執筆した不動産関係の法律書と…

  • 【書評】マキアヴェリ「君主論」

    君主論 - 新版 (中公文庫) 作者:マキアヴェリ 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2018/02/23 メディア: 文庫 名著と名高いマキアヴェリの君主論。これまで、エッセンスを要約したり、一部引用されたものは読んだことはあるのですが、全体を読んだことはありませんでした。 書店に寄った際、たまたまこの新版が出ていたので思わず購入しました。 気軽にパラパラと読んでいたところ、あまりの面白さに一気に読み切ってしまいました。 人と欺いたり権謀術数の駆使を勧めるというイメージがあった「君主論」ですが、全体を読んでみるとそのような薄いものでは全くなく、むしろ、血で血を洗う戦乱の世にあってリ…

  • モバゲー利用規約差止判決(さいたま地裁R2.2.5判決)についての雑感

    モバゲー利用規約についての一部差止判決、大きなニュースになっています。 www.nikkei.com 原告である埼玉消費者被害をなくす会にて、判決文がアップされています。 適格消費者団体 特定適格消費者団体 特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会 これについては、既に法律関係者による様々な解説記事が出ており、大変参考になります。 www.cloudsign.jp storialaw.jp このブログでは、判決文について備忘録的に、いくつか気になった点をコメントしておきます。 判決文の論旨明快さ とにかく、判決文が論旨明快で非常に読みやすいです。 まず、「第3 陶裁判所の判断」「1 争点1…

  • 個人情報保護法制についての鈴木・山本対談記事を読んでの雑感

    遅ればせながら、NBL2020.1.1号の鈴木正朝教授と山本龍彦教授の対談記事「個人情報保護法制のゆくえー憲法と個人情報保護」を読みました。 個人情報保護法制はどのようにあるべきかについて深い議論がされており大変勉強になりました。 以下、備忘も兼ねて、特に興味深かったところを挙げていきます。 Suica問題とリクナビ問題の対比 パーソナルデータの不適切な使い方がされた事例として多くの文献でSUICA問題(記名式Suica履歴データ無断提供問題)が挙げられます。そして、昨年はリクナビの内定辞退予測販売問題が社会問題となりました。 対談で、山本教授は、Suica問題とリクナビ問題は性質が大きく異な…

  • 改正法施行後に賃貸借契約が更新された場合の保証の問題

    1月16日、賃貸保証に関して以下のツイートをしました。 改正債権法の施行が迫っていますね。賃貸借契約の保証について、施行前に契約し、施行後に更新する場合、一問一答の解説では、原則として保証については現行法のままということになりそうです。ただ、果たしてこの解釈を裁判所はとるのでしょうか。結構トラブルになるような気がします・・・ — 若手弁 (@wakateben) 2020年1月16日 不動産賃貸の現場ではどのように対応しているのでしょうか。現行法が適用されるという前提で何もいじらないのか、万が一のことを考えて更新の際に改めて極度額を定めた保証契約を締結するのか。ただ、後者の場合、寝た子を起こす…

  • 今年読んだ本で面白かったもの(法律書以外)

    2020年まであとわずかになりました。 今年読んだ本の中で、特に個人的に面白かったものを備忘録を兼ねて挙げていきます。 ・十字軍物語 十字軍物語 第一巻: 神がそれを望んでおられる (新潮文庫) 作者:塩野 七生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/12/22 メディア: 文庫 文庫版をずっと待ち望んでいたシリーズ。十字軍側、イスラム側、更には商人といった様々なプレイヤー達を生き生きと描いており、とても面白く読むことができました。もちろん、史実とは異なる点や創作もあるのでしょうが、改めて十字軍への関心が深まりました。 ・会計の世界史 会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――5…

  • 契約法務についての雑感(+契約関連のブックガイド)

    この記事は裏 法務系 Advent Calendar 2019 - Adventar用エントリーです。hrgr_Ktaさんからバトンを受けとりました(縦書きの文章がかっこよかったです・・・!)。 契約法務についての雑感 某関西圏で弁護士として活動してます。顧客の多くが中小企業・個人事業主で、日常的に契約書作成やレビューの案件を取り扱っています。 今回のエントリーでは、当初は、今年読んだ契約関連の書籍のうち参考になったものを紹介していくブックガイドを考えていました。しかし、ただ本の紹介をしても、日常的に契約業務に携わっている(と思われる)法クラ界隈の皆様にとっては当たり前の情報も多く、それだけで…

  • 【書籍紹介】松尾剛行「広告法律相談125問」

    広告法律相談 125 問 作者: 松尾剛行 出版社/メーカー: 日本加除出版 発売日: 2019/08/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 相変わらずのハイペースで書籍・論文を次々に出される松尾先生によるものです。 「広告代理店の法務として身につけておきたい基礎的な内容を、簡単にまとめることを意図」しているとのはしがきの言葉通り、Q&A方式で、広告にまつわる様々な法律問題をカバーしています。 特筆すべきは初心者に分かりやすいよう、末尾に「自作広告チェックポイント」を設け、フローチャートの形でどのように対応しなければならないかを可視化しており、徹底的に読み手に配慮しているところ…

  • 事実認定と証明度について

    弁護士業務において事実認定・立証の問題は不可避です。 訴訟の場では、代理人として、裁判官に依頼者に有利な事実が認定されるよう主張・立証を尽くします。 また、企業内の調査や第三者委員会等の立場で証拠を踏まえて不祥事等を事実認定しなければならない場面もあります。 ある事実が認められるか否かを決めるにあたっては、どの程度の証明のレベル(証明度)に達しているかを考える必要があります。 本記事では、この事実認定におけるあるべき明度について、ざっくりとではありますが自分なりに考えたことをまとめていきます。 証明度とは 証明度とは、審理及び判断を担当する裁判官が、ある事実の存否についてどの程度の心証を抱くこ…

  • 決定の木と法務

    先日、ツイッターでのご縁で、@syobon _nu22さんと「数理法務概論」をテーマに意見交換させていただきました。 数理法務概論 -- Analytical Methods for Lawyers 作者: ハウェル・ジャクソン,ルイ・キャプロー,スティーブン・シャベル,キップ・ビスクシィ,デビッド・コープ,神田秀樹,草野耕一 出版社/メーカー: 有斐閣 発売日: 2014/03/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 色々と議論させていただく中で、第1章の意思決定分析で紹介されている決定の木(デシジョンツリー)は、法務においても有用なのではないかと感…

  • 【書籍紹介】労働事件ハンドブック

    労働事件ハンドブック<2018年> 作者: 第二東京弁護士会労働問題検討委員会,伊東良徳,?谷知佐子,澤崎敦一,栗宇一樹,澤田雄高,亀田康次,梅田和尊,石田拡時,井砂貴雄,町田悠生子,早田賢史,安藤亮,雪竹奈緒,宇賀神崇,友野直子,師子角允彬,遠山秀,竹内亮,岡本大毅,塚本健夫, 出版社/メーカー: 労働開発研究会 発売日: 2018/03/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 労働事件は論点が非常に多岐にわたり複雑です。適正に事件処理をするためには労基法や労働契約法といった法令だけでなく膨大な通達、裁判例にあたらなければならず、そのリサーチだけでも相当な手間と時間がかかります…

  • 【書籍紹介】鈴木学他「契約書作成のプロセスを学ぶ」(第2版)

    契約書作成のプロセスを学ぶ(第2版) 作者: 鈴木学,豊永晋輔 出版社/メーカー: 中央経済社 発売日: 2018/08/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 契約書を作成・レビューするときに有用な書籍は多数あります。多くは、売買や請負、賃貸借などの契約類型ごとに法的問題点や条項例を解説するというものです。 もちろん、それらは非常に役に立つのですが、いわば模範解答としての条項例だけに触れていると、いざゼロベースで契約書・条項を作成する基礎に欠けてしまうおそれがあります。 本書は、法務部長と新人法務部員との会話を通じ、新人が作成した契約書案を叩き台として、どのような視点で条項を作…

  • 【書籍紹介】松尾剛行、山田悠一郎「最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務(第2版)」

    最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務 第2版 (勁草法律実務シリーズ) 作者: 松尾剛行,山田悠一郎 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/02/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る インターネット、特にSNSの発達によって誰しもが気軽に意見や情報を発信できるようになり、有益な情報を容易に入手できることの恩恵については改めて述べるまでもありません。しかし、ネットゆえの手軽さ、拡散しやすさの副作用として、人格攻撃を伴う過激な投稿や、事実無根の悪質なデマも盛んになっており、この点についての対応が必要です。 弁護士として相談を受けることがあるのはもちろん、…

  • 【書籍紹介】松尾剛行「AI・HRテック対応 人事労務情報管理の法律実務」

    AI・HRテック対応 人事労務情報管理の法律実務 作者: 松尾剛行 出版社/メーカー: 弘文堂 発売日: 2019/01/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 本年1回目のブログ記事は、松尾剛行先生の新刊の書評です。 最近、人事労務の分野における個人情報保護・プライバシーの問題に関して関心が高く色々と情報にあたっていたところ、松尾先生の新刊が出ることを知りました。 リーガルアドベントカレンダーでの記事で読んでみたい本として紹介したところ、何と松尾先生本人からご恵贈いただきました・・・!大変あり…

  • 今年読んで参考になったプライバシー関係の文献まとめ

    これは法務系 Advent Calendar 2018 - Adventarのエントリー記事となります。 @jun_k00さんからバトンを受け取りました。 関西で弁護士業をしている若手弁(@wakateben)と申します。情報法関係、その中でもプライバシー・個人情報保護法制に関心が強く、この分野についての文献やニュースにあたり勉強しています。 この記事では、今年私が読んだプライバシー・個人情報保護法制関係の文献の中で特に参考になったものを独断と偏見で紹介していきます(法律書以外も取り上げています)。 高口鉄平「パーソナルデータの経済分析」(勁草書房 ) パーソナルデータの経済分析 (KDDI総…

  • 【書籍紹介】「業種別 法務デュー・ディリジェンス実務ハンドブック」

    業種別 法務デュー・ディリジェンス実務ハンドブック 作者: 宮下央,田中健太郎,木宮瑞雄 出版社/メーカー: 中央経済社 発売日: 2018/09/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る タイトル通り、デューディリジェンスをするにあたり業種ごとにチェックすべきポイントや留意点を解説しています。 本書で取り上げられている業種は以下の通り。 製造業/小売業/物流業/システム開発業/Eコマース事業/製薬業・医療機器製造業 /介護事業/旅行業/ホテル・旅館業/飲食業/労働者派遣事業/農業法人 まず法務デューディリジェンスの概要から始まり、どの業種にも共通する調査項目を取り上げた上で、業種…

  • 【書籍紹介】谷口学「会計参謀」:生きた会計を学ぶことができる良書

    谷口学「会計参謀‐会計を戦略的に活用する‐」 会計参謀-会計を戦略に活用する- 作者: 谷口学 出版社/メーカー: 中央経済社 発売日: 2016/06/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 仕事の上で決算書を見る機会は多く、会計に関する知識を備えておくことは必須です。色々と本を読みある程度の知識は得たつもりですが、決算書に記載されている会計指標が実際どのような意味を持つのか、十分なイメージを持つことがなかなかできませんでした。 本書は、 公認会計士である著者が、会計というツールを使って企業経営にどのように生かしていくのかを解説している本です。 本書の特徴は、会計指…

  • 【書籍紹介】「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」:人間中心主義の大事さ

    申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 作者: カレン・フェラン,神崎朗子 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2014/03/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (13件) を見る 豊富な経験を持つコンサルタントが、コンサルがクライアントに提供するサービスやツールの問題点を詳細に解説し、痛烈に批判します。 社員をA〜Cにランク付けしたり、社員の業績を評価して給与に反映させるシステム等は、多大な事務処理上の負担が増すだけで会社にとってプラスにはならないと主張します。 筆者の一貫したメッセージは、美しいフレームワークやツールにこだわるのではなく、現場を重視して社員と十分なコミュニ…

  • 弁護士の経営戦略を考える上で参考になる書籍

    大野潔「企業法務に携わる弁護士が最初に読む本」 競争社会到来! 企業法務に携わる弁護士が最初に読む本 作者: 大野潔 出版社/メーカー: ごきげんビジネス出版 発売日: 2016/02/24 メディア: オンデマンド (ペーパーバック) この商品を含むブログを見る 法務部の経験があるコンサルタントが、ご自身の経験から、弁護士業界の非常識、改善すべき点をまとめている本。ページ数は少なくさくさくと読めます。受け身で待つのではなく積極的にこちらから出向く、長い文章の場合は最初に結論を出す等のアドバイスは参考になりました。 柿沼太一「事務所経営が変わる!具体的手法から学ぶ法律事務所のマーケティング&マ…

  • 【書籍紹介】相続法改正のポイントと実務への影響

    相続法改正のポイントと実務への影響 作者: 山川一陽,松嶋隆弘 出版社/メーカー: 日本加除出版 発売日: 2018/06/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 先日成立した改正相続法(民法改正だけでなく、家事事件手続法改正、新法である遺言書保管法も含む)は、遺言・相続実務に多大なインパクトがあります。個人的には、債権法改正よりも影響は大きいのではないかと思います。 配偶者居住権の創設、遺留分の金銭請求権化、相続人の配偶者等の非相続人による特別寄与料制度の創設等、従来の相続法制が大きく変わることになります。 これだけの大改正であるのでボリュームも多く理解することも一苦労です。本…

  • 【書籍紹介】「労働者のメンタルヘルスと法」

    三柴丈典「労働者のメンタルヘルス情報と法」(法律文化社) 労働者のメンタルヘルス情報と法: 情報取扱い前提条件整備義務の構想 作者: 三柴丈典 出版社/メーカー: 法律文化社 発売日: 2018/06/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 企業がメンタルヘルス情報を取得、保管、利用、第三者提供する場合について、個人情報保護法・プライバシーとの関係で詳細に分析しています。個人情報保護偏重ではなく、推定的同意や正当事由等を駆使して柔軟な解釈を示しているのが特徴的です。 分かりやすい模範解答を出してくれているわけではありませんが、企業が従業員情報とどのように向き合い、取り扱うべきかを…

  • 【書籍紹介】「建設業法による下請代金回収の理論・実務と書式」

    建設業法による下請代金回収の理論・実務と書式 作者: 田中彰寿 出版社/メーカー: 民事法研究会 発売日: 2011/03/01 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る タイトル通り、建設業法による下請代金回収のテーマを深掘りしています。 建設業の下請代金不払については、下請法では適用除外であり、建設業法が適用されます。ただ、どのような条文をどのように使えるのか、また救済を求めるためにどこに(国土交通省、都道府県、公正取引委員会)申入れをすればよいのかが非常に分かりづらいです。 本書は建設業法のうち下請代金回収と関連する条文を逐条解説するとともに、典型的な場面ごとの請…

  • 最近の情報法関係のガイドライン・報告書等

    最近、主に官公庁から発行された情報法に関連するガイドラインや報告書、指針等をまとめてみました。 AI・データの利用に関する契約ガイドライン(経済産業省) 平成30年6月 データ編 http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180615001/20180615001-1.pdf AI編 http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180615001/20180615001-3.pdf 報道資料 http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180615001/20180615001.html カメラ画…

  • ウェアラブル端末で従業員の行動を分析する場合のプライバシー上の問題点と対応

    1 ウェアラブル端末の持つ可能性 矢野和男「データの見えざる手」(草思社文庫)という本を読了しました。 文庫 データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則 (草思社文庫) 作者: 矢野和男 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2018/04/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 名札型のウェアラブル端末(対面情報、身体的な動き、位置情報をそれぞれ計測できる)を従業員に装着してもらい、そこから得られたデータを分析することで、驚くような結果が出ることが紹介されています。 例えば、コールセンターのオペレーターの受注率は休憩所での会話の活発度が関係し…

  • 最近読んだ本の簡単メモ

    1440時間の使い方 1440分の使い方 ──成功者たちの時間管理15の秘訣 作者: ケビン・クルーズ 出版社/メーカー: パンローリング株式会社 発売日: 2017/08/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る タイムマネジメントに関する本です。単に著者のノウハウを一方的に教えるのではなく、一流の企業経営者やアスリートにインタビューし、豊富な実例を紹介している点が特徴的です。TODOリストは使うな、やるべきことは手帳に書き込めというアドバイスは大変参考になりました。 アイデア大全 アイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール 作者: 読書猿 出版社/メー…

  • 情報法関係で参考になった論文

    板倉陽一郎「プライバシーに関する契約についての考察」 (1)http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol1_p028.pdf (2)http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol2_p067.pdf プライバシーポリシーや利用規約の法的性質を掘り下げて分析。個人情報保護法上の(公法的な)同意と、プライバシー侵害を理由とする損害請求・差止請求不行使の同意とに区別し、後者の場合には同意があっても無際限に免責されるわけではなく場合によっては無効となる可能性があると指摘。プライバシーに関する契約をこれだけ深く分析する板倉先生の緻密さに脱…

  • 【書籍紹介】「弁護士会照会ハンドブック」

    佐藤三郎他「弁護士会照会ハンドブック」 弁護士会照会ハンドブック 作者: 佐藤三郎,加藤文人,京野垂日 出版社/メーカー: きんざい 発売日: 2018/07/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 弁護士業務をする上で、弁護士会照会(業界では23条照会と呼ぶことが多い)の利用は欠かせません。 定型的な照会であればルーティンで処理できるのですが、イレギュラーな事案においてどこまで利用できるのか、また照会を受けた側から相談された場合にどういうアドバイスをすべきかは悩むところです。 本書は、弁護士会照会の制度の概要、類型別の対応、関連する裁判例を豊富に紹介しています。単なるマニュアル…

  • 工夫されたプライバシーポリシー・利用規約の実例

    ヤフージャパン プライバシーポリシーとは別に、「プライバシーガイド」のページを設けて、ビジュアルを使って個人情報の取り扱いについて記載されています。ビジュアルを使って分かりやすく解説されています。 Yahoo! JAPANプライバシーガイドYahoo! JAPANプライバシーガイド PIXTA 写真の素材サイトです。利用規約のうち、重要な条項についてはすぐ下に「ポイント」という欄を設けて特に注意すべき点を表記しています。利用規約は冗長でありただ読むのはユーザーにとって苦痛ですが、このようにポイントを絞って注意喚起されるとユーザーにとっては分かり易いですし、企業にとってもリスクヘッジという点で有…

  • 分かりやすい利用規約の例

    本日の日経新聞の朝刊に、利用規約・プライバシーポリシーをユーザーに読まれやすくするための取り組みが特集されていました。 目指せ、読まれる利用規約 フェイスブック問題で注目 :日本経済新聞 慶應義塾大学SFCリーガルデザイン・ラボ、株式会社THE GUILDおよび弁護士ドットコムの三者で結成された「コントラクトギルド」による研究や、シェアリングエコノミー協会による認証制度等、最新の事例が分かりまとめられており大変参考になります。 この記事で紹介されていたシェアリングエコノミーの仲介サービスである「Anytimes」の利用規約を見てみました。 利用規約 Anytimes・エニタイムズ 一見する…

  • プライバシーポリシーを自動解析するツール:Polisis

    詳細かつ正確なプライバシーポリシーとユーザーの理解しやすさは反比例します。企業側として、リスクを極力減らし漏れがないようにすればするほど、長大で難解な文書となり理解は困難です。 ラベル形式にする、詳細説明用と簡易説明用の2種類のポリシーを用意するといった工夫をしている企業もありますが、やはり文書だけではわかりづらいことは否めません。 しかし、既に海外ではプライバシポリシーを自動的に解析するシステムが公開されていることを知り大きな衝撃を受けましたので、紹介します。 「Polisis」という名称で、スイスのローザンヌ連邦工科大学、ウィスコンシン大学、ミシガン大学らの研究者からなるチームが作成したも…

  • 【書籍紹介】「個人情報保護法の解説」:真打登場

    園部逸夫・藤原靜雄編集、個人情報保護法制研究会著 「個人情報保護法の解説」(第二次改訂版) ぎょうせいオンライン / 個人情報保護法の解説 第二次改訂版 改正個人情報保護法に関する膨大な数の書籍が出ている中、満を持して立法担当者による逐条解説が出ました。 本書は5部構成となっており、第1編が個人情報保護法や改正部分の概要、第2編が法律制定や改正に至る背景、そして第3編がメインである逐条解説。第4編が GDPRの概要、第5編が条文等の参考資料です。 第2編の背景の説明はコンパクトながらも丁寧に書かれており、そもそもなぜ個人情報保護法が制定されたのか、改正はどのような経過を辿ったかを理解することが…

  • 1月に読んだ主な書籍のまとめ

    今日で1月も終わりです。今月に読んだ主な本を、備忘を兼ねて簡単にまとめておきます(法律書以外もあります)。 士業を極める技術 (すべての案件を高額報酬に変える「高難度業務」) 作者: 横須賀輝尚,菰田泰隆 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター 発売日: 2017/10/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ルーティン業務・定型業務をこなすだけでは士業の未来はないとして、複雑困難な「高難度業務」に積極的に取り組むべきことを語っている本です。著者の宣伝色が強く、全面的に賛同し難い部分もありますが、自分の今の業務のあり方でよいのか、もっと工夫できる点がないのかを改めて…

  • 【書籍紹介】「会社の本気を後押しする過重労働防止の実務対応」

    会社の"本気"を後押しする 過重労働防止の実務対応 作者: TOMA社会保険労務士法人 出版社/メーカー: 清文社 発売日: 2017/12/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る タイトル通り、過重労働を防止するためにどのような取り組みをすべきかを解説している本です。 この手の本は、法規制をただ解説しているか、あるいは方法論は色々書いているものの法制度との整合性が分からない内容になりがちです。しかし、この本は、法制度の解説とそれを踏まえた実務対応がバランスよく書かれています。法制度をいくら詳細に解説していても実際に現場でどのように取り入れていくかはわかりません。この本では、変形…

  • 2018年の要注目の情報法関係のトピック

    今年も本ブログでは情報法関係の記事が多くなりそうです。 さて、今年、個人的に注目している情報法関係のトピックを3つ取り上げたいと思います。 1.GDPRの施行 これは言わずもがなですね。今年の5月にEUの一般データ保護規則(GDPR)が施行されます。世界的にも厳しい取り扱い基準を定め、高額な制裁金も相まって、戦々恐々としている企業も多いのではないでしょうか。忘れられる権利やデータポータビリティ権、プロファイリングされない権利等、先進的な規定を多く取り入れているだけに、それらが実務においてどのように解釈・運用されるのか、非常に注目しております。 2.ベネッセ事件集団訴訟の判決 ベネッセ事件の最高…

  • プライバシー侵害の評価に疑問がある判決(京都地判平成29年4月25日)

    今年はGPS判決(最判平成29年3月15日)、グーグルへの検索結果削除請求の決定(最決平成29年1月31日)、ベネッセの個人情報流出の判決(最判平成29年10月23日)等、個人情報・プライバシーを巡る重要な判決・決定が相次いだ印象です。その関係で、地裁レベルですが、プライバシー侵害について改めて考えさせられる判決がありますので、紹介いたします。 京都地判平成29年4月25日(判例秘書掲載) 事案の概要 被告(Y)は、インターネット上の電話帳サイトを開設し、過去にNTTが発行した紙媒体の電話帳に記載されている個人の氏名、住所、電話番号をそのサイト上に掲載していた。 同サイトに原告(X)の氏名、住…

  • 今年参考になった情報法関係の書籍の紹介

    今年も残すところあとわずかになりました。 今年は情報法関係で色々と本を読みましたが、豊作の年で、私自身非常に勉強になりました。 備忘録も兼ねて、今年読んだ情報法関係の書籍でおすすめのものを紹介いたします。 1.水野祐「法のデザイン」 法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する 作者: 水野祐 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2017/02/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 今をときめく水野先生の書籍です。情報法という範疇にはとどまらない、一種の思想本という評価もできるのですが、現代の高度情報化社会ならではの法の役割を…

  • 働き方改革関連法案を知るためのお勧めの雑誌

    働き方改革関連法案は今年の臨時国会で審議される予定でしたが、例の冒頭解散により先送りされました。来年の通常国会で審議入りされることが予想されますが、野党の反発が強いこともあり成立は一筋縄ではいかないようです。とはいえ、従来の労働法制に大きな影響を与える改正なのでその内容は理解したいところです。 働き方改革関連法案の要綱はできているのですが、その内容は決してわかりやすいものではなく、全体像や実務に及ばす影響等は要綱だけ見てもわからず、別途勉強する必要があります。 ジュリストの12月号とビジネス法務の2018年2月号が、このテーマを特集しており参考になります。 ビジネス法務は、この法案に関するテー…

  • プライバシーポリシーの戦略的な活用の仕方を考えてみる

    プライバシーポリシーの作成は労多くして利益少ない? 中小企業を含め、多くの企業がプライバシーポリシー(「個人情報保護指針」「個人情報取扱指針」等の名称が使われることもあります)を作成し、主にホームページ上で公表していると思われます。 私もクライアント企業からの要請でプライバシーポリシーの作成をしたことが何度かあります。 しかし、率直なところ、企業においてプライバシーポリシーの作成は、労力がかかる割に成果が見えづらい作業ではないでしょうか。個人情報保護法が求める規律(利用目的の定め、保有個人データに関する事項の定め等)を遵守し、不備や漏れがない内容のものを作成するには、相当な時間や労力がかかりま…

  • 【書籍紹介】AIがつなげる社会‐AIネットワーク時代の法・政策

    福田雅樹他「AIがつなげる社会‐AIネットワーク自体の法・政策」(弘文堂) AIがつなげる社会--AIネットワーク時代の法・政策 作者: 福田雅樹,林秀弥,成原慧 出版社/メーカー: 弘文堂 発売日: 2017/11/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る AIを取り上げる報道が日常茶飯事になって久しいです。AIについては、生活を便利にして世の中が良くなるという好意的な形で取り上げられることもありますが、一方で人の雇用を奪うというネガティブな論調で語られることもあり、どうしてもイメージ先行で語られがちです。 本書は、AIに精通しているエキスパート達(法学者・弁護士…

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